説明

溶解性の改善された可食性フィルム及びその製造方法

【課題】冷水・熱湯に対する溶解性等に問題があった従来の可食性フィルムの課題を解決する。
【解決手段】ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とし、且つ下記[A]及び[B]の熱特性を同時に満足する可食性フィルム。
[A]前記可食性フィルムを20℃の水中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムはフィルム状形態を保持しつつ吸水してゲル化される。
[B]前記可食性フィルムを70℃の熱湯中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムは熱湯中に完全に溶解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は溶解性の改善された可食性フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等では、持ち運びに便利であり、廃棄も容易で且つ安価という理由から様々な種類・形態のカップ製品が販売されている。例えば、うどん、そば、ラーメン、パスタ等の麺類やカレーライス、炒飯、中華丼などの米飯類等がある。この様なカップ製品の多くは、食品素材と食品素材の間にプラスチック製フィルムからなる仕切り材が使用されている。この仕切り材の目的は、食品素材間の水分移行や色移り等を防止し、カップ製品の商品価値を保持するためである。
しかし、喫食前に、その仕切り材を取り除くことを要し、手や服を汚す原因となったり、廃棄によってゴミを増加し環境へ負荷をかける等の種々の問題が発生する。
また、調理時に1食毎の計量が不要で且つ簡便性に優れているため、乾麺類を1食分毎にプラスチック製フィルムや紙等を利用して結束した商品が知られている。結束に使用しているプラスチックや紙のテープは調理前に外さなければならず、ゴミとして廃棄することになる。更に、結束用に使用しているテープを外す際に乾麺を折ってしまったり、お湯へ投入する前にばらばらになって逆に手間となる等の問題も発生する。
【0003】
ところで、近年、環境への負荷削減などの観点からプラスチック製品を使用した商品の見直しがなされつつある。このため、プラスチック製の仕切り材に代えて可食性フィルムを用いることが提案されている。
かかる可食性フィルムとしては、オブラートフィルム、プルランフィルム、アルギン酸フィルム及びゼラチンフィルムが提案されている(下記特許文献1参照)。
また、その他可食性フィルムとしては、熱水に溶解して使用する事を目的としたカラギナンフィルムが提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−60579号公報
【特許文献2】特開昭60−60579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる可食性フィルムのうち、オブラートフィルム、プルランフィルム、アルギン酸フィルム及びゼラチンフィルムは、熱水での溶解性・崩壊性は良好であるものの、冷水でも溶解・崩壊するため、食品の仕切り材としては不適当であった。
この様に、オブラートフィルム、プルランフィルム、アルギン酸フィルム、ゼラチンフィルムは、冷水可溶タイプのフィルムであるため、耐湿度性に劣る。従って、オブラートフィルム等の冷水可溶タイプのフィルムを結束テープに用いた場合、かかる結束テープを使用した商品を高湿度下で連続的に生産することは困難であった。
一方、カラギナンフィルムは、冷水に溶解せず熱水に溶解するため、加熱を施すチルド食品の仕切り材として使用できる可能性を有している。
しかし、本発明者の検討によれば、従来のカラギナンフィルムは、熱水での溶解性が完全ではなく、塩類の多いスープ等の水溶液では溶け残りが見られるなどの問題が生じている。このため、従来のカラギナンフィルムを、塩類の多いスープ等が用いられるカップ製品の仕切り材として使用すると、電子レンジ等で調理したとき、カラギナンフィルムの溶け残りが見られる。
また、カラギナンフィルムは、オブラート等の冷水可溶タイプの可食性フィルムに比較して引張強度に優れ、耐湿性にも優れているため、麺の結束テープとして使用できる可能性を有している。
しかし、従来のカラギナンフィルムは、上述した如く、熱水での即溶性を有していないため、お湯の中で麺がすぐにバラけることができず、麺同士が接着してしまうと言う現象が見られた。
そこで、本発明は、冷水・熱湯に対する溶解性等に問題があった従来の可食性フィルムの課題を解決し、冷水・熱湯に対する溶解性等が改善された可食性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するには、冷水に溶解せず熱水に溶解するフィルムの熱湯中での溶解性を向上することが有効であると考え検討した。
先ず、従来のフィルムが熱湯中で直ちに溶解しない現象は、フィルムを形成する高分子鎖が高度に絡み合って高次構造を形成しており、フィルム内に水分が容易に侵入できないことにあり、フィルムの製造の際に、高分子鎖の絡み合いの程度を調整してフィルム化できれば、熱湯中で直ちに溶解できるフィルムを得ることができるものと考えて検討した。
その結果、ゲル化能を有するハイドロコロイドを支持体上に流延してフィルムを製造する際に、フィルム内の水分の除去速度と高分子鎖の絡み合いとに関係があり、支持体上に流延して製膜したフィルム内の水分の除去速度を制御することによって、得られたフィルム内の高分子鎖の絡み合いの程度を制御できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明者等は、前記課題を解決する手段として、ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とし、且つ下記[A]及び[B]の熱特性を同時に満足する可食性フィルムを提供できる。
[A]前記可食性フィルムを20℃の水中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムはフィルム状形態を保持しつつ吸水してゲル化される。
[B]前記可食性フィルムを70℃の熱湯中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムは熱湯中に完全に溶解される。
また、本発明者等は、前記課題を解決する手段として、ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液を支持体上に流延して可食性フィルムを製造する際に、前記支持体上の可食性フィルムを両面側から加熱して、表面を膠状にすることなく前記可食性フィルム中の水分を除去できるように、前記可食性フィルムの表面と接触する支持体及び雰囲気の温度を、前記原液の凝固点以上、好ましくは5℃以上、さらに好ましくは10℃以上に加熱して乾燥する可食性フィルムの製造方法を提供できる。
ゲル可能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液から水分を除去する速度は、表面を膠状にしないことなどを勘案して、好ましくは15分以内、さらに好ましくは5分以内が望ましい。
【0008】
本発明者が提供した課題を解決する手段において、下記の好ましい態様を上げることができる。
ゲル化可能のハイドロコロイドとしては、紅藻類から抽出したハイドロコロイドを好適に用いることができる。
また、得られた可食性フィルムを、調理時に加熱処理される食品を仕切る仕切り用可食性フィルムとして用いることによって、電子レンジによる加熱処理の際に、仕切り用可食性フィルムが完全に溶解して消滅し、食品同士を初めて接触できる。
或いは、得られた可食性フィルムを、調理時に熱湯中で処理される食品を結束する結束用可食性フィルムに用いることによって、結束用可食性フィルムで結束された状態の食品を熱湯中に投入すると、結束用可食性フィルムが直ちに溶解され、熱湯中に食品がバラバラの状態となり、食品同士が接合することなく茹でることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明者が提案した溶解性の改善された可食性フィルムの製造方法によれば、ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液を支持体上に流延した可食性フィルムを、その表面と接触する支持体及び雰囲気の温度を原液の凝固点以上に加熱し、可食性フィルム中の水分を迅速に除去して乾燥する。
このため、得られた可食性フィルムは、その高分子鎖の絡み合いの程度を抑制でき、20℃の水中に1分間浸漬しても、フィルム状形態を保持しつつ吸水してゲル化されるものの、70℃の熱湯中に1分間浸漬したとき、熱湯中に完全に溶解される。
従って、かかる可食性フィルムを、食品を仕切る仕切り用可食性フィルムや食品を結束する結束用可食フィルムとして用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者が提案した可食性フィルムは、ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする可食性フィルムである。
この可食性フィルムは、下記[A]及び[B]の熱特性を同時に満足するものである。
[A]可食性フィルムを20℃の水中に1分間浸漬したとき、可食性フィルムはフィルム状形態を保持しつつ吸水してゲル化される。
[B]可食性フィルムを70℃の熱湯中に1分間浸漬したとき、可食性フィルムは熱湯中に完全に溶解される。
【0011】
かかる熱特性を有する可食性フィルムを、調理時に加熱処理される食品を仕切る仕切り用可食性フィルム、例えば0〜10℃で取り扱われるチルド食品としてのカップ麺のスープと麺とを仕切る仕切り用可食フィルムに用いた場合、常温以下の温度では、仕切り用可食フィルムはスープや麺中の水分を吸収してゲル化されても、そのフィルム状形態を保持でき、麺とスープとを仕切る仕切り用としての役割を充分に果たすことができる。このため、チルド状態で製品を輸送や保存する際に、麺にスープが侵入して商品価値が劣化することを防止できる。
一方、かかるチルド食品としてのカップ麺を電子レンジによって加熱すると、麺とスープとの仕切り用可食性フィルムは、スープ等が70℃以上に加熱されたとき、仕切り用可食性フィルムは完全に溶解される。このため、スープと麺とが初めて接触し、良好な見栄えと風味とを呈することができる。
【0012】
また、かかる熱特性を有する可食性フィルムを、調理時に熱湯中で処理される食品の結束用可食性フィルム、例えば乾麺の結束用に用いた場合には、乾麺を結束する機械的強度を有しているため、結束用可食性フィルムの役割を果たすことができる。
一方、結束用可食性フィルムで結束された乾麺を熱湯水中に投入した場合には、結束用可食性フィルムは迅速に溶解され、熱湯水中で麺がバラバラとなって麺同士が接合されて「だま」を形成することなく麺を茹で上げることができる。
【0013】
本発明者等が提案した可食性フィルムを製造する際には、先ず、ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液を支持体上に流延する。
この「ゲル化能を有するハイドロコロイド」としては、紅藻類から抽出されたハイドロコロイド、特に紅藻類から抽出された寒天、κ-カラギナン、ファーセレランを含有するハイドロコロイドを好適に用いることができる。
かかるゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液には、増量や可塑性の向上を図るべく、ゲル化能を有さないハイドロコロイドや乳化剤、多価アルコール、無機物等その他の成分を添加してもよいが、ゲル化能を有するハイドロコロイドの添加量を超えないように調整する。
【0014】
原液を支持体上に流延して成膜した可食性フィルムに対しては、その表面と接触する支持体及び雰囲気の温度を原液の凝固点以上に加熱して乾燥する。このため、支持体を所定温度に加熱するヒータ及び可食性フィルムの表面と接触する雰囲気の温度を所定温度に加熱するヒータを設けることが好ましい。
この様に、原液を支持体上に流延して成膜した可食性フィルムの両面側から加熱することによって、可食性フィルム中の水分を迅速に除去して乾燥でき、可食性フィルムの高分子鎖の絡み合い程度を抑制できる。
ここで、支持体上の可食性フィルムの一面側を加熱、具体的には支持体又は雰囲気の一方を加熱して乾燥した場合には、可食性フィルムの非加熱面が膠状となって、可食性フィルム中の水分の迅速除去できず、得られた可食性フィルムは高分子鎖が充分に絡み合う高次構造が完了したものとなる。
また、原液の凝固点は、原液を採取した試験管を傾斜したとき、原液が試験管と共に傾斜しなくなる温度である。かかる原液の凝固点は、ゲル化能を有するハイドロコロイドの種類や濃度によって異なり、実験的に求めておくことが好ましい。
このような溶解性の改善された可食性フィルムは、現在プラスチック製フィルムを使用している製品のフィルムの代替として使用することが可能であり、具体的には、チルド流通されるカップ製品の仕切り材や冷凍食品の仕切り材、乾麺類等の結束テープ、粉末状食品素材の包装材、液状又は半液状食品素材の包装材、油性食品素材の包装材などへの使用が可能となる。
【実施例1】
【0015】
ゲル化能を有するハイドロコロイドとして、伊那食品工業(株)製の寒天10gを水90g中に分散し、95℃に昇温して攪拌溶解して原液を得た。得られた原液の凝固点温度は60℃であった。
次いで、このハイドロコロイドを、裏面にヒータが設けられた支持体表面上に流延して得た可食性フィルムを、ヒータによって支持体を90℃に加熱しつつ、内部が90℃に加熱された乾燥器内に支持体ごと挿入して乾燥を施した。
【実施例2】
【0016】
ゲル化能を有するハイドロコロイドとして、伊那食品工業(株)製のカラギナン5gを水95g中に分散し、85℃に昇温して攪拌溶解して原液を得た。得られた原液の凝固点温度は65℃であった。
次いで、このハイドロコロイドを、裏面にヒータが設けられた支持体表面上に流延して得た可食性フィルムを、ヒータによって支持体を90℃に加熱しつつ、内部が90℃に加熱された乾燥器内に支持体ごと挿入して乾燥を施した。
【比較例1】
【0017】
実施例1において、ヒータによる支持体の加熱をしなかった他は、実施例1と同様にして可食性フィルムを得た。
【比較例2】
【0018】
実施例2において、ヒータによって加熱した支持体を、乾燥器内に挿入しなかった他は、実施例1と同様にして可食性フィルムを得た。
【比較例3】
【0019】
実施例1に用いた可食性フィルムの製造装置を用い、下記に示す表1のように、ゲル化能を有するハイドロコロイドの種類及び加熱条件等を変更して可食性フィルムを得た。
【表1】

【実施例3】
【0020】
実施例1〜比較例3で得られた可食性フィルムの熱特性を調査すべく、各可食性フィルムについて下記表2のように水や熱湯に60秒間浸漬して、その状態を観察した。その結果を表2に併記した。
【表2】

表2から明らかなように、実施例1及び実施例2の可食性フィルムは、20℃の水には溶解しないが、70℃の熱湯には溶解する。
一方、比較例1及び比較例2の可食性フィルムは、70℃の熱湯には溶解せず、比較例1の可食性フィルムは80℃の熱湯でようやく溶解し、比較例2の可食性フィルムは90℃の熱湯によってようやく溶解する。
また、比較例3のいずれの可食性フィルムも、20℃の水に完全に溶解又は崩壊している。
【実施例4】
【0021】
カラギナンを用いたハイドロコロイドを原液とする実施例2の可食性フィルムを20℃の水に浸漬し、フィルム自重の10倍量の水を吸収するまでの時間を測定したところ、25秒であった。更に、フィルム自重の10倍量の水を吸収したフィルム状ゲルの強度を測定したところ、3.7Nであった。
また、カラギナンを用いたハイドロコロイドを原液とする比較例2の可食性フィルムを20℃の水に浸漬し、フィルム自重の10倍量の水を吸収するまでの時間を測定したところ、50秒であった。更に、フィルム自重の10倍量の水を吸収したフィルム状ゲルの強度を測定したところ、5.2Nであった。
この様に、実施例1の可食性フィルムでは、比較例2の可食性フィルムに比較して、水の吸収速度が速く、且つフィルム状ゲルの強度も低かった。このことは、実施例1の可食性フィルムは、比較例2の可食性フィルムよりも高分子鎖の結合が不完全であることを示している。
【実施例5】
【0022】
カップ内の底部に弱くゲル化したスープを4〜10℃で充填した後、弱くゲル化されたスープ上に実施例1〜比較例3で得られた可食性フィルムを静置した。更に、この可食性フィルム上に麺を静置し蓋をしてカップ麺を得た。次いで、得られたカップ麺をチルド状態で48時間保存した後、カップ麺の蓋を開けて可食性フィルムの状態を観察して、その結果を下記の表3に示す。
チルド状態で48時間保存した後に、可食性フィルムが存在していた実施例1,2及び比較例1,2のカップ麺を電子レンジ(600W)で4分間加熱して、可食性フィルムの状態を観察し、その結果を下記の表3に併せて示す。
【表3】

表3から明らかなように、実施例1,2及び比較例1,2の可食性フィルムは、弱くゲル化されたスープ及び麺からの水分を吸収してゲル化しても、フィルム形状を保持している。
また、実施例1,2の可食性フィルムは、電子レンジによってカップ麺を加熱したとき、完全に溶解している。このため、実施例1,2の可食性フィルムは、チルド食品としてのカップ麺のスープと麺との仕切り用として適している。
他方、比較例1,2の可食性フィルムは、いずれも電子レンジによってカップ麺を加熱したときでも、一部は溶解せず残留している。このため、チルド食品としてのカップ麺のスープと麺との仕切り用としては不適当である。
一方、比較例3の可食性フィルムのいずれも、ゲル化されたスープ及び麺からの水分を吸収して、一部が溶解又は完全に溶解しており、カップ麺のスープと麺との仕切り用としては使用できなかった。
【実施例6】
【0023】
実施例1〜比較例3の可食性フィルムを幅15mmに切断して、乾麺を結束する結束用可食性フィルムとした。この結束用性フィルムによって乾麺100gを結束したとき、結束用可食性フィルムの状態を下記の表4に示す。結束用可食性フィルムによって結束された状態の乾麺を沸騰水に投入し、2分後の麺の状態を観察した結果を、表4に併せて示す。
【表4】

表4から明らかな様に、実施例1,2及び比較例1,2の結束用可食性フィルムは、乾麺の結束用として使用できる。
また、実施例1,2の結束用可食性フィルムは、乾麺と共に熱湯水に投入されたとき、直ちに溶解するため、麺がバラバラとなって均一に茹上がる。このため、実施例1,2の結束用可食性フィルムは、乾麺の結束用として適している。
他方、比較例1,2の可食性フィルムは、乾麺と共に熱湯水に投入されたとき、直ちに溶解せず麺が結束されており、一部が「だま」となる。このため、比較例1,2の結束用可食性フィルムは、結束した状態の乾麺を熱湯に挿入する結束用可食性フィルムとしては不適当である。
一方、比較例3の結束用可食性フィルムのいずれも、乾麺を結束したとき、フィルム破断が発生し、乾麺の結束用としては使用できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とし、且つ下記[A]及び[B]の熱特性を同時に満足することを特徴とする可食性フィルム。
[A]前記可食性フィルムを20℃の水中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムはフィルム状形態を保持しつつ吸水してゲル化される。
[B]前記可食性フィルムを70℃の熱湯中に1分間浸漬したとき、前記可食性フィルムは熱湯中に完全に溶解される。
【請求項2】
ゲル化能を有するハイドロコロイドが、紅藻類から抽出されたハイドロコロイドである請求項1記載の可食性フィルム。
【請求項3】
可食性フィルムが、調理時に加熱処理される食品を仕切る仕切り用可食フィルムである請求項1又は請求項2記載の可食性フィルム。
【請求項4】
可食性フィルムが、調理時に熱湯中で処理される食品を結束する結束用可食性フィルムである請求項1又は請求項2記載の可食性フィルム。
【請求項5】
ゲル化能を有するハイドロコロイドを主成分とする原液を支持体上に流延して可食性フィルムを製造する際に、
前記支持体上の可食性フィルムを両面側から加熱して、表面を膠状にすることなく前記可食性フィルム中の水分を除去できるように、前記可食性フィルムの表面と接触する支持体及び雰囲気の温度を、前記原液の凝固点以上に加熱して乾燥することを特徴とする可食性フィルムの製造方法。
【請求項6】
ゲル化能を有するハイドロコロイドとして、紅藻類から抽出したハイドロコロイドを用いる請求項5記載の可食性フィルムの製造方法。