説明

滑走用具上に足又は靴を保持する装置

【課題】本発明はスポーツ用具に足を保持する装置を改良することを目的とする。
【解決手段】滑走用具2上の足又は靴の保持装置1であって、後端4から前端5に長手方向Lに延びるベースプレート3、及び、該ベースプレート3に対して折り畳むか又は展開することができるように後端4でベースプレート3に対して関節連結される後部支持部材29を備え、ベースプレート3に対する後部支持部材29の展開を制限するストッパー49を備える、保持装置。ストッパー49は、ベースプレート3にしっかり取り付けられ、自立形構造を有し、かつ、後部支持部材29の展開を長手方向Lの前記ストッパー49の作用によって制限する。ストッパー49は、後部支持部材29が後方に展開したときに後部支持部材29の形状にぴったり合うように横方向に可撓性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に滑走用具のようなスポーツ用具に足又は靴を保持する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる装置は、スノーボード、スキー、スノーシューイング又はその他を行うに際して利用される。
【0003】
従来技術による幾つかの特定の装置は、足又は靴を保持するようになっているベースプレート、及び、ユーザーの下腿を支持するようになっている後部支持部材を備えている。後部支持部材は、ベースプレートに対して折り畳むことができるように一般に関節部によってベースプレートに連結されている。これにより、占有場所が低減すると共に収納が容易となる。ベースプレートに対する後部支持部材の展開を制限するストッパーも備わっている。
【0004】
想定されるものとしてはスノーボードにおいてよく見られる。この分野では、ユーザーは1つの同じボードに両足が保持されると共にボードのほぼ横方向に向けられる。したがって、横方向の応力がつま先又は踵に局部的にかかる。つま先への応力の場合、後部支持部材は応力に耐えられないか又はほとんど耐えることができない。それに対し、踵への応力の場合、後部支持部材は、非常に高い可能性のある応力に耐える。したがって、ストッパーもそれらの応力に耐える。例えば、後部エッジの、すなわち踵に対する捕捉時、後部支持部材は下腿が及ぼす後部衝撃を伝達する。他の場合では、後部支持部材は地面からの衝撃をユーザーに返す。これらの衝撃はストッパーを通過する。
【0005】
保持装置に適切な機械的特性を付与するために、従来技術は様々な構造を提案してきた。
【0006】
特に、ベースプレートが、ベース及びアーチによって互いに接続される外側フランジ及び内側フランジを含むことが知られている。当然のことながら、ベースは靴のソールを支持し、アーチは踵の外周に沿っている。後部支持部材は、フランジとアーチとの間の境界でベースプレートに対して関節連結され、アーチの前に配置される。下腿が後部衝撃を及ぼしたときにアーチにもたれかかるようにストッパーが後部支持部材にしっかり取り付けられている。この確実な構造により、ボードの満足のゆく操縦が可能となる。しかしながら、この構造は幾つかの不都合点を有する。
【0007】
まず、踵の保持が最適ではない。このことは、少なくとも特定の幾つかの操縦段階中、常に快適に又は適切な精度で踵が保持されるわけではないことを意味する。
【0008】
後部支持部材が比較的剛性である場合、例えばスポーツに関わる操作に関して、靴と後部支持部材との接触が均一ではない。換言すれば、靴が後部支持部材の形状に完全にはぴったり合っていない。靴の特定の幾つかの部分が非常に圧縮され、その一方、他の部分には遊びが残っているため、互いの接触に関連付けられた圧力の一様でない分布が生じることになる。
【0009】
後部支持部材がより可撓性がある場合、より平穏な操作に関して、靴と後部支持部材との接触がアーチの作用によって支障をきたす。アーチは、ストッパーと協働するため、剛性である。実際、アーチは、ストッパー及び後部支持部材を介して、時には、後部支持部材がアーチに直接もたれる場合には後部支持部材だけを介して、靴に局部的な応力を返す。
【0010】
その結果、特に過度の又は長期の使用の場合に、踵の保持が不快又は不確実になることがある。これにより操縦が妨げられる。
【0011】
別の不都合点は構造の複雑性である。ベースプレートはそのベース及びそのアーチと共に三次元的な一体品であり、その形状がベースプレートの製造を精緻にする。さらに、この第1の群による構造は部材の数をかなり多くする。このことは、位置が調節可能であり、そのために調節手段を設ける必要があるストッパーについて特に当てはまる。一般に、調節手段を得るには、本来のストッパーに加え、少なくともねじ、ワッシャー及びナットが必要である。おまけに組立時間がかなり長く、製造コストがかなり高く、また、かなりの高重量である。この点に関してアーチが部分的に関与しているが、その理由は、アーチはストッパーがかける鉛直方向の支持に対して耐えるのに十分に頑丈である必要があるからである。
【0012】
既知の装置は、たとえその装置が取り付けられるボードの申し分のない操縦を可能にするとしても依然として改良の余地があることが分る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、以下に記載する本発明は、スポーツ用具に足を保持する装置を改良することを包括的な目的とする。
【0014】
本発明は特に踵の保持を改善する、すなわち踵の保持の快適性及び/又は精度を高めようとするものである。本発明はまた、装置の構造を単純化しようとするものである。本発明は製造に必要な部品の数を減らそうとするものでもある。結果として、本発明は装置の組立てに必要な時間を短縮しようとするものであると共にそのコストを低減しようとするものである。本発明はさらに、保持装置の重量も減らそうとするものである。最後に、本発明の目的は、特にベースプレートに対する後部支持部材の折畳み又は展開に関して装置の操作を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的のため、本発明は、滑走用具上に足又は靴を保持する装置であって、後端から前端に長手方向に延びるベースプレート、及び、該ベースプレートに対して折り畳むか又は展開することができるように後端でベースプレートに対して関節連結される後部支持部材を備え、また、ベースプレートに対する後部支持部材の展開を制限するストッパーを備える、保持装置を提供する。
【0016】
ベースプレートにしっかり取り付けられたストッパーは自立形構造を有する。後部支持部材の展開はストッパーの長手方向における作用により制限される。
【0017】
本発明の保持装置は、後部支持部材が後方に展開したときに後部支持部材の形状にぴったり合うようにストッパーが長手方向と垂直な横方向において可撓性があることを特徴とする。
【0018】
この構成により、靴と後部支持部材との適合が可能となる。換言すれば、靴と後部支持部材との接触がより一様となり、さらには均一となる。結果として、これらの2つの構成部品間の接触圧力の分布が一様となる。その結果、有利には、踵の保持がより快適であり、かつ/又はより精度があるものとなる。
【0019】
他方、提供される構成により保持装置の構造が単純化することができる。これによる結果は、有利には、既知の装置に対し、製造に必要な部品の数が減り、組立て時間がより短くなり、かつ、製造コストがより低くなることである。また、特に固定式アーチがないという理由から本発明による装置の重量が低減することも分る。
【0020】
さらに、ストッパーの自立形特性により、後部支持部材の折畳みゾーンが何もない解放状態にあることが分る。これによる結果は、有利には、ベースプレートに対する後部支持部材の折畳みによって収納の操作がより容易であることである。
【0021】
上記状況は要約すれば本発明は保持装置の改良であるということができる。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明を実施することができるように、限定を意図するものではない実施形態に従って、例示の添付図面を参照しながら、以下に続く記載によってよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】後部支持部材が展開位置にある、本発明の第1の実施形態による保持装置の後方斜視図である。
【図2】後部支持部材をベースプレートに対して折り畳むことができる様子を示す、図1に記載の装置の部分側面図である。
【図3】後部支持部材が折り畳み位置にある、図1と同様の図である。
【図4】図2のIV−IVに沿った断面図である。
【図5】装置の調節の変更形態を示す、図4と同様の図である。
【図6】図2のVI−VIに沿った断面図である。
【図7】図2の部分破断図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による保持装置の後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に記載する形態は、多分にスノーボード分野に関しているが、上述したような他の分野にも適用されることを理解すべきである。
【0025】
第1の実施形態を図1〜図7によって示す。
【0026】
図1に斜視方向に見られるように、保持装置1がボード2における靴(図示せず)の一時的な保持を可能にする。
【0027】
既知のように、保持装置1は、後端4と前端5との間の長手方向Lに縦に、かつ、第1の縁6から第2の縁7にかけて横に延びるベースプレート3を備える。
【0028】
ベースプレート3は、靴のソールに対向するようになっている上面8と、ボード2の上にあるようになっている下面9とを有する。
【0029】
ベースプレート3は好ましくは、後部パッド11及び前部パッド12につながったベース10を含む。ベース10は、少なくとも部分的に下面9を画定する剛性部品である。パッドに関して、このパッドは少なくとも部分的に上面8を画定する。記載の第1の実施形態によれば、パッド11、12はそれぞれベースプレート3の後部及び前部に配置される。これにより靴のソールの踵又はつま先との緩和した接触が可能となる。
【0030】
当然のことながら、例えば、ベースプレート3の後端4から前端5に延びるただ1つのパッドにつながったベースとして、他の構造もベースプレート3に対して設けることができる。ベースプレート3は円板13の形態で具現される手段によってボード2に保持され、円板13自体はねじ14によってボード2に保持される。
【0031】
当然のことながら、ベースプレート3の他の保持手段も意図されるであろう。
【0032】
ベースプレート3は、第1のフランジ21の形態で示された第1の部分及び第2のフランジ22の形態で示された第2の部分によって側面から画定されている。この場合、第1のフランジ21が外側であり、第2のフランジが内側であるが、逆であってもよい。これらのフランジ21、22はベース10によって互いに接続されている。このように、フランジ21、22及びベース10が靴の保持ゾーン23を画定している。靴が装置1の所定位置におさまっている場合、フランジ21、22はソールに沿って側面から延びている。当然のことながら、外側部分及び内側部分を形成するのにフランジ21、22以外の他のものを設けることもできる。例えば、ストッパーが適しているであろう。
【0033】
好ましくは、ベース10及びフランジ21、22は、例えば合成樹脂等の合成材料で作製される一体品を形成する。しかしながら、フランジ21、22は、接合、溶接、ねじ留め、嵌め込み又はその他のようなあらゆる手段によってベースに結合された部品であることも意図されるであろう。
【0034】
ベースプレート3上のフランジ21、22間の保持ゾーン23において靴を取外し可能に維持する2本のベルトも同様に意図される。
【0035】
第1のベルト24が、足を固定する際に中足指節関節の高さに前方に位置する。第2のベルト25が、足を固定する際に足の甲の高さに後方に位置する。
【0036】
ベルト24、25はそれぞれ、フランジ21、22間に横方向に延びる。
【0037】
当然のことながら、異なる数のベルトが意図され得る。
【0038】
装置1はまた、ユーザーが下腿を後方にもたせかけることができるように後部支持部材29も備える。後部支持部材29は本体30を含み、この本体30は第1の取付端31及び第2の取付端32と自由端33との間に縦方向に、第1の縁すなわち外縁34と第2の縁すなわち内縁35との間に横方向に、かつ、支持面36から自由面37にかけての厚みで延びる。
【0039】
当然のことながら、支持面36はユーザーの下腿の後ろ側を受けるようになっており、したがって、より詳細に後で記載するように、後部支持部材29及びベースプレート3はつながっている。
【0040】
図1〜図3によって理解されるように、後部支持部材29は、ベースプレート3に対して折り畳むことができるように、また、展開することができるように、後端4でベースプレート3に対して関節連結される。このため、後部支持部材29は、第1の取付端31の領域に位置する第1の関節部41と第2の取付端32の領域に位置する第2の関節部42とによってフランジ21、22に接続される。したがって、第1の取付端31は第1のフランジ21に接続され、第2の取付端32は第2のフランジ22に接続される。各関節部41、42はそれぞれ、装置1の第1の横軸43及び第2の横軸44に概ね沿って配向される。よって、各関節部41、42によりベースプレート3に対する後部支持部材29の回転運動が可能となる。これにより得られる利点は収納が容易であることである。
【0041】
保持装置1はストッパー49をさらに備え、このストッパー49はベースプレート3に対する後部支持部材29の展開または回転を制限する。
【0042】
本発明によれば、ストッパー49は、ベースプレート3にしっかり取り付けられ、自立形構造を有し、かつ、ベースプレート3の長手方向Lの作用によって後部支持部材29の展開を制限する。この構成により、靴と後部支持部材との間に、より一様な、さらには均一な接触が可能となる。したがって、この構成は保持装置1にシンプルな構造を与える。これにより得られる利点は、有利には、製造に必要な部品の数を減らすことができ、組立時間を短縮することができ、かつ、製造コストを低く抑えることができることである。
【0043】
他方、ストッパー49の自立形特性により、ストッパー49が、ベース10に対面しない方向に、後部支持部材29の折畳みゾーンの外にとどまることが保証される。これにより得られる利点は、後部支持部材29がベースプレート3に対して折り畳まれた後での収納が容易となることである。
【0044】
限定するものではないが、第1の実施形態によれば、ストッパー49はアーチ50によって構成される。このアーチ50は、第1の縁6に固定された外側支持体51及び第2の縁7に固定された内側支持体52、並びに、外側支持体51及び内側支持体52を互いにつなぐブリッジ53を含む。アーチは自由面37側の後部支持部材29の外周に沿っていることが分る。
【0045】
より詳細には、一例として、外側支持体51はループ61及びフット62を含む。ループ61は、第1のフランジ21に固定された前端63から、ブリッジ53とつながる後端64に長さが延びる。フット62が、ループ61の後端64で第1のフランジ21をループ61に接続する。そのため、ループ61は、後端64がベースプレート3の後端4から離れるようにフランジ21又はベースプレート3に対して傾斜している。当然のことながら、ループ61、ひいては外側支持体51は、ベースプレート3の長手方向Lに配向される。
【0046】
同じ主旨で、内側支持体52はループ71及びフット72を含む。ループ71は、第2のフランジ22に固定された前端73から、ブリッジ53とつながる後端74に長さが延びる。フット72が、ループ71の後端74の領域で第2のフランジ22をループ71に接続する。そのため、ループ71は、後端74がベースプレート3の後端4から離れるようにフランジ22又はベースプレート3に対して傾斜している。当然のことながら、ループ71、ひいては内側支持体52は、ベースプレート3の長手方向Lに配向される。
【0047】
ブリッジ53は外側支持体51及び内側支持体52を互いに接続していることが分る。記載の第1の実施形態によれば、ブリッジ53は支持体51、52のループ61、71の後端64、74を互いに接続する。その結果、ブリッジ53がベースプレート3の上にその後端4の領域内で持ち上がって(リフト)いる。アーチ50、したがってストッパー49が長手方向Lの作用によって後部支持部材29の回転または展開を制限することを可能にするのはこの配置であることが後でより良く理解されるであろう。
【0048】
したがって、アーチ50は、ループ61、71及びブリッジ53によって形成されるストリップ75を含む。換言すれば、ストリップ75は、ベースプレート3上のアーチ50の第1のアンカー点63をベースプレート3上のアーチ50の第2のアンカー点73に接続している。ストリップ75の幅は、その長手方向軸がベースプレート3の上面8に対して角度αで傾斜した平面P内に延在している場合にその長手方向軸とほぼ垂直な面内にある。この角度αは20度〜50度(両端値を含む)、好ましくは約30度である。ストリップ75は自由面37側の後部支持部材29の外周に沿っている。ストリップ75はストッパー49を形成する。ストリップ75は、後部支持部材29が後方に展開したときに後部支持部材29の形状にぴったり合うように横方向に可撓性がある。したがって、後部支持部材29の展開は、長手方向Lの、ストッパー49を形成するストリップ75の作用によって制限される。
【0049】
この構成により、従来の旧型アーチに比して最適化されていると共に軽量とされている、ストッパー49の構成が可能となる。実際に、後部支持部材29の回転を制限するために、ストリップ75は、平面P内に又はこの平面Pのほぼ近くの方向に沿って応力がかけられる。これにより、ストリップ75が引張作用をうける。その際、後部支持部材29によってかけられる応力がストリップ75の2つのアーム、すなわち2つのループ61、71間で長手方向に分布し、アンカー点63及び73の領域に捕捉される。原則的に引張応力がかけられると、平面P内の実質的な応力に対応する、その長手方向の引張耐性の特性を有するようにストリップ75を着想することができる。同様に、この構成により、ストリップ75が横方向に、すなわち、その幅に対してほぼ垂直な応力によって応力をかけられたときに、ストリップ75の可撓性を付与することが可能となるが、その理由は、ストッパー49が、後部支持部材29の回転を阻止する必要があるときに横方向に応力がかけられることがほとんどないからである。他方、この概念によれば、ストッパー49は鉛直方向に、すなわち平面Pに対してほぼ垂直な方向に沿って応力がかけられることはほとんどない。したがって、ストッパー49を、平面Pに対して同一平面にない方向に沿って応力がかけられる場合に非常に剛性かつ耐性があるようにサイズ決めする必要はない。
【0050】
換言すれば、ストリップ75はシュラウドのように機能する。
【0051】
従来技術では、後部支持部材の回転を制限するのに関与する自立形アーチは、ほぼ鉛直方向に沿った応力に対して耐性があるように強化されていると共に比較的剛性の構造からなっていることに留意されたい。この構成により固定のために重量が付加されるため、ユーザーの快適性が損なわれる。固定の構成は、多くの場合、アーチの上部と接触する後部支持部材に固定される部品が含まれている。後部支持部材とアーチとの間に伝わる応力は、この接触のレベルを超えるため、ほぼ鉛直となる。したがって、アーチはこれらの応力に抗するのに十分に頑丈でなければならず、そのため、鉛直剛性でなければならない。同様に、アーチは部品の良好な保持を確実にするために横方向の応力に耐性がなければならない。アーチは、横方向に剛性がなければ、拘束されたときに撓む危険性がある。したがって、従来技術のアーチは、本発明の目的を果たすアーチと同じようには応力がかからない。従来技術のアーチは概して、引張よりも圧縮作用する。
【0052】
ストリップ75に主として引張応力がけられているとすると、縦方向の引張に対する耐性を高めるようにサイジングされることが有利である。このため、ストリップ75は、ワイヤー、ストラップ、縦配向繊維を含む材料からなっていてもよい。ストリップ75はまた、複数の材料からなっていてもよい。例えば、中にストラップが通る、PU若しくはポリエステルタイプのプラスチック材料製の管、及び/又は、PA若しくはPE UHMWタイプの材料製のワイヤーからなっていてもよい。ストリップ75は、その長さ全体において縦方向の引張に対する良好な耐性を確保すれば、ストリップ75に沿って断続的な材料を有していてもよい。
【0053】
この構成において重要なことは、引張に可能な限り作用するように、後部支持部材29を囲んでいると共に、ベースプレート3に、好ましくはベースプレート3のフロントにアンカー固定されたストリップ75が存在することである。ストッパー49が自立形であることを確実にするために、アーチ50はフット62、72と一体となっている。フット62、72とストリップ75との間のスペースを部分的に仕切るか又は全く仕切らないことも考えられる。
【0054】
第1の実施形態によれば、アーチ50はストラップ80の形態で具現されたベルトを含み、これは外側支持体51に沿って、かつ、内側支持体52に沿って延びる。ストラップのうち支持体51、52を接続する部分がブリッジ53を形成する。換言すれば、ベルト80がブリッジ53を形成する。より詳細には、ストラップ80は外側支持体51からループ61に沿って、かつ、内側支持体52からループ71に沿って延び、ストラップ80がループ61、71の後端64、74を互いに接続している。
【0055】
当然のことながら、ストラップ80は、その長手方向と垂直な横方向に可撓性があり、非伸張性である。したがって、ストラップ80は可撓であるが、少なくとも通常の使用条件下では伸張しない。その理由から、アーチ50、したがってストッパー49は、図2及び図3に関する場合のように後部支持部材29が後方に展開したときに後部支持部材29の形状に完全にぴったり合う。ループ61、62及びストラップ80、したがって、ひいてはブリッジ53は、自由面37の上で面支持を行うように、後部支持部材29の自由面37と接触することが分る。ループ61、71は、ベースプレート3のフロント5に対して長手方向に配向されるため、靴が後端4の方へ展開方向に後部支持部材29を押すときに引張応力がかけられる。当然のことながら、その際、ブリッジ53もまた引張応力がかけられる。結果として、ストッパー49はそのアーチ50によってシュラウドのように後部支持部材29に作用することになる。その理由から、ストッパー49がベースプレート3の長手方向Lの作用によって後部支持部材29の展開を制限する。ストッパー49のこの動作態様により、ストッパー49に上記のシンプルな構造が付与される。実際に、機械的力学的な観点から、引張応力に対処することがさらにいっそう容易である。
【0056】
記載の第1の実施形態によれば、外側支持体51及び内側支持体52はほぼ同じサイズを有し、横方向に互いに向かい合っている。その結果、ループ61、71及びフット62、72が横方向に互いに向かい合い、ブリッジ53がベースプレート3に対して平行となる。これにより、ストッパー49によって、すなわち、アーチ50によってかけられた引張応力のバランスがとられる。実際に、これらの応力は第1の縁6と第2の縁7との間で等しく分布する、すなわち、外側支持体51のループ61におけるこれらの引張応力は内側支持体52のループ71における引張応力に等しいか又はそれに近い。これにより、後部支持部材29での靴の支持の安定性がもたらされる。
【0057】
ループ61、したがって外側支持体51の前端63は、後端4よりも前端5側に近いことに留意されたい。同じ意図で、ループ71、したがって内側支持体52の前端73は、後端4よりも前端5側に近い。したがって、ループ61及び71の長手方向(縦)軸は平面Pを形成する。図2によって特に理解されるように、後部支持部材29の自由面37がアーチ50にもたれかかるとき、この自由面37は平面Pに対して垂直であるか又はほぼ垂直である。この構成により、アーチ50、したがってストッパー49の、長手方向Lの、かつ、前端5に対しての引張作用が最適化する。
【0058】
図1〜図3のみならず図4及び図5によっても理解されるように、ベースプレート3に対する後部支持部材29の位置を調整することができる。このことは、取付端31、32のそれぞれを任意に前進又は後退させることができることを意味する。各関節部41、42の位置はベースプレート3に対して又はフランジ21、22に対して調節可能であると言える。例として、ベースプレート3に対して後部支持部材29の2つの関節部41、42の一方又は双方を取外してから再び取り付けることによって、位置変えが達成される。
【0059】
図4及び図5に示すように、内側フランジ22の場合では、関節部42は例えばねじ85及びナット86を含む。内側フランジ22はここでは、ねじ85を受け入れる2つの孔87、88を有しているが、代替的にそれよりも多く設けることもできるか、又はスロットを具現することができる。全ての場合において、ねじの軸、孔87、88の軸及び第2の関節部の軸44が入れ替わる。当然のことながら、外側フランジ21の領域の関節部41についても同様である。
【0060】
具体的には、図4に関して、第2の取付端32が内側フランジ22に沿って後退した位置に配置されている。よって、第2の取付端32は後端4のより近くにある。これとは反対に、図5に関して、第2の取付端32はより前進した位置に配置されている。したがって、第2の取付端32は後端4の近くにはない。当然のことながら、関節部42の位置は変わる。
【0061】
関節部41、42について、互いに向かい合う位置、又は、代替的に、互いに対して後退する位置を選択することができる。その結果、後部支持部材29の位置は、ベースプレート3に対して垂直な仮想軸に沿って回動前進、回動後退又は回動調節することができる。よって、この仕組みにより、後部支持部材29がストッパー49と接触するときに後部支持部材29の傾斜を調節することが可能となると共に、ほぼ垂直な軸周りの後部支持部材29の角度配向を調節することが可能となる。
【0062】
記載の実施形態では、フランジ22中の2つの孔87、88だけが調節機構を示している。当然のことながら、後部支持部材29の傾斜及び/又は角度配向の調節のより多くの数の構成を可能にするために、より多くの孔、又はノッチを含めた他の手段も考えられ得る。
【0063】
例えばフット62の領域で測定された、各支持体52、53の厚みeは、該支持体が固定されているフランジ22の厚みEよりも薄いことに留意されたい。例えば、支持体の厚みeは0.5mm〜5mm(両端値を含む)であり、1mm〜3mmの値が申し分のない成果を与えることが分っている。支持体51、52、したがってループ61、71及びフット62、72の低減した厚みは、横方向に可撓性がありつつもそれらに引張に機械的な耐性を付与するのに十分である。これは、ストッパー49の、後部支持部材29の形状にぴったり合うことができる性能を高める。フランジ22の幅Eに関して、この幅Eは5mm〜15mm(両端値を含む)であり、5mm〜8mmの値が申し分のない成果を与えることが分っている。フランジ21、22のより厚い厚みがベースプレート3に剛性を与え、この剛性により例えば靴のソールの正確な横方向の保持が可能となる。
【0064】
当然のことながら、ベースプレート3、したがってフランジ21、22及び支持体51、52は、プラスチック材料のようなあらゆる好適な材料から作製される。
【0065】
本発明の第1の実施形態によれば、各支持体51、52はベースプレート3に取り付けられた部品である、すなわち、実際にはフランジ21、22に取り付けられている。結果として、ストッパー49又はアーチ50はベースプレート3に取り付けられている部品である。この取付けは例えば嵌め込みによって達成され、関連する関節部41、42によって強固となる。実際に、後部支持部材29の上下動が可能となることに加え、各関節部が、そのねじ85及びそのナット86により、支持体51、52をフランジ21、22と接触して保持する。したがって、1つの支持体又は2つの支持体を、ベースプレート3の材料とは異なる材料、すなわちフランジ21、22の構成成分の材料とは異なる材料を用いて達成することができる。当然のことながら、支持体51、52の構成成分材料は、ベースプレート3の構成成分材料よりも可撓性があるように選択される。これにより、装置1の種々の部材に適切な機械的特性を付与することが可能となる。
【0066】
特に図6によって理解されるように、各ループ61、71は、ストラップ80と協働するようになっているガイド91を示す。ガイド91はここでは中にストラップ80が配置される溝の形態で具現されている。したがって、当然のことながら、このストラップ80はループ61、71に沿って保持される。この構成により、特にブリッジ53の領域でのその役割においてストラップ80の可撓性を享受しつつもストッパー49又はアーチ50の自立形特性が保たれる。
【0067】
必ずしもそうである必要はないが、図7に詳細に示すように、ストラップ80の張力を調整することができる。結果として、支持体51、52の横方向の可撓性により、アーチ50の長さが調節可能である。これにより、ストッパー49の幾何学形状を、靴の形状にできる限り正確に対応するように調整することが可能となる。靴の保持はそれでもより良い。
【0068】
実際には、保持装置1はストラップ80の長さの調節手段を備える。例えば、ストラップ80の端92が、ねじ94に固定されるバックル93を有する。当然のことながら、ねじ94はフランジ22内に収まっている。手で作動させることができるホイール95がねじ94と協働してストラップ80の有効長さを維持又は変更する。最後に、アーチ50の長さがホイール95によって調整される。
【0069】
第2の実施形態を図8によって以下に示す。便宜上の理由から、第1の実施形態と類似の部品は同じ符号で示す。
【0070】
ここでもまた概して、特にベースプレート3、第1のフランジ21及び第2のフランジ22、後部支持部材29、並びにストッパー49を備えた保持装置1が見られる。
【0071】
第2の実施形態による装置1の特徴はストッパー49の構造である。ストッパー49が同じく、外側支持体101、内側支持体102及びブリッジ103を含むアーチ100である場合、支持体101、102及びブリッジ103はここでは一体品を形成する。換言すればアーチ100が一体品である。先述のように、外側支持体101及び内側支持体102がそれぞれループ111、121、フット112、122、前端113、123及び後端114、124を含むため、ループ111、121、フット112、122及びブリッジ103は一体品を形成する。例えば、これは厚みが0.5mm〜5mm(両端値を含む)であり、1mm〜3mmの値が申し分のない成果を与えることが分っている、プラスチック材料で作製される。
【0072】
ストッパー49の機能は第1の実施形態と類似している。
【0073】
アーチ100もまた、囲まれていると共に、後部支持部材29を取り囲み、かつ、ベースプレート3のフロント113、123にアンカー固定されたストリップ175をできる限り引張作用するように含む。ストリップ175は支持体101の一部、支持体102の一部及びブリッジ103を含む。
【0074】
アーチ100は自立形構造を有する。アーチ100は、後部支持部材29が後方に回動すなわち展開したときに後部支持部材29の形状にぴったり合うように横方向に可撓性がある。したがって、後部支持部材29の展開は、長手方向Lの、ストッパー49を形成するストリップ175の作用によって制限される。
【0075】
限定するものではないが、アーチ100又はストッパー49はそれ自体がベースプレート3と共に一体部品を形成する。しかしながら、代替的に、アーチ100はベースプレート3とは異なる部品とし、当業者に既知のあらゆる手段によってベースプレート3に取り付けることも意図され得る。
【0076】
代替的に、ストリップ175は第1の実施形態のストラップ80と同様の保持によりワイヤー又はストラップを受け入れるようになっている溝を含むことができる。この補強により、ストリップ175の引張に対する保持を高め、したがって、ストッパー49の保持を高めることが可能となる。
【0077】
一般的なやり方で、本発明は当業者に既知の材料から、かつ、現行技術に従って実現される。
【0078】
当然のことながら、本発明は記載の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内にあり得るあらゆる技術的等価物を含む。
【0079】
例えば、ストッパー49又はアーチ50、100は、1つのみの材料からなっていてもよく又は対照的に種々の材料製の複数の部分からなっていてもよい。この後者の場合では、これらの部分は、固定されるにせよ、互いに対して可動であるにせよ、互いにしっかり取付けられる。特に、ストラップ80は固定化することができるか、又は逆にそのガイド91内で摺動することもできる。
【0080】
ストッパー49、より詳細にはストリップ75、175は、例えばチェーン又は時計ブレスレットのように互いに関節連結された一連のセクションを含むことができる。
【0081】
好適には、ストリップ75の第1のアンカー点63及び第2のアンカー点73並びにストリップ175の第1のアンカー点113及び第2のアンカー点123は、双方とも、ベースプレート3の長さの第1の部分、有利には初めの3分の1内の、ベースプレート3の前端の近くにある。
【0082】
有利には、ストリップ75、175の幅は、軽量化した構造を有するために2センチメートルより低い。
【0083】
ストリップ75、175はワイヤー形態とすることができる。その場合、ストリップは自立形構造の一部をなす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑走用具(2)上に足又は靴を保持する保持装置(1)であって、該保持装置(1)は、後端(4)から前端(5)に長手方向(L)に延びるベースプレート(3)、及び、該ベースプレート(3)に対して折り畳むか又は展開することができるように前記後端(4)の領域において前記ベースプレート(3)に対して関節連結される後部支持部材(29)を備え、また、前記ベースプレート(3)に対する前記後部支持部材(29)の展開を制限するストッパー(49)を備え、該ストッパー(49)は、前記ベースプレート(3)にしっかり取り付けられ、自立形構造を有し、前記後部支持部材(29)の展開が前記長手方向(L)の前記ストッパー(49)の作用によって制限され、
前記ストッパー(49)は、前記後部支持部材(29)が後方に展開したときに前記後部支持部材(29)の形状にぴったり合うように横方向に可撓性があることを特徴とする、保持装置。
【請求項2】
前記ストッパー(49)はアーチ状部材(50、100)によって構成され、該アーチ状部材(50、100)は自由面(37)側の前記後部支持部材(29)の外周に沿っていることを特徴とする、請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記アーチ状部材(50、100)は、前記ベースプレート(3)上の該アーチ状部材(50、100)の第1のアンカー点(63、113)から前記ベースプレート(3)上の該アーチ状部材(50、100)の第2のアンカー点(73、123)に接続するストリップ(75、175)を備え、該ストリップ(75、175)の長手方向軸は前記ベースプレート(3)の上面(8)に対して所定の角度(α)で傾斜した平面(P)内に延在することを特徴とする、請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記アーチ状部材(50、100)の前記第1のアンカー点(63、113)及び前記第2のアンカー点(73、123)は双方とも前記ベースプレート(3)の前記後端(4)よりも前記前端(5)に近いことを特徴とする、請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記ストリップ(75、175)は可撓性があり、長手方向の引張に耐性があることを特徴とする、請求項3又は4に記載の保持装置。
【請求項6】
前記ストリップ(75、175)は複数の材料から成ることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記ストリップ(75、175)はワイヤー又はストラップ(80)を含む、請求項3ないし6のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記アーチ状部材(50、100)は、外側支持体(51、101)、内側支持体(52、102)、並びに、前記外側支持体(51、101)及び前記内側支持体(52、102)を互いに接続するブリッジ(53、103)を含むことを特徴とする、請求項2ないし7のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項9】
前記外側支持体(101)、前記内側支持体(102)及び前記ブリッジ(103)は一体的に形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の保持装置。
【請求項10】
ベルト(80)が前記ブリッジ(53)を形成することを特徴とする、請求項8に記載の保持装置。
【請求項11】
前記外側支持体(51、101)はループ(61、111)及びフット(62、112)を含み、前記内側支持体(52、102)はループ(71、121)及びフット(72、122)を含むことを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項12】
前記ベースプレート(3)は外側フランジ(21)及び内側フランジ(22)によって画定され、前記外側支持体及び前記内側支持体の各々の厚み(e)は、該支持体がしっかり取り付けられている前記フランジ(21、22)の厚み(E)よりも薄いことを特徴とする、請求項8ないし11のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項13】
前記ストッパー(49)は前記ベースプレート(3)に取り付けられた部品であることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項14】
前記ストッパー(49)は前記ベースプレート(3)と共に一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項15】
前記後部支持部材(29)が前記ストッパー(49)と接触するときの前記後部支持部材(29)の傾斜、及び/又は、前記ベースプレート(3)に対して垂直の仮想軸に対する前記後部支持部材(29)の角度配向の調節を可能にする、調節機構(85、86、87、88)を備えることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−218177(P2011−218177A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88482(P2011−88482)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(508280601)サロモン エス.エー.エス. (5)
【Fターム(参考)】