説明

漏洩マイクロ波検出器

[目的] 操作が簡便で基準値を越えた漏洩マイクロ波が生じた場合には、ただちにこれを知ることができる漏洩マイクロ波検出器を提供すること。
[構成] ケーシング11内に少なくともプリントアンテナ12、検波回路21、増巾回路22及び電子ブザー24を内蔵させている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はマイクロ波を発生する装置から漏洩するマイクロ波を検出するための漏洩マイクロ波検出器に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】図3は従来例の漏洩マイクロ波検出器を示すものであるが、アンテナ1は図示しないマイクロ波を発生する装置の近傍に設けられており、これはアンテナ支持部4、ケーブル3を介してマイクロ波電力表示器2に接続されている。マイクロ波電力表示器2は検波回路や増巾回路を内蔵するケーシング5の正面パネル部に表示部6を備えており、これに漏洩しているマイクロ波の電力を表示する。
【0003】このような漏洩マイクロ波検出器によればアンテナ1とマイクロ波電力表示器2とは分離しており、又ケーブル3やアンテナ支持部4の部品のサイズも大きく単一体として取り扱うことは困難であり、例えばマイクロ波プラズマ処理装置の操作時において漏洩マイクロ波を検出する際にはその作業性を著しく低下させる問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は上述の問題に鑑みてなされ、取り扱いが簡便で、携帯することも可能にする漏洩マイクロ波検出器を提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】以上の目的は、少なくとも、マイクロ波検知用アンテナと、マイクロ波検波回路と、該マイクロ波検波回路の検出信号を増巾するための検出信号増巾回路と、警報発生手段とを一つのケーシングに内蔵させたことを特徴とする漏洩マイクロ波検出器によって達成される。
【0006】
【作用】ひとつのケーシング内にマイクロ波検出用アンテナ、マイクロ波検波回路、増巾回路を収納しているので全体としてコンパクトな形状とすることができる。その取り扱いが簡便であり、携帯型とすることもできる。更に、警報発生手段を備えているので漏洩しているマイクロ波が所定電力以上であれば警報例えばブザーを発することにより、作業者は直ちに大きな漏洩があることを知ることができる。
【0007】
【実施例】以下本発明の実施例による漏洩マイクロ波検出器について図1及び図2を参照して説明する。
【0008】図1は本発明の実施例による漏洩マイクロ波検出器の全体を示すが、ポケット収納型とされ符号10によってこれは示され、ほぼ直方体のケーシング11内には図2に示すような各構成要素を内蔵している。又、その正面パネル部にはマイクロ波電力表示部31、バッテリー電圧表示部32及び開口に張設した布材33を備えている。又その上壁部にはオン−オフスイッチ13、バッテリーチェックスイッチ14及びバッテリ−チェックLED(Light Emitting diode)15を備えている。図2に示すようにケーシング11内には平らなプリントアンテナ12、この受信信号を検波する検波回路21、この検波出力を増巾する増巾回路22、22’、更にこの増巾回路22、22’の出力を受けて電子ブザー24を駆動するための電子ブザー駆動回路23を少なくとも内蔵している。尚図示せずともバッテリーも内蔵しており、この電圧はケーシング11の上壁部に取り付けられたバッテリーチェックスイッチ14を押すことによりバッテリー電圧表示部32によりその電圧が表示されると共に、バッテリーチェックLED15により使用不能な電圧になるとこれが消えるが、そうでない場合は点灯するように構成されている。又オン−オフスイッチ13はこれを押すことにより、バッテリーから図2に示す各回路に対して電気を供給するようにしている。
【0009】又、図示せずとも増巾回路22、22’の出力端子は比較器(これは電子ブザー駆動回路23に内蔵されていてもよい)に接続されており、所定の電圧以上になると、電子ブザー駆動回路23を駆動するように構成されている。
【0010】本発明の実施例による漏洩マイクロ波検出器10は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0011】例えば、作業者がマイクロ波プラズマ処理装置を操作している時にこの装置から漏洩するマイクロ波を検出する場合について説明する。作業者は図1に示す漏洩マイクロ波検出器10を携帯しているのであるが、これにはプリントアンテナ12が内蔵されており、その操作者がマイクロ波プラズマ装置のマイクロ波を発生する装置の近傍にいるときにもしマイクロ波が漏洩していれば、この内蔵するプリントアンテナ12がこれを受け、ケーシング11に内蔵されている検波回路21によりこれを検波しこの微小な出力を増巾回路22、22’で増巾し、電子ブザー駆動回路23に供給するのであるが、例えば5mW/cm2を越える漏洩マイクロ波電力を検知し、基準値もしくは許容限度を越えているものと判断した場合には、電子ブザー駆動回路23が作動し、これに接続される電子ブザー24を駆動させる。これにより、この作業者は開口33に貼着した布材を通して今漏洩マイクロ波が基準値を越えていることを直ちに知ることができる。尚、マイクロ波電力表示部31にはこの時の漏洩マイクロ波出力(すなわち5mW/cm2の出力)を測定しているのであるがこの表示部31を見ることによっても基準値を越えていることを知ることができる。
【0012】尚バッテリーチェックスイッチ14を押すことにより、バッテリーチェックLEDが点灯すれば正常に作動しているものと判断し、従って正確なマイクロ波漏洩検出を行っていると認識することができる。
【0013】以上述べたように本発明の漏洩マイクロ波検出器10によれば所定値以上のマイクロ波が漏洩していると、直ちにこれを知ることができ、又コンパクトな形状であるのでその操作が非常に簡便である。
【0014】以上、本発明の実施例における漏洩マイクロ波検出器10を説明したがもちろんこれに限定されることなく種々の変形が可能である。例えば以上の実施例では携帯型として説明したがもちろん設置型として構成してもよい。この場合においても従来よりも操作が簡便であり、又漏洩マイクロ波の出力値が所定値以上であればブザー音により表示部31を見ずとも直ちにこれを知ることができる。
【0015】更に、漏洩マイクロ波の出力値により、その漏洩度が小さい場合であるのか又は、危険領域に達している場合であるのかを、2つの比較器により比較することで検出するようにしてもよい。この場合、赤ランプを小さい場合、ブザーを大なる場合の警報手段としてもよく、ブザーの鳴り方を変えるようにしてもよい。
【0016】以上の実施例では、アンテナとしてはプリント型を用い、この場合には確かに薄型でかつ更に小型化するのであるが、プリント状ではない従来の小型アンテナであってもよい。尚、プリントアンテナは、ストップラインの放射による放射損を積極的に利用するものである。
【0017】又、以上の実施例においては警報発生手段としてブザーを説明したが、ランプを点灯するようにしてもよい。
【0018】又、以上の実施例ではマイクロ波プラズマ処理装置からのマイクロ波の検出を行うものとしたが、マイクロ波を発生する装置、例えば木材乾燥装置、家庭用電子レンジ、半導体製造装置等にも適用可能である。
【0019】又、以上の実施例ではケーシング11の正面パネル部にはマイクロ波電力表示部31、バッテリー電圧表示部32及び開口に布材33を設けたが、これらは省略してもよい。この場合、正面パネル部は何もない単なる平板部となるが、内蔵するブザーの音量を大にしておけば、警報にはなんら問題がない。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように本発明の漏洩マイクロ波検出器によれば漏洩マイクロ波を検出する操作が従来より大巾に簡便となり、かつ又携帯型とすることができる。更に、基準値以上のマイクロ波が検出された場合には携帯したままで直ちにこれを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による漏洩マイクロ波検出器の斜視図である。
【図2】図1の検出器が内蔵する電気回路のブロック図である。
【図3】従来例の漏洩マイクロ波検出器の斜視図である。
【符号の説明】
11 ケーシング
12 プリントアンテナ
21 検波回路
22 増巾回路
22’ 増巾回路
24 電子ブザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、マイクロ波検知用アンテナと、マイクロ波検波回路と、該マイクロ波検波回路の検出信号を増巾するための検出信号増巾回路と、警報発生手段とを一つのケーシングに内蔵させたことを特徴とする漏洩マイクロ波検出器。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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