説明

滅菌装置

【解決手段】 滅菌装置2は、作業チャンバーCの内部に、物品としての容器1を搬送する搬送手段としての搬送コンベヤ4と、上記容器に滅菌光Lを照射する発光手段としてのハロゲンランプ34と、上記滅菌光を集光する集光手段35と、上記集光手段の内部に形成された空間Sを開放状態または閉鎖状態とする開閉扉6とを備えている。
容器を滅菌する際には、上記開閉扉を開放状態として、上記ハロゲンランプが照射した滅菌光を上記集光手段の反射面35bに反射させて容器に集光し、上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際には、上記開閉扉を閉鎖状態として、上記ハロゲンランプが照射した滅菌光を該開閉扉の反射面6aに反射させて、該滅菌光Lを上記集光手段の反射面に照射させる。
【効果】 集光手段の反射面を滅菌ガスに接触させることを防止するとともに、この反射面を加熱滅菌することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滅菌装置に関し、詳しくは外部より区画された作業チャンバーと、該作業チャンバー内に設けられて物品を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される物品を滅菌する滅菌手段と、上記作業チャンバーに滅菌ガスを供給して該作業チャンバー内の搬送手段および滅菌手段を滅菌する滅菌ガス供給手段とを備えた滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を滅菌する滅菌装置として、滅菌光を照射するハロゲンランプを備えたものが知られており、物品としてのバイアルに滅菌光を照射することで、バイアルを加熱滅菌するようになっている(特許文献1)。
一方、上記滅菌装置としては、外部より区画された作業チャンバー内に設けられて物品を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される物品を滅菌する滅菌手段と、上記作業チャンバーに滅菌ガスを供給する滅菌ガス供給手段とを備えた滅菌装置も知られている(特許文献2)。
この滅菌装置では、物品の滅菌が終了した後には上記滅菌ガス供給手段が上記作業チャンバー内に滅菌ガスを充満させて、作業チャンバー内の搬送手段および滅菌手段を滅菌するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−362516号公報
【特許文献2】特許3528971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1のようにハロゲンランプによる滅菌光で物品を滅菌する滅菌装置においては、該ハロゲンランプが照射する滅菌光をメッキ処理や鏡面処理された反射面を有する集光手段により物品へと集光させるものも知られている。
しかしながら、上記特許文献2における作業チャンバー内に上記集光手段を設置した場合、滅菌ガスを充満させて集光手段を滅菌しようとすると、該集光手段の反射面が滅菌ガスにより腐食したり、くすんだりして反射効率が悪くなるという問題があった。
このような問題に鑑み、滅菌ガスに接触させたくない反射面を有する集光手段であっても、これを滅菌ガスを充満させて内部を滅菌する作業チャンバー内に配置可能とするとともに、これを作業チャンバー内で滅菌することが可能な滅菌装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明にかかる滅菌装置は、外部より区画された作業チャンバーと、該作業チャンバー内に設けられて物品を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される物品を滅菌する滅菌手段と、上記作業チャンバーに滅菌ガスを供給して該作業チャンバー内の搬送手段および滅菌手段を滅菌する滅菌ガス供給手段とを備えた滅菌装置において、
上記滅菌手段は、物品に滅菌光を照射して加熱滅菌する発光手段と、上記発光手段が照射した滅菌光を物品に集光させる集光手段とを備え、
上記集光手段は、上記発光手段を収容するとともに開口部の形成された空間と、該空間の内壁に形成されて上記発光手段が照射した滅菌光を物品に向けて反射させる反射面とから構成され、
さらに、上記集光手段の開口部に上記空間を開放状態または閉鎖状態とする開閉扉を設けて、閉鎖状態とした開閉扉における発光手段側の面に上記滅菌光を反射させる反射面を形成し、
上記搬送手段によって搬送される物品を滅菌する際には、上記開閉扉を開放状態として、上記発光手段が照射した滅菌光を上記集光手段の反射面に反射させて上記物品に集光し、
上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際には、上記開閉扉を閉鎖状態として、上記発光手段が照射した滅菌光を該開閉扉の反射面に反射させて、該滅菌光を上記集光手段の反射面に照射することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際には、集光手段の開口部に設けた開閉扉を閉鎖状態とすることで、集光手段の内部に形成された空間に滅菌ガスが侵入するのを防止し、該集光手段の反射面が滅菌ガスに接触して悪影響を受けるのを防止することができる。
また、上記開閉扉の発光手段側の面に反射面を形成したことから、上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際、上記集光手段の空間には上記滅菌光が繰り返し反射するため、上記集光手段の反射面を加熱滅菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例にかかる容器滅菌装置の平面図。
【図2】光滅菌手段の断面図であって、開閉扉が開放状態となった図。
【図3】光滅菌手段の正面図。
【図4】光滅菌手段の断面図であって、開閉扉が閉鎖状態となった図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1は物品としての容器1を滅菌する滅菌装置2の平面図を示し、該滅菌装置2は無菌状態に維持された作業チャンバーCを備えている。
また上記滅菌装置2は、上記作業チャンバーCの内部に、上記容器1を供給する供給ホイール3と、容器1を搬送する搬送手段としての搬送コンベヤ4と、該搬送コンベヤ4により搬送される容器1に滅菌光Lを照射して加熱滅菌する光滅菌手段5と、該光滅菌手段5に設けた開閉扉6と、容器1の温度を測定するセンサ7と、搬送コンベヤ4から容器1を排出する排出ホイール8とを備えている。
図2に示すように、上記容器1は薬剤等を収容する光透過性のガラスからなるバイアルとなっており、胴部の上部には縮径された首部1aが形成されるとともに、この首部1aにはフランジ1bが形成されている。
作業チャンバーCには、無菌エアーを供給する無菌エアー供給手段9と、滅菌ガスとしての過酸化水素蒸気を供給する滅菌ガス供給手段10とが接続されている。
上記容器1の滅菌を行う際、上記無菌エアー供給手段9が供給した無菌エアーによって作業チャンバーC内は無菌状態に維持されるようになっており、また滅菌作業終了後には、上記滅菌ガス供給手段10が滅菌ガスを上記作業チャンバーC内に充満させて、作業チャンバーCの内部を滅菌するようになっている。
【0009】
上記供給ホイール3のさらに上流側には、上記作業チャンバーCの内部に容器1を1列で搬送する供給コンベヤ11が設けられ、この供給コンベヤ11に隣接する位置には、1列に隙間なく整列した容器1を所定の間隔に広げるスクリュー12が設けられている。
上記供給ホイール3は上記スクリュー12および搬送コンベヤ4と同期回転するようになっており、図示しないが容器1の胴部を把持する開閉可能なグリッパを等間隔に複数備えている。
そして供給ホイール3のグリッパは、上記スクリュー12によって所定の間隔に広げられた容器1の胴部を把持して該容器1を受け取る。
その後、容器1はグリッパに把持された状態で回転移送され、上記搬送コンベヤ4に隣接した受け渡し位置aでグリッパにより開放されることにより、該容器1は搬送コンベヤ4に受け渡されるようになっている。
【0010】
一方、上記排出ホイール8の下流には排出コンベヤ13が設けられており、排出コンベヤ13は容器1を1列に整列した状態で作業チャンバーCの外部に設けた図示しない充填装置へと搬送するようになっている。
上記排出ホイール8は上記搬送コンベヤ4と同期回転するようになっており、上記供給ホイール3と同様、図示しないが容器1の胴部を把持する開閉可能なグリッパを等間隔に複数備えている。
そして該排出ホイール8のグリッパは、搬送コンベヤ4に隣接した受け渡し位置bで、搬送コンベヤ4が保持する容器1の胴部を把持して受け取るようになっている。
その後、容器1はグリッパに把持された状態で回転移送され、上記排出コンベヤ13に隣接した排出位置cで開放されることにより、該容器1は排出コンベヤ13に受け渡されるようになっている。
【0011】
上記搬送コンベヤ4は、2つのプーリー21の間に張設されたベルト22に等間隔に設けた複数のグリッパ23を備えており、図示しない駆動手段によって上記供給ホイール3および排出ホイール8と同期しながら、図1の図示時計回りにグリッパ23を移動させるようになっている。
上記グリッパ23は、上記ベルト22から水平方向外側に向けて突出するステー23aと、該ステー23aに揺動可能に連結された2つの把持部材23bと、上記把持部材23bを閉鎖方向に付勢するばね23cとから構成されている。
搬送コンベヤ4が上記供給ホイール3から容器1を受け取る際には、供給ホイール3のグリッパに把持された容器1が上記ばね23cの付勢力に抗して把持部材23bを開き、その後該容器1の首部1bが2つの把持部材23bの間に挿入されると、ばね23cの付勢力により把持部材23bが閉鎖され、容器1が把持されるようになっている。
一方、搬送コンベヤ4から容器1を上記排出ホイール8へと排出する際には、上記グリッパ23が保持する容器1の胴部を排出ホイール8のグリッパが把持すると、その後該容器1の首部1bがばね23cの付勢力に抗して把持部材23bを開かせ、グリッパ23から離脱するようになっている。
【0012】
図1ないし図3に示すように、上記光滅菌手段5は、上記搬送コンベヤ4の搬送経路に沿って設けられるとともに容器1に滅菌光Lを照射する第1、第2発光手段31,32と、同じく搬送コンベヤ4の搬送経路に沿って設けた上記滅菌光Lを反射させる反射手段33とから構成されている。
図2に示すように、上記第1発光手段31は搬送コンベヤ4によって搬送される容器1の側方に設けられ、第2発光手段32は容器1の上方に設けられている。
そして、第1発光手段31および第2発光手段32は、それぞれ滅菌光Lを照射する発光手段としてのハロゲンランプ34と、上記ハロゲンランプ34が照射した滅菌光Lを集光する集光手段35とから構成され、これらハロゲンランプ34および集光手段35の両端にはこれらを保持する保持部材36が固定されている。
【0013】
上記ハロゲンランプ34は、上記ガラス製の容器1を加熱滅菌するための滅菌光Lを照射し、具体的には滅菌光Lとしてガラスへのエネルギー吸収率が低い波長の光を照射するようになっている。
このため、該滅菌光Lをガラスに照射した場合、そのほとんどは吸収されずに透過するが、吸収された一部のエネルギーによってガラスが加熱され、滅菌されるようになっている。
またハロゲンランプ34は上記搬送コンベヤ4の搬送経路に沿って細長い筒状を有するとともに、その両端は保持部材36を貫通するように設けられており、該突出した両端部にはそれぞれ電極端子34aが設けられている。
上記電極端子34aはハロゲンランプ34に給電する給電手段37に接続され、これら電極端子34aおよび給電手段37は上記保持部材36の外側に設けた端子ボックス38内に収容されている。
さらに、この端子ボックス38には冷風ダクト39を介して図示しない冷風供給手段より冷風が供給され、ハロゲンランプ34の電極端子34aが冷却されるようになっている。
【0014】
上記集光手段35はアルミニウム製となっており、図2に示すように上記ハロゲンランプ34を収容する開口部の形成された空間Sと、上記空間Sに隣接した位置に形成されて図示しない冷却水供給手段によって冷却水が流通する冷却水通路35aとから構成されている。
上記空間Sは搬送コンベヤ4の搬送経路に沿って同じ形状の断面が連続するように形成され、該空間Sには上記ハロゲンランプ34が収容されるとともに、その内壁には上記ハロゲンランプ34が照射した滅菌光Lを容器1に向けて反射させる反射面35bが形成されている。
また、上記空間Sには、図3に示すように上記端子ボックス38を介して上記無菌エアー供給手段9に接続された無菌エアーダクト9aが接続されており、上記空間Sには無菌エアーが供給されるようになっている。
上記反射面35bには上記滅菌光Lを良好に反射させる金メッキが施されており、また反射面35bはハロゲンランプ34を挟んで設けられた2つの曲面から構成され、容器1側に上記開口部が形成されている。
この反射面35bの断面は楕円形の弧を構成するように形成され、該楕円形の弧における一方の焦点位置はハロゲンランプ34の中心と一致し、また他方の焦点位置は集光手段35の外部に位置する容器1の内部空間に位置するようになっている。
上記反射面35bをこのような形状とすることで、上記ハロゲンランプ34が滅菌光Lを照射すると、上記反射面35bで反射した滅菌光Lは上記容器1の内部空間に位置する上記他方の焦点に集光されることとなる。
そして、ハロゲンランプ34および集光手段35は容器1の搬送経路に沿って設けられていることから、第1照射手段31および第2照射手段32の集光手段35はそれぞれ容器1の搬送経路に沿って線状に滅菌光Lを集光するようになっている。
【0015】
上記反射手段33は、容器1を挟んで第1発光手段31および第2発光手段32の反対側となる位置に設けられた断面略コ字形の反射鏡となっており、搬送コンベヤ4の搬送経路に沿って上記第1、第2発光手段31,32と同じ区間設けられている。
この反射手段33によれば、上記第1、第2発光手段31,32に設けたハロゲンランプ34から照射されて、容器1を透過した滅菌光Lを、上記搬送コンベヤ4によって搬送される容器1に反射させることが可能となっている。
【0016】
上記開閉扉6は、上記光滅菌手段5を構成する第1、第2発光手段31,32のそれぞれに設けられており、上記集光手段35の空間Sの開口部を開閉するように設けられている。
開閉扉6はエアシリンダなどの駆動手段40により進退動し、図2に示す上記集光手段35の開口部を開放する開放状態と、図4に示す集光手段35の開口部を閉鎖する閉鎖状態とに移動するようになっている。
また、開閉扉6は上記滅菌ガスとしての過酸化水素蒸気に耐性のあるステンレス製となっており、さらに上記閉鎖状態となった際におけるハロゲンランプ34側の面には鏡面加工により反射面6aが形成されている。
そして、開閉扉6が開放状態となると、上記開閉扉6は集光手段35の開口部から退避して、上記集光手段35が集光する滅菌光Lが容器1に照射されるのを妨げないようになっている。
一方、開閉扉6が閉鎖状態となると、上記開閉扉6は集光手段35の開口部を完全に覆うようになっており、このとき上記ハロゲンランプ34の正面に上記反射面6aが位置するようになっている。
【0017】
上記センサ7は、上記光滅菌手段5に対して下流側に隣接した位置に設けられており、非接触の状態で上記搬送コンベヤ4に搬送されて光滅菌手段5を通過した容器1の温度を測定するものとなっている。
このセンサ7が測定した温度は図示しない判定手段へと送信され、容器1の温度が所定温度に達していない場合には、判定手段は容器1の滅菌が不十分であると判断し、図示しない後工程で該容器1をリジェクトするようになっている。
【0018】
以下、上記滅菌装置2の動作について説明する。
まず、上記供給ホイール3に供給コンベヤ11から容器1が供給されると、その後この供給ホイール3と同期運転される搬送コンベヤ4の各グリッパ23へと容器1が受け渡される。
すると、搬送コンベヤ4はグリッパ23に把持された容器1を図1の下方に位置する光滅菌手段5まで搬送し、この光滅菌手段5を約5秒から10秒間で通過させる。
このとき、上記開閉扉6は開放状態となっており、各容器1には光滅菌手段5の第1、第2発光手段31,32に設けたハロゲンランプ34から滅菌光Lが照射され続け、容器1は滅菌処理に必要な温度まで加熱される。
また、ハロゲンランプ34より照射されて集光手段35の反射面35bで反射した滅菌光Lは、容器1のハロゲンランプ34側の壁面を透過した後、容器1の内部空間に集光される。
このように滅菌光Lを容器1の内部空間の中央に集光することで、容器1のハロゲンランプ34側とその反対側に照射される滅菌光Lの照射範囲がほとんど同じ面積となり、容器をバランスよく加熱滅菌することができる。
そして、容器1を透過した滅菌光Lは、ハロゲンランプ34と容器1とを挟んで対向して配置された反射手段33によって反射され、再度搬送コンベヤ4に保持された容器1を加熱滅菌する。
ここで、上記滅菌光Lを容器1の壁面に集光してしまうと、集光された部分が溶融してしまい、また一方の壁面と他方の壁面との温度差が生じて容器1が破損する恐れがある。
【0019】
本実施例では、容器1が光滅菌手段5を通過する間に、容器1を滅菌に必要な約300℃〜400℃まで加熱するようになっており、上記滅菌光Lが直接照射されにくい部分についても、上記滅菌光Lによって加熱された部分からの伝熱により上記温度まで加熱されるようになっている。
そして加熱された容器1が光滅菌手段5を通過すると、上記センサ7が通過する容器1を個別に温度測定し、この温度を図示しない判定手段に送信する。
判定手段では、容器1が所定温度に達していない場合に該容器1の滅菌が不十分であると判定し、該容器1を滅菌装置2の下流側に設けた図示しないリジェクト手段によりリジェクトするようになっている。
また判定手段は各容器1について測定温度を記憶し、滅菌装置2の後工程に設けた充填手段などで記憶されるその他のデータとともに、各容器1の出荷後におけるトレーサビリティに利用される。
そして、搬送コンベヤ4により上記容器1が排出ホイール8に隣接した位置まで搬送されると、搬送コンベヤ4のグリッパ23から排出ホイール8のグリッパへと容器1が受け渡され、該容器1はさらに排出ホイール8から排出コンベヤ13に受け渡されて、図示しない後工程へと搬送される。
【0020】
次に、上記滅菌装置2において容器1の滅菌が終了したら、滅菌ガス供給手段10が作業チャンバーCの内部に上記滅菌ガスを供給し、該滅菌ガスが作業チャンバーC内に充満する。
上記滅菌ガスは上記搬送手段4や光滅菌手段5の表面に付着してこれらを滅菌するが、ここで、上記集光手段35の反射面35bに形成された金メッキは、滅菌ガスとしての過酸化水素蒸気に対する耐性がない。
そこで本実施例では、上記滅菌ガス供給手段10が滅菌ガスを供給する前に、上記開閉扉6が駆動手段40により移動して図4に示す閉鎖状態となり、集光手段35の空間Sを閉鎖するようになっている。
すると、上記無菌エアー供給手段9は上記集光手段35の空間Sに無菌エアーを供給し、これにより該空間Sの内部が作業チャンバーC内の空間よりも高い圧力に保たれるようになっている。
【0021】
この状態から作業チャンバーCに滅菌ガスが供給されると、上記集光手段35の空間Sは上記開閉扉6によって閉鎖されていることから、該空間Sに滅菌ガスが侵入せず、上記反射面35bの金メッキが滅菌ガスによって腐食したり汚れたりすることはない。
また上記空間Sは上記無菌エアー供給手段9が供給した無菌エアーによって作業チャンバーC内の空間よりも高い圧力に保たれているため、上記集光手段35と開閉扉6との間に隙間が形成されていても、該隙間から滅菌ガスが侵入しないようになっている。
【0022】
一方、上記滅菌ガスが作業チャンバーC内に供給されている間に、上記ハロゲンランプ34は滅菌光Lを照射して、上記集光手段35の内壁を滅菌するようになっている。
具体的には、ハロゲンランプ34より照射された滅菌光Lは、上記集光手段35の反射面35bに反射した後、開口部を閉鎖している開閉扉6の反射面6aに反射し、滅菌光Lは上記空間Sの内部で反射を繰り返すことで、該空間Sの内壁を加熱滅菌する。
また上記集光手段35には図示しない温度センサが設けられており、上記滅菌光Lの照射により集光手段35を所定温度に昇温させ、その状態を所定時間保持することにより、上記空間Sの内部が滅菌されたものと判定し、上記ハロゲンランプ34が消灯される。
【0023】
このように、上記実施例にかかる滅菌装置2によれば、ハロゲンランプ34が照射する滅菌光Lを上記集光手段35によって集光することで容器1に照射するため、滅菌光Lを効率的に利用して容器1を加熱滅菌することができる。
また、上記集光手段35の空間Sを上記開閉扉6を閉鎖状態として閉鎖することにより、滅菌ガスを該空間Sに侵入させず、上記反射面35bに接触させないようになっている。
さらに、上記集光手段35の空間Sを開閉扉6によって閉鎖状態とした際に、該空間Sの内部に無菌エアーを供給して作業チャンバーC内の空間よりも高い圧力にすることから、該空間Sの内部への滅菌ガスの侵入が可及的に防止されるようになっている。
【0024】
なお、上記実施例では集光手段35の反射面35bをアルミニウムに金メッキ処理をした構成であったが、それに限るものではなく、例えば、ステンレスを鏡面加工した構成であってもよい。
また、上記実施例において上記第1、第2発光手段31,32と開閉扉6は容器の搬送経路に沿って直線状に設けられているが、これらを湾曲させて配置してもよい。
具体的には、上記搬送コンベヤ4を等間隔にグリッパ23を設けた回転体とし、上記第1、第2発光手段31,32と開閉扉6とをこの回転体を囲繞するように円弧状に設けてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 容器 2 滅菌装置
4 搬送コンベヤ(搬送手段)5 光滅菌手段
6 開閉扉 6a 反射面
23 グリッパ 34 ハロゲンランプ(発光手段)
35 集光手段 35b 反射面
C 作業チャンバー S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部より区画された作業チャンバーと、該作業チャンバー内に設けられて物品を搬送する搬送手段と、搬送手段によって搬送される物品を滅菌する滅菌手段と、上記作業チャンバーに滅菌ガスを供給して該作業チャンバー内の搬送手段および滅菌手段を滅菌する滅菌ガス供給手段とを備えた滅菌装置において、
上記滅菌手段は、物品に滅菌光を照射して加熱滅菌する発光手段と、上記発光手段が照射した滅菌光を物品に集光させる集光手段とを備え、
上記集光手段は、上記発光手段を収容するとともに開口部の形成された空間と、該空間の内壁に形成されて上記発光手段が照射した滅菌光を物品に向けて反射させる反射面とから構成され、
さらに、上記集光手段の開口部に上記空間を開放状態または閉鎖状態とする開閉扉を設けて、閉鎖状態とした開閉扉における発光手段側の面に上記滅菌光を反射させる反射面を形成し、
上記搬送手段によって搬送される物品を滅菌する際には、上記開閉扉を開放状態として、上記発光手段が照射した滅菌光を上記集光手段の反射面に反射させて上記物品に集光し、
上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際には、上記開閉扉を閉鎖状態として、上記発光手段が照射した滅菌光を該開閉扉の反射面に反射させて、該滅菌光を上記集光手段の反射面に照射することを特徴とする滅菌装置。
【請求項2】
上記集光手段に形成された空間に無菌エアーを供給する無菌エアー供給手段を設け、
上記作業チャンバーを上記滅菌ガスによって滅菌する際には、上記無菌エアー供給手段が上記空間に無菌エアーを供給して、上記開閉扉によって閉鎖状態とされた空間を上記作業チャンバーより高圧とすることを特徴とする請求項1に記載の滅菌装置。
【請求項3】
上記集光手段の内壁に形成した反射面に金メッキを施すとともに、上記滅菌ガス供給手段は滅菌ガスとして過酸化水素蒸気を供給することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の滅菌装置。
【請求項4】
上記発光手段および集光手段を、搬送手段による物品の搬送方向に沿って細長く設け、
上記集光手段は、物品の搬送経路に沿って線状に滅菌光を集光することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の容器滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−172828(P2011−172828A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40727(P2010−40727)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】