説明

滅菌施設向けの情報管理および資材配送

【課題】効果的な滅菌ワークフロー、記録保持、安全性を実現する。
【解決手段】滅菌手順に関連する情報管理、資材配送の自動化システムは、ネットワーク・サーバ、クライアント・コンピュータを含む。クライアント・コンピュータは、滅菌サービスを要求する滅菌施設にわたって分散され、ネットワーク・サーバは、滅菌施設と各種の情報を交換する。ネットワーク・サーバはクライアント・コンピュータからの情報に応答して、滅菌施設への資材の配送を開始させ、記録保持または原価計算目的のためのレポートを生成する。ネットワーク・サーバから配信された情報は、滅菌設備の運用、保守および制御、滅菌資材の特徴・性能、専門家の技術的助言に関するものであってよい。滅菌施設から受信された情報には、情報の要請、購入の注文、資材の配送、並びに滅菌施設内で実行された滅菌手順を文書化した滅菌工程情報が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療(ヘルスケア)産業に関し、より特定的には医療(ヘルスケア)施設における滅菌手順の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
医療施設において、滅菌は一般に、器具、医療機器、外科手術で使用する移植組織その他の物品の表面から細菌その他の微生物を除去する工程に関する。従来の滅菌工程は、加圧蒸気を使用する。代替的な滅菌工程は、滅菌剤として酸化エチレン、過酸化水素、過酸化水素/プラズマ、または気相の過酢酸、並びにガンマ照射および電子ビーム滅菌を使用する。各々の工程において、滅菌器は滅菌室内で全ての生体有機物を殺すように設計されている。この目的を達成するために、医療担当者は適切な滅菌工程を選択した上で慎重にそのパラメータを監視する必要がある。
【0003】
医療施設は通常、滅菌が正しく行なわれたことを検証するために、化学的または生物学的な各種の滅菌インジケータを使用する。化学的滅菌インジケータは、温度、時間および滅菌剤濃度または滅菌剤への露出等、適切な滅菌に必要な1個以上の条件に反応する。生物学的インジケータは生物剤を伴ない、生物剤が殺された場合に滅菌が成功したことを示す。インジケータは、滅菌したい物品を含む包装品の表面または内部に配置される。
【0004】
滅菌工程に続いて、滅菌インジケータは、包装品が滅菌に必要な環境に置かれてきたことを医療担当者が識別する際に役立つ。包装品は多くの場合インジケータ内に、記録保持の目的で包装品を識別する他の情報を格納することができる。例えば、インジケータは包装品を一意に識別して、滅菌状況を示すテキストまたはバーコード情報を格納することができる。ある場合において、情報を自動的に走査してコンピュータシステムを介した自動記録保持を支援することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
効果的な滅菌ワークフロー、記録保持、および安全性を実現するために、医療施設は滅菌工程に対して担当者、訓練および管理リソースをかなりの程度投入する必要がある。例えば、滅菌剤、包装品リスト、およびインジケータの充分な在庫を維持し、滅菌設備を適切に保守する必要がある。滅菌を適切に行うには、滅菌手順に関する総合的な知識、および付随するパラメータの制御が必要である。さらに、ワークフローを効率化するには、包装品の監視を効果的に行なって、必要な際には必ず滅菌済み物品が利用できることが求められる。しかるべき部門や組織体に滅菌の費用を割り当てるために原価計算が望まれる。さらに、監督機関および独立監査組織が、法規制の遵守や認定状況を検証するために滅菌記録へのアクセスを求める場合がある。ベストプラクティス(最良実施方式)に関する情報へのアクセスもまた、滅菌施設内で滅菌工程を維持・整備する際に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一般に、滅菌手順に関連付けられた情報管理および資材配送の自動化システムに関する。本発明は、少なくとも1個のネットワーク・サーバおよび多数の滅菌施設に分散されたクライアント・コンピュータを有するコンピュータ・ネットワークを介して実行することができる。特に、ネットワーク・サーバはクライアント・コンピュータを介して滅菌施設と情報を交換する。例えば、ネットワーク・サーバは滅菌施設に対し、滅菌製品や工程(プロセス)に関する情報を提供することができる。ネットワーク・サーバは滅菌施設から受信した情報に応答して、滅菌施設向けに滅菌資材の配送を開始させ、記録保持または原価計算目的のレポートを生成することができる。
【0007】
ネットワーク・サーバにより配信される情報は、例えばオンライン・チャットルーム機能を介してリアルタイムに、または電子メールその他の通信媒体により配信される、滅菌設備やプロセスの運用、保守および制御に関する情報、特定の滅菌剤や包装品リストおよびインジケータ等市販の滅菌資材の特徴や性能、並びに専門家の助言を含んでいてよい。滅菌施設から受信した情報は、情報の要求、資材の購入や出荷の注文、および滅菌施設が作業に際して実行した滅菌手順に関する原価計算および記録保持情報を含んでいてよい。
【0008】
ネットワーク・サーバは、自動化された製品注文システムへ、または注文の処理に責任を負う個人へ注文を送信することにより資材の配送を開始させることができる。ネットワーク・サーバは、滅菌施設から送信された直接的な要請に基づいて、資材の配送を開始させることができる。あるいは、ネットワーク・サーバは、滅菌施設が送信した滅菌工程(プロセス)情報を監視して、いつ資材を補充する必要があるかを判定するように構成することができる。この場合、ネットワーク・サーバは予見的に資材を配送して滅菌製品在庫を維持し、滅菌施設の運営を円滑に保つ。
【0009】
ネットワーク・サーバから発せられた要請により配送された資材は、滅菌剤、包装品リスト、およびインジケータ等の消耗品、並びにインジケータを準備および処理すべく滅菌施設のコンピュータにより実行されるソフトウェアが含まれていてよい。例えば、滅菌施設はネットワーク・サーバに対し、直接または滅菌施設内の滅菌工程に関する他の情報の一部として、滅菌剤、包装品リスト、インジケータ等の消費に関する情報を提供することができる。さらに、例えば、バーコード等の識別コードを包装品またはインジケータ上へ印刷したり、印刷したいインジケータ画像を規定したり、あるいは中心的なサービス担当者向けに包装品リストを印刷するソフトウェアをダウンロードするようクライアント・コンピュータが直接要求することができる。ある場合において、識別コードは、自己表示インク、すなわち包装品の滅菌状態を示すために外観を変えるインクで印刷することができる。
【0010】
さらに、ネットワーク・サーバは滅菌施設により送信された情報に基づいて、レポートを生成すべく構成することができる。例えば、クライアント・インターフェースを滅菌施設に組み込んで、滅菌工程監視情報をネットワーク・サーバへ送信可能にすることができる。滅菌工程監視情報は、滅菌設備の状態、滅菌ロード、およびロード内の特定の包装品を表示することができる。これに基づいて、ネットワーク・サーバはリアルタイム・アクセスまたはアーカイブ用に、滅菌施設内の作業を監視するレポートを生成することができる。ある場合において、適用される標準の遵守状況を検証すべく、監督機関や独立監査組織だけではなく、滅菌施設からもレポートをアクセス可能にすることができる。その他の場合において、レポートは、医療施設内の特定の部門に対し滅菌費用の割り掛けを行なうべく原価計算情報を含んでいてよい。
【0011】
一実施形態において、本発明は、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報を受信するステップと、受信した情報に基づいてレポートを生成するステップと、コンピュータ・ネットワークを介してネットワーク・クライアントにレポートへのアクセス権を与えるステップとを含む方法を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明はクライアント・コンピュータおよびネットワーク・サーバを含むシステムを提供する。滅菌施設に関連付けられたクライアント・コンピュータは、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌工程情報を送信する。ネットワーク・サーバは、コンピュータ・ネットワークを介して、クライアント・コンピュータから滅菌工程情報を受信し、受信した情報に基づいてレポートを生成して、コンピュータ・ネットワークを介してネットワーク・クライアントにレポートへのアクセス権を与える。
【0013】
付加的な実施形態において本発明は、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報を受信するステップと、滅菌施設による滅菌資材の消費量を滅菌工程情報に基づいて判定するステップと、その判定に基づいて滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文を処理するステップとを含む方法を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は滅菌施設に関連付けられたクライアント・コンピュータを含むシステムを提供する。クライアント・コンピュータは、コンピュータ・ネットワークを介してネットワーク・サーバへ滅菌工程情報を送信する。ネットワーク・サーバは、滅菌工程情報に基づいて滅菌施設による滅菌資材の消費量を判定し、その判定に基づいて滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文を処理する。
【0015】
別の実施形態において、本発明はコンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報を受信するステップを含む方法を提供する。本方法は、滅菌工程情報に基づいて滅菌施設による滅菌資材の消費量を判定するステップをさらに含み、その判定に基づいて滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文を処理する。さらに、本方法は滅菌工程情報に基づいて滅菌施設に関連付けられた滅菌設備の保守をスケジューリングするステップと、滅菌工程情報に基づいて滅菌工程標準の遵守状況を示すレポートを生成するステップとを含む。ネットワーク・クライアントは、コンピュータ・ネットワークを介したレポートへのアクセス権が与えられる。
【0016】
付加的な実施形態において、本発明は、コンピュータ・ネットワークを介してネットワーク・サーバへ滅菌工程情報を送信する、滅菌施設に関連付けられたクライアント・コンピュータを含むシステムを提供する。ネットワーク・サーバは、滅菌工程情報に基づいて滅菌施設による滅菌資材の消費量を判定し、その判定に基づいて滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文を処理する。ネットワーク・サーバはまた、滅菌工程情報に基づいて滅菌施設に関連付けられた滅菌設備の保守をスケジューリングする。さらに、ネットワーク・サーバは滅菌工程情報に基づいて滅菌工程標準の遵守状況を示すレポートを生成し、査察者にコンピュータ・ネットワークを介したレポートへのアクセス権を与える。
【0017】
別の実施形態において、本発明はコンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報を受信するステップと、受信した情報に基づいて費用レポートを生成するステップと、ネットワーク・クライアントにコンピュータ・ネットワークを介したレポートへのアクセス権を与えるステップとを含む。
【0018】
別の実施形態において、本発明はクライアント・コンピュータおよびネットワーク・サーバを含むシステムを提供する。クライアント・コンピュータは、滅菌施設に関連付けられていて、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌工程情報を送信する。ネットワーク・サーバは、コンピュータ・ネットワークを介してクライアント・コンピュータから滅菌工程情報を受信し、受信した情報に基づいて費用レポートを生成して、ネットワーク・クライアントにコンピュータ・ネットワークを介したレポートへのアクセス権を与える。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、一つ以上の利点をもたらす。一般に、本発明は効果的な滅菌サービスの配送を促進することができる。いくつかの実施形態において、本発明はワークフロー、在庫管理、会計、記録保持、および/または適用可能な標準の遵守状況を改善することができる。本発明により、滅菌担当者にとって滅菌手順および適切な滅菌に必要なパラメータの制御に関する情報へのアクセスが容易になる。
【0020】
滅菌手順で使用する資材の自動的配送により、滅菌工程で使用する消耗品および電子情報を含む必須資材の在庫管理をより効率的に行なえるとともに、常に利用できることが保証される。また、自動化購買システムの利用により、滅菌施設担当者による資材の注文を簡素化することができる。さらに本発明により、滅菌施設は工程の監視および原価計算の自動化と集中化の利点が得られる。本発明はまた、監督機関や独立監査組織への報告を容易にすることができる。
【0021】
更なる利点として、ネットワーク・サーバはいくつかの実施形態における多目的滅菌施設から提供される同じ滅菌工程情報を利用することができる。例えば、ネットワーク・サーバは、滅菌工程情報に基づいて滅菌工程レポートを準備することができ、資材や設備の使用レベルを判定すべく情報を抽出することができる。このように、ネットワーク・サーバはまた、在庫レベルの推定、在庫レベルに基づく補給資材の注文、滅菌設備の保守のスケジューリングが行なえる。
【0022】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面および以下の記述に開示する。本発明の他の特徴、目的および利点は、その記述と図面、および各請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】コンピュータ・ネットワークを介した、滅菌施設用の情報管理および資材配送システムの例を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムをより詳細に示すブロック図である。
【図3】図1のネットワーク・サーバに関連付けられたファイル・アーカイブの例を示すブロック図である。
【図4】図1のシステムにおけるレポートの生成および滅菌資材の配送を示すフローチャートである。
【図5】図1のシステムにおける滅菌資材の配送を更に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、滅菌施設向けの情報管理および資材配送システム10を示すブロック図である。システム10は、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワールド・ワイド・ウェブ等のグローバル・コンピュータ・ネットワークの形をとり得るコンピュータ・ネットワーク12を介して実装されている。図1に示すように、システム10は、ネットワーク12を介して滅菌施設16A、16B、16C、査察者18および供給元20に関連付けられた多数のクライアント・コンピュータに接続されたネットワーク・サーバ14を含んでいてよい。ネットワーク・サーバ14は滅菌施設16に対し、滅菌工程に関する情報へのアクセス権を与える。さらに、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設16から滅菌工程(プロセス)情報を受信する。
【0025】
一般に、ネットワーク・サーバ14は一ヶ所以上の滅菌施設16用の中央管理サーバとして動作する。ネットワーク・サーバ14は、本明細書に記載する機能を提供すべく、協働する1個以上のコンピュータを含んでいてよい。さらに、ネットワーク・サーバ14は本明細書に記載する機能を提供すべく、異機種で稼動するソフトウェア・プロセスと対話する各種のソフトウェア・アプリケーションを実行することができる。後述のように、ネットワーク・サーバ14を用いて滅菌施設16に対し、効果的な滅菌サービスの提供を促進することができる。特に、ネットワーク・サーバ14はワークフロー、在庫管理、記録保持、および適用すべき標準の遵守状況を改善することができる。例えば、滅菌施設16は、ネットワーク・サーバ14にアクセスして、滅菌手順、製品、および設備に関する詳細な技術情報を得ることができる。ネットワーク・サーバ14は滅菌施設16から提供された情報に基づいて、供給元20から滅菌施設への滅菌資材の配送を開始させることができ、効率的な在庫管理および資材の利用可能性を促進する。さらに、ネットワーク・サーバ14は滅菌工程の追跡を行なうことができ、査察者18が点検する際に自動的にコンプライアンスレポートを生成することができる。
【0026】
滅菌施設16および査察者18は、システム10内のネットワーク・クライアントである。各滅菌施設16は、病院や診療所等の医療施設の形式でも、あるいは中核サービス、感染症制御、手術室、研究所または会計部署等、滅菌サービスを実行、管理、または利用する医療施設内の部門の形式であってもよい。査察者18は、適用すべき標準により滅菌施設16の遵守状況を検証する責任を負う監督機関または独立監査組織の形をとってよい。さらに、査察者18は医療施設内の組織の一部であってもよい。供給元20は、滅菌設備、滅菌剤、包装品リスト、インジケータ等の滅菌資材の製造元またはディストリビュータの形式であってよい。システム10は、多数の滅菌施設16、査察者18、および供給元20を有し、各々はネットワーク12を介してネットワーク・サーバ14と対話することができる。
【0027】
滅菌施設16、査察者18、および供給元20に関連付けられたクライアント・コンピュータは、ユーザにネットワーク12上のリソースへのアクセス権を与える各種の装置の形をとってよい。適当なクライアント・コンピュータの例は、Windows(登録商標)、マッキントッシュ(登録商標)、Unix(登録商標)やLinux(登録商標)環境、Palm、Windows(登録商標)CE又は類似のオペレーティング・システム環境に基づくパーソナルディジタルアシスタント(PDA)、インターネット搭載の無線電話機、および他のインターネット機器で動作するデスクトップまたはポータブル・コンピュータを含む。各クライアント・コンピュータは、ウェブ・ブラウザ等のグラフィカル閲覧アプリケーションを実行して、ネットワーク・サーバ14又はその他のネットワーク・リソース上にあるリソースへアクセスすることができる。
【0028】
ネットワーク・サーバ14は、例えば、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML)、拡張可能マークアップ言語(XML)等により符号化されたウェブ・ページを生成することが可能であり、他のネットワーク・リソースに格納されたオブジェクトやファイルを指すタグを組み込むことができる。例えば製品情報が求められた場合、ネットワーク・サーバ14は供給元20で保存されたオブジェクトやファイルにタグを埋め込むことも、あるいは滅菌施設16を供給元20が保存するウェブサイトへ単にリダイレクトすることもできる。このように、滅菌施設16用に編成されたWebページのコンテンツは、ネットワーク12内の各種のリソースから得られたオブジェクトを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、ネットワーク・サーバ14と供給元20は、互いに一体であってよい。しかし図1の例では、ネットワーク・サーバ14と供給元20は別個であり、ネットワーク12上で別々のサーバを維持する。
【0029】
図2は、図1のシステム10をさらに詳細に示すブロック図である。図2に示すように、ネットワーク12はワールド・ワイド・ウェブを介して実装することができる。また、ネットワーク・サーバ14は、データベース26およびファイル・アーカイブ30と対話するウェブ・サーバ22、データベース・サーバ24、およびファイル・サーバ28を含む一群のコンピュータを含んでいてよい。ウェブ・サーバ22はデータベース・サーバ24と対話して、ウェブ・ページと共に提供されるオブジェクトやファイルを識別する。オブジェクトやファイルの位置はデータベース26内に示される。ウェブ・サーバ22はファイル・サーバ28と対話して、ファイル・アーカイブ30内でデータベース26により識別されたオブジェクトやファイルにアクセスする。ウェブ・サーバ22はまた、注文システム32およびチャット・インターフェース34と対話することができる。注文システム32により、ウェブ・サーバ22は特定の滅菌施設16に滅菌資材を配送する旨の注文を生成することができる。
【0030】
チャット・インターフェース34は、滅菌施設16に関連付けられた担当者と滅菌分野の技術専門家、さらには異なる滅菌施設に関連付けられた他の滅菌担当者との間の対話型通信を管理する。このように、滅菌担当者は、専門家に質問することができ、専門家および広域な地理的コミュニティにわたる他の滅菌担当者の両方と経験を共有することができる。この形式の対話型通信は、滅菌施設16により購入済みの滅菌製品の利用に、または滅菌施設がその作業に利用する予定である候補製品に関するものであってよい。さらに、いくつかの実施形態において、供給元20はチャット・インターフェース34、電子メール又はその他の通信媒体を用いて、滅菌施設16に対し、新製品に関する通知、既存製品向けの資料、および特定の滅菌施設が使用している滅菌工程用の新資材の適合性に関する助言を与えることができる。この意味で、専門家や製造元からの通信を個人化することができる。
【0031】
図2に詳しく示すように、滅菌施設16Bは、医療施設内の多数の部門に関連付けられた担当者からアクセスできるようにネットワーク12に対しインターフェース36を提供することができる。例えば、滅菌施設16Bは、会計37、中核サービス38、手術室40、集中治療42、および各種の医学研究施設44に関連付けられた独立滅菌施設、並びに受付け、保守および手順スケジューリング等の他の部門を含んでいてよい。各々の独立滅菌施設37、38、40、42、44は、イントラネット又はその他のローカル・エリア・ネットワークを介してインターフェース36と通信する1個以上のクライアント・コンピュータを備えていてよい。この場合、インターフェース36は独立滅菌施設37、38、40、42、44に代わってウェブ12を介して情報の受送信を行なうイントラネット・サーバの役割を果たす。他の滅菌施設16A、16Cにはネットワーク12を介して直接通信する単一の部門だけが関連付けられていてよい。
【0032】
セキュリティ手段として好適にはファイアウォールが用意されている。ファイアウォールは、特定の滅菌施設16用に維持されている情報への無許可の侵入を回避すべく、データベース・サーバ24およびファイル・サーバ28をネットワーク・サーバ14から切り離す。個々の滅菌施設16および医療組織の滅菌工程に関する情報のリポジトリとしての性格を有するため、データベース26およびファイル・アーカイブ30のセキュリティと機密性は重大な関心事である。情報のセキュリティおよび機密性の強化を促進すべく、ネットワーク・サーバ14により生成されたウェブ・ページは、SSL等の公開鍵暗号化メカニズムを用いて通信することができる。ネットワーク・クライアント用のログイン・アカウントを利用する等、他のセキュリティ手段によりさらなる利点が得られる。
【0033】
図3は、ネットワーク・サーバ14に関連付けられたファイル・アーカイブ30を示すブロック図である。図3に示すように、ファイル・アーカイブ30は、特定の滅菌施設16に関する各種の個人化された情報を格納することができる。このように、ネットワーク・サーバ14は、個々の滅菌施設16向けにカスタマイズされたベースで情報を処理および配信することができる。そのために、ファイル・アーカイブ30は、特定の滅菌施設16に関する製品情報46を含むファイルを含んでいてよい。
【0034】
ファイルは、製品、製品の機能や特徴、価格等を識別するカタログ情報を含んでいてよい。ある場合において、ファイルは他のネットワーク・リソースまたは他のリソースに保存されたオブジェクトやファイルへのリンクを定義することができる。例えば、ネットワーク・サーバ14が提供する製品情報ファイルは、供給元20に関連付けられたサーバから得られるタグ付きオブジェクトを有するWebページであってよい。あるいは、滅菌施設16は、供給元20に関連付けられたサーバへリダイレクトされて詳細な製品情報を得ることができる。
【0035】
データベース・サーバ24は、データベース26内のプロファイルを参照することにより製品情報ファイルまたは滅菌施設16に関する他のファイルを識別することができる。滅菌工程において施設が用いる特定タイプの設備、滅菌剤、包装品リストおよびインジケータ、施設のサイズ、および施設のスループットと製品消費量等、作業の個々の特徴に基づいて、滅菌施設16向けにプロファイルを構築することができる。異なる滅菌施設16はデータベース26に反映された、異なる組の製品情報46を識別する異なるプロファイルを有していてよい。
【0036】
従って、異なる組のファイルは、ディレクトリ・マッピングにより特定の滅菌施設16向けのファイル・アーカイブ30内で編成することができる。しかし、より好適には、データベース26内のプロファイルは、ファイル・アーカイブ30内の各種ファイルを特定の滅菌施設16にマッピングする。換言すれば、ウェブ・サーバ22がプロファイルを用いて、個々の滅菌施設16向けに、ファイル・アーカイブ30内に提供された情報のサブセットを選択することができる。滅菌施設16はプロファイルに基づいて、情報のより大きな部分の選択されたサブセットへのネットワーク・アクセスを許可されている。このように、ある個々の滅菌施設16A向けの情報を、他の滅菌施設16B、16Cからは閲覧できないよう保護することができる。プロファイルは、滅菌施設16が実施したオンラインまたはオフライン調査に基づいて最初に構築されて、滅菌施設との対話により経時的に改良することができる。
【0037】
ファイル・アーカイブ30は、カスタマイズを前提にして特定の滅菌施設16向けに編集またはマッピング可能な他のタイプの情報を含んでいてよい。例えば、ファイル・アーカイブ30は、滅菌設備の設置状況に基づいて滅菌施設16が要求する保守サービスのタイプを示すサービス情報48を保存することができる。サービス情報48は、そのような設備の保守のスケジュールを示し、滅菌施設16だけでなく、滅菌施設と保守・サービスの契約を結んでいるサービス担当者からもアクセスすることができる。この場合、サービス情報48は、サービス担当者が使用するスケジューリング・ソフトウェアで自動利用されるべくフォーマットすることができる。
【0038】
サービス情報48は、滅菌設備の保守をスケジューリングする静的な時間尺度に基づくものであってよい。例えば、保守は毎月または四半期毎にスケジューリングすることができる。あるいはネットワーク・サーバ14は、滅菌施設16から受信した、設備が実際に使用されたことを示す滅菌工程情報50に基づいて保守をスケジューリングすることができる。滅菌工程情報50はファイル・アーカイブ30に保存されて、後述するようにサービス担当者の派遣、滅菌資材の配送の開始、滅菌工程レポートの作成に使用することができる。保守サービスは、ネットワーク・サーバ14が提供するサービスおよび供給元20の業務と統合されてもよい。滅菌工程情報50は、一定期間にわたり滅菌施設で滅菌設備内を通過する滅菌工程およびロードに関する特別のデータを含んでいてよい。滅菌施設16は、実際の使用を表わすデータを周期的に、例えば1日につき1回、ウェブ・サーバ22へアップロードすることができる。
【0039】
滅菌施設16から提供されたデータに基づいて、ネットワーク・サーバ14は保守スケジューリングだけでなく、滅菌工程を実行した際の滅菌資材の消費量を推定することができる。消費量を推定することにより、ネットワーク・サーバ14は特定の滅菌施設16が必要とする滅菌資材の追加量を予見することができる。ネットワーク・サーバ14は、特定のタイプの滅菌資材の履歴および使用パターンを追跡することができる。この前提で、ネットワーク・サーバ14は予見的に、滅菌施設16に追加の滅菌資材の配送を開始させ、自動化を前提として人間が特段に介入する必要なく、滅菌資材を容易に利用できることを保証する。
【0040】
ネットワーク・サーバ14は図2に示すように、例えば、特定の滅菌資材に対する要請を生成することができ、注文システム32へ、またはネットワーク12を介して直接供給元20へ要請を送信することができる。注文システム32は、供給元20へ要請を送る。各々の場合において、供給元20は滅菌資材を特定の滅菌施設16へ出荷することにより応答する。滅菌施設16と供給元20の間で電子支払いを容易に執り行なうことができる。いくつかの実施形態においてネットワーク・サーバ14は供給元20により運用されて、ネットワーク・サーバが提供するサービスを供給元の業務と統合することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、ネットワーク・サーバ14は資材の配送を要請するに先立って、滅菌施設16に関連付けられた担当者へ電子メール、ページ又はその他のメッセージを伝えることができる。メッセージは、特定の滅菌資材の在庫を補充する必要がある旨の簡単な注意喚起の形式であってよい。この場合、滅菌施設担当者は供給元に連絡して、追加の滅菌資材を注文することができる。あるいは、メッセージはハイパーテキスト・リンク等の対話的な媒体を提供して、滅菌資材の注文案の承認を了解させるのに使用することができる。例えば、メッセージは購入注文の詳細一覧および「承認」ボタンを示すことができる。滅菌施設担当者がボタンをクリックした場合、ウェブ・サーバ22は上述のように、承認の通知を受信して、自動的に注文を続行する。いずれにしても、滅菌施設16は、滅菌施設からウェブ・サーバ22へアップロードされた滅菌工程情報50の分析に基づいて、在庫の自動監視による利点が得られる。
【0042】
ネットワーク・サーバ14は滅菌工程情報50を用いて、滅菌資材の注文だけでなく、滅菌施設16の一定期間にわたる滅菌作業を追跡するレポート52も準備することができる。レポート52は、特定の滅菌装置の利用、プロセス・パラメータ、処理された特定のロード、およびロードに含まれる特定の包装品に関する情報を含んでいてよい。この種のレポート52を用いて、滅菌施設により実行された実際の滅菌工程作業に付随する正確な条件および特徴を記録することができる。このように、査察者18、例えば監督機関や独立監査組織はこのレポートを用いて適用すべき標準の遵守状況を検証することができる。ある場合において、レポート52は例えば、滅菌施設が病院、診療所、または健康管理機関等の共通の組織体により管理されている場合、2ヶ所以上の滅菌施設16から受信した滅菌工程情報を統合することができる。レポート52はまた、例えば内部監査や分析のために、医療施設内の担当者からアクセス可能にすることができる。
【0043】
各々の場合において、レポート52は個々の滅菌施設16の管理負担を軽減する自動化された集中記録保持を提供する。さらに、査察者18は、ネットワーク・サーバ14にアクセスするか、あるいはレポート内容を含む添付文書を伴なう電子メールを受信することによりオンラインで簡単にレポート52にアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、査察者18は、レポート52に含まれる情報を、例えばグラフィカルに閲覧可能にするプラグインをネットワーク・サーバ14からダウンロードすることができる。他の実施形態において、ネットワーク・サーバ14は、要請があった場合のみ査察者18向けにレポート52を編集すべく構成することができる。この場合、ネットワーク・サーバ14は、特定の滅菌施設16向けの滅菌工程情報50に格納されている項目を編集することができる。また、滅菌施設16は、アクセス範囲および査察者がレポートにアクセスできる時間帯を含めて、査察者18によるレポート52へのアクセスを制御することができる。例えば、いくつかの実施形態において滅菌施設16は、査察者18によるアクセスを、レポート52全体のうち遵守状況の評価に必要な部分だけに限定することができる。
【0044】
一例として、査察者18は、病院認定合同委員会(JCAHO)等の独立監査組織であってよい。監査組織は査察者18として、ネットワーク・サーバ14から滅菌工程レポートを検索して、適用すべき標準の遵守状況についてレポートを確認する。レポートがオンライン入手できることで、監査を行なう際に、滅菌施設16が必要とする管理に関わる無駄を減らすことができる。さらに、リコール発生時には、どの器具が影響を受けたかに関する必要データおよび各包装品の滅菌工程状態を監視目的のために容易に検索することができる。
【0045】
レポート52の作成を容易にすべく、滅菌施設16からアップロードされた滅菌工程情報50は、滅菌施設が実行した滅菌工程に関して充分なデータを含んでいなければならない。例えば、生物インジケータを用いる滅菌ロードの場合、滅菌施設16は、ロードが処理された日付、使用した特定の滅菌器(番号や名称等による)、滅菌器の種類、ロードの開始および終了時刻、ロード識別情報、インジケータ成長の徴候(すなわち正または負)、およびステータス表示(すなわちロードが解放されたか、または処理中か)を含む滅菌概要を提供することができる。化学的インジケータの場合、滅菌施設は同様の情報に加え、化学的徴候が合格または不合格ステータスを表わしたかどうかの簡単な表示を含んでいよう。滅菌概要はまた、サイクル時間、滅菌時間、温度、圧力、湿度、滅菌剤濃度等の工程パラメータを含んでいてよい。
【0046】
ネットワーク・サーバ14はまた、滅菌工程情報50を用いて滅菌施設向けの原価計算データ54を集計することができる。滅菌工程情報50は、医療施設内の部門又はその他の組織体に関連付けられた滅菌工程作業を識別することができる。滅菌工程情報50および滅菌施設16向けに準備された費用・データベースを用いて、ネットワーク・サーバ14は原価計算データ54を準備することができ、それにより費用管理および該当部門への費用課金が容易になる。原価計算データはオンライン・アクセスで利用可能にでき、滅菌施設16に関連付けられた会計担当者によりダウンロード可能にできる。あるいは、ネットワーク・サーバ14は定期的に(例えば毎月)、滅菌施設16に対し原価計算データを転送することができる。
【0047】
図3をさらに参照すると、ファイル・アーカイブ30はまた、プリンタを駆動して化学的インジケータを作り出すために用いるインジケータ・ソフトウェア・ファイル56を保存することができる。1つのオプションとして、標準化された滅菌包装品ソフトウェアのダウンロード可能なカタログを、ネットワーク・サーバ14により滅菌施設16に配信されたウェブ・ページに表示することができる。滅菌施設の担当者は次いで、所望の滅菌包装品を選んで、付随するソフトウェアをダウンロードすることができる。各インジケータ・ソフトウェア・ファイル56はバーコード、英数字コード、あるいは特定の滅菌包装品およびそれが処理される滅菌条件を識別するのに十分な情報を格納する他のコードを定義することができる。このように、インジケータ・ソフトウェア・ファイル56は、インジケータを生成するためのカスタム印刷ドライバとして機能する実行可能ファイルであっても、あるいは単に標準プリント・ドライバを介して印刷するバーコード又はその他のコードを定義するグラフィック・ファイルであってもよい。
【0048】
ある場合において、外観を変えて滅菌条件下に充分露出されたことを示す自己表示インクを用いてインジケータを印刷することができる。自己表示インクを用いる場合、「オンデマンド印刷」アプリケーションを求めるネットワーク・サーバ14からの要請に応答して滅菌施設16向けに出荷することができる。次いで滅菌施設16内でバーコードを用いて、個々の滅菌包装品および滅菌状況を監視することができる。バーコードに含まれる情報を走査したならば、上述のように他の目的のために滅菌施設16からネットワーク・サーバ14へアップロードされた滅菌工程情報の一部を形成することができる。
【0049】
化学的インジケータは、滅菌施設16によりネットワーク・サーバ14へアップロードされた滅菌工程情報に従って製造元が予め印刷しておき、次いで滅菌施設へ出荷することができる。さらに、滅菌施設16は、新規な設備を設置したり、新しいタイプの滅菌サイクル(例えば、より長い蒸気サイクル等)を使い始めた際に特定タイプやサイクルの滅菌の設定を注文することができる。滅菌施設16からアップロードされた情報に依存する同様の技術を用いて、生物インジケータ、滅菌テープおよび他のタイプの滅菌インジケータを得ることができる。
【0050】
ファイル・アーカイブ30はまた、知識ベース58を形成する一組のファイルを含んでいてよい。知識ベース58は、技術レポート、勧告、ユーザードキュメント、および滅菌設備、工程、および資材に関連付けられた他の情報を保存することができる。さらに、知識ベース58はプロトコルを保存し、滅菌施設16に関連付けられた担当者が特定のタイプの滅菌ロードを処理する際に有用なパラメータ・テーブルを処理することができる。病歴、障害復旧ノウハウ、問題解決、および滅菌の専門家との対話型チャット・セッションやオンライン教育セミナーから得た原稿もまた知識ベース58に提供することができる。
【0051】
必要に応じて、プロファイルを適用することにより滅菌施設16から見えないようにファイル・アーカイブ30のある部分にフィルタをかけることができる。滅菌施設16が、例えば蒸気滅菌器だけを使用する場合、知識ベース58の酸化エチレン滅菌に関する情報にアクセスする必要は無いであろう。従って、データベース26は、特定の滅菌施設16からアクセスできるように知識ベース58の特定のファイルをマッピングすることができる。あるいは、データベース26は特定のファイルにフラグを立てて、特定の滅菌施設16からのアクセスを禁止することができる。この種のアクセス・スキームもまた、アクセス範囲を制限すべく査察者18に適用可能にすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、システム10を用いて多数のネットワーク・クライアントから滅菌工程における最良実施方式および傾向に関する情報を蓄積することができる。この特徴は、多数の滅菌施設16の管理に責任を負う組織に特に有用であろう。例えば、異なるいくつかの病院を管理する健康管理機関には、それらの病院から集められた滅菌工程情報へのアクセス権が与えられてよい。この情報は、使用された滅菌工程のタイプ、滅菌資材の消費量、スループット、個々の病院における工程制御の設定等を含み、滅菌工程に関する全体的な傾向を把握して最良実施方式を確立すべく利用することができる。
【0053】
より大きな管理組織ではこの情報を用いて、購入の意思決定、予防的保守のスケジューリング、問題のトラブル解決の実行、訓練プログラムの策定、工程品質およびスループットの向上、およびリコールの最小限の抑制をすることができる。このように、ネットワーク・サーバ14は、傾向分析および最良実施方式のガイドライン設立のために情報を蓄積して、ネットワーク・クライアントにこのような情報へのアクセス権を与えるべく構成することができる。ネットワーク・サーバ14はまた、医療器具開発協会(AAMI)、手術部看護協会(AORN)、米国医療中核サービス専門家学会(American Society for Healthcare Central Service Professionals)(ASHCSP)等の業界団体から得られたより一般的な最良実施方式の情報を提供して、頻繁に更新することができる。
【0054】
傾向分析および最良実施方式ガイドラインは、ネットワーク・サーバ14からの情報に基づいてネットワーク・クライアントにより処理されて、次いで必要に応じて他のネットワーク・クライアントからアクセスできるようにネットワーク・サーバにアップロードすることができる。あるいは、ネットワーク・サーバ14は、個々ネットワーク・クライアントが傾向分析および最良実施方式の確立に用いた生の情報を単に保存してもよい。通常は、一群の滅菌施設16に関する情報へのアクセスは、他者と共有するのではなく、それらの施設に属するネットワーク・クライアントに限定される。
【0055】
情報が比較的多数の医療施設から集められた場合、傾向情報を用いて、任意の所与の病院を標準または「基準」と比較することができる。病院等の医療施設は通常、極めて競争的であり、各病院は自身が提供するサービスの品質やレベルで抜きん出ようとする。傾向情報を用いて、滅菌サービス分野における病院の相対ランキングを提供することができ、改善の余地を明らかにする。
【0056】
図4は、図1のシステム10におけるレポートの生成および滅菌資材の配送を示すフローチャートである。図4に示すように、ネットワーク12を介して滅菌施設16から滅菌工程情報を受信したならば(60)、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設および査察者18からアクセス可能なように滅菌工程レポートを作成する(62)。いくつかの実施形態において、ネットワーク・サーバ14は滅菌工程情報内のエラーを識別すべくエラー・チェック処理を施すことができる(64)。エラーは、滅菌工程情報の入力において人手入力に起因して発生しうる。エラーが存在する場合、ネットワーク・サーバ14はエラーリストを生成して、関連する滅菌施設へ送信することができる(66)。エラーが存在しない場合、ネットワーク・サーバ14はネットワーク12を介して許可された査察者18がレポートを利用できるようにする(68)。
【0057】
ネットワーク・サーバ14はまた、滅菌工程情報を分析して関連する滅菌施設16向けの滅菌資材の在庫レベルを判定することができる(70)。在庫レベルが所定の閾値を下回った場合(72)、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設に追加の滅菌資材を配送する旨の注文を生成することができる(74)。在庫レベルが満足であるか(72からの分岐がNO)、または追加の滅菌資材の注文が生成された場合、ネットワーク・サーバ14はさらに滅菌工程情報を分析して、滅菌施設16が使用した滅菌設備の保守スケジュールを判定することができる(76)。特に、滅菌施設16により処理される滅菌ロードの数およびタイプに基づいて、ネットワーク・サーバ14は設備の保守期限が来ているか否かを判定する(78)。保守期限が来ている場合、ネットワーク・サーバ14は保守スケジューリングの注文を発行する(80)。ある場合において、滅菌器の保守を即時に行なうべく注文を特定個人に向けてもよい。保守期限が来ていない場合、ネットワーク・サーバ14は滅菌工程情報の次の組がアップロードされるまで待つ(78の分岐がNO)。
【0058】
上述のように、ネットワーク・サーバ14は滅菌工程情報を分析して、滅菌設備の使用だけでなく、滅菌資材の消費量を推定することができる。このように、いくつかの実施形態において、ネットワーク・サーバ14は同一の滅菌工程情報を各種の目的、例えば滅菌工程レポートの作成、在庫レベルの推定、および滅菌設備の保守スケジューリングに利用することができる。
【0059】
図5は、図1のシステムにおける滅菌資材の配送をさらに示すフローチャートである。特に、図5はインジケータ資材の配送を示す。図5に示すように、滅菌工程情報を受信したならば(82)、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設16が実行する1個以上の滅菌工程で使用するインジケータの特徴を判定することができる(84)。この判定に基づいて、インジケータの在庫がオンデマンド印刷アプリケーションを要求している場合、ネットワーク・サーバ14はインジケータ情報を準備して、適宜フォーマットする(86)。ネットワーク・サーバ14は、次いでインジケータ情報およびフォーマットを滅菌施設16へ送信する(88)。
【0060】
滅菌施設16が通常のインクではなく、自己表示インクを必要とする場合(90)、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設が維持している自己表示インクの在庫を調べることができる(92)。自己表示インクが必要とされない場合、インジケータは単に滅菌施設16で印刷されるだけである(91)。インクの在庫が所定の閾値を超えている場合(94)、滅菌施設16はネットワーク・サーバ14から送られたインジケータ情報およびフォーマットにより定義されるインジケータの印刷へ進む(96)。在庫が所定の閾値を下回る(94)、すなわち供給が不十分なことを示す場合、ネットワーク・サーバ14は滅菌施設に対し補充インクを供給する旨の注文を準備する(98)。
【0061】
本発明の各種実施形態について述べてきた。これらのおよび他の実施形態は添付の各請求項の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報をネットワーク・サーバにより受信するステップと、
前記受信情報に基づいてレポートをネットワーク・サーバにより生成するステップであって、前記レポートが、滅菌工程標準の遵守状況情報及び/又は滅菌費用情報を含む、ステップと、
ネットワーク・クライアントに前記コンピュータ・ネットワークを介して前記レポートへのアクセス権をネットワーク・サーバにより与えるステップと、を含む方法。
【請求項2】
滅菌施設に関連付けられていて、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌工程情報を送信するクライアント・コンピュータと、
前記コンピュータ・ネットワークを介して前記クライアント・コンピュータから前記滅菌工程情報を受信し、前記受信した情報に基づいて滅菌工程標準の遵守状況情報及び/又は滅菌費用情報を含むレポートを生成し、ネットワーク・クライアントに対して前記コンピュータ・ネットワークを介して前記レポートへのアクセス権を与えるネットワーク・サーバと、を含むシステム。
【請求項3】
コンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報をネットワーク・サーバにより受信するステップと、
前記滅菌工程情報に基づいて前記滅菌施設による滅菌資材の消費量をネットワーク・サーバにより見積もりするステップと、
前記見積もりに基づいて必要とされる滅菌資材の追加量をネットワーク・サーバにより予測するステップと、
前記予測に基づいて前記滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文をネットワーク・サーバにより処理するステップと、を含む方法。
【請求項4】
コンピュータ・ネットワークを介して滅菌施設から滅菌工程情報をネットワーク・サーバにより受信するステップと、
前記滅菌工程情報に基づいて前記滅菌施設による滅菌資材の消費量をネットワーク・サーバにより見積もりするステップと、
前記見積もりに基づいて必要とされる滅菌資材の追加量をネットワーク・サーバにより予測するステップと、
前記予測に基づいて前記滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文をネットワーク・サーバにより処理するステップと、
前記滅菌工程情報に基づいて前記滅菌施設に関連付けられた滅菌設備の保守をネットワーク・サーバによりスケジューリングするステップと、
前記滅菌工程情報に基づいて滅菌工程標準の遵守状況を示すレポートをネットワーク・サーバにより生成するステップと、
査察者に対して前記コンピュータ・ネットワークを介して前記レポートへのアクセス権をネットワーク・サーバにより与えるステップと、を含む方法。
【請求項5】
滅菌施設に関連付けられていて、コンピュータ・ネットワークを介して滅菌工程情報を送信するクライアント・コンピュータと、
前記滅菌工程情報に基づいて前記滅菌施設による滅菌資材の消費量を見積もりし、
前記見積もりに基づいて必要とされる滅菌資材の追加量を予測し、
前記予測に基づいて前記滅菌施設へ追加の量の滅菌資材を配送する旨の注文を処理し、
前記滅菌工程情報に基づいて前記滅菌施設に関連付けられた滅菌設備の保守をスケジューリングし、
前記滅菌工程情報に基づいて滅菌工程標準の遵守状況を示すレポートを生成し、
査察者に対して前記コンピュータ・ネットワークを介して前記レポートへのアクセス権を与えるネットワーク・サーバと、を含むシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−169990(P2009−169990A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112934(P2009−112934)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願2003−540906(P2003−540906)の分割
【原出願日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)