説明

漂白触媒顆粒物の製造方法

漂白触媒、酸性ポリマー、キャリア材料、場合によっては及び更に別の添加剤を含む漂白触媒顆粒物の製造方法であって、流動床装置中でキャリア材料から流動床を形成し、そして漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては更に別の添加剤を含む水性溶液または懸濁液を前記流動床中に計量添加し、そして造粒及び乾燥することを特徴とする前記方法が特許請求される。この方法は、次式(1)


[式中、R、R1、R2、R3及びXは明細書に記載の意味を有する]
で表される漂白触媒に特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、漂白触媒及び酸性成分、場合によっては及び更に別の添加剤を含む顆粒物の製造方法であって、漂白触媒及び酸性成分を含む水性溶液または懸濁液を、空気で発生させた流動床中で造粒し、それと同時に乾燥することを含む前記方法である。この流動床顆粒物は、非常に良好な貯蔵安定性、均一な形態及び高い耐摩耗性に優れる。
【背景技術】
【0002】
洗剤及び洗浄剤中に漂白触媒を使用すると、低い使用濃度においても、洗浄温度が低い場合でさえも非常に効果的なシミの除去が可能になる。
【0003】
以下の式(1)
【0004】
【化1】

【0005】
で表される化合物、並びに前記式(1)の化合物を配位子として含む有機金属錯体化合物は、非常に強力な漂白触媒である。上記式(1)において、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、C1-C4アルコキシ、-NH-CO-H、-NH-CO-C1〜C4-アルキル、-NH2、-NH-C1〜C4-アルキルを意味し、R1及びR2は、互いに独立して、C1〜C4アルキル、C6〜C10アリール、またはヘテロ原子を含む基、好ましくは (CH2)z-2-ピリジルを意味し、この際、zは1〜5の数を表し; R3は、水素またはC1〜C4-アルキルを意味し、そしてxはC=Oまたは-[C(R)2]y-を表し、この際、yは0〜3の数を意味し、そしてRは水素、ヒドロキシル、C1〜C4-アルコキシまたはC1〜C4-アルキルを意味する。
【0006】
前記有機金属錯体化合物は、次式2によって表される。
【0007】
[MaLkXn]Ym (2)
式中、Mは、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Fe(V)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ti(II)、Ti(III)、Ti(IV)、V(II)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(II)、Mo(III)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)及びW(IV)、W(V)及びW(VI)、好ましくはFe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Fe(V)を意味し、
Lは、上記式(1)の配位子、好ましくはジメチル−2,4−ジ(2−ピリジル)−3−メチル−7−(ピリジン−2−イルメチル)−3,7−ジアザビシクロ(3.3.1)ノナン−9−オン−1,5−ジカルボキシレートまたはそれのプロトン化された形のものを意味し、
Xは、Mと配位結合を結ぶことができる、単荷電、二荷電または三荷電のアニオンあるいは中性分子を意味し、
Yは、非配位性対イオンを意味し、そして
aは、1〜10の整数を意味し、
kは、1〜10の整数を意味し、
nは、0〜10の整数を意味し、
mは、0〜20の整数を意味する。
【0008】
上記式(I)の配位子及び上記式(2)の金属錯体の製造法は、国際公開第02/48301号パンフレットに記載されている。
【0009】
これらの錯体化合物を、漂白剤調合物中に顆粒物の形で使用することは国際公開第02/066592号パンフレットに記載されている。その明細書によると前記顆粒物の製造は、漂白触媒を乾燥した粉末の形で、硫酸ナトリウム、及びバインダー(例えば、Sokalan(R)CP45などの酸性ポリマー)の水溶液と、高速ミキサー中で混合し、次いで得られた含湿の顆粒物を流動床中で乾燥することによって行われる。
【0010】
しかし、触媒を水性溶液または懸濁液から調製する場合には、一連の方法技術上の問題が生じ得る。
【0011】
系内の水の管理を考えると、触媒溶液の導入の際に、あまりにも多量の水がミキサー中に持ち込まれると、過度に湿潤することによって集塊物が生じるというリスクがある。これは、特に、液体負荷容量が少ないキャリア材料、例えば上記の特に好ましい硫酸ナトリウムを使用すべき場合に予期される。より好適なキャリア材料は、例えば、シリカ、ベントナイト、ゼオライトまたはこれらの類似物などであることできるが、これらは、大概は、水に不溶性なことまたは他の不相溶性(例えばアルカリ性pH値)の欠点を有する。更に、これらのキャリア材料には、負荷限界が超過して、集塊物の形成や、粗大な材料が増えたりするというリスクもある。
【0012】
更なる問題は、適当なバインダーの選択の際にも生じ得る。先ず、顆粒物を酸性pH値に調節することによって、洗剤粉末調合物の活性成分のアルカリ加水分解を低減もしくは防止し、それによって化学的貯蔵安定性を大きく向上することは多くの場合に有利であることは判明している。これに特に好ましいものは、バインダーとしての機能の他、酸性pH値の調節も可能にするバインダーである。これには、ポリカルボキシレートやそれのコポリマー、例えば上述のSokalan CP 45が慣用されている。欠点は、所望のpH値機能を有するこれらの材料は、しばしば、水溶液としてしか入手できないことである。このような状況の結果、バインダー溶液を介して余分な水分が系内に導入されてしまうために、混合工程における水の管理の制御の際の上述の問題が悪化する。
【0013】
更に、触媒溶液または懸濁液をバインダー溶液と一緒に液体混合物として配量添加すべき場合にも問題が生じ得る。この際、混合物として一緒に配量添加することは望ましいことである。なぜならば、一方では、方法技術上の煩雑さが軽減されるし、また他方では最適な酸保護機能を有する均一な顆粒物組成が達成されるからである。しかし、他の材料系からも知られているように(例えば、数種のSokalanバインダーとカチオン性界面活性剤との混合物)、触媒溶液とバインダー溶液との間には、深刻な不相溶性の問題が生じ得る。これは、直接の化学反応(例えば、変色することから分かる)によって現れるが、造粒工程の制御性を妨げる析出、凝集などによっても現れる。
【0014】
最後に、漂白触媒を含む完成した顆粒物に対する要件を考えると、顆粒物の処方の決定には更に別の観点からも考慮すべきことがある。化学的性質(例えば性能、貯蔵安定性)に対する要求の他に、物理的性質に対する要求も満たすべきである。この際、問題なく取り扱えることが非常に重要である。すなわち、顆粒物は、例えば、湿分の吸収によってしばしば起こるケーキングの低い発生傾向、または高い摩耗安定性を有するべきである。しかし、この際、顆粒物の組成の最適化にあたっては、その性能は損なわれてはならないが、これは、しばしば、摩耗安定性及び良好な溶解性と矛盾することが分かっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それゆえ、改良された顆粒物調合物のための適切な方法を提供するという課題があった。この際、一方では、上記の方法技術上の困難さが避けられ、そして問題のない安定した方法を可能にすることが狙いであり、他方では、顆粒物についての上記の要求を満たす調合物を製造することも狙いである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、漂白触媒、酸性成分、場合によっては及び更に別の添加剤を含む水性混合物を、流動床中で適当なキャリア材料上に噴霧し、そして造粒及びそれと同時に乾燥することによる造粒方法によって上記の課題が解決されることが見出された。
【0017】
それゆえ、本発明の対象は、漂白触媒、酸性ポリマー、キャリア材料、場合によっては及び更に別の添加剤を含む漂白触媒顆粒物の製造方法である。この方法は、流動床装置中でキャリア材料から流動床を形成し、漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては及び更に別の添加剤を含む水性溶液または懸濁液を前記流動床中に計量添加し、そして造粒及び乾燥することを含む。
【0018】
こうして得られた顆粒物には、次いで、それ自体公知の方法に従いコーティングを施すことができる。
【0019】
本発明の漂白触媒としては、好ましくは、上に定義した式(1)の化合物、並びに上記式(1)の化合物を配位子として含む上記式(2)の金属錯体が挙げられる。好ましいものは、ジメチル−2,4−ジ−(2−ピリジル)−3−メチル−7−(ピリジン−2−イル−メチル)−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オン−1,5−ジカルボキシレート化合物である。
【0020】
本発明方法において使用される酸性ポリマーは、好ましくは水溶性酸性ポリマーである。水溶性とは、20℃の温度において5g/Lより多量に可溶性であることを意味する。これらのポリマーの1%濃度溶液は、<7、好ましくは<5.5のpH値を有する。使用されるポリマーは、通常は、1000〜280,000、好ましくは1500〜150,000の範囲の分子量を有する。
【0021】
好ましいものはポリマー性ポリカルボキシレートである。ポリマー性ポリカルボキシレートは、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸のホモポリマーまたはコポリマー、これらの酸と、ビニルエーテル(例えば、ビニルメチルエーテルまたはビニルエチルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニル)、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びにエチレン、プロピレンもしくはスチレンとのコポリマー、並びにこれらのポリマーの水溶性塩であることができる。特に好適なものは、アクリル酸のポリマー、変性されたポリアクリレート、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、並びにマレイン酸とオレフィンとのコポリマーである。この種のポリマーは、例えば、Sokalan(R)の名称で商業的に入手することができる。好ましいものは、Sokalan CP 12S及びSokalan CP13Sのタイプである。
【0022】
本発明方法で使用されるキャリア材料は、無機及び/または有機系のものであることができる。無機キャリアとしては、微結晶性の合成ゼオライト、例えばゼオライトA、X及び/またはP、あるいはこれらのゼオライトの混合物、並びに非晶質アルカリシリケートまたは結晶性層状シリケート、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、並びにクエン酸三ナトリウム、またはこれらのキャリア物質の混合物が好適である。また、アルカリ性、中性または酸性ナトリウムまたはカリウム塩の形で存在することができるアルカリホスフェートも好適である。これの例は、リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、いわゆるヘキサメタリン酸ナトリウム、5〜1000、特に5〜50のオリゴマー化度を有するオリゴマー性リン酸三ナトリウム、並びにナトリウム塩及びカリウム塩からなる混合物である。好ましいキャリア材料の一つは硫酸ナトリウムである。
【0023】
本発明方法に従い製造される漂白触媒顆粒物は、完成した顆粒物を基準にして、30重量%〜99重量%、好ましくは50重量%〜90重量%、特に好ましくは80重量%〜88重量%の量でキャリア材料を含むことができる。
【0024】
本発明に従い製造される漂白触媒顆粒物は、更に別の材料として、追加のバインダー、酸性添加剤または造粒助剤を含むことができる。
【0025】
バインダーとしては、セルロース及びスターチ、並びにこれらのエーテルまたはエステル、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)またはヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及び対応するスターチ誘導体、並びに成膜性ポリマー、例えばポリアクリル酸またはそれの塩が挙げられる。バインダーの量は、完成した顆粒物を基準にして、0〜45重量%、好ましくは1〜30重量%であることができる。
【0026】
追加の酸性添加剤としては、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、リン酸水素ナトリウム、ホスホン酸及びこれの塩、カルボン酸またはこれの塩、例えば無水もしくは水和した形のクエン酸、グリコール酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタール酸、無水グルタール酸、アジピン酸、無水アジピン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、酒石酸、乳酸、マンデル酸、ピルビン酸、サリチル酸、アスコルビン酸、フマル酸、レチノイン酸、安息香酸、コウジ酸、果実酸、リンゴ酸、グルコン酸、スルホン酸及びアミドスルホン酸が好適である。
【0027】
本発明に従い使用される上記の酸性ポリマー、特にSokalanタイプのポリマーの他の酸性添加剤の量は、完成した顆粒物中の酸性添加剤の量が、おおよそ0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%、特に2〜6重量%となるように割り当てる。
【0028】
造粒助剤としては、陰イオン性もしくは非イオン性界面活性剤またはポリアルキレングリコールを使用することができる。好ましい陰イオン性界面活性剤は、次の化合物のアルカリ塩、アンモニウム塩、アミン塩、及びアミノアルコールの塩; すなわちアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミド−スルフェート及び−エーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アルキルポリグリセリン−カルボキシレート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルサルコシネート、アルキルポリペプチデート、アルキルアミドポリペプチデート、アルキルイセチオネート、アルキルタウレート、アルキルポリグリコールエーテルカルボン酸または脂肪酸、例えばオレイン酸、リシノレイン酸、パルミチン酸、コプラ油酸塩または水素化されたコプラ油酸塩の上記の塩である。これらの全ての化合物のアルキル基は、通常は8〜32個、好ましくは8〜22個の炭素原子を含む。特に好ましいものは、線状直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、好ましくはC8〜C20−、特に好ましくはC11-13アルキル基を有する線状直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、あるいはアリールスルホネート、例えばクメンスルホネートである。
【0029】
非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アルコールのポリエトキシル化、ポリプロポキシル化またはポリグリセリン化エーテル、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化及びポリグリセリン化脂肪酸エステル、脂肪酸のポリエトキシル化エステル、ソルビトールのポリエトキシル化エステル、ポリエトキシル化またはポリグリセリン化脂肪アミドを使用することができる。
【0030】
本発明の方法は、詳しくは次のように行われる。漂白触媒の水性溶液または懸濁液(これは、この水性溶液もしくは懸濁液を基準にして約5重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%の割合で漂白触媒を含む)を、酸性ポリマー、例えばSokalan CP 13を5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜55重量%の割合で含む水溶液と、10℃〜40℃、好ましくは室温で混合する。漂白触媒:酸性ポリマーの混合比率は、好ましくは1:1〜1:3、特に1.5:2.5、特に好ましくは1.6:2の重量部の範囲である。
【0031】
次いで、上記の混合物を、流動床装置中でキャリア材料上に噴霧する。
【0032】
該漂白触媒顆粒物の製造のためには、流動床装置が使用される。これは、好ましくは、筒形もしくは円錐形または矩形に構築されることができる。
【0033】
好ましい態様の一つでは、流動床装置は円形であり、そして直径が少なくとも0.4mの寸法を有する底板を有する。特に、0.4m〜3m、例えば1.2mまたは2.5mの直径の底板を有する流動床装置が好ましい。更に別の好ましい態様の一つでは、流動床装置は矩形であることができ、この際、その流入口面積(Anstroemflaeche)は、0.2〜10m2、例えば1.25m2または7.5m2である。底板としては、有孔底板またはConidur(コニデュール)板、ワイヤーメッシュ、または有孔板と格子網との複合板を使用することができる。
【0034】
本発明の造粒法は、バッチ式または連続式に行うことができる。バッチ式の操業の場合は、先ず、キャリア材料を装置中に仕込み、次いで漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては及び更に別の添加剤を含む造粒液を噴霧する。この際、プロセスパラメータは、所望の粒度が達成される造粒が行われるように調節される。要求される漂白触媒の濃度が得られたら、噴霧を終了する。連続式方法の場合には、固体キャリア材料及び造粒液を同時に装置に計量添加する。この際、要求される顆粒物組成が達成されるように、両方の材料の流れが、互いに正確な比率で計量添加されるように注意されるべきである。
【0035】
追加の固形物の供給、例えば完成した顆粒物のダスト状微細画分または粉末状の処方成分の追加の供給も有利であり得る。
【0036】
更に別の変法の一つでは、漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては更に別の添加剤を含む水性混合物を、室温で混合することによって調製し、場合によっては25℃〜85℃の温度に加温し、適当なポンプを介してノズルにポンプ輸送し、そして下から流動床中に噴入する。この際、空気入口温度は90〜97℃である。流動用の空気は、熱損失によって及び溶剤の蒸発熱によって冷却される。それによって、流動床中の層材料の温度は50〜70℃に調節される。空気出口温度は55℃〜65℃である。
【0037】
流動床造粒の際は、材料の含水率は広い範囲で調節することができる。本発明の方法においては、流動床中での造粒と同時に乾燥が行われる。本発明の好ましい態様の一つでは、該方法は、完成した顆粒物の含水率が<2重量%となるように行われる。
【0038】
連続式方法の場合には、完成した顆粒物の流動床からの排出は、有利には、顆粒物の分級を介して行われる。この分級は、先ず特定の粒度以上の粒子が流動床から排出されそしてそれより小さな粒子が流動床中に保持されるように調整された篩分け排出を介して行うことができる。流動床の上方で気流から排出される粒子は分離される(例えばダストフィルターによって分離する)。分離されたダストは、再度の湿潤が行われるスプレーノズルの領域内において流動床中に戻される。
【0039】
本発明では、好ましい顆粒物は、0.2〜0.9mmのd50値を有する。特に好ましい態様の一つでは、1.0mmよりも大きい粒子画分が戻される。この粗大の画分は、粉砕の後に、流動床の固体成分として加えることができる。
【0040】
本発明の方法では、造粒と乾燥を同時に行うことが可能であるため、加工される造粒液の組成を、プロセス制御限界に至ることなく非常に広い範囲で変えることができる。このような柔軟性は、顆粒物の要求に必要な添加剤量を難なく調節することを可能にする。
【0041】
本発明に従い得られる顆粒物は、洗剤及び洗浄剤中に直接使用するのに適している。これらは、良好な化学的及び物理的貯蔵安定性、高い摩耗安定性、及びそれにもかかわらず使用時の良好な溶解性の点で優れている。
【0042】
更に、しかしこれらは、それ自体公知の方法でコーティングを施すことができる。このためには、顆粒物を追加の段階において成膜性物質で被覆する。それによって、製品の性質に大きく影響を及ぼすことができる。コーティング材としては、ワックス、シリコーン、脂肪酸、脂肪アルコール、石鹸、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性及び陽イオン性ポリマー、ポリエチレングリコール並びにポリアルキレングリコールなどの全ての成膜性物質が適している。特に好ましいものは、ポリマー性ポリカルボキシレートである。ポリマー性ポリカルボキシレートは、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイン酸のホモポリマーまたはコポリマー、更にこれらの酸とビニルエーテル(例えばビニルメチルエーテルもしくはビニルエチルエーテル)、ビニルエステル(例えば酢酸ビニルもしくはプロピオン酸ビニル)、アクリルアミド、メタクリルアミド、並びにエチレン、プロピレンもしくはスチレンとのコポリマー、並びにこれらのポリマーの水溶性塩であることができる。特に好ましいものは、アクリル酸のポリマー、変性されたポリアクリレート、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、並びにマレイン酸とオレフィンとのコポリマー、特にBASF社のSokalan(R)-タイプ、特に好ましくはSokalan CP 13Sである。
【0043】
原則的には、C8〜C31脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸)、ジカルボン酸、例えばグルタール酸、アジピン酸またはこれらの無水物; ホスホン酸、場合によっては、他の慣用のコーティング材(特に脂肪酸、例えばステアリン酸、C8〜C31脂肪アルコール)との混合物としてのホスホン酸; ポリアルキレングリコール(例えば、1000〜50000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール); 非イオン性物質(例えば、1〜100モルのEOを有するC8〜C31脂肪アルコールポリアルコキシレート); 陰イオン性物質(例えば、C8〜C31炭化水素基を有するアルカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート); ポリマー(例えばポリビニルアルコール); ワックス(例えば、モンタンワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、ポリオレフィンワックス); シリコーンなども挙げられる。
【0044】
更に上記のコーティング物質中には、上記温度範囲において軟化もしくは溶融しない物質が溶解もしくは懸濁した形で存在することができる。これには、例えば、ポリマー(不飽和カルボン酸及び/またはスルホン酸のホモポリマー、コポリマーまたはグラフトコポリマー並びにこれらのアルカリ塩、セルロースエーテル、スターチ、スターチエーテル、ポリビニルピロリドン); 有機物質(例えば、3〜8個の炭素原子を有する一価もしくは多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸またはエーテルカルボン酸並びにこれらの塩); 染料; 無機物質(例えば、ケイ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩)などが挙げられる。
【0045】
被覆された漂白触媒顆粒物の所望の性質に依存して、コーティング物質の割合は、被覆された漂白触媒顆粒物を基準にして1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%であることができる。
【0046】
コーティング物質を塗布するためには、ミキサー(機械的に誘動された流動床)及び特に好ましくは流動床装置(空気により誘動された流動床)を使用することができる。ミキサーとしては、例えばプラウシェア(plowshare)ミキサー(連続式または
バッチ式)、リングレイヤミキサー、またはシュージミキサーが可能である。ミキサー法ばかりではなく、流動床法においても、コーティング物質は、一成分ノズルもしくは二成分ノズル装置を介して吹き付けることができる。
【0047】
このコーティング材を使用することによって、貯蔵安定性及び吸湿性、並びに他の洗剤成分、特に強アルカリ性成分との相溶性を更に向上することができ、また、洗浄プロセスに使用する前に漂白触媒と他の成分とが既に相互に作用し合うことが阻止されるように、目的通りに反応速度に影響を与えることができる。
【0048】
本発明に従い製造される顆粒物は、粉末状洗剤調合物、洗浄剤調合物及び消毒剤調合物中での非常に良好な貯蔵安定性に優れる。これらは、重質洗剤、染み抜き剤、自動食器洗い機用の洗剤、及び粉末状の汎用洗浄剤に使用するのに理想的である。
【実施例】
【0049】
例1: 酸性成分を用いた造粒法
実験室規模の試験において、D=150mmの流入口直径を有するGlatt社製のタイプGPCG1.1のバッチ稼働式実験室用流動床を使用した。スプレーノズルは、原料を下方から流動床中にスプレーする。
【0050】
硫酸ナトリウムを、微細な自由流動性材料として流動床装置中にバッチ式に仕込み、次いで流動用の空気で加温した。開始温度に達したら、液体の計量添加を開始し、そして漂白触媒としてのジメチル−2,4−ジ−(ピリジル)−3−メチル−7−(ピリジン−2−イルメチル−3,7−ジアザビシクロ(3.3.1)ノナン−9−オン−1,5−ジカルボキシレート、及び酸性ポリマーとしての酸変性した(メタ)アクリル酸コポリマー(Sokalan CP 13S)を含む液体混合物を、運動させた流動床中に二成分ノズルを介して噴霧した。蠕動ポンプを用いて供給される噴霧液の量は、計量器を用いて重量測定法により測定した。供給空気温度は、約95〜97℃に調節した。最適なスプレー出力の調整によって、流動床中において約64〜65℃の温度に調節された。この際、この温度レベルは安定に維持することができた。約64分間の試験実施時間の後、必要な量の液体が計量添加された。顆粒物の冷却及び後乾燥の後、>1000μmの粗大画分及び<200μmの微細画分を篩いで除去して分画を行った。このような実験の調整によって、目的の粒子範囲について約90.4%の顆粒物収率が達成された。顆粒物の嵩密度は約884g/lであり、摩耗屑含有率は12.9%であった。この最終顆粒物は、次のような組成であった。
−漂白触媒 (乾質) 6.01%
−Sokalan CP 13 S (乾質)(酸性成分) 10.01%
−硫酸ナトリウム 83.48%
−残留水分 0.5%
【0051】
例2: 酸性成分を使用しかつ更に別の添加剤を添加する造粒法
実験室規模の試験において、D=150mmの流入口直径を有するGlatt社製のタイプGPCG1.1のバッチ稼働式実験室用流動床を使用した。スプレーノズルは、原料を下方から流動床中にスプレーする。
【0052】
硫酸ナトリウムを、微細な自由流動性材料として流動床装置にバッチ式に仕込み、次いで流動用の空気で加温した。開始温度に達したら、液体の計量添加を開始し、そして例1と同じ漂白触媒及び例1と同じ酸性ポリマー、並びにマレイン酸(添加剤)を含む液体混合物を、運動させた流動床中に二成分ノズルを介して噴霧した。蠕動ポンプを用いて供給される噴霧液の量は、計量器を用いて重量測定法により測定した。供給空気温度は約95〜97℃に調節した。最適なスプレー出力の調整によって、流動床において約65〜70℃の温度に調節された。この際、この温度レベルは安定に維持することができた。約90分間の試験実施時間の後、必要な量の液体が計量添加された。顆粒物の冷却及び後乾燥の後、>1000μmの粗大画分及び<200μmの微細画分を篩いで除去して分画を行った。このような実験の調整によって、目的の粒子範囲について約75.8%の顆粒物収率が達成された。顆粒物の嵩密度は約972g/Lであり、摩耗屑含有率は1.2%であった。この最終顆粒物は、次のような組成であった。
−漂白触媒(乾質) 5.8%
−Sokalan CP 13 S(乾質)酸性成分 12.1%
−マレイン酸(添加剤) 10.08%
−硫酸ナトリウム 71.52%
−残留水分 0.5%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漂白触媒、酸性ポリマー、キャリア材料、場合によっては及び更に別の添加剤を含む漂白触媒顆粒物の製造方法であって、流動床装置中でキャリア材料から流動床を形成し、漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては及び更に別の添加剤を含む水性溶液または懸濁液を前記流動床中に計量添加し、そして造粒及び乾燥することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
漂白触媒顆粒物を次いでコーティング層で被覆することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項3】
次式(1)
【化1】

[式中、Rは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、-NH-CO-H、-NH-CO-C1-C4-アルキル、-NH2、-NH-C1-C4-アルキルを意味し、R1及びR2は、互いに独立して、C1〜C4アルキル、C6〜C10アリール、またはヘテロ原子を含む基、好ましくは(CH2)z-2-ピリジル(この際、zは1〜5の数を表す)を意味し、R3は水素またはC1〜C4アルキルを意味し、そしてnは0〜4の数であり、そしてXはC=Oまたは-[C(R)2]y-(この際、yは0〜3の数であり、そしてRは水素、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシまたはC1〜C4アルキルを意味する)を意味する]
で表される化合物が漂白触媒として使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項4】
次式(2)
[MaLkXn]Ym (2)
[式中、Mは、Mn(II)、Mn(III)、Mn(IV)、Mn(V)、Cu(I)、Cu(II)、Cu(III)、Fe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Fe(V)、Co(I)、Co(II)、Co(III)、Ti(II)、Ti(III)、Ti(IV)、V(II)、V(III)、V(IV)、V(V)、Mo(II)、Mo(III)、Mo(IV)、Mo(V)、Mo(VI)及びW(IV)、W(V)及びW(VI)、好ましくはFe(II)、Fe(III)、Fe(IV)、Fe(V)を意味し、
Lは、上記式(1)に従う配位子、好ましくはジメチル−2,4−ジ−(2−ピリジル)−3−メチル−7−(ピリジン−1−イル−メチル)−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オン−1,5−ジカルボキシレートまたはこれのプロトン化された形のものを意味し、
Xは、Mと配位可能な、単荷電、二重荷電または三重荷電アニオンあるいは中性分子を意味し、
Yは、非配位性の対イオンを意味し、そして
aは、1〜10の整数であり、
kは、1〜10の整数であり、
nは、0〜10の整数であり、
mは、0〜20の整数である]
で表される化合物が漂白触媒として使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項5】
ジメチル−2,4−ジ−(ピリジル)−3−メチル−7−(ピリジン−2−イルメチル)−3,7−ジアザビシクロ(3.3.1)ノナン−9−オン−1,5−ジカルボキシレート、またはこの化合物を配位子として含む上記式(2)の金属錯体が漂白触媒として使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項6】
硫酸ナトリウムがキャリア材料として使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項7】
20℃において5g/Lよりも多量に水中に溶解しかつ1%濃度溶液として7未満のpH値を示すポリマーが、酸性ポリマーとして使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項8】
追加的に酸性添加剤が使用されることを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項9】
流動床としてのキャリア材料の全量を仕込み、そして漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては及び更に別の添加剤を含む水性溶液または懸濁液でバッチ式に造粒することを特徴とする、請求項1の方法。
【請求項10】
キャリア材料と、漂白触媒、酸性ポリマー、場合によっては及び更に別の添加剤を含む水性溶液または懸濁液とを、流動床装置中に連続的に計量添加することを特徴とする、請求項1の方法。

【公表番号】特表2009−502458(P2009−502458A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523211(P2008−523211)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007293
【国際公開番号】WO2007/012451
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(597109656)クラリアント・プロドゥクテ・(ドイチュラント)・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】