説明

滑り台装置

【課題】室内に設置可能な滑り台装置の提供。
【解決手段】本発明は、滑り台本体110と、エアポンプ133を備えたタンク135と、支持体とを備えた滑り台装置100である。滑り台本体110は、上下に開口部(116a、116b)が形成された中空の構造であり、当該滑り台本体110の下部はタンク135により支持されている。そして、滑り台本体110の下側の開口部116aへ空気を送出するエアポンプ133を備えた空気送出機構130がタンク135に設けられている。更に、支持体が、滑り台本体110の上部を支持している。そして、滑り台本体110の中空に液体を満たし、当該中空にエアポンプ133により空気を送出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊具に関し、特に、子供等のユーザが滑り降りることのできる滑り台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、遊園地に設置可能な滑り台として、下記特許文献1に記載の技術のように、滑り台の滑降面上に流水装置を設けて、ユーザが、滑降面上に流れる水と共に滑り降りるように構成された滑り台装置(ウォータースライダと呼ばれる)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−33459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のウォータースライダは多量の水が必要であり、装置も大掛かりなので、室内に設置できなかった。更に、滑降面上に水が流れることで、ユーザと滑降面との摩擦抵抗が減少するので、滑降スピードがより速くなるため、体格的に発育した青少年以上の者には適しているものの、幼児が利用することができなかった。
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、幼児が手軽に楽しむことができ、しかも室内に設置可能な滑り台装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するための本発明は、滑り台本体と、エアポンプを備えたタンクと、支持体とを備えた滑り台装置である。滑り台本体は、上下に開口部が形成された中空の構造であり、当該滑り台本体の下部はタンクにより支持されている。そして、滑り台本体の下側の開口部へ空気を送出するエアポンプを備えた空気送出機構がタンクに設けられている。更に、支持体が、滑り台本体の上部を支持している。そして、滑り台本体の中空に液体を満たし、当該中空にエアポンプにより空気を送出することを特徴とする。液体の流れを遮断する逆止弁をエアポンプに備える構成を採用してもよい。
【0006】
上記の構成によれば、滑り台本体の中空に満たした液体(例えば水)にエアポンプからの空気の泡が送出されるので、エアポンプによる多数の泡が上方に移動することになる。従って、当該泡の移動を目で追うことによって、ユーザの興味を持続させる遊具を提供することができる。
上記の構成において、支持体が階段状に形成された設置台であり、当該設置台上部にユーザの落下を防止する部材を設ける構成を採用することができる。滑り台装置の一部にウレタン等の衝撃吸収材を被覆することが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の滑り台装置は、滑り台本体と、エアポンプを備えたタンクと、支持体とを備えた滑り台装置である。滑り台本体は、上下に開口部が形成された中空の構造であり、当該滑り台本体の下部はタンクにより支持されている。そして、滑り台本体の下側の開口部へ空気を送出するエアポンプがタンクに設けられている。更に、支持体が、滑り台本体の上部を支持している。そして、滑り台本体の中空に液体を満たし、当該中空にエアポンプにより空気を送出することを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、滑り台本体の中空に満たした液体(例えば水)にエアポンプからの空気の泡が送出されるので、エアポンプによる多数の泡が上方に移動することになる。従って、当該泡の移動を目で追うことによって、ユーザの興味を持続させる遊具を提供することができる。また、エアポンプを滑り台本体の外部に設置することで、修理や変更等のメンテナンスに優れた遊具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る滑り台装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る滑り台装置の滑り台本体を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る滑り台装置の全体構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る滑り台装置の側面図及び、上面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る滑り台装置の支持体である設置台を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の滑り台装置100について図面を参照して説明する。図1、図3、図4は、本発明の滑り台装置100の概略模式図であり、図2は滑り台装置100の側面図を示し、図5は後述の支持体を示している。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
図1に示すように、本発明の滑り台装置100は、滑走面に平行な中空部が形成された滑り台本体110と、当該滑り台本体110の中空部内に貯められた水等の流体に、空気の泡を送出するための空気送出機構130を備える。
【0011】
まず、滑り台本体110を以下のようにして形成する。図2に示すように、側面の断面形状が略S字形状(できるだけ滑らかな形状が望ましい。)をした上側滑り台部材111を形成する。本実施例では、上記略S字形状傾斜部材に、所定の高さの側面部材112と、上部部材113を立設又は、連続的一体的に形成して、上側滑り台部材111を形成した。側面部材112は、傾斜部材の側面縁部に立設又は、連続的一体的に形成する。なお、傾斜部材の下部から、後述のポンプにより空気が送出されるため、滑り台本体110の下方には開口部116aが形成されることになる。また、上側滑り台部材111の両側面に側壁119を立設し、ユーザが側面から落下することを防止する構成を採用する。次に、上記上側滑り台部材111の幅よりも、所定距離短い幅(上記側面部材112間と略同じ距離)で、下側滑り台部材115を形成する。なお、下側滑り台部材115の側面の断面形状は、上側滑り台部材111の側面の断面形状と略同じように成形される。
【0012】
上記上側滑り台部材111の上部及び下部は、水平に形成されており、滑り台本体110を組み立てたとき、後述のように、当該水平部分が、設置台150及び、タンク部135に載置可能となっている。
そして、上記上側滑り台部材111と下側滑り台部材115を組みたて、滑り台本体110を形成する。すなわち、上側滑り台部材111に上記側面部材112及び、上部部材113を形成した状態で、当該上側滑り台部材111に下側滑り台部材115を固定する。若しくは、下側滑り台部材115に上記側面部材112及び、上部部材113を形成した状態で、当該下側滑り台部材115に上側滑り台部材111を固定することもできる。本実施例では、上記側面部材112と上部部材113を上側滑り台部材111に立設又は連続的一体的に形成する。これは、上側滑り台部材111に下側滑り台部材115をビス等で固定する際に、ビス等のねじ頭が上側滑り台部材111の表側に突出しないようにするためである。上記のように、上記側面部材112の下端にビス等を用いて、上側滑り台部材111と、下側滑り台部材115とを固定し、中空構造の滑り台本体110を形成する。上記上側滑り台部材111の上部部材113、側面部材112を立設した方が裏側となり、表側が滑走面となる。
【0013】
上記のように、上側滑り台部材111に、下側滑り台部材115を固定することで、滑り台本体110を形成する。従って、上記滑り台本体110は、滑走面と平行な中空部を備え、滑り台本体の下部には下部開口部116aを備えた構成となる。
後述のように、上記滑り台本体110の中空部に水等の液体が注入され、当該滑り台本体110下方から空気が送出される構成となるので、上記上側滑り台部材111と、下側滑り台部材115とを固定する際に、上側滑り台部材111の上部部材113、側面部材112と、下側滑り台部材115とは、水等が漏れないように液密に固定されることは言うまでもない。なお、後述の空気の泡を排出するための上部開口部116bが上記滑り台本体110に設けられることになる。
【0014】
更に、上記滑り台本体110に空気を送出するための空気送出機構130が、上記滑り台本体110下方に設けられる。上記空気送出機構130は、空気が通過可能な細孔を多数形成した中空の筒体131と、空気を送出可能なエアポンプ133と、当該エアポンプ133で発生させた空気を滑り台本体110下部に備えた上記中空の筒体131に送出させるためのパイプ132とからなる。もちろん上記パイプ132は下部開口部116aを連通して上記中空の筒体131に連結することは言うまでもない。
【0015】
そして、上記滑り台本体110を下方で支持するためのタンク135を用意する。上記タンク135は、図1に示すように、タンク135上に滑り台本体110の下部水平部分が載置される構成を採用した。
上記タンク135には、エアポンプ133が備えられる。図1に示すように、上記エアポンプ133に備えた吸込口からタンク135内の空気が吸い込まれ、エアポンプ133吐出口から空気が吐出されることになる。なお、エアポンプ133の下方には吸込口が備えられている。
【0016】
上記エアポンプ133の吐出口には、パイプ132の一端が連結され、エアポンプ133の吐出口から吐出された空気を上記パイプ132他端まで伝えることになる。上記パイプ132の他端は、滑り台本体110下部に設けた下部開口部116aに連結される。滑り台本体110の中空部に貯められた水等の液体が上記パイプ132へと逆流しないように、当該パイプ132は、上方に凸の曲線となるように、上記下部開口部116aとエアポンプ133とを連結する構成を採用する。更に、上記逆流を遮断するための逆止弁(図示しない)を上記エアポンプ133に設ける構成を採用してもよい。
【0017】
上記のように構成した滑り台本体110は、支持体で支持されることになる。上記支持体として、図3に示すような、架台140を設置し、当該架台140に、上記滑り台本体110上部を配置する構成を採用してもよい。若しくは、図4、図5に示すような設置台150を形成し、滑り台本体110を支持する構成を採用することもできる。
上記設置台150は以下に示すように形成される。床面に配置される基体151の両側面に支柱152を立設する。そして、パイプを環状に形成した複数の環状部材155を、互いに所定間隔空けて上記両支柱152間に階段状に配置する。すなわち、設置台150を上面視したとき、環状部材155を互いに所定距離だけずらして、上記支柱間152に配置する。なお、環状部材155の外径は、上記両支柱152間に配置可能な距離で形成されることは言うまでもない。階段状に配置した上記環状部材155に手すりを設けてもよい。
【0018】
両支柱152間に配置された環状部材155の内、最上段の環状部材155上にはユーザの落下を防止するための床材(図示しない)が載置される、更に、当該最上段の環状部材155上には、上記滑り台本体110の上部水平部分が載置されるので、最上段の環状部材155の高さが上記滑り台本体110を載置可能な高さになるように、設置台150全体の高さを調整する。また、滑り台本体110は、上記タンク135上にも載置されるので、最上段の環状部材155と、床面に設置した上記タンク135との間に、上記滑り台本体110が載置可能なように、上記最上段の環状部材155の高さを調整する。図5に示すように、最上段の環状部材155には、上記滑り台本体110を載置するための横桟160を備える。
【0019】
最上段の環状部材155には、ユーザが起立状態で掴まることが可能な側面部材を設置する。本実施例では、最上台の環状部材の両側面に一対の環状部材(以下側面環状部材156と称す)を立設して上記側面部材とした。ユーザが最上段の環状部材155まで登ったとき、その側面から落下するのを防止するために、側面部材には、落下防止手段を備える。例えば、側面環状部材156の内径(以下環状部分の径を示す。)より小さな外径を有する小環状部材157,158(互いの外径を異にして形成する)を複数形成し、大小の環状部材の中心軸が上記側面環状部材156の中心軸と略同一となるように、上記小環状部材157,158を配置した。例えば、上記基体151側面に立設された支柱152を延長して、当該支柱152に、上記大小の環状部材157,158を支持させる。そして、中心に位置する小環状部材158の隙間をシート等で覆う構成とした。
【0020】
上記設置台150には、所定の衝撃吸収材が被覆される。この衝撃吸収材は、設置台150の外枠にウレタン等の発泡体を被覆する。例えば、中級円筒の衝撃吸収材の一方側面を切断して棒状の表面に被覆可能に形成する。そして、設置台150の全部又は、一部(例えば、環状部材155等ユーザが接触することが予想される部分)に衝撃吸収材を被覆した後、当該衝撃吸収材の表面に、ゴム樹脂を塗布することで、衝撃吸収材の表面を撥水加工する。もちろん、ゴム樹脂を塗布する際に、上記衝撃吸収材の側面(切断した部分)も接着剤等で閉じられることになる。なお、上記衝撃吸収材は、ウレタン以外の組成物であってもよく、ポリエチレン等の発泡体等の衝撃吸収材が好適に用いられる。
【0021】
上記設置台150を衝撃吸収材で被覆することで、ユーザが誤って遊具から落下したとしても、衝撃吸収材によって衝撃が緩和され怪我をするのを効果的に防止することができる。上記タンク135を上記衝撃吸収材で被覆する構成を採用しても構わない。
次に、本発明の滑り台装置100の使用方法を説明する。まず、上側滑り台部材111と下側滑り台部材115とを組み合わせた滑り台本体110を設置台150(若しくは架台140)及び、タンク135に載置する。すなわち、滑り台本体110が、タンク135と設置台150(若しくは架台140)で支持される。
【0022】
次に、水等の液体(以下水を例にして説明する)を上記滑り台本体110の中空部に満たす。このとき、上記滑り台本体110上部開口から上記水が漏れない程度まで当該水を満たすことは言うまでもない。そして、タンク135内のエアポンプ133のスイッチをONすることでエアポンプ133が作動し、エアポンプ133のポンプ吐出口から空気を吐出する。ポンプ吐出口から吐出された空気は、空気の泡としてパイプを介して、上記滑り台本体110中空部に送出される。送出された空気の泡は上記滑り台本体上部に設けた上部開口から外部へと排出されることになる。
【0023】
ユーザは、設置台150の階段状に配置された環状部材155を使って、最上段の環状部材155に備えた床材上まで登る。このとき、ユーザは、側面部材(上記側面環状部材156及び、小環状部材157,158)に掴まって安定に起立することができる。若しくは、架台140に登ることでも安定に起立することができる。そして、ユーザがノズル143から水が噴出している滑り台本体110の滑走面を滑り降りることで、いわゆる滝すべり(ウォータースライダ)をしている気分にさせることができる。
【0024】
エアポンプ133は、加圧により、吸込口から空気を吸い込むので、当該エアポンプ133の圧力を制御することで、滑り台本体110の中空部分に送出される空気の勢い等を変化させることも可能である。
以上説明したように、本発明の滑り台装置100によれば、大量の水を必要とせずに、ユーザにウォータースライダをしている気分にさせることができる。更に、本発明の滑り台装置100のエアポンプ133は滑り台本体110の外部に設けているので、エアポンプ133の修理、変更等のメンテナンスも簡単に行えることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明を使用すると、簡単な構成で、いわゆるウォータースライダをしている気分にさせる滑り台を提供することができる。更に、本発明の滑り台装置は、大量の水を必要としないので、手軽に室内等に設置することが可能である。また、エアポンプを滑り台本体の外部に設置することで、修理や変更等のメンテナンスに優れた遊具を提供することが可能となる。したがって、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0026】
100 滑り台装置
110 滑り台本体
111 上側滑り台部材
112 側面部材
113 上部部材
115 下側滑り台部材
130 空気送出機構
135 タンク
133 エアポンプ
140 架台
150 設置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に開口部が形成された中空の滑り台本体と、
前記滑り台本体の下部を支持するタンクと、
前記タンクに設けられ、前記滑り台本体の下側の開口部へ空気を送出するエアポンプを備えた空気送出機構と、
前記滑り台本体の上部を支持する支持体とを備え、
前記滑り台本体の中空に液体を満たし、当該中空に前記エアポンプにより空気を送出することを特徴とする滑り台装置。
【請求項2】
前記液体の流れを遮断する逆止弁を前記エアポンプに備えた請求項1に記載の滑り台装置。
【請求項3】
前記支持体が階段状に形成された設置台であり、当該設置台上部にユーザの落下を防止する部材を設けた請求項1または2に記載の滑り台装置。
【請求項4】
前記滑り台装置の一部に衝撃吸収材を被覆した請求項1または2に記載の滑り台装置。
【請求項5】
前記衝撃吸収材がウレタンである請求項4に記載の滑り台装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−100730(P2012−100730A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249426(P2010−249426)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(301033639)ビーエルデーオリエンタル株式会社 (40)