説明

滑り面潤滑剤組成物、その製法及びその使用

滑り面潤滑剤組成物が提供される。組成物は、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54Cで60分未満で組成物が水から分離するのに十分な量の、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素10重量%未満である異性化基油を含む。一実施形態では、組成物は、解乳化添加剤をまったく又はほとんど含まない。他の実施形態では、組成物は、これらに限られるわけではないが、グレード68、220及び32のためのP47、P50及びP53のCincinnati Milacron仕様を含んで、工作機械及び圧縮空気工具メーカーの要求を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは潤滑剤としての使用、さらに詳細には滑り面潤滑剤としての使用に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
滑り面は、運動の速度に関係なく一定の摩擦力を与える恒常的な仕上げを有する、荷重下でも安定(すなわち、変位が最小)な移動面を、工作機械に与えるように設計された、機械的な案内面である。機械製作者は、様々な配置(水平、垂直、傾斜のある)に滑り面を製造すること及び様々な異なる材料(鉄、鋼鉄又はプラスチック)から製作することにより、このような設計目的を達成してきた。工作機械は、非常に細密な許容差で、例えば、カムシャフトの製作における許容差は、約1ミクロンしかないこともあり得るが、物品を製作することが頻繁に必要とされる。この目的のために、工作機械は、正確に位置取りされなければならない。必要な位置取り、それにより滑り面の性能を最大にすることを促進するために、工作機械が搭載されている表面を潤滑するために、滑り面潤滑剤が使用される。
【0003】
油圧操作などの典型的な適用においては、工作機械は、機械加工の性能に悪影響を与え得る汚れた水と接触することがある。良好な水分離性が、滑り面潤滑剤組成物において非常に必要とされている。従来技術では、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーなどの解乳化添加剤(又は解乳化剤)が、典型的には使用され、潤滑剤の解乳化能の改善を助けている。従来技術の滑り面潤滑剤の中には、解乳化剤が十分に溶解しない傾向があり、工作機械内に目詰まりを引き起こし得る厄介な沈殿物を形成するものもある。
【0004】
参照により本明細書に組み込む、多くの特許公報及び出願、すなわち、米国特許出願公開第2006/0289337号明細書、米国特許出願公開第2006/0201851号明細書、米国特許出願公開第2006/0016721号明細書、米国特許出願公開第2006/0016724号明細書、米国特許出願公開第2006/0076267号明細書、米国特許出願公開第2006/020185号明細書、米国特許出願公開第2006/013210号明細書、米国特許出願公開第2005/0241990号明細書、米国特許出願公開第2005/0077208号明細書、米国特許出願公開第2005/0139513号明細書、米国特許出願公開第2005/0139514号明細書、米国特許出願公開第2005/0133409号明細書、米国特許出願公開第2005/0133407号明細書、米国特許出願公開第2005/0261147号明細書、米国特許出願公開第2005/0261146号明細書、米国特許出願公開第2005/0261145号明細書、米国特許出願公開第2004/0159582号明細書、米国特許第7018525号明細書、米国特許第7083713号明細書、米国特許出願第11/400570号明細書、米国特許出願第11/535165号明細書及び米国特許出願第11/613936号明細書では、供給物がフィッシャー・トロプシュ合成から回収されたワックス状供給物である方法により、代替の炭化水素生成物、例えばフィッシャー・トロプシュ基油が作製される。この方法は、二重に機能する触媒又はパラフィンを選択的に異性化し得る触媒を用いる、完全な又は部分的な水素異性化脱ろうステップを含む。水素異性化脱ろうは、水素異性化条件下、異性化ゾーン中で、水素異性化触媒とワックス状供給物を接触させることにより達成される。
【0005】
フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、例えば、市販のSASOL(登録商標)スラリー相フィッシャー・トロプシュ技術、市販のSHELL(登録商標)中間留分合成法(SMDS)又は市販ではないがEXXON(登録商標)改良ガス変換法(AGC−21)などのよく知られた方法により得ることができる。これらの方法やその他のものの詳細は、例えば、欧州特許公開第776959号、第668342号、米国特許第4,943,672号、同第5,059,299号、同第5,733,839号及び米国再発行特許第39073号、米国特許出願公開第2005/0227866号の各明細書、国際公開第9934917号、第9920720号、第05107935号の各パンフレット中に記載されている。フィッシャー・トロプシュ合成生成物は、通常、1〜100、又は100以上ですらある炭素原子を有する炭化水素を含み、典型的には、パラフィン、オレフィン及び酸素化された生成物を含む。フィッシャー・トロプシュは、清浄な代替の炭化水素生成物を生産する実行可能な方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
優れた解乳化能を有し、代替の炭化水素生成物を含む、新規な滑り面潤滑剤組成物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、a)連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素が10重量%未満である異性化基油を少なくとも1種含む基油;b)0.001〜10重量%の、添加剤パッケージ、酸化防止剤、高圧剤、摩擦調節剤、接着添加剤、抗摩耗剤、金属不動化剤、消泡剤、乳化破壊剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、滑り面潤滑剤組成物であって、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、60分未満で組成物が水から分離するのに十分な量の異性化基油を含む、滑り面潤滑剤組成物に関する。一実施形態では、この十分な量とは、95〜99.999重量%である。
【0008】
他の態様では、本発明は、滑り面潤滑剤を解乳化するための方法に関し、その方法は、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して60分未満で潤滑剤が水から分離するのに十分な量の異性化基油を、滑り面潤滑剤を調整するために典型的に用いられる基油に加えるステップを含み、前記異性化基油は、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素が10重量%未満であり、前記典型的な基油は、鉱物油、アルファオレフィンのオリゴマー、エステル、合成炭化水素油、及びこれらの混合物のうちの1種である。
【0009】
さらに他の態様では、滑り面潤滑剤を解乳化する他の方法が提供され、その方法は、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して60分未満の時間で潤滑剤が水から分離するのに十分な量の異性化基油を含む基油を調製するステップを含み、前記異性化基油は、連続した炭素原子数、n−d−M法によりナフテン炭素10重量%未満である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の用語は、本発明明細書を通じて使用され及び別に示されない限り、以下のような意味を有する。
【0011】
改善された解乳化能(解乳化性能)という語により、油が水から分離する能力を意味する。工業用油の水から分離する能力の評価のための確立された試験は、ASTM D1401である。この試験では、40mlの油を40mlの水と54℃で混合し、得られた乳化液が3ml以下(完全な分離と考えられている)に減少するのに要する時間を記録する。完全な分離が起こらない場合、存在する油、水及び乳化液の体積を記録する。
【0012】
本発明明細書で用いる場合、「滑り面」という用語は、「滑り面」又は「案内面」と交換可能に使用され得るし、「滑り面潤滑剤」という用語は、「滑り面組成物」又は「滑り面潤滑剤組成物」という用語と交換可能に使用され得る。
【0013】
「フィッシャー・トロプシュ由来の」という用語は、フィッシャー・トロプシュ法により、ある段階から由来する、又はある段階において作製される、生成物、分画、又は供給物を意味する。本明細書で使用する場合、「フィッシャー・トロプシュ基油」という用語は、「FT基油」、「FTBO」、「GTL基油(GTL:ガスから液体へ)」、又は「フィッシャー・トロプシュ由来基油」という用語と、交換可能に使用し得る。
【0014】
本明細書で使用する場合、「異性化基油」という用語は、ワックス状供給物を異性化することにより作製された基油を指す。
【0015】
本明細書で使用する場合、「ワックス状供給物」は、少なくとも40重量%のn−パラフィンを含む。一実施形態では、ワックス状供給物は、50重量%を超えるn−パラフィンを含む。別の実施形態では、75重量%を超えるn−パラフィンを含む。一実施形態では、ワックス状供給物はまた、非常に低いレベルの窒素及び硫黄を有し、例えば、窒素と硫黄を合わせて25ppm未満、又はさらに別の実施形態では、20ppm未満である。ワックス状供給物の例としては、スラックワックス、脱油スラックワックス、精製ろう下油、ワックス状潤滑ラフィネート、n−パラフィンワックス、NAOワックス、化学工場プロセスにより製造されるワックス、脱油石油由来ワックス、微結晶ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、及びこれらの混合物が含まれる。一実施形態では、ワックス状供給物は、50℃を超える流動点を有する。他の実施形態では、60℃を超える。
【0016】
「動粘度」という用語は、mm/sで表した、重力下での液体の流れに対する抵抗の測定値であり、ASTM D445−06により測定される。
【0017】
「粘度指数」(VI)という用語は、油の動粘度に対する温度変化の効果を表す、経験的で単位を持たない数である。油のVIが高ければ高いほど、温度に伴う粘度変化の傾向がますます低くなる。粘度指数は、ASTM D2270−04に従って測定される。
【0018】
コールドクランキングシミュレーター見かけ粘度(CCS VIS)は、ミリパスカル秒、mPa.sで表した、低温及び高せん断下での潤滑基油の粘度特性を測定するための、測定である。CCS VISは、ASTM D5293−04により測定される。
【0019】
基油の沸点範囲分布は、重量%で表され、ASTM D6352−04「ガスクロマトグラフィーによる、174〜700℃の沸点範囲における石油留分の沸点範囲分布(Boiling Range Distribution of Petroleum Distillates in Boiling Range from 174 to 700℃ by Gas Chromatography)」に従う模擬蒸留(SIMDIS)で測定される。
【0020】
「ノアック揮発分」という用語は、ASTM D5800−05の手順Bに従って測定され、油を250℃に加熱し、その中に空気の定常流を60分間通したときに失われた、重量%で表した油の量として定義される。
【0021】
ブルックフィールド粘度は、低温操作の間に、潤滑油の内部液体摩擦を決定するために使用され、ASTM D2983−04によって測定できる。
【0022】
「流動点」という用語は、注意深く制御された特定の条件下で、基油試料が流動し始める温度の測定値であり、ASTM D5950−02に記載されたように測定し得る。
【0023】
「自己発火温度」という用語は、液体が空気と接触した時に即座に発火する温度であり、ASTM 659−78に従い測定できる。
【0024】
「Ln」という用語は、「e」を底とする自然対数を指す。
【0025】
「トラクション係数」という用語は、潤滑剤特性の固有の指標であり、摩擦力Fと垂直力Nの無次元数の比として表現され、ここで、摩擦は、滑っている又は回転している表面間の運動に抵抗又は運動を阻害する力学的力である。トラクション係数は、直径46mmの磨いた平盤(SAE AISI 52100鋼)に対して、220の角度で、磨いた直径19mmの球(SAE AISI 52100鋼)を配置した、PCS Instruments,Ltd.社の、MTM Traction Measurement Systemで測定し得る。鋼球と平盤は、独立に平均回転速度3m/秒、回転対スライド比40%、及び20Nの荷重で測定する。回転比は、球と平盤の平均速度で、球と平盤の間のスライディング速度の差を除したもの、すなわち、回転比=(速度1−速度2)/((速度1+速度2)−/2)、として規定される。
【0026】
本明細書で使用する場合、「連続した炭素原子数」という用語は、基油が、その間のすべての数の炭素数を有する、炭素数の範囲にわたる炭化水素分子の分布を有することを意味する。例えば、基油は、C22〜C36又はC30〜C60の範囲のその間のすべての炭素数を有する炭化水素分子を有してもよい。ワックス状供給物も連続した数の炭素原子を有する結果として、基油の炭化水素分子は、互いに、連続した炭素原子数だけ異なる。例えば、フィッシャー・トロプシュ炭化水素合成反応において、炭素原子の起源は、COであり、炭化水素分子は、一時に1つの炭素原子が作り上げられる。石油由来のワックス状供給物は、連続した炭素原子数を有する。ポリαオレフィンベースの油(“PAO”)と対照的に、異性化基油の分子は、短い分枝を有する比較的長いバックボーンを含むより直鎖状の構造を有する。古典的な教科書のPAOの記述では、星状の分子であり、特に、3つのデカン分子が中心点で結合しているように表示されている、トリデカンである。一方、星状の分子は理論的なものであるが、それでもなお、PAO分子は、本明細書に開示した異性化基油を作り上げている炭化水素分子よりもより少なくより長い分枝を有する。
【0027】
「シクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、モノサイクリックの又は縮合したマルチサイクリックの飽和炭化水素基であるか又は1個若しくは複数個の置換基として含む、いかなる分子をも意味する。
【0028】
「モノシクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、3〜7個の環炭素のモノサイクリック飽和炭化水素基である任意の分子又は1個の3〜7個の環炭素のモノサイクリック飽和炭化水素基で置換されている任意の分子を意味する。
【0029】
「マルチシクロパラフィン官能基を有する分子」という用語は、2個以上の縮合環の縮合マルチサイクリック飽和炭化水素環基である任意の分子、2個以上の縮合環の1個若しくは複数個の縮合マルチサイクリック飽和炭化水素環基で置換されている任意の分子、又は3〜7個の環炭素の1個以上のモノサイクリック飽和炭化水素基で置換されているいかなる分子を意味する。
【0030】
シクロパラフィン官能基を有する分子、モノシクロパラフィン官能基を有する分子、及びマルチシクロパラフィン官能基を有する分子は、重量%で表示され、電界イオン化質量分析法(FIMS)、芳香族に対してはHPLC−UV、オレフィンに対してはプロトンNMRの組合せで決定されるが、さらに詳細に本明細書で記述される。
【0031】
オキシデーターBNは、模擬適用における潤滑油の応答を測定する。高い値、又は1リットルの酸素を吸収するのに長時間であるということは、安定性が良いことを示す。オキシデーターBNは、Dornte型酸素吸収装置(R.W.Dornte「ホワイトオイルの酸化(Oxidation of White Oils)」、Industrial and Engineering Chemistry、第28巻、26頁、1936年)により測定され得るが、1気圧の純酸素、340°Fで、油100gにより1000mLのOが吸収される時間が報告される。オキシデーターBN試験においては、油100g当たり、0.8mLの触媒が使用される。触媒は、使用後のクランクケース油の平均金属分析を模した可溶性の金属ナフテナートの混合物である。添加剤パッケージは、油100g当たり80ミリモルの亜鉛ビスポリプロピレンフェニルジチオフォスフェートである。
【0032】
分子の特性解析は、電界イオン化質量分析法(FIMS)及びn−d−M分析(ASTM D3238−95(2005年再認可))を含み、当業界に公知の方法で実行できる。FIMSにおいては、基油は、アルカン及び種々の数の不飽和を有する分子として特性づけられる。種々の数の不飽和を有する分子は、シクロパラフィン、オレフィン、及び芳香族を含み得る。芳香族をかなりの量で含む場合には、それらは4−不飽和として同定されよう。オレフィンをかなりの量で含む場合には、それらは1−不飽和として同定されよう。FIMS分析からの1−不飽和、2−不飽和、3−不飽和、4−不飽和、5−不飽和、及び6−不飽和の合計から、プロトンNMRによるオレフィンの重量%及びHPLC−UVによる芳香族の重量%を差し引くと、シクロオレフィン官能基を有する分子の全重量%となる。芳香族含量が測定されなかったときには、0.1重量%未満であると仮定し、シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%の計算には含めなかった。シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%は、モノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%とマルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の合計である。
【0033】
分子量は、ASTM D2503−92(2002年再認可)によって測定する。この方法は、蒸気圧(VPO)の熱電流測定を用いる。十分な試料体積が得られないときには、代替法として、ASTM D2502−94を使用してもよく、これが使用された場合は、表示される。
【0034】
密度は、ASTM D4052−96(2002年再認可)により測定する。試料が振動試料管に導入され、管の質量変化による振動周波数変化が、較正用データと関連させて試料の密度の決定のために使われる。
【0035】
オレフィンの重量%は、本明細書に示されたステップに従ってプロトンNMRにより決定できる。大部分の試験で、オレフィンは通常のオレフィン、すなわち、アルファ、ビニリデン、シス、トランス、及びトリ置換などの二重結合炭素に結合した水素を有するタイプのオレフィンの分布した混合物であり、検出されたオレフィンに対するアリルの積分比は、1と2.5の間である。この比が、3を超える場合は、トリ又はテトラ置換オレフィンの存在割合が高いことを示し、試料の二重結合の数の計算のためには、分析分野で公知の他の仮定がなされ得る。ステップは次のように進む。A)試験する炭化水素の重水素化クロロホルム中5〜10%の溶液を用意する。B)少なくとも12ppmのスペクトル幅で、化学シフト(ppm)軸の正確な参照を入れて、装置の受信機/ADCにオーバーロードを与えない信号を得るような十分なゲイン幅、例えば、30°のパルスが与えられる時に、65,000の最小信号ディジタル化ダイナミックレンジを有する装置を用いて、通常のプロトンスペクトルを得る。一実施形態では、装置は、少なくとも260,000のダイナミックレンジを有する。C)6.0〜4.5ppm(オレフィン);2.2〜1.9ppm(アリル);1.9〜0.5ppm(飽和)の間の積分強度を測定する。D)ASTM D2503−92(2002年再認可)によって測定される試験物質の分子量を使用して計算する:1.飽和炭化水素の平均分子式;2.オレフィンの平均分子式;3.全積分強度(=すべての積分強度の和);4.試料の水素1個当たりの積分強度(=全積分強度/式中の水素の数);5.オレフィン水素数(=オレフィンの積分/水素1個当たりの積分);6.二重結合の数(=オレフィン水素とオレフィンの式中の水素の数/2との積);及び7.プロトンNMRによるオレフィンの重量%=100x二重結合の数x典型的なオレフィン分子中の水素の数を典型的な試験物質分子中の水素の数で除したもの。この試験では、プロトンNMR計算手順によるオレフィンの重量%、Dは、オレフィンの割合が低く、15重量%未満の場合に特にうまく働く。
【0036】
一実施形態における芳香族の重量%は、HPLC−UVにより測定し得る。一実施形態では、試験は、Hewlett Packard 1050シリーズの4重グラジエント高分解能液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用い、HP 1050ダイオードアレイUV−Vis検出器をHP−Chem−stationと組み合わせて使用して実施される。高飽和度基油中の個々の芳香族クラスの同定は、UVスペクトルパターンと溶出時間に基づいてなし得る。この分析に用いられるアミノカラムは、芳香族分子を、主としてその環の数(又は二重結合の数)に基づいて区別する。このようにして、単環の芳香族を含む分子が最初に溶出し、分子当たりの二重結合数が増加する順でポリサイクリックの芳香族が続く。類似の二重結合性を有する芳香族に対しては、環上にアルキル置換基のみを有するものがナフテン性置換を有するものよりもより早く溶出する。種々の基油芳香族炭化水素を、それらのUV吸収スペクトルから曖昧さなく同定することは、その電子遷移ピークが、純粋なモデル化合物類似体に比べて、環系上のアルキル及びナフテン性置換の量に依存してすべて赤色シフトしていることを認識することにより達成し得る。溶出する芳香族化合物の定量は、化合物のそれぞれの一般化クラスに対して最適化した波長から得られたクロマトグラムをその芳香族に対する適切な保持時間窓にわたって積分することにより実施し得る。それぞれの芳香族クラスに対する保持時間窓の境界は、異なる時間に溶出する化合物のそれぞれの吸収スペクトルをマニュアルで評価すること及びモデル化合物の吸収スペクトルに対する定性的な類似性に基づいて、適切な芳香族クラスにそれをあてはめることにより決定できる。
【0037】
HPLC−UV検量線。一実施形態では、HPLC−UVを、非常に低水準であっても芳香族化合物のクラスを同定することに用い得るが、例えば、多環の芳香族は、単環の芳香族よりも典型的には10〜200倍強く吸収する。アルキル置換は、吸収に対して20%で影響する。272nmにおける同時に溶出する1環と2環の芳香族に対する積分限界は、垂直滴下法により実施可能である。それぞれの一般的芳香族クラスに対する波長依存応答ファクターは、最初に、置換芳香族類似体に対して最も近い吸収スペクトルピークに基づいて、純粋なモデル化合物混合物からのBeerの法則プロットを作製することにより決定できる。芳香族の重量%濃度は、それぞれの芳香族クラスに対する平均分子量が、全基油試料に対する平均分子量にほぼ等しいと仮定することにより計算できる。
【0038】
NMR分析。一実施形態では、精製したモノ芳香族標準中の少なくとも1種の芳香族官能を有するすべての分子の重量%は、長時間にわたる炭素13NMR分析により確認できる。NMRの結果は、高度に飽和した基油中の95〜99%の芳香族が単環の芳香族であることを知ることにより、芳香族炭素%から芳香族分子%へ(HPLC−UVとD2007とに矛盾のないように)変換できる。低水準の、少なくとも1つの芳香族官能基を有するすべての分子を正確に測定するためのNMRによる別の試験においては、10〜12mmのNaloracプローブを用いる400〜500MHzNMRでの15時間に及ぶ測定を用いて、最小の炭素感度500:1(ASTM 標準操作E386による)を与えるように、標準D 5292−99(2004年再認可)法を修正し得る。ベースラインの形を規定し、首尾一貫した積分を行うために、Acorn PC積分ソフトウエアを用いることができる。
【0039】
分枝度は、炭化水素中のアルキル分枝の数を指す。分枝と分枝位置は、以下の9段階プロセスに従って、炭素13(13C)NMRを用いて決定できる。1)DEPTパルスシークエンス(Doddrell,D.T.;D.T.Pegg;M.R.Bendall、Journal of Magnetic Resonance、1982年、第48巻、323頁以後)を用いるCH分枝中心及びCH分枝ターミネーションポイントを同定する。2)APTパルスシークエンス(Patt,S.L.;J.N.Shoolery、Journal of Magnetic Resonance、1982年、第46巻、535頁以後)を用いて複数個の分枝を開始する炭素(四級の炭素)がないことを確認する。3)当業界で公知の表としてまとめられ、計算されている値(Lindeman,L.P.、Journal of Qualitative Analytical Chemistry、第43巻、1971年、1245頁以後;Netzel,D.A.ら、Fuel,第60巻、1981年、307頁以後)を用いて、種々の分枝炭素の共鳴を特定の分枝位置と長さにあてはめる。4)メチル/アルキル基の特定の炭素の積分強度を1個の炭素の積分強度(これは、全積分強度/混合物中の分子当たりの炭素数、に等しい)と比較することにより、異なる炭素位置における相対的分枝密度を推定する。末端及び分枝のメチルの両方は同じ共鳴位置にあるが、2−メチル分枝に対しては、分枝密度を推定する前に強度を2で割る。4−メチル分枝分画が計算され表にされる場合には、二重カウントを避けるべく4+メチルに対するその寄与を差し引く。5)平均炭素数を計算する。平均炭素数は、試料の分子量を14(CHの式量である)で除すことにより決定される。6)分子当たりの分枝の数は、第4ステップで得られた分枝の合計である。7)炭素原子100個当たりのアルキル分枝の数は、分子当たりの分枝の数(ステップ6)x100/平均炭素数、から計算される。8)HNMR分析により分枝指数(BI)を推定する。これは、液体炭化水素組成物中のNMRにより推定された全水素のうち、メチル水素(化学シフト範囲が0.6〜1.05ppm)の割合として表される。9)13CNMRにより分枝近接度(BP)を推定する。これは、末端基又は分枝から4個又はそれ以上の炭素だけ離れている炭素(29.9ppmのNMR信号で表されるが)である繰り返し起こるメチレン炭素の、液体炭化水素組成物中のNMRにより推定された全炭素に対する割合として表される。測定は、いかなるフーリエ変換NMRスペクトル装置、例えば、7.0T又はそれ以上の磁石を有するものを用いて実行できる。質量分析、UV又はNMRサーベイで芳香族炭素が存在しないことを確認した後に、13CNMR試験でのスペクトル幅を、飽和炭素領域、TMS(テトラメチルシラン)に対して、0〜80ppmの領域に限定することができる。クロロホルム−d1中25〜50重量%の溶液を30°パルスで励起し、1.3秒(sec.)の採取時間が続く。不均一な強度データを最小にするために、励起パルスに先立って6秒間の遅れの間、及び採取時間の間、広幅プロトン逆ゲートデカップリングを用いる。最高強度での観測を確保するために、0.03〜0.05MのCr(acac)(トリス(アセチルアセトナート)−クロミウム(III))を、緩和剤として試料にドープする。Varian又はBrukerの操作マニュアルに記載されているわずかな変更で文献の記述に従って、DEPT及びAPTシークエンスが実行できる。DEPTは、分極移動による無ひずみ強調(Distortionless Enhancement by Polarization Transfer)である。DEPT45シークエンスは、プロトンに結合しているすべての炭素の信号を与える。DEPT90は、CH炭素のみを示す。DEPT135はCH及びCHアップ及びCH180°位相外れ(ダウン)を示す。APTは、結合プロトン試験(attached proton test)であり、当業界では公知である。それはすべての炭素を観測できるようにするが、CH及びCHがアップの場合は、四級炭素とCHはダウンである。試料の分枝特性は、13CNMRにより、計算において全試料がイソパラフィン性(iso−paraffinic)であるという仮定を用いて決定できる。不飽和含量は、電界イオン化質量分析法(FIMS)を用いて測定し得る。
【0040】
一実施形態では、優れた解乳化能を有する滑り面潤滑剤組成物は、基油マトリックス又は基油ブレンド中に任意選択の添加剤を含む。
【0041】
基油マトリックス成分:一実施形態では、基油又は滑り面潤滑剤組成物のブレンドは、生成物それ自体、その分画又は供給物が、フィッシャー・トロプシュ法からのワックス状供給物の異性化から由来するか、又は異性化によりそのいずれかのステージにおいて作製される異性化基油(「フィッシャー・トロプシュ由来の基油」)を少なくとも1種含む。別の実施形態では、基油は、実質的にパラフィン性ワックス供給物(「ワックス状供給物」)から作製された異性化基油を少なくとも含む。
【0042】
フィッシャー・トロプシュ由来の基油は、例えば、米国特許公報第6080301号明細書、第6090989号明細書、及び第6165949号明細書、及び米国特許出願公開第2004/0079678号明細書、第2005/0133409号明細書、第2006/0289337号明細書を含み、数多くの特許公報に開示されている。フィッシャー・トロプシュ法は、一酸化炭素と水素が、軽い反応生成物及びワックス状反応生成物、そのどちらもが本質的にパラフィン性であるが、を含む種々の形態の液体炭化水素に変換される、触媒化学反応である。
【0043】
一実施形態では、異性化基油は、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法により、10重量%未満のナフテン炭素を有する。さらに別の実施形態では、ワックス状供給物から作製された異性化基油は、1.5〜3.5mm/sの間の100℃における動粘度を有する。
【0044】
一実施形態では、異性化基油は、基油が、a)少なくとも1種の芳香族官能基を有するすべての分子の重量%が0.30未満;b)少なくとも1種のシクロパラフィン官能基を有するすべての分子の重量%が10を超える;c)マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比が、20を超える;及びd)粘度指数が、28xLn(100℃における動粘度)+80を超えるのに十分な条件下で、水素異性化脱ろうステップが実行される方法により作製される。
【0045】
他の実施形態では、異性化基油は、希金属水素化成分を含む、形状選択性中間孔径分子ふるいを用いて、及び600〜750°F(315〜399℃)の条件下で、高度にパラフィン性のワックスが、水素異性化される方法から作製される。この方法では、ワックス供給物中の700°F(371℃)より上の沸点の化合物の、700°F(371℃)より下の沸点の化合物への変換が、10重量%と50重量%の間に維持されるように、水素異性化ステップの条件が制御される。得られる異性化基油は、100℃における動粘度が1.0と3.5mm/sの間、及びノアック揮発分が50重量%未満である。基油は、シクロパラフィン官能基を有する分子を3重量%を超えて、芳香族を0.30重量%未満で含む。
【0046】
一実施形態では、異性化基油は、ノアック揮発分が次の式:1000x(100℃における動粘度)−2.7で計算される量未満である。別の実施形態では、異性化基油は、ノアック揮発分が次の式:900x(100℃における動粘度)−2.8で計算される量未満である。第3の実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が>1.808mm/sであり、ノアック揮発分が次の式:1.286+20(kv100)−1.5+551.8e−kv100で計算される量未満である。ここで、kv100は、100℃における動粘度である。第4の実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が4.0mm/s未満であり、重量%ノアック揮発分が0と100の間である。第5の実施形態では、異性化基油は、動粘度が1.5と4.0mm/sの間であり、ノアック揮発分が次の式:160−40(100℃における動粘度)で計算されるノアック揮発分未満のノアック揮発分を有する。
【0047】
一実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が2.4と3.8mm/sの範囲であり、ノアック揮発分が式:900x(100℃における動粘度)−2.8−15で規定される量未満を有する。2.4と3.8mm/sの範囲の動粘度に対しては、式:900x(100℃における動粘度)−2.8−15は、式:160−40(100℃における動粘度)よりも低いノアック揮発分を与える。
【0048】
一実施形態では、基油が、3.6〜4.2mm/sの100℃における動粘度、130を超える粘度指数、12未満の重量%ノアック揮発分、−9℃未満の流動点を有する条件下で、高度にパラフィン性のワックスが水素異性化される方法から、異性化基油は作製される。
【0049】
一実施形態では、異性化基油は、°Fで200を超え、式:36xLn(mm/sでの100℃における動粘度)+200、により規定される量未満又は等しいアニリン点を有する。
【0050】
一実施形態では、異性化基油は、式:℃でのAIT=1.6x(mm2/sでの40℃における動粘度)+300、で規定されるAITを超える自己発火温度(AIT)を有する。第2の実施形態では、基油は、329℃を超えるAIT及び28xLn(mm/sでの100℃における動粘度)+100を超える粘度指数を有する。
【0051】
一実施形態では、異性化基油は、比較的低いトラクション係数を有し、特には、そのトラクション係数は、式:トラクション係数=0.009xLn(mm/sでの動粘度)−0.001で計算される量未満であり、式中、動粘度は、トラクション係数測定中の動粘度であって、2と50mm/sの間である。一実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、0.023未満(又は0.021未満)のトラクション係数を有する。他の実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、0.017未満のトラクション係数を有する。別の実施形態では、異性化基油は、動粘度が15mm/sで、回転に対するスライドの比が40%で測定された場合、150を超える粘度指数、及び0.015未満のトラクション係数を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、低いトラクション係数を有する異性化基油はまた、より高い動粘度及びより高い沸点を示す。一実施形態では、基油は、0.015未満のトラクション係数を有し、50重量%沸点は、565℃(1050°F)を超える。他の実施形態では、基油は、0.011未満のトラクション係数を有し、ASTM D6352−04による50重量%沸点は、582℃(1080°F)を超える。
【0053】
いくつかの実施形態では、低いトラクション係数を有する異性化基油はまた、分枝指数が23.4以下であり、分枝近接値が22.0以上であり、及び自由炭素指数が9と30の間であることを含む、NMRによる独特の分枝特性を示す。一実施形態では、基油は、少なくとも4重量%のナフテン炭素を有し、別の実施形態では、ASTM D3238−95(2005年再認可)によるn−d−M分析により、少なくとも5重量%のナフテン炭素を有する。
【0054】
一実施形態では、中間体油異性化体が、炭素原子100個当たり7アルキル分枝未満の分枝度であるパラフィン性炭化水素成分を含み、及び基油が、炭素原子100個当たり8アルキル分枝未満の分枝度であり、アルキル分枝の20重量%未満が2位にあるようなパラフィン性炭化水素成分を含むような方法で、異性化基油が作製される。一実施形態では、FT基油は、−8℃未満の流動点;少なくとも3.2mm/sの100℃における動粘度;及び式:=22xLn(100℃における動粘度)+132で計算される粘度指数を超える粘度指数を有する。
【0055】
一実施形態では、基油は、10重量%を超え70重量%未満の、シクロパラフィン官能基を有する全分子を含み、及び15よりも大きい、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比を有する。
【0056】
一実施形態では、異性化基油は、600と1100の間の平均分子量、及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する。別の実施形態では、異性化基油は、約8と約25mm/sの間の動粘度及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する。
【0057】
一実施形態では、異性化基油は、供給物に対する水素の比が712.4〜3562リットル水素/リットル油で、高度にパラフィン性のワックスが水素異性化される方法で入手されるが、その結果、基油は、10を超える、シクロパラフィン官能基を有する分子の全重量%及び15を超える、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比を有する。他の実施形態では、基油は、式:28xLn(100℃における動粘度)+95で規定される量を超える粘度指数を有する。第3の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.30未満であり;シクロパラフィン官能基を有する分子の重量%が10を超え;マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比が20を超え;粘度指数が28xLn(100℃における動粘度)+110を超える。第4の実施形態では、基油はさらに、100℃における動粘度が6mm/sを超える。第5の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.05未満であり、28xLn粘度指数が(100℃における動粘度)+95を超える。第6の実施形態では、基油は、芳香族の重量%が0.30未満であり、シクロパラフィン官能基を有する分子の重量%がmm/sでの100℃における動粘度の3倍を超え、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の比が15を超える。
【0058】
一実施形態では、異性化基油は、n−d−M法で測定して2と10%の間のナフテン炭素を含む。一実施形態では、基油は、100℃における動粘度が1.5〜3.0mm/sであり、ナフテン炭素が2〜3%である。他の実施形態では、動粘度が100℃において1.8〜3.5mm/sであり、及びナフテン炭素が2.5〜4%である。第3の実施形態では、動粘度が100℃において3〜6mm/sであり、及びナフテン炭素が2.7〜5%である。第4の実施形態では、動粘度が100℃において10〜30mm/sであり、及びナフテン炭素が5.2%を超える。
【0059】
一実施形態では、異性化基油は、475を超える平均分子量;140を超える粘度指数、及び10未満のオレフィンの重量%を有する。基油は、滑り面潤滑剤組成物に組み込まれた場合、混合物の空気抜け及び低泡立ち特性を改善する。
【0060】
一実施形態では、異性化基油は、米国特許公報第7,214,307号明細書及び米国特許出願公開第2006/0016724号明細書に開示されているように、ホワイトオイルである。一実施形態では、異性化基油は、100℃における動粘度が約1.5センチストークス(cSt)と36mm/sの間であり、粘度指数が式:粘度指数=28xLn(100℃における動粘度)+95により計算される量を超え、シクロパラフィン官能基を有する分子が5と18未満の間の重量%であり、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子1.2重量%未満、0℃未満の流動点及び+20又はそれを超えるセイボルト色を有するホワイトオイルである。
【0061】
一実施形態では、滑り面潤滑剤組成物は、上述した異性化基油の少なくとも1種又は混合物からなる基油を用いる。他の実施形態では、組成物は、本質的に少なくともフィッシャー・トロプシュ基油を含む。さらに他の実施形態では、滑り面潤滑剤組成物が、所望の解乳化性能、例えば、得られた乳化液が3ml以下に減少するのに最小の時間をなお有するのに十分な量で存在する異性化基油と共に、組成物は、十分な量の少なくとも1種の異性化基油及び5〜95重量%の少なくとも他のタイプの油、例えば、グループI、II、III、IV及びV潤滑基油から選択される潤滑基油を使用する。
【0062】
基油の例としては(異性化基油の他に)、適用に依存するが、通常使用される鉱物油、合成炭化水素油若しくは合成エステル油、又はこれらの混合物が含まれる。鉱物潤滑基油ストックは、パラフィン、ナフテン、及び混合ベース粗油から由来する通常のいかなる精製ベースストックでもよい。使用し得る合成の潤滑油には、グリコールのエステル及び複合エステルが含まれる。使用し得る他の合成オイルには、ポリアルファオレフィンなどの合成の炭化水素;アルキルベンゼン、例えば、テトラプロピレン又はエチレンとプロピレンとのコポリマーでのベンゼンのアルキル化からのアルキル化底部分;シリコンオイル、例えば、エチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等;ポリグリコールオイル、例えば、ブチルアルコールのプロピレンオキシドとの縮合反応により得られるもの;等を含む。他の適切な合成油には、ポリフェニルエーテル、例えば、3〜7のエーテル結合及び4〜8のフェニル基を有するものが含まれる。他の適切な合成油には、ポリイソブテン、及びアルキル化ナフタレンなどのアルキル化芳香族が含まれる。
【0063】
一実施形態では、滑り面潤滑剤の基油マトリックスは、100℃における動粘度が3mm/s〜5mm/sの間であり;40℃における動粘度が10mm/s〜20mm/sの間であり;粘度指数が135と150の間であり;CCS VISが、−40℃で1,500〜3,500mPa.s、−35℃で1,000〜2,000mPa.sの範囲であり;流動点が−20〜−30℃の範囲であり;分子量が400〜500であり;密度が0.805〜0.820の範囲であり;パラフィン炭素が94〜97%の範囲であり;ナフテン炭素が3〜6%の範囲であり;オキシデーターBNが35〜50時間であり;臭素指数が18〜28であり;ASTM D5800−05手順Bで測定し、重量%で表したノアック揮発分が10〜20であるFT基油である。
【0064】
追加の任意選択の成分:本発明の滑り面潤滑剤組成物は、優れた解乳化能を有し及び乳化破壊剤(解乳化剤)をほとんど必要としないかまったく使用しないとして特徴づけられる。しかし、いくつかの実施形態において及び最終用途の適用に依存して、少量の乳化破壊剤を、0.001〜10.0重量%の範囲の量で場合により加えてもよい。一実施形態では、5重量%未満の少なくとも1種の乳化破壊剤を加える。他の実施形態では、添加量は、1重量%未満である。第4の実施形態では、存在する乳化破壊剤の量は、0.5重量%未満である。
【0065】
乳化破壊剤の非制限的な例としては、ポリオキシアルキレンアルコール、オキシアルキル化アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン、グリコール、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合化合物、アルキルベンゼンスルホネート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、油溶性酸の塩及びエステル、オキシアルキル化トリメチロールアルカン、オキシアルキル化アルキルフェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物、エチレンジアミンのテトラポリオキシアルキレン誘導体、アルキルアリールスルホネートの混合物、ポリオキシアルキレングリコール、オキシアルキル化グリコール、オキシアルキル化グリコールのエステル、オキシアルキル化アルキルフェノール樹脂、並びにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−2、及び/又は2−3ブチレンオキシドから誘導されるポリオキシアルキレンポリオール、並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0066】
一実施形態では、滑り面潤滑剤は、当業界で公知のその他の添加剤、例えば、高圧剤、接着(粘着性)添加剤、摩擦調節剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、抗摩耗剤、金属不動態化剤、消泡剤等を、0.05〜10重量%の量で、組成物の特性を改善するために含んでもよい。
【0067】
一実施形態では、ガイド台の操作の間、ベアリングの表面上に潤滑剤組成物が存在し続けるのを助けるために、少なくとも1,000,000の平均分子量を有する合成高分子接着添加剤などの接着添加剤が使用される。その例としては、Spartanburg、S.C.のGateway Additivesから入手できる「ADDCO ADDTAC(商標)」がある。
【0068】
いくつかの適用及び極圧添加剤のない場合には、高圧及び/又は高温下で使用すると、滑り面潤滑剤膜は破れる傾向が高い。一実施形態では、高圧及び/又は高温下での移動面の潤滑において破壊的な金属−金属の接触を防止するために、極圧添加剤が、約0.05〜約5重量%の量で潤滑剤組成物に加えられてもよい。極圧添加剤の例としては、硫化ポリイソブチレン、チエニル誘導体、トリチオン、ジスルフィド、トリスルフィド、オレフィンの硫化水素付加体、ジメチルベンジルテトラスルフィド及びC18炭化水素のテトラスルフィド誘導体、C18脂肪酸、並びにC18脂肪酸のアルキル及びトリグリセリドエステルなどの硫化合成化合物が含まれる。一実施形態では、極圧添加剤は、少なくとも約200〜500g/molの分子量及び少なくとも約300℃の沸点を有し、これにより、潤滑剤組成物中にとどまり使用中に蒸発しないことが確保される。例は、ジ−t−ドデシルトリスルフィドである。
【0069】
一実施形態では、組成物はさらに、ベアリング表面とガイド台表面の間の摩擦、接着、及びチャタリングを減少させるために、0.1〜3重量%の量で、少なくとも1種の摩擦調節剤を含む。一実施形態では、摩擦調節剤は、ホウ素化グリセロールモノオレエートエステルである。他の実施形態では、摩擦調節剤は、少なくとも約200,000を超える平均分子量を有する高分子合成エステル、例えば、カルボン酸エステル;モノカルボン酸とグリセロールとのエステル;二量体酸と1価のアルコールとのエステル;グリセロールとモノカルボン酸性脂肪酸とのエステル;モノカルボン酸性脂肪酸と多価アルコールとのエステル;及びジカルボン酸と多価アルコールとのエステルである。
【0070】
一実施形態では、組成物は、滑り面潤滑剤のために調剤された添加剤パッケージの形態で、上述の添加剤の少なくとも1種を含む。例としては、Cleveland、OHのThe Elco Corporationからの添加剤パッケージがある。
【0071】
作製法:組成物を調剤するのに使用する添加剤は、基油マトリックス中へ個別に又は種々の副組合せとしてブレンドされ得る。一実施形態では、成分のすべては、添加剤濃縮物(すなわち、添加剤及び炭化水素溶媒などの希釈剤)を用いて同時にブレンドされる。添加剤濃縮物を使用すると、添加剤濃縮物の形態を用いた場合に、成分を組み合わせることにより得られる相互の相容性を活用できる。
【0072】
他の実施形態では、組成物は、基油と添加剤(単数又は複数)を適当な温度、例えば、60℃で均一になるまで混合することにより調製される。
【0073】
適用:一実施形態では、組成物は、滑り面潤滑剤として工作機械ガイド、平面ベアリング、スライド及びガイドを潤滑する、例えば、工作機械の移動トラックを潤滑するのに使用される。その主要な機能は、摩耗及び腐食保護であり、同時に工作機械と基盤との間の静的及び動的摩擦を減少させることである。それは、高品質の解乳化潤滑剤が滑り面の保護のために及び耐用寿命を延長するのに必要とされる、すべての水平又は垂直滑り面上で使用され得る。
【0074】
一実施形態では、組成物は、研削プロセス、鳴きを除くこと、及び摩耗と腐食から滑り面を保護することにおける使用に特に適している。他の実施形態では、組成物は、滑り面と油圧作動油性能の組合せが要求されるような適用に使用される。
【0075】
特性:本発明の滑り面潤滑剤組成物は、解乳化添加剤をほとんど又はまったく必要としないで優れた解乳化能を有するとして特徴づけられる。一実施形態では、滑り面潤滑剤組成物は、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で、60分未満の分離完了(すなわち、3ml又はそれ以下)時間を有する優れた解乳化能を、組成物が示すのに十分な量の異性化基油を含む。第2の実施形態では、本発明の滑り面潤滑剤は、54℃で、45分未満で完全な分離を示す。第3の実施形態では、分離完了時間は、54℃で、30分未満である。第4の実施形態では、分離完了時間は、54℃で、15分未満である。
【0076】
一実施形態では、滑り面潤滑剤組成物は、90cStを超える40℃における動粘度を有する油に対して、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、82℃で、60分未満の分離完了(すなわち、3ml又はそれ以下)時間を有する優れた解乳化能を、組成物が示すのに十分な量の異性化基油を含む。第2の実施形態では、本発明の滑り面潤滑剤は、90cStを超える40℃における動粘度を有する油に対して、82℃で、45分未満の完全分離を示す。第3の実施形態では、90cStを超える40℃における動粘度を有する油に対して、分離完了時間は、82℃で、30分未満である。第4の実施形態では、90cStを超える40℃における動粘度を有する油に対して、分離完了時間は、82℃で、15分未満である。
【0077】
一実施形態では、ワックス状供給物から作製されたフィッシャー・トロプシュ由来の基油などの異性化基油を本質的に含む基油マトリックスを有する滑り面潤滑剤組成物は、1ppm未満の非常に望ましい低水準の硫黄を有するとして特徴づけられる。それゆえこのことは、細菌の成長及び臭気の発生に寄与しない。
【0078】
一実施形態では、組成物は、これらに限られるわけではないが、グレード68、220及び32のためのP47、P50及びP53のシンシナチ ミラクロン(Cincinnati Milacron)仕様を含んで、工作機械及び圧縮空気工具メーカーの要求を満たす。
【0079】
一実施形態では、フィッシャー・トロプシュ由来の基油などの異性化基油を本質的に含む基油マトリックスを有する滑り面潤滑剤組成物は、本質的に生分解性である>30%から容易生分解性である>90%までの範囲の、OECD 301Dの水準を示す。一実施形態では、40℃における動粘度が<100mm/s(H)である基油マトリックスを有する滑り面潤滑剤組成物は、約30%のOECD 301D生分解性を示す。第2の実施形態では、40℃における動粘度が<40mm/s(M)である基油マトリックスを有する組成物は、約40%のOECD 301D生分解性を示す。第3の実施形態では、40℃における動粘度が<8mm/s(L)を有する基油マトリックスを有する組成物は、≧40%のOECD 301D生分解性を示す。第4の実施形態では、40℃における動粘度が<11mm/sである基油マトリックスを有する組成物は、約80%のOECD 301D生分解性を示す。第5の実施形態では、40℃における動粘度が<6mm/sである基油マトリックスを有する組成物は、>93%のOECD 301D生分解性を示す。
【0080】
一実施形態では、滑り面潤滑剤組成物は、10〜250mm/sの範囲の40℃における動粘度、6〜20mm/sの範囲の100℃における動粘度、145〜160の範囲の粘度指数、少なくとも200℃のCOCフラッシュ点、−5〜−30℃の範囲の流動点を有する。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は、本発明の態様の非制限的な例示として与えられる。他に記載されない限り、実施例での成分は、以下の通り(表1中に重量%で表示されている。):
【0082】
MGTL及びHGTLは、San Ramon、CAのChevron CorporationからのFTBO基油である。実施例に用いたFTBO基油の特性は、表2に示してある。
【0083】
Ergon(商標)Hygold100及びErgon(商標)L2000 Pale Oilは、Ergon Refining,Inc.からの激しく水素処理した重ナフテン蒸留物(グループV)である。
【0084】
Citgo(商標)325N及びCitgo(商標)650nは、Tulsa,OKのCitgo Petroleum Corporationからの高度に精製した中性油である。
【0085】
Star(商標)6及びStar(商標)12は、Shell Lubricantsからのグル―プII基油である。
【0086】
SynFuid(商標)8cSt及びSynFluid(商標)40cSTは、Chevron Corp.からのポリアルファオレフィン(PAO)である。
【0087】
添加剤Xは、不活性硫化脂肪酸エステル及び様々なところから市場で入手できる極圧潤滑添加剤である。
【0088】
表1のデータは、本発明の滑り面潤滑剤組成物の実施形態を示している、例5が、従来技術の基油を含む例1〜4の組成物と比較して、分離特性の優れた水性能を示す(ASTM D1401−2002に準拠して測定して)ことを確かにしている。
【表1】


【表2】

【0089】
本明細書及び附属の特許請求の範囲の目的のためには、別に示されない限り、量、パーセント又は割合、並びに本明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という語により修飾されていると理解されるべきである。したがって、これとは反対に示されない限り、以下の明細書及び附属の特許請求の範囲において示した数値パラメーターは、得たいと求めている所望の特性及び/又はその値を測定する装置の精度に依存して変化してもよい近似値である。したがって、その値を決定するのに使用されるデバイス又は方法に関する誤差である標準偏差を含む。特許請求の範囲内において、「又は」という用語の使用は、開示が、代替のもののみ及び「及び/又は」を参照する定義を支持するけれども、代替のもののみを指すことを明確に示しているか、又は代替のものが互いに除外的であるのでない限り、「及び/又は」という用語を意味するために用いられる。「a」又は「an」という単語の使用は、特許請求項の範囲及び/又は明細書中での「含む」という用語と関係して用いられた場合には、「1つ」ということを意味し得る。しかし、それはまた、「1つ又はそれ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つより大きい複数」という用語の意味と一致する。さらに、本明細書で開示されているすべての範囲は、両端を含み、それぞれ独立に組み合わせ得る。一般に、別に示されない限り、単数要素は、一般性を失うことなく、複数でもあり得るし、その逆でもあり得る。本明細書に使用される場合、「含む」という用語及びその文法的な変形は、非制限的なものであることを意図しており、それゆえ、リストに挙げられている項目は、リストされた項目と置き換えたり加えたりし得る他の類似の項目を除外するためではない。
【0090】
本発明の1つの実施形態の文脈において議論された本発明のいかなる態様も、本発明の他のいかなる実施形態に関して実施され又は適用され得るということは想定されている。同様に、本発明のいかなる組成物も、本発明の結果であり得るし、又はいかなる方法若しくはプロセスにおいても使用され得る。この書かれた記述は、最善の方法を含んで、発明を開示するために、及び当業者が発明を生成し、利用することを可能とするために、実施例を用いている。権利化し得る範囲は、特許請求項により規定され、及び当業者が思いつく他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、それらが特許請求項の文言から変わらない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求項の文言から本質的でない差異を有する等価な構造要素を含む場合、特許請求項の範囲内であることを意図している。本明細書において参照したすべての引用は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素が10重量%未満である異性化基油を少なくとも1種含む基油;
b)0.001〜10重量%の、添加剤パッケージ、酸化防止剤、高圧剤、摩擦調節剤、接着添加剤、抗摩耗剤、金属不動化剤、消泡剤、乳化破壊剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤
を含む、滑り面潤滑剤組成物であって、
前記潤滑剤組成物が、ASTM D1401−2002に準拠して測定して、54℃で60分未満で組成物が水から分離するのに十分な量の異性化基油を含む、上記滑り面潤滑剤組成物。
【請求項2】
乳化破壊剤が1重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乳化破壊剤が0.5重量%未満の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で45分未満で水から分離する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で30分未満で水から分離する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で15分未満で水から分離する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
十分な量の異性化基油が、95〜99.999重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
基油がさらに、鉱物油、アルファオレフィンのオリゴマー、エステル、合成炭化水素油、及びこれらの混合物の少なくとも1種の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
基油が、鉱物油、アルファオレフィンのオリゴマー、エステル、合成炭化水素油、及びこれらの混合物の少なくとも1種の少なくとも1種を5〜95重量%で含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
異性化基油が、600と1100の間の平均分子量、及び炭素原子100個当たり6.5と10個の間のアルキル分枝の分子内平均分枝度を有する、ワックス状供給物から作製されるフィッシャー・トロプシュ由来の基油である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
グレード68、220及び32のためのP47、P50及びP53のシンシナチ ミラクロン(Cincinnati Milacron)仕様の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
異性化基油は、重量%でのノアック揮発分が0と100の間である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
異性化基油は、自己発火温度(AIT)が1.6x(mm/sでの40℃における動粘度)+300で規定される量を超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
異性化基油は、自己発火温度(AIT)が329℃を超え、ノアック揮発分が160〜40(100℃における動粘度)で規定される量未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
異性化基油は、粘度指数が28xLn(mm/sでの100℃における動粘度)+300を超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
異性化基油は、マルチシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%に対するモノシクロパラフィン官能基を有する分子の重量%の比が15を超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
異性化基油が、希金属水素化成分を含む形状選択性中間孔径分子ふるいを用いて、約600°F〜750°Fの条件下で、高度にパラフィン性のワックスが水素異性化される方法から作製され、及び異性化基油が、50重量%未満のノアック揮発分を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
異性化基油は、粘度指数が28xLn(100℃における動粘度)+95、で規定される量を超える、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
異性化基油は、100℃における動粘度が>1.808mm/sであり、ノアック揮発分が1.286+20(kv100)−1.5+551.8e−kv100で計算される量未満である(式中、kv100は、100℃における動粘度である。)、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
異性化基油が、3重量%を超える、シクロパラフィン官能基を有する分子、及び0.30重量%未満の芳香族を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
異性化基油が、10重量%を超え、70重量%未満のシクロパラフィン官能基を有する全分子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
異性化基油が、動粘度15mm/s及び滑り対ロール比40%で測定されたときに、0.023未満のトラクション係数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
滑り面潤滑剤を解乳化するための方法であって、滑り面潤滑剤を調製するために典型的に使用される基油に、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で60分未満で潤滑剤が水から分離するのに十分な量の異性化基油を加えるステップを含む方法であり、前記異性化基油が、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素が10重量%未満である、上記方法。
【請求項24】
滑り面潤滑剤を調製するために典型的に使用される基油が、グループI、グループII、グループIII、又はグループIV基油である、請求項26に記載の方法。
【請求項25】
滑り面潤滑剤を解乳化するための方法であって、ASTM D−1401−2002に準拠して測定して、54℃で60分未満で潤滑剤が水から分離するのに十分な量の異性化基油を含む基油を調製するステップを含む方法であり、前記異性化基油が、連続した炭素原子数を有し、n−d−M法によりナフテン炭素が10重量%未満である、上記方法。
【請求項26】
基油中に、0.001〜10重量%の、添加剤パッケージ、酸化防止剤、高圧剤、摩擦調節剤、接着添加剤、抗摩耗剤、金属不動態化剤、消泡剤、乳化破壊剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤をブレンドするステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。

【公表番号】特表2010−538120(P2010−538120A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523074(P2010−523074)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/074237
【国際公開番号】WO2009/032602
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】