説明

滅菌確認用機器

【課題】滅菌媒体が到達しにくい場所であっても内視鏡の内部管路に対する滅菌効果を確実に確認可能な滅菌確認用機器を提供する。
【解決手段】本発明の滅菌確認用機器60は、内視鏡10の内部管路として例えば処置具挿通路56に挿通可能な細長状の挿通部材からなり、前記挿通部材には、前記内部管路に導入された滅菌媒体による滅菌効果を確認するための滅菌インジケータ66を保持可能なインジケータケース62が前記挿通部材の長手方向に沿って複数配置され、前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータケース62、62同士は、前記内視鏡10の内部管路の形状に沿って変形可能な可撓性を有するチューブ本体64を介して連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滅菌確認用機器に係り、特に、内視鏡の内部管路の滅菌効果を確認可能な滅菌確認用機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して臓器などを観察したり、内視鏡の処置具挿通路(「処置具挿通チャンネル」、「鉗子チャンネル」などともいう。)内に挿入した処置具を用いて各種治療や処置を行ったりする。このため、一度使用した内視鏡を他の患者に再使用する場合、内視鏡を介しての患者間の感染を防止するため、検査・処置終了後に内視鏡の消毒・滅菌を行う必要がある。消毒や滅菌には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾン、高温高圧の水蒸気を使用する滅菌であるオートクレーブなどを使用する方法がある。
【0003】
内視鏡の高度な滅菌処理の代表的な手法である過酸化水素プラズマ法は、プラズマにより過酸化水素を分解して活性なヒドロキシラジカルを発生させ、これにより滅菌を行う方法である。また、高温高圧蒸気で内視鏡を滅菌するオートクレーブは、広く普及している消毒滅菌方法であり、いずれの方法においても滅菌効果の信頼性が高く、残留毒性がなく、ランニングコストが安い等の多くのメリットを有している。
【0004】
このような滅菌処理では、通常、その滅菌処理による滅菌効果が十分に得られたか否かを確認する作業が行われる。この確認作業には、被滅菌物が滅菌処理されたことを示す滅菌インジケータが用いられる。滅菌インジケータは、被滅菌物が所定の滅菌媒体(熱またはガス)に一定時間の間、曝されたことを示すものであり、不可逆的な変色性を有する部材である。一般に、この変色性を有する滅菌インジケータは、カード、ラベル、又はテープ状の素材であり、内視鏡等の医療機器に直接貼付けられたり、密閉包装の中に同封される。医師や看護師は、密閉包装を開封する際に滅菌インジケータの色を確認し、所定の色に変化していれば滅菌処理が完了しているものと信じて検査や手術等に使用する。
【0005】
被滅菌物内部にこのような細くて長い管路を持たない構造の医療機器であれば、一般的な滅菌インジケータを前記被滅菌物表面に貼付することで滅菌効果が確認できる。
【0006】
しかしながら、内視鏡の内部管路は、細くて長い管路構造になっており、滅菌処理を行った場合に、確実に内部管路の内部まで滅菌媒体が到達したか否かが確認しにくい構造になっている。このため、たとえ内視鏡の表面が滅菌媒体に曝されても、この滅菌媒体が内部管路を通過したかどうかは分からず、滅菌処理が適切に行われた否かを確認する作業は十分なものではない。
【0007】
一方、特許文献1には、滅菌用インジケータ組成物を付着させた線状物を細い管路に挿入し、管路内の滅菌を確認できるようにした滅菌確認用インジケータが提案されている。
【0008】
また、特許文献2には、内視鏡のように細くて長い内部管路の滅菌効果を確認するのに適した滅菌確認用機器として、管路径が可変な管路チューブと、該管路チューブと接続され、前記管路チューブの内側空間と連通する空間内に滅菌確認用インジケータを収容可能なインジケータケースとを備えたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−355297号公報
【特許文献2】特許2005−204826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に記載された滅菌確認用インジケータは、カテーテル等のような簡単な管路への挿入を容易にすべく、滅菌用インジケータ組成物を付着させた線状物は樹脂によって全体を被覆することによって剛性が確保されている。
【0011】
しかしながら、内視鏡の内部管路は、例えば図7に示す処置具挿通路56のように、細長く、しかも屈曲した管路になっているため、前記滅菌確認用インジケータのように剛性の高い部分が長手方向全体にわたって連続的に続いていると、内視鏡の内部管路の屈曲部を通過させることは困難であり、前記滅菌確認用インジケータを内視鏡の内部管路に挿通することができない。
【0012】
また、特許文献2に記載された滅菌確認用機器は、内視鏡の内部管路に相当する管路を疑似的に構成し、その管路の内側空間と連通する空間内に収納される滅菌確認用インジケータの変化から内視鏡の内部管路の滅菌効果の確認を行っている。すなわち、この滅菌確認用機器は、内視鏡の内部管路を疑似的に構成した管路を用いて滅菌効果を間接的に確認するものであり、内視鏡の内部管路の滅菌効果を直接的に確認できるものではない。また、測定箇所も1か所であり、疑似的に構成された管路の内部に滅菌媒体が通ったことを確認できるのみであり、滅菌効果の確認としては不十分なものである。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、滅菌媒体が到達しにくい場所であっても内視鏡の内部管路に対する滅菌効果を確実に確認可能な滅菌確認用機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明に係る滅菌確認用機器は、内視鏡の内部管路に挿通可能な細長状の挿通部材からなる滅菌確認用機器であって、前記挿通部材には、前記内部管路に導入された滅菌媒体による滅菌効果を確認するための滅菌インジケータを保持可能なインジケータ保持部材が前記挿通部材の長手方向に沿って複数配置され、前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータ保持部材同士は、前記内視鏡の内部管路の形状に沿って変形可能な可撓性を有する連結部材を介して連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内視鏡の内部管路全域にわたって複数の滅菌インジケータが配置されるので、滅菌媒体が到達しにくい場所であっても内視鏡の内部管路に対する滅菌効果を確実に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】内視鏡の全体構成を示した外観図
【図2】図1に示した内視鏡の挿入部の先端部を示した斜視図
【図3】滅菌確認用機器を示した外観斜視図
【図4】滅菌確認用機器の一部を分解して示した分解斜視図
【図5】インジケータホルダを示した外観斜視図
【図6】インジケータの収納方法を示した説明図
【図7】内視鏡の処置具挿通路内に滅菌確認用機器が挿通された状態を示した断面図
【図8】インジケータホルダの他の構成例を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
まず、本実施形態の滅菌確認用機器が適用される内視鏡の構成について説明する。
【0019】
図1は、内視鏡の全体構成を示した外観図である。同図に示すように、内視鏡10は、手元操作部12と、この手元操作部12に連設され、体腔内に挿入される挿入部14とを備える。
【0020】
手元操作部12には、ユニバーサルケーブル16が接続され、このユニバーサルケーブル16の先端にライトガイド(LG)コネクタ18が設けられる。LGコネクタ18は不図示の光源装置に着脱自在に連結され、これによって後述の照明窓46(図2参照)に照明光が送られる。また、LGコネクタ18には、ケーブル20を介して電気コネクタ22が接続され、電気コネクタ22が不図示のプロセッサに着脱自在に連結される。なお、図1の符号23は、電気コネクタ22のキャップであり、洗浄消毒時に電気コネクタ22に装着される。
【0021】
手元操作部12には、送気・送水ボタン24、吸引ボタン26、及びシャッターボタン28が並設されるとともに、一対のアングルノブ30、30が設けられる。また、手元操作部12には、鉗子等の処置具が挿入される処置具挿入口32が設けられている。
【0022】
挿入部14は、手元操作部12側から順に軟性部(可撓管部)36、湾曲部38、先端部40で構成されている。
【0023】
湾曲部38は、手元操作部12のアングルノブ30、30を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部40を所望の方向に向けることができる。
【0024】
図2に示すように、先端部40の先端面42には、観察窓44、照明窓46、46、送気・送水ノズル48、鉗子口50が設けられる。
【0025】
観察窓44の後方にはCCD(不図示)が配設され、このCCDを支持する基板には信号ケーブル(不図示)が接続される。信号ケーブルは図1の挿入部14、手元操作部12、ユニバーサルケーブル16、LGコネクタ18、及びケーブル20に挿通されて電気コネクタ22まで延設され、不図示のプロセッサに接続される。よって、観察窓44で取り込まれた観察像は、CCDの受光面に結像されて電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサに出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサに接続されたモニタ(不図示)に観察画像が表示される。
【0026】
図2の照明窓46、46の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部14、手元操作部12、ユニバーサルケーブル16に挿通され、LGコネクタ18内に入射端が配設される。したがって、LGコネクタ18を光源装置(不図示)に連結することによって、光源装置から照射された照明光がライトガイドを介して照明窓46、46に伝送され、照明窓46、46から前方の観察範囲に照射される。
【0027】
送気・送水ノズル48は、図1の送気・送水ボタン24によって操作される送気・送水バルブ(不図示)に送気送水管路(不図示)を介して連通されており、さらにこの送気・送水バルブはLGコネクタ18に設けた送気・送水コネクタ52に連通される。送気・送水コネクタ52には不図示の送気・送水手段が接続され、この送気・送水手段からエア及び水が供給される。したがって、送気・送水ボタン24を操作することによって、送気・送水ノズル48からエア又は水を観察窓44に向けて噴射することができる。
【0028】
鉗子口50は、図1の処置具挿入口32に処置具挿通路(図1中不図示、図7に符号56として記載)を介して連通されている。よって、処置具挿入口32から鉗子等の処置具を挿入することによって、この処置具を鉗子口50から導出することができる。また、鉗子口50は、図1の吸引ボタン26によって操作される吸引バルブ(不図示)に連通されており、この吸引バルブはさらにLGコネクタ18の吸引コネクタ54に接続される。したがって、吸引コネクタ54に不図示の吸引手段を接続し、吸引ボタン26で吸引バルブを操作することによって、鉗子口50から病変部等を吸引することができる。
【0029】
次に、本実施形態の滅菌確認用機器について説明する。
【0030】
図3は、本実施形態の滅菌確認用機器を示した外観斜視図であり、図4は、その一部を分解して示した分解斜視図である。また、図5は、本実施形態の滅菌確認用機器の構成部材であるインジケータホルダを示した外観斜視図である。なお、図5において、(a)はインジケータホルダを表面側から見たときの様子を示した図であり、(b)は(a)のインジケータホルダを裏面側から見たときの様子を示した図である。
【0031】
図3〜図5に示すように、本実施形態の滅菌確認用機器60は、図1に示した内視鏡10の挿入部14の内部に設けられる処置具挿通路(図1中不図示、図7に符号56として記載)に挿通可能な細長状の挿通部材からなり、この挿通部材は、その長手方向に沿って複数のインジケータホルダ62が所定の間隔をあけて配置され、これらのインジケータホルダ62はチューブ体64を介して互いに連結されている。なお、前記挿通部材の両端もチューブ体64により構成されている。
【0032】
インジケータホルダ62は、滅菌インジケータ66を保持するための保持部材である。このインジケータホルダ62は、図4又は図5に示すように、チューブ体64の外径と略同一の外径を有する円筒状の本体部62Aと、本体部62Aの両端に配置され、本体部62Aの外径よりも小さくチューブ体64の内径と略同一の外径を有する連結部62B、62Bとから構成される。
【0033】
インジケータホルダ62の本体部62Aには、滅菌インジケータ66を交換自在に収納可能なインジケータ収納部(凹部)68が設けられている。本体部62Aの側面には、インジケータ収納部68に収納された滅菌インジケータ66を表面に露出させるための複数の開口部(窓部)70A、70B、70Cが形成されている。
【0034】
第1及び第2の開口部70A、70Bは、本体部62Aの外周面において周方向の同一位置であって軸方向の異なる位置(軸方向の両端位置)にそれぞれ配置されている。第3の開口部70Cは、インジケータホルダ62の外周面において周方向に関して第1及び第2の開口部70A、70Bとは反対側の位置であって軸方向の略中央部に配置されている。そして、これらの開口部70A、70B、70Cを除く本体部62Aの外周面(外壁部)は、インジケータ収納部68に収納された滅菌インジケータ66の脱落を防止する支持部(脱落防止部材)として機能している。
【0035】
インジケータホルダ62の連結部62Bは、チューブ体64との連結を行うためにチューブ体64の端部開口に嵌入される部分である。図示は省略するが、インジケータホルダ62とチューブ体64とが連結されたときにその連結が容易に解除されるのを防止するための部材(連結解除防止部材)として、チューブ体64の内周面及び連結部62Bの外周面のいずれか一方の面には凸部が形成され、他方の面には前記凸部と係合可能な凹部が設けられていることが好ましい。この場合、インジケータホルダ62とチューブ体64が離間する方向に所定値以上の力が加わらない限り、これらの連結は解除されることがない。
【0036】
インジケータホルダ62とチューブ体64の連結は上記態様に限らず、例えば連結部62Bの外周面に雄ネジを形成するとともにチューブ体64の内周面に雌ネジを形成し、これらのネジ部同士を螺合させることにより、インジケータホルダ62とチューブ体64を連結してもよい。また、別の態様として、インジケータホルダ62とチューブ体64とを接着剤を介して連結するようにしてもよい。
【0037】
滅菌インジケータ66は、内視鏡10の内部管路(例えば処置具挿通路)に導入された滅菌媒体による滅菌効果を確認するためのものであり、市販の化学的インジケータ(Chemical Indicator(CI))や生物学的インジケータ(Biological Indicator(BI))が用いられる。これらのインジケータについては公知であるので、ここでは詳細な説明については省略する。
【0038】
チューブ体64は、滅菌確認用機器60の長手方向に沿って隣り合うインジケータホルダ62、62同士を連結する連結部材であり、インジケータホルダ62よりも低剛性の軟質樹脂からなり、内視鏡10の内部管路の形状に沿って変形可能な可撓性を有して構成される。なお、本実施形態では、インジケータホルダ62、62同士を連結する連結部材として、チューブ体64に限らず、例えば中実の棒状体により構成されていてもよい。
【0039】
図6は、滅菌インジケータ66の収納方法を示した説明図である。図6に示すように、滅菌インジケータ66は、シート状のインジケータシートを円筒状に折り曲げられたものが用いられる。そして、滅菌インジケータ66は、インジケータホルダ62の本体部62Aに設けられる開口部70A又は70Bからインジケータ収納部68に挿入配置される。その際、滅菌インジケータ66には軸方向に沿ったスリット72が設けられているため、インジケータ収納部68の挿通口となる開口部70A又は70Bの開口幅に合わせて滅菌インジケータ66の外径を調節しながら挿入することができ、インジケータ収納部68への挿入配置を容易に行うことが可能となる。インジケータ収納部68から滅菌インジケータ66を取り出す場合にはその逆の手順となる。
【0040】
次に、本実施形態の滅菌確認用機器60を用いて、内視鏡10の内部管路としての処置具挿通路内の滅菌効果を確認する方法について説明する。ここでは、内視鏡10の洗浄処理は既に行われているものとする。
【0041】
まず、滅菌確認用機器60を準備する。その際、各インジケータホルダ62のインジケータ収納部68に滅菌インジケータ66が収納されていない場合には、図6に示したようにインジケータ収納部68に滅菌インジケータ66を挿入配置する。
【0042】
次に、図7に示すように、内視鏡10の手元操作部12に設けられる処置具挿入口32から処置具挿通路56内に滅菌確認用機器60を挿入する。その際、処置具挿通路56に挿入された滅菌確認用機器60の先端部が鉗子口50まで到達するか、或いは、鉗子口50から外側に導出されるまで挿入操作を行う。これにより、処置具挿通路56の全域にわたって複数の滅菌インジケータ66が配置される。なお、滅菌確認用機器60は、処置具挿通路56の長手軸方向の長さよりも十分に長く構成されている。
【0043】
この状態で内視鏡10を滅菌装置(例えば過酸化水素プラズマ滅菌装置)に設置する。そして、内視鏡10は、滅菌装置にて所定の時間、滅菌処理が行われる。
【0044】
滅菌装置にて滅菌処理が行われている間、内視鏡10の表面が滅菌媒体に曝されるとともに、処置具挿通路56の開口端、すなわち処置具挿入口32又は鉗子口50から処置具挿通路内に滅菌媒体(例えば過酸化水素水)が侵入して、処置具挿通路56内も滅菌媒体に曝される。このとき、処置具挿通路56内には滅菌確認用機器60が挿通配置されているので、滅菌確認用機器60の各滅菌インジケータ66は処置具挿通路56内に充満した滅菌媒体によって反応する。
【0045】
滅菌処理の終了後、滅菌作業者は、内視鏡10の処置具挿通路56から滅菌確認用機器60を取り出して滅菌効果の確認を行う。この際、処置具挿通路56の全域にわたって滅菌媒体が十分に充満していれば、滅菌確認用機器60の各滅菌インジケータ66は適正に反応し、処置具挿通路56内の滅菌処理が確実に行われたことを確認できる。各滅菌インジケータ66の一部又は全部が適正に反応していない場合は、処置具挿通路56の全域にわたって滅菌媒体が行き渡らなかったか、又は滅菌装置に何かしらの異常(不具合)があった場合であり、その場合には滅菌工程を再実施するなどの対応が必要となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の滅菌確認用機器60によれば、複数のインジケータホルダ62がチューブ体64を介して互いに連結されているので、内視鏡10の内部管路(本例では図7の処置具挿通路56)内に容易に挿入することが可能であり、その内部管路全域にわたって複数の滅菌インジケータ66を配置することができる。これにより、滅菌媒体が到達しにくい場所であっても内視鏡10の内部管路に対して滅菌効果を確実に確認することが可能となる。
【0047】
なお、本実施形態では、内視鏡10の内部管路として処置具挿通路56内の滅菌効果を確認する場合を一例に説明したが、これに限らず、例えば送気送水管路(送気送水チャンネル)など他の内部管路の滅菌効果についても同様にして確認することが可能である。
【0048】
また、滅菌確認用機器60は、ディスポーザブルタイプ(使い捨てタイプ)でもよいし、リユースタイプ(繰り返して利用可能なタイプ)でもよい。リユースタイプの場合、滅菌確認用機器60が使用される度に滅菌インジケータ66を新しいものに交換する作業が必要となるが、滅菌インジケータ66以外については再利用可能であり、ディスポーザブルタイプに比べてコスト面で有利である。これに対して、ディスポーザブルタイプであれば、製造出荷の段階で各インジケータホルダ62のインジケータ収納部68に滅菌インジケータ66を収納した状態でユーザに提供することが可能となる。このため、滅菌インジケータ66の交換作業が不要であり、リユースタイプに比べて滅菌作業者の作業負担を軽減することができる。
【0049】
また、本実施形態では、インジケータホルダ62の本体部62Aには滅菌インジケータ66を交換自在に収納するためのインジケータ収納部(凹部)68が設けられているが、これに限らず、例えば図8に示すように、インジケータホルダ62の本体部62Aの外周面にテープ状の滅菌インジケータ66’を貼着するようにしてもよい。この場合、インジケータ収納部68(図5参照)は不要となり、インジケータホルダ62の製造が容易となる。
【0050】
また、本実施形態では、各インジケータホルダ62の配置間隔については特に限定されるものではないが、各インジケータホルダ62を等間隔に配置した場合には、内視鏡10の内部管路に対する滅菌効果を内部管路の長手方向に沿って均一に確認することが可能となる。
【0051】
一方、各インジケータホルダ62は不等間隔に配置されていてもよい。例えば、内視鏡の内部管路の形状や端部開口からの距離に応じて滅菌媒体が到達しやすい場所では滅菌インジケータの配置間隔を長くし、一方、滅菌媒体が到達しやすい場所では滅菌インジケータの配置間隔を短くすることにより、内視鏡の内部管路に対する滅菌効果の確認をより効率的に行うことが可能となる。
【0052】
なお、各インジケータホルダ62の配置間隔を変える方法としては、複数の長さのチューブ体64を用意しておき、隣接するインジケータホルダ62、62同士の間隔を短くする場合には短尺のチューブ体で接続し、一方、これらの間隔を長くする場合には長尺のチューブ体で接続すればよい。これにより、各インジケータホルダ62の配置間隔を簡単に変えることができる。
【0053】
以上、本発明の滅菌確認用機器について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0054】
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0055】
(発明1):内視鏡の内部管路に挿通可能な細長状の挿通部材からなる滅菌確認用機器であって、前記挿通部材には、前記内部管路に導入された滅菌媒体による滅菌効果を確認するための滅菌インジケータを保持可能なインジケータ保持部材が前記挿通部材の長手方向に沿って複数配置され、前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータ保持部材同士は、前記内視鏡の内部管路の形状に沿って変形可能な可撓性を有する連結部材を介して連結されていることを特徴とする滅菌確認用機器。
【0056】
本発明によれば、内視鏡の内部管路全域にわたって複数の滅菌インジケータが配置されるので、滅菌媒体が到達しにくい場所であっても内視鏡の内部管路に対する滅菌効果を確実に確認することが可能となる。
【0057】
(発明2):前記連結部材は、チューブ体により構成されていることを特徴とする発明1に記載の滅菌確認用機器。
【0058】
本発明によれば、細長く屈曲した内部管路に対しても滅菌確認用機器を容易に挿入することが可能となる。
【0059】
(発明3):前記インジケータ保持部材は、前記挿通部材の長手方向に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする発明1又は2に記載の滅菌確認用機器。
【0060】
本発明によれば、内視鏡の内部管路全域にわたって滅菌インジケータを等間隔に配置することが可能となり、内視鏡の内部管路に対する滅菌効果を内部管路の長手方向に沿って均一に確認することが可能となる。
【0061】
(発明4):前記インジケータ保持部材は、前記挿通部材の長手方向に沿って不等間隔に配置されていることを特徴とする発明1又は2に記載の滅菌確認用機器。
【0062】
本発明によれば、内視鏡の内部管路の形状や端部開口からの距離に応じて滅菌媒体が到達しやすい場所では滅菌インジケータの配置間隔を長くし、一方、滅菌媒体が到達しやすい場所では滅菌インジケータの配置間隔を短くすることができる。これにより、内視鏡の内部管路に対する滅菌効果の確認をより効率的に行うことが可能となる。
【0063】
(発明5):前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータ保持部材同士の間隔は、前記内視鏡の内部管路の端部開口からの距離が長くなるほど短く構成されることを特徴とする発明4に記載の滅菌確認用機器。
【0064】
本発明によれば、内視鏡の内部管路の端部開口からの距離が長くなるほど滅菌インジケータの配置間隔が短くなるので、滅菌媒体が到達しなくい場所であってもより確実に滅菌効果を確認することができる。
【0065】
(発明6):前記インジケータ保持部材には、前記滅菌インジケータを交換自在に収容可能なインジケータ収容部が設けられていることを特徴とする発明1〜5のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。
【0066】
本発明によれば、インジケータ保持部材に滅菌インジケータが交換自在に収容されるので、滅菌確認用機器を再利用することが可能となる。
【0067】
(発明7):前記インジケータ保持部材の表面には前記滅菌インジケータを貼着されていることを特徴とする発明1〜5のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。
【0068】
本発明によれば、インジケータ保持部材の構造が簡易化されるので製造が容易となる。
【0069】
(発明8):前記内部管路は、前記内視鏡の内部に設けられる処置具挿通路又は送気送水路であることを特徴とする発明1〜7のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。
【0070】
本発明によれば、内視鏡の処置具挿通路又は送気送水路に対する滅菌効果を確実に確認することができる。
【符号の説明】
【0071】
10…内視鏡、12…手元操作部、14…挿入部、32…処置具挿入口、36…軟性部、38…湾曲部、40…先端部、56…処置具挿通路、60…滅菌確認用機器、62…インジケータホルダ、64…チューブ体、66…滅菌インジケータ、68…インジケータ収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部管路に挿通可能な細長状の挿通部材からなる滅菌確認用機器であって、
前記挿通部材には、前記内部管路に導入された滅菌媒体による滅菌効果を確認するための滅菌インジケータを保持可能なインジケータ保持部材が前記挿通部材の長手方向に沿って複数配置され、
前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータ保持部材同士は、前記内視鏡の内部管路の形状に沿って変形可能な可撓性を有する連結部材を介して連結されていることを特徴とする滅菌確認用機器。
【請求項2】
前記連結部材は、チューブ体により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の滅菌確認用機器。
【請求項3】
前記インジケータ保持部材は、前記挿通部材の長手方向に沿って等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の滅菌確認用機器。
【請求項4】
前記インジケータ保持部材は、前記挿通部材の長手方向に沿って不等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の滅菌確認用機器。
【請求項5】
前記挿通部材の長手方向に沿って隣り合う前記インジケータ保持部材同士の間隔は、前記内視鏡の内部管路の端部開口からの距離が長くなるほど短く構成されることを特徴とする請求項4に記載の滅菌確認用機器。
【請求項6】
前記インジケータ保持部材には、前記滅菌インジケータを交換自在に収容可能なインジケータ収容部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。
【請求項7】
前記インジケータ保持部材の表面には前記滅菌インジケータを貼着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。
【請求項8】
前記内部管路は、前記内視鏡の内部に設けられる処置具挿通路又は送気送水路であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の滅菌確認用機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−42793(P2013−42793A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180566(P2011−180566)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】