説明

漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法、漂白パルプの製造方法、および紙の製造方法

【課題】ECF漂白あるいはTCF漂白した漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、非破壊的に、短時間に、しかも正確に測定できる漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法を提供する。
【解決手段】本発明の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法は、リグノセルロースから調製したパルプ原料を、ISO白色度が80%以上になるまでエレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白した漂白パルプを測定試料として用い、測定試料の230〜240nmの紫外光吸光度からヘキセンウロン酸含量を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロースから調製したパルプ原料をエレメンタリークロリンフリー漂白(以下、ECF漂白という。)あるいはトータリークロリンフリー漂白(以下、TCF漂白という。)した漂白パルプに含まれるヘキセンウロン酸の含量を測定する方法に関する。
また、漂白パルプの製造方法および紙の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙用パルプを得る際には、パルプ原料を分子状塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素などの塩素系の漂白薬品によって漂白することがあった。塩素系漂白薬品の中でも、漂白作用が高い上に、セルロースとの反応性が低く、パルプ強度低下を防止できることから、分子状塩素が特に用いられてきた。
しかし、分子状塩素により漂白した際には、環境への負荷が大きい有機塩素化合物を多く副生しやすいため、近年、分子状塩素を使用しない漂白方法に転換する傾向にある。分子状塩素を使用しない漂白方法としては、分子状塩素は使用しないが、他の塩素系薬品を用いて漂白するECF漂白、塩素系薬品を一切使用しないTCF漂白が知られている。
【0003】
ところが、ECF漂白あるいはTCF漂白して得たパルプは褪色しやすいという問題を有していた。近年、ECF漂白あるいはTCF漂白して得たパルプの褪色原因についての研究が進み、褪色の原因物質が漂白パルプ中に残留したヘキセンウロン酸であることが判明した。なお、このヘキセンウロン酸は分子状塩素によって簡単に分解されるため、分子状塩素を用いて漂白したパルプ中のヘキセンウロン酸量は少なく、褪色も起こりにくく、問題にならなかったものと思われる。
【0004】
ヘキセンウロン酸による褪色を防止する方法としては、漂白薬品として二酸化塩素を添加する量を増やしてヘキセンウロン酸の分解量を増やす方法(特許文献1参照)、高温で酸処理してヘキセンウロン酸を酸加水分解する方法(特許文献2参照)、二酸化塩素による処理を高温下で行うことにより、ヘキセンウロン酸の酸加水分解を促す方法(特許文献3参照)等が提案されている。
しかしながら、いずれの方法を用いても漂白パルプからヘキセンウロン酸を完全になくすことは難しい。そのため、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を測定して、パルプの品質を管理する必要がある。
【0005】
パルプ中のヘキセンウロン酸含量を測定する方法としては、パルプを高温で酸処理し、ヘキセンウロン酸の分解物であるフラン類を測定する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この測定方法は手間と時間を要する上に、パルプを分解しなければならず、オンラインでの測定が困難であるという問題があった。
【0006】
非破壊状態でパルプ中のヘキセンウロン酸の含量を測定する方法も知られている。例えば、非特許文献1には、未漂白パルプに紫外光を照射し、232nmの吸光度と280nmの吸光度からパルプ中のヘキセンウロン酸量を算出する方法が開示されている。しかし、非特許文献1に記載の測定方法では、ヘキセンウロン酸含量を正確に求めることができないことがあった。
【特許文献1】特開2003−96680号公報
【特許文献2】特表平10−508346号公報
【特許文献3】特表2004−522008号公報
【非特許文献1】M.Ragnar、Nordic Pulp and Paper Research Journal Vol.16 P.68 No.1/2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ECF漂白あるいはTCF漂白した漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、非破壊的に、短時間に、しかも正確に測定できる漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法を提供することを目的とする。
また、本発明の目的は、褪色が防止された漂白パルプを製造できる漂白パルプの製造方法、褪色が防止された紙を製造できる紙の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、230〜240nmの紫外光吸収度を測定してもヘキセンウロン酸含量を正確に求めることができない理由について調べた結果、パルプ中にリグニンが含まれていると、その影響により正確に測定できないことを見出した。さらに、パルプのISO白色度が80%以上になるまで脱リグニンを進めると、230nm〜240nmの吸光度へのリグニンの影響を排除できることを見出した。そして、これらの知見に基づき、以下の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法、漂白パルプの製造方法、および紙の製造方法を発明した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1] リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料を、ISO白色度が80%以上になるまでエレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白した漂白パルプを測定試料として用い、
測定試料の230〜240nmの紫外光吸光度からヘキセンウロン酸含量を求めることを特徴とする漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
[2] 前記漂白パルプがスラリー状である[1]に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
[3] 前記漂白パルプがシート状である[1]に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
[4] リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料を、ISO白色度が80%以上になるまで連続的にエレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白して、スラリー状の漂白パルプを連続的に製造する方法であって、
スラリー状の漂白パルプの一部を連続的に採取する採取工程と、採取したスラリー状の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、請求項2に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法により連続的に測定する測定工程と、測定されたヘキセンウロン酸含量を基に漂白パルプを管理する管理工程とを有することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
[5] 管理工程では、測定工程にて測定されたヘキセンウロン酸含量が所定の範囲内になるように、エレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白の漂白条件を変更する[4]に記載の漂白パルプの製造方法。
[6] [4]または[5]に記載の漂白パルプの製造方法により得た漂白パルプを酸性条件下で抄紙することを特徴とする紙の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法によれば、ECF漂白あるいはTCF漂白した漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、非破壊的に、短時間に、しかも正確に測定できる。したがって、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を測定することで漂白パルプを容易に管理でき、例えば、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量が所定の範囲になるように漂白条件を変更することによって管理できる。
本発明の紙の製造方法によれば、褪色が防止された紙を製造できる
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法>
本発明の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法は、リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料をECF漂白あるいはTCF漂白した漂白パルプを測定試料として用い、測定試料の紫外光吸光度からヘキセンウロン酸含量を求める方法である。
【0012】
(パルプ原料)
パルプ原料は、例えば、リグノセルロースを蒸解することによって得ることができる。
ここで、リグノセルロースは、木質材料など、リグニンを含むセルロースのことである。リグノセルロースはパルプの原料として一般的に使用される。
リグノセルロースとしては、例えば、広葉樹材、針葉樹材、竹や麻のような非木材、あるいはこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、ヘキセンウロン酸を生成するメチルグルクロン酸を多く含有し、本発明の測定方法がとりわけ有用になる点では、広葉樹材が好適である。
【0013】
リグノセルロースの蒸解法としては、例えば、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を適用することができる。これらの中でも、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好ましい。
【0014】
広葉樹材100質量%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合には、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%であることが好ましく、15〜45%であることがより好ましい。有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。蒸解温度は130〜170℃であることが好ましい。
このような条件とすることにより、充分に蒸解させることができ、しかも原料およびエネルギーの浪費を抑えることができる。
【0015】
蒸解方式は連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のいずれであってもよい。連続蒸解法を適用する場合には、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法を適用してもよく、その方式は特に制限はない。
【0016】
蒸解に際しては蒸解助剤を用いることができる。蒸解助剤としては、公知の環状ケト化合物、例えば、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記環状ケト化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記環状ケト化合物の還元型であるアントラヒドロキノンなどのヒドロキノン系化合物が挙げられる。また、蒸解助剤としては、ディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物が挙げられる。蒸解助剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
蒸解助剤の添加量は、リグノセルロースの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%であることが好ましい。蒸解助剤の添加量が、リグノセルロースの絶乾質量当たり0.001質量%以上であれば、蒸解をより促進することができる。ただし、1.0質量%を超えて蒸解助剤を添加しても、添加量に応じた効果が発揮されず、コストが高くなるだけである。
【0017】
(漂白パルプ)
漂白パルプは、上記パルプ原料を、ECF漂白あるいはTCF漂白したものである。
ECF漂白では、漂白薬品として、分子状塩素を使用せずに、例えば、二酸化塩素、オゾン、過酸化水素、過酸などを用いる。
また、ECF漂白では、多段で漂白することができる。例えば、二酸化塩素段(以下、D段またはDということがある。)、オゾン段(以下、Z段またはZということがある。)、アルカリ抽出段(以下、E段またはEということがある。)、酸素添加アルカリ抽出段(以下、Eo段またはEoということがある。)、過酸化水素添加アルカリ抽出段(以下、Ep段またはEpということがある。)、酸素、過酸化水素添加アルカリ抽出段(以下、Eop段またはEopということがある。)、過硫酸、過酢酸等の過酸段(以下、Pa段またはPaということがある。)、酸処理段(以下、A段またはAということがある。)等の各漂白段を組み合わせた漂白シーケンスを適用することができる。組み合わせる段数は目的に応じて適宜選択すればよく、例えば、漂白を高めたい場合には段数を増やせばよい。
ECF漂白における具体的な漂白シーケンスとしては、D−E−D、Z−E−D、Z/D−E−D、D−Eo−D、Z−Eo−D、Z/D−Eo−D、D−Ep−D、Z−Ep−D、Z/D−Ep−D、D−Eop−D、Z−Eop−D、Z/D−Eop−D、Pa−D−Ep−D、D−Ep−D−Pa、D−Eop−D−Pa、A−D−Eop−D、A−Z−Eop−D、A−Z/D−Eop−D、等が挙げられる。
【0018】
二酸化塩素漂白条件、オゾン漂白条件、オゾン/二酸化塩素漂白条件、アルカリ抽出条件、酸素添加アルカリ抽出条件、酸素過酸化水素添加アルカリ抽出条件、過酸漂白条件は特に限定されるものではなく、目的に応じて、適宜変更することができる。
【0019】
TCF漂白では、漂白薬品として、塩素系薬品を使用せずに、例えば、オゾン、過酸化水素、過酸などを用いる。
TCF漂白においても多段で漂白することができる。例えば、Z段、E段、Eo段、Ep段、Pa段の各漂白段を組み合わせた漂白シーケンスを適用することができる。
ECF漂白における具体的な漂白シーケンスとしては、Z−Eo−P、Z−Eop−P、Pa−Eop−P、Z/Pa−Eop−P、Z−Eop−Pa、Z−Eop−Pa−P等が挙げられる。
【0020】
漂白は、ISO白色度が80%以上になるまで行う。ここで、ISO白色度とは、JIS P 8148に従って測定された拡散反射方式による白色度のことである。ISO白色度は、例えば、市販の白色度計、ISO白色度を測定可能な分光光度計等により測定することができる。
ISO白色度が80%未満であると、残留リグニン量が多くなり、230〜240nmの紫外光吸光度に影響を及ぼし、ヘキセンウロン酸含量を正確に測定できない。
ISO白色度を80%以上にするためには、例えば、漂白薬品の添加量を増やしたり、漂白時の温度を高くしたり、漂白段数を増やしたりすればよい。
【0021】
また、漂白パルプは、ISO白色度が90%以下とすることが好ましく、85%以下とすることがより好ましい。漂白パルプのISO白色度が90%以下であると、褪色の問題が生じやすいため、本発明の効果がより発揮される。
【0022】
漂白パルプの形態としては、スラリー状であってもよいし、シート状であってもよい。ただし、抄紙用パルプ製造時にオンラインで測定するには、スラリー状で測定することが好ましい。
オフラインでヘキセンウロン酸含量を測定する場合には、測定が容易になることから、漂白パルプの形態がシート状であることが好ましい。シート状である場合には、乾燥状態であってもよいし、湿紙状態であってもよい。
【0023】
ECF漂白あるいはTCF漂白の前には、アルカリ酸素漂白し、洗浄することができる。また、アルカリ酸素漂白の前には、パルプ原料を洗浄、粗選及び精選してもよい。
【0024】
アルカリ酸素漂白は、酸素およびアルカリを用いて漂白する工程である。
アルカリ酸素漂白としては、公知の中濃度法あるいは高濃度法を適用できるが、汎用性の点からは、中濃度法が好ましい。
中濃度法では、酸素ガスおよびアルカリをミキサーにてパルプスラリーに添加し、充分に混合した後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、反応塔内で脱リグニンして漂白する。
中濃度法によるアルカリ酸素漂白法で使用するアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)あるいは酸化されたクラフト白液などが挙げられる。
酸素ガスとしては、例えば、深冷分離法により得た酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)により得た酸素、VSA(Vacuum Swing
Adsorption)により得た酸素等を使用できる。
【0025】
中濃度法におけるアルカリ酸素漂白においては、パルプ濃度は8〜15質量%であることが好ましい。パルプ濃度が8質量%より低くなると、パルプスラリーの容積が大きくなり、反応塔が大規模となるため適さない。一方、15質量%よりも大きくなると、反応ミキサーの負荷が大きくなり、設備を重厚なものにしなければならないため適さない。
酸素ガスの添加量は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%であることが好ましい。酸素ガス添加量が0.5質量%より低くなると、漂白効果が小さくなるため適さない。一方、3質量%よりも高くしても漂白反応がそれ以上進まず、不経済となるため適さない。アルカリの添加量は絶乾パルプ質量当たり0.5〜4質量%であることが好ましい。アルカリ添加量が0.5質量%より低くなると、漂白効果が小さくなるため適さない。一方、4質量%よりも高くしても漂白反応がそれ以上進まず、不経済となるため適さない。
漂白時の反応温度は80〜120℃であることが好ましい。反応温度が80℃より低くなると、漂白効果が小さくなるため適さない。一方、120℃よりも高くしても漂白反応がそれ以上進まないばかりか、パルプ収率が低下し、不経済となるため適さない。
反応時間は15〜100分であることが好ましい。反応温度が15分より短くなると、漂白効果が小さくなるため適さない。一方、100分より長くしても漂白反応がそれ以上進まない上に反応塔が大規模となるため適さない。
アルカリ酸素漂白は、複数回繰り返すことが好ましい。アルカリ酸素漂白を繰り返せば、リグニンをより除去して漂白でき、また、重金属の含有量を少なくできる。
【0026】
(紫外光吸収度の測定)
測定試料の紫外光吸光度は、230〜240nm、好ましくは232〜234nmの紫外光によって測定する。230nmより小さい波長や240nmより大きい波長の吸光度を測定しても漂白パルプ中のヘキセンウロン酸量と相関しないため適さない。
【0027】
紫外光吸光度を測定する機器としては、特に限定されるものではなく、オフラインで漂白パルプをシート状で測定する場合には、汎用の卓上型分光光度計などを用いることができる。
また、漂白パルプがスラリー状である場合には、多段漂白の途中で280nmの吸光度を測定する汎用のオンラインカッパー価計の吸収波長を、230〜240nmに変更したものを用いることができる。このようにカッパー価計を改造したものを用いることにより、オンラインでの測定が可能となる。
【0028】
紫外光吸収度からヘキセンウロン酸含量を求めるためには、紫外光吸収度に対するヘキセンウロン酸含量の検量線を予め作成する。そして、測定試料の紫外光吸収度を測定し、紫外光吸収度および検量線に基づいてヘキセンウロン酸含量を求める。
検量線の作成方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
すなわち、まず、ISO白色度が80%以上であって、ISO白色度が異なる3種以上の漂白パルプを用意し、これら漂白パルプの230〜240nmの紫外光吸収度を測定する。また、各漂白パルプに水、ギ酸およびギ酸ナトリウムを加え、ヘキセンウロン酸を酸加水分解し、ろ過し、ろ別された溶液中に存在するセンウロン酸の酸加水分解物である2−フラン酸と5−カルボキシ−2−フランアルデヒドを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて定量し、そのモル量の合計から元のヘキセンウロン酸含量を求める。そして、ヘキセンウロン酸含量に対する230〜240nmの紫外光吸収度をプロットして、検量線を作成する。
【0029】
以上説明したヘキセンウロン酸の測定方法では、測定試料として、ISO白色度が80%以上になるまでECF漂白あるいはTCF漂白し、リグニン量が少ない漂白パルプを用いる。リグニンの紫外光吸光度はヘキセンウロン酸と同様に230〜240nmであるため、リグニン等の共存物質が多いと、230〜240nmの紫外光吸光度を測定してもヘキセンウロン酸含量を正確に求めることは困難である。しかし、本発明の測定方法では測定試料中のリグニン量を少なくしているため、230〜240nmの紫外光吸収度とヘキセンウロン酸含量とが相関する。したがって、230〜240nmの紫外光吸光度を測定することにより、ヘキセンウロン酸の含量を正確に求めることができる。
一般に紫外光は、水による吸収が少ないため、漂白パルプがスラリー状であっても、230〜240nmの紫外光吸収度とヘキセンウロン酸含量との相関関係は成立するものと考えられる。したがって、漂白パルプがパルプスラリーの状態であっても、ISO白色度が80%以上であれば、230〜240nmの紫外光吸光度から漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を正確に測定できると思われる。
【0030】
また、紫外光吸収度の測定は非破壊的であり、しかも短時間に測定できるから、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を非破壊的に、かつ短時間に測定できるため、パルプスラリーを用いてオンラインで測定し、管理することが可能となる。
【0031】
この測定方法によりヘキセンウロン酸含量を測定することにより、所定の範囲内にある漂白パルプのみを抄紙用パルプとして用いることができるため、褪色のトラブルを未然に防ぐことができる。
【0032】
また、TCF漂白およびECF漂白では、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量に応じて、例えば酸処理時や高温二酸化塩素漂白時の温度を適宜変更することができる。具体的には、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量が多い場合には漂白時の温度を高め、少ない場合には温度を低くすることができる。このように、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量に応じて漂白時の温度を変更すれば、エネルギーの浪費を防ぐことができる。
【0033】
さらに、TCF漂白およびECF漂白では、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量に応じて、漂白薬品の使用量を適宜変更することができる。例えば、ヘキセンウロン酸の分解能を有する二酸化塩素やオゾンと分解能を有さない過酸化水素とを共に漂白薬品として使用する場合、漂白パルプのヘキセンウロン酸量の値を基にして二酸化塩素と過酸化水素の使用割合を適宜変更できる。具体的には、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量が多い場合には二酸化塩素の使用割合を増やし、少ない場合には過酸化水素の使用割合を増やすことができる。このように、ヘキセンウロン酸含量に応じて漂白薬品を変更すれば、高額の薬品の使用量を少なくして、漂白薬品コストを低減することもできる。
【0034】
<漂白パルプの製造方法>
本発明の漂白パルプの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の漂白パルプの製造方法では、スラリー状の漂白パルプを製造するための漂白装置と、漂白装置から漂白パルプの一部を連続的に採取する採取管と、採取管により採取したスラリー状の漂白パルプの白色度を測定する白色度計と、上述した漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法により、採取管により採取したスラリー状の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を連続的に測定するヘキセンウロン酸含量測定装置(以下、測定装置と略す。)とを備える製造装置を用いる。
【0035】
白色度計としては、市販のオンライン白色度計を使用できるほか、ISO白色度を測定可能な分光光度計を白色度計として用いることができる。
【0036】
測定装置としては、例えば、漂白パルプの測定試料を収容する試料収容体と、試料収容体中の漂白パルプの230〜240nmの紫外光吸収度を測定する紫外光吸光度測定機とを備えるものが使用される。
この測定装置では、採取管により採取した漂白パルプを連続的に試料収容体に供給し、紫外光吸光度測定機によってヘキセンウロン酸含量を連続的に測定することができる。
【0037】
本実施形態の製造方法では、漂白装置によって、リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料を、白色度計により測定したISO白色度が80%以上になるまで連続的にECF漂白あるいはTCF漂白して、スラリー状の漂白パルプを連続的に製造する。
また、本実施形態の製造方法では、採取管により漂白装置からスラリー状の漂白パルプの一部を連続的に採取し、測定装置によって、採取したスラリー状の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、上述した漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法により連続的に測定する。
そして、測定されたヘキセンウロン酸含量を基に漂白パルプを管理する。高い精度で漂白パルプを管理できる点では、測定されたヘキセンウロン酸含量が所定の範囲内になるように、ECF漂白あるいはTCF漂白の漂白条件を変更することが好ましい。例えば、ヘキセンウロン酸含量が所定の範囲より大きくなった場合には、漂白薬品の添加量を増やしたり、漂白温度を高くしたりする。
また、ヘキセンウロン酸含量が所定の範囲外の漂白パルプを抄紙工程に搬送しないようにすることで、漂白パルプを管理することもできる。
【0038】
上記漂白パルプの製造方法によれば、得られる漂白パルプのヘキセンウロン酸含量を容易に所定の範囲内にすることができる。したがって、褪色を防止した漂白パルプを得ることができる。よって、この漂白パルプを抄紙すれば、褪色を防止した紙を製造することができる。
【0039】
なお、本発明の漂白パルプの製造方法は上記実施形態に限定されない。例えば、漂白パルプのISO白色度が確実に80%以上になるようにECF漂白あるいはTCF漂白する場合には、白色度計を省略することができる。白色度計を省略した場合には、ヘキセンウロン酸含量のみを基に漂白パルプを抄紙用パルプとして使用する。
【0040】
<紙の製造方法>
本発明の紙の製造方法は、上述した漂白パルプの製造方法により製造した漂白パルプを酸性条件下で抄紙する方法である。
抄紙方法としては、長網式抄紙機、円網式抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機など抄紙機を用いた方法などが挙げられる。
酸性条件とはパルプスラリーのpHが7.0未満のことであるが、pH6.5以下が好ましい。pH6.5以下で抄紙して得た紙では、紙の褪色が起こりやすいため、本発明の効果がとりわけ発揮される。
pHの調整方法としては、例えば、硫酸や硫酸バンドを添加するのが一般的であるが、特に限定されるものではない。
抄紙後には、公知の方法で脱水、乾燥、平滑化を行うことができる。
【0041】
本発明の紙の製造方法では、上述した漂白パルプの製造方法により製造した漂白パルプ、すなわちヘキセンウロン酸含量を所定の範囲内とした漂白パルプを抄紙するため、褪色を防止した紙を得ることができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における「%」は「質量%」を意味する。
【0043】
実施例、比較例におけるパルプのISO白色度、紫外光吸光度およびヘキセンウロン酸含量の測定は以下の方法で行った。
(パルプの白色度および紫外光吸光度の測定)
漂白パルプを離解後、JIS P 8209に従って坪量60g/mのシートを作製し、風乾した後、分光白色度測色計(SUGA社製)を用い、JIS P 8148に従ってISO白色度を測定した。
また、UV3100PC(島津製作所社製)を用いてシートの200nmから500nmの紫外光吸光度を測定した。
【0044】
(パルプ中のヘキセンウロン酸の定量分析)
完全洗浄したパルプを絶乾質量で5g採り、全水分量が150mlになるように超純水を加えた後、ギ酸0.0564g、ギ酸ナトリウム0.0208gを加えよく攪拌した。攪拌後、全量を耐圧容器に移し、110℃で5時間処理し、ヘキセンウロン酸を酸加水分解した。その後、ろ過し、ろ別された溶液中に存在するヘキセンウロン酸の酸加水分解物である2−フラン酸と5−カルボキシ−2−フランアルデヒドを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて定量し、そのモル量の合計から元のヘキセンウロン酸量を求めた。
【0045】
実施例1
アカシア・マンギュームを絶乾200g採取し、液比4、絶乾チップ質量当たり有効アルカリ22%、蒸解液の硫化度28%、蒸解温度155℃、蒸解時間120分の条件下で実験用間接加熱式オートクレーブを用いてクラフト蒸解した。蒸解後、廃液とパルプを分離し、パルプは10カットのスクリーンプレートを備えたフラットスクリーンで精選した。次いで、精選後の未漂白クラフトパルプを絶乾質量で70.0g採取し、絶乾パルプ質量当たり水酸化ナトリウムを2.0%添加し、次いでイオン交換水で希釈してパルプ濃度を10%に調整した。濃度調整した未漂白パルプスラリーを間接加熱式オートクレーブに入れ、さらに99.9%の市販の圧縮酸素ガスを注入してゲージ圧力を1MPaとし60分間反応させて、アルカリ酸素漂白を行った。反応終了後、ゲージ圧力が0.05MPa以下になるまで減圧し、パルプをオートクレーブから取り出し、イオン交換水7リットルを用いて洗浄、脱水した。
【0046】
前記アルカリ酸素漂白後のクラフトパルプを絶乾質量で60g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した。さらに、絶乾パルプ質量当たり1.2%の二酸化塩素を添加してよく攪拌した後、温度が70℃の恒温水槽に30分間浸漬して1回目のD段処理を行った。処理終了後、パルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
前記1回目のD段後のパルプを絶乾質量で50g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を加えてパルプ濃度を10%に調整した。さらに、絶乾パルプ質量当たり水酸化ナトリウムを1.0%、過酸化水素を0.1%添加してよく混合した後、温度が70℃の恒温水槽に90分間浸漬して、Ep段の抽出を行った。抽出終了後、パルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
前記Ep段後のパルプを絶乾質量で45g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度10%に調整した。さらに、絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%と水酸化ナトリウムを0.05%添加してよく攪拌した後、温度が70℃の恒温水槽に180分間浸漬して、2回目のD段の漂白を行った。漂白終了後、パルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。このようにして、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプの白色度、ヘキセンウロン酸含量、230nm、232nm、234nm、240nmの紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0047】
実施例2
実施例1のアカシア・マンギュームをアカシア・ハイブリッド(アカシア・マンギュームとアウリカルホルミスの交雑種)に、蒸解時の有効アルカリを20%に、1回目のD段での二酸化塩素添加率を0.95%に変更した以外は、実施例1と同様に蒸解、アルカリ酸素漂白および多段漂白を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0048】
実施例3
実施例1のアカシア・マンギュームをユーカリ・ナイテンスに、蒸解時の有効アルカリを16%に、1回目のD段での二酸化塩素添加率を0.45%に変更した以外は、実施例1と同様に蒸解、アルカリ酸素漂白および多段漂白を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0049】
実施例4
実施例1のアカシア・マンギュームをユーカリ・グロブラスに、蒸解時の有効アルカリを15%に、1回目のD段での二酸化塩素添加率を0.30%に変更した以外は、実施例1と同様に蒸解、アルカリ酸素漂白および多段漂白を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0050】
実施例5
実施例1のアカシア・マンギュームをユーカリ・カマルドレンシスに、蒸解時の有効アルカリを19%に、1回目のD段での二酸化塩素添加率を0.40%に変更した以外は、実施例1と同様に蒸解、アルカリ酸素漂白および多段漂白を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0051】
実施例6
実施例4と同じユーカリ・グロブラスを原料としたアルカリ酸素漂白後のクラフトパルプを絶乾質量で50g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水および硫酸を添加してパルプ濃度10%、pH2.5に調整した。濃度調整したパルプスラリーを、中濃度ミキサーに入れ、絶乾パルプ質量当たり0.7%のオゾンを添加し、50℃の条件で1分間撹拌、反応させた。反応後のパルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄した。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0052】
実施例7
実施例5の1回目のD段での二酸化塩素添加率を0.55%に、Ep段での過酸化水素添加率を0.5%に変更した以外は、実施例5と同様に蒸解、アルカリ酸素漂白および多段漂白を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0053】
比較例1
実施例6のオゾン添加率を0.5%に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0054】
比較例2
実施例6のオゾン添加率を0.3%に変更した以外は、実施例6と同様の操作を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0055】
比較例3
実施例4と同じユーカリ・グロブラスを原料としたアルカリ酸素漂白後のクラフトパルプを絶乾質量で30g採取し、プラスチック袋に入れ、イオン交換水を用いてパルプ濃度を10%に調整した。さらに、絶乾パルプ質量当たり1.2%の二酸化塩素を添加してよく攪拌した後、温度が70℃の恒温水槽に30分間浸漬して1回目のD段処理を行った。処理終了後、パルプをイオン交換水で3%に希釈した後、ブフナーロートで脱水、洗浄して、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0056】
比較例4
比較例3の二酸化塩素添加率を1.2%に変更した以外は、比較例3と同様の操作を行って、漂白パルプを得た。
得られた漂白パルプのISO白色度、ヘキセンウロン酸含量、紫外光吸光度をそれぞれ表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
図1に、232nmの紫外光吸収度に対するヘキセンウロン酸含量をプロットした図を示す。この図から明らかなように、ISO白色度が80%以上の漂白パルプであれば、シートの232nmの紫外光吸光度と漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量とが相関性を有していた。したがって、ISO白色度が80%以上になるまで漂白した漂白パルプの230〜240nmの紫外光吸収度を測定することにより、漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を正確に求めることができる。
これに対し、ISO白色度が80%未満の場合には、232nmの紫外光吸光度と漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量とが相関していなかった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】紫外光吸光度に対して漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量をプロットしたグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料を、ISO白色度が80%以上になるまでエレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白した漂白パルプを測定試料として用い、
測定試料の230〜240nmの紫外光吸光度からヘキセンウロン酸含量を求めることを特徴とする漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
【請求項2】
前記漂白パルプがスラリー状である請求項1に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
【請求項3】
前記漂白パルプがシート状である請求項1に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法。
【請求項4】
リグノセルロースを用いて調製したパルプ原料を、ISO白色度が80%以上になるまで連続的にエレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白して、スラリー状の漂白パルプを連続的に製造する方法であって、
スラリー状の漂白パルプの一部を連続的に採取する採取工程と、採取したスラリー状の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量を、請求項2に記載の漂白パルプ中のヘキセンウロン酸含量の測定方法により連続的に測定する測定工程と、測定されたヘキセンウロン酸含量を基に漂白パルプを管理する管理工程とを有することを特徴とする漂白パルプの製造方法。
【請求項5】
管理工程では、測定工程にて測定されたヘキセンウロン酸含量が所定の範囲内になるように、エレメンタリークロリンフリー漂白あるいはトータリークロリンフリー漂白の漂白条件を変更する請求項4に記載の漂白パルプの製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の漂白パルプの製造方法により得た漂白パルプを酸性条件下で抄紙することを特徴とする紙の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−266798(P2008−266798A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106876(P2007−106876)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(506213809)メッツォオートメーション株式会社 (4)
【Fターム(参考)】