説明

滑りコンベア

【課題】周知の滑りコンベアにおける不利な点、すなわち異なる計量機器及び包装装置に応じて変化する種々の要求に適応できないという欠点を解消又は実質的に改善する。
【解決手段】滑りコンベア(10)は複数のコンベアトレイ(11,12,13)を有している。各コンベアトレイ(11,12,13)は端部(19)を備え、その端縁(29)はこれらトレイ(11,12,13)が移動する長さ方向(14)に対して傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は滑りコンベア (slip conveyor) に係わり、より詳しくは、これに限定はされないが、包装工業分野において用いられる滑りコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
滑りコンベアは、長手方向に延長された複数のトレイを備え、これらトレイが長手方向に振動(レシプロ運動)されることによって材料を該コンベアに沿って搬送する。この長手方向の振動は、一方向に対して早く、反対方向に対して遅いものとされる。材料は、振動運動が遅い方向に搬送される。滑りコンベアを含むコンベアは特許文献1,特許文献2(2005年 4月14日付け出願),及び特許文献3(2005年10月31日付け出願)に開示されている。
【0003】
包装工業分野、特にスナック食品の包装に関する工業分野において、製品は一連の計量機器に分配搬送される。それら計量機器の各々は関連した包装装置、例えば特許文献4に開示されているような包装装置につながっている。前記計量機器への製品の搬送は滑りコンベア等のコンベアによってなされる。周知の滑りコンベアにおいて不利な点は、異なる計量機器及び包装装置に応じて変化する種々の要求に適応できないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7228957号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/108052号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/263762号明細書
【特許文献4】米国特許第4663917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記欠点を解消又は実質的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る滑りコンベアアッセンブリは、
第1縦長面を有し、搬送すべき製品が該第1縦長面上で支持される第1コンベアトレイと、
第2縦長面を有し、搬送すべき材料が該第2縦長面上で支持され、該第2縦長面が前記第1コンベアトレイから材料を受け取るよう位置している第2コンベアトレイと、
前記トレイの各々を長手方向に往復移動させて前記材料を所定の方向に搬送させる駆動アッセンブリと、を備え、
前記第1コンベアトレイは、前記第2コンベアトレイに近接した端部を有し、該端部は、前記第1コンベアトレイと第2コンベアトレイとの間に長手方向に延在した間隙を提供すべく前記第2コンベアトレイに対して移動可能とされており、前記間隙を通して製品が該アッセンブリから分配され、該間隙は、所望のサイズの領域を有するとともに長手方向の長さ及び交差方向の幅を有しており、前記端部を前記第2コンベアトレイに対して動かすことにより該幅は調整可能であり、これにより前記領域の前記サイズが変更される
構成とされたものである。
【0007】
好ましくは、前記第1コンベアトレイが縦長の基部を備え、前記端部が、該基部に対して長手方向に動くように該基部に対して動作可能に取り付けられている。
【0008】
好ましくは、前記駆動機構が、前記基部及び前記端部の長手方向の往復動を生じさせる第1モータと、前記端部と前記基部との間に長手方向の相対移動を生じさせる第2モータとを備えてなる。
【0009】
好ましくは、前記基部が前記第1面を提供する縦長の底壁と、一対の縦長の側壁とを備え、該側壁の各々はこれら両側壁間に前記底壁が位置するように前記底壁から上方に延びており、前記端部は前記基部に対して入れ子状とされている。
【0010】
さらに、本発明に係る滑りコンベアアッセンブリは、
第1縦長面を有し、搬送すべき材料が該第1縦長面上で支持される第1コンベアトレイと、
第2縦長面を有し、該第2縦長面が、材料が前記第1縦長面から該第2縦長面に搬送されるように位置された第2コンベアトレイと、
双方の前記コンベアトレイに動作可能に接続され、双方のコンベアトレイに長手方向の往復動を生ぜしめて前記材料を双方の前記縦長面に沿って所定の方向に搬送する駆動機構と、を備え、
前記第1コンベアトレイが、
縦長の基部と、
前記基部に対して移動可能となるよう該基部と動作可能に関連するよう組み付けられた、縦長の端部であって、前記第1コンベアトレイと前記第2コンベアトレイとの間に間隙を提供するよう動作することが可能となるように前記第2コンベアトレイに対しても移動可能とされ、製品が前記間隙を介して該アッセンブリから分配される端部と、
を備えてなる。
【0011】
好ましくは、前記端部は、前記間隙を提供すべく前記基部に対して長手方向に移動する。
【0012】
好ましくは、前記基部が縦長の底壁と、一対の縦長の側壁であって、両側壁間に前記底壁が位置するように前記底壁から上方に延びた側壁とを備え、前記端部は前記基部に対して入れ子状とされている。
【0013】
好ましくは、前記端部は、前記方向と略交差して延びる前縁を持った縦長の端部底部を有している。
【0014】
好ましくは、前記前縁は略直線であり、かつ前記方向に対して鋭角に延在している。
【0015】
好ましくは、前記駆動機構が、前記長手方向の往復運動を生じさせるように前記双方のコンベアトレイに動作可能に接続された第1モータと、第2モータを有した前記駆動機構と備え、前記第2モータが、前記基部と前記端部との間に相対移動を生じさせるようにこれら基部及び端部に動作可能に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の好ましい実施形態を以下の添付の図面を参照した例により説明する。
【図1】滑りコンベアッセンブリの概略上方斜視図である。
【図2】図1に示したアッセンブリのトレイを示す概略側立面図である。
【図3】図1に示したアッセンブリの一部を示す概略側立面図である。
【図4】図2に示したトレイの一部を示す概略側立面図である。
【図5】図1に示したアッセンブリの概略下方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面は滑りコンベアッセンブリ10の概略を示している。該アッセンブリ10は複数のコンベアトレイ11,12,及び13を備えており、これらトレイは材料を符号14で示す矢印の方向に運ぶよう操作される。トレイ11,12,及び13の下方には交差コンベア15が、この場合複数配置されている。トレイ11,12,及び13により搬送される材料は、選択的に前記交差コンベア15に分配され、包装装置に分配配送される。交差コンベア15は矢印16が示す方向に材料を搬送する。これら交差コンベア15もまた滑りコンベアであってよい。
【0018】
前記各コンベア11,12,及び13は、縦長トレイ17を備えている。該縦長トレイ17は基部18及び端部19を備えている。これら基部18及び端部19は縦長面20を提供しており、この上に載置された材料は前記方向14に搬送されることになる。
【0019】
前記基部18は、縦長底壁21、及び上方に延びた一対の側壁22を有している。両側壁22は前記底壁21に取り付けられ、そこから上方外方に広がっている。これにより底壁21は両側壁22間に位置している。
【0020】
前記端部19もまた底壁23、及び上方外方に広がって延在した両側壁24を備えている。該端部19は前記基部18に非常に類似した形態をしており、該端部19が基部18の下部に入れ子状に入り込むようになっている。ここで端部19は、基部18に対して矢印25で示す長手方向に移動可能なように、基部18と摺動可能に接触している。方向25は前記方向14と平行である。
【0021】
前記端部19は、対応する基部18に対して移動可能とされていることにより、隣接するトレイ11,12,又は13に対しても移動可能である。端部19が、下流側で隣接するトレイ11,12,又は13に対して移動可能であるため、該端部19は移動して間隙26を生ずる。該コンベア12の端部19は、該コンベア12とコンベア13との間には間隙を形成しないように矢印14の方向に前進される。但しコンベア11の端部19は対応する基部18に格納され、このため間隙26が生ずる。前記間隙26は長手方向に沿った長さ27及び交差方向の幅28を持った領域を有している。端部19が対応の基部18に対して移動することにより、前記領域26の前記領域の交差方向の幅が変化するので、前記領域の寸法が調整可能である。
【0022】
上述の好ましい実施形態において、各端部19は、前記方向14に対して鋭角に傾斜した前縁29を有している。該前縁29は好ましくは直線状である。隣接する底壁21は、方向14に対して直角となる後縁30を有している。ただし、前記間隙26は、該後縁30を方向14に対して鋭角に傾斜させ、かつ前記前縁29を方向14に対して直交したものとすることによっても形成できることを理解すべきである。
【0023】
上記の好ましい実施形態では、前記端部19は、対応の基部18の下流端に位置していた。しかしながら、前記アッセンブリ10は、前記端部19が基部18の上流端にある構成とすることもできる。
【0024】
前記トレイ12は、モータ及び制御アッセンブリによって直線的に往復(レシプロ運動)する。モータ及び制御アッセンブリ31は、略直立した軸33の周りを回るクランクシャフト32を備える。クランクシャフト32からはクランクアーム34が延びており、該クランクアーム34はリンク35に接続されている。該リンク35は、略平行となる一対のリンク構造36の一方に回動自在に取り付けられている。リンク構造36は矢印337で示す方向に揺動される。これらリンク構造36の上端はトレイ12に回動可能に取り付けられており、これにより該トレイ12は矢印38にて示す方向に往復運動(レシプロ運動)をする。
【0025】
前記各端部19はキャリッジ(往復台)38によって支持されている。該キャリッジ38はキャリッジベース39を備え、該キャリッジベース38に前記端部19が取り付けられている。キャリッジベース39からは長手方向にキャリッジマウント40が延在している。キャリッジマウント40には、小孔41が設けられており、これら小孔41には、交差シャフト42が摺動可能に係合して、前記リンク構造36をトレイ12に取り付けている。これら交差シャフト42のうちの一つと前記キャリッジベース39との間に延在しているものはモータ43であり、これが前記端部19を前記基部18に対して前記方向38に往復動させる。一例としてモータ43は、空圧シリンダ、又は、駆動スクリュー及び関連の被駆動ナットを備えた直線駆動機構であってもよい。
【0026】
前記端部19が前記基部18に取り付けられているときには、前記モータ及び制御アッセンブリ31は該端部19をも駆動する。
【0027】
前記各トレイ11,12,及び13は、モータ及び制御機構31、及び関連する端部19を駆動するためのモータ43を有した、対応した駆動機構を備えている。
【0028】
上述の実施形態の有利な点は、端部19が対応する基部18に対して動くことにより前記間隙のサイズを変化させることができることである。
【符号の説明】
【0029】
10 コンベアアッセンブリ
11,12,13 コンベアトレイ
17 縦長トレイ
18 基部
19 端部
20 縦長面
21 縦長底壁
22 側壁
26 間隙
29 前縁
30 後縁
36 リンク構造
38 キャリッジ
39 キャリッジベース
43 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1縦長面を有し、搬送すべき製品が該第1縦長面上で支持される第1コンベアトレイと、
第2縦長面を有し、搬送すべき材料が該第2縦長面上で支持され、該第2縦長面が前記第1コンベアトレイから材料を受け取るよう位置している第2コンベアトレイと、
前記トレイの各々を長手方向に往復移動させて前記材料を所定の方向に搬送させる駆動アッセンブリと、を備え、
前記第1コンベアトレイは、前記第2コンベアトレイに近接した端部を有し、該端部は、前記第1コンベアトレイと第2コンベアトレイとの間に長手方向に延在した間隙を提供すべく前記第2コンベアトレイに対して移動可能とされており、前記間隙を通して製品が該アッセンブリから分配され、該間隙は、所望のサイズの領域を有するとともに長手方向の長さ及び交差方向の幅を有しており、前記端部を前記第2コンベアトレイに対して動かすことにより該幅は調整可能であり、これにより前記領域の前記サイズが変更される
滑りコンベアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のアッセンブリにおいて、前記第1コンベアトレイが縦長の基部を備え、前記端部が、該基部に対して長手方向に動くように該基部に対して動作可能に取り付けられているアッセンブリ。
【請求項3】
請求項2記載のアッセンブリにおいて、前記駆動機構が、前記基部及び前記端部の長手方向の往復動を生じさせる第1モータと、前記端部と前記基部との間に長手方向の相対移動を生じさせる第2モータとを備えてなるアッセンブリ。
【請求項4】
請求項2又は3記載のアッセンブリにおいて、前記基部が前記第1面を提供する縦長の底壁と、一対の縦長の側壁とを備え、該側壁の各々はこれら両側壁間に前記底壁が位置するように前記底壁から上方に延びており、前記端部は前記基部に対して入れ子状とされているアッセンブリ。
【請求項5】
第1縦長面を有し、搬送すべき材料が該第1縦長面上で支持される第1コンベアトレイと、
第2縦長面を有し、該第2縦長面が、材料が前記第1縦長面から該第2縦長面に搬送されるように位置された第2コンベアトレイと、
双方の前記コンベアトレイに動作可能に接続され、双方のコンベアトレイに長手方向の往復動を生ぜしめて前記材料を双方の前記縦長面に沿って所定の方向に搬送する駆動機構と、を備え、
前記第1コンベアトレイが、
縦長の基部と、
前記基部に対して移動可能となるよう該基部と動作可能に関連するよう組み付けられた、縦長の端部であって、前記第1コンベアトレイと前記第2コンベアトレイとの間に間隙を提供するよう動作することが可能となるように前記第2コンベアトレイに対しても移動可能とされ、製品が前記間隙を介して該アッセンブリから分配される端部と、
を備えてなる滑りコンベアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5記載のアッセンブリにおいて、
前記端部は、前記間隙を提供すべく前記基部に対して長手方向に移動するアッセンブリ。
【請求項7】
請求項5又は6記載のアッセンブリにおいて、前記基部が縦長の底壁と、一対の縦長の側壁であって、両側壁間に前記底壁が位置するように前記底壁から上方に延びた側壁とを備え、前記端部は前記基部に対して入れ子状とされているアッセンブリ。
【請求項8】
請求項5ないし7の何れか一項記載のアッセンブリにおいて、前記端部は、前記方向と略交差して延びる前縁を持った縦長の端部底部を有しているアッセンブリ。
【請求項9】
請求項8記載のアッセンブリにおいて、前記前縁は略直線であり、かつ前記方向に対して鋭角に延在しているアッセンブリ。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項記載のアッセンブリにおいて、前記駆動機構が、前記長手方向の往復運動を生じさせるように前記双方のコンベアトレイに動作可能に接続された第1モータと、第2モータを有した前記駆動機構と備え、前記第2モータが、前記基部と前記端部との間に相対移動を生じさせるようにこれら基部及び端部に動作可能に接続されているアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−224473(P2012−224473A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−88106(P2012−88106)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(512069290)ティーエヌエー・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】