説明

溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いたフィルム

【課題】真空成形等の伸張の際に白化せず、そして、成形性の高い溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物が、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(A)と、前記環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点が高く、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(B)と、を含む環状オレフィン系樹脂組成物と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)とを含むポリオレフィン系樹脂組成物であって、環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が40質量%から95質量%、前記環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(B)の含有量が5質量%から60質量%、前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより高いものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性の高い成形品を得るための溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品等の包装分野においては、カプセルや錠剤等の固形剤、粒状の食品等を包装するためにPTP(プレススルーパッケージ)包装が行われる。また、食品等の包装分野においては、食品等を包装するためにPTP包装によく似たブリスターパッケージもよく行われている。
【0003】
PTP包装とは、例えば、透明のシートを圧空成形、真空成形等によりカプセル等の固形剤を収納するポケット部を形成し、ポケット部にカプセル等を収納した後、例えばアルミ箔のように手で容易に引き裂いたり、容易に開封したりできる材質の箔やフィルムを積層して一体化した形態の包装をいう。PTP包装によれば、透明なシートのポケットに収納された固形剤や食品等を開封前に直接肉眼で確認でき、開封する際にはポケット部の固形剤等を指で押して箔等を押し破ることにより、内容物を取り出すことができる。
【0004】
ブリスターパッケージとは、シートを真空成形等して食品等の形態に応じた凹部(ポケット部)を形成し、この凹部(ポケット部)に食品等の内容物を収納した後、ヒートシール性コート紙やフィルム等で封をする形態の包装をいう。
【0005】
上記のような包装材料には、良好な常温での剛性、耐衝撃性、適度な防湿性、透明性が求められ、環状オレフィン系樹脂と、ポリエチレンとを含む環状オレフィン系樹脂組成物が使用可能である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−021756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、環状オレフィン系樹脂とポリエチレンとを含む環状オレフィン系樹脂組成物を用いると、真空成形の際に成形品が白化してしまったり、成形品の厚みが安定しなかったりするという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、真空成形等の伸張の際に白化せず、そして、成形性の高い溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、白化の原因が、環状オレフィン系樹脂のメルトテンションとポリエチレンのメルトテンションとの差により生じるヘイズであること、及び溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物のメルトテンションを、特定の環状オレフィン系樹脂のブレンドにより高め成形性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下のものを提供する。
【0010】
(1) 共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(A)と、前記環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点が高く、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(B)と、を含む環状オレフィン系樹脂組成物と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)とを含むポリオレフィン系樹脂組成物であって、前記環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が40質量%から95質量%であり、前記環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(B)の含有量が5質量%から60質量%であり、前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより1.15倍以上高い溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0011】
(2) 190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、30mN以上であり、190℃、2.16kg荷重における前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトフローレートが、0.1g/10分から1.5g/10分である(1)に記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0012】
(3) 190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションと、190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションとの差が、+10mNから+40mNである(1)又は(2)に記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0013】
(4) 前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)が、メタロセン触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンである(1)から(3)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0014】
(5) 190℃、巻取速度を15m/分にして測定した前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションが、20mNから40mNである(1)から(4)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0015】
(6) 前記環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移点が、80℃以下である(1)から(5)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0016】
(7) 前記環状オレフィン系樹脂組成物が、単一のガラス転移点を有する(1)から(6)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0017】
(8) 前記環状オレフィン系樹脂(A)及び/又は前記環状オレフィン系樹脂(B)は、ノルボルネンとエチレンとからなる共重合体である(1)から(7)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【0018】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる延伸フィルム。
【0019】
(10) 延伸速度10mm/秒から200mm/秒、MD方向の延伸倍率が1.1倍から5.0倍、TD方向の延伸倍率が1.0から5.0倍で延伸処理してなる(9)に記載の延伸フィルムの製造方法。
【0020】
(11) (1)から(8)のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなるシートを真空成形、圧空成形、又は真空圧空成形してなる成形体。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物が、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点が高く、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(B)と、を含む環状オレフィン系樹脂組成物と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)とを含むポリオレフィン系樹脂組成物であって、環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)とを特定の割合で含み、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより1.15倍以上高ければ、真空成形等の際の伸張時に白化することを防ぎ、高い透明性を持つ。また、成形体の厚みが安定し高品質な成形品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0023】
本発明の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン系樹脂組成物と、直鎖状低密度ポリエチレン(C)とを含む。本発明について、先ず、環状オレフィン系樹脂組成物、直鎖状低密度ポリエチレン(C)の順で説明する。
【0024】
<環状オレフィン系樹脂組成物>
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂組成物は環状オレフィン系樹脂(A)と、環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点の高い環状オレフィン系樹脂(B)と、を含む。
【0025】
[環状オレフィン系樹脂(A)]
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂(A)は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。
【0026】
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(A)としては、上記重合体に、さらに極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの、を含む。
【0027】
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
【0028】
本発明においては、環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物を好ましく用いることができる。
【0029】
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(A)としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂(A)としては、例えば、TOPAS(登録商標)(Topas Advanced Polymers社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
【0030】
本発明の組成物に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
【化1】

(式中、R1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、 R9とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
R9又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R5〜R8は、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0031】
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。粘度特性が向上するからである。
【0032】
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
【0033】
一般式(I)におけるR1〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
【0034】
R1〜R8の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0035】
また、R9〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
【0036】
R9とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
【0037】
R9又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
【0038】
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
【0039】
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を単独使用することが好ましい。
【0040】
環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移点は120℃以下であることが好ましく、より好ましくは30℃から80℃である。なお、ガラス転移点(Tg)は、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した値を採用する。120℃以下であれば、環状オレフィンに由来する繰り返し単位の含有量が少なくなるため、粘度特性が向上しやすい。なお、本発明では、後述する環状オレフィン系樹脂(B)を配合することで、環状オレフィンに由来する繰り返し単位の含有量の多い樹脂を用いても、メルトテンションを高めることができ、成形品の厚みを安定させることができる。メルトテンション改善の観点からは、環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移点が120℃以上であっても高いメルトテンション向上の効果を得ることができる。
【0041】
環状オレフィン系樹脂組成物中の環状オレフィン系樹脂(A)の含有量は、40質量%から95質量%である。より好ましくは、75質量%から95質量%である。ただし、上記範囲は、用いる環状オレフィン系樹脂によって多少変動する。本発明は、メルトテンションの低い環状オレフィン系樹脂(A)に対して、後述する環状オレフィン系樹脂(B)を配合することにより、メルトテンションを改善した環状オレフィン系樹脂(A)を主成分とする環状オレフィン系樹脂組成物を含む溶融押出用環状オレフィン系樹脂組成物を提供するものである。したがって、メルトテンションが改善され、成形時のドローレゾナンス、真空成形等の際の伸張時に生じる白化を抑えることができれば、環状オレフィン系樹脂(A)の含有量は多いほど好ましい。
【0042】
本発明は、シート延伸時の白化が生じる原因となりやすい環状オレフィン系樹脂を含む場合に好ましく適用することができる。環状オレフィン系樹脂(A)が、上記の問題が生じやすい40mN以下のメルトテンションを持つ場合であっても、後述する環状オレフィン系樹脂(B)をブレンドすることにより、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが高まり、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションとの差が大きくなることで、シート延伸時の白化を防ぐことができる。より具体的には、環状オレフィン系樹脂(A)のメルトテンションが5mNから35mNのように低い場合であっても、本発明では使用可能である。
【0043】
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
【0044】
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒を用いて製造されることが好ましい。
【0045】
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
【0046】
〔その他共重合成分〕
環状オレフィン系樹脂(A)は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
【0047】
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、特開2007−302722と同様のものを挙げることができる。
【0048】
[環状オレフィン系樹脂(B)]
環状オレフィン系樹脂(B)は、環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点が高いものであれば特に限定されない。環状オレフィン系樹脂(B)は、(A)成分と同様に環状オレフィン系モノマーを共重合成分として含むものであり、環状オレフィン系モノマーを主鎖に含むポリオレフィン系樹脂である。例えば、環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、環状オレフィンと非環式オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物等を挙げることができる。環状オレフィン成分、α−オレフィン成分等については全て環状オレフィン系樹脂(A)で説明したものと同じものを使用することができる。
【0049】
環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)とのガラス転移点の差は特に限定されないが、10℃から120℃であることが好ましく、より好ましくは30℃から80℃である。上記範囲内にあれば、後述するとおり、環状オレフィン系樹脂組成物が単一ガラス転移点を持ち、本発明の効果がより高まるからである。
【0050】
環状オレフィン系樹脂組成物中の環状オレフィン系樹脂(B)の含有量は、5質量%から60質量%である。より好ましくは、5質量%から25質量%である。環状オレフィン系樹脂(B)を添加することで、後述するとおり環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが向上し、本発明の溶融押出用環状オレフィン系樹脂組成物を用いたシート成形後の厚薄ムラを抑えることができる。そして、後述するとおり、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションと直鎖状低密度ポリエチレンのメルトテンションとの差が表れやすいので、真空成形等の際の伸張時に生じる白化を抑えやすくなる。上記環状オレフィン系樹脂(B)は、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションを高めるためのものであり、所望の効果が得られれば、より少ない配合量であることが好ましい。
【0051】
[環状オレフィン系樹脂組成物の物性]
後述する方法で測定した環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションは、30mN以上であることが好ましく、より好ましくは35mNから80mNである。メルトテンションが30mN以上であれば、シートの厚み安定、繊維の太さ安定等の効果が高く、極めて高い品質の成形品を得ることができる。また、メルトテンションが30mN以上であれば、後述する直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションと比較しても、大きな値となるため真空成形等の伸張時に生じる成形体の白化を抑えることができる。
【0052】
JIS K7210に準拠する方法で測定した190℃、2.16kg荷重における環状オレフィン系樹脂組成物のメルトフローレートは、0.1g/10分から1.5g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5g/10分から1.3g/10分である。0.1g/10分以上であれば、流動性が高く成形しやすいので好ましく、1.5g/10分を超えると押出成形が困難になり好ましくない。
【0053】
環状オレフィン系樹脂組成物は、複数のガラス転移点を有するものであってもよいが、単一のガラス転移点を持つものが好ましい。環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)との相溶性が高まることで、効果的にドローレゾナンスを抑えることができ、その結果、成形体の厚みや太さが安定する効果が高まり、高品質な成形体を得ることができる。
【0054】
ここで、単一のガラス転移点とは、DSC法(JIS K7121記載の方法)によって昇温速度10℃/分の条件で測定した場合にガラス転移点に相当するピークが一つしかないことをいう。
【0055】
<直鎖状低密度ポリエチレン(C)>
直鎖状低密度ポリエチレン(C)は、メルトテンションが上記環状オレフィン系樹脂組成物より低いものであれば特に限定されず従来公知のものを使用することができる。例えばメタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレン、チーグラー・ナッタ触媒を用いて合成された直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。本発明においては、メタロセン触媒を用いて重合された直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。環状オレフィン系樹脂との相溶性が高いからである。
【0056】
「環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより1.15倍以上高い」とは、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションの値とも関連するが、1.15倍以上であれば本発明の効果が得られる。また、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより1.15倍以上高く、環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションと直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションとの差が+10mNから+40mNであることが好ましい。上記範囲内であれば、伸張時に環状オレフィン系樹脂組成物と直鎖状低密度ポリエチレンとが同じように伸びるため、へイズの発生を抑えることができ、成形体の透明性低下を抑える効果が高いからである。より好ましくは、1.3倍から4.0倍、+10mNから+30mNである。
【0057】
直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションは、40mN以下であることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンのメルトテンションが上記範囲にあれば、メルトテンションを高めた環状オレフィン系樹脂組成物と組み合わせることでメルトテンションの差が表れやすく、上述のとおり厚みが安定する等成形性が向上するからである。より好ましくは、30mN以下である。ただし、メルトテンションが低すぎると厚み安定性や光沢が悪化してしまう可能性がある。このため、直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションは、10mN以上であることが好ましい。
【0058】
直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートは、0.5g/10分から10g/10分であることが好ましい。0.5g/10分未満の場合には、環状オレフィン系樹脂組成物との混練分散が悪くなり、均質なブレンドポリマーが得られず、表面状態の悪いシートになる傾向があるため好ましくない。また、10g/10分を超える場合には溶融粘性が低くなりすぎ、Tダイから吐出される溶融ポリマー皮膜の定常的流延が不能となり、一定厚み・一定幅皮膜の巻き取りが不能となり、又フィルム強度、その他フィルム物性が低下し規定値を達成できなくなる傾向にあるため好ましくない。
【0059】
<延伸フィルム>
本発明の延伸フィルムは、本発明の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなるシートを延伸処理して成る延伸フィルムである。
【0060】
本発明の延伸フィルムを製造する方法としては特に限定されず、例えば、溶融押出製膜法、カレンダー製膜法、溶液キャスト(流延)製膜法等の従来公知の製膜法を用いることができる。なかでも、生産性に優れ、環境共生的でもあることから、溶融押出製膜法が好適である。延伸処理の方法としては特に限定されず、例えば、縦一軸延伸、横一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が挙げられる。また、延伸のタイミングは特に限定されず、インライン延伸でもよくオフライン延伸でもよいが、好ましくは製膜後のインライン延伸である。
【0061】
本発明のフィルム製造のための好ましい押出温度範囲は170℃から280℃であり、より好ましくは、180℃から240℃である。
【0062】
本発明の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を用いると、延伸速度10mm/秒から200mm/秒、MD方向の延伸倍率が1.1倍から5.0倍、TD方向が1.1倍から5.0倍の条件であっても厚みが安定し、透明性を維持した延伸フィルムになる。
【0063】
環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)と直鎖状低密度ポリエチレン(C)の混合方法としては、特に限定されず、あらかじめ押出機等を用いてプレコンパウンドしても、原料をドライブレンドして直接延伸フィルム製造又はシート製造のための押出機等に投入してもよい。また、環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)とをプレコンパウンドし環状オレフィン系樹脂組成物を作製し、これと直鎖状低密度ポリエチレン(C)をドライブレンドしてもよい。
【0064】
また、環状オレフィン系樹脂(A)と環状オレフィン系樹脂(B)を混合する場合、シクロヘキサンやデカリンを溶媒として溶液混合した後に溶媒を留去することも可能である。さらに環状オレフィン系樹脂(A)の溶液重合の際に、あらかじめ製造しておいた環状オレフィン系樹脂(B)を製造設備に投入しておく方法も可能である。
【0065】
本発明の延伸前のシートは、実施例に記載の方法で測定するネックインが、60mm以下であることが好ましい。ネックインとは、例えばTダイ成形においてキャストフィルムを成形する場合にキャストフィルムの端部が中央方向へと縮んでしまう現象をいう。このネックインが発生すると、シート幅が小さくなるとともにシートの端部の厚みがシート中央部に比べ厚くなってしまうため、製品の歩留まりが悪化する。本発明では、平均して60mm以下のネックインを実現することができるため、製品の歩留まりを向上することができる。
【0066】
Tダイ成形でキャストフィルムを成形する場合、特に高速でフィルムや繊維を引き取ろうとすると、「ドローレゾナンス」と呼ばれるフィルムの引取り方向に発生する規則的な厚み変動が生じることが知られている。ドローレゾナンスが発生するとフィルムに厚薄ムラが発生したり、繊維の太さが不安定になったりする不具合が生じてしまう。ドローレゾナンスの発生を抑制するためには、樹脂のメルトテンションが高いことが求められる。
【0067】
成形品の材料として好適な環状オレフィン系樹脂のメルトテンションが低い場合に、これを改善する必要がある。
【0068】
ドローレゾナンス頻度は、引取り速度が速いほど多くなる。しかし、引取り速度が速いほうが、シートの生産性を向上させることができるので好ましい。具体的には引取り速度は6m/分から60m/分であることが好ましい。本発明の溶融押出用樹脂組成物を成形してなるシート(本明細書において、「シート」という場合がある)では、引取り速12m/分におけるドローレゾナンス頻度(実施例の評価方法による)を2以下とすることも可能である。結果として本発明によれば上記のような早い引取り速度であっても厚みの安定したシートを得ることができる。シートの厚みが安定すれば、このシートを延伸処理することで得られる延伸フィルムの厚みも安定し、高品質な延伸フィルムを得ることができる。
【0069】
引取り速度8m/分、実施例に記載の条件でのシートの膜厚変動(最大値−最小値)は、10μm以下であることが好ましい。本発明の溶融押出用環状オレフィン系樹脂組成物を用いると上記のような膜厚の安定したシートを得ることができる。シートの膜厚変動が安定すれば、このシートを延伸処理することで得られる延伸フィルムの膜厚変動も安定し、高品質な延伸フィルムを得ることができる。
【0070】
本発明の延伸フィルムは、延伸時に環状オレフィン系樹脂組成物と直鎖状低密度ポリエチレン(C)とが、同じように伸びるためへイズ値が低い。その結果、透明性の高い延伸フィルムを得ることができる。「透明」とは、後述する方法により測定したヘイズ(%)が、20%以下のことをいう。本発明の延伸フィルムは、延伸後のヘイズ20%以下を実現することができ高い透明性を維持することができる。
【0071】
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の溶融押出用樹脂組成物を成形してなるシートを真空成形、圧空成形、又は真空圧空成形してなる。圧空成形、真空成形、又は真空圧空成形の条件にとくに制限はない。通常用いられる圧空成形、真空成形、又は真空圧空成形機を用いることができる。例えば、熱板又は熱風を用いて樹脂シートを可塑化後、金型に密着させると同時に、金型に設けられた多数の細孔から金型内を減圧することで成形を行い、成形体を得ることができる。
【0072】
上記シートは伸張時に環状オレフィン系樹脂組成物と直鎖状低密度ポリエチレン(C)とが、同じように伸びるためへイズ値が低い。その結果、透明性の高い成形体を得ることができる。本発明の成形体は、上記延伸フィルムの際と同様の方法で測定したヘイズ20(%)以下を実現することができるため高い透明性を維持することができる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
<材料>
環状オレフィン系樹脂(A)として、
「9506F−04」(Topas Advanced Polymers社製)
「8007F−04」(Topas Advanced Polymers社製)
環状オレフィン系樹脂(B)として、
「6013F−04」(Topas Advanced Polymers社製)
「8007F−04」(Topas Advanced Polymers社製)
「6017S−04」(Topas Advanced Polymers社製)
直鎖状低密度ポリエチレン(C)として、
「SP2320」(プライムポリマー社製)
「SP2020」(プライムポリマー社製)
「SP1520」(プライムポリマー社製)
【0075】
<溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造>
表1に示す材料と割合で、二軸押出機(日本製鋼所社製 TEX30)を用いてシリンダ温度250℃にて溶融混練し、実施例及び比較例の溶融押出用ポリオレフィン樹脂組成物ペレットを得て、シートを作製し各種評価を行った。
【0076】
また、別途、(A)と(B)からなる環状オレフィン樹脂組成物を表1に示す(A)と(B)の比率で上記押出条件にてペレットを得て、下記するTg、MFR、溶融張力の評価を行った。
【0077】
<ガラス転移点(Tg)の評価>
示差走査熱量分析装置(TAインスツルメント社製 DSC−1000)にて昇温速度10℃/分の条件で測定した。測定結果を表1に示した。
【0078】
<メルトフローレート(MFR)の評価>
MFRはJIS K7210に従い、190℃又は260℃の温度で2.16Kgfの荷重をかけて測定した。測定結果を表1に示した。
【0079】
<メルトテンション(溶融張力)>
溶融張力は東洋精機社製キャピログラフ1B(ピストン径10mm)により、内径1mm、長さ20mmのオリフィスを用いて、190℃ 10mm/分の押出速度の条件でオリフィスから排出した溶融ポリマーを、引き取り速度 15m/分で繊維状に引き取った際の繊維にかかる張力(mN)を測定した。測定結果を表1に示した。
【0080】
<シートの成形>
得られた実施例及び比較例の溶融押出用ポリオレフィン樹脂組成物を、40mmφ押出機と420mm幅のT−ダイを有するシート形成機によって、100μm厚シートを製膜した。
[成形条件]
押出機シリンダ温度 200℃
ダイ温度 180℃
エアギャップ 100mm
チルロール温度 60℃
引き取り速度と膜厚 4m/分−150μm, 8m/分−75μm, 12m/分−50μm
【0081】
<シートの評価>
[ネックイン]
引き取り速度4m/分でのTダイの幅をLo、各引き取り速度で成形されたシートの幅(平均値)LとしたときのネックインをLo−Lで表わした。結果を表1に示した。
【0082】
[ドローレゾナンス]
各引き取り速度でのシート成形時にダイからチルロールまでの溶融シートを観察し、1分あたりに発生するドローレゾナンス現象の回数を計数した。結果を表1に示した。
【0083】
[膜厚変動]
シート成形方向の膜厚変動は引き取り速度8m/分での成形において中心線から5cmずらしたライン上で20箇所の厚さを測定し、最大値と最小値及びその差で表した。結果を表1に示した。
【0084】
<延伸フィルムの成形>
4m/分の引き取り速度で成形した150μm厚シートから10cm×10cmの正方形を切り出し、岩本製作所社製 二軸延伸機(TM型)を用いて延伸温度95℃、延伸速度50mm/秒の条件で MD方向に1.05倍、TD方向に3.00倍延伸して、延伸フィルムを得た。
【0085】
<延伸フィルムの評価>
延伸フィルムの透明性を確認するために、東洋精機社製ヘイズガード測定機によってヘイズ測定を行った。測定結果を表1に示した。
【0086】
なお表1中には(A)と(B)からなる環状オレフィン樹脂組成物のTg、MFR、溶融張力も記載した。さらに(A)と(B)からなる環状オレフィン樹脂組成物の溶融張力と(C)の直鎖状低密度ポリエチレンの溶融張力との比も記載した。
【0087】
【表1】

【0088】
表1から分かるように、本発明の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたシート及びその延伸フィルムは、ヘイズが少なく透明性が高いことが確認された。さらに、メルトテンションを特定の範囲にすることで本発明のシート及びその延伸フィルムは、ネックインの値が小さく、ドローレゾナンス頻度が少なく、膜厚の最大値と最小値との差が小さくなり、厚みのバラツキが少ないことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(A)と、前記環状オレフィン系樹脂(A)よりガラス転移点が高く、共重合成分としてエチレンを含む環状オレフィン系樹脂(B)と、を含む環状オレフィン系樹脂組成物と、
直鎖状低密度ポリエチレン(C)と、を含むポリオレフィン系樹脂組成物であって、
前記環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(A)の含有量が40質量%から95質量%であり、 前記環状オレフィン系樹脂組成物における前記環状オレフィン系樹脂(B)の含有量が5質量%から60質量%であり、前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションより1.15倍以上高い溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項2】
190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションが、30mN以上であり、
190℃、2.16kg荷重における前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトフローレートが、0.1g/10分から1.5g/10分である請求項1に記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記環状オレフィン系樹脂組成物のメルトテンションと、190℃で、巻取速度を15m/分にして測定した前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションとの差が、+10mNから+40mNである請求項1又は2に記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)が、メタロセン触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1から3のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項5】
190℃、巻取速度を15m/分にして測定した前記直鎖状低密度ポリエチレン(C)のメルトテンションが、20mNから40mNである請求項1から4のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項6】
前記環状オレフィン系樹脂(A)のガラス転移点が、80℃以下である請求項1から5のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項7】
前記環状オレフィン系樹脂組成物が、単一のガラス転移点を有する請求項1から6のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項8】
前記環状オレフィン系樹脂(A)及び/又は前記環状オレフィン系樹脂(B)は、ノルボルネンとエチレンとからなる共重合体である請求項1から7のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる延伸フィルム。
【請求項10】
延伸速度10mm/秒から200mm/秒、MD方向の延伸倍率が1.1倍から5.0倍、TD方向の延伸倍率が1.0から5.0倍で延伸処理してなる請求項9に記載の延伸フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれかに記載の溶融押出用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなるシートを真空成形、圧空成形、又は真空圧空成形してなる成形体。

【公開番号】特開2010−31252(P2010−31252A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147612(P2009−147612)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(390006323)ポリプラスチックス株式会社 (302)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】