説明

溶鉱炉のための測定装置と測定方法、このような種類の装置を有する溶鉱炉、および少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置

【課題】本発明は、電磁波を送信および受信するための少なくとも1つの第1の測定プローブ(10)を有する、溶鉱炉のための表面測定のための測定装置に関する。
【解決手段】本発明は、音波を送信および受信するための少なくとも1つの第2の測定プローブ(11)によって区別され、上記第1および第2の測定プローブ(10、11)は上記第1および第2の測定プローブ(10、11)の測定データにおける温度関連の差が上記溶鉱炉内の装入物の表面におけるガス温度分布を解明するために決定されるように整えられるような仕方で前記測定データの評価のためのプロセッサ(12)に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鉱炉のための測定装置および測定方法と、このような種類の測定装置を有する溶鉱炉と、少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置と、に関する。請求項1の前文の特徴を有する表面測定のための装置は、例えばDE4027975C2から周知である。
【背景技術】
【0002】
溶鉱炉の最上部において装入物の表面を調査するための種々の表面測定システムは、周知である。例えば溶鉱炉内の装入物材料のトポグラフィーを解明するためにレーダープローブが使用される。結果として装入物の2次元走査が可能にされる複数の個別アンテナを有するこのような種類のレーダープローブは、最初に述べられたDE4027975C2から周知である。しかしながら複合アンテナを有するこのような種類のプローブは高価であって、個別アンテナの位相変位の監視と制御のための複雑な電子回路を必要とする。更に装入物の表面までの距離を測定するために使用されるレーダープローブは、DE3715762A1、DE4027962A1、DE4027973A1、DE4238704A1、EP0012311B1、EP0017664B1およびUS4,219,814から周知である。
【0003】
また間欠的に溶鉱炉に入れられてから再び取り出される、あるいは固定した仕方で炉内に設置される、いずれかの測定ランス(lance)または測定スウォード(sword)の形をしたレーダープローブも実用上、周知である。このような種類のレーダーランスの一例も、上記のDE3715762A1に開示されている。それらの設計によって、このようなランスは、材料の流れと高い熱応力とによって引き起こされる高度の磨耗を受ける。したがってこれらの運用寿命は十分ではない。また同じことは保守における高い費用にも当てはまる。また溶鉱炉トポグラフィーを記録する粗面計(profilometer)と呼ばれるレーダープローブも実用上、周知である。しかしながらこのプローブは、後でプロファイルを調査するために装入後にだけ溶鉱炉内に導入され得る。装入の途中での材料の落下がプローブを損傷するので、装入の前にこのランスは再び取り出されなくてはならない。
【0004】
US3,099,744とUS3,123,712は、放射線を用いて溶鉱炉内の装入物材料のトポグラフィーを決定するための表面測定システムを説明している。放射線のためにこのような種類の測定システムは、管理が困難であって大きな安全上の注意を必要とする。
【0005】
更に、溶鉱炉最上部の装入物の表面プロファイルを決定するための周知のシステムは、溶鉱炉内の装入物ストックの表面がレーザービームを使用して走査される光学的測定システムを含む。装入物ストックの表面プロファイルは、三角測量によるレーザービームの投射角度および受光角度から決定される。三角測量の原理に基づく測定システムは、送信機と受信機ができるだけ遠く離れて配置されることを必要とし、この目的のために溶鉱炉の壁には2つの観測窓が必要とされる。これらの光学システムの改善は、距離の測定が放射ビームと反射ビームとの間の位相比較の原理で実行される光学的測定システムによって提供される。溶鉱炉構造内の光学的測定システムの例は、DE3321287C2、EP0071426B1、EP0134772A1、EP0014626A1およびWO88/08546に記載されている。光学的測定システムは、光が溶鉱炉内に広がる濁った空気をほとんど透過しないで空気中に存在する粒子によって散乱されるので、溶鉱炉内での使用のためにほんの限定された適合性を有するだけである。
【0006】
溶鉱炉内の装入物の熱分布を測定するために、DE1940104、DE2709548、US4,463,437およびUS2006/00502147A1に記載されているように熱カメラの使用が周知である。溶鉱炉内の装入物の温度プロファイルと表面プロファイルを解明するために、例えばレーザープローブの形をした光学的距離測定装置が赤外線カメラと組み合わされた複合測定システムが周知である。それらシステムの例は、DE1583443、DE2948295C2およびDE3015006C2に開示されている。
【0007】
前述の測定システムは、ある程度わずかな限定された適合性があり、比較的低い位置解像度を有し、および/または構造と制御技術の点から複雑であり、また磨耗の影響を受けやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の基調を成す課題は、比較的低い保守費用でもって長い運用寿命を可能にする溶鉱炉のための測定装置と測定方法とを提供することである。本発明の基調を成す課題は更に、このような種類の装置を有する溶鉱炉と、溶鉱炉内の装入物ストックの表面の簡単な走査を可能にする少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の主題による装置によって、請求項9の主題による方法によって、請求項7の主題による溶鉱炉によって、および請求項12の主題による傾斜装置によって、解決される。
【0010】
本発明は、溶鉱炉のための測定装置を提供するという考えに基づいており、この装置は電磁波を送信および受信するための少なくとも1つの第1の測定プローブを含む。本装置は、音波を送信および受信するための少なくとも1つの第2の測定プローブを有し、第1、第2の測定プローブは、これら第1、第2の測定プローブの測定データにおける温度関連の差が、溶鉱炉内の装入物の表面におけるガス温度分布を解明するために決定されるように整えられるような仕方で、測定データの評価のためのプロセッサに接続される。本方法に関して本発明は、少なくとも2つの異なる測定プローブを使用するという考えに基づいており、これらの測定プローブの助けによって装入物の表面は一方では電磁波によって走査され、他方では音波によって走査され、また異なる測定プローブの測定データにおける温度関連の差は装入物の表面のガス温度分布を解明するために決定される。
【0011】
したがって本発明は、異なる物理的原理に基づく2つの異なる測定装置または測定方法を一緒に組み合わせる、または連結する。一方の測定装置又は測定方法は、ガス温度によって影響されない電磁波によって機能する。他方の測定装置又は測定方法は、その伝播速度がガス温度によって直接影響される音波によって機能する。異なる測定プローブと測定方法とを使用して装入物の表面までの距離を測定するとき、異なる測定システムおよび測定方法の測定データにおける温度関連の差が存在する。特に装入物ストックの表面によって反射された音波は、音波が通り抜けるガス雰囲気の温度によって影響されるが、装入物ストックの表面で反射された電磁波は影響されない。結果として得られた測定値の差は、装入物ストックの表面におけるガス温度分布の特性である変数を形成し、その結果として装入物ストックの表面における温度又は温度分布に関する結論を引き出すことが可能となる。したがって本発明は、測定信号が音波の温度依存性の結果として影響される音響的測定システムの場合に本来的に周知である欠点を、標準的使用(good use)に変える。音響的温度依存測定方法をもう1つの特に電磁波に基づく温度独立測定方法と組み合わせることによって、温度独立測定信号は、温度に関連してセットされ得る測定変数を構成する音響的測定信号の基準信号からの差を有する基準信号として使用され得る。
【0012】
原則として本発明は大まかに言えば、放射された測定信号が一方では温度独立性であり、他方では温度依存性である、異なる測定方法および測定装置の組合せによって機能する。
【0013】
本発明は、従来から周知の引き入れ引き出し可能な測定ランスが溶鉱炉の上部領域における1つ以上のプローブによって置き換えられ得るという利点を有する。そのときプローブはもはや、上から導入された材料による磨耗にも高温のガス流にも直接露出されことはなく、単に間欠的測定を可能にする周知の測定ランスとは対照的に、これらのプローブは装入物の表面の大きな領域の、特に装入物ストックの全表面の測定と、測定された値の連続的な決定との両方のための前提条件を与える。
【0014】
本発明の有利な実施形態は、添付の従属請求項に記載されている。
【0015】
好適な一実施形態では、プロセッサは、装入物の表面プロファイルが第1および/又は第2の測定プローブからプロセッサに送られた測定データを用いて解明可能であるように適合されている。これは、更に熱分布を解明するために設けられた測定プローブ、特に電磁波に基づいて機能する第1の測定プローブによって、装入物のトポグラフィーも決定され得るという利点を有する。
【0016】
有利なことに第1の測定プローブは、レーダープローブ、マイクロ波プローブ又は光プローブを備える。このようなプローブの測定信号は、実質的に温度独立性があり、基準信号として使用され得る。第2の測定プローブは、音波プローブ又は超音波プローブを備え得る。これらのプローブの測定信号は、温度依存性があり、したがって基準信号と併用して、測定位置における温度に関する情報を与えることができる。
【0017】
好適な一実施形態では、装入物の上方のガス雰囲気の平均温度の測定のために少なくとも1つの第3の測定プローブがプロセッサに接続される。装入物ストック表面からの距離が増加するにつれて、ガス雰囲気における温度差は均等になり、平均温度が確定される。第3の測定プローブは、装入物の上方のガス雰囲気のこの平均温度を検出する機能を有する。この平均温度は、表面に近いガス雰囲気のその領域における絶対温度値を解明する際に考慮に入れられ得る。特にこれは、音響的距離測定の途中で、表面から遠く離れたガス雰囲気のこの領域の平均ガス温度が音響的測定信号に及ぼす影響が、測定結果において考慮されるということを意味する。表面から遠く離れたガス雰囲気のこの領域におけるガス温度分布をより精確に解明するために、平均ガス温度の測定のための2つ以上の測定プローブを使用することは可能である。
【0018】
装入物の表面を走査するために、測定プローブは装入物の測定プロファイルの連続的表現を可能にするために移動可能に配置され得る。したがって溶鉱炉の運転者は、溶鉱炉内の装入物材料の表面を連続的に観測する位置にいて、溶鉱炉内の材料の流れ、又は材料を通るガス流が修正されることを必要としているかどうかを早い時点で認識できる。その結果、早い時点で適切な是正措置が取られ得る。
【0019】
有利には、測定プローブは溶鉱炉の上部領域にマウントされる。これらのプローブは、周知の測定ランスのための変位機構が無くて済むように、静止した仕方で固定位置にマウントされ得る。その結果として溶鉱炉壁におけるプローブの密封は、著しく単純化される。3次元測定プロファイルを生成するために固定位置の、あるいは静止したプローブは、傾斜可能および/または回転可能であり得る。表面の走査が制御可能なアンテナアレイによって行われる場合には固定したプローブを使用することも可能である。
【0020】
測定装置および測定方法の実施形態の更なる例は、詳細な説明においてより十分に説明される。
【0021】
本発明は更に、測定装置に関連して説明された測定プローブの1つ以上を機械的に位置変更するために、装入物ストックの表面を測定するための装置の場合に好適に使用される、少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置を含む。この傾斜装置はまた、他の用途のために、特に測定技術において、溶鉱炉構造において、あるいは一般に高温と攻撃的媒体(aggressive media)とに耐える強固な構成を有することが重要である条件下で、この測定装置とは独立に使用され得る。
【0022】
したがって本発明は更に、固定位置に配置された第1のハウジング部品と互いに関して回転可能である少なくとも2つの第2、第3のハウジング部品とを含む、多部品で少なくともある程度回転対称のハウジングを有する、特に少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置を設けるという考えに基づいている。第2および第3のハウジング部品は、第1のハウジング部品の長手方向軸に対して傾斜した面上で広がる第1の回転面を形成する。第2および/または第3のハウジング部品は回転駆動され、測定プローブは第1のハウジング部品とハウジングの基部との間で関節連結様式にマウントされる。固定位置に配置された第1のハウジング部品の結果として、傾斜装置は溶鉱炉のハウジング壁に固定的に接続されて密封されうる。測定プローブの傾斜運動は、第1のハウジング部品の長手方向軸に対して傾斜した面上で広がる第1の回転面を形成する、第2、第3のハウジング部品の相対的回転運動によって達成される。この相対的回転運動を作り出すために、第2および/または第3のハウジング部品は回転駆動される。これら2つのハウジング部品間の相対的回転運動に関して幾つかの可能性が存在する。2つのハウジング部品が互いに反対方向に回転するような仕方で、両ハウジング部品が別々に駆動されることは可能である。また代替として、これらのハウジング部品のどちらかが位置的に固定され、他方のハウジング部品が回転駆動されることも可能である。第1のハウジング部品の長手方向軸に対して傾斜した面上で広がる、第2、第3のハウジング部品間の第1の回転面が存在するため、第3のハウジング部品は傾斜した軌道上で動く。測定プローブは、この傾斜運動に追従して溶鉱炉内の材料の表面を走査できるように、第1のハウジング部品とハウジングの基部との間に、関節連結様式でマウントされる。
【0023】
本発明は、回転面の領域における簡単な半径方向の密封が可能にされるという利点を有する。本装置の同じ部分は、堆積した塵埃と汚れが密封面に侵入できないように、密封されたままに留まる。
【0024】
本発明の特に好適な実施形態では、第2、第3のハウジング部品は各々、円錐形構造をしている。互いに回転可能であるこれら2つのハウジング部品の円錐形構造は、傾斜面上で広がる第1の回転面に配置された2つのハウジング部品間にリング状の回転接続部を構成するための単純な可能性を与える。
【0025】
更なる好適な実施形態では、第1のハウジング部品と第2のハウジング部品は、回転可能に接続されて、特に(設置された位置で)水平に第1のハウジング部品の長手方向軸に垂直に広がる第2の回転面を形成する。第2の回転面の形成は、傾斜した第1の回転面における回転の結果と、第1のハウジング部品の長手方向軸に垂直に広がり、そして特に水平な回転面である第2の回転面における回転の結果との両方の結果として測定プローブが動かされるので、装置の傾斜の柔軟性を増加させる。その結果、組み合わされた傾斜運動が作り出され、それによって溶鉱炉内の材料の表面の全体又は少なくとも大きな領域が実際に走査され得る。
【0026】
更なる好適な実施形態では、ハウジングの基部と第3のハウジング部品は回転可能に接続されて、基部に平行に広がる第3の回転面を形成する。この実施形態は、少なくとも1つの測定プローブがトルクチェーンによって、一方では相対的回転を防止する仕方でハウジングの基部に接続され、他方では相対的回転を防止する仕方で第1のハウジング部品に接続される更なる実施形態と関連して、特に有利である。このトルクチェーンは、測定プローブの傾斜運動を可能にし、またハウジングの基部を固定位置に配置された第1のハウジング部品に相対的回転を防止する仕方で接続する。これは、ハウジングの基部と、この基部とハウジング部品との間に関節連結様式でマウントされた測定プローブとが、第2、第3のハウジング部品の回転に関与しないことを意味する。むしろ測定プローブの空間的動きは、トルクチェーンの傾斜運動によって達成される。測定プローブは単に傾けられるだけで回転に関与しないので、柔軟なリードを用いて測定プローブとの電気接続を作り出すことは比較的単純である。これは、構造、特に評価ユニットとの測定プローブの接続を単純化する。
【0027】
第2のハウジング部品の駆動は、第1のモータ、特に第1のハウジング部品に接続された歯車モータによって行われ得る。これは、第1の歯車モータが第1のハウジング部品によって支持されて、適当な歯車接続を介して第2のハウジング部品に接続されることを意味する。
【0028】
第3のハウジング部品の駆動のために、第2のモータ、特にハウジングの基部に接続された歯車モータが設けられ得る。この実施形態は、ハウジング基部と第3のハウジング部品との間に回転接続が設けられて、ハウジング基部が相対的回転を防止する仕方で第1のハウジング部品に接続される実施形態に関連して、特に有利である。結果としてハウジング基部は、適当な歯車接続によって第3のハウジング部品に接続された第2の歯車モータを支持する。
【0029】
ハウジングは、このハウジングを冷却および/または密封するためのガス供給用の少なくとも1つのフラッシング(flushing)接続を含み得る。その結果としてハウジング内の測定プローブの周りの空間は、例えば窒素の供給によって溶鉱炉雰囲気から密封され得る。同時に窒素又はその他の適当なガスは、敏感な電子部品を冷却して過熱を防止する。この構成では、ハウジング内に導入されるガス、特に窒素が、傾斜装置のハウジングから溶鉱炉内に突き出たプローブ部品、特にアンテナが排出ガスによるフラッシングを受けるように配置された排気開口部を通って流出するための準備が行われ得る。その結果、アンテナが洗浄される。
【0030】
本発明は、添付の図面を参照しながら更なる細部を有する実施形態の例を用いて、以下で更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による測定装置の実施形態の一例の概略回路図である。
【図2】本発明による実施形態の一例による傾斜装置が設けられた溶鉱炉の上部領域の断面図である。
【図3】図2による傾斜装置の断面図である。
【図4】図3による傾斜装置の自己密封軸受けの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1による回路図は、溶鉱炉のための本発明による測定装置の実施形態の一例を示す。この装置あるいは測定システムは、装入物のトポグラフィーと装入物の表面における熱分布とを解明するために使用され、また装入物の表面の連続的監視のための前提条件を形成する。この目的のために図1による本装置は、異なる測定方法を使用して機能する少なくとも2つの測定プローブ10、11を含む。図1による実施形態の例では第1の測定プローブ10は、レーダープローブ、すなわち電磁波に基づいて機能するプローブである。第2の測定プローブ11は、音波に基づいて機能する超音波プローブを備える。本発明は、2つの測定プローブに限定されず、2個より多い、例えば3個、4個、5個、あるいは5個より多い測定プローブを含むことができ、これらのプローブの少なくとも一部は異なる物理的原理にしたがって機能し、信号評価のために互いに連結される。本発明に関連して使用される測定プローブの場合、送信機と受信機は通常、1つのプローブに統合される。送信機と受信機が別々に配置されるプローブを使用することも容易である。
【0033】
異なる測定プローブ10、11は、これら2つの測定プローブが共通の位置決め装置によって動かされるような仕方でダブルセンサーに統合され得る。2つの測定プローブ10、11が別々に配置され、またこれらの各々がこれらプローブ自体の位置決め装置によって駆動されることも可能である。2個より多い測定プローブの場合、これらのプローブは1つの複合センサーに一体化されることができ、あるいは個別のセンサーに別々に配置されることも可能である。原則として、溶鉱炉運転のために設計された如何なる測定プローブも、このプローブが異なる物理原理又は異なる測定方法にしたがって機能する1つ以上の他の測定プローブと組み合わされるという条件で、本発明に適している。
【0034】
図1に示されるように、2つの測定プローブ10、11は測定信号の評価のためのプロセッサ12に接続される。プロセッサ12と2つの測定プローブ10、11との間には、各々の場合に1つの測定増幅器19が配置される。
【0035】
プロセッサ12は、2つの測定プローブ10、11の測定値を比較する目的と、第1の測定プローブ10の測定値と第2の測定プローブ11の測定値との差、特に温度関連の差を決定する目的とのために適合されている。この差からプロセッサ12は、ある分析方法によって音の速度、またしたがって装入物の表面におけるガス温度分布を決定する。後者は、蓄熱室から溶鉱炉内に吹き込まれたガスが対向流原理(counter−current principle)にしたがって溶鉱炉内を流れて装入物の表面に現れるので、装入物の表面温度プロファイルにほぼ対応する。表面に近いガス温度分布の決定のために、本明細書ではあまり詳細には説明されない測定技術で使用される通例の分析方法が使用される。むしろ図1による実施形態の例の場合、測定値における温度関連の差から、溶鉱炉内の装入物の表面に近いガス温度プロファイル又は表面温度プロファイルを決定するために前提条件を与える、異なる測定方法によって取得された測定値が利用可能にされることは重要である。
【0036】
プロセッサ12は更に、装入物のトポグラフィーが第1および/または第2の測定プローブ10、11によってプロセッサ12に送られた測定データから決定され得るように適合されている。電磁波に基づいて機能する第1の測定プローブ10の温度独立測定データは、この目的のために有利に使用される。
【0037】
プロセッサ12は、可視化システムおよび制御部20に接続される。可視化システム20を使用して表面トポグラフィーと熱分布との2次元又は3次元表現を作り出すことは可能である。
【0038】
測定プローブ10、11の制御のために後者は、2つの位置決めモータ22a、22bによって3つの空間方向に傾斜可能である位置決めデバイス21に機械的に接続される。本発明は特定の位置決めシステムに限定されず、むしろ一般的に、表面トポグラフィーと熱分布との連続的表現が可能にされるように装入物の表面が走査され得る位置決めシステムを含む。有利には、位置決めデバイス21は、2つの測定プローブ10、11の傾斜運動を可能にする。実施形態の特に好適な例では、位置決めデバイス21は、図2および3を参照しながらほかの場所でより詳細に説明される、傾斜装置18の形をしている。
【0039】
図1に示されているように、2つの測定プローブ10、11は、共通の位置決めデバイス21によって動かされ得る。測定プローブ10、11が別々の位置決めデバイスによって個別に駆動されることも可能である。
【0040】
位置決めモータ22a、22bは、各々の場合に位置送信機23を介してプロセッサ12に接続される。位置送信機23は、例えば回転角トランスデューサの形をしていてもよい。2つの位置決めモータ22a、22bの制御のために後者は、制御信号増幅器24を介してプロセッサ12に接続される。
【0041】
溶鉱炉雰囲気から冷却して密封するために、2つの測定プローブ10、11は、溶鉱炉雰囲気に露出されるこれらプローブの部品、特にアンテナを好適にフラッシュし、冷却し、そして洗浄するガスフラッシング、特に窒素フラッシング25を有することができる。
【0042】
図1による測定装置は更に、プロセッサ12に接続され、装入物の上方のガス雰囲気の平均温度の測定に適応した第3の測定プローブ(図示せず)を含み得る。平均ガス温度を測定するために、あるいは一般に溶鉱炉の上部領域のガス温度を測定するために1つ以上の測定プローブが設けられ得る。
【0043】
図1による測定装置は、下記の測定方法にしたがって機能する。
【0044】
2つの測定プローブ10、11は、一方では電磁波(第1の測定プローブ10)、他方では音波(第2の測定プローブ11)が装入物の表面に加えられるようにする。位置決めモータ22a、22bの位置決め運動の結果として、装入物の全表面が2つの測定プローブ10、11によって走査され、それによって取得された測定データは、プロセッサ12に送られる。これは、溶鉱炉内の装入物までの距離の異なる測定が、使用された温度独立性の電磁波と温度依存性の音波との両方を有する2つの測定プローブ10、11によって各々の場合に実行されることを意味する。音波の音の速度はガス温度によって直接影響されるので、特に装入物ストックの表面に置ける異なるガス温度分布は、第1の測定プローブ10を使用して実行されたレーダー測定(特に許容値測定として機能する)によって解明可能である測定値に差を生じさせる。この差から音の速度、またしたがって温度が、ある分析方法によって決定される。傾斜可能なレーダープローブと音波プローブでこの組み合わされた方法によって全表面を走査することは、一方では溶鉱炉装入物の表面プロファイルを、他方では温度プロファイルを与える。
【0045】
装入物の表面からの距離が増加するにつれてガス温度分布が均等になるので、音響測定信号に対する溶鉱炉の上部領域におけるガス雰囲気の影響が表面に近いガス温度分布の決定の際に考慮に入れられ得るように、溶鉱炉の上部領域におけるガス雰囲気の平均温度が測定されることは容易である。表面に近いガス温度分布に関して更に正確な結果に到達するために、2つ以上の更なる測定プローブを用いて装入物の上方のガス温度分布を解明することは可能である。
【0046】
溶鉱炉の上部領域におけるガス雰囲気の平均温度を測定することは、表面に近いガス温度分布の決定のために有利ではあるが、必須ではない。言い換えれば表面に近いガス温度分布は、音響信号に特徴的な影響を及ぼす表面から遠く離れたガス雰囲気の平均温度からの差として取得される。したがって本発明の場合、音響信号に対する温度の影響を解明するために、音響測定信号がガス雰囲気を通り抜けて装入物ストックの表面で反射されることは基本的に重要である。したがって本発明による装置および/または本発明による方法を使用して実行される測定は、溶鉱炉運転を監視するためにそれ自体で十分である相対的ガス温度分布の決定、あるいは絶対温度値に到達するために他の測定方法と連結され得る相対的ガス温度分布の決定という結果をもたらす。
【0047】
装入物ストックの表面におけるガス温度分布の測定から、装入物の表面温度に関する結論を引き出すことも可能である。しかしながら、表面に近いガス温度分布の測定は、ガス温度が実際に溶鉱炉運転において関心のある測定変数であるという利点を有する。更に装入時に表面は、導入された比較的低温の装入物ストックの領域で冷却される。その結果、この領域におけるガス温度が影響されたとしても、それは装入物の表面温度よりも遥かに少ない程度に影響されるだけである。
【0048】
装入物の表面が走査されているときに、一方では電磁波が、他方では音波が加えられる装入物の表面上の同じ測定領域からの測定データが比較されるように、2つの測定プローブ10、11の動きが相関付けられることは理解される。
【0049】
レーダープローブおよび超音波プローブの使用は、これらが上部溶鉱炉の領域に配置されることが可能であり、したがって磨耗を受けない溶鉱炉表面の領域に固定された仕方で設置されるという利点を有する。少なくとも1つの測定プローブの配置の例は、図2に示されている。第2の測定プローブは、図2には示されていない。図2には少なくとも1つの測定プローブのための傾斜装置18の配置が示されており、測定プローブは2つの異なる測定位置に示されている。測定プローブ10の測定ビームがどのようにして装入物27の表面を通るか、したがって装入物27のプロファイルを走査するかは、図2でよく理解され得る。図2においては更に、プローブあるいは一般的に測定システムが正流(direct flow)の外側に配置されるように、測定装置とこの測定装置のための傾斜装置18とが装入シュート26からの排気口の上で、また上部ガス通風管27の上で、装入シュート26のための駆動部に隣接する炉の最上部に配置されることが分かる。
【0050】
傾斜装置18の構造は、図3に示されている。
【0051】
傾斜装置18は、少なくともある程度、回転対称構造である多部品ハウジング13を含む。ハウジング13は、固定位置に配置され、カバーの形をしていてハウジング13を最上部まで閉鎖する第1のハウジング部品14aを含む。第1のハウジング部品14aは、炉壁に接続される。ハウジング13は、互いに関して回転可能である第2および第3のハウジング部品14b、14cを含む。この目的のために第2、第3のハウジング部品14b、14cは、第1のハウジング部品14aの長手方向軸L1に対して傾斜した面上で広がる第1の回転面D1を形成する。
【0052】
互いに関して回転可能な半分ずつのハウジング間の分割、あるいは第2、第3のハウジング部品14b、14c間の分割は、傾斜面上に広がる第1の回転面D1に位置する。第2、第3のハウジング部品14b、14c間の回転可能な接続は、傾斜面の上で広がる第1の回転面D1に配置された第1の転がり軸受け28によって達成される。この転がり軸受けは玉軸受けである。他のタイプの転がり軸受けも可能である。
【0053】
転がり軸受け28は自己密封型である。自己密封型転がり軸受け28の構造は、図4による詳細図を参照しながら説明される。この図は第1、第2のハウジング部品14a、14bを接続する第2の転がり軸受け31の一部を示しているが、第1の転がり軸受け28は実質的に対応する仕方で構成される。転がり軸受け31又は28は、インナーレース44aとアウターレース44bとを含む。インナーレース44aは、第1の転がり軸受け28の場合には設けられない内側に歯の付いたリング32を有して構成される。図4に示されているようにインナーレース44aとアウターレース44bは、各々の場合に軸方向に突き出ている。そうする際に、インナーレース44aは、アウターレース44bの一方の端面を越えて突き出ている。アウターレース44bは、転がり軸受け31および28の反対に位置する側に配置されたインナーレース44aの端面を越えて突き出ている。このことは、図4に示されているようにインナーレース44aとアウターレース44bとのオフセット配置という結果をもたらす。参照符号45は、各々の場合にインナーレース44aとアウターレース44bの突き出ている部分を示す。この構成では、アウターレース44bの突き出ている領域45は半径方向内側に向いており、インナーレース44aの突き出ている領域45は半径方向外側に向いている。場合によっては、半径方向内側又は半径方向外側に向いている突き出た領域45のこれらの表面の各々には、インナーレース44aとアウターレース44bの端面を密封するシーリングリップ46が設けられている。より具体的には、インナーレース44aに設けられたシーリングリップ46はアウターレース44bの端面を密封し、アウターレース44bに設けられたシーリングリップ46はインナーレース44aの端面を密封する。
【0054】
アウターレース44bは、第1のハウジング部品14aのハウジング壁に直接、特にねじで接続される。断熱ジャケット43は、アウターレース44bを取り囲んで、インナーレース44aのシーリングリップ46に近づくまでアウターレース44bの端面に沿って延びる。断熱ジャケット43は、アウターレース44bを第1のハウジング部品14aに固定するために設けられた孔47の上を延びる。インナーレース44aは、保持リング29cに特にねじで接続される。保持リング29cは、接続のために設けられた孔48の上をカバーする断熱ジャケット43に接続される。図4には、第1の転がり軸受け28のための台座を形成するために傾斜面上で半径方向内向きに延びる、傾斜面上に配置されたハウジング壁部30aあるいは円錐形ハウジング壁部30aも見られる。
【0055】
基部15を第3のハウジング部品14cに接続する第3の転がり軸受け35は、図4による第2の転がり軸受け31に対応する仕方で構成される。
【0056】
図4による第2の転がり軸受け31とは対照的に、自己密封型第1転がり軸受け28は、内側に歯の付いたリングを有さず、むしろ一方ではインナーレース44aに、他方ではアウターレース44bに接続された、2つの保持リング29a、29bに特にねじで接続される。他のタイプの自己密封型転がり軸受け又は玉軸受けも可能である。自己密封型転がり軸受けの代わりに、例えばVリングの形をした更なる密封を有する転がり軸受けを設けることも可能である。
【0057】
回転運動を可能にする第2、第3のハウジング部品14b、14cの接続のための第1の転がり軸受け28の組み込みのために、内壁は円錐形構造になっている。円錐形ハウジング壁部は、参照符号30a、30bによって示されており、間に転がり軸受け28が配置又は保持される2つの向かい合いに配置されたリング状の台座表面を形成する。その程度までハウジングは、少なくともある程度、回転対称構造をしており、すなわち少なくともリング状台座表面の領域内にある。この構成では、第2のハウジング部品14bの円錐形ハウジング壁部30aは、設置された位置において下向き方向に徐々に狭くなる。第3のハウジング部品14cの円錐形ハウジング壁部30bは、設置された位置および図3に示された中間位置において上向き方向に徐々に狭くなる。したがってこれら2つのハウジング部品14b、14cは二重円錐形の様式に構成されて配置される。第2、第3のハウジング部品14b、14cの外壁は少なくともある程度、円筒形である。
【0058】
第1の転がり軸受け28のための台座は、異なるように形成され得る。前述のように、ハウジング内に内向きに突き出ていて、向かい合いに配置されたハウジング壁と共にリング状の台座表面を形成する、相補的に構成された円錐形ハウジング壁部30a、30bが設けられることが可能である。第2、第3それぞれのハウジング部品14b、14cの外壁は、円筒形構造であり得る。ハウジング壁のために異なる幾何学形状を、例えば円錐台の形状、特に円錐の軸が円錐台の底面に対して斜めに延びる傾斜円錐台の形状を選択することも可能である。
【0059】
第2のハウジング部品14bは、固定位置に配置された第1のハウジング部品14aの回転運動を可能にする仕方で接続される。この目的のために、第1のハウジング部品14aと第2のハウジング部品14bは共に、第1のハウジング部品14aの長手方向軸L1に垂直に広がる第2の回転面D2を形成する。マウントされた状態で第2の回転面D2は水平に広がる。ハウジング13は、溶鉱炉内に広がるハウジング13のこの部分を取り囲む断熱ジャケット43を有する。
【0060】
回転運動を可能にする仕方での第2のハウジング部品14bと第1のハウジング部品14aとの接続のために、内側に歯の付いたリング32を有する第2の転がり軸受け31が設けられる。第2の転がり軸受け31は、第2の回転面D2内で広がり、実質的に水平に配置される。第2の転がり軸受け31は、自己密封型構造をしており、第2の転がり軸受け31のハウジング内側に配置された保持リング29cを含む。第2の転がり軸受け31のための他の密封も可能である。
【0061】
第2のハウジング部品14bを駆動するために、第1のモータ17a、特に第1のハウジング部品14aに接続されていて、第2の転がり軸受け31の内側歯付きリング32と噛み合うピニオン33を有する歯車モータが設けられる。第1のモータ17aは、第1のハウジング部品14a内に中心を外れて配置され、第1のハウジング部品14aの半径方向内向きに突き出た保持壁34上に実質的に垂直に立つ。第1のモータ17aの異なる配置も可能である。
【0062】
ハウジング13は、第1のハウジング部品14aから遠く離れた側でハウジング13を閉鎖する基部15を有する。第2、第3のハウジング部品14b、14cは基部15と第1のハウジング部品14aとの間に配置される。ハウジング13の基部15と第3のハウジング部品14cは、回転を可能にする仕方で接続され、第3の回転面D3を形成する。第3の回転面D3は、基部15に平行に、あるいは第3のハウジング部品14cの長手方向軸L3に垂直に広がる。図3に示された中間位置で、固定位置に配置された第1のハウジング部品14aの長手方向軸L1と第3のハウジング部品14cの長手方向軸L3は、位置合わせされた1本のラインを形成する。中間位置で基部15は、このラインに垂直に、あるいは概ね水平に配置される。図2に示された傾斜位置において第3のハウジング部品14cの長手方向軸L3は、長手方向軸L1、L2に対して斜めに延びる。
【0063】
基部15と第3のハウジング部品14cとの間の回転接続のために、第3の回転面D3内で広がる第3の転がり軸受け35が設けられる。第3の転がり軸受け35は、更なる内側歯付きリング36を有し、自己密封型軸受けの形に構成される。図3による実施形態の例では、第3の転がり軸受けは玉軸受けの形をしている。第3の転がり軸受け35は、第3の転がり軸受け35のハウジング内側に配置された保持リング29dに接続される。
【0064】
第3のハウジング部品14cを駆動するために、第2のモータ17b、特に基部15上で支持されていて、第3の転がり軸受け35の内側歯付きリング36と噛み合うピニオン37を有する歯車モータが設けられる。
【0065】
基部15は、固定位置にある第1のハウジング部品14aに相互の回転を防止する仕方で接続される。これは、基部15が如何なる回転運動も実行せず、むしろ第1のハウジング部品14aに対して回転しないように固定されていることを意味する。このことは、第2のモータ17bが駆動モーメントを第3のハウジング部品14cに伝達することを可能にする。第2のモータは基部15に対して偏心配置される。
【0066】
基部15と、固定位置に配置された第1のハウジング部品14aとの間の接続は、一方では第1のハウジング部品14aに固定的に接続され、他方では基部15に固定的に接続された、トルクブラケット又はトルクチェーン16によって行われる。トルクブラケット16は、回転しないように剛性であって、如何なる回転運動も実行しないように基部15を固定する。
【0067】
トルクチェーン16は更に、測定プローブ10、11を搬送する機能を有する。この目的のためにトルクチェーン16は、第1のハウジング部品14aと基部15との間に関節連結様式で測定プローブ10、11を搬送する傾斜リンケージ、特に回転的に剛性の傾斜リンケージの形に構成される。このプロセスでトルクブラケット16は、3つの空間方向の傾斜運動を可能にする一種の自在継ぎ手を形成する。この目的のためにトルクチェーン16は、U字形断面の第1の固定部38aと同じくU字形断面の第2の固定部38bとを含んでおり、これら固定部の開放側は互いに向き合っている。これら2つの固定部38a、38bの間には、U字形固定部38a、38bの開放側の各々と関節的に接続されている傾斜リンケージ39が配置されている。この構成では図3に概略図の形で示された関節接続は、2つの固定部38a、38bがすべての空間方向に互いに関して傾斜運動を実行できるように形成される。より具体的には、上部固定部38aは固定位置にある第1のハウジング部品14aに固定的に接続される。下部固定部38bは、測定プローブ10の測定ヘッドと基部15とに固定された仕方で接続される。測定ヘッド40は、次に、基部15に設けられた開口部42を通してハウジング13から突き出たアンテナ又はプローブホーン41に接続される。開口部42は、密封板43によって溶鉱炉雰囲気から密封される。
【0068】
図3に示された傾斜装置18は、例示であると理解されるべきである。基部15の傾斜運動に追従する他の傾斜リンケージも可能である。トルクブラケット16の2つの機能、すなわち基部15と第1のハウジング部品14aとの間の回転的に剛性の接続と、測定プローブ10、11の関節的取付けとが、別々に実行されることも可能である。このことは、基部15が回転的に剛性の傾斜リンケージによって第1のハウジング部品14aに接続され、それとは別に測定プローブ10が基部15に固定されることを意味する。
【0069】
第1のハウジング部品14aと基部15との間の回転的に剛性の接続は、測定プローブ10が回転しないで、むしろ単に傾斜するだけであるという利点を有する。したがって、このプローブと評価ユニットあるいはプロセッサ12との間の電気接続が、ここには図示されていない柔軟なリードによって作り出されることは比較的簡単である。もし測定プローブの回転不可能な構成の利点が省かれて、プローブの回転が可能になるように測定プローブの電気接続が整えられるならば、基部15と第3のハウジング部品14cとが一体として構成されることは容易であり、またそうでなく第3のハウジング14cの駆動部が設けられることも容易である。
【0070】
図3による傾斜装置は、次のように機能する。
【0071】
上部モータ17aの動作の結果として第2のハウジング部品14bは、固定位置に配置された第1のハウジング部品14aの長手方向軸L1と一直線になっている、第2のハウジング部品14bの長手方向軸L2の周りを回転する。傾斜面上に広がる第1の回転面D1において実行される第3のハウジング部品14cの更なる回転運動は、第2の回転面D2において行われる第2のハウジング部品14bの回転運動に重畳される。この目的のために第3のハウジング部品14cは、下部ハウジング部品14cが(傾斜可能な)長手方向軸L3の周りを回転するように下部モータ17bによって駆動される。このことは、第2のハウジング部品14bと第3のハウジング部品14cとの間の相対的回転運動を引き起こし、これは、傾斜面上にある第1の回転面D1が存在するため基部15の傾斜運動という結果をもたらす。基部15は第1のハウジング部品14aに回転的に剛性の仕方で接続されているので、基部15は長手方向軸L3の周りの回転運動ではなく、純粋に傾斜運動だけを実行する。第2、第3のハウジング部品14b、14cの両者は、2つのモータ17a、17bによって反対方向に駆動される。これら2つのハウジング部品14b、14cが同じ方向に、特に異なる回転速度で駆動されることも可能である。全体として制御の可能性は、傾斜装置の異なる傾斜運動がこれらのモータを適切に制御することによって達成され得るように、自由にプログラム可能である。
【0072】
第1の回転面D1が例えば長手方向軸L1、L2に対して30°の角度に配置されると、測定プローブ10は2つのハウジング部品14b、14c間の相対運動の結果として60°の角度で傾けられ得る。第1の回転面D1の他の角度も可能である。回転面D1は特に、長手方向軸L1、L2に対して0°より大きくて90°より小さい範囲の角度を含み得る。
【0073】
したがってハウジング13は、互いに関して回転可能である少なくとも3つのハウジング部品、すなわち3つの回転面D1、D2、D3において回転可能な仕方で互いに接続された、第2、第3のハウジング部品14b、14cと基部15とを含む。中間位置において、すなわち測定プローブ10が傾斜しないで、むしろ長手方向軸L1、L2およびL3が整列している位置において、第2、第3の回転面は平行に、特に水平に配置される。この配置で第2、第3の回転面は各々、第2、第3のハウジング部品14b、14cの軸方向外側端部に配置される。これらの間に配置された第1の回転面D1は、長手方向軸L1に対して、あるいは第2の回転面D2に対して傾斜した面上に配置される。第2、第3のハウジング部品14b、14c間の相対的回転運動の結果として、第3の回転面D3は、第1の回転面D1の傾斜角にしたがって傾斜する。この傾斜位置は、破線によって示された測定ビームを用いて図2に示されている。
【0074】
図3による実施形態の例では、この傾斜装置は1つの測定プローブ10を備えている。傾斜装置18が2つ、又は2つより多い測定プローブを備えることも可能である。その程度まで傾斜装置18は、レーダープローブおよび超音波プローブの形をした図1による測定装置の2つの測定プローブ10、11のための位置決め要素として適している。これら2つの測定プローブ10、11は、図3によるハウジング13内に互いに隣接して配置されて、同じトルクチェーン16上にマウントされることが可能である。ハウジング13内のこれら2つの測定プローブ10、11の異なる配置も可能である。
【0075】
傾斜装置18の回転接続は、回転面の単純な半径方向の密封を可能にする。この構成において装置の同じ部分は、堆積した塵埃と汚れが密封面に侵入できないように傾斜運動中、カバーされたままに留まる。その結果として、測定ヘッドあるいはプローブヘッド40の周りの空間は、ガス例えば窒素を使用して溶鉱炉雰囲気から密封され得る。同時に窒素は、敏感な電子部品を冷却して過熱を防止し、またプローブホーン(図示せず)の開口部に配置されたアンテナを塵埃から保護するために、プローブホーンの開口部を経由して溶鉱炉内に流入できる。
【0076】
傾斜装置18は、本測定装置のすべての特徴が新規である限りにおいて、これらの特徴に関連して開示され請求されている。本傾斜装置18は他の、例えば通例の測定プローブのためにも使用され得るので、本傾斜装置18が新規である限りにおいて図1による測定装置とは独立に開示され、請求されている。
【符号の説明】
【0077】
10 第1の測定プローブ
11 第2の測定プローブ
12 プロセッサ
13 ハウジング
14a 第1のハウジング部品
14b 第2のハウジング部品
14c 第3のハウジング部品
15 基部
16 トルクチェーン
17a 第1の歯車モータ
17b 第2の歯車モータ
18 傾斜装置
19 測定増幅器
20 可視化システムおよび制御部
21 位置決めデバイス
22a 位置決めモータ
22b 位置決めモータ
23 位置送信機
24 制御信号増幅器
25 ガスフラッシング
26 装入シュート
27 上部ガス通風管
28 第1の転がり軸受け
29a、b、c、d 保持リング
30a、b 円錐形ハウジング壁部
31 第2の転がり軸受け
32 内側歯付きリング
33 ピニオン
34 保持壁
35 第3の転がり軸受け
36 内側歯付きリング
37 ピニオン
38a、b 固定部
39 傾斜リンケージ
40 測定ヘッド
41 アンテナ
42 開口部
43 断熱ジャケット
44a インナーレース
44b アウターレース
45 突き出た領域
46 シーリングリップ
47 孔
48 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送信および受信するための少なくとも1つの第1の測定プローブ(10)と音波を送信および受信するための少なくとも1つの第2の測定プローブ(11)とを有する、溶鉱炉のための測定装置であって、
前記第1および第2の測定プローブ(10、11)は、前記第1および第2の測定プローブ(10、11)の測定データにおける温度関連の差が、前記溶鉱炉内の装入物の表面におけるガス温度分布を解明するために決定されるように整えられるような仕方で、前記測定データの評価のためのプロセッサ(12)に接続されることを特徴とする、測定装置。
【請求項2】
前記プロセッサ(12)は、前記装入物の表面プロファイルが前記第1および/または第2の測定プローブ(10、11)から前記プロセッサ(12)に送られた前記測定データを用いて解明可能であるように適合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の測定プローブ(10)はレーダープローブ又は光プローブを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の測定プローブ(11)は音波プローブ又は超音波プローブを備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装入物の上方のガス雰囲気の平均温度の測定のために、少なくとも1つの第3の測定プローブが前記プロセッサ(12)に接続されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装入物の表面を走査するために、前記測定プローブ(10、11)は前記装入物の測定プロファイルの連続的表現を可能にするように移動可能に配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の測定装置を有する、溶鉱炉。
【請求項8】
前記測定プローブ(10、11)は前記溶鉱炉の上部領域にマウントされることを特徴とする、請求項7に記載の溶鉱炉。
【請求項9】
少なくとも2つの異なる測定プローブ(10、11)を使用して、装入物の表面が一方では電磁波によって、他方では音波によって走査され、前記異なる測定プローブ(10、11)の測定データにおける温度関連の差が溶鉱炉内の装入物の表面におけるガス温度分布を解明するために決定される、溶鉱炉のための測定方法。
【請求項10】
前記装入物の表面プロファイルが決定されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記装入物の上方のガス雰囲気の平均温度は更なる測定プローブによって測定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
固定位置に配置された第1のハウジング部品(14a)と、互いに関して回転可能であって、前記第1のハウジング部品(14a)の長手方向軸L1に対して傾斜した面上で広がる第1の回転面D1を形成する少なくとも2つの第2および第3のハウジング部品(14b、14c)とを含む、多部品で少なくともある程度回転対称のハウジング(13)を有する、少なくとも1つの測定プローブ(10、11)のための傾斜装置であって、前記第2および/または第3のハウジング部品(14b、14c)は回転駆動され、前記測定プローブ(10、11)は、前記第1のハウジング部品(14a)と前記ハウジング(13)の基部(15)との間に関節連結様式でマウントされる、傾斜装置。
【請求項13】
前記第2および第3のハウジング部品(14b、14c)は各々、円錐形構造になっていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のハウジング部品(14a)と前記第2のハウジング部品(14b)は回転可能に接続されて、前記第1のハウジング部品(14a)の長手方向軸L1に対して垂直に広がる第2の回転面D2を形成することを特徴とする、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジング(13)の前記基部(15)と前記第3のハウジング部品(14c)は回転可能に接続されて、前記基部(15)に平行に広がる第3の回転面D3を形成することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの測定プローブ(10、11)はトルクチェーン(16)によって、一方では相対的回転を防止する仕方で前記ハウジング(13)の前記基部(15)に接続され、他方では相対的回転を防止する仕方で前記第1のハウジング部品(14a)に接続されることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
第1のモータ(17a)が前記第1のハウジング部品(14a)に接続されて、前記第2のハウジング部品(14b)を駆動することを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
第2のモータ(17b)が前記ハウジング(13)の基部(15)に接続されて、前記第3のハウジング部品(14c)を駆動することを特徴とする、請求項12〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ハウジング(13)は、前記ハウジング(13)を冷却および/または密封するためにガスの供給のための少なくとも1つのフラッシング接続を含むことを特徴とする、請求項12〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか一項に記載の傾斜装置(18)を有する、溶鉱炉。
【請求項21】
請求項12〜19のいずれか一項に記載の少なくとも1つの傾斜装置が設けられており、前記第1および/または第2の測定プローブ(10、11)が配置されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−145407(P2010−145407A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−288942(P2009−288942)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(504231911)ツェット ウント ヨット テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】Z&J Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Bahnstrasse 52 Duren D−52355 Germany
【Fターム(参考)】