説明

溶融紡糸、冷却及び巻取り装置

本発明は、多数のフィラメント束から形成される糸の溶融紡糸、冷却及び巻取り装置であって、紡糸装置、冷却装置及び巻取り装置を備えている。紡糸装置は、多数のフィラメント束を有する環状のフィラメント群を押し出すための紡糸ノズルを有している。フィラメント束を冷却するためには、紡糸装置の下位にエアディフューザを備えた冷却装置が配置されており、多孔質のディフューザ周壁から前記エアディフューザにおいて、内側から外側に向かって流れる冷却空気流が発生される。細いフィラメント束を冷却するための均一な層流を得るためには、本発明に基づきディフューザ周壁が付加的な補助周壁によって取り囲まれており、該補助周壁が、多数の開口を備えた材料から成っており、該材料が著しい流れ方向無しで冷却空気流を所定の方向に方向付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の、フィラメント群から形成される糸の溶融紡糸、冷却及び巻取り装置、並びに請求項14の上位概念に記載の形式の、フィラメント群の冷却装置に関する。
【0002】
合成糸の溶融紡糸において、新しく押し出されたフィラメント束の冷却は、これらのフィラメント束から形成される合成糸の後の品質に関して特に重要である。特に、繊維用糸の製造においては極細のフィラメント束が押し出され、これらのフィラメント束は冷却空気流による冷却に対して非常に敏感に反応し延いては特に均一な冷却を必要とする。
【0003】
溶融紡糸されたフィラメント束を冷却するための2つの冷却法は基本的に異なっている。第1のバリエーションでは、冷却空気流が外部からフィラメント束に向けられる。このようなシステムでは特に、内部でガイドされるフィラメント束が十分に冷却されるということを考慮しなければならない。
【0004】
第2のバリエーションでは、フィラメント束が環状に配置されて紡糸され、環状のフィラメントの中心部で内側から外側に向けられた冷却空気流が発生される。本発明はこの原理から出発する。内側から外側に向かってフィラメントカーテンを貫通する冷却空気流を形成するためには、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第19653451号明細書から公知のような「エアディフューザ」が使用される。このエアディフューザは、円筒形に形成されており且つ多孔質でガス透過性のディフューザ周壁を有している。エアディフューザの一方の端部は閉鎖されており、反対側の端部はエアディフューザの内部に冷却空気を導入する空気供給部に接続されている。ディフューザ周壁全体にわたって流出する、有利には予め規定されたブロープロフィールを有する冷却空気を得るためには、ディフューザ周壁が規定された流れ抵抗を有する多孔質材料から成っている。即ち、エアディフューザのディフューザ周壁を焼結金属、金属フォーム、発泡材又は巻き付けられた紙層から製作することが公知である。材料に不規則に含まれる孔又は開口に基づき、冷却空気がディフューザ周壁から流出する際にしばしば十分ではない、表面全体にわたって見て不均一な層流が形成される。このような流れプロフィールは細いフィラメント束の冷却時の不規則性をもたらし、更に、この不規則性はフィラメント束のスムーズな動きにネガティブな影響を及ぼす。更に、従来のエアディフューザは低い透過性を有するディフューザ周壁を有しており延いては当該エアディフューザの全面にわたる流出を得るために大きな差圧を必要とする。しかし、このことは必然的に、更に乱流を有する有利な流出域による不規則性をもたらす。ディフューザ周壁におけるガス透過性の向上は不可能である。それというのも、エアディフューザの領域で流出する冷却空気の不規則性の作用が更に高められるからである。
【0005】
更に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3708868号明細書又は米国特許第4285646号明細書から、ディフューザ周壁を通って流出する冷却空気流に影響を及ぼすために、エアディフューザの内部にガイド手段が設けられているということが公知である。これらのガイド手段は、有利にはエアディフューザにおける特定のブロープロフィールを実現するために使用される。しかし、これによりディフューザ周壁の多孔構造によって特徴付けられる流出流に影響を及ぼすことはできない。
【0006】
従って本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、溶融紡糸された糸を製造するための装置を改良して、特に太さ斑、伸張及び強度に関して高い均一性を有する繊維用糸を製造できるようにすることである。
【0007】
本発明の別の課題は、冒頭で述べた形式の溶融紡糸及び冷却装置並びに冷却装置を改良して、冷却区間全体にわたって均一に形成される、フィラメント束冷却用の冷却空気流を優勢にする点にある。
【0008】
この課題は、本発明に基づき請求項1の特徴部に記載の構成を有する溶融紡糸及び冷却装置、並びに請求項14記載のフィラメント束の冷却装置によって解決される。
【0009】
有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明は、エアディフューザから流出する冷却空気が、フィラメント束にぶつかる前に予め規定された方向の層流に移行されるという点において優れている。これにより、細いフィラメント束の冷却に適した冷却空気の空気運動が生ぜしめられ、この空気運動は個々のフィラメント束を均一に形成し且つ硬化させる。これにより、有利にはフィラメント毎の均一性及び時間にわたる糸の均一性における不規則性が防止された。この場合、冷却空気流を均一にし且つ方向付けるために設けられた補助周壁は、多数の開口を備えた材料を有しており、この材料は実質的に付加的な流れ抵抗を生ぜしめない。これにより、補助周壁によって包囲されたディフューザ周壁のブロー特性はほとんど影響されず、乱流としてディフューザ周壁から流出する冷却空気の層流への変換のみが実施される。
【0011】
フィラメントカーテンの均一な貫通を得るためには、補助周壁の材料がほぼ半径方向に向けられた複数の開口を有しており、これにより、フィラメント束に対して横方向に向けられた冷却空気流が生ぜしめられる本発明の改良が特に有利であることが判った。この場合、補助周壁の周壁表面からほぼ直角に流出する冷却空気の層流が形成される。但し、エアディフューザの全長にわたって異なる向きの冷却空気を発生させることも可能であり、これにより、糸走行方向とは逆方向で傾斜された冷却空気流又は糸走行方向で傾斜された冷却空気流による特別な予冷効果又は後冷効果が得られる。
【0012】
補助周壁用の材料としては、特に有利には大きく開いた流動面を有する多層線材織布が適している。この場合、無視し得る程度の流れ抵抗が発生する。但し、有利にはシームレスで形成された穿孔薄板体又はハニカム状の薄板体も使用可能である。
【0013】
本発明の有利な改良では、補助周壁がディフューザ周壁と接触しており、エアディフューザによって保持されている。この構成は、ディフューザ周壁において補助周壁による支持作用が得られるので、ディフューザ周壁を小さな強度の紙又は発泡材から製作することができるという利点を有している。
【0014】
この場合、ディフューザ周壁及び補助周壁は、有利にはエアディフューザの取扱いを著しく簡単にする1構成ユニットにまとめられる。
【0015】
但し、補助周壁をディフューザ周壁に対して間隔をあけて配置する可能性もある。この場合、補助周壁はエアディフューザを支持する保持装置に配置されている。本発明のこの改良は、ディフューザ周壁の外周面全体を、冷却空気流を発生させるために利用することができるという利点を有している。
【0016】
更に、補助周壁は交換可能に保持装置に配置され得るので、糸番手又はポリマの変更に際して、補助周壁の交換による冷却の適当な適合が実施可能である。
【0017】
交換可能な補助周壁の場合に、ディフューザ周壁と補助周壁の間に形成された環状室で軸方向流が発生しないようにするためには、補助周壁が保持装置によってエアディフューザの自由端部の運転位置に、紡糸装置のストッパに設けられたスペーサを介して保持されている。これにより、補助周壁はスペーサと保持装置の間で確実に両端部をシールされている。
【0018】
紡糸ノズルの保守整備目的又はクリーニングのために、エアディフューザは補助周壁と一緒に有利には保持装置によって、運転位置から出発して紡糸装置から離れたスタンバイ位置へガイドされ得る。このためには、保持装置は高さ調節可能且つ/又は紡糸装置に対して旋回可能に形成されている。
【0019】
エアディフューザに沿ったフィラメント束の確実なガイドを得るためには、本発明の有利な改良に基づきエアディフューザの下位の保持装置が平滑化装置を有しており、この平滑化装置がフィラメント束の接触する平滑化リングを有している。これにより、フィラメント束全体が1本の合成糸にまとめられる前に均一に平滑化される。
【0020】
フィラメント束は、有利には平滑化装置に後置された集合糸ガイドによってまとめられる。
【0021】
製造しようとする糸に関連して、巻取り装置に前置された1つ又は複数の処理装置を設けることができる。これにより、例えばポリエステル、ポリアミド又はポリプロピレン等の溶融可能な合成ポリマから成る部分延伸されたPOY糸又は全体延伸されたFOY糸が製造可能である。これにより、原則として繊維用糸又は産業用糸が製造され得る。
【0022】
本発明は、例えば短繊維製造時と同様に、環状のフィラメント束を高度な均一性を保持して冷却することのできる方法にも関する。この場合、フィラメント束は1本のトウにまとめられる前に、有利には請求項14記載の本発明による装置によって冷却され得る。
【0023】
請求項14記載の本発明による装置は、請求項15及び16記載の有利な改良の他に、請求項4から13に記載の前記構成に基づいて改良されていてもよい。
【0024】
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0025】
図1には、合成糸の溶融紡糸、冷却及び巻取り用の本発明による装置の第1実施例が概略的に示されている。この装置は紡糸装置1、該紡糸装置1の下位に配置された冷却装置6及び該冷却装置6に後置された巻取り装置19を有している。紡糸装置1は加熱される紡糸ヘッド2を有しており、この紡糸ヘッド2はその下面で紡糸ノズル3を支持している。この紡糸ノズル3の下面には、多数のフィラメント束を押し出すための多数のノズル孔が環状に配置されている。紡糸ヘッド2の内部には、別の溶融物ガイド部材及び溶融物圧送部材(図示せず)が配置されている。従って、溶融物供給部4を介して供給されたポリマ溶融物は、紡糸ポンプ(図示せず)によって紡糸ノズル3へ圧送される。複数本の糸を並行して製造するために、紡糸ヘッド2の内部では一般に複数の紡糸ノズルが保持されている。本発明は容易に2本、3本又はそれ以上の糸に拡張可能なので、図面を見やすくするために1本の糸だけを製造するための配置形式を図示した。
【0026】
紡糸装置1の下位には冷却装置6が配置されている。この冷却装置6はエアディフューザ7を有しており、このエアディフューザ7は保持装置10に配置されている。エアディフューザ7は、中空円筒形に形成されており且つディフューザ周壁8を有している。このディフューザ周壁8は多孔質の材料から形成されている。この場合、ディフューザ周壁8の材料は巻き付けられた紙層、発泡材又は焼結金属によって形成されていてよい。エアディフューザ7の自由端部において、ディフューザ周壁8は端部部材15によって閉鎖されている。ディフューザ周壁8の反対側の端部は保持装置10に配置されている。ディフューザ周壁8から間隔をあけて補助周壁9が保持装置10に配置されており、この補助周壁9はディフューザ周壁8をジャケット状に取り囲んでいる。エアディフューザ7及び補助周壁9は、スペーサ14を介して紡糸ノズル3に対して中心で、紡糸ヘッド2の下面に配置されている。この場合、エアディフューザ7の端部のスペーサ14は、保持装置10によって紡糸ノズル3の下面のストッパ22に保持される。補助周壁9及び該補助周壁9の内側で保持されたエアディフューザ7は、運転位置では紡糸ノズル3に対して中心に位置している。
【0027】
保持装置10は、エアディフューザ7及び補助周壁9を位置決めするために、高さ調節可能且つ旋回可能に形成されている。冷却空気をエアディフューザ7の内部へガイドするためには、保持装置10は空気供給部11と連結されている。空気供給部11は、例えばファン等の冷却媒体源(図示せず)に接続されている。保持装置10の内部において、空気供給部11は通路システムを介して保持装置10内のディフューザ周壁8の開いた端部と連結されている。
【0028】
保持装置10の周面には平滑化装置12が形成されている。この場合、この平滑化装置12は平滑化リング13によって形成され、この平滑化リング13は表面に流出する平滑剤を有しており、平滑化リング13の周面に沿ってガイドされるフィラメント束5を濡らす。
【0029】
冷却装置6の下位には集合糸ガイド17が設けられており、この集合糸ガイド17によりフィラメント束5が1本の糸16にまとめられる。
【0030】
フィラメント束5若しくは糸16を引き出すためには処理装置18が設けられている。この場合、処理装置18は象徴的に図示されている。それというのも、この処理装置18は製造しようとする糸タイプに関連して、ユニットの性質及び構成が異なるからである。従って、糸の引出し、ガイド又は延伸用に1つ又は複数のガレット又はガレットユニットが設けられていてよい。更に、交絡装置、付加的な平滑化装置、又は吸込み部或いは糸センサを備えた糸カッタが組み込まれてよい。
【0031】
択一的に、糸16若しくはフィラメント束5は巻取り装置19によって直接に引き出されてもよい。
【0032】
糸を収容するためには、処理装置18の下位に巻取り装置19が設けられている。この巻取り装置19は、図面ではボビン20と、このボビン20の周面に接触する圧着ローラ21とによって象徴的に示されている。この場合、糸16はボビン20に巻き取られる。
【0033】
本発明による装置の図1に示した実施例では、溶融されたポリマ材料が、例えば押出し機又はポンプによって紡糸装置1に供給される。このためには、ポリマ溶融物は加熱された溶融物供給部4を介して紡糸ヘッド2に流入し、圧力下で紡糸ノズル3にガイドされる。紡糸ノズル3は、円形に形成されており且つ下面にポリマ溶融物が細いフィラメント束5として流出する1列又は複数列の環状の孔列を有している。紡糸ノズル3を介してフィラメント束5を押し出した後、これらのフィラメント束5は紡糸装置1の下位に配置された冷却装置6を通走する。環状にガイドされたフィラメント束5を冷却するためには、空気供給部11を介して冷却空気が供給され、この冷却空気は予圧下でエアディフューザ7の内部へ案内される。前記予圧に基づいて、エアディフューザ7のディフューザ周壁8を半径方向で貫通する冷却空気流が形成される。この場合、ディフューザ周壁8の外周に発生する流れは、主としてディフューザ周壁8の材料の孔分布に基づいて規定される。エアディフューザ7のディフューザ周壁8から流出する冷却空気流は、主として乱流である。材料としては、ディフューザ周壁8は多層の紙層又は発泡材又は焼結金属によって形成されていてよい。次いで、ディフューザ周壁8から流出する冷却空気流は、補助周壁9を通って案内される。この補助周壁9は多数の開口を有する材料から成っており、これらの開口は、一方では冷却空気流の極めて小さな流れ抵抗に抵抗し且つ他方では冷却空気流を方向付ける。このためには、前記材料は有利には半径方向に向けられた開口を有しており、これにより、補助周壁9の冷却区間全体にわたって横方向に向けられた層流が形成され、この層流はフィラメント束5を冷却するためにフィラメントカーテンを貫通する。補助周壁9による冷却空気流の均一化は、渦動無しでフィラメント束の均一な流れを生ぜしめる。この結果、特にフィラメント延いては糸の太さ斑の均一性に影響を及ぼす極めてスムーズな動きが得られる。補助周壁9によって生ぜしめられたフィラメント束を冷却するための層流は、冷却空気量を増大させるためにエアディフューザ内の冷却空気の予圧が変化しても維持された。
【0034】
冷却区分の終端部でフィラメント束5は、保持装置10の周面に設けられた平滑化装置12の平滑化リングに接触させられる。平滑化後にフィラメント束5は糸16にまとめられ、この糸16は処理後ボビン20に巻き取られる。
【0035】
図1に示した本発明による装置は、特に繊維用糸を製造するために適している。この場合、部分延伸によるPOY糸も、全体延伸によるFOY糸も製作され得る。製作しようとする糸タイプへの適合を冷却においても行えるようにするためには、本発明による装置の図1に示した実施例では、補助周壁9が保持装置10と交換可能に連結されている。保持装置10は可動なので、エアディフューザは補助周壁と一緒に運転位置からスタンバイ位置へガイド可能である。スタンバイ位置では補助周壁9の交換が実施され得る。つまり、例えば補助周壁9の孔ジオメトリ又は孔配置形式は、特定の材料又は特定の形状を選択することにより変更され得る。
【0036】
図2には、本発明による装置の別の実施例が示されている。この実施例は、上で説明した図1に基づく実施例とほぼ同じなので、以下は相違点についてだけ説明し、その他は前記説明に関連するものとする。
【0037】
図2に示した実施例では、紡糸装置1の下位に配置された冷却装置6がエアディフューザ7によって形成され、これにより、半径方向に向けられた冷却空気流が生ぜしめられる。この場合、補助周壁9はディフューザ周壁8と直接に接触して、エアディフューザ7に被されている。ディフューザ周壁8と補助周壁9とは、自由端部が共通の端部部材15によって保持される1構成ユニットを形成している。ディフューザ周壁8と補助周壁9の反対側の端部は保持装置10に取り付けられており、この場合、ディフューザ周壁8は冷却空気を受け入れるための開いた端部を有している。補助周壁9及びディフューザ周壁8の機能、並びに補助周壁9及びディフューザ周壁8の構成は先行実施例とほぼ同じなので、当該機能についても先行実施例に関連するものとする。
【0038】
図2に示した実施例では、補助周壁9によって直接にディフューザ8が支持される。これにより、ディフューザ周壁8は低い強度を備えて、例えば発泡材又は薄い紙層から製造され得る。ディフューザ周壁8の抵抗特性をほぼ変えずに冷却空気流発生のために利用できるようにするためには、補助周壁9がディフューザ周壁8の材料に比べて無視し得る程度の流れ抵抗を有する材料を有している。
【0039】
これに関して図3には、ディフューザ周壁8及び補助周壁9の構成に関する実施例が示されている。ディフューザ周壁8は発泡材料から形成される。ディフューザ周壁8の外周面には補助周壁9が配置されている。補助周壁9は多層の線材織布23によって形成される。多層の線材織布23は、ほぼ半径方向に向けられた複数の開口24を形成しており、これらの開口24はディフューザ周壁8から流出する冷却空気流の均一化をもたらす。補助周壁9の周面において横方向に向けられた冷却空気流が層状に流出し、その結果、補助周壁9を取り囲むフィラメント束を貫通する。
【0040】
図1及び図2の実施例に関して図示した紡糸装置及び冷却装置の構成は例である。従って、例えばエアディフューザに対する冷却空気供給部は紡糸ヘッドを介しても導入され得る。同様に、保持装置の周面に設けられた平滑化装置も糸ガイドリングによって代替され得る。この場合は集合糸ガイドに平滑化装置が対応配置されている。エアディフューザの長さに対するスペーサの構成及び長さ比もやはり例示である。原則としてスペーサの長さによって、フィラメントの能動的な冷却が行われない静止ゾーンが形成され得る。このようなゾーンには、例えばフィラメント束の分子配向に影響を及ぼすためにアフタヒータが配置されていてもよい。
【0041】
更に、本発明はフィラメント束を冷却後短繊維を製造するためにトウとしてまとめる方法にも関する。このためには、図1及び図2に示した実施例と同じ構成の冷却装置が使用され得る。このような装置の説明については、前記説明に関連するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による装置の第1実施例の概略図である。
【図2】本発明による装置の別の実施例の概略図である。
【図3】図2に示した実施例のエアディフューザの周壁の概略部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のフィラメント束(5)から形成される糸(16)の溶融紡糸、冷却及び巻取り装置であって、環状のフィラメント群(5)を押し出すための紡糸ノズル(3)を有する紡糸装置(1)、該紡糸装置(1)の下位に配置された、フィラメント群を形成するフィラメント束(5)を冷却するための冷却装置(6)及びフィラメント束(5)の冷却後に形成される糸(16)を巻き取るための巻取り装置(19)を備えており、前記冷却装置(6)がエアディフューザ(7)を有しており、該エアディフューザが、紡糸ノズル(3)に対してほぼ中心で運転位置に保持されており且つ内側から外側に向かって流れる冷却空気流を発生させるための多孔質のディフューザ周壁(8)を有している形式のものにおいて、
エアディフューザ(7)のディフューザ周壁(8)をジャケット状に包囲する補助周壁(9)が設けられており、該補助周壁(9)が多数の開口(24)を備えた材料から成っており、該材料が著しい流れ方向無しで冷却空気流を所定の方向に方向付けることを特徴とする、溶融紡糸、冷却及び巻取り装置。
【請求項2】
フィラメント束(5)に対して横方向に向けられた冷却空気流を生ぜしめるために、補助周壁(9)の材料がほぼ半径方向に向けられた複数の開口(24)を有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記材料が多層の線材織布(23)から形成されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
補助周壁(9)が、ディフューザ周壁(8)と接触しており且つエアディフューザ(7)によって保持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
ディフューザ周壁(8)と補助周壁(9)とが1構成ユニットにまとめられている、請求項3記載の装置。
【請求項6】
補助周壁(9)が、ディフューザ周壁(8)に対して間隔をあけて配置されており且つエアディフューザ(7)を支持する保持装置(10)によって保持されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
補助周壁(9)が交換可能に保持装置(10)に配置されている、請求項6記載の装置。
【請求項8】
補助周壁(9)が、エアディフューザの自由端部の運転位置において、エアディフューザ(7)を紡糸装置(1)に対して支持するスペーサ(14)に接触している、請求項6又は7記載の装置。
【請求項9】
補助周壁(9)がエアディフューザ(7)と一緒に保持装置(10)によって、運転位置から出発して紡糸装置(1)から離れてスタンバイ位置へガイド可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
エアディフューザ(8)の下位の保持装置(10)が、フィラメント束(5)の接触する平滑化リング(13)を有する平滑化装置(12)を支持している、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
平滑化リング(13)に集合糸ガイド(17)が後置されており、該集合糸ガイドによってフィラメント束(5)が1本の合成糸(16)にまとめられる、請求項10記載の装置。
【請求項12】
保持装置(10)が紡糸装置(1)に対して相対的に旋回可能に形成されている、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
巻取り装置(19)に前置された1つ又は複数の処理装置(18)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
新しく押し出されたフィラメント群の冷却装置であって、エアディフューザ(7)が設けられており、該エアディフューザが、環状にガイドされたフィラメント群のフィラメント束(5)に対してほぼ中心に配置されており且つ内側から外側に向かって流れる冷却空気流を発生させるための多孔質のディフューザ周壁(8)を有している形式のものにおいて、
エアディフューザ(7)のディフューザ周壁(8)をジャケット状に包囲する補助周壁(9)が設けられており、該補助周壁(9)が、著しい流れ抵抗無しで冷却空気流を所定の方向に方向付ける多数の開口(24)を備えた材料から成っていることを特徴とする、冷却装置。
【請求項15】
フィラメント束(5)に対して横方向に向けられた冷却空気流を生ぜしめるために、補助周壁(9)の材料がほぼ半径方向に向けられた複数の開口(24)を有している、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記材料が多層の線材織布(23)から形成されている、請求項14又は15記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−528283(P2006−528283A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520715(P2006−520715)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007467
【国際公開番号】WO2005/014900
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(503420235)ザウラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (51)
【氏名又は名称原語表記】Saurer GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Landgrafen Str. 45, D−41069 Moenchengladbach, Germany
【Fターム(参考)】