説明

溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマー

本発明は、(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来するポリアミド硬質ブロックの1個以上のセグメント、ならびに(b)ポリエーテルジオールに由来するポリエーテル軟質ブロックの1個以上のセグメントを反応させることによって作製される溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドに関する。本発明は、連続押し出し成形機製造法を含む、上記コポリエーテルアミドを作製するための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、溶融加工処理可能な(melt processable)コポリエーテルアミドエラストマー、およびより具体的には、連続様式で調製され得るコポリエーテルアミドエラストマー(反応押し出し成形機および/または類似の装置において調製され得るエラストマーを含む)に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリアミドエラストマー(しばしば、PEBAといわれる)は、高性能かつ高コスト材料である。PEBA材料は、優れた弾性および跳ね返り特性、ならびに良好なヒステリシスおよび耐薬品性を有する。PEBA材料はまた、良好な低温衝撃特性を有する。しかし、PEBA材料はまた、PEBAを調製するために使用される原材料、ならびにPEBAを製造するバッチ法および半連続法の高コストに起因して、高コスト材料である。従来のPEBA材料を生成するために必要とされる長い残留および/または反応時間は、これまでのところ、連続PEBA加工処理を非実用的にしてきた。
【0003】
匹敵するおよび/または改善された特性および特徴を提供するが全体的に低コストである、PEBA材料、またはPEBA様材料が必要である。例えば、反応押し出し成形機を介して、連続的におよび/または内部混合デバイスの中で生成され得るPEBA材料は、バッチ法および半連続法を介して作製される従来のPEBAと比較して、顕著に低下した製造コストを有する。連続的に加工処理され得るPEBA材料、またはPEBA様材料、ならびにその連続プロセスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来するポリアミド硬質ブロックの1個以上のセグメント;ならびに(b)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体に由来するポリエーテル軟質ブロックの1個以上のセグメントを含む、溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーを提供する。上記エラストマーの調製において使用される末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む。用語末端ラクタム化ジイソシアネートは、本明細書で使用される場合、ジイソシアネートおよびラクタムの反応生成物に言及する。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで上記ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである。
【0005】
本発明のエラストマーは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート、(ii)ラクタムモノマー、ならびに(iii)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させることによって得られ得;ここで上記重合は、内部混合装置の中で起こり;そしてここで上記重合において使用される末端ラクタム化ジイソシアネートに対する上記末端ヒドロキシ化化合物のモル比は、0.50〜0.95である。
【0006】
本発明は、溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーを調製するためのプロセスをさらに提供し、上記プロセスは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート、(ii)ラクタムモノマー、ならびに(iii)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させる工程を包含し、ここで上記重合は、内部混合装置の中で起こり、ここで上記エラストマーの調製において使用される上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む。
【0007】
本発明はまた、上記記載されるコポリエーテルアミドエラストマーのうちのいずれかが、連続様式および/または部分的連続様式で、ならびにその連続プロセスおよび/または部分的連続プロセス生成される場合を提供する。
【0008】
本発明はまた、上記エラストマーから調製され得る製造物品に関する。このような物品は、射出成形、圧縮成形および/または押し出し成形によって製造され得る。このような物品は、熱可塑性ポリマーとともに一般に使用される手順および技術を使用して製造され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明の種々の特徴および実施形態は、非限定的な例示によって以下に記載される。
【0010】
(コポリエーテルアミド)
本発明は、溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーを提供する。上記エラストマーは、少なくとも1個の硬質ブロックセグメントおよび少なくとも1個の軟質ブロックセグメントを含む。複数の硬質ブロックセグメントおよび軟質ブロックセグメントが存在し得る。いくつかの実施形態において、上記硬質ブロックおよび軟質ブロックは、ランダムに配置される。
【0011】
上記エラストマー中の軟質ブロックセグメントに対する硬質ブロックセグメントの重量%は、過度に制限されず、得られるエラストマーの所望の物理的特性を得るために調節され得る。いくつかの実施形態において、上記エラストマー中の硬質ブロックセグメントの重量%は、10%〜90%、または10%〜60%、または20%〜40%である。
【0012】
上記ポリアミド硬質ブロックは、末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来し得る。上記ポリアミドブロックは、おそらく、単一のアミドブロックを含む。いくつかの実施形態において、コポリエーテルアミドエラストマーの上記硬質ブロックは、ポリアミドブロック、アミドブロック、またはこれらの組み合わせを含む。上記硬質ブロックが、アミドブロックおよびポリアミドブロックの両方から作製される場合、上記硬質ブロックは、上記ポリマー中のブロックすべてに関して、優先的にアミドブロック(上記ポリアミドブロックを作製するアミドブロックを含む)であり得る(50%より高い、75%より高い、またはさらに80%のアミドブロック)。
【0013】
上記軟質ブロックは、1個以上の末端ヒドロキシ化化合物に由来する。適切な末端ヒドロキシ化化合物としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、200〜10,000、または400もしくは600〜5,000もしくは2,000の数平均分子量(Mn)を有する。他の実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、一般式 HO−(RO)−Hのポリエーテルおよび/またはポリエステルジオールを含み、ここでRは、ヒドロカルビル基であり、これは、上記ヒドロカルビル鎖の中にカルボニル基を含み得、ここで上記ヒドロカルビル基は、合計1〜20個の炭素原子、または1個もしくは2個もしくは4〜8個もしくは6個もしくは4個の炭素原子を含み、nは、1〜70または2もしくは4〜50もしくは40、または20の整数である。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記エラストマーは、ポリエーテル由来軟質ブロックを含む。他の実施形態において、上記エラストマーは、ポリエステル由来軟質ブロックを含む。さらに他の実施形態において、上記エラストマーは、エーテルおよびエステル単位の混合物を含む。このような実施形態において、上記軟質ブロックは、優先的にポリエーテルブロックであり得、70%より多く、80%のまたはさらには90%のポリエーテルブロックであり得る。いくつかの実施形態において、上記軟質ブロックは、ポリエステル基を実質的に含まず、そして/または10%未満、5%もしくはさらに1%のポリエステル基を含む。
【0015】
本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、200℃においておよび3800gの重量の下で測定されるASTM D1238(またはいくつかの匹敵する方法)によって測定される場合、5〜50g/10分のメルトインデックス(および/またはメルトフローインデックス)を有し得る。
【0016】
(末端ラクタム化ジイソシアネート)
上記のように、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーの上記硬質ブロックは、末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来し得る。上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、アルキレンジイソシアネートに由来し得る。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、以下に記載されるラクタムモノマーのうちの1個以上で末端化される。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、カプロラクタム、ラウロラクタム、またはこれらの組み合わせで末端化される。明瞭にするために、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートは、それ自体は、ジイソシアネートではなく、むしろ、ジイソシアネートに由来する。本明細書で記載される場合、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、1個のジイソシアネートおよび2個のラクタムモノマーに由来し、ここで上記一方のラクタムモノマーは、上記ジイソシアネートの各末端に結合する。例えば、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートは、一般構造:R−C(O)−N(R)−C(O)−N(H)−R−N(H)−C(O)−N(R)−C(O)−Rを有し得、ここで各R、R、RおよびRは、アルキレン基であり、ここでRおよびRは結合されて、環式基を形成し、RおよびRは結合されて、環式基を形成し、そしてRは、アルキレン基である。いくつかの実施形態において、一緒になったRおよびRは、上記環式基の直線部分を形成する5個の炭素原子を含み、一緒になったRおよびRは、上記環式基の直線部分を形成する5個の炭素原子を含み、そしてRは、6個の炭素原子を含み、いくつかの実施形態においては、直線状である。
【0017】
上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において有用な上記ジイソシアネートは、過度には限定されない。いくつかの実施形態において、適切なジイソシアネートとしては、4,4’−メチレンビス−(フェニルイソシアネート);ヘキサメチレンジイソシアネート;3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;フェニレン−1,4−ジイソシアネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1,4−シクロヘキシルジイソシアネート;デカン−1,10−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらジイソシアネートのうちの1個以上は、ラクタムモノマーで末端化されて、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートを提供し得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートは、末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化メチレンジフェニルジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含む。他の実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含む。ここで上記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせを含み、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む。
【0019】
上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、当業者に公知の技術および方法によって調製され得る。例えば、末端ラクタム化ジイソシアネートは、ジイソシアネート(上記のジイソシアネートのうちの1個以上を含む)と、ラクタムモノマー(上記のラクタムモノマーのうちの1個以上を含む)との反応によって調製され得る。上記反応は、高温(例えば、85℃)において撹拌しながら行われ得る。上記反応はまた、窒素パージ下で行われ得る。触媒が、上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用され得る。上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用されるジイソシアネート 対 ラクタムモノマーのモル比は、過度には限定されず、一般には、使用される上記ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに依存する。いくつかの実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において使用されるジイソシアネート 対 ラクタムモノマーのモル比は、1:0.5〜1:5または1:1.5〜1:5である。いくつかの実施形態において、上記比は、1モルのジイソシアネートあたり約2モルのラクタムモノマーであり、反応を完了させるために、いくらか過剰のラクタムモノマーが許容される。次いで、得られた末端ラクタム化ジイソシアネートは、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーを調製するために使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記エラストマーの調製において使用される上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む。4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)は、本発明において使用するために適したジイソシアネートであるが、いくつかの実施形態において、MDIは、1種以上の他のジイソシアネートと組み合わせて使用され、使用されるジイソシアネートの合わされた量のうちの50%以下、25%、またはさらには10重量%を構成する。
【0021】
さらに他の実施形態において、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで上記ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである。いくつかの実施形態において、本発明において使用される上記ジイソシアネートは、1個のパラ置換された環ならびに1個のメタ置換および/またはオルト置換された環を有するジイソシアネートを含む。いくつかの実施形態において、本発明のジイソシアネートは、2個以下の対称元素を含む。いくつかの実施形態において、本発明のジイソシアネート成分は、ジフェニルジイソシアネートを、またはさらに具体的には、MDIを、実質的に含まないか、または含まない。
【0022】
(ラクタムモノマー)
本発明の末端ラクタム化ジイソシアネートの調製において利用される上記ラクタムモノマーは、過度には限定されない。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、n−アルカンラクタムであり、ここでnは、整数であり、2から最大12(12を含む)から選択される。より具体的には、上記n−アルカンラクタムは、2−エタンラクタム(アザシクロプロパン−2−オン)、3−プロパンラクタム(プロピオラクタム)、4−ブタンラクタム(ブチロラクタムまたは2−ピロリドン)、5−ペンタンラクタム(バレロラクタム)、3−メチルバレロラクタム、6−メチルバレロラクタム、6−ヘキサンラクタム(カプロラクタム)、7−ヘプタンラクタム(エナントールラクタム)、8−オクタンラクタム(カプリロラクタム)、9−ノナンラクタム(ペラルゴラクタム)、10−デカンラクタム(カプリノラクタム)、11−ウンデカンラクタムまたは12−ドデカンラクタム(ラウロラクタム)である。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、カプロラクタムである。
【0024】
本発明のコポリエーテルアミドエラストマーのいくつかを、ラクタムモノマーを使用せずに調製することは、可能である。すなわち、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーのうちのいくらかは、末端ラクタム化ジイソシアネートおよびポリエーテルジオールの重合に由来する。このようなエラストマーは、本発明によって企図され、その結果、いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、別個の反応成分として、必要に応じた成分である。
【0025】
(末端ヒドロキシ化化合物)
上記のように、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーの上記軟質ブロックは、末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体に由来する。適切な末端ヒドロキシ化化合物としては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。この成分はまた、上記ポリオール成分として言及され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエーテルジオールを含む。本発明において有用なポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、上記ジオールのうちの2種以上のコポリマー、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記ポリエーテルジオールは、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを含む。ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールはまた、ポリTHFおよび/またはポリテトラヒドロフランとしても公知である。
【0027】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート成分(末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化メチレンジフェニルジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含む);(ii)ラクタムモノマー成分(カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせを含む);および(iii)ポリエーテルジオール成分(ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを含む)に由来する。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエステルジオールを含む。適切なポリエステルポリオールは、少なくとも1個のジアルキレングリコールおよび少なくとも1個のジカルボン酸、またはそのエステルまたは無水物に由来し得る。上記ポリエステルポリオールは、一般に、約500〜約10,000、約500〜約5000、または約1000〜約3000、またはさらに約2000の数平均分子量(Mn)を有する、実質的に直線状、または直線状のポリエステルである。適切なポリエステルポリオールとしては、エチレングリコールアジペート、ジエチレングリコールアジペート、ブタンジオールアジペート、ポリテトラメチレングリコールアジペート、ヘキサンジオールアジペート、ならびにテレフタレートおよびその誘導体から生成されるポリオール(例えば、ジメチルテレフタレートを含む)またはジオールおよびトリオールと反応したポリエチレンテレフタレートの消化生成物が挙げられる。上記末端ヒドロキシ化化合物は、さらには、ジオールおよび/またはエポキシドと反応したポリラクトンであり得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリカプロラクトンを実質的に含まないし、含まない。実質的に含まないは、上記末端ヒドロキシ化化合物が、10重量%未満の問題の化合物、または5%未満、1%またはさらには0.5重量%の問題の化合物を含むことを意味する。このような実施形態において、本発明のエラストマーは、ポリエーテルポリオール由来軟質ブロックを含み、ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリカプロラクトンに由来する軟質ブロックを実質的に含まないし、含まない。
【0030】
いくつかの実施形態において、本発明のエラストマーの軟質セグメントはまた、末端アミン化化合物(例えば、末端アミン化ポリエーテルポリオール)に由来し得る。このような化合物は、上記末端ヒドロキシ化化合物の誘導体であると考えられる。いくつかの実施形態において、このような末端アミン化化合物は、上記の他の末端ヒドロキシ化化合物の代わりに、または上記の他の末端ヒドロキシ化化合物と組み合わせて使用され得る。他の実施形態において、本発明のエラストマーの上記軟質セグメントは、これら末端アミン化化合物に由来する単位を実質的に含まないし、含まない。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、2000以下、1000、650の数平均分子量(Mn)を有するポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むか、または代わりに、500〜2000、500〜1500、もしくは650〜1000のMnを有し得る。いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、この材料が上記末端ヒドロキシ化成分のうちの少なくとも30%、50%、80%、90%またはさらに95%を占めるように、十分なポリテトラメチレンエーテルグリコールをさらに含み得る。他の実施形態において、上記必要に応じたポリオール成分は、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールであり、いかなる他のポリオールをも実質的に含まなくてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記末端ヒドロキシ化化合物は、一般式 HO−(RO)−Hのポリエーテルジオールを含み、ここでRは1〜20個の炭素原子を含み、nが1〜50またはさらに1〜10の整数であるヒドロカルビル基である。いくつかの実施形態において、Rは、2または4〜6または8個の炭素原子を含む。
【0033】
(鎖伸長剤(chain extender))
いくつかの実施形態において、上記に記載される重合のうちのいずれかは、(iv)鎖伸長剤をさらに含み得、上記鎖伸長剤は、上記ポリオール成分の一部として含められてもよいし、別個の成分として処理されてもよい。適切な鎖伸長剤としては、グリコールが挙げられ、脂肪族、芳香族またはこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、上記鎖伸長剤が、2〜約12個の炭素原子を有するグリコールである。
【0034】
いくつかの実施形態において、上記グリコール鎖伸長剤は、約2〜約10個の炭素原子を有する低級脂肪族または短鎖グリコールであり、例えば:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記鎖伸長剤は、1,4−ブタンジオールを含む。
【0035】
芳香族グリコールはまた、上記鎖伸長剤として使用されて、上記TPU(ベンゼングリコールおよびキシレングリコール(キシリレングリコールとしても公知)が挙げられる)を作製し得る。キシレングリコールは、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンおよび1,2−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンの混合物である。ベンゼングリコールは、具体的には、ヒドロキノン、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとしても公知);レゾルシノール、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(1,3−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンとしても公知);カテコール、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(1,2−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとしても公知);およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
2種以上のグリコールの混合物は、上記鎖伸長剤として使用され得る。いくつかの実施形態において、上記鎖伸長剤は、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールの混合物である。他の実施形態において、上記列挙された鎖伸長剤のうちの1種以上は、本発明から排除されてもよい。
【0037】
ジアミンはまた、当該分野で周知であるように、鎖伸長剤として使用され得る。本発明の一実施形態において、上記鎖伸長剤は、上記鎖伸長剤のうちの1種以上との組み合わせにおいて、共鎖伸長剤(co−chain extender)としてジアミンを含む。他の実施形態において、本発明は、その組成物の調製においていかなるジアミンをも使用しない。
【0038】
この必要に応じた鎖伸長剤が存在する場合、それは、任意の時点で他の材料に添加され得るが、いくつかの実施形態においては、上記重合プロセスの間に、上記鎖伸長剤は、成分(i)および(ii)を合わせた後に、上記反応混合物に添加される。上記鎖伸長剤は、成分(iii)の添加前に、成分(iii)の添加後に、または同時の添加もしくはさらに上記鎖伸長剤を上記成分と混合しながら、さらには成分(iii)と同時に添加され得る。
【0039】
(さらなる添加剤)
本発明の組成物は、さらなる有用な添加剤をさらに含み得る。ここでこのような添加剤は、適切な量で利用され得る。これら必要に応じたさらなる添加剤としては、不透明化顔料、着色剤、ミネラルおよび/または不活性希釈剤、安定剤(光安定剤を含む)、潤滑剤、UV安定剤(UV吸収剤を含む)、加工処理補助物質、抗酸化剤、抗オゾン化剤(anti−ozonate)、および他の添加剤(所望される場合)が挙げられる。有用なさらなる添加剤としてはまた、ナノ粒子、ナノチューブ、衝撃改変剤、難燃剤、導電性ポリマー、静電気拡散材(static dissipative material)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
適切な不透明化顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびチタネートイエロー(titanate yellow)が挙げられる。適切な染色顔料としては、カーボンブラック、イエローオキシド(yellow oxide)、ブラウンオキシド(brown oxide)、ローシェンナおよびバーントシェンナ、またはローアンバーおよびバーントアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料、および他の混合された金属酸化物、ならびに有機顔料が挙げられる。適切な充填剤としては、珪藻土(superfloss)クレイ、シリカ、タルク、マイカ、珪灰石(wallostonite)、硫酸バリウム、および炭酸カルシウムが挙げられる。所望であれば、安定剤(例えば、抗酸化剤)が使用され得、フェノール系抗酸化剤が挙げられるが、有用な光安定剤としては、有機ホスフェート、および有機スズチオレート(メルカプチド)が挙げられる。適切な潤滑剤としては、金属ステアレート、パラフィン油およびアミドワックスが挙げられる。適切なUV吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシフェノール)ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。添加剤はまた、上記TPUポリマーの加水分解安定性を改善するために使用され得る。上記のこれらの必要に応じたさらなる添加剤の各々は、本発明の組成物中に存在してもよいし、本発明の組成物から排除されてもよい。
【0041】
存在する場合、これらさらなる添加剤は、上記組成物のうちの0重量%または0.01〜5重量%または2重量%で、本発明の組成物に存在し得る。これら範囲は、上記組成物に存在する各さらなる添加剤に対して、または存在するすべてのさらなる添加剤の合計に対して別個に適用され得る。
【0042】
(プロセス)
本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、末端ラクタム化ジイソシアネート;ポリエーテルジオール;および必要に応じてラクタムモノマーを重合させることによって得られ得る。ここで各成分は、上記に記載される。この重合は、金属含有触媒(例えば、金属含有カプロラクタメート触媒)の存在下で行われ得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、上記重合は、末端ラクタム化ジイソシアネート;およびポリエーテルジオールをまず重合させることによって行われる。次いで、得られた中間体は、必要に応じて、ラクタムモノマーとさらに重合され得る。
【0044】
他の実施形態において、上記重合は、末端ラクタム化ジイソシアネート;および上記必要に応じたラクタムモノマーをまず重合させることによって行われる。次いで、得られた中間体は、ポリエーテルジオールとさらに重合され得る。
【0045】
なお他の実施形態において、上記重合は、3種すべての成分を一度に同時に重合させることによって行われ得るが、複数工程反応プロセス(具体的には、末端ラクタム化ジイソシアネートとポリエーテルジオールとを、必要に応じて、触媒の存在下で反応させ、次いで、得られた中間体と、ラクタムモノマーとをさらに反応させる工程)はまた、必要に応じて、触媒の存在下で、最良の結果を提供すると考えられる。特に、このような組成物は、一般に、優れた結晶性特性を提供する。
【0046】
上記実施形態のうちのいずれかにおいて、上記必要とされる重合は、触媒の存在下で行われ得る。適切な触媒としては、アルカリ触媒、ルイス酸触媒、ならびに当業者に公知の他の触媒が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記重合の間に使用される触媒は、アルカリ触媒および/または金属含有カプロラクタメート触媒である。いくつかの実施形態において、上記使用される触媒としては、ナトリウムカプロラクタメート(カプロラクタムナトリウムとしても公知)、カリウムカプロラクタメート(カプロラクタムカリウムとしても公知)、マグネシウムカプロラクタメート(カプロラクタムマグネシウムとしても公知)、またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記触媒は、カプロラクタムナトリウムを含む。
【0047】
触媒が使用される場合、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーを作製するためのプロセスは、触媒不活性化因子の添加をさらに含み得る。このような添加の後、上記プロセスは、次いで、任意の残留触媒および/または触媒不活性化因子を得られた材料から除去するための1つ以上の工程を含み得る。従来の触媒不活性化因子、ならびにこのような材料を添加および除去するための方法は、本発明の材料およびプロセスと適合する。
【0048】
上記の重合は、内部混合装置(連続加工処理内部混合装置が挙げられる)の中で行われ得る。例としては、反応押し出し成形機および類似の装置が挙げられる。本発明のプロセスにおいて使用される装置は、バッチ装置、連続装置、またはこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、本発明のプロセスは、少なくとも部分的に連続しており、他の実施形態において、上記プロセスは、完全に連続している。上記プロセスはまた、上記の材料を生成するために、1個以上の押し出し成形機(直列または並列のいずれかにおいて)の使用を含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の材料は、1個以上のツインスクリュー押し出し成形機において調製される。適切なツインスクリュー押し出し成形機は、同時回転ツインスクリュー押し出し成形機ならびに一連のこのような押し出し成形機を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明のプロセス(ここで、ラクタムモノマーが反応成分として存在する)は、いかなる残留ラクタムモノマーをも、得られたコポリエーテルアミドエラストマー組成物から除去する工程をさらに包含する。さらに、上記プロセスは、存在し得るいかなる揮発性成分(それが、ラクタムモノマー、溶媒もしくは類似の一時的な成分、または上記反応および/もしくはその後の加工処理の間に上記組成物に存在するいくつかの他の材料であろうとなかろうと)をも除去する工程を包含し得る。このような工程は、薄層フィルムエバポレーション、流下薄膜エバポレーション、塗布フィルムエバポレーション、またはこれらの組み合わせを使用して、除去を達成し得る。さらに、任意の実質的に類似の加工処理装置および工程は、上記除去工程のために使用され得る。
【0051】
上記のように、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、1種以上の性能付加剤(performance additive)を含み得る。これら添加剤は、存在する場合、上記重合の前、間および/または後に添加され得、上記コポリエーテルアミドエラストマーおよび上記性能付加剤のうちの1種以上を含む組成物を生じる。
【0052】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび上記ポリエーテルジオールを第1の内部ミキサーの中に供給することによって調製され得る。上記必要に応じた鎖伸長剤は、上記第1のミキサーへ添加され得、さらには、上記ポリエーテルジオールと予め混合され得る。他の実施形態において、上記ポリエーテルジオール、必要に応じた鎖伸長剤および末端ラクタム化ジイソシアネートは、上記第1の内部ミキサーに入れる前に予め混合され得る。上記必要に応じた触媒はまた、上記第1の内部ミキサーに添加され得る。上記第1の内部ミキサーを出る得られた材料は、第2の内部ミキサーの中に供給され得る。ラクタムモノマーは、別個の反応成分として存在する場合、上記第2の内部ミキサーに添加され得る。さらに、上記必要に応じた触媒は、上記第1の内部ミキサーへのその添加の代わりに、またはそれに加えて、上記第2の内部ミキサーに添加され得る。いくつかの実施形態において、上記ラクタムモノマーは、上記第1の内部ミキサーに添加され得る。このような実施形態において、上記ラクタムモノマーは、別個に添加され得るか、または上記他の反応物(上記第1の内部ミキサーに入る前の上記反応物のうちのすべてのプレミックスを含む)のうちの1種以上と予め混合され得る。性能付加剤は、液体および/または粉末の形態において、上記第1および/または第2の内部ミキサーに添加され得、いくつかの実施形態において、上記第2の内部ミキサーに添加され得、代表的には、押し出し成形機の場合に上記スクリューをさらに下げ得る。減圧は、上記第2の内部ミキサーの出口付近に適用されて、揮発性成分を除去し得、上記の他の工程は、同様に含まれ得る。上記第2の内部ミキサーを出た、得られたコポリエーテルアミドエラストマーは、水浴を介して送られ得、そして/またはサイズ縮小デバイス(例えば、ストランドカッターもしくは水中ペレタイザー)を通過させられ得る。上記第1の内部ミキサーは、70〜200℃、70〜140℃、または150℃またはさらに70〜120℃で作動し得る。上記第2の内部ミキサーは、70〜250℃または100〜200℃で作動し得る。上記反応物は、周囲温度で添加され得るが、代表的には、高温で添加される。上記第1および第2の内部ミキサーはまた、各々複数の内部ミキサーから構成されてもよいし、他の実施形態において、単一の大きな内部ミキサーの異なるセグメントであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、本発明のコポリエーテルアミドエラストマーは、上記末端ラクタム化ジイソシアネートおよび上記ラクタムモノマーを第1の内部ミキサーの中に供給することによって、調製され得る。上記必要に応じた鎖伸長剤は、上記第1の内部ミキサーに添加され得、さらには、上記ラクタムモノマーと予め混合され得る。他の実施形態において、上記ラクタムモノマー、必要に応じた鎖伸長剤および末端ラクタム化ジイソシアネートは、上記第1の内部ミキサーに入る前に予め混合され得る。上記必要に応じた触媒はまた、上記第1の内部ミキサーに添加され得る。上記第1の内部ミキサーを出る得られた材料は、第2の内部ミキサーの中に供給され得る。上記ポリエーテルジオールは、上記第2の内部ミキサーに添加され得る。さらに、上記必要に応じた触媒は、上記第2の内部ミキサーに、上記第1の内部ミキサーへのその添加の代わりに、もしくはその添加に加えて、添加され得る。いくつかの実施形態において、上記ポリエーテルジオールは、上記第1の内部ミキサーに添加され得る。このような実施形態において、上記ポリエーテルジオールは、別個に添加されてもよいし、上記他の反応物(上記第1の内部ミキサーに入る前の上記反応物のうちのすべてのプレミックスを含む)のうちの1種以上と予め混合されてもよい。性能付加剤は、液体および/または粉末の形態において、上記第1および/または第2の内部ミキサーに添加され得、いくつかの実施形態においては、上記第2の内部ミキサーに添加され得、代表的には、押し出し成形機の場合には、上記スクリューをさらに下げ得る。減圧は、上記第2の内部ミキサーの出口付近に適用されて、揮発性成分を除去し得、上記の他の工程は、同様に含まれ得る。上記第2の内部ミキサーを出る得られたコポリエーテルアミドエラストマーは、水浴を介して送られ得、また、サイズ縮小デバイス(ストランドカッターまたは水中ペレタイザーが挙げられる)を通過させられ得る。上記第1の内部ミキサーは、70〜200℃、70〜150℃またはさらに70〜120℃で作動し得る。上記第2の内部ミキサーは、70〜250℃または100〜200℃で作動し得る。上記反応物は、周囲温度で添加され得るが、代表的には、高温で添加される。上記第1および第2の内部ミキサーはまた、各々、複数の内部ミキサーから構成されてもよいし、他の実施形態においては、単一の大きな内部ミキサーの異なるセグメントであってもよい。
【0054】
本明細書に記載されるコポリエーテルアミドエラストマーは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート、(ii)ラクタムモノマー、および(iii)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させることによって調製され得る。上記重合は、内部混合装置の中で起こり得、上記成分の量は、上記重合において使用される上記末端ラクタム化ジイソシアネートに対する上記末端ヒドロキシ化化合物のモル比が、0.50〜0.95、または0.70〜0.90、または0.70〜0.80、または0.75〜0.80、またはさらに約0.75であるように設定され得る。
【0055】
本明細書に記載されるコポリエーテルアミドエラストマーは、成形されたポリマー物品の調製において使用され得る。本明細書に記載されるコポリエーテルアミドエラストマーの特定のタイプの物品は、有用であり、過度に限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記ポリオール成分 対 上記末端ラクタム化ジイソシアネートのモル比は、0.65:1〜0.85:1、またはさらに0.70:1〜0.80である。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、上記ポリオール成分は、ときおり、本明細書において末端ヒドロキシ化化合物といわれ、500〜3000、または600、650、もしくは750から最大2000まで、1500、またはさらに1000の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール)を含む。これら実施形態のうちのいくつかにおいて、上記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)およびラクタムモノマー(例えば、カプロラクタム)の反応生成物を含み、上記反応生成物は、HDI−BisCapro、またはHBCといわれ得る。これら実施形態のうちのいずれかにおいて、上記硬質セグメント%(上記コポリマーの調製において使用されるラクタムモノマーの重量をはかり、上記重量を、上記調合において使用されるラクタムモノマー、ポリオール成分および末端ラクタム化ジイソシアネートの合わされた合計重量で除算し、次いで、その数字に100をかけ算して、パーセンテージ値を得ることによって計算されるパーセンテージ)は、20%より大きい、25%より大きい、少なくとも30%、少なくとも40%。最大60%またはさらに50%であり得る。いくつかの実施形態において、上記硬質セグメント%は、約30%、約50%、または約30%〜約50%である。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記ポリオール成分は、2種以上のポリオールのブレンドであり得る。例えば、上記ポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールおよび別のポリエーテルジオールのブレンドであり得る。いくつかの実施形態において、上記ポリオール成分は、少なくとも70重量%のポリテトラメチレンエーテルグリコール、またはさらに少なくとも75%または80%のポリテトラメチレンエーテルグリコールである。上に記載される上記ポリオール成分 対 上記末端ラクタム化ジイソシアネートのモル比のうちのいずれかは、ここでも同様に適用され得る。
【0058】
上記の材料のうちのいくつかは、最終調合物中で相互作用し得、その結果、上記最終調合物の成分は、最初に添加されるものとは異なり得ることが公知である。例えば、金属イオン(例えば、界面活性剤の金属イオン)は、他の分子の他の酸性部位またはアニオン性部位に移動し得る。それによって形成された生成物(その意図された使用において本発明の組成物を使用する際に形成される生成物を含む)は、容易な記載が可能ではない可能性がある。にもかかわらず、すべてのこのような改変および反応生成物は、本発明の範囲内に含まれる;本発明は、上記の成分を混合することによって調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0059】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。実施例は、特に有利な実施形態を示す。実施例は、本発明を例示するために提供されるが、本発明を限定するとは解釈されない。
【0060】
(実施例セット1)
実施例のセットは、実験室においてバッチプロセスを使用して準備される。
【0061】
(実施例1−1)
コポリエーテルアミドエラストマーを、2工程で調製する。第1の工程の間に、軟質セグメントを、内部混合装置の中で、末端ラクタム化ジイソシアネート(これ自体は、25.27mmolのヘキサメチレンジイソシアネートおよび54.33mmolのカプロラクタムモノマーを反応させることによって調製される)と、22.62mmolのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG 2000)とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(0.31mmol)の存在下で反応させることによって調製する。ここで上記反応を、90〜95℃で行う。第2の工程において、上記硬質セグメントを、ラクタムモノマーを添加して、上記第1の工程の軟質セグメントと反応させることによって、形成する。上記第2の工程について、上記反応温度を150℃に上げ、209.17mmolの溶融カプロラクタムを、さらなるナトリウムカプロラクタメート触媒(2.79mmol)の添加とともに、上記第1の工程の軟質セグメントに添加する。得られた材料を、分析のために圧縮成形する。
【0062】
(実施例1−2)
コポリエーテルアミドエラストマーを、2工程で調製する。第1の工程の間に、軟質セグメントを、内部混合装置の中で、末端ラクタム化ジイソシアネート(それ自体は、23.72mmolのヘキサメチレンジイソシアネートおよび50.29mmolのカプロラクタムモノマーを反応させることによって調製される)と、22.53mmolのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG 2000)とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(0.32mmol)の存在下で反応させることによって調製する。ここで上記反応は、90〜95℃において行われる。第2の工程において、上記硬質セグメントを、ラクタムモノマーを添加して、上記第1の工程の軟質セグメントと反応させることによって、形成する。上記第2の工程について、上記反応温度を150℃へと上げ、259.04mmolの溶融カプロラクタムを、さらなるナトリウムカプロラクタメート触媒(3.45mmol)とともに添加する。得られた材料を、分析のために圧縮成形する。
【0063】
(実施例1−3)
コポリエーテルアミドエラストマーを、2工程で調製する。第1の工程の間に、軟質セグメントを、内部混合装置の中で、末端ラクタム化ジイソシアネート(それ自体は、35.44mmolのヘキサメチレンジイソシアネートおよび76.20mmolのカプロラクタムモノマーを反応させることによって調製される)と、32.61mmolのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG 2000)とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(0.47mmol)の存在下で反応させることによって調製する。ここで上記反応を、90〜95℃において行う。第2の工程において、上記硬質セグメントを、ラクタムモノマーを添加して、上記第1の工程の軟質セグメントと反応させることによって、形成する。上記第2の工程については、上記反応温度を150℃へ上げ、233.63mmolの溶融カプロラクタムを、さらなるナトリウムカプロラクタメート触媒(3.mmol)とともに添加する。得られた材料を、分析のために圧縮成形する。
【0064】
(実施例1−4)
コポリエーテルアミドエラストマーを、2工程で調製する。第1の工程の間に、軟質セグメントを、内部混合装置の中で、末端ラクタム化ジイソシアネート(それ自体は、32.40mmolのヘキサメチレンジイソシアネートおよび69.66mmolのカプロラクタムモノマーを反応させることによって調製される)と、29.81mmolのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG 1000)とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(0.43mmol)の存在下で反応させることによって調製する。ここで上記反応を、90〜95℃において行う。第2の工程において、上記硬質セグメントを、ラクタムモノマーを添加して、上記第1の工程の軟質セグメントと反応させることによって、形成する。上記第2の工程については、上記反応温度を150℃へ上げ、161.53mmolの溶融カプロラクタムを、さらなるナトリウムカプロラクタメート触媒(2.15mmol)とともに添加する。得られた材料を、分析のために圧縮成形する。
【0065】
(実施例1−5)
コポリエーテルアミドエラストマーを、2工程で調製する。第1の工程の間に、軟質セグメントを、内部混合装置の中で、末端ラクタム化ジイソシアネート(それ自体は、29.31mmolのヘキサメチレンジイソシアネートおよび63.02mmolのカプロラクタムモノマーを反応させることによって調製される)と、26.97mmolのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG 1000)とを、ナトリウムカプロラクタメート触媒(0.39mmol)の存在下で反応させることによって調製する。ここで上記反応を、90〜95℃において行う。第2の工程において、上記硬質セグメントを、ラクタムモノマーを添加して、上記第1の工程の軟質セグメントと反応させることによって、形成する。上記第2の工程については、上記反応温度を150℃へ上げ、227.09mmolの溶融カプロラクタムを、さらなるナトリウムカプロラクタメート触媒(3.03mmol)とともに添加する。得られた材料を、分析のために圧縮成形する。
【0066】
(実施例セット2)
実施例のセットを、実験室スケールのBrabender、内部混合デバイスを使用して調製して、上記実施例を準備した。各実施例を、中間反応生成物(それ自体は、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびカプロラクタムから調製される)で開始することによって調製する。この反応生成物を、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス(2−オキソアゼパン−1−カルボキサミド)と称してもよく、HDI−BisCapro、または本明細書ではHBCといわれる。同じHBC材料を、このセットにおける実施例の各々の調製において使用する。
【0067】
各実施例において、上記ポリオール成分(このセットにおいては、PTMG 1000)、約1000の分子量を有する市販のポリ(テトラメチレンオキシド)、および溶融HBCを、Brabenderチャンバに添加し、続いて、100℃において触媒の最初の1回分を添加した。回転速度を、100rpmに設定した。温度が140℃に達したら、溶融カプロラクタムを添加し、第2の1回分の触媒を注入する。上記プロセスにおいて両時点で添加される触媒は、同じ物質であり、ナトリウムカプロラクタメート触媒である。上記機械におけるトルクレベルがいったん安定に達し、温度が170〜180℃に達したら、上記機械を停止し、得られた材料を取り出し、サンプル採取する。融点(T)を、温度範囲−100℃〜250℃で、10℃/分の加熱および冷却速度において、示差走査熱量計(DSC)によって決定した。ガラス転移温度(T)を、周波数1Hzおよびひずみ0.1%でねじりモードの下で動的機械分析(DMA)によって決定した。上記温度範囲は、2℃/工程において−100℃〜250℃であった。上記実施例の多くをまた、溶融された小板(plaque)へと各々圧縮して、上記組成物の相分離(PS)について調べた。評価「PSなし」は、上記小板が、均質かつ機械的に強いと思われた(すなわち、良好な弾性特性を示す)ことを示し、評価「PS」は、上記小板が相分離の徴候を示した(例えば、不透明から白色の外見および/または弱い機械的特性を示す(すなわち、非常に剛性またはプラストマー様(plastomeric)になる))ことを示す。評価「わずかにPS」は、相分離のいくらか小さなレベルが観察されたことを示す。すべてのエラストマー材料がミクロ相分離されると考えられることに注意する。これら観察は、上記実施例の上記エラストマー特性を阻害するマクロ相分離に関する。さらに、各実施例について、硬質セグメント重量%が提供される(HS%)。この値は、上記調合物において使用されるカプロラクタムの重量を量り、これを、上記調合物において使用されるカプロラクタム、ポリオール成分およびHBCの合わされた合計重量で除算し、次いで、その数字に100をかけ算して、パーセンテージ値を与えることによって、計算される。このセットにおける実施例の調合物は、各実施例から得られた結果とともに、以下の表にまとめられる。
【0068】
【表1】

上記結果は、上記硬質セグメント結晶性が、ポリオール成分 対 HBCの比に依存することを示す。より高い結晶性は、特定の比が使用される場合に達成され得る。
【0069】
(実施例セット3)
実施例のセットを準備し、上記の実施例セット2に記載される同じ装置、手順および試験法を使用して試験する。しかし、この実施例セットにおいて、異なるポリオール成分を使用する。これら実施例は、PTMG 650(約650の分子量を有する市販のポリ(テトラメチレンオキシド))を使用し、上記硬質セグメント含有量(得られたコポリマーのセグメントは、HBC−ポリオール成分反応生成物と反応させられるカプロラクタムに由来する)を変動させる実施例、および上記ポリオール成分 対 上記HBCの比を変動させる実施例を含む。このセットにおける実施例の調合物を、各実施例から得られた結果とともに、以下の表にまとめる。
【0070】
【表2】

上記結果は、上記硬質セグメント結晶性がポリオール成分 対 HBCの比に依存することを示す。より高い結晶性は、特定の比率が使用される場合に達成され得、その上記硬質セグメント含有量はまた、結晶性に影響を及ぼす。
【0071】
(実施例セット4)
実施例のセットを準備し、上記の実施例セット2に記載される同じ装置、手順および試験法を使用して試験する。しかし、この実施例セットにおいて、異なるポリオール成分を使用する。これら実施例は、PTMG 1000(上記のとおり)およびPOLY G(登録商標) 55−112(約1000の分子量を有する市販のポリエーテルジオール)の混合物であるポリオールブレンドを使用する。このセットにおける実施例は、同じ硬質セグメント含有量およびポリオール 対 HBC成分を維持するが、上記ポリオール成分中の2つのポリオールのミックスを変動させる。このセットにおける実施例の調合物を、各実施例から得られた結果とともに、以下の表にまとめる。
【0072】
【表3】

上記結果は、上記ポリオール成分の化学的正体(chemical identity)が、得られたブロックコポリマーの結晶化に対して影響を有し得ることを示す。
【0073】
(実施例セット5)
実施例のセットを準備し、上記の実施例セット2に記載される同じ装置、手順および試験法を使用して試験する。しかし、この実施例セットにおいて、異なるポリオール成分を使用する。これら実施例は、PTMG 1000(上記のとおり)および鎖伸長剤ジオール(これら実施例においては、1,4−ブタンジオール(BDO)または1,6−ヘキサンジオール(HDO)のいずれか)の混合物であるポリオールブレンドを使用する。このセットにおける実施例は、同じ硬質セグメント含有量を維持するが、ポリオール 対 HBC成分の比率と特定のポリオール成分を変動させるいくつかの実施例を含む。このセットにおける実施例の調合物を、各実施例から得られた結果とともに、以下の表にまとめる。
【0074】
【表4】

上記結果は、鎖伸長剤ジオール(例えば、HDOまたはBDO)の使用が、得られたブロックコポリマーの結晶性に対して影響を有し得ることを示す。
【0075】
(実施例セット6)
比較例のセットを準備し、上記の実施例セット2に記載される同じ装置、手順および試験法を使用して試験するが、実施例6−Aおよび6−Bにおいては、反応を一工程において行う。すなわち、上記HBCおよびポリオール成分を、第1の触媒投入量とともに反応させ、次いで、この第1の反応工程の後に、上記カプロラクタムおよび上記第2の触媒投入量を第2の反応工程のために添加するのとは対照的に、上記成分のすべてを、上記Brabenderに一度に添加する。これら実施例において、上記ポリオール、HBC、カプロラクタム、および1回の触媒投入量を、Brabenderに、140℃の温度において添加する。回転速度を100rpmに設定した。上記機械におけるトルクレベルがいったん安定に達し、温度が170〜180℃に達したら、上記機械を停止し、得られた材料を取り出し、サンプル採取する。実施例6−Aは、そのポリオール成分としてPTMG 1000を使用する一方で、実施例6−Bは、PEG 1450(約1450の分子量を有する市販のポリエチレングリコール)を使用する。このセットにおける実施例の調合物を、各実施例から得られた結果とともに、以下の表にまとめる。
【0076】
【表5】

上記結果は、これら比較例が、得られたブロックコポリマーにおける同じ有益な特性を提供せず、より基本的には、使用できるブロックコポリマーを生成するにおいて成功すらしないことを示す。上記Brabenderにおける1工程プロセスによって行われた上記実施例は、上記DSC冷却サイクルの間にいかなる結晶化ピークをも示さない。さらに、ひどい相分離が、これら実施例において観察された。
【0077】
上記に言及される文書の各々は、本明細書に参考として援用される。実施例または他の明示的に示されている箇所を除いて、材料、反応条件、分子量、炭素原子数などの量を特定するこの説明におけるすべての数量は、語句「約」によって修飾されると理解されるべきである。別段示されなければ、すべての%値、ppm値および部の値は、重量ベースである。別段示されなければ、本明細書で言及される各化学物質または組成物は、商業的グレードの材料であると解釈されるべきである。上記材料は、異性体、副生成物、誘導体および他のこのような物質を含み得、これらは、上記商業的グレードに存在すると通常は理解される。本明細書に示される上限および下限の、量、範囲、および比率の限定は、独立して組み合わされ得ることが理解されるべきである。同様に、本発明の各要素についての上記範囲および量は、他の要素のうちのいずれかについての範囲または量と一緒に使用され得る。本明細書で使用される場合、表現「〜から本質的になる」とは、考慮中の組成物の基本的および新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない物質の包含を許容する。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、組成物が、上記材料の10%未満、5%、1%、0.1%またはさらに0.01重量%を含むことを意味する。上記用語はまた、記載される材料がいずれも、意図的に存在しないが、不純物および/または副生成物として他の材料におけるその存在に起因して、少量または微量で存在し得ることを意味し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーであって、該コポリエーテルアミドエラストマーは、
(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来するポリアミド硬質ブロックの1個以上のセグメント;ならびに
(b)少なくとも1個の末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体に由来する軟質ブロックの1個以上のセグメント;
を含み、ここで該エラストマーの調製において使用される該末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、コポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項2】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項3】
前記エラストマーの調製において使用される前記末端ヒドロキシ化化合物は、2000以下の数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む、請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項4】
前記末端ヒドロキシ化化合物は、少なくとも30重量%のポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項3に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項5】
前記エラストマーは、(i)末端ラクタム化ジイソシアネート、(ii)ラクタムモノマー、および(iii)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させることによって調製され;
ここで該重合は、内部混合装置の中で起こり;そして
ここで該重合において使用される該末端ラクタム化ジイソシアネートに対する該末端ヒドロキシ化化合物のモル比は、0.50〜0.95である、
請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項6】
前記エラストマーは、
(A)前記末端ラクタム化ジイソシアネート;および
(B)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンまたはこれらの組み合わせを含む前記末端ヒドロキシ化化合物であって、ここで該末端ヒドロキシ化化合物は、200〜10,000の数平均分子量(Mn)を有する、末端ヒドロキシ化化合物;
を重合させることによって得られ、
ここで該重合は、必要に応じて、触媒の存在下で行われ;そしてここで得られた中間体は、
(C)前記ラクタムモノマーと;必要に応じて、金属含有カプロラクタメート触媒の存在下で
さらに重合される、
請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項7】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、カプロラクタム、ラウロラクタム、またはこれらの組み合わせで末端化されたアルキレンジイソシアネートを含む、請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項8】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート;3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;1,4−シクロヘキシルジイソシアネート;デカン−1,10−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート;またはこれらの組み合わせに由来する、請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項9】
前記末端ヒドロキシ化化合物は、一般式HO−(RO)−Hのポリエーテルジオールを含み、ここでRは、1〜20個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、nは、1〜50の整数である、請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項10】
前記ポリエーテルジオールは、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含み、必要に応じて、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール、該ジオールのうちの2種以上のコポリマー、またはこれらの組み合わせをさらに含み得る、請求項6に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項11】
前記重合は、鎖伸長剤をさらに含む、請求項6に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項12】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、末端カプロラクタム化ヘキサメチレンジイソシアネート、末端カプロラクタム化ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、末端カプロラクタム化トルエンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせを含み;
ここで前記ラクタムモノマーは、カプロラクタム、ラウロラクタムまたはこれらの組み合わせを含み;そして
ここで前記末端ヒドロキシ化化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含む、
請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマー。
【請求項13】
請求項1に記載のコポリエーテルアミドエラストマーおよび1種以上の性能付加剤をさらに含む組成物であって、
ここで該性能付加剤は、不透明化顔料、着色剤、ミネラル充填剤および/または不活性充填剤、安定剤(光安定剤を含む)、潤滑剤、UV安定剤、加工処理補助物質、抗酸化剤、抗オゾン化剤、ナノ粒子、ナノチューブ、衝撃改変剤、難燃剤、導電性ポリマー、静電気拡散材、およびこれらの組み合わせを含む、組成物。
【請求項14】
溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーを調製するためのプロセスであって、該プロセスは、
I.(A)末端ラクタム化ジイソシアネート、(B)ラクタムモノマー、および(C)末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体を、必要に応じて、触媒の存在下で重合させる工程;
を包含し、
ここで該重合は、内部混合装置の中で起こり;
ここで該エラストマーの調製において使用される末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、
プロセス。
【請求項15】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記重合は、
I.(A)前記末端ラクタム化ジイソシアネート;および(B)前記末端ヒドロキシ化化合物を重合させる工程であって、ここで該重合は、必要に応じて触媒の存在下にある工程;ならびに
II.得られた中間体を、(C)前記ラクタムモノマーと;必要に応じて、金属含有カプロラクタメート触媒の存在下でさらに重合させる工程、
を包含する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記内部混合装置は、1つ以上の押し出し成形機を含み;そして
前記プロセスは、必要に応じて、前記得られたコポリエーテルアミドエラストマー組成物からいかなる残留ラクタムモノマーをも除去する工程をさらに包含する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記内部混合装置は、1個以上のツインスクリュー押し出し成形機を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
溶融加工処理可能なコポリエーテルアミドエラストマーを含む成形されたポリマー物品であって、該物品は、
(a)末端ラクタム化ジイソシアネートおよびラクタムモノマーに由来するポリアミド硬質ブロックの1個以上のセグメント;ならびに
(b)少なくとも1つの末端ヒドロキシ化化合物および/またはその誘導体に由来する軟質ブロックの1個以上のセグメント;
を含み、ここで該エラストマーの調製において使用される末端ラクタム化ジイソシアネートは、5重量%未満の残留ラクタムモノマーを含む、物品。
【請求項20】
前記末端ラクタム化ジイソシアネートは、ラクタムモノマー、およびいかなるジフェニル含有ジイソシアネートをも実質的に含まないジイソシアネートに由来し、ここで該ジフェニル含有ジイソシアネートの両方のフェニル環は、パラ置換されているのみである、請求項19に記載の物品。

【公表番号】特表2013−521373(P2013−521373A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556110(P2012−556110)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/026018
【国際公開番号】WO2011/109211
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】