説明

滑り軸受、定着装置及び画像形成装置

【課題】加熱ロールのように一定の径方向に荷重を受ける回転体を滑り軸受で回転自在に支持する際、軸受の摩耗を抑制しながら回転体の回転トルクを低減する。
【解決手段】弓状の滑り軸受32の内径に形成された接触面38のうち、回転体径方向の荷重を受ける荷重受部40に対し、回転体の回転方向上流側の上流接触部41では、回転体軸方向中央部に凹部43を形成し、当該上流接触部41の回転体軸方向接触長さを荷重受部40の回転体軸方向接触長さより小さくする。また、上流接触部41の回転体軸方向接触長さを回転体回転方向上流側ほど小さくする。また、荷重受部40より回転体回転方向下流側の下流接触部42の回転体軸方向接触長さを上流側41の回転体軸方向接触長さより大きくする。また、下流接触部42の回転体軸方向接触長さを回転体回転方向下流側ほど小さくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機などの画像形成装置では、記録媒体上に形成したトナー像を定着装置で記録媒体に加熱定着している。加熱定着の際には、トナー像の形成された記録媒体を加圧部材によって一定の荷重で加熱ロールに押し付けるようにしている。この加熱ロールを回転自在に支持する支持部材には、以下のようなものがある。
下記特許文献1では、加熱ロールの両端部の外周面にボールベアリングを嵌め込み、加熱ロールはボールベアリングの夫々を介して側枠に支持されている。加熱ロールの両端部の外周面には、その全周にわたって溝が形成されており、溝内には耐熱グリスが充填されている。
【0003】
また、下記特許文献2では、加熱ロールの軸受との接触面に半径13mmの円弧状断面の円周溝を筒体金属の絞り加工によって成型し、軸受の初期組付け時の潤滑剤保持部を兼ねるようにしている。
また、下記特許文献3では、加熱ロール駆動用の歯車の外周面に、当該歯車のピッチ円よりも深いスリット状の溝を円周方向沿って設け、そのスリット状の溝に潤滑油を貯留することにより、歯車に潤滑油を供給している。
【0004】
また、下記特許文献4では、加熱ロールに記録媒体を押し付ける加圧ロールのロール軸を軸受で回転自在に支持し、軸受のロール軸接触面に、ロール軸の回転方向の油溝と当該回転方向と交差する方向の油溝を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−186338号公報
【特許文献2】特開2002−156855号公報
【特許文献3】特開平5−141504号公報
【特許文献4】特開2000−242113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば加熱ロールのように、径方向に荷重を受ける軸直角断面が円形な回転体を滑り軸受で回転自在に支持する際、軸受の摩耗を抑制しながら回転体の回転トルクを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、回転体の外周面に接触し当該回転体の径方向に作用する荷重を受ける荷重受部と、前記荷重受部よりも前記回転体の回転方向上流側で当該回転体に接触し前記荷重受部より回転体軸方向の接触長さが小さい第1の接触部と、を備えた滑り軸受である。
また、請求項2に記載の発明は、前記第1の接触部は、前記回転体の回転方向上流側ほど回転体軸方向の接触長さが小さい請求項1に記載の滑り軸受である。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、前記荷重受部よりも前記回転体の回転方向下流側で当該回転体に接触し前記第1の接触部よりも回転体軸方向の接触長さが大きい第2の接触部を備えた請求項1又は2に記載の滑り軸受である。
また、請求項4に記載の発明は、前記第2の接触部は、前記回転体の回転方向下流側ほど回転体軸方向の接触長さが小さい請求項3に記載の滑り軸受である。
【0009】
また、請求項5に記載の発明は、前記回転体としての加熱ロールと、前記加熱ロールに記録媒体を押し付ける加圧部材と、前記加熱ロールを支持する加熱ロール支持部材と、前記加圧部材を支持する加圧部材支持部材と、前記加熱ロール支持部材と前記加圧部材支持部材とを引き寄せて又は押し付けて前記加圧部材と前記加熱ロールとの間に荷重を付与するコイルばねと、を備えた定着装置である。
【0010】
また、請求項6に記載の発明は、記録媒体上に電子写真方式で画像形成する画像形成部と、前記記録媒体上の形成画像を定着する前記請求項5に記載の定着装置と、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、軸受の摩耗を抑制しながら回転体の回転トルクを低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、回転体の回転トルクを低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、軸受の摩耗を抑制することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、回転体の回転トルクを低減することができる。
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、軸受の摩耗を抑制しながら加熱ロールの回転トルクを低減することができる。
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、軸受の摩耗を抑制しながら加熱ロールの回転トルクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の滑り軸受、定着装置及び画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置の定着装置の斜視図である。
【図3】図2の定着装置の組立説明図である。
【図4】図3の定着装置に使用される滑り軸受の第1実施形態を示す斜視図である。
【図5】図2の定着装置の正面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】図5のB−B断面図である。
【図8】図5のC−C断面図である。
【図9】図3の定着装置に使用される滑り軸受の第2実施形態を示す斜視図である。
【図10】図3の定着装置に使用される滑り軸受の第3実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の滑り軸受及び定着装置及び画像形成装置の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の滑り軸受、定着装置及び画像形成装置の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、各構成部品が内部に収容される本体1を備えている。この本体1の内部には、用紙などの記録媒体2が収容される収容部3と、記録媒体2に画像を形成する画像形成部4と、収容部3から画像形成部4へ記録媒体2を搬送する搬送部5と、画像形成部4の各部の動作を制御する制御部6が設けられている。また、本体1の上部には、画像形成部4によって画像が形成された記録媒体2を排出する排出部7が設けられている。
【0015】
前記画像形成部4は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を夫々形成する画像形成ユニット8Y、8M、8C、8K(以下、8Y〜8Kとも記す)と、画像形成ユニット8Y〜8Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト9と、画像形成ユニット8Y〜8Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト9に転写する第1転写ロール10と、第1転写ロール10によって中間転写ベルト9に転写されたトナー画像を記録媒体2に転写する第2転写ロール11を備えている。なお、画像形成部4の構成は前記に限定されるものではなく、記録媒体2に画像を形成するものであれば、他の構成であってもよい。
【0016】
前記各画像形成ユニット8Y〜8Kは、水平方向に対して同じ向きに傾斜した状態で、本体1の上下方向中央部に並んで配置されている。また、各画像形成ユニット8Y〜8Kは、例えば図1の時計回り方向への一方向に回転する感光体12を備えている。各感光体12の周囲には、感光体12の回転方向上流側から順に、感光体12を帯電させる帯電装置の一例としての帯電ロール13と、帯電ロール13によって帯電した感光体12を露光して感光体12に静電潜像を形成する露光装置14と、露光装置14によって感光体12に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置15と、感光体12に接触して感光体12に残留しているトナーを除去する除去部材16が設けられている。
【0017】
前記露光装置14は、制御部6から送られた画像信号に基づいて静電潜像を形成する。制御部6から送られる画像信号としては、例えば制御6が外部装置から取得した画像信号などがある。また、現像装置15は、感光体12へトナーを供給するトナー供給体15aと、トナー供給体15aに供給されるトナーを攪拌しながら搬送する複数の搬送部材15bを備えている。
【0018】
前記中間転写ベルト9は、環状に形成されると共に、画像形成ユニット8Y〜8Kの上方に配置されている。この中間転写ベルト9は二つの巻掛ロール17に巻き掛けられている。この二つの巻掛ロール17の何れか一方を回転駆動することによって、感光体12に接触しながら、中間転写ベルト9は例えば図1の反時計回り方向への一方向に循環移動(回転)するようになっている。なお、図の右方の巻掛ロール17は、第2転写ロール11の対向ロールともなっている。
【0019】
前記第1転写ロール10は、中間転写ベルト9を挟んで感光体12に対向配置されている。この第1転写ロール10と感光体12の間が、感光体12に形成されたトナー画像が中間転写ベルト9に転写される第1転写位置となっている。また、前述したように、第1転写ロール11は、中間転写ベルト9を挟んで図示右方の巻掛ロール17に対向配置されている。この第2転写ロール11と図示右方の巻掛ロール17との間が、中間転写ベルト9に転写されたトナー画像が記録媒体2に転写される第2転写位置となっている。
【0020】
前記搬送部5には、収容部3に収容された記録媒体2を送り出す送出ロール18と、送出ロール18によって送り出された記録媒体2が搬送される搬送路19と、搬送路19に沿って配置されて、送出ロール18によって送り出された記録媒体2を第2転写位置へ搬送する複数の搬送ロール20が設けられている。
第2転写位置より搬送方向下流側には、記録媒体2を搬送する搬送装置の一例として、第2転写ロール11によって記録媒体2に転写されたトナー画像を記録媒体2に定着させる定着装置21が設けられている。この定着装置21には、トナー画像が定着された記録媒体2を排出部7に排出する排出ロール22が設けられている。また、定着装置21は、各構成部材が内部に収容される定着装置本体23と、記録媒体2に転写されたトナー画像を加熱する回転体の一例としての加熱ロール24と、加熱ロール24に記録媒体2を押し付ける加圧部材の一例としての加圧ベルト25を備えている。加熱ロール24は、金属製の円筒管の表面に弾性層が設けられている。加圧ベルト25は無端状の円筒部材を備え、その円筒部材を内部から加熱ロール24に押し付けることでニップ部を形成し、このニップ部で記録媒体2を加熱ロール24に予め設定された荷重で押し付ける。これにより、記録媒体2のトナー画像が加熱定着されて定着画像となる。
【0021】
この画像形成装置では、収容部3から送出ロール18によって送り出された記録媒体2が複数の搬送ロール20によって第2転写位置へ送り込まれる。一方、画像形成ユニット8Y〜8Kでは、帯電ロール13によって帯電した感光体12が露光装置14によって露光され、感光体12に静電潜像が形成される。その静電潜像が現像装置15によって現像され、感光体12にトナー画像が形成される。各画像形成ユニット8Y〜8Kによって感光体12に形成されたトナー画像は第1転写位置で中間転写ベルト9に重ねられ、中間転写ベルト9にカラーのトナー画像が転写される。中間転写ベルト9のカラーのトナー画像は第2転写位置で記録媒体2に転写される。記録媒体2に転写されたカラーのトナー画像は定着装置21の加熱ロール24と加圧ベルト25のニップ部で加熱定着され、カラーの定着画像が定着された記録媒体2は排出ロール22によって排出部7に排出される。
【0022】
図2には、本実施形態の画像形成装置の定着装置21の定着装置本体23内に収容された加熱ロール24及び加圧ベルト25の詳細を、図3には、その組立手順を夫々示す。加熱ロール24は加熱ロール支持部材26に回転自在に支持され、加圧ベルト25は加圧部材支持部材27に支持されている。加熱ロール支持部材26は、加熱ロール24の軸線方向両端部を回転自在に支持する側板部材28と、2つの側板部材28を連結する連結部材29を備えている。加圧部材支持部材27は加圧ベルト25の側板部材である。なお、図中の符号30は、図示しない回転駆動源の回転力を加熱ローラ24に伝達する歯車機構である。
【0023】
加熱ロール支持部材26の側板部材28と加圧ベルト25の側板部材である加圧部材支持部材27は、図2、図3の下方でピン部材31により、例えば加熱ロール24と加圧ベルト25を近づけたり遠ざけたりする方向に回転自在に連結されている。加熱ロール支持部材26の側板部材28には、図2、図3で下方に凸の円弧断面の窪みが形成され、その窪みに円弧断面の接触面を有する弓状の滑り軸受32が取付けられている。この滑り軸受32の図示上方に加熱ロール24を搭載し、当該加熱ロール24の外周面を滑り軸受32で支持する。
【0024】
加圧ベルト25は、無端状の円筒部材33と、当該円筒部材33の内部の加熱ロール24側に挿入配置される当該円筒部材33の軸方向に長手な加圧体34と、前記円筒部材33の内部に挿入配置され、前記加圧体34と直交する方向に組合される前記円筒部材33の軸方向に長手なL字状の板体35と、前記加圧体34及び板体35を円筒部材33の内部に挿入した後、当該加圧体34及び板体35に取付けられて当該円筒部材33の軸方向両端部を覆う蓋体36を備えている。なお、加圧体34には板体35を差し込む溝が形成されており、その溝に板体35を差し込んで加圧体34と板体35が組合わされている。また、蓋体36にも加圧体34及び板体35を差し込む溝が形成されており、それらの溝に加圧体34及び板体35の夫々を差し込んで蓋体36と加圧体34及び板体35が組合わされている。
【0025】
前記加圧ベルト25の蓋体36は加圧部材支持部材27の予め設定された部位に取付けられる。また、加圧部材支持部材27には前記板体35の長手方向両端部を差し込む溝が形成されており、その溝に板体35の長手方向両端部が差し込まれる。従って、加圧ベルト25の蓋体36、加圧体34、板体35は回転せず、円筒部材33のみ回転可能となる。この加圧ベルト25が加熱ロール24に押し付けられると、板体35によって補強された加圧体34が円筒部材33を加熱ロール24の表面に加圧して押し付ける。円筒部材33を介して、加圧体34が加熱ロール24の弾性層を撓ませることにより、加熱ロール24との間に前述したニップ部が形成される。なお、円筒部材33と加圧体34、板体35の間に、加圧体34に相当する部分が切欠かられた円筒形の接触部材を介在させてもよい。
【0026】
そして、加熱ロール支持部材26の2つの側板部材28の上端部の夫々にはコイルばね37の一方の端部が取付けられ、加圧ベルト25の側板部材である2つの加圧部材支持部材27の上端部の夫々には前記コイルばね37の他方の端部が取付けられている。従って、加熱ロール支持部材26と加圧部材支持部材27がコイルばね37の弾性力で引き寄せられ、加熱ロール24と加圧ベルト25が予め設定された荷重で加圧される。その結果、加熱ロール24と加圧ベルト25の間にニップ部が形成される。
【0027】
図4には、前記加熱ロール支持部材26と加熱ロール24の間に介在された滑り軸受32の第1実施形態を示す。この滑り軸受32は、前記加熱ロール支持部材26の側板部材28の円弧断面の窪みに嵌るように弓状に形成されており、内径側には、加熱ロール24の外周面に接触する円弧断面の接触面38が形成されている。また、弓状の滑り軸受32の外形側には、前記加熱ロール支持部材26の側板部材28が差し込まれる溝39が形成されている。
【0028】
図5には、図2の定着装置21の正面図を示す。図中の矢印Rは、回転体である加熱ロール24の回転方向である。また、図中の矢印Pは、前記加圧ベルト25、厳密には加圧体34による加熱ロール24への荷重方向である。この加熱ロール24への荷重は、そのまま滑り軸受32への荷重方向となる。つまり、滑り軸受32は、回転体の一定の径方向に荷重が作用している。前記滑り軸受32の接触面38のうち、この荷重が作用している部分が荷重受部40となる。
【0029】
図4の滑り軸受32では、接触面38のうち、荷重受部40の図示左方が回転体である加熱ロール24の回転方向上流側であり、図示右方が加熱ロール24の回転方向下流側である。そこで、荷重受部40より加熱ロール24の回転方向上流側の接触面38を上流接触部41とし、回転方向下流側の接触面38を下流接触部42とする。本実施形態では、この上流接触部41の接触面38の加熱ロール24、つまり回転体軸方向中央部に凹部43が形成されており、その結果、上流接触部41の加熱ロール24軸方向接触長さは荷重受部40の加熱ロール24軸方向接触長さより小さい。更に、本実施形態では、前記凹部43の加熱ロール24軸方向長さを加熱ロール24回転方向上流側ほど大きくし、結果的に上流接触部41の接触面38の加熱ロール24軸方向長さを加熱ロール24回転方向上流側ほど小さくしている。図6は、図5のA−A断面、つまり前記上流接触部41の加熱ロール24回転方向上流部分の断面を示しており、図7は、図5のB−B断面、つまり前記上流接触部41の加熱ロール24回転方向下流部分の断面を示しており、図8は、図5のC−C断面、つまり前記荷重受部40の断面を示している。
【0030】
滑り軸受32では、同じ荷重を受ける場合、支持する回転体の軸方向接触長さが大きいほど、圧力が小さくなるので、摩耗しにくい反面、接触抵抗、つまり摩擦力が大きくなるので、回転体の回転トルクが大きい。一方、同じ荷重を受ける場合、支持する回転体の軸方向接触長さが小さいほど、接触抵抗、つまり摩擦力が小さくなるので、回転体の回転トルクが小さい反面、圧力が大きくなるので、摩耗しやすい。また、回転体の一定の径方向に荷重が作用している場合、滑り軸受32の接触面38では、荷重受部40より加熱ロール24の回転方向下流側では回転体の回転慣性による荷重が作用する。また、回転体の一定の径方向に荷重が作用している場合、滑り軸受32の接触面38では、荷重受部40に近いほど荷重が大きい。
【0031】
そこで、本実施形態では、滑り軸受32の接触面38のうち、荷重受部40の回転体軸方向接触長さを大きくし、荷重受部40より加熱ロール24の回転方向上流側の上流接触部41の回転体軸方向接触長さを小さくし、更に上流接触部41の回転体軸方向接触長さを加熱ロール24の回転方向上流側ほど小さくしている。
図9には、前記加熱ロール支持部材26と加熱ロール24の間に介在された滑り軸受32の第2実施形態を示す。この滑り軸受32は、前記図4の第1実施形態の滑り軸受32に類似しており、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。本実施形態の滑り軸受32では、荷重受部40の加熱ロール24軸方向長さは、前記第1実施形態と同様に滑り軸受32の加熱ロール24軸方向長さいっぱいに大きくしてある。これに対し、図の左方に相当する上流接触部41では、接触面38の加熱ロール24軸方向両端部に凹部43を形成して加熱ロール24軸方向接触長さを荷重受部40の加熱ロール24軸方向接触長さより小さくしている。なお、凹部43の加熱ロール24軸方向長さは一定である。また、図の右方に相当する下流接触部42でも、接触面38の加熱ロール24軸方向中央部に凹部43を形成して加熱ロール24軸方向接触長さを荷重受部40の加熱ロール24軸方向接触長さより小さくしている。この凹部43の加熱ロール24軸方向長さも一定である。下流接触部42の接触面38の加熱ロール24軸方向接触長さは上流接触部41の接触面38の加熱ロール24軸方向接触長さより大きい。
【0032】
図10には、前記加熱ロール支持部材26と加熱ロール24の間に介在された滑り軸受32の第3実施形態を示す。この滑り軸受32は、前記図4の第1実施形態の滑り軸受32及び図9の第2実施形態の滑り軸受32に類似しており、同等の構成には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。本実施形態の滑り軸受32では、前記第2実施形態と同様に、図の左方に相当する上流接触部41では、接触面38の加熱ロール24軸方向両端部に凹部43を形成して加熱ロール24軸方向接触長さを荷重受部40の加熱ロール24軸方向接触長さより小さくしている。なお、凹部43の加熱ロール24軸方向長さは一定である。また、図の右方に相当する下流接触部42でも、接触面38の加熱ロール24軸方向中央部に凹部43を形成している。この凹部43は荷重受部40にも延長されているが、凹部43の加熱ロール24軸方向長さは加熱ロール24回転方向下流側ほど大きいので、荷重受部40の加熱ロール24軸方向長さは、全ての接触面38の中で最大であり、且つ下流接触部42の接触面38の加熱ロール24軸方向接触長さは上流接触部41の接触面38の加熱ロール24軸方向接触長さより大きい。
【0033】
なお、記録媒体2を加熱ロール24に押し付ける加圧部材は前記加圧ベルト25に限定されるものではなく、既存の電子写真複写機などの画像形成装置に用いられる加圧部材を用いることができる。
また、前記滑り軸受は、画像形成装置の定着装置以外にも、回転体の一定の径方向に荷重が作用する種々の滑り軸受に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 本体
2 記録媒体
3 収容部
4 画像形成部
5 搬送部
6 制御部
7 排出部
8Y、8M、8C、8K 画像形成ユニット
9 中間転写ベルト
10 第1転写ロール
11 第2転写ロール
12 感光体
13 帯電ロール
14 露光装置
15 現像装置
16 除去部材
17 巻掛ロール
18 送出ロール
19 搬送路
20 搬送ロール
21 定着装置
22 排出ロール
23 定着装置本体
24 加熱ロール
25 加圧ベルト
26 加熱ロール支持部材
27 加圧部材支持部材
28 側板部材
29 連結部材
30 歯車機構
31 ピン部材
32 滑り軸受
33 円筒部材
34 加圧体
35 板体
36 蓋体
37 コイルばね
38 接触面
39 溝
40 荷重受部
41 上流接触部
42 下流接触部
43 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の外周面に接触し当該回転体の径方向に作用する荷重を受ける荷重受部と、
前記荷重受部よりも前記回転体の回転方向上流側で当該回転体に接触し、前記荷重受部より回転体軸方向の接触長さが小さい第1の接触部と、
を備えた滑り軸受。
【請求項2】
前記接触部は、前記回転体の回転方向上流側ほど回転体軸方向の接触長さが小さい請求項1に記載の滑り軸受。
【請求項3】
前記荷重受部よりも前記回転体の回転方向下流側で当該回転体に接触し前記第1の接触部よりも回転体軸方向の接触長さが大きい第2の接触部を備えた請求項1又は2に記載の滑り軸受。
【請求項4】
前記第2の接触部は、前記回転体の回転方向下流側ほど回転体軸方向の接触長さが小さい請求項3に記載の滑り軸受。
【請求項5】
前記回転体としての加熱ロールと、
前記加熱ロールに記録媒体を押し付ける加圧部材と、
前記加熱ロールを支持する加熱ロール支持部材と、
前記加圧部材を支持する加圧部材支持部材と、
前記加熱ロール支持部材と前記加圧部材支持部材とを引き寄せて又は押し付けて前記加圧部材と前記加熱ロールとの間に荷重を付与するコイルばねと、
を備えた定着装置。
【請求項6】
記録媒体上に電子写真方式で画像形成する画像形成部と、
前記記録媒体上の形成画像を定着する前記請求項5に記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−203068(P2012−203068A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65350(P2011−65350)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】