説明

溶融造粒方法

キノリン化合物を含む固形剤形を調製するための方法。本方法は、例えば、造粒賦形剤を用いてキノリン化合物を溶融造粒するための押出機、特に二軸押出機の発明的使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療化合物がキノリン化合物である固形経口剤形を製造するための方法に関する。本方法は、押出機を用いる溶融造粒の使用を特徴とする。このような固形経口剤形は癌をはじめとする増殖性疾患の治療及び予防に有用である。
[背景技術]
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、異なる物理的形態の活性医薬品成分の不要な多形又は混合物を望ましい形態へと変換し、望ましい形態だけが確実にその薬剤製品中に存在するようにすることのできる製薬造粒方法に関する。4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩について、臨床上の望ましい無水形態の製造において、不純物として、溶解度の低い一水和物形態が存在する傾向がある。しかし、その一水和物形態は140℃より高い温度で無水形態へと完全にかつ不可逆的に変換することができる。本発明において、溶融造粒は、出発材料の組成が一水和物であるか又は一水和物形態と無水形態(anhydrate forms)との混合物であるかに関わらず、純粋な無水形態の顆粒を製造するために高温を提供するために用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本発明は、キノリド化合物、特に、4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩の、医薬組成物、特に固形経口剤形を調製するための方法に関する。本発明の方法は、押出機を使用する溶融造粒を特徴とする。
【0004】
本明細書において使用される「医薬組成物」という用語は、哺乳類が罹患する特定の疾患又は状態を予防、治療又は制御するために哺乳類、例えば、ヒトに投与されるべき治療化合物を含有する混合物を意味する。
【0005】
本明細書において使用される「医薬的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、及びその他の妥当な効果/リスク比に相応する問題となる合併症を伴わずに、哺乳類、特にヒトの組織との接触に適した化合物、材料、組成物及び/又は剤形をさす。
【0006】
本明細書において使用される「治療化合物」という用語は、治療的又は薬理学的効果、例えば受容体チロシンキナーゼの阻害などを有し、経口投与に特に適した組成物での、哺乳類、例えば、ヒトへの投与に適した任意の化合物、物質、薬物、医薬、又は有効成分を意味する。本明細書において用いられる「治療化合物」には、米国特許第6,774,237号及び国際公開第2006/127926号に記載されるキノリド化合物が含まれる。好ましい化合物は、4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オンであり、式(I):
【0007】
【化1】

を有する。
【0008】
より好ましい化合物は、式(I)の化合物の乳酸塩形態であり、それは4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩である。
【0009】
国際公開第2006/127926号には、4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オンの多形形態と溶媒和物形態の情報が提供されている。
【0010】
本発明はまた、米国特許第6,774,237号及び国際公開第2006/127926号に記載される受容体チロシンキナーゼの阻害に応答する疾患を治療する方法にも関する。これらの方法には、これらに限定されるものではないが、このような治療を必要とする対象に治療上有効な量の治療化合物を投与する工程を含む、VEGFR2及びFGFR3活性の阻害が含まれる。
【0011】
本明細書において使用される「造粒賦形剤」という用語は、以下にさらに記載するように治療化合物とともに溶融造粒することのできる任意の医薬的に許容される材料又は物質をさす。造粒賦形剤は、例えば、ポリマー又は非ポリマー材料であり得る。
【0012】
本明細書において使用される「ポリマー」という用語は、それ自体が、又は組み合わせて、前記治療化合物の融点(又は溶融範囲)を超えない、ガラス転移温度、軟化温度又は溶融温度を有するポリマー又はポリマー混合物をさす。ガラス転移温度(「Tg」)は、このようなポリマーの特性が高度に粘稠な塊の特性から比較的粘稠性の低い塊の特性へと変化する温度である。ポリマーのタイプとしては、これらに限定されるものではないが、水溶性、水膨潤性、水不溶性のポリマー及び前述のものの組合せが挙げられる。
【0013】
ポリマーの例としては、これらに限定されるものではないが、
N−ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、例えば、N−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)、N−ビニルピロリドンとビニルアセテート又はビニルプロピオネートのコポリマー;
セルロースエステル及びセルロースエーテル(例えば、メチルセルロース及びエチルセルロース)ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、セルロースフタレート(例えば、セルロースアセテートフタレート及びヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート)ならびにセルローススクシネート(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート);
高分子ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;
ポリアクリレート及びポリメタクリレート(例えば、メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、ブチルメタクリレート/2−ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート));
ポリアクリルアミド;
ビニルアセテートポリマー、例えばビニルアセテートとクロトン酸のコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート;
ポリビニルアルコール;ならびに
オリゴ糖及び多糖、例えばカラギーナン、ガラクトマンナン及びキサンタンガム、又はそれらの1種以上の混合物:
が挙げられる。
【0014】
本明細書において使用される「可塑剤」という用語は、ポリマー鎖間の自由体積を増加させることによりガラス転移温度とポリマーの溶融粘度を低下させるために、医薬組成物に組み込んでもよい材料をさす。可塑剤としては、例えば、これらに限定されるものではないが、水;ソルビトール;シトレートエステル(例えば、トリエチルシトレート、トリアセチン);低分子量ポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(エチレン/プロピレングリコール));グリセロール、ペンタエリスリトール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート又はトリアセテート;プロピレングリコール;ナトリウムジエチルスルホスクシネート;及び治療化合物自体が挙げられる。可塑剤は医薬組成物の約0〜15重量%、例えば0.5〜5重量%の濃度で存在し得る。可塑剤の例は、The Handbook of Pharmaceutical Additives, Ash et al., Gower Publishing (2000)にも見出すことができる。
【0015】
非ポリマー造粒賦形剤としては、これらに限定されるものではないが、エステル、水素添加油、油、天然ろう、合成ろう、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド及びそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
エステル、例えばグリセリルエステルの例としては、これらに限定されるものではないが、グリセリルモノステアレート、例えば、Abitec Corp.(Columbus,OH)製のCAPMUL GMS;グリセリルパルミトステアレート;アセチル化グリセロールモノステアレート;ソルビタンモノステアレート、例えば、Uniqema(New Castle,DE)製のARLACEL 60;及びセチルパルミテート、例えば、Cognis Corp.(Dusseldorf,Germany)製のCUTINA CP、マグネシウムステアレート及びカルシウムステアレートが挙げられる。
【0017】
水素添加油の例としては、これらに限定されるものではないが、水素添加ヒマシ油;水素添加綿実油;水素添加大豆油;及び水素添加パーム油が挙げられる。油の例には、胡麻油が含まれる。
【0018】
ろうの例としては、これらに限定されるものではないが、カルナバろう、蜜ろう及び鯨ろうが挙げられる。炭化水素の例としては、これらに限定されるものではないが、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンが挙げられる。脂肪アルコール、すなわち、約14〜約31個の炭素原子を有する高分子量不揮発性アルコールの例としては、これらに限定されるものではないが、セチルアルコール、例えば、Croda Corp.(Edison,NJ)製のCRODACOL C−70;ステアリルアルコール、例えば、Croda Corp製のCRODACOL S−95;ラウリルアルコール;及びミリスチルアルコールが挙げられる。約10〜約22個の炭素原子を有し得る脂肪酸の例としては、これらに限定されるものではないが、ステアリン酸、例えば、Crompton Corp.(Middlebury,CT)製のHYSTRENE 5016;デカン酸;パルミチン酸;ラウリン酸;及びミリスチン酸が挙げられる。
【0019】
本明細書において使用される「溶融造粒」という用語は、以下の配合方法をさし、その方法は
(a)治療化合物と少なくとも1種の造粒賦形剤との混合物を形成する工程;
(b)治療化合物の融点(又は溶融範囲)より低いか又はほぼその温度である温度まで混合物を加熱しながら押出機を使用して前記混合物を造粒する工程;及び
(c)押出成形物を室温まで、例えば、制御された速度で冷却する工程:
を含む。
【0020】
治療化合物と造粒賦形剤を加熱及び混合して顆粒の内相を形成すること(すなわち、押出成形物から)は、押出機を使用することにより達成される。造粒賦形剤は、例えば、組成物の約1重量%〜約50重量%の量で存在してもよい。一実施形態では、造粒賦形剤は、組成物の約3重量%〜約25重量%の量で存在してもよい。湿式造粒プロセス中に作製された顆粒とは異なり、本発明の溶融造粒方法は、造粒プロセス中に造粒液、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はアセトンを必ずしも必要としない。
【0021】
得られる顆粒は、例えば、造粒賦形剤によりコーティングされた又は実質的にコーティングされた治療化合物の粒子であるか、あるいは、造粒賦形剤とともに又は造粒賦形剤の中に包埋されたか又は実質的に包埋された治療化合物の粒子である。
【0022】
一般に、押出機は、固定バレル内に回転軸を備え、そのバレルの一端に任意選択のダイが配置される。回転軸の全長に沿って、材料(例えば、治療化合物、放出遅延物質、及び任意の他の必要な賦形剤)の分配混練がバレル内の軸の回転によってもたらされる。概念的に、押出機は少なくとも3つの部分:供給部分;加熱部分及び計量部分に分けることができる。供給部分では、原料が例えば、ホッパーから、押出機に供給される。加熱部分では、原料が治療化合物の溶融温度より低い温度まで加熱される。加熱部分の後には計量部分であり、そこでは混合された材料が任意選択のダイを通して特定の形状、例えば、顆粒またヌードル状に押出成形される。本発明において特に有用な押出機のタイプは、場合により混練パドルとともに構成された一軸、二軸及び多軸押出機である。
【0023】
顆粒が得られると、医薬組成物の外相を構成するさらなる従来の賦形剤を添加することにより、その顆粒を経口形態、例えば、固形経口剤形、例えば錠剤、丸剤、トローチ剤、カプレット、カプセル剤又はサシェ剤に製剤することができる。医薬組成物の外相はまた、さらなる治療化合物も含むことができる。このような固形経口剤形は、例えば、単位経口剤形である。このような賦形剤の例としては、これらに限定されるものではないが、放出遅延剤、可塑剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、安定剤、充填剤及び希釈剤が挙げられる。当業者は、固形経口剤形の特定の望ましい特性に関して日常的な実験により過度の負担なく、前述の賦形剤のうちの1種以上を選択することができる。使用されるそれぞれの賦形剤の量は、当分野で慣習的な範囲内で変動し得る。全体が参照により本明細書に組み込まれる以下の参照文献には、経口剤形の製剤に使用される技術及び賦形剤が開示されている。The Handbook of Pharmaceutical Excipients, 4th edition, Rowe et al., Eds., American Pharmaceuticals Association (2003);及びRemington: the Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, Gennaro, Ed., Lippincott Williams & Wilkins (2003)を参照されたい。
【0024】
本明細書において使用される「放出遅延剤」という用語は、経口摂取された場合に医薬組成物からの治療化合物の放出を遅らせる任意の材料又は物質をさす。当分野で公知の様々な持続放出系、例えば、拡散系、溶解系及び/又は浸透圧系は、放出遅延成分の使用により達成することができる。放出遅延剤は、本質的にポリマー又は非ポリマーであり得る。本発明の医薬組成物には、持続放出組成物が望ましい場合には、例えば、組成物の重量の少なくとも5%の放出遅延剤が含まれる。
【0025】
医薬的に許容される崩壊剤の例としては、これらに限定されるものではないが、デンプン;セルロース;ナトリウムデンプングリコレート、架橋ポリマー、例えば、架橋ポリビニルピロリドン又はクロスポビドン、例えば、International Specialty Products(Wayne,NJ)製のPOLYPLASDONE XL;架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース又はクロスカルメロースナトリウム、例えば、FMC製のAC−DI−SOL;及び架橋カルシウムカルボキシメチルセルロース;及びグアーガムが挙げられる。崩壊剤は、組成物の約0重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。一実施形態において、崩壊剤は、組成物の約0.1重量%〜約8重量%の量で存在する。
【0026】
医薬的に許容される結合剤の例としては、これらに限定されるものではないが、デンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、微晶質セルロース、例えば、FMC製のAVICEL PH(Philadelphia,PA)、ポビドン、コプロイビドン(coployvidone)、Dow Chemical Corp.(Midland、MI)製のヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース METHOCEL;ならびにゼラチンが挙げられる。結合剤は、組成物の約0重量%〜約50重量%、例えば、10〜40重量%の量で存在してもよい。
【0027】
医薬的に許容される滑沢剤及び医薬的に許容される流動促進剤の例としては、これらに限定されるものではないが、デンプン、タルク、三塩基性カルシウムホスフェート、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフマレート、水素添加油、コンプリトール、ポリエチレングリコールが挙げられる。滑沢剤は、組成物の約0重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。一実施形態において、滑沢剤は、組成物の約0.1重量%〜約1.5重量%の量で存在してもよい。流動促進剤は、約0.1重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。
【0028】
医薬的に許容される充填剤及び医薬的に許容される希釈剤の例としては、これらに限定されるものではないが、圧縮糖、デキストレート(dextrates)、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微晶質セルロース、粉末セルロース、ソルビトール、スクロース及びタルクが挙げられる。充填剤及び/又は希釈剤は、例えば、組成物の約15重量%〜約40重量%の量で存在してもよい。
【0029】
本発明の医薬組成物を製造するために、治療化合物と造粒賦形剤は99:1〜1:1の範囲の比(乾燥重量ベースで)で、押出機のホッパーへの添加前に又は添加によりブレンドされる。例示的な一実施形態において、治療化合物と造粒賦形剤とのこの比は97:3〜40:60(乾燥重量ベースで)の範囲であり得る。さらにもう1つの代替実施形態において、この比は97:3〜75:25(乾燥重量ベースで)の範囲であり得る。場合により、可塑剤を内相に添加することができる。
【0030】
前記混合物は治療化合物の溶融温度より低い温度まで加熱される。混合物が加熱されている時に、押出機の軸により混練もされている。混合物は高温で維持され、粒状生成物を形成するのに十分な時間ブレンドされる。混合物がバレルの全長に沿って運搬された後、粒状生成物(押出成形物である)が得られ、その粒状混合物が冷却される。
【0031】
冷却後、押出成形物を粉砕し、その後ふるいに通してふるい分けることができる。その顆粒(医薬組成物の内相を構成する)は、次いで、固形経口剤形の賦形剤(医薬組成物の外相)、すなわち、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などと合わせられる。合わせた混合物は、さらに、例えば、V型ブレンダーによりブレンドし、その後錠剤、例えば一体型錠剤(a monolithic tablet)に圧縮又は成形されるか又はカプセルに封入されてもよい。
【0032】
錠剤が得られると、それらを場合により当分野で公知の機能性もしくは非機能性コーティングでコーティングすることができる。コーティング法の例としては、これらに限定されるものではないが、糖コーティング、フィルムコーティング、マイクロカプセル封入及び圧縮コーティングが挙げられる。コーティングのタイプとしては、これらに限定されるものではないが、腸溶コーティング、持続放出コーティング、制御放出コーティングが挙げられる。
【0033】
本発明の医薬組成物全ての有用性は、標準臨床試験において、例えば、治療化合物の治療上有効な血中レベルを与える薬物用量の既知指標で;例えば、75kgの哺乳類、例えば成人に対して1日当たり2.5〜1000mgの範囲の治療化合物の投薬量を用いて、かつ、標準動物モデルにおいて、観察することができる。
【0034】
本発明は、治療化合物により処置可能な疾患、状態又は障害に罹患している対象の処置方法であって、このような処置を必要とする対象に本発明の医薬組成物の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。
【0035】

以下の実施例は例示であり、本明細書において記載する本発明の範囲を限定するために示すものではない。それらの実施例は本発明を実践する方法を示唆するためだけのものである。
【実施例1】
【0036】
【表1】

【0037】
内相成分、すなわち、一水和物4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩と、AqualonよりKlucel EXFとして入手可能なヒドロキシプロピルセルロースとを合わせ、ビンブレンダー中で約200回転ブレンドする。このブレンドを二軸押出機の供給部分、すなわち、ホッパーに導入する。適した二軸押出機は、Thermo Electron Corp.(Waltham,Massachusetts)から入手可能なPRISM 16mm医療用二軸押出機である。
【0038】
二軸押出機の端部に配置されるのは内径およそ3mmのダイである。二軸押出機は、独立して異なるパラメーターに合わせることのできる5つの個別のバレルゾーン、又は部分で構成される。ホッパーから始まりダイまでの、それらのゾーンはそれぞれ次の温度まで加熱される:145℃、145℃、120℃、80℃及び40℃。軸速度は150rpmに設定するが、400rpm程度の速さでもあってもよい。
【0039】
次いで、押出機からの押出成形物、すなわち顆粒をおよそ15〜20分放置することにより室温まで冷却する。冷却した顆粒をその後18メッシュのふるい(すなわち、1mmのふるい)に通してふるい分ける。冷却した顆粒は、無水4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩を含む。
【0040】
外相について、Avicel及びクロスカルメロースナトリウム(croscarrmellose sodium)を、得た顆粒と、適したビンブレンダーを使用しておよそ200回転ブレンドした。マグネシウムステアレートをまず30メッシュに通す。次いで、そのマグネシウムステアレートを前記混合物とおよそ60回転ブレンドする。得られる最終ブレンドを、従来のロータリー式打錠機(Manesty Beta Press)を使用し、6kN〜40kN間の圧縮力、又は5〜15kNのクラベルプレススーイング圧縮力(Claver press suing compression force)を用いて錠剤に圧縮する。得られる錠剤は一体化されていて、100〜400Nの範囲の硬度を有する。200〜400Nの範囲の硬度を有する錠剤は、500回落下後に1.0%w/w未満の許容される脆砕性という結果になった。
【0041】
同様のプロセスを用いて、次の錠剤を調製した。
【実施例2】
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
本発明をその詳細な説明とともに記載してきたが、前述の記載は例示を目的とするものであって本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義されることは当然理解される。その他の態様、利点及び変更は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物を製造するための方法であって、
(a)治療化合物を少なくとも1種の造粒賦形剤と合わせて混合物を形成する工程と、
(b)前記治療化合物の融点より低い加熱温度まで前記混合物を加熱しながら押出機において前記混合物を混練する工程と、
(c)前記混合物を押出して顆粒を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記治療化合物が、4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、一水和物4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩である、請求項2に記載の治療化合物。
【請求項4】
前記造粒賦形剤が、ポリビニルピロリドン、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メタクリル酸コポリマー、エチルアクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、ブチルメタクリレートコポリマー、2−ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)ポリアクリルアミド、ビニルアセテート、クロトン酸、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、カラギーナン、ガラクトマンナン、キサンタンガム、水、ソルビトール、トリエチルシトレート、トリアセチン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、グリセロール、ペンタエリスリトール、グリセロールモノアセテート、ジアセテート、トリアセテート、プロピレングリコール、ナトリウムジエチルスルホスクシネート、モノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、アセチル化グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、セチルパルミテート、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、水素添加ヒマシ油、水素添加綿実油、水素添加大豆油、水素添加パーム油、カルナバろう、蜜ろう、鯨ろう、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリン酸、デカン酸、パルミチン酸、ラウリン酸及びミリスチン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記造粒賦形剤が、ソルビトール、ヒドロキシプロピルセルロース及びプロピレンエチレングリコールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱温度が140℃より低い温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記顆粒が、無水4−アミノ−5−フルオロ−3−[5−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]キノリン−2(1H)−オン乳酸塩を含む、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2011−526928(P2011−526928A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516879(P2011−516879)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/049548
【国際公開番号】WO2010/003078
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】