説明

溶融粒状化用の加工助剤としての親水性有機変性シロキサンの使用

【課題】溶融物の粒状化における離型剤または離型剤成分の提供とその使用。
【解決手段】少なくとも3つの異なるポリエーテル基を有する有機変性ポリシロキサンであって、エチレンオキシドの割合は、ポリエーテル中で45質量%超であり、これらのポリエーテル基の少なくとも2つは、その中のエチレンオキシド単位の割合がポリエーテル基の総重量において少なくとも9質量%異なる。またポリエーテル基は各各、ランダム、グラジエント、またはブロックで形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融粒状化方法における離型剤または離型剤成分としての、少なくとも3つの異なるポリエーテル基を有する有機変性ポリシロキサンであって、これらのポリエーテル基のうちの少なくとも2つが、その中のエチレンオキシド単位の割合がポリエーテル基の総重量において少なくとも9質量%異なる有機変性ポリシロキサンの使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
溶融物は、多くの工業化学プロセスにおいて得られる。例えば、精油所において、いわゆるクラウス(Clauss)法によって大量の液体硫黄が生じる。現在、液体溶融物を、扱いやすくかつ固体の形態に変換するための様々な操作が利用可能である。溶融製品は、適用装置によってボール、フレーク、ペレットまたは他の形態などの適当な形態、好ましくは、均一な形態、好ましくは、均一な、まさに実質的に球状の形態に変換される(クーリングベルトプラント)。高頻度に連続的なプロセスにおいて、業界は、プロセスを長期間にわたって連続的に実施できるように、スチールコンベヤーベルトであることが好ましい運搬装置の清浄性、および運搬装置からの成形体の良好な分離に特別な注意を払う。さらに、製品の良好な計量性(meterability)および製品の安価なかつ清浄な包装が必要とされる。より特定すれば、成形体の均一な形状およびサイズが重要である。このために、これらの製品をさらに輸送することができ、後の段階において正確に計量可能であるように、コンベヤーベルトからの製品の良好な分離が必要である。溶融細粒の形状が、隅部および縁部を有する場合、これらは、特に硫黄ペレット化の過程において、破砕し、結果としてダストをもたらすことがある。さらに、そのような物体は、それらを下流操作において正確に計量することができないことから、望ましくない。
【0003】
スチールベルトクーラーは、溶融物のこの固化において高頻度に使用される技術である。この過程において、溶融物は、連続的に冷却および固化される。種々の技術によって、多種多様な特定のサイズの種々の形状を形成することが可能である。多孔板は、比較的古い技術である(Aufbereitungstechnik 1970 No. 5, p. 278を参照)。これらは、水で満たされたプリル化容器(prilling vessel)中への1つまたは複数の多孔板にクラウス法から得られた硫黄溶融物を通すものである(US−A3637361)。
【0004】
DE−A2928401は、硫黄をペレット化するための方法であって、溶融硫黄を金属キャリアに適用し、固化するまで冷却し、金属キャリアへの溶融硫黄の適用前に、溶媒、有機チタネートおよびカルボキシ官能性シロキサンを含む組成物を適用する方法について記載している。
【0005】
現在普及している技術は、スチールベルトクーラーおよび、例えば、Sandvik Process Systemsにより供給される「Rotoformer(登録商標)」(Rotoformシステム)を用いる硫黄溶融物の固化である。これは、Rotoformer(登録商標)に125℃〜145℃の温度にて溶融硫黄を供給するものであり、Rotoformer(登録商標)は、スチールベルトに液滴形態で硫黄溶融物を均一に適用し、スチールベルトの下面は、例えばスプレーノズルを用いて水によって冷却されるか、水浴を通過させる。この操作においても、成形体の良好な分離および溶融細粒の均一な、まさに実質的に球状の形状が保証される。これらのプロセスの原理は、例えばUS 6398989およびUS 4279579に、ならびに、各々がSandvikグループ(www.smt.sandvik.com)により刊行されている冊子「Sandvik−Ihr Partner in der Schmelzengranulierung」、PS−442/GER 10.2003および「Sandvik Process Systems−Ihr Partner in industrieller Verfahrenstechnik」、PS−400/GER 2.2011に記載されている。
【0006】
特に、特定の溶融細粒、例えば、ペレットを製造するための様々な方法による硫黄の粒状化において、スチールベルトまたは他の運搬装置への可能な接着を防ぐために離型剤を使用することが必要である。さらに、離型剤は、溶融細粒の形状に対して好ましい影響を与え、その後の包装および再使用(正確な計量)を改善する。高頻度に使用される離型剤の一例は、シリコーン油である。GB1537888は、例えば、Dow Corning製の粘度20〜50cStのシリコーン油の使用について記載している。この流体は、DOW CORNING(登録商標)200FLUID、20cStという商品名で販売されている。離型剤は、溶融硫黄に分散され、冷却されたスチールベルト上で行われるペレット化を単純化する。この技術の1つの不利な点は、この目的のために硫黄にシリコーン油を分散させることが必要であることである。シリコーン油は、スチールベルトの冷却及び清浄化に使用される水と完全には相溶性でない液体であることから、プラントを汚染するグリース状の残留物がプラント中に生じることがあり、これが、スチールベルトクーラーからの成形体の分離に悪影響を及ぼす。シリコーン油エマルジョンの使用により改善が行われた。噴霧あるいはスチールベルトの浸漬によるエマルジョンの適用は、方法を容易にするが、ベルト上に接着するシリコーン残留物を再乳化することができず、したがって汚染にもつながる。エマルジョンのさらなる不利な点は、その安定性である。水相からのシリコーン油の分離は、35℃であっても高頻度に起こり、シリコーン油は、保存容器もしくは貯蔵容器中でさえ、または運搬装置において高頻度に分離することから、暑い国の精製所での使用を困難にする。
【0007】
今日までに使用されている製品の不利な点は、親水性有機変性シロキサンの使用により軽減されてきた。とりわけ、例えば、Sandvikによって高頻度に使用されている製品は、Evonik Goldschmidt GmbHにより販売されているTegopren(登録商標)5863である。この製品は、水溶性であり、両方ともエチレンオキシド約40%の同じ質量含有量のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド約60%を有する異なるモル質量の2つのポリエーテルによりシロキサン鎖上で修飾されている。この製品は、水溶液で適用され;比較的高い温度におけるエマルジョン安定性の不利な点は取り除かれる。しかしながら、この製品クラスの1つの不利な点は、溶融細粒の良好な分離が、一定のままでなく、代わりに、時間の経過につれて若干困難になることである。
【0008】
さらに、溶融細粒の形状は、最適な球状の形態からわずかに外れることがある。膨らんだ溶融細粒が得られ、その中でも、より平らな成形体は、より薄い縁部が折り取れるという上述の問題および計量の問題を引き起こす。
【0009】
固化した硫黄は製造と再使用(輸送、保存、取扱など)との間を高頻度に移動するため、ダスト発生が低く、破砕傾向が低いことが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の不利な点のうちの1つまたは複数を回避する、硫黄粒子を製造するための方法で使用するための離型剤を提供することであった。
【0011】
より特定すれば、本発明の目的は、硫黄細粒の極めて良好な永続的分離を保証し、長期でも、分離または方法の実施に悪影響を及ぼすスチールベルト上の残留物を生じない、極めて良好な水溶性の分離構成成分を提供することであった。溶融細粒は、好ましくは、壊れやすい縁部を有していない、均一な、まさに実質的に球状の形状を与えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、請求項1に記載の有機変性ポリシロキサンは、この目的を達成することが判明した。有機変性ポロシロキサンは、硫黄細粒上に吸着され、したがって、溶融細粒の極めて良好な分離を確保する。
【0013】
本発明の使用は、スチールベルト上にどんな残留物も残らないという利点を有する。本発明は、溶融細粒が、均一な球状の形状または少なくとも「ハンバーガー」形状を有し、したがって、さらなる加工/包装の過程で破砕することがある縁部も平らで壊れやすい領域も有していないという利点も有する。したがって、ダストおよび不規則な成形体は回避され、より清浄な加工操作および溶融細粒のより正確な計量が可能になる。
【0014】
本発明のさらなる利点は、有機変性ポリシロキサンの水溶性が、粒状化機器の使用および清浄化をかなり単純化するということである。この水溶性のため、水溶液中の有機変性ポリシロキサンの濃度および離型剤としてスチールベルトに適用される溶液の量を変えることにより、離型剤を、事実上いかなる厚さでもスチールベルトに適用できるという効果も達成される。
【0015】
本発明の主題を以下の例によって説明するが、本発明は、これらの例示された実施形態に限定するものではない。以下において、範囲、一般式または化合物の種類を記載する場合、これらは、明確に述べられている対応する範囲または化合物の群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を選択することにより得ることができるすべての部分的な範囲および化合物の下位群も包含するものとする。文献が本説明との関連で引用されている場合、それらの内容、特に、文献が引用された関連する事柄に関するそれらの内容は、本発明の開示内容の全部分を形成するものとする。化学式(実験式)が本発明において使用されている場合、特定されている指数は絶対数かまたは平均であることができる。ポリマー化合物において、指数は、平均であることが好ましい。百分率は、特に明記しない限り、重量パーセントの数字である。測定が、以下で報告される場合、これらの測定は、特に明記しない限り、標準的条件(25℃および1013mbar)下で行われた。平均が、以下で報告される場合、これらは、特に明記しない限り、重量平均である。
【0016】
「溶融細粒(melt granule)」、「細粒」および「ペレット」という用語は、本発明との関連において、同義の用語であると理解される。「ブリケット」も、本発明との関連において、細粒または細粒状材料であると理解されるものとする。「溶融粒状化」および「溶融ペレット化」という用語は、本発明との関連において、以下では「溶融粒状化」という総称に包含されるものとする。
【0017】
本発明の使用は、溶融粒状化における離型剤または離型剤成分としての、式(I)
【0018】
【化1】

の有機変性ポリシロキサンの使用を特徴とする。前記式において、
N=a+b+c+d+2=20〜210、好ましくは30〜100、特に40〜60、
a=15〜205、好ましくは35〜45、
b=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
c=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
d=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
R基は、各々独立して、同一または異なる、炭素数1〜10の脂肪族または芳香族ヒドロカルビル基、好ましくはメチル基であり、
R4基は、各々独立して、同一または異なるR、R1、R2またはR3基であり、
R1、R2およびR3基は、各々独立して、一般式(II)
【0019】
【化2】

(式中、
eは、3〜11、好ましくは3であり、
fは、6〜30、好ましく10〜30であり、
gは、0〜15、好ましく0〜10であり、
hは、0〜5、好ましく0であり、
iは、0〜5、好ましく0であり、
R5は、独立して、同じまたは異なり、各々、メチル、アセチルまたは水素基、好ましく水素またはメチル基、より好ましく水素基である)
の異なるポリエーテル基であり、
ただし、式(II)のポリエーテル基の分子量は、200g/mol超、好ましく400g/mol超〜2000g/molであり、エチレンオキシドの割合は、ポリエーテル中で45質量%超であり、これらのポリエーテル基の少なくとも2つは、その中のエチレンオキシド単位の割合がポリエーテル基の総重量において少なくとも9質量%異なることが好ましく、ポリエーテル基R2におけるエチレンオキシドの質量百分率は、ポリエーテル基R1におけるエチレンオキシドの百分率より少なくとも9質量%大きい(いずれの場合にも式(II)のポリエーテル基を基準とする)ことが好ましく、
式(II)の基は、各々、ランダムに、グラジエントで、またはブロックで形成されてもよい。
【0020】
式(II)において、指数gにより指定される単位は、プロピレンオキシドに由来したものであり、指数hにより指定される単位は、ブチレンオキシドに由来したものであり、指数iにより指定される単位は、スチレンオキシドに由来したものである。
【0021】
指数a〜dおよびe〜iは、自然数(natural whole number)、または重量平均であることができる。指数は、重量平均であることが好ましい。
【0022】
本発明の有機変性ポリシロキサンは、例えば、対応する不飽和ポリエーテルおよび対応するSiH官能性シロキサンからヒドロシリル化により得ることができる。本発明の有機変性ポリシロキサンを調製するために好ましく使用される方法は、例えば、EP1520870、EP1439200、EP1544235、US4,147,847、US4,025,456、EP0493836またはUS4,855,379およびそれらの中に引用されている文献に記載されているように、Si−C結合を形成するためのオレフィン性不飽和ポリエーテルとSiH官能性ポリシロキサンとの遷移金属触媒によるヒドロシリル化である。白金触媒を使用してヒドロシリル化を触媒することが好ましい。
【0023】
式(II)の基をベースとする使用される不飽和ポリエーテル、好ましくアリルポリエーテルは、既知の従来技術に従って同様に調製することができる。例えば、EP1360223およびその中に引用されている文献は、OH官能基の誘導体化を伴うおよび伴わないオレフィン性ポリエーテルの調製について記載している。US5877268(およびUS5856369)は、DMC触媒を用いたアリル出発ポリエーテルの調製について記載している。DE19940797は、触媒としてカリウムメトキシドを使用するポリアルキレンオキシドの調製および使用について記載している。さらなる方法は、US3957843、US4059605、US3507923、DE102005001076およびDE3121929に記載されている。
【0024】
ポリエーテルは、アリルアルコールであることが好ましい出発アルコールをエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドと反応させることにより調製することが好ましい。アルキレンオキシドの重合は、純粋な形態または任意の望ましい混合物で行うことができる。添加工程の順序は所望の通りであることができるため、手順に従ってランダム、ブロックまたはグラジエントの不飽和ポリエーテルを得ることが可能である。
【0025】
本発明に従って使用される有機変性シロキサンは、例えば、下記の通り調製することができる:SiH官能性ポリジメチルシロキサン(N=約50および水素0.27重量%)28重量%の混合物を初めに充填する。これに、KOH触媒による反応により従来技術に従って調製される、エチレンオキシド単位48重量%およびプロピレンオキシド単位46重量%を含有するアリルアルコール出発コポリマー22.5重量%を加える。さらに、エチレンオキシド単位73重量%およびプロピレンオキシド単位24重量%を含有するアリルアルコール出発コポリマー36重量%をそれに加え、エチレンオキシド91重量%を含有するアリルアルコール出発コポリマー13.5重量%をそれに加える。混合物を撹拌しながら90℃まで加熱する。白金5ppmを白金触媒の形態で加える。SiH値を決定することにより変換をモニターすると(ガス容量分析)、5時間後に99.5%のSiH変換が得られる。
【0026】
本発明の式(I)の化合物はそれら自体を、離型剤あるいは離型剤の離型剤成分として使用することができる。式(I)の化合物が、離型剤成分として使用される場合、使用される離型剤は、溶媒中の式(I)の有機変性ポリシロキサンの混合物または溶液であることが好ましい。溶媒は、水または有機溶媒、特にアルコール、好ましくエタノールであることができる。水溶液の形態で式(I)の有機変性ポリシロキサンを使用することが特に好ましい。離型剤として使用される水溶液は、式(I)の有機変性ポリシロキサンを、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは1〜25重量%、最も好ましくは3〜18重量%含有する。
【0027】
使用される式(I)の有機変性ポリシロキサンは、30〜70℃、好ましくは35℃〜60℃の曇点を有することが好ましい。曇点は、DIN EN 1890に基づいて決定されることが好ましい。そこに記載されている方法のうち、試料1gを水100gで分析するものを使用することが好ましい。このようにして作成される溶液を、明らかな曇りが生じるまで試験管/ビーカー中で加熱する。温度計で撹拌しながら空気下で冷却する過程において、溶液が澄明であるかまたはほんのわずかに乳白色である温度を決定する。
【0028】
粒状化に使用するための可能な物質は、例えば、冊子「Sandvik−Ihr Partner in der Schmelzengranulierung」、PS−442/GER10.2003の18頁に記載されているものであることができる。好ましい物質は、特に、アルカンスルホネート、硫酸アルミニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アントラセン、抗酸化剤、オゾン劣化防止剤、アスファルト、安息香酸、テレフタル酸ビスヒドロキシエチル(BHET)、ビスフェノールA、ビチューメン、カプロラクタム、カルバゾール、クロトン酸、ジアミノジフェニルメタン(DMA)、乳化剤、油脂化学品、感光ゼラチン、尿素、樹脂、例えば、アクリル樹脂、ロジン、エポキシ樹脂、炭化水素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、トール油樹脂、ステアリン酸カルシウム、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ラクタム12、脂肪、カカオマス、チーズ、チョコレート、ゼラチン、チューインガムベース、ソース、スープ濃縮物、マスターバッチ、ナフタレン、酢酸ナトリウム、ネオペンチルグリコール(NPG)、パラジクロロベンゼン、ピッチ、殺虫剤、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、粉体塗料、PVC添加剤、PVC安定剤、清浄化組成物、石鹸、合成物(synthetic)、ホットメルト接着剤(例えば、エチレン−酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアミドまたはポリエステルをベースとするもの)、反応性ホットメルト接着剤、硫黄、硫黄+ベントナイト、ソルビトール、安定剤、ステアリン酸、界面活性剤、トルエンジイソシアネート(TDI)、トリアゾール(BTA、TTA)、無水トリメリット酸(TMA)、リン酸トリフェニル(TPP)、サブクーリング溶融物、UV安定剤、ワックス、例えば、パラフィン、AKDワックス、マイクロワックス、PEワックス、PPワックス、蜜蝋、充填(filled)ワックス、フレグラントワックス、ワックス染料、モンタンワックスまたはコーティングワックス、洗浄組成物添加剤、硝酸亜鉛またはステアリン酸亜鉛から選択される。粒状化する物質として硫黄を使用する場合、本発明の使用が特に好ましい。
【0029】
離型剤/式(I)の有機変性ポリシロキサンの好ましい使用の結果として、125℃超の硫黄融点は、水の蒸発による有機変性ポリシロキサンの分離をもたらす。熱硫黄溶融物の隣接環境において、有機変性ポリシロキサンは、好ましくは30〜70℃の範囲である曇点のために、水溶液から析出し、硫黄およびスチールベルトの表面に極めて薄い層で吸着され、細粒の分離を保証し、溶融細粒が好ましくは球状の形状を有し、したがってスチールベルトの表面とほとんど接触しないようにして、溶融細粒の形状に影響を与える。
【0030】
溶融粒状化は、US6398989およびUS4279579ならびに各々がSandvikグループ(www.smt.sandvik.com)により刊行されている冊子「Sandvik−Ihr Partner in der Schmelzengranulierung」、PS−442/GER10.2003および「Sandvik Process Systems−Ihr Partner in industrieller Verfahrenstechnik」、PS−400/GER2.2011に記載されているようにして、より好ましくは、これらの文献で特定されている機器を使用して、行われることが好ましい。本発明の使用は、冊子「Sandvik−Ihr Partner in der Schmelzengranulierung」、PS−442/GER10.2003の13頁の模式図に示されているような機械を用いて行われることが最も好ましい。使用される機器および基本的手順に関しては上述の文献にはっきりと言及されている。
【0031】
本発明の使用の場合、スチールベルトコンベヤーを使用することが好ましい。粒状化する物質の溶融物は、スチールベルトに適用されることが好ましく、溶融物は、冷却液、好ましくは水を用いて、下からのスチールベルトの好ましい冷却によってスチールベルト上で溶融温度未満または固化温度未満に冷却され、よって固化される。
【0032】
本発明の離型剤は、溶融物の適用前にスチールベルトに適用されることが好ましい。離型剤は、例えば、離型剤の噴霧適用により、スチールベルトに適用することができる。離型剤の量は、広い範囲内で自由に選択することができる。
【0033】
以下に挙げる実施例は本発明の例示として記載し、本発明の適用範囲は詳細な説明および特許請求の範囲の全体から明らかであり、本発明は実施例に記載されている実施形態に限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施例:
本発明の作用機序を、現実的な試験で試験し、従来から使用されている有機変性シロキサンおよびシリコーン油エマルジョンと比較した。Rotoformer(登録商標)および水冷スチールベルト(Rotoformシステム)を含む実験室系(SANDVIK製)を用いた。使用離型剤成分を、離型剤としての水溶液14重量%(混合物)を得るために使用し、スチールベルト上に連続的に噴霧した。供給原材および分離性能の説明は、表1に見いだすことができる。
【0035】
本発明の有機変性シロキサンの調製
SiH官能性ポリジメチルシロキサン(N=約50および水素0.27重量%)28重量%の混合物を初めに充填した。これに、KOH触媒による反応により従来技術に従って調製したエチレンオキシド単位48重量%およびプロピレンオキシド単位46重量%からなるアリルアルコール出発コポリマー22.5重量%を加えた。エチレンオキシド単位72重量%およびプロピレンオキシド単位24重量%からなるアリルアルコール出発コポリマー36重量%、およびエチレンオキシド91重量%からなるアリルアルコール出発コポリマー13.5重量%も加えた。混合物を撹拌しながら90℃まで加熱した。白金5ppmを白金触媒(ヘキサクロロ白金酸)の形態で加えた。SiH値を決定することにより変換をモニターすると(ガス容量分析)、5時間後に99.5%のSiH変換が得られた。
【0036】
試験条件:
ベルト速度:11.25m/分
Rotoformer速度:12m/分
硫黄温度:145℃
冷却水温度:22.2℃
スチールベルト幅:150mm
コンベヤーベルトの冷却長:2.4m
離型剤:硫黄1kg当たり消費活性物質約0.02g、14%に希釈
【0037】
【表1】

【0038】
表1から推論できるように、本発明の有機変性ポリシロキサンは、今日まで従来技術から知られている離型剤または離型剤成分よりもはるかに良好な分離特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融粒状化における離型剤または離型剤成分としての、式(I)
【化3】

[式中
N=a+b+c+d+2=20〜210、好ましくは30〜100、特に40〜60、
a=15〜205、好ましくは35〜45、
b=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
c=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
d=1〜12、好ましくは1〜8、特に2〜6、
R基は、各々独立して、同一または異なる、炭素数1〜10の脂肪族または芳香族ヒドロカルビル基、好ましくはメチル基であり、
R4基は、各々独立して、同一または異なるR、R1、R2またはR3基であり、
R1、R2およびR3基は、各々独立して、一般式(II)
【化4】

(式中、
eは、3〜11、好ましくは3であり、
fは、6〜30、好ましくは10〜30であり、
gは、0〜15、好ましくは0〜10であり、
hは、0〜5であり、
iは、0〜5であり、
R5は、独立して、同じまたは異なり、各々、メチル、アセチルまたは水素基である)
の異なるポリエーテル基であり、
ただし、式(II)のポリエーテル基の分子量は、200g/mol超、好ましくは400g/mol超〜2000g/molであり、エチレンオキシドの割合は、ポリエーテル中で45質量%超であり、ポリエーテル基R2におけるエチレンオキシドの質量百分率は、ポリエーテル基R1におけるエチレンオキシドの質量百分率より少なくとも9質量%大きい(いずれの場合にも式(II)のポリエーテル基を基準とする)ことが好ましく、式(II)の基は、各々、ランダムに、グラジエントで、またはブロックで形成されてもよい]
の有機変性ポリシロキサンの使用。
【請求項2】
前記式(I)の有機変性ポリシロキサンが、水溶液の形態で離型剤として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記水溶液が、前記式(I)の有機変性ポリシロキサンを0.5〜50重量%含むことを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
有機変性ポリシロキサンが、35℃〜60℃の曇点を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
硫黄が、溶融粒状化において粒状化されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
スチールベルトクーラーが、溶融粒状化において使用されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
スチールベルトが使用され、スチールベルトへの溶融物の適用前に前記離型剤がスチールベルトに適用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。

【公開番号】特開2013−14766(P2013−14766A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−150174(P2012−150174)
【出願日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】