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漆喰塗布面の艶消し防汚処理材およびそれを用いた防汚仕上げ方法
説明

漆喰塗布面の艶消し防汚処理材およびそれを用いた防汚仕上げ方法

【課題】漆喰塗布面に、漆喰の機能を維持しながら優れた汚染防止性・除去性を付与することができる、漆喰塗布面用の防汚処理材およびそれを用いた漆喰塗布面の仕上げ方法を提供する。
【解決手段】シリコーン樹脂エマルション、湿潤剤、艶消し剤及び増粘剤を含有し、シリコーン樹脂エマルションの配合割合が固形分で2〜30質量%、湿潤剤の配合割合がシリコーン樹脂エマルション固形分の100質量部に対して0.8〜20質量部であることを特徴とする漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材。このものを、漆喰塗布面に対して、シリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/mとなるように用いることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漆喰塗布面に、漆喰の機能を維持しながら優れた汚染防止性・除去性を付与することができる、漆喰塗布面用の防汚処理材およびそれを用いた漆喰塗布面の仕上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漆喰は、落ち着きのある重厚な仕上がり感に加えて、調湿性(吸湿性及び放湿性)、結露防止性及び防カビ性といった機能に優れているため、日本建築の屋内外の塗り壁材として古くから使用されている建築材料であり、また近年では、シックハウス症候群に代表される化学物質による悪害等が無い天然素材として再び見直されている。
しかし、漆喰の施工には熟練を要する左官作業が必要であり、作業者の技術によって仕上がりにバラツキが生じ易く、また複数回の繰り返し施工(塗りとコテこすり)の必要性から施工能率が悪く、施工期間が長くかかったり、施工コストも高くつくという欠点があった。
【0003】
そこで特許文献1〜4のように漆喰壁材の成分である消石灰を主成分とする水性塗料組成物が種々提案されており、これらの組成物を用いることで刷毛、ローラ等の慣用の塗装作業によって簡易に漆喰塗膜の形成が可能となる。
しかしながらこのような漆喰塗膜面は、多孔質であるために吸放湿性に優れるものの、醤油やコーヒー等の液状汚染物が一旦付着すると、速やかに内部まで浸透してしまい、その除去は非常に困難であった。また建築物の外壁に塗装した場合、発生したエフロ(白華)が表面に付着し、布で何回擦っても除去できない等の難点も有していた。その解消のために、このような塗膜面上に特許文献5などのクリヤー塗料を塗装する方法があるが、この方法では漆喰塗膜の持つ抗菌性や防かび性、調湿性などの機能が低下してしまい、さらに艶消しの質感も損われやすくなり、また汚染防止性・除去性能についても必ずしも十分とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−313841号公報
【特許文献2】特開2000−313843号公報
【特許文献3】特開2001−187867号公報
【特許文献4】特開2001−187858号公報
【特許文献5】特開2005−15727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、漆喰の機能を維持し、またその質感を損なうことなく、漆喰塗布面に優れた汚染防止性・除去性を付与することができる、漆喰塗布面用の防汚処理材およびそれを用いた漆喰塗布面の仕上げ方法を提供することである。また本発明は、汚染防止性・除去性を備えた漆喰塗布物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、シリコーン樹脂エマルションと湿潤剤とを併用することにより、漆喰塗布面への汚れの付着が防止できるだけでなく、汚れが付着した場合でも、漆喰塗布面を完全に汚染することなく、水拭きなどの簡便な方法で容易に除去できることを見出し、しかも漆喰塗布面が有する漆喰の機能、
特に抗菌性と防かび性は損なわれないことを確認した。また、艶消し剤を配合することで漆喰塗布面の漆喰特有の質感を保つことができ、総じて、漆喰の機能を維持し、またその質感を損なうことなく、漆喰塗布面に優れた汚染防止性・除去性を付与することができることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである:
【0007】
(I)漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材
(I-1)シリコーン樹脂エマルション、湿潤剤、艶消し剤及び増粘剤を含有し、シリコー
ン樹脂エマルションの配合割合が固形分で2〜30質量%、湿潤剤の配合割合がシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して0.8〜20質量部であることを特徴とする、漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材。
(I-2)艶消し防汚処理材中の湿潤剤の配合割合が0.1〜2質量%であることを特徴と
する(I-1)記載の艶消し防汚処理材。
(I-3)漆喰塗布面に対して、シリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/m
になるように用いられる、(I-1)または(I-2)に記載される艶消し防汚処理材。
(I-4)粘度50〜1000mPaに調整されてなる、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに
記載する艶消し防汚処理材。
(I-5)艶消し剤として無機粉体、樹脂ビーズ及びワックス類から選ばれる少なくとも1
種を含有する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-6)艶消し剤としてシリカ粉、セラミック粉、石灰及び樹脂ビーズから選ばれる少な
くとも1種を含有する、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-7)艶消し剤の配合割合が、艶消し防汚処理材に含まれるシリコーン樹脂エマルショ
ンの固形分100質量部に対して、5〜200質量部であることを特徴とする、(I-1)
乃至(I-6)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-8)湿潤剤が、ポリアクリル酸系化合物及びポリオキシエチレン系化合物からなる群
から選択される少なくとも一つの化合物である(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
(I-9)湿潤剤が、非イオン性の界面活性剤である(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載
する艶消し防汚処理材。
(I-10)増粘剤が、水溶性の繊維素誘導体、多糖類、ポリビニルアルコール及び無機系増粘剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である(I-1)乃至(I-9)のいずれかに記載する艶消し防汚処理材。
【0008】
(II)漆喰塗布面の防汚仕上げ方法
(II-1)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、
漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
(II-2)シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m当たり2〜25gになるように、塗布量20〜200g/mの割合でコーティングすることを特徴とする、(II-1)に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
(II-3)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材によ
り形成された塗膜の水接触角が100°以上であることを特徴とする(II-1)または(II-2)に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
【0009】
(III)防汚・除去性を備えた漆喰塗布面を有する漆喰塗布物の製造方法
(III-1)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングする工程を有する、防汚・除去性を備えた漆喰塗布面を有する漆喰塗布物の製造方法。
(III-2)(I-1)乃至(I-10)のいずれかに記載する漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を、シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m当たり2〜25gになるように、塗
布量20〜200g/mの割合で、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、(III-1)に記載する製造方法。
(III-3)漆喰塗布物が、漆喰組成物で塗装または印刷されてなる建築物内外装用のボー
ド、パネル、シート、または壁紙などの建材である(III-1)または(III-2)に記載する製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の艶消し防汚処理材を用いた仕上げ方法によれば、漆喰が有する抗菌性や防かび性などの機能を維持し、またその質感を損なうことなく、漆喰塗布面に対して、汚染物を付着しにくくし、また汚染物が付着した場合であっても容易に除去することができるように、汚染防止性・除去性を付与することができる。さらに漆喰塗布面にエフロレッセンス(白華)が生じても容易に除去することができる。
【0011】
本発明の艶消し防汚処理材およびそれを用いた仕上げ方法は、既存の漆喰塗布面に対して適用できるほか、石灰、結合剤及び水を含有する漆喰組成物を用いて漆喰塗布面を形成した後、引き続き、その漆喰塗布面の仕上げ材および仕上げ処理方法として使用することができる。すなわち、本発明の防汚処理材およびそれを用いた仕上げ方法を利用することにより、漆喰の機能を保持した状態で、漆喰塗布面における従来の問題であった汚れの落ちにくさを解消することができ、これにより各種建築物の内装および外装に漆喰組成物を広く適用することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)漆喰塗布面用艶消し防汚処理材
本発明の漆喰塗布面用艶消し防汚処理材(以下、単に「防汚処理材」という)は、漆喰の機能を維持し、且つその質感を損なわずに、漆喰塗布面に対して、汚れが付着しにくく、また汚染物が付着した場合であっても容易に除去できるように汚染防止性・除去性を付与するために使用される、漆喰塗布面専用の仕上げ材であって、シリコーン樹脂エマルション、艶消し剤、湿潤剤及び増粘剤を含有することを特徴とする。
【0013】
上記シリコーン樹脂エマルションとしては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えば(1)アルコキシシラン化合物又はその縮合物を重縮合してなるポリオルガノシロキサン類を水性媒体に分散、乳化又は溶解したエマルション;(2)アルコキシシリル基含有ビニルモノマーを必要に応じて他のビニルモノマーと共重合してなる共重合体エマルション;(3)有機重合体にポリオルガノシロキサンを複合化させてなるエマルション;などが挙げられる。
【0014】
上記(1)において、ポリオルガノシロキサンの構成成分となるアルコキシシラン化合物としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオ
キシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を有するシラン化合物を挙げることができる。なお、かかるアルコキシ基は、塩素原子やフッ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0015】
また、アルコキシシラン化合物は、さらにアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカノール基またはアラルキル基を有していてもよい。ここでアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、及びn−ドデシル基等の炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基を挙げることができる。当該ア
ルキル基は、その一部が塩素原子やフッ素原子などのハロゲン原子、アクリルオキシ基、メタクリルオキシ基、メルカプト基、またはエポキシシクロヘキシル基等で置換されていてもよい。
【0016】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基やシクロヘキシル基等を挙げることができる。かかるシクロアルキル基は一部が炭素数が1〜6の低級アルキル基で置換されていてもよく、かかるシクロアルキル基として4−エチルシクロヘキシル基を挙げることができる。アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、n−5−ヘキセニル基、4−ビニルシクロヘキセニル基などを;アリール基としては、例えばフェニル基、ビフェニルイル基、ナプチル基、アントリル基、及びフェナントリル基などを;アルカノール基としては、o−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基などを;アラルキル基としては、ベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基などを挙げることができる。
【0017】
かかる置換基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、又は2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
【0018】
本発明で用いるポリオルガノシロキサン類には、相異なる複数のアルコキシシラン化合物から構成されるものも含まれる。また相異なるポリオルガノシロキサンを2種以上任意に組み合わせて用いることもできる。
【0019】
ポリオルガノシロキサンからなるエマルションの具体的な市販品としては、制限はされないが、例えば、「WACKER BS 45」、「WACKER BS 1306」、「WACKER BSR 50」、
「WACKER 290」、「WACKER SMK 1311」、及び「WACKER SMK 2101」(いずれも旭化
成ワッカーシリコーン株式会社製)、「TEGO Phobe 1000S」、「TEGO Phobe 1400」、「TEGO Phobe 1500N」、「TEGO Phobe 1600」、及び「TEGO Phobe 1650」、(いずれもエボニック デグサ社製)などが挙げられる。
【0020】
一方、上記(2)のエマルションにおけるアルコキシシリル基含有ビニルモノマーとしては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイ
ルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、また2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
上記アルコキシシリル基含有ビニルモノマーに必要に応じて共重合されるその他のビニルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;(
メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニルモノマー;マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニルモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
上記(3)のエマルションとしては、例えば、上記(2)のアルコキシシリル基含有ビニルモノマーを必要に応じて他のビニルモノマーと共重合してなる共重合体エマルションに上記(1)で列記した如きアルコキシシラン化合物を用いてシリコーン変性してなるエマルション;上記(2)に記載のその他のビニルモノマーを重合する際に、重合中か又は重合後に上記(1)で列記した如きアルコキシシラン化合物を用いてポリオルガノシロキサン変性してなるエマルション等を挙げることができる。
【0023】
本発明におけるシリコーン樹脂エマルションとしては、(1)に記載のエマルションが好適に使用でき、ポリオルガノシロキサン類として、具体的にはポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン又はポリメチルフェニルシロキサンを含むエマルションが特に適している。
【0024】
上記シリコーン樹脂エマルションの含有割合は、防汚処理材中に2〜30質量%(固形分)、好ましくは3〜25質量%(固形分)、より好ましくは4〜20質量%(固形分)、さらに好ましくは5〜15質量%(固形分)である。かかる含有割合が2質量%を大きく下回ると防汚処理材による形成塗膜の水接触角が低下して汚染が漆喰塗膜に染み込み易く除去しにくくなり、またエフロ(白華)の除去も困難となりやすくなる。一方、30質量%を大きく上回ると、漆喰塗布面が有する抗菌性や防かび性などの機能が損なわれる傾向があり好ましくない。なお、ここで防汚処理材が、現場で希釈して使用される防汚処理材である場合、上記シリコーン樹脂エマルション(固形分)の含有割合は、実際に使用される防汚処理材中の含有割合を意味する(以下、他の成分についても同じ)。従って、防汚処理材を水などで希釈して使用する場合は、希釈した防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルション(固形分)の含有割合である。
【0025】
本発明において艶消し剤としては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、例えばシリカ粉、セラミック粉、石灰等の無機粉末;アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ、ウレタンビーズ等の樹脂ビーズ;ポリオレフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、パラフィンワックス及びその誘導体等のワックス類が挙げられる。これらのうち、特にシリカ粉、セラミック粉、石灰、及び樹脂ビーズから選ばれる少なくとも
1種であることが漆喰塗布面の艶消し感の向上の点から好適であり、通常、1〜20μmの粒子径を有するものが好適である。
【0026】
ここで石灰には、水酸化カルシウムを主成分とする消石灰、及び酸化カルシウムを主成分とする生石灰が含まれる。防汚処理材がかかる石灰を含むことによって処理膜の汚染防止性や汚染除去性を損なうことなく、抗菌性や防カビ性等の漆喰機能と艶消し感を漆喰塗布面に付与することができる。
【0027】
上記艶消し剤は、防汚処理材による形成塗膜の85度鏡面光沢度が15以下、好ましくは10以下、好ましくは5以下となるように、さらに該塗膜の隠蔽率が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下となるように配合するのが適当である。このような鏡面光沢度や隠蔽率とするには、使用する艶消し剤の種類によって異なるが、通常、上記シリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して艶消し剤を5〜200質量部の範囲で配合することが適当である。好ましくは10〜100質量部、より好ましくは10〜50質量部である。
【0028】
本明細書において防汚処理材による形成塗膜の鏡面光沢度は、JIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度に従い測定した値である。また当該形成塗膜の隠蔽率(%)は、JIS K 5600 4−1の方法B(隠ぺい率試験紙)に準じ、試験片(塗布済み隠ぺい率試験紙)の白地(Y)及び黒地(Y)上の箇所を無作為に夫々4箇所選び、その箇所の三刺激値を測定し、平均の三刺激値Y及びYを計算することによって求められる。かかる計算によって得られるY/Yを100分率で算出した値を隠ぺい
率とする。
【0029】
本発明において湿潤剤としては、通常塗料用途等で湿潤剤または濡れ剤として使用されるものが制限なく使用できる。例えばアルキルナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物、ポリアクリル酸塩、スチレン−マレイン酸共重合体、オレフィン・無水マレイン酸共重合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド・アクリル酸共重合物、アルギン酸ソーダ、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルやアルキルフェノールエーテル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸誘導体、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマー、アルキレンオキシドシラン化合物、アセチレン系アルコール若しくはアセチレン系ジアルコールまたはそれらのポリエーテル化物等を挙げることができる。好ましくは水性塗料に濡れ剤として汎用される非イオン性や陰イオン性の界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、グリセリン、ソルビトール、ショ糖などの多価アルコールと脂肪酸がエステル結合したエステル型(または多価アルコール型);高級アルコールやアルキルフェノールなどの水酸基を有する基材に酸化エチレンや酸化プロピレン等を付加させて調製されるエーテル型(POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール);脂肪酸や多価アルコール脂肪酸エステルに酸化エチレンを付加したエステル・エーテル型;および脂肪酸アルカノールアミド型の界面活性剤を挙げることができる。なかでも好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤を挙げることができる。かかるポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤としては、制限されないが、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを例示することができる。
【0030】
また陰イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、
ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレン系の界面活性剤;ポリアクリル酸ナトリウム塩等のポリアクリル酸系の界面活性剤を挙げることができる。またかかる陰イオン性の界面活性剤としては、例えば「DISPER BYK-180」「DISPER BYK-183」「DISPER BYK-184」「DISPER BYK-185」「DISPER BYK-190」「DISPER BYK-191」「DISPER BYK-194」(以上、商品名、BYKケミー社製)、及び「EFKA-4550」、「EFKA-4560」「EFKA-4570」「EFKA-4590」(以上、商品名、チハ゛・スヘ゜シャリティ・ケミカルス゛)等の市販品を用いることもできる。
【0031】
特にポリアクリル酸系湿潤剤やポリオキシエチレン系湿潤剤などは、処理材塗布時の漆喰塗膜面への濡れ性向上の点から好適に使用できる湿潤剤である。
【0032】
上記湿潤剤は、防汚処理材に含まれるシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して0.8〜20質量部となるような割合で配合することが望ましい。この範囲で配合することにより、防汚処理材で覆われる漆喰塗布面における漆喰機能(抗菌性、防かび性)を大きく損なうことなく、塗膜への汚染物の付着および塗膜内への浸透を抑制することができる。また、上記範囲で配合することにより、塗膜に例えば醤油などの汚染物が付着した場合でも、付着した汚染物を容易に除去することができる。特に、シリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対する湿潤剤の割合を1質量部以上、好ましくは2質量部以上とすることで、漆喰機能を保持しながらも優れた汚れ除去性を付与することができる(表3参照)。
【0033】
防汚性の観点から、防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対する湿潤剤の配合割合として、好ましくは1〜17質量部、より好ましくは1〜12質量部、さらに好ましくは1〜10質量部、さらにより好ましくは1〜9質量部、特に好ましくは1〜8質量部を挙げることができる。
【0034】
また防汚処理材100質量%中の湿潤剤の割合としては、0.1〜2質量%を挙げることができる。好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%、さらにより好ましくは0.4〜0.7質量%である。
【0035】
本発明において増粘剤としては、通常塗料用途等で増粘剤として使用されるものが制限なく使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロ−スなどの水溶性の繊維素誘導体;グァーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムなどの多糖類;ベントナイト、モンモリロナイト、コロイド状アルミナなどの無機系増粘剤;ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリエ−テルジアルキルエステル、ビニルメチルエ−テル−無水マレイン酸共重合物の部分エステル、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。これらのうち、水溶性の繊維素誘導体、多糖類、ポリビニルアルコール、及び無機系増粘剤など、特に水溶性の繊維素誘導体及び多糖類が、塗装作業性等の点から好適に使用できる。
【0036】
上記増粘剤は、防汚処理材の最終粘度が50〜1000mPa、好ましくは50〜300mPaの範囲内に調整できるように配合することが適当である。このような粘度とするには、使用する増粘剤種によって異なるが、通常、防汚処理材100質量%中に、0.02〜1質量%程度になるように増粘剤を配合することが粘度調整や形成塗膜の耐水性等の点から適当である。
【0037】
なお、本発明において防汚処理材の粘度は、ブルックフィールドの回転型粘度計(東機
産業製、TVB−10M型、ローター番号No.2又は3)を用いて、23℃条件で60rpmで1分間、測定して得た値である。防汚処理材の粘度が50mPaを大きく下回ると、増粘効果が不足し、防汚処理材の貯蔵安定性が低下する傾向がある。また防汚処理材を建築物の天井や壁の漆喰塗布面の仕上げに使用する場合にはタレが発生しやすくなる傾向がある。一方、粘度が1000mPaを大きく超えると、漆喰塗布面への均一な塗装が困難となり、漆喰塗布面全面に均質に汚染防止・除去性を付与させ難くなる傾向がある。
【0038】
本発明の防汚処理材には、さらに必要に応じて、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂成分、上記艶消し剤以外の顔料成分、造膜助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤、消泡剤、防腐剤等の塗料用添加剤を適宜配合することできる。なお、本発明の防汚処理材は有機溶剤を含まない水性の組成物であることが好ましい。但し、本発明の目的を達成する限りにおいて有機溶剤の配合を100%排除するものではない。
【0039】
これらのうち上記樹脂成分としては、上記シリコーン樹脂エマルションと相溶性を有し、且つエマルション形態のものが適している。
例えば、アクリル樹脂エマルションの場合では、樹脂のガラス転移温度が−40〜40℃、特に5〜30℃の範囲内にあることが適している。
アクリル樹脂エマルションの樹脂のガラス転移温度は、下記式によって算出することができる。
[数1]
1/Tg(゜K)=(W/T)+(W/T)+・・
Tg(℃)=Tg(゜K)−273
【0040】
各式中、W、W、・・は共重合に使用されたモノマーのそれぞれの質量%、T、T、・・はそれぞれモノマーのホモポリマ−のTg(゜K)を表わす。なお、T、T、・・は、Polymer Hand Book(Second Edition,J.Brandup・E.H.Immergut 編)III-139〜179頁による値である。また、モノマーのホモポリマーのTgが明確でない場合のガラス転移温度(℃)は、静的ガラス転移温度とし、例えば示差走査熱量計「DSC−220U」(セイコーインスツルメント社製)を用いて、試料を測定カップにとり、真空吸引して完全に溶剤を除去した後、3℃/分の昇温速度で−20℃〜+200℃の範囲で熱量変化を測定し、低温側の最初のベースラインの変化点を静的ガラス転移温度とした。
【0041】
本発明の防汚処理材がシリコーン樹脂エマルションに加えて上記樹脂成分を含む場合、その使用割合は、上記シリコーン樹脂エマルション/樹脂成分(固形分質量比)が10/90〜90/10、特に15/85〜85/15の範囲内にあることが処理材の膜の形成性と汚染防止性及び汚染除去性の点から適当である。
本発明の防汚処理材は、上記成分を必要に応じて水と共に、例えばミキサー、シェ−カー、ミル、ニーダーなどの調合用機器を用いて混合することにより調製することができる。
【0042】
(2)漆喰塗布面用艶消し防汚処理材を用いた漆喰塗布面の仕上げ方法
上記本発明の防汚処理材は、漆喰塗布面に汚染防止性および汚染除去性を付与するために、専ら漆喰塗布面の仕上げ材として使用される。斯くして、本発明の防汚処理材で仕上げ処理された漆喰塗布面は、未処理の漆喰塗布面と比較して、汚染物(例えば、醤油、コーヒー、水性ペンの等の水性の汚染物、クレヨンなどの油性の汚染物)の付着やその内部への浸透が格段に抑制され、また付着した場合でも容易に除去することが可能になる。
【0043】
本発明の防汚処理材の漆喰塗布面へのコーティングは、特に制限なしに従来公知の塗布方法、例えば、ローラ、刷毛、スプレー、またはロールコーティングやフローコーティン
グ等の方法で行うことができる。その塗布時の固形分は40質量%以下、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%に調整し、その塗布量は、通常、20〜200g/m2程度、好ましくは50〜150g/m2程度の範囲とすることが適当である。
【0044】
漆喰塗布面の機能(抗菌性、防かび性)を維持しながら、上記汚染防止性および汚染除去性を発揮するためには、防汚処理材から形成される塗膜中に含まれるシリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1mあたり2〜25g/mとなるような範囲に塗布量を調整することが好ましい。より好ましくは2〜20g/m、さらに好ましくは6〜15g/mである。
【0045】
防汚処理材で形成される塗膜がより効果的に汚染防止性を発揮するための水接触角としては、100°以上を挙げることができる。好ましくは100〜140°である。本明細書において水接触角は、20℃雰囲気にて塗膜面にマイクロシリンジを用いて脱イオン水を1滴(約15μl)滴下し、1分後の水滴の接触角を「コンタクトアングルメータCA−X150型」(商品名、協和化学(株)製)にて測定したものとする。
【0046】
本発明の防汚処理材および仕上げ方法が対象とする漆喰塗布面は、漆喰、ドロマイトまたは漆喰塗料などといった石灰を水に混合した水性組成物(本発明ではこれらを総称して「漆喰組成物」という)を用いて形成された塗膜面である。この限りにおいて限定されず、当該漆喰塗布面には、建築物の内・外壁および天井、ならび塀などに形成された漆喰塗布面に加えて、内外装用ボードやパネルなどの建材に形成された漆喰塗布面、および壁紙などの内外装用クロスやシートに形成された漆喰塗布面も含まれる。
【0047】
また本発明の防汚処理材および仕上げ方法は、漆喰組成物を用いて形成された漆喰塗布面であれば、(1)既存の漆喰塗布面にも適用できるし、また(2)漆喰組成物を用いて漆喰塗布面を形成した後、引き続き、その仕上げ処理に用いることもできる。
ここで漆喰組成物としては、前述するように、石灰と水を含有する水性組成物を挙げることができるが、これにさらに結合剤や顔料を含むものであってもよい。
【0048】
上記石灰としては、漆喰材料として使用されるものを広く挙げることができる。具体的には水酸化カルシウムを主成分とする消石灰を挙げることができ、その他成分として酸化カルシウムを主成分とする生石灰や炭酸カルシウム(カルサイト、アラゴナイト、バテライト、塩基性炭酸カルシウム及び非晶質炭酸カルシウムなどの沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)及びドロマイト(CaMg(CO3)2)などを含有していても良い。
【0049】
上記石灰の配合量は、特に制限されないが、漆喰組成物の固形分中に通常30〜75質量%、好ましくは40〜70質量%、さらに好ましくは45〜65質量%の範囲内とすることが、膜の形成性や膜強度の点から好適である。
【0050】
漆喰組成物に使用される結合剤としては、特に制限なく、例えば天然糊料(フノリ、海藻糊、銀杏糊など)、合成糊料(ポリビニルアルコールやセルロース系の化学糊)並びに合成樹脂を、それぞれを任意に使用することができる。なお、合成樹脂としては水溶性又は水分散性樹脂が好ましく、例えばエポキシ樹脂系、アルキド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリビニルアルコール樹脂系、ポリエステル樹脂系、フッ素樹脂系及びシリコン樹脂系などが挙げられ、これらは1種又は2種以上使用することができる。これらのうち、特にアクリル樹脂系が乳化重合等製造方法を種々選択可能で、不要な有機溶剤の除去も容易であり、また形成膜の耐アルカリ性等の点から好適に使用できる。
【0051】
結合剤を使用する場合、その配合量は、特に制限されないが、漆喰組成物の固形分中に通常2〜50質量%、好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜20質量%の範
囲内とすることが、塗装作業性や膜の形成性の点から好適である。
【0052】
顔料を使用する場合、顔料としては、特に制限なく従来公知のものが使用でき、通常、体質顔料や着色顔料等が挙げられる。
【0053】
上記着色顔料としては、主に白色顔料、および白以外の有色顔料が挙げられ、特に制限なく適宜選択して使用できる。
白色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の別を問わないが、好ましくは無機の白色顔料である。具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは酸化チタン、または酸化チタンと他の白色顔料との組み合わせである。酸化チタンは、白色顔料としての使用態様を備えるものであれば、ルチル形、アナターゼ形及びブルッカイト形のいずれも使用することができるが、好ましくはルチル形である。
【0054】
白色顔料を使用する場合、その配合量は特に制限されないが、漆喰組成物の固形分中に通常0.5〜25質量%、好ましくは2.5〜20質量%、さらに好ましくは4〜15質量%の範囲内とすることが、膜の形成性及び隠蔽性の点から好適である。
【0055】
白以外の有色顔料としては、例えばカーボンブラックや酸化鉄(鉄黒)等の黒色顔料;カドミウムレッド、べんがら(赤色酸化鉄)、モリブデンレッド、鉛丹等の赤色顔料;黄鉛(クロムイエロー)、チタンイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄(黄鉄)、タン、アンチモンイエロー、バナジウムスズイエロー、バナジウムジルコニウムイエローの黄色顔料;酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、フタロシアニングリーン等の緑色顔料;群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー等の青色顔料などを例示することができる。好ましくは、耐アルカリ性の着色顔料であり、より好ましくは、黒色酸化鉄(鉄黒)、べんがら(赤色酸化鉄)、または黄色酸化鉄(黄鉄)などの酸化鉄や群青等の酸化金属、またはカーボンブラックを主成分とする着色顔料である。なお、これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよく、所望の色になるように組み合わせや配合割合を適宜調整することができる。
【0056】
上記体質顔料としては、例えばバリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、グロスホワイト等を挙げることができ、これらは1種で又は2種以上組み合わせて使用することができる。またガラスビーズや骨材なども併用することができる。体質顔料を配合する場合、その配合量は、特に制限されないが、漆喰組成物の固形分中に通常1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜20質量%の範囲内とすることが、膜の形成性及び経済性の点から好適である。
【0057】
上記漆喰組成物には、さらに必要に応じて顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤等の添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて配合することができる。
【0058】
後者(2)の場合(漆喰組成物を用いて漆喰塗布面を形成した後、引き続き、防汚処理材
をその仕上げ処理に用いる場合)、被塗面に上述の漆喰組成物を塗布した後に、形成された漆喰塗布面に前述する本発明の防汚処理材をコーティングする。
【0059】
漆喰組成物の塗布は、特に制限なしに従来公知の塗布方法、例えば、コテ塗り、ローラ、刷毛、スプレー、フローコーターおよび各種印刷技術を用いて行うことができる。その
塗布量は、形成される漆喰塗布面が、漆喰の機能を発揮する範囲であれば、特に制限されない。一例として、塗布面上の漆喰組成物の割合が、固形分換算で、100〜500g/m、好ましくは150〜300g/mの範囲を挙げることができる。
【0060】
漆喰組成物の被塗面としては、特に制限されることなく、各種建築物の天井や壁(内・外壁)の素材である紙、各種繊維からなる不織布または織布(繊維質シート)、及び各種のボードの素材面及びその上に既に塗装された旧塗膜面、さらには旧クロス張り面などを挙げることができる。なお、かかる被塗面がシーラー処理等の各種処理がなされていてもよい。紙としては、和紙、洋紙(上質紙、中質紙)、クラフト紙、薄葉紙、裏打紙、樹脂含浸紙等、ボール紙、厚紙等のいずれであってもよく、例えば難燃処理を施した紙であって壁紙の施工に適したもの、例えば難燃性裏打紙や不燃紙等も包含される。繊維質シートとしては、例えば天然繊維;ガラス繊維;またはポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を挙げることができる。なお、上記素材は、1種単独で用いられても、また2種以上を任意で組み合わせて用いることもできる。ボードとしては、例えば建築用の内装(室内の壁や天井等)や外装に用いられるボードを広く挙げることができる。具体的には、木質板、合板、中密度繊維板、プラスチック板、セメントモルタル、コンクリート板、PCパネル、ALCパネル、石綿スレート、石膏ボード、パーティクルボード、発泡セメントボード、木片セメント板、ケイ酸カルシウムボードなどを例示することができる。好ましくは、石膏ボード、石膏パーティクルボード、木質板、中密度繊維板、プラスチック板等である。
【0061】
上記被塗面は、必要に応じてゴミや汚れ等をブラシやサンドペーパー、ウエス等を用いて除去しておくのが適当である。
また上記被塗面は、上述の漆喰組成物の塗装前に、必要に応じてシーラーを塗装しておいても良い。該シーラーとしては、従来公知の水性又は溶剤型のシーラーを使用することができ、例えば、アクリル樹脂系、ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、天然ゴム樹脂系、合成ゴム樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系、及びこれらの変性樹脂等の樹脂を被膜形成成分とするものを使用できる。これらの内、エポキシ系樹脂が好適に使用できる。シーラーには、前述の顔料に加え、さらに顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤等の添加剤を適宜選択して配合することができる。
【0062】
上記シーラーの塗装は、特に制限なしに従来公知の塗装方法、例えば、ローラ、刷毛、スプレー等の方法で行うことができる。その塗布量(固形分換算)は、通常、50〜300g/m2程度、好ましくは80〜200g/m2程度の範囲が適当である。
また本発明では、上記シーラーを塗装した後、前述の漆喰組成物の塗装前に、シーラー塗布面上に必要に応じて水性上塗り塗料を塗装しておいても良い。該水性上塗り塗料としては、従来公知の上塗り塗料を使用することが、例えばアクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、塩化ビニル樹脂系、繊維素樹脂系、シリコーン樹脂系、ポリエステル樹脂系、アルキド樹脂系、フッ素樹脂系及びこれらの2種以上の変性樹脂系やブレンド樹脂系等の水性塗料を使用することができる。水性上塗り塗料には、前述の顔料に加え、さらに顔料分散剤、界面活性剤、硬化触媒、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤等の添加剤を適宜選択して配合することができる。
【0063】
上記水性上塗り塗料の塗装は、特に制限なしに従来公知の塗装方法、例えば、ローラ、刷毛、スプレー等の方法で行うことができる。その塗布量(固形分換算)は、通常、100〜500g/m2程度、好ましくは150〜300g/m2程度の範囲が適当である。
【0064】
(3)防汚・除去性を備えた漆喰塗布物の製造方法
前述するように、本発明の防汚処理材は、漆喰塗布面に汚染防止性および汚染除去性を付与するために使用される。よって、当該防汚処理材を用いることにより、汚染防止性および汚染除去性を備えた漆喰塗布物を製造することができる。
【0065】
ここで漆喰塗布物とは、(2)で説明する漆喰組成物で塗装、コーティングまたは印刷されてなるものを広く意味する。漆喰組成物で塗装、コーティングまたは印刷される対象物としては、建築用の内装(室内の壁や天井等)や内装用建材(例えば内装パネル等)の製造に用いられるシート材料(壁紙など);建具(例えば、板戸、格子戸、障子、襖、欄間、フラッシュ戸、桟戸、框戸など)、家具〔例えば、洋服入れ,タンス,机,書棚および下駄箱など〕、照明具、水周り家具(例えば、流し台や洗面台など)、オフィス用具(例えば、パーティション,書棚および机など)、ならびにそれらの部材の化粧仕上げに用いるシート材料;各種繊維からなる不織布または織布(繊維質シート)、及び建築用の内装(室内の壁や天井等)や外装に用いられるボードやパネルを挙げることができる。
【0066】
当該漆喰塗布物の漆喰塗布面に対する本発明の防汚処理材のコーティングは、(2)に記載する方法に従って行うことができる。斯くして、汚染防止性および汚染除去性を備えた漆喰塗布面を有する漆喰塗布物を調製することができる。
【実施例】
【0067】
以下、実験例および実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、以下「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
【0068】
実験例1
製造例1
(1)漆喰組成物の製造
(1-1)漆喰組成物(イ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン8部、炭酸カルシウム10部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(イ)を製造した。
【0069】
製造例2
(1-2)漆喰組成物(ロ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン8部、赤色酸化鉄1部、炭酸カルシウム9部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(ロ)を製造した。
【0070】
製造例3
(1-3)漆喰組成物(ハ)の製造
固形分40%のアクリル樹脂エマルション20部、消石灰30部、酸化チタン7部、黄色酸化鉄2部、炭酸カルシウム9部、消泡剤0.5部、増粘剤0.5部、及び水31部を塗材調合用ミキサーに加えて分散混合して固形分57%の漆喰組成物(ハ)を製造した。
【0071】
実施例1〜11及び比較例1〜2
(2)艶消し防汚処理材の調製
表1に示す配合組成で攪拌・混合して各種の艶消し防汚処理材(A)〜(M)を得た。表1における(注1)〜(注13)は次の通りである。
(注1)シリコーン樹脂エマルションA:ポリジメチルシロキサン28部とポリメチルシロキサン20部を、イソトリデシルアルコールポリグリコールエーテル2部と水50部の中に配合した後、高速ステーターローター攪拌装置で乳化して得られるエマルション。固形分50%。
(注2)「WACKER BS 45」:旭化成ワッカーシリコーン社製、シリコーン樹脂エマルション、固形分50%。
(注3)「WACKER BS 1306」:旭化成ワッカーシリコーン社製、変性シリコーン樹脂エマルション、固形分55%。
(注4)「TEGO Phobe 1600」:エボニック デグサ社製、シリコーン樹脂エマルション(ポリジメチルシロキサン含有)、固形分50%。
(注5)「TEGO Phobe 1000」:エボニック デグサ社製、シリコーン樹脂エマルション(ポリメチル-フェニルシロキサン含有)、固形分50%。
(注6)アクリル樹脂エマルション:メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/2エチルヘキシルアクリレート組成、Tg15℃、平均粒子径180nm、固形分45%。(注7)シリカ粉:含水非晶質二酸化珪素粉体、平均粒子径4μm、比重2.15。
(注8)セラミック粉:球状セラミック(シリカ・アルミナ)粉体、平均粒子径1.8μm、比重2.3。
(注9)樹脂ビーズ:ポリメタクリル酸メチルビーズ、平均粒子径8μm、比重1.15。
(注10)消石灰:特号消石灰(JIS R 9001)
(注11)メチルセルロース:セルロースのグルコース環中のメトキシ基個数が1.8で2%水溶液粘度が約8000cps。
(注12)ポリアクリル酸系湿潤剤:商品名「EFKA4550」(チハ゛・スヘ゜シャリティ・ケミカルス゛社製)
(注13)ポリオキシエチレン系湿潤剤:商品名「ノイケ゛ンET-15」(第一工業製薬社
製)
【0072】
【表1】



【0073】
(3)艶消し防汚処理材による仕上げ処理
(3-1)仕上げ試験塗板の調製
実施例12
スレート板(90×60×0.5cm)上に「ビニデラックス300 白」(JIS K 5663 1種、関西ペイント社製水性塗料)を塗付量120g/mとなるようローラ塗装し、2時間常温(20℃)にて乾燥させた。その塗布面に塗装用ローラ(中毛ローラ、繊維材質:アクリル、毛丈:12mm)を用いて、上述の漆喰組成物(イ)を塗付量200g/mで塗装し、24時間常温(20℃)にて乾燥後、その塗布面の半分の面に漆喰組成物(イ)を塗布量200g/mで塗り重ねて24時間常温(20℃)にて乾
燥させた。
【0074】
次いで上記塗布面(全面)に、艶消し防汚処理材Aを塗付量80g/mで塗装し、24時間常温(20℃)にて乾燥させて仕上げ試験塗板を得た。
尚、85°光沢測定用の試験板は、ガラス板に各処理材を6ミルブレードで塗装、24時間室温で乾燥後、BYKトリグロスメーターにて測定した。また、隠ぺい率は、白/黒隠ぺい率試験紙に刷毛で、所要量塗布、24時間室温で乾燥後測定を行った。
【0075】
実施例13〜22及び比較例3〜4
表2に示す漆喰組成物(イ)(ロ)又は(ハ)、及び艶消し防汚処理材B〜Mを用いる以外は実施例12と同様に行なって各仕上げ試験塗板を得た。
【0076】
実施例23
実施例1において、艶消し防汚処理材Aに代えて、艶消し防汚処理材Gを外割で100%水希釈して防汚処理材の粘度を180mPaとしてから(艶消し防汚処理材G’)、塗布量90g/mとなるように塗装する以外は、実施例12と同様に行なって仕上げ試験塗板を得た。艶消し防汚処理材G’中には、シリコーン樹脂エマルションが35%(固形分17.5%)、艶消し剤が2.25%、増粘剤が0.11%、湿潤剤が0.3%含まれていることになる。またシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合は約0.9部、艶消し防汚処理材G’から形成される塗膜中のシリコーン樹脂エマルションの固形分は15.75g/mとなる。
【0077】
(3-2)仕上げ試験塗板の評価
各仕上げ試験塗板の塗装面について、「発明を実施するための形態」の欄に記載する方法に従って(1)85度鏡面光沢度、(2)隠蔽率(%)、および(3)水の接触角(°)を
測定するとともに、下記の試験方法に従って、(a)防汚・除去性、(b)漆喰機能の保持性、(c)耐湿潤摩耗性、(d)耐洗浄性、(e)艶ムラ、(f)白華除去性を評価した。
【0078】
(a)防汚・除去性:各試験塗板に、醤油を滴下し、斜め45°にした状態で室温で24時間放置した。その後、水で濡らした布で試験塗板の塗装面に付着した醤油を拭き取り除去した。その除去性を下記基準で目視評価した。
【0079】
◎:直ぐに除去され、汚染物がシミも含めて全く見られない
○:直ぐに除去され、汚染物(シミ)がほとんど除去されている
◇:汚染物(シミ)がほとんど除去されるが、除去に時間を要する
△:汚染物(シミ)が少し残る
×:汚染物(シミ)がほとんど除去されない。
【0080】
(b)漆喰機能の保持性:漆喰塗布面の防かび性や抗菌性は漆喰塗布面がアルカリ性であることに基づく。このため、各試験塗板表面からのアルカリの溶出速度を、漆喰塗布面における漆喰機能(防かび性、抗菌性)の保持性を評価する指標とした。具体的には、各試験塗板の表面に、水で湿らせたpH試験紙を置き、pH12を示す色(赤色)になるまでの時間を測定し、下記の基準で目視評価した。
【0081】
◎:ただちに赤色に呈色する(30秒未満)
○:徐々に赤色に呈色する(30秒〜1分未満)
△:ゆっくり赤色に呈色する(1分〜5分未満)
×:なかなか赤色に呈色しない(5分以上)。
【0082】
(c)耐湿潤摩耗性:各試験塗板の表面を水で濡らした布で200gの加重をかけて5往
復擦った後、試験塗板表面の湿潤摩耗性を下記の基準で価した。
【0083】
◎:摩耗試験に使用した濡れ布に漆喰塗膜片が全く付着していない。
○:摩耗試験に使用した濡れ布に漆喰塗膜片がほとんど付着していない。
△:摩耗試験に使用した濡れ布に漆喰塗膜片が僅かに付着している。
×:摩耗試験に使用した濡れ布に多くの漆喰塗膜片が付着している。
【0084】
(d)耐洗浄性:JIS K 5663に基づいて各試験塗板表面を洗浄試験機で500回洗浄した後、その表面の防汚性を確認し、耐洗浄性を評価した。評価基準は防汚性に準じた。
【0085】
(e)艶ムラ評価:(漆喰組成物1回塗り面側と2回塗り面側との判別)
◎:全く見た目では判別できない
○:斜めから光を当てなければ、ほとんど判らない
△:斜めから光を当てて見ると艶ムラが明らかに判る
×:中央部分がくっきりと目立つ。
【0086】
(f)白華除去性:斜め45度にした各試験塗板に、冷水(約5℃)を1滴(約15μl)滴下し、5℃で1時間放置した後、それを拭き取り、水接触面における白華現象の有無(白華の跡)を下記の基準で目視評価した。
◎:水滴の跡が全くわからない
○:水滴の跡がほとんどわからない
△:水滴の跡が若干わかる
×:水滴の跡がはっきりわかる。
【0087】
結果を表2に示す。
【0088】
【表2】


この結果から、防汚処理材で形成された塗膜中に含まれるシリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/m、好ましくは2〜20g/m、より好ましくは6〜16g/mとなるように、漆喰塗布面に防汚処理材を塗布して仕上げることにより、漆喰塗布面の漆喰の機能(抗菌性、防かび性)を保持した状態で、汚染防止性および汚染除去性(防汚・除去性)を付与することができることがわかる。また上記の方法で形成された塗膜は耐湿潤摩耗性を備えており、汚れが付着したときに水拭きしても表面が著しく損傷することがないことが確認された。
【0089】
なお、実施例12〜23で作成した仕上げ試験塗板は適度に吸水性を有しており、また吸水後、表面は速やかに乾燥することが確認された。このことから、漆喰塗布面を本発明の防汚処理材でコーティングしても、その調湿性は大きく損なわれないと考えられる。
【0090】
実験例2
(1)艶消し防汚処理材の調製
表3に示すように、実験例1で調製した艶消し防汚処理材H(実施例7)の処方と同様に、シリコーン樹脂エマルションとして「WACKER BS 1306」、及び艶消し剤として「シリカ粉」を用い、また湿潤剤としてポリオキシエチレン系の非イオン性界面活性剤(商品名「ノイゲンET-15」:第一工業製薬社製)を、シリコーン樹脂エマルショ
ンの固形分100部に対して0.8〜20部の範囲に収まるように、艶消し防汚処理材中の配合割合が0.1〜1%となる割合で配合して、艶消し防汚処理材(N〜T)を調製した。
【0091】
実施例24〜30
(2)艶消し防汚処理材による仕上げ処理とその評価
製造例1に記載する方法と同様の方法で調製した漆喰組成物(イ)を用いて、実施例12と同様にして仕上げ試験塗板を作成し、これに表3に記載する艶消し防汚処理材N〜Tを塗布量120g/mで塗装して、24時間常温(20℃)にて乾燥させて仕上げ試験塗板N〜Tを得た。
【0092】
各試験塗板N〜Tについて、実施例12と同様の方法で(a)汚染物の除去性、(b)漆喰機能の保持性、(c)耐湿潤摩耗性を評価した。なお、(a)汚染物の除去性について、汚染物として、醤油、水性ペン、コーヒーを用いた。結果を表3に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
表3に示すように、艶消し防汚処理材N〜Tで漆喰塗布面を仕上げ処理することで、漆喰機能を保持しながら、特に醤油に対して優れた汚れ除去性を付与することができることが確認された(防汚処理材に含まれるシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合:1.2〜12.1部、防汚処理材中の湿潤剤の割合:0.1〜1%)。
表2から分かるように、防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルション100部に対する湿潤剤の割合が小さくなるにつれて漆喰機能の保持性が低下する傾向が認められたが、汚れ除去性には影響がないことが確認された(実施例13、17、19及び20参照。)。一方、表3からわかるようにシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合が大きくなるにつれて水性ペンやコーヒーに対する汚れ除去性が低下する傾向が
認められた。但し、醤油に対する汚れ除去性はあまり影響を受けなかった。
表1〜3の結果から総合して、防汚処理材中のシリコーン樹脂エマルションの固形分100部に対する湿潤剤の割合を0.8〜20部、好ましくは1〜17部、より好ましくは1〜12部、さらに好ましくは1〜10部、特に好ましくは1〜9部となるように配合することで、当該汚れに対する除去性を向上させることができると考えられる。また、シリコーン樹脂エマルション固形分100部に対する湿潤剤の割合を2部以上とすることで、漆喰機能を保持しながらも優れた汚れ除去性を付与することができると考えられる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン樹脂エマルション、湿潤剤、艶消し剤及び増粘剤を含有し、シリコーン樹脂エマルションの配合割合が固形分で2〜30質量%、湿潤剤の配合割合がシリコーン樹脂エマルションの固形分100質量部に対して0.8〜20質量部であることを特徴とする、漆喰塗布面用の艶消し防汚処理材。
【請求項2】
艶消し防汚処理材中の湿潤剤の配合割合が0.1〜2質量%であることを特徴とする請求項1記載の艶消し防汚処理材。
【請求項3】
漆喰塗布面に対して、シリコーン樹脂エマルションの固形分が2〜25g/mになるように用いられる、請求項1または2に記載される艶消し防汚処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載する艶消し防汚処理材を、漆喰塗布面にコーティングすることを特徴とする、漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
【請求項5】
シリコーン樹脂エマルションの固形分が塗布面1m当たり2〜25gになるように、塗布量20〜200g/mの割合でコーティングすることを特徴とする、請求項4に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
【請求項6】
艶消し防汚処理材により形成された塗膜の水接触角が100°以上であることを特徴とする請求項4または5に記載する漆喰塗布面の防汚仕上げ方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかに記載する艶消し防汚処理材を、漆喰塗布物の漆喰塗布面にコーティングする工程を有する、防汚・除去性を備えた漆喰塗布物の製造方法。

【公開番号】特開2010−275540(P2010−275540A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102851(P2010−102851)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【出願人】(599085541)ヒメノイノベック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】