説明

漏れ検出パッチ

調整雰囲気包装用漏れ検出パッチ(10)は基体(12)と、その上に配置された酸素感知スポット(14)を含む。この酸素感知スポットは、遠隔問合せ可能な酸素インジケータを含んで成る。上記漏れ検出パッチを調整雰囲気包装の包装面に固定する粘着ストリップ8(16)は感知スポットの周囲に沿って延びる。漏れ検出パッチは更に、調整雰囲気と酸素感知スポット間の酸素拡散を可能にする手段(20)を含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は調整雰囲気包装用の漏れ検出パッチに関する。
【背景技術】
【0002】
包装工業では、調整雰囲気包装に関するある種のパラメタを非破壊的に測定すると云う必要がある。感知されるべきパラメタには、温度、圧力、湿度、ガス濃度(例えば、CO2,CO,NH4,O2等の)又はイオン濃度(例えば、アンモニアの)等が含まれる。
【0003】
包装される商品の性質によっては、包装環境は特定のパラメタ範囲を満たさなければならない。化学製品、医薬品及び電子製品が不適切な温度、湿度又は酸素濃度に曝されると、包装製品が早期に劣化してしまうことがある。従って、包装商品の品質保証には、関連するパラメタの監視が必要になる。
【0004】
重要な問題の一つに包装の完全性がある。包装内への空気の漏入は酸素濃度を高め、従って包装商品の劣化を引き起こすことがある。標準的酸素濃度測定は現在のところ破壊検査によるものなので、全包装品を完全に管理することはできない。だが、サンプリングによる検査では、全包装商品が品質基準に合うのを保証することはできない。もう一つの不都合は、この検査手順では少なくともその包装が破壊されるのでそれ等包装商品全体の一部が失われることである。そのような技術では、商品棚にある商品を検査することは実現可能ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、包装商品の酸素濃度の非破壊検査を可能にする漏れ検出手段を提供することにある。この目的は請求項1に記載の漏れ検出パッチにより達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
調整雰囲気包装用漏れ検出パッチは基体と、その上に配置された酸素感知スポットを含んで成る。この酸素感知スポットは、遠隔呼掛け(問合せ)可能な酸素インジケータを含んで成る。上記漏れ検出パッチを調整雰囲気包装の包装面に固定する粘着ストリップは感知スポットの周囲に沿って延びる。漏れ検出パッチは更に、調整雰囲気と酸素感知スポット間の酸素拡散を可能にする手段を含んで成る。
【0007】
そのような漏れ検出パッチは、包装内の調整雰囲気の酸素濃度の監視を要する商品の入ったあらゆる包装内に設置することができる。酸素漏れの検出は、感知スポット内に含まれる酸素インジケータのある種の光学特性、例えば蛍光発光寿命及び/又は蛍光強度を測定することにより達成される。蛍光発光寿命と酸素濃度間の関係は、次の第1のシュテルン・フォルマーの式により与えられる。
【0008】
t0/t=1+CSV・[O2]
【0009】
ここで、t0は酸素濃度0における蛍光発光寿命、tは特定の酸素濃度における蛍光発光寿命である。CSVはシュテルン・フォルマー定数、[O2]は酸素濃度である。
【0010】
蛍光強度と酸素濃度間の関係は、次の第2のシュテルン・フォルマーの式により与えられる。
【0011】
I0/I=1+CSV・[O2]
【0012】
ここで、I0は酸素濃度0における蛍光発光寿命、Iは特定の酸素濃度における蛍光発光寿命である。CSVはシュテルン・フォルマー定数、[O2]は酸素濃度である。
【0013】
酸素インジケータの光学特性の測定は包装用フォイルを通して光学的になされる。これは包装の破壊は調整雰囲気内の酸素濃度の測定のためにもはや必要でなくなることを意味する。検査の非破壊性は、どの単一包装もこのように検査可能であり、最適の品質管理を可能にするので、大いに評価されよう。
【0014】
食品包装(例えば、肉や魚を含む)の場合には、漏れ検出スポットの材料は食品対応性であると良い。基体は柔軟、且つ伸縮性のポリマーを含んでも良い。酸素感知スポットと粘着ストリップは、基体に印刷されたものでも良い。
【0015】
O2分圧の測定のため、酸素インジケータはルテニウム化合物(例えば、Rull(Dpp)3)を含むことができる。感知スポットは更に、温度インジケータ、例えばオレゴングリーン染料や、種々のガスや蒸気(例えば、CO,NO,NO2,N2O,エチレン又はエタノール)用に他の任意のインジケータを含んでも良い。
【0016】
感知化合物は比較的高価であるので、本発明は包装に容易に固定可能な小さな感知スポットを提供することが理解されよう。包装フォイルに直接感知スポットを印刷する技術では、最終包装ごとにスポット一つのみの使用を保証できない。本発明の漏れ検出パッチの供給には、例えばピックアンドプレース式装着機を用いることができる。そのような貼り付け工程を既存の包装法に入れるのは、あまり厳格なプロセス流れの修正をせずに行える。
【0017】
本発明の提案による漏れ検出パッチは、パッチを適宜整形又はパターン化することにより包装用装飾と一体化できる。任意選択として、包装の正確な雰囲気記述はパッチの見える側に、例えばバーコードとして設けることができる。従って、読取り装置は実際の酸素濃度をバーコードで符号化された値と比較すれば良い。実際の酸素濃度が目標値から許容限度以上に異なる場合、警報が発せられるようにしても良い。更に、許容範囲もバーコードで符号化しても良い。
【0018】
本発明に好ましい実施態様によれば、パッチの使用中に酸素拡散を可能にする手段は酸素透過性の基体を含んで成る。基体の透過率は好ましくは、25℃、RH0%、1気圧で100cm3/m2/24hrsより大きくする。
【0019】
或いは又は更に、酸素拡散可能化手段は開口少なくとも一つのある粘着ストリップを含んで成る。そのような開口は調整雰囲気から感知スポットへの酸素の拡散を可能にする。開口の数は目標拡散速度に応ずるようにすることができる。粘着ストリップの外観は、感知スポットの周囲に沿って等間隔で配置される開口をもつようにすることができる。
【0020】
上記開口少なくとも一つを通る蒸気又は液体の拡散を抑えるため、該開口の形状をラビリンス状とし、取り囲む調整雰囲気から感知スポットに至る直線回路が無いようにすることができる。特定の一実施態様では、粘着ストリップは略同心で、互いに離間する第1及び第2の粘着リングを含むようにする。これ等第1及び第2の粘着リングの各々は開口少なくとも一つを含んで、これ等開口が角度方向に互い違いに配置されるようにする。
【0021】
包装の封止開口に沿って用いる場合、パッチが細長い形状を有するようにすることができる。
【0022】
感知スポットがより厚い保護を要する場合、酸素感知スポットの上に透明な封止層を有するようにすることができる。この封止層は食品対応性、柔軟及び/又は酸素透過性のあるものしても良い。感知スポットの周りで基体と溶接しても良い。漏れ検出パッチを包装に固定するため、粘着ストリップを基体又は透明封止層に貼り付けても良い。
【0023】
本発明は更に、漏れ検出パッチを含む調整雰囲気包装を提案する。
【実施態様】
【0024】
図1を参照して、漏れ検出パッチ10を構成する円板状可撓性ポリマー基体12には、その中央に酸素感知スポット14が付設されている。パッチ10の基体12には更に、薄い粘着ストリップ16が付設されている。粘着ストリップには、直径反対側に酸素拡散を可能にする開口20が設けられている。図2は、中央の感知スポット14の周りに開口20が90度の角度で配置された同様の配置を示す。
【0025】
図3には、感知スポット14の周りに二つの同心する粘着リング16、18が設けられた漏れ検出パッチが示されている。粘着リング16、18には、酸素拡散用の開口20、22が設けられている。外側の粘着リング16の開口20と内側の粘着リング18の開口22とは、角度方向に互い違いに配置されている。従って、拡散経路は外側リング16と内側リング18の間の狭い通路であり、ガスの拡散は許容するが、酸素感知スポット14への液体の通過は阻止している。
【0026】
調整雰囲気包装30を図4に示す。漏れ検出パッチ10は、調整雰囲気に面する、透明な蓋形成フォイル34の面32に固定されている。漏れ検出パッチ10は基体12と、トレー38内の腐り易い商品36に面しない側の基体12面に付設された酸素感知スポット14から成る。
【0027】
調整雰囲気内の酸素は、基体12を通って、すなわち粘着材16の開口を通って拡散することができる。包装30内への酸素漏入を、増大する酸素濃度として検出することができる。酸素感知スポット14は蛍光染料から成り、この染料の蛍光発光の強度及び/又は寿命を測定することにより酸素濃度を測定できる。測定のため、酸素感知染料の励起を短い光パルス(例えば、レーザパルス)により行うことができる。励起後、染料はシュテルン・フォルマー関係式により酸素濃度に依存する減衰曲線の蛍光を発する。
【0028】
図5に、包装30の内面32に取り付けたもう一つの漏れ検出パッチ10を示す。パッチ10は基体12と、感知スポット14と、感知スポット14の周りに配置された粘着材16から成る。感知スポット14は付加的シール層40と基体12の間に挟まれている。酸素は基体12を通って拡散する、即ち粘着材16とシール層40に設けられた開口を通ることができる。
【0029】
図5の実施態様の代替例として、シール層が基体12の略全面を覆うようにすることができる。この場合、粘着ストリップはシール層の上に付設し、パッチを面32に固定する。
【0030】
図6は、製品44を含む縁部シール調整雰囲気包装42を示す。包装42にはその縁部に、漏れ検出パッチ10から成るシールが設けられている。漏れ検出パッチの感知スポットを光学的に問合せることにより、シール破れを遠隔検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】酸素感知スポットの第1の実施態様の上面図である。
【図2】酸素感知スポットの第2の実施態様の上面図である。
【図3】酸素感知スポットの第3の実施態様の上面図である。
【図4】第1の漏れ検出パッチ付き調整雰囲気包装の断面図である。
【図5】第2の漏れ検出パッチ付き調整雰囲気包装の断面図である。
【図6】漏れ検出パッチのシール付き調整雰囲気包装の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整雰囲気包装用の漏れ検出パッチであって、
基体と
上記基体上に配置され、酸素インジケータを含んだ酸素感知スポットと
上記感知スポットの周囲に沿って延び、上記漏れ検出パッチを上記調整雰囲気包装の包装面に固定する粘着ストリップと
上記調整雰囲気と上記酸素感知スポット間の酸素拡散を可能にする手段と
を含んで成る漏れ検出パッチ。
【請求項2】
前記手段が、酸素透過性の前記基体から成る請求項1に記載の漏れ検出パッチ。
【請求項3】
前記手段が、開口が少なくとも一つある粘着ストリップから成る請求項1又は請求項2に記載の漏れ検出パッチ。
【請求項4】
前記粘着ストリップが複数の開口を含んで成り、該開口が同複数の前記感知スポットの周りに等間隔で配置されて成る請求項3に記載の漏れ検出パッチ。
【請求項5】
前記少なくとも一つの開口の形状がラビリンス状である請求項1〜4の何れか一つに記載の漏れ検出パッチ。
【請求項6】
前記粘着ストリップが少なくとも第1及び第2粘着リングを含んで成り、該第1及び第2の粘着リングが略同心で、互いに離間し、上記第1の粘着リングが少なくとも開口一つを有し、上記第2の粘着リングも開口少なくとも一つを有し、これら開口が角度方向に互い違いに配置されて成る請求項1〜6の何れか一つに記載の漏れ検出パッチ。
【請求項7】
前記パッチが細長い形状を有する請求項1〜6の何れか一つに記載の漏れ検出パッチ。
【請求項8】
前記酸素感知スポットの上に透明な封止層を有する請求項1〜7の何れか一つに記載の漏れ検出パッチ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一つに記載のパッチを含む調整雰囲気包装用シール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−537132(P2008−537132A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507079(P2008−507079)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061700
【国際公開番号】WO2006/111557
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(503150594)アイイーイー インターナショナル エレクトロニクス アンド エンジニアリング エス.エイ. (56)
【氏名又は名称原語表記】IEE INTERNATIONAL ELECTRONICS & ENGINEERING S.A.
【Fターム(参考)】