説明

滴捕集器

【課題】滴捕集器。
【解決手段】本発明は、核酸の精製と増幅の分野において、ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置に関する。さらに、分析機器の、同様に前記分析機器に配置される液体又は/及び試料の、汚染の可能性の低減を備える、液体をピペットするための方法が提供される。さらに、ピペット装置と、前記ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置とを少なくとも包含し、そこで滴を捕集する装置の動きが前記ピペット装置の動きに連結される、分析機器が図解される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の精製と増幅の分野において、ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置に関する。
【0002】
本発明はさらに、分析装置の、同様に前記分析装置に配置される液体又は/及び試料の、汚染の可能性を低減する、液体をピペットするための方法に関する。
【0003】
さらに本発明は、ピペット装置と、前記ピペット装置に機械的に取付けられたピペットからの滴を捕集する装置とを、少なくとも包含する分析装置に関していて、滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きに連結される。
【0004】
加えて、本発明は、ピペット装置が待機位置にある時に、前記ピペット装置の開口部の下に前記滴を捕集する装置を配置する前記ピペット装置の動きと、滴を捕集する装置の動きを機械的に結合するための受動ガイドの使用に関する。
【背景技術】
【0005】
様々な適用に対する滴を捕集する装置は、技術的に周知である。特許文献1は、レンズの半加工品の適切に方向を揃えた配列において、半自動の積層工程と、球形の及び円筒形の電動眼科用レンズの半加工品を積層するための装置について述べている。ここで、装置は、注射器から硬化可能な液体接着剤を捕集するための着脱可能な挿入部材を供える滴下トレイを包含してもよく、それは、別個の操作位置で注射型塗布器の下の可動台部に配置される。詳細には、滴下トレイは、注射器が気泡の発生を低減するための呼び水過程にある時に、消費される液体接着剤を受容するために注射器の下に能動的に移動される。ここで、滴下トレイは、液体の故意でない流出による装置の汚染を防止するために使用されず、注射器の呼び水の間の消費される液体のための貯槽として使用される。さらに、滴下トレイの動きは、注射器の垂直方向の動きと機械的に連結されない。
【0006】
核酸の調査と試料準備の分野において、滴捕集器は、ピペット装置からの液体の故意でない流出を防ぐために、例えばMagNA Pure Compact(登録商標)又はMagNA PureLC (登録商標)(両者はロッシュアプライドサイエンスによって製造された)のような機器に使用されてきた。両機器は、長方形の滴捕集器を収納していて、それは、磁気装置の上面によって支持されている。ピペット装置が、第一の駆動装置によって試薬/試料場所の上を移動する時はいつでも、液滴捕集器は、機器上にピペット装置から滴が落ち、それによって試薬/試料の場所又は試薬又はその他の試料を汚染する可能性を防止するために、第二駆動装置によってピペット装置の下に能動的に配置される。
【0007】
特許文献2は、第一チャンバから抽出された流体が、第二チャンバに分散することを防止するための汚染保護材を含む、核酸を含有する流体試料を処理するための、多数のチャンバアセンブリ及びピペットアセンブリを開示する。ピペットアセンブリは、第一運動ユニットによって導かれた上下方向の運動機能を備える、試料チャンバの一列線に沿った一つの運動機能を有し、一方、第二運動ユニットは、試料チャンバに関して汚染保護材を移動する。ある特定の実施形態において、さらに汚染保護材をピペットアセンブリに取付けてもよい。この実施形態では、ピペットアセンブリが多数のチャンバアセンブリから抜き取られる時に、ピペットアセンブリが移動され、その結果ピペットアセンブリの開口部から洩れ出るか又はピペットアセンブリの外側壁から滴る液体を受容及び混合しない場合に、ピペットアセンブリの開口部が、汚染保護材によって覆われない欠点を有する。
【0008】
特許文献3は、小滴を取除く部材を含む核酸検知用の試料分析装置を開示する。小滴を取除く部材の動きは、分配装置の動きと機械的に連結されておらず、その結果、これらの動きを駆動するために、二つの別の駆動装置の使用が必要である。
【0009】
一体化システムについて、MagNA Pure CompactやMagNA PureLCの機器に使用されるような、又は特許文献1及び特許文献2で開示されたような滴捕集器は、滴捕集器の能動的な動きが、第一駆動装置によって導かれるピペット装置の動きから独立した第二駆動装置によって行われる、共通の欠点を有する。ピペットヘッドの一体化第二駆動装置は、非常に設置場所を取り、また非常に高価である。さらに、先に述べられたような滴捕集器は、一つより多くのピペット装置がピペットヘッドに設置される場合、及びこれらのピペット装置が機器の汚染の可能性を増大することなく、互いに独立して操作されるだろう場合には、実用的でない。
【0010】
【特許文献1】国際公開第00/071330号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1110609号明細書
【特許文献3】欧州特許第1508809号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
その結果、本発明の主な目的は、滴を捕集するための装置、及び滴を捕集するための装置を移動するための第二の駆動装置を使用しないで液体をピペットするための方法を備えることであり、それによって、分析機器の汚染の可能性を最小にする課題を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一態様において、この課題はピペットからの滴を捕集する装置によって解決され、前記滴を捕集する装置が、ピペット装置に機械的に取付けられ、前記ピペットの開口部の下の位置へ移動が可能であり、前記滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きに機械的に連結されていて、前記滴を捕集する装置が、少なくとも以下を包含する。
− 前記滴を捕集する装置を、前記ピペット装置と受動ガイドとを連結するための突起部を含む前記ピペット装置に取付けるための前記受動ガイドを包含するフレーム
− 前記滴を捕集する装置が、前記ピペットの前記開口部の下に配置される場合に、液体を受容し混合するために適切な滴捕集容器
【0013】
本発明の第二態様によって、上記の目的は、分析機器の、前記分析機器に配置された液体及び/又は試料の、汚染の可能性を最小にする、液体をピペットする方法によって達成され、方法は、少なくとも以下の段階を含む。
− 前記機器に、ピペット装置と、前記ピペット装置に機械的に取付けられる滴を捕集する装置とを準備する段階
− ピペットする手順の終了時に、前記ピペット装置を移動する段階
− 前記ピペット装置の開口部の下の位置へ前記滴を捕集する装置を移動し、それによってピペットする手順の終了後に、前記滴を捕集する装置が、前記ピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする前記ピペット装置の開口部を覆い、それによって前記分析計器の液体の、及び/又は前記分析計器に配置される液体及び試料の、故意でない流出を防止する段階
ここで、本発明による滴を捕集する装置が使用される。
【0014】
本発明の第三態様によって、上記の目的は、分析機器により達成され、それは、少なくとも以下を含む。
− 本発明による滴を捕集する装置
− ピペットと、ピペット装置を前記滴を捕集する装置の受動ガイドに連結するための突起部とを含む、前記滴を捕集する装置に機械的に取付けられるピペット装置
ここで、前記滴を捕集する装置は、前記ピペットの開口部の下の位置へ移動が可能であり、前記滴を捕集する装置の動きは、前記ピペット装置の動きに機械的に連結される。
【0015】
本発明の第四態様によって、ピペット装置が待機位置にあり、そこで本発明による滴を捕集する装置が使用される場合に、滴を捕集する装置の動きを、前記ピペット装置の開口部の下に前記滴を捕集する装置を配置するピペット装置の動きと、機械的に連結するための受動ガイドの使用により、上記の目標は達成される。
【0016】
本発明の第五態様によって、上述の目的は、ピペット装置と、核酸の精製及び/又は増幅において、前記ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置とを少なくとも包含する、分析機器の使用により達成され、ここで前記滴を捕集する装置は、前記ピペットの開口部の下の位置へ受動的に移動が可能であり、それによって前記滴を捕集する装置が、前記ピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする前記ピペット装置の開口部を覆い、それによって前記分析機器の液体の、及び/又は前記分析機器に設置される液体及び試料の、故意でない流出を防止し、前記滴を捕集する装置の動きは、前記ピペット装置の動きと機械的に連結され、前記滴を捕集する装置は、本発明による装置である。
【0017】
本発明の主要な利点は、滴を捕集する装置の動きをピペット装置の動きと機械的に連結することにより、前記ピペット装置の開口部の下の位置へ滴を捕集する装置を移動するための第二駆動装置の設置が必要なくて、それは、設置面積と経費の非常な節約になることである。さらに、全自動分析機器において、これは、ピペット装置の動きと滴を捕集する装置の動きの両方が、たった一つのセンサで監視できるから、複雑さの減少をもたらし、センサを介して滴を捕集する装置の動きの信頼度を監視するための努力の低減ももたらす。従って、本発明は、第二駆動装置の動きを監視するための第二センサを必要とせず、分析機器の平易な構成に寄与する。一つのセンサと一つの駆動装置は、二つの異なっているが連結された機能(ピペット装置の動きと滴を捕集する装置の動き)を、制御することが可能である。
【0018】
本発明のさらなる利点は、ピペットヘッドに装着された各々のピペット装置が、一つの滴を捕集する装置に連結されることである。その結果、機器の汚染の可能性を増加せずに、その他のピペット装置又は装置群から独立して、各々のピペット装置を操作することが可能となる。ピペットヘッドは、一つのピペット装置が、ピペットする手順を実施する所望される位置に配置される方法で動かされる。ピペット装置の移動は、その開口部の下に位置する一つの滴を捕集する装置の移動を導く。それによって、前記ピペット装置の開口部は覆われず、液体をピペット装置から容器に分配してもよい。ピペットする手順の終了時に、ピペット装置は再び移動され、それによって前記ピペット装置の開口部を再度覆い、ピペットする手順の終了後に、滴を捕集する装置がピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする。ピペットする手順中に、ピペットヘッドに装着された別のピペット装置の開口部は、まだ覆われている。したがって、この構造は、ピペットする手順中の汚染の可能性を最小にし、ピペットヘッドの移動を最小にする。
【0019】
本発明の好適な実施形態が、例示によって添付図面を参照して以下に述べられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここで使用される用語「分析機器」は、自動化された試料の操作と処理が可能な機器が当てはまる。好適な実施形態において、全自動化された、試料準備の及び/又は核酸増幅の運転のために、及び/又は増幅の検知のために、分析機器を使用してもよい。
【0021】
この接続において、「ピペット装置」は、一体化して組立てられるピペットモジュール含み、それは、入口/出口を有し、それを着脱可能な「ピペット先端具」又は「ピペット先端具」と一体化して組立てられた物に接続しても良く、液体を吸引や分配するために使用出来る。ピペットする手順中に、液体は「ピペット先端具」に吸引され、又は「ピペット先端具」から分配される。好適な実施形態において、「ピペット先端具」は、一つ又はそれ以上のプラスチック材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)から作られた使い捨ての物であっても良い。別の好適な実施形態において、「ピペット先端具」は、注射針又は鋼鉄製の注射針であっても良い。
【0022】
好適な実施形態において、「ピペット装置」は分析機器の一部分であると考えられる。「ピペット装置」は、「装着面」に関して「ピペット装置」を移動しても良いように、「装着面」に装着される。別の好適な実施形態において、「ピペット装置」を「ピペットヘッド」に装着しても良い。「ピペットヘッド」を、分析機器の制御装置によって制御し、水平面内で移動しても良く、それによって宛がわれている液体が、分析機器の第一位置から分析機器の第二位置まで移動する。
【0023】
本発明による滴を捕集する装置は、「フレーム」、「調整できる装着部材」、及び「滴捕集容器」から作られる。好適な実施形態において、「フレーム」は、少なくとも一つの「受動ガイド」を包含し、ステンレス鋼、アルミニウム、硬質プラスチック、又は複合材料から作られる。「複合材料」は、二つ又はそれ以上の成分から作られる工業材料である。一つの成分はしばしば、例えばガラス繊維、石英ガラス、ケブラー(登録商標)、ダイニーマ(登録商標)、又は炭素繊維のような強化繊維であり、それは、材料に引張り強度を与え、一方、(マトリックスと呼ばれる)別の成分はしばしば、例えばポリエステル又はエポキシのような樹脂であり、それは、繊維と共に固め、破断繊維から非破断繊維へ、及び張力線に沿って方向付けられていない繊維の間に、荷重を移動する。さらに、選択されたマトリックスが特に撓み易くなければ、それは繊維が圧縮によって座屈することを防止する。応力に関して、いずれの繊維も張力耐性に役立ち、マトリックスはせん断耐性に役立ち、一方全ての存在する材料は、圧縮耐性に役立っている。「受動ガイド」は、滴を捕集する装置をピペット装置に機械的に連結するための手段を形成する。「調整できる装着部材」は、滴を捕集する装置の第一及び上端部に配置され、ピペット装置を支持する装着面に、滴を捕集する装置を固定するための手段として機能する。受動ガイドを含むフレームは、クランク又はカムディスクを形成してもよく、それは、調整できる装着部材と共に使用される場合に、機械的な駆動部に、特にカム機構になってもよい。このような駆動部の主な機能は、運動の及び運動エネルギーの変換である。特定の実施形態において、装置の垂直方向の運動を、このような機構の使用によって回転運動に変換してもよい。
【0024】
「滴捕集容器」は、滴を捕集する装置の第二及び下端部に配置され、液体を受容し混合するのに適している。ここで、「滴捕集容器」は、「トレイ支持部」、「固定手段」、及び着脱可能なトレイからなる。「トレイ支持部」は、好ましくは、プラスチック、又はステンレス鋼から作られ、「固定手段」を介して「フレーム」に、恒久的に又は両面の使用が可能にの、いずれかで固定されてもよい。このような「固定手段」は、ネジ、リベット、ピン、釘、突起部、接着剤、又はその他の接着物を含み、しかしながらこれらに限定されず、「フレーム」に「トレイ支持部」を恒久的に又は両面の使用が可能に取付けるための課題を達成する。「着脱可能なトレイ」は必要な大きさにされ、「トレイ支持部」に容易に適合するように形成され、使い捨ての物でも、加圧滅菌に耐える材料から製造されてもよい。特定の実施形態において、「滴捕集容器」の寸法は、「ピペット先端具」の全容積を受け入れることが出来るように選択され、「ピペット装置」の機能不全においてでさえ、分析機器の汚染に至らないから有利である。
【0025】
本発明の意味において、「受動ガイド用突起部」はピンであり、それは、受動ガイドに適合する大きさにされ、「受動ガイド」に沿ってスライドしてもよい。特定の実施形態において、ピンを球状に設置出来る。好適な実施形態において、突起部は、ピンの一端部にヘッド及び/又はノッチを含んでもよく、それは、「突起部」が「受動ガイド」を離脱せずに、「突起部」を「受動ガイド」に位置を定めて固定することを可能にする。本発明の分野の「ピペットする手順」は、吸引と分配の段階を含むことが考えられ、そこで液体を受容するための手段からピペット装置に吸引してもよいし、又は液体を受容するための手段にピペット装置から分配してもよい。
【0026】
図1は、第一(A)と第二(B)の視点からの、滴を捕集する装置の第一の好適な実施形態の詳細な描写を示す。フレーム(21)は、滴を捕集する装置をピペット装置に取付けるための、第一受動ガイド(27)と第二受動ガイド(28)とを含む。滴を捕集する装置の第一好適な実施形態はさらに、上端部に調整できる装着部材(26)と下端部に滴捕集容器(25)とを包含する。滴捕集容器(25)は優先的に、トレイ支持部(22)からなり、それは固定手段(23)と着脱可能なトレイ(24)とを介して、フレーム(21)に固定される。好適な実施形態において、フレーム(21)と滴捕集容器(25)とが、おおよそ直角を形成する。着脱可能なトレイ(24)は、使い捨ての物であっても、又は加圧滅菌に耐える材料から作られた物であってもよい。着脱可能なトレイとして使い捨ての物の使用は、滴捕集容器内の液体をほとんど努力せずに、取除く及び捨てることが出来る利点を有す。他方、加圧滅菌に耐える着脱可能なトレイの使用は、ごみの量を削減し、洗浄後に再使用してもよい利点を有する。
【0027】
図2は、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置の第一の好適な実施形態を示す。滴を捕集する装置は、ピペット先端具(11)の開口部の下の位置に移動が可能であり、滴を捕集する装置のこの動きが、ピペット装置の動きと機械的に連結される。両者の動きの連結は、滴を捕集する装置の第一受動ガイド(27)と、ピペット装置の第一受動ガイド用突起部(12)を係合することにより、滴を捕集する装置をピペット装置に鉤止めすることによって、まず第一に達成される。第二に、滴を捕集する装置の上端部は、可撓性があり移動可能な調整できる装着部材(26)を介して、ピペット装置(13)を支持する装着面(31)に接続される。好適な実施形態において、装着面(31)は、第二突起部(32)を支持してもよく、それを、フレーム(21)の第二受動ガイド(28)と係合してもよい。さらにより好適な実施形態において、第二受動ガイド(28)は、第一受動ガイド(27)に、ほぼ垂直である。
【0028】
図3は、上記(A−C)で概略述べたように、ピペット装置に機械的に取付けられる滴を捕集する装置の実施形態を使用する、ピペットする手順の異なる段階を図示する。ピペットする手順中に、ピペット装置(13)は、装着面(31)に対して移動する。ピペットする手順の開始位置が、図3の(A)に示される。滴を捕集する装置の滴捕集容器(25)は、ピペット装置(13)のピペット先端具(11)の開口部の下に配置される。ピペット装置と滴を捕集する装置の機械的な連結によって、ピペット装置(13)の第一向きの動きは、第二受動ガイド(28)と第二突起部(32)との相互作用によって媒介される滴捕集容器の揺り戻しをもたらす滴を捕集する装置の動きとなり、従って、図3の(B)に示されるようなピペット装置の開口部の露出になる。ピペット装置(13)のさらなる動きは、ピペット先端具(11)が、液体を吸引する及び/又は分配するための位置に到達することを可能にする(図3の(C)を参照)。液体の吸引及び/又は分配後に、ピペット装置(13)は、図3の(A)で表示されるような位置にピペット装置を戻すために第二向き(第一向きと逆向き)に動かされ、それによって、ピペット装置(13)の開口部の下に滴を捕集する装置の滴捕集容器を受動的に再び配置し、滴を捕集する装置が、ピペット装置(13)から発生する液体を受容し混合することを可能にする。好適な実施形態において、ピペット装置の動きは、垂直方向の動きであり、滴を捕集する装置の動きは水平方向の動きである。
【0029】
少なくとも一つの突起部を介してピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置の更なる実施形態が、図4、5、6、及び7に表示される。図4、5、6、及び7の例証(A)において、ピペット装置の開口部は、滴を捕集する装置によって覆われ、一方、図4、5、6、及び7の例証(B)において、ピペット装置は、ピペットする位置にあり、滴を捕集する装置は、ピペット装置の動きの機械的な連結に起因する、ピペット先端具(11)の開口部とピペット装置とを見えるようにするために移動させられる。これらの実施形態における、両者の動きのこの連結は、滴を捕集する装置の第一受動ガイド(27)とピペット装置の第一受動ガイド用突起部(12)を係合することによって、滴を捕集する装置をピペット装置に鉤止めすることで特に達成される。さらに、滴を捕集する装置の上端部は、可撓性で移動可能な調整できる装着部材(26)を介してピペット装置(13)を支持する装着面(31)に接続される。図4と5の実施形態で表示されるように、受動ガイド(27)のピボット点と調整できる装着部材(26)の構造は、変化してもよい。好ましくは、図4と5に表示された実施形態の装着面(31)は、第二突起部(32)を支持してもよく、それを、フレーム(21)の第二受動ガイド(28)と係合してもよい。図6は、ピペット装置が、滴を捕集する装置の受動ガイド(27)に鉤止めされる一つの突起部(12)を包含する実施形態を示す。滴を捕集する装置のフレーム(21)は、好ましくは直線通路を介して装着面(31)に柔軟に固定される。この実施形態において、受動ガイド(27)のより大きな部分は、滴を捕集する装置の線形の動きをもたらすピペット装置(13)の動きにほぼ垂直に配置され、それによってピペット先端具の開口部を見えるようにする。図7は、図6に示された滴を捕集する装置の特定の実施形態を図示していて、装着面(31)が追加として第二受動ガイド用突起部を包含し、直線通路が第二受動ガイド(32)である。このアセンブリは、ピペット装置の垂直方向の動きに連結された、滴を捕集する装置の線形で水平方向の動きを許容し、それによって、ピペット装置のピペット操作を準備するために、ピペット装置の開口部の覆いを外す。
【0030】
別の好適な実施形態において、ピペット装置をピペットヘッドに装着してもよく、分析機器の制御装置によって制御されてもよく、水平面内で移動してもよい。この実施形態は、液体が分析機器の第一位置から分析機器の第二位置に移動することを、分析機器、そこに配置される液体及び/又は試料を汚染する可能性無しに提供する利点を有する。
【0031】
本発明のさらなる好適な実施形態において、ピペットヘッドは、一つより多くのピペット装置を包含する。特には、2と24個の間、好ましくは2から16個、より好ましくは2から8個、さらにより好ましくは2から4個の独立したピペット装置を、ピペットヘッドに装着してもよい。別の好適な実施形態において、各々のピペット装置は、分析機器を及び/又は分析機器に配置された存在物を汚染する可能性を増大すること無しに、独立したピペットする手順を可能にする、別々の滴を捕集する装置を包含する。さらに、このような実施形態は、一つより多くのピペットする手順が、ピペットヘッドを移動すること無しに、分析機器の範囲内の第一場所で、独立に実施することが出来る利点を有する。
【0032】
本発明の別の好適な実施形態は、分析機器、分析機器に配置される液体及び/又は試料の汚染の可能性を最小にする、液体をピペットするための方法に関する。第一段階において、ピペット装置と、ピペット装置に機械的に取付けられる滴を捕集する装置とが、分析機器に備えられる。ピペットする手順の終了時に、ピペット装置は、滴を捕集する装置に対して移動される。滴を捕集する装置が、ピペット装置と機械的に連結されるから、ピペット装置を移動することは、ピペット装置の開口部の下の位置へ、滴を捕集する装置の移動をもたらし、それによって、滴を捕集する装置が、ピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする、ピペット装置の開口部を覆う。従って、分析機器の液体の、及び/又は分析機器に配置された液体及び試料の、故意でない流出が防止される。
【0033】
別の実施形態において、液体をピペットする方法はさらに、前記滴を捕集する装置を取付ける装着面が、分析機器に備えられことを含む。初めに、滴を捕集する装置は、ピペット装置の開口部の下に配置される。ピペット装置への滴を捕集する装置の機械的な連結により、ピペットする手順の開始前に、装着面に相対的で比例するピペット装置の動きが、滴を捕集する装置の動きを誘起し、それによってピペット装置の開口部の露出を生じる。ピペット装置の開口部の露出後に、ピペットする手順を実施してもよい。
【0034】
液体をピペットする方法の特定の実施形態において、滴を捕集する装置は、受動ガイドを介してピペット装置に取付けられる。好適な実施形態において、ピペット装置は、ピペットする手順の終了時に、垂直方向に移動され、滴を捕集する装置は水平方向に移動される。別の実施形態において、ピペット装置は、ピペットヘッドに装着され、ピペットヘッドは、1から24個の間の、好ましくは、1から16個の間の、さらに好ましくは1から8個の間の、さらにより好ましくは1から4個の間のピペット装置を包含してもよい。分析機器の制御装置によって、ピペットヘッドを制御してもよく、水平面内で移動してもよい。この実施形態は、液体が分析機器の第一位置から分析機器の第二位置に移ることを、分析機器、その上に配置される液体及び/又は試料を汚染する可能性無しに、提供できる利点を有する。さらに好適な実施形態において、滴を捕集する装置は、着脱可能なトレイを包含し、それは、使い捨ての物であっても、加圧滅菌に耐える材料から作られたものであってもよい。
【0035】
本発明の別の態様は、ピペット装置と、ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置とを少なくとも包含する分析機器を論じ、そこで、前記滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きと機械的に連結される。さらなる実施形態において、分析機器が、ピペット装置を動かすための駆動装置をさらに包含する。好適な実施形態において、ピペット装置の動きは、垂直方向の動きである。特定の実施形態において、分析機器は、上述されたいずれの実施形態による滴を捕集する装置を包含してもよい。別の実施形態において、吸引と分配の工程は、分析機器内の同一の位置で行わない。その結果、ピペット装置のこの移動中に、分析機器の汚染の可能性は、滴を捕集する装置によって低減される。
【0036】
このような分析機器を、生物材料の試料準備及び精製の分野(例えば、抗体抗原試験、尿検査)で使用してもよいが、さらに、核酸の試験(NAT)、精製、増幅、及び/又は検出の分野に使用してもよい。
【0037】
本発明のさらなる一面は、ピペット装置が待機位置にある場合に、ピペット装置の開口部の下に滴を捕集する装置を配置するピペット装置の動きに、滴を捕集する装置の動きを機械的に連結するための受動ガイドの使用に関する。このような受動ガイドの使用は、それが二つの別個の装置(例えば、ピペット装置と滴を捕集する装置)の動きを連結する利点を有する。これら二つの装置を、一つの駆動装置によって動かしてもよく、そこで駆動装置は、第一装置(例えば、ピペット装置)を能動的に動かし、第二装置(例えば、滴を捕集する装置)は、その指定された任務を達成することが出来るように、所望する位置へ受動的に動かされる。従って、第二装置を動かすために、第二の駆動装置及び第二の駆動装置の活動を制御するための第二センサが必要なく、それは、設置場所と経費を節約し、さらに信頼性の増大をもたらす。さらに、受動ガイドは、低減するものとして機能する。そのことにおいて、受動ガイドがピペット装置の動きに滴を捕集する装置の動きを機械的に連結する場合に、ピペット装置を動かす駆動装置の早い垂直方向の動きが、滴を捕集する装置の滑らかで比較的に遅い水平方向の動きを誘起する。特定の実施形態において、受動ガイド(27)を包含するフレーム(21)は、さらに第二受動ガイド(28)を包含しても良く、それは調整できる装着部材(26)に対して半径方向に配置される。従って、滴を捕集する装置の着脱可能なトレイ(24)に存在するかもしれない液体は、ピペット装置が垂直方向に移動される時に、放り出されたり撥ね飛ばされたりしない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】固定手段(23)によって滴を捕集する装置に固定されるトレイ支持部(22)、及び可動トレイ(24)の配置を備える、第一(A)と第二(B)の視点からの本発明の第一実施形態の図を示す。
【図2】第一(12)と第二(32)の受動ガイド用突起部を介して、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置を備える、本発明の第一実施形態の図を示す。
【図3】ピペット装置に機械的に取付けられる滴を捕集する装置を備える、分析機器の汚染の可能性を最小にする液体をピペットするための方法及び、ピペットする位置にあるピペット装置(A)と、ピペットする手順の終了時に移動する(B)と、ピペット装置の開口部が滴を捕集する装置によって覆われる(C)とを例示する、本発明の別の実施形態の図を示す。
【図4】第一(12)と第二(32)の受動ガイド用突起部を介して、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置及び、ピペット装置の開口部が滴を捕集する装置によって覆われている(A)と、同様にピペットする位置にあるピペット装置(B)とを備える、本発明の特定の実施形態の図を示す。
【図5】第一(12)と第二(32)の受動ガイド用突起部を介して、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置及び、ピペット装置の開口部が滴を捕集する装置によって覆われている(A)と、同様にピペットする位置にあるピペット装置(B)とを備える、本発明の別の実施形態の図を示す。
【図6】第一(12)の受動ガイド用突起部を介して、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置及び、ピペット装置の開口部が滴を捕集する装置によって覆われている(A)と、同様にピペットする位置にあるピペット装置(B)とを備える、本発明の別の実施形態の図を示す。
【図7】第一(12)と第二(32)の受動ガイド用突起部を介して、ピペット装置(13)に機械的に取付けられる滴を捕集する装置及び、ピペット装置の開口部が滴を捕集する装置によって覆われている(A)と、同様にピペットする位置にあるピペット装置(B)とを備える、本発明の別の実施形態の図を示す。
【符号の説明】
【0039】
11 ピペット先端具
12 第一受動ガイド用突起部
13 ピペット装置
21 フレーム
22 トレイ支持部
23 固定手段
24 着脱可能なトレイ
25 滴捕集容器
26 調整できる装着部材
27 第一受動ガイド
28 第二受動ガイド
31 装着面
32 第二受動ガイド用突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペットからの滴を捕集する装置であって、
前記滴を捕集する装置が、ピペット装置に機械的に取付けられ、前記ピペットの開口部の下に位置するために移動可能になっていて、前記滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きに機械的に連結されている、滴を捕集する装置であって、
− 前記滴を捕集する装置を、前記ピペット装置と前記受動ガイドとを連結するための突起部を含む前記ピペット装置に取付けるための受動ガイドを包含するフレームと、
− 前記滴を捕集する装置が、前記ピペットの前記開口部の下に配置される場合に、液体を受容し混合するために適切な滴捕集容器と、
を少なくとも具備する、滴を捕集する装置。
【請求項2】
前記滴捕集容器が、少なくとも、前記フレームに装着されたトレイ支持部から成る、請求項1に記載の滴を捕集する装置。
【請求項3】
前記滴捕集容器が、前記トレイ支持部を前記フレームに、両面の使用が可能に又は恒久的に取付けるための固定手段をさらに包含する、請求項2に記載の滴を捕集する装置。
【請求項4】
前記滴捕集容器が、着脱可能なトレイをさらに包含する、請求項2と3のいずれか一項に記載の滴を捕集する装置。
【請求項5】
前記着脱可能なトレイが、使い捨て可能な物である、請求項4に記載の滴を捕集する装置。
【請求項6】
前記着脱可能なトレイが、加圧滅菌に耐える材料から作られる、請求項4に記載の滴を捕集する装置。
【請求項7】
前記滴を捕集する装置の上端部を、前記ピペット装置を支持する装着面に接続する調整できる装着部材をさらに包含する、請求項1から6のいずれか一項に記載の滴を捕集する装置。
【請求項8】
分析機器の、前記分析機器に配置される液体及び/又は試料の、汚染の可能性を最小にする、液体をピペットするための方法であって、
− 前記分析機器に、ピペット装置及び前記ピペット装置に機械的に取付けられる滴を捕集する装置を備える段階と、
− ピペットする手順の終了時に、前記ピペット装置を移動する段階と、
− 前記滴を捕集する装置を前記ピペット装置の開口部の下の位置へ移動し、それによって前記ピペットする手順の終了後に、前記滴を捕集する装置が、前記ピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする前記ピペット装置の開口部を覆い、それによって前記分析機器の液体の、及び/又は前記分析機器に配置される液体及び試料の故意でない流出を防止する段階と、
を少なくとも含み、請求項1から7のいずれか一項に記載の滴を捕集する装置が使用される、液体をピペットするための方法。
【請求項9】
− 前記分析機器に、前記滴を捕集する装置が取付けられる装着面を備える段階と、
− 前記ピペット装置の開口部の下に前記滴を捕集する装置を配置する段階と、
− ピペットする手順の開始前に前記装着面に対して前記ピペット装置を移動して、前記滴を捕集する装置の動きを誘起し、それによって前記ピペット装置の開口部を露出する段階と、
− 前記ピペットする手順を実施する段階と、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
分析機器であって、
− 請求項1から7のいずれか一項に記載の滴を捕集する装置と、
− ピペット、及び前記ピペット装置を前記滴を捕集する装置の受動ガイドに連結するための突起部を含む、前記滴を捕集する装置に機械的に取付けられるピペット装置と、
を少なくとも具備する分析機器であって、
前記滴を捕集する装置が、前記ピペットの開口部の下の位置へ移動可能であり、前記滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きに機械的に連結される、分析機器。
【請求項11】
前記ピペット装置を移動するための駆動装置をさらに包含する、請求項10に記載の分析機器。
【請求項12】
前記ピペット装置が、ピペットヘッドに装着される、請求項10と11のいずれか一項に記載の分析機器。
【請求項13】
前記ピペット装置の動きが、垂直方向の動きであり、前記滴を捕集する装置の結果として生じる動きが、水平方向の動きである、請求項10と12のいずれか一項に記載の分析機器。
【請求項14】
前記ピペットヘッドが、1から24個の間の独立したピペット装置を包含する、請求項11から13のいずれか一項に記載の分析機器。
【請求項15】
各々のピペット装置が、滴を捕集する装置に機械的に連結される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記分析機器の範囲内で、前記ピペットヘッドを垂直方向に及び水平方向に移動してもよい、請求項12から15のいずれか一項に記載の分析機器。
【請求項17】
ピペット装置が待機位置にある場合に、前記ピペット装置の開口部の下に滴を捕集する装置を配置する前記ピペット装置の動きに、前記滴を捕集する装置の動きを機械的に連結するための受動ガイドの使用であって、
前記滴を捕集する装置が、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置である、受動ガイドの使用。
【請求項18】
前記受動ガイドが、低減するものとして機能する、請求項17に記載の受動ガイドの使用。
【請求項19】
核酸の精製及び/又は増幅において、ピペット装置と、前記ピペット装置に機械的に取付けられるピペットからの滴を捕集する装置とを、少なくとも具備する分析機器の使用であって、
− 前記滴を捕集する装置が、前記ピペットの開口部の下の位置へ受動的に移動可能であり、それによって前記滴を捕集する装置が、前記ピペット装置から発生する液体を受容し混合することを可能にする、前記ピペット装置の開口部を覆い、それによって前記分析機器の液体の、及び/又は前記分析機器に配置される液体と試料の、故意でない流出を防止する、
− 前記滴を捕集する装置の動きが、前記ピペット装置の動きに機械的に連結される、及び
− 前記滴を捕集する装置が、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置である、
分析機器の使用。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−132939(P2007−132939A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−303275(P2006−303275)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】