説明

漏液位置検知線及びそれを用いた漏液検知システム

【課題】 抵抗線を腐食されたり、キンクを生じる恐れがなく、機械的強度のある漏液位置検知線及びそれを用いて漏液及びその位置を確実に検知できる漏液検知システムを提供する。
【解決手段】 耐液性で半導電性の高分子材料を被覆した被覆抵抗線2と耐液性の絶縁部材を被覆した被覆リード線3とを連接・一体化した漏液位置検知線1を用い、遮水シート61を挟んで、別に布設される電流ソ−ス線21から供給される定電流Icによって抵抗線2aの両端に生じる電圧Vを測定する漏液検知システム15としたので、遮水シート61の損傷による漏液によって、漏液位置検知線が腐食したりキンク・断線するおそれがなく、漏液及びその位置を確実に検知することできる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、堆積物等からの液体の流出を遮断する遮水シートの損傷等による漏液を検知するのに用いられ、その漏液位置を検知するのに適した漏液位置検知線及びそれを用いた漏液検知システムに関し、特に検知対象液に対する耐液性に優れ、機械的強度と取り扱い性にすぐれた漏液位置検知線及びそれを用いた漏液検知システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年環境問題の一つとして、廃棄物処分場からの環境汚染物質の浸出対策が大きな問題となっている。その廃棄物処分の一方法として、図6に示すように、地盤60の凹部に遮水シート61,62などを敷き、その上に廃棄物67を投棄して堆積させ、最終的にそのまま土中に埋設するという方法が採られている。この遮水シート61,62は、廃棄物67中に混じっていた有害物質や、堆積中に化学反応により生じた有害物質が地盤60中に浸み込んで、地下水を汚染するの防ぐためのものである。したがって、各種の条件を想定し、機械的にも、化学的にも十分な特性を備えたものとされているが、それでも経年変化や何らかの条件により損傷すると、そこから有害物質を含んだ漏液が地盤中に浸出してしまう恐れがある。そこで、遮水シートの損傷による漏液の発生を検知し、かつその損傷位置(漏液位置)を早期に検知して対策を講じ得るようにすることが必要である。
【0003】このような、遮水シートからの漏液を検知する漏液検知システムは、特開平10−300622号公報に提案され、実用化されている。図7は、その漏液検知システムにおける漏液位置検知の原理図である。漏液検知システム30は、遮水シート61の下側に配設される抵抗線31a及び導電線32、遮水シート61の上側に配設される電流ソース線33と、電流ソース線33の一端に接続される図示しない直流電源と電流制御器36からなる定電流電源と、抵抗線31aの両端の電圧を測定する電圧計Vと、定電流電源から電流ソース線33及び抵抗線31aへと流れる電流を監視する電流計Aとを備えている。遮水シート61が損傷して破口Pが生じ、廃棄物から出た液体Eがその破口Pから漏洩すると、漏液Eによって電流ソース線33と抵抗線31aとは導通状態となり、電流計Aに電流Icが流れる。そこで、抵抗線31aの両端に現れる電圧Vxは、破口(漏液点)Pから接地点Gまでの電位差であり、抵抗線31aの単位長あたりの抵抗値をR0 、抵抗線31aの漏液点Pから接地側端Iまでの長さXは、リード線39における電位差を無視できるものとすると、 X=Vx/(R0 ×Ic) (1)
により求められ、破口Pの位置が分かる。
【0004】ところで、この漏液検知システム30において、抵抗線31aや導電線32、電流ソース線33の具体例としては、次のようなものが用いられてきた。図8R>8は、抵抗線31a上にポリエステル繊維の糸からなる内部編組体31bを被覆した編組抵抗線31と導電線32aの上にポリ塩化ビニル被覆32bを被覆した被覆リード線32とを撚り合わせ、その上にポリエステル繊維の糸からなる外部編組体33を被覆した漏液位置検知線30とし、電流ソース線33としては、裸銅線が用いられていた。
【0005】このように、カンタル線などの抵抗線31aと軟銅より線からなる導電線32とが漏液位置検知線30として一体化されているので、それぞれ単独に配設するよりは、取り扱いは容易であるが、抵抗線31aが漏液にさらされると腐食して断線するおそれがあり、また抵抗線31aと導電線32aとの剛性の差に起因して、敷設の際、キンクを生じやすいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を解消しようとするものであって、請求項1乃至5に記載の発明は、抵抗線が腐食されることがなく、キンクを生じる恐れがなく、また機械的強度のある漏液位置検知線の提供を課題とし、請求項6及び7に記載の漏液検知システムは、上記漏液位置検知線を用い確実に漏液位置を検知できる漏液検知システムの提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の請求項1の発明は、ほぼ平行に配設された被覆抵抗線と被覆リード線とを連接して一体化してなり、前記被覆抵抗線は、導体抵抗が長さ方向に均一な抵抗線の上に耐液性で半導電性の高分子部材を被覆してなり、前記被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してなることを特徴とするものである。
【0008】ここに、耐液性とは検知対象液(破口から漏洩する液体、すなわち漏液)によって特性の劣化が生じにくく、使用期間中は被覆抵抗線又は被覆リード線としての機能を保持する性質をいう。抵抗線には、耐液性で半導電性の高分子部材が被覆され、被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してあるので、抵抗線や導電線が腐食されることがなく、また被覆抵抗線の被覆は半導電性であるから、抵抗線を電極として他の電極線(例えば、電流ソース線)との間に電圧を加えれば、電極線間への液体の浸入などによる電気特性の変化を検知することができる。そして、被覆抵抗線と被覆リード線は連接して一体化されているので、曲げ方向が短径方向に限定されるが、抵抗線と導電線との間に剛性のちがいがあってもキンクを生じることがなく、また抵抗線が被覆されているため機械的強度がある。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線の被覆は、導電性粉を含有する高分子部材からなることを特徴とする。これにより、適度の導電性を有する半導電性の高分子部材で被覆された被覆抵抗線が安価に得られる。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線の被覆及び前記被覆リード線の絶縁部材は、基材がともに押出成形可能な高分子部材からなることを特徴とする。前記被覆抵抗線の被覆及び被覆リード線の絶縁部材は、基材がともに押出成形可能な高分子部材からなることを特徴とする。これにより、一括押し出しが可能となり、被覆抵抗線及び被覆リード線の形成と連接・一体化が同時に行われる。
【0011】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の漏液位置検知線において、前記被覆リード線の導電線の導体抵抗は、前記抵抗線の導体抵抗に比して無視し得るほどに小さいことを特徴とする。これにより、抵抗線の端部から漏液位置までの導体抵抗を測定することにより、漏液位置の検知ができ、しかも被覆リード線中の導電線をリード線として用いることができる。
【0012】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線及び前記被覆リード線に外接して包被する保護編組体を有することを特徴とする。連接・一体化された被覆抵抗線と被覆リード線は、この保護編組体により、いっそう確実に一体化され、ばらけたりするおそれがない。
【0013】請求項6記載の発明は、堆積物等からの液体の流出を遮断する遮水シートの損傷による漏液を検知する漏液検知システムにおいて、前記遮水シートの片側に敷設された請求項1乃至5のいずれかに記載の漏液位置検知線と、前記遮水シートを挟んで前記漏液位置検知線と反対側に敷設され、前記漏液位置検知線中の抵抗線との間の電気特性の変化を検知するための電流ソース線と、前記抵抗線と前記電流ソース線との間に定電流を供給する定電流電源と、前記抵抗線の両端の電圧を測定する電圧測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】遮水シートの損傷により、漏液が生じると、漏液位置検知線の抵抗線と、遮水シートを挟んで反対側に敷設された電流ソース線との間に定電流電源からの電流が流れ、電圧測定手段によって被覆抵抗線の両端の電圧を測定することにより、被覆抵抗線の端部から漏液点までの距離が分かり、漏液位置が検知できる。また抵抗線には、耐液性で半導電性の高分子部材が被覆され、被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してあるので、抵抗線や導電線が腐食されることがなく、また被覆抵抗線の被覆は半導電性であるから、抵抗線と電流ソース線との間に電圧を加えれば、その間への液体の浸入などによる電気特性の変化を検知することができる。そして、被覆抵抗線と被覆リード線は連接して一体化されているので、曲げ方向が短径方向に限定されるが、抵抗線と導電線との間に剛性のちがいがあってもキンクを生じることがない。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項6記載の漏液検知システムにおいて、前記遮水シートは、上下2枚の遮水シートからなり、前記上下2枚の遮水シートの間に敷設された請求項1乃至5のいずれかに記載の漏液位置検知線と、前記上側遮水シートの上面に敷設される上側電流ソース線と、前記下側遮水シートの下面に敷設される下側電流ソース線と、前記漏液位置検知線中の被覆抵抗線と前記上側及び下側電流ソース線との間にそれぞれ定電流を供給する定電流電源と、前記被覆抵抗線の両端の電圧を測定する電圧測定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】遮水シートが2枚ある場合、遮水がより確実に行われるとともに、上記のように、上下2枚の遮水シートの間に漏液位置検知線を、上側遮水シートの上面に上側電流ソース線を、下側遮水シートの下面に下側電流ソース線を、それぞれ敷設し、漏液位置検知線中の抵抗線と上側及び下側電流ソース線との間にそれぞれ定電流電源から定電流を供給するようにすれば、電圧測定手段により抵抗線の両端の電圧を測定することにより上下2枚の遮水シートのいずれに損傷が生じてもそこからの漏液を検知し、その位置を検知することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。図1は、本発明の漏液位置検知線の第1の実施形態の斜視図、図2は、本発明の漏液位置検知線の第2の実施形態の斜視図、図3は、本発明の漏液検知システムの第1の実施形態の説明図、図4は、本発明の漏液検知システムの第2の実施形態の説明図、図5は、本発明の実施例による位置検知の実験の説明図である。
【0018】図1において、第1の実施形態である漏液位置検知線1は、ほぼ平行に配設された被覆抵抗線2と被覆リード線3とを連接4して一体化したものである。被覆抵抗線2は、導体抵抗が長さ方向に均一な抵抗線2aの上に耐液性で半導電性の高分子部材2bを被覆したものであり、被覆リード線3は、導電線3aの上に耐液性の絶縁部材3bを被覆したものである。
【0019】先に述べたように、ここで耐液性とは検知対象液(破口から漏洩する液体、すなわち漏液)によって特性の劣化が生じにくく使用期間中は被覆抵抗線又は被覆リード線としての機能を保持する性質をいうが、検知対象液の種類によって異なり、検知対象液が、例えば、水、酸又はアルカリであれば、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性ということになる。
【0020】抵抗線2aには、例えばカンタル線(カンタル・ガデリウス社製のニッケルクロム合金線)など単位長さあたりの導体抵抗が導電線2aの銅線や錫メッキ軟銅線のそれを無視し得る程度に高いものが用いられる。これは後述するように漏液位置を検知する際の誤差を小さくするためである。
【0021】抵抗線2aの上には、耐液性で半導電性の高分子部材2bが被覆され、導電線3aの上には耐液性の絶縁部材3bが被覆されているので、抵抗線2aや導電線3aは腐食されることがなく、また被覆抵抗線2の被覆2bは半導電性であるから、抵抗線2aを電極として他の電極線との間に電圧を加えれば、電極線間の介在物の電気特性の変化を検知することができる。また、被覆リード線3の導電線3aを電極線として用いればこの漏液位置検知線は単独で漏液検知線として用いることもできる。
【0022】被覆抵抗線2の被覆2bを導電性粉を含有する高分子部材とすれば、導電性粉の含有量を調節することによって、適度の導電性を有する半導電性の高分子部材2bが容易に得られ、安価な被覆抵抗線2が得られる。
【0023】また、被覆抵抗線2と被覆リード線3との連接4の方法としては、適当な接着剤によって接着することも当然含まれるが、被覆抵抗線の被覆2a及び被覆リード線の絶縁部材3bの基材をともに押出成形可能な高分子部材とすると、被覆抵抗線2と被覆リード線3とを一括押出成形することが可能となり、被覆抵抗線2と被覆リード線3との連接・一体化が同時に行われるので好ましい。
【0024】例えば、基材をポリ塩化ビニルなどの汎用のプラスチックとすれば安価でしかも一括押出し成形が容易であるから好ましい。また、被覆抵抗線の被覆2aだけカーボンブラックなどの導電性粉を混入したものを用いればよいので、容易に半導電性の被覆が得られるという点でも好ましい。
【0025】図2において、第2の実施形態である漏液検知線10は、漏液位置検知線1の上に、その被覆抵抗線2及び被覆リード線3に外接するように保護編組体11を包被したものである。被覆抵抗線2と被覆リード線3とは、接着や一括押出しなどで連接・一体化されているが、この保護編組体11を包被したことにより、いっそう確実に一体化され、ばらけたりするおそれがない。
【0026】漏液位置検知線として用いる場合は保護編組体11を構成する糸は、被覆抵抗線2と被覆リード線3とを一体化し、保持する強度を有するものであればよいが、漏液検知線として用いる場合は、テトロンなどの合成樹脂の糸が漏液に濡れたあとの回復性の点で好ましい。また、その保護編組体の密度を調整することにより、検知感度を調整することができる。
【0027】次に、図3に基づいて、本発明の漏液検知システムについて説明する。図3は、漏液検知システムの第1の実施形態の構成の概要と動作の説明図であり、遮水シートが1枚の場合に適用される。図3(a)において、漏液検知システム15は、遮水シート61の片側に敷設された漏液位置検知線1と、遮水シート61を挟んで漏液位置検知線1と反対側に敷設され、漏液位置検知線1中の抵抗線2aとの間の電気特性の変化を検知するための電流ソース線21と、抵抗線2aと電流ソース線21との間に定電流を供給する定電流電源Dと、抵抗線2aの両端の電圧を測定する電圧測定手段Vとを備えている。
【0028】この漏液検知システム15では、漏液位置検知線1が先に述べた特徴を有するので、ここでその特徴が生かされる。そして、遮水シートの損傷により、漏液Eが生じると、漏液位置検知線1の抵抗線 2aと、遮水シート61を挟んで反対側に敷設された電流ソース線21との間に定電流電源Dからの定電流Icが流れ、電圧測定手段Vによって抵抗線2aの両端の電圧を測定すると、従来の技術で述べたのと同様、式(1)により抵抗線の端部から漏液点までの距離が分かり、漏液位置が検知できる。
X=Vx/(R0 ×Ic) (1)
しかし、抵抗線2aの抵抗値は、温度によって変化するので、この誤差を生じないシステムとして、近端遠端切り換えスイッチSが設けられている。
【0029】近端遠端切り換えスイッチSは、主極41,42と、近端側極43,44及び遠端側極45,46で構成されている。図3(a)においては、近端遠端切り換えスイッチSは、近端側に接続されている。したがって、定電流Icは、直流電源Bの〔+〕側から、電流ソース線21の近端Jを通り、その漏液点Pを経由して漏液位置検知線の抵抗線2aに流れ、その近端Iに戻り、極45→44→42を介して、直流電源Bの〔−〕側(接地点g)に流れる。そのとき、直流電圧計Vには、導電線3aを介して、P点の電位、すなわち漏液点Pから近端I、極45−44−42(接地点g)までの電位差が測定されることになる。近端Iから接地点gまでのリード線抵抗が抵抗線2aのP−I間の抵抗に比べて無視しうる程度であるから、測定される電圧VX は、抵抗線2aのP−I間の電圧降下にほぼ等しい。抵抗線5aの導体抵抗が長さ方向に均一であり、単位長さあたりの導体抵抗値をR0 とし、漏液位置検知線1の近端Iから漏液点Pまての距離をXとすると、上記式(1)が得られる。
【0030】図3(b)においては、近端遠端切り換えスイッチSは、遠端側に接続されている。したがって、定電流Icは、直流電源Bの〔+〕側から、電流ソース線21の近端Jを通り、その漏液点Pを経由して抵抗線2aに流れ、その遠端Fを経由して、Gから導電線3aの近端Kに戻り、極46→42を介して、直流電源Bの〔−〕側(接地点g)に流れる。そのとき、直流電圧計Vには、抵抗線2aを介して、P点の電位、すなわち漏液点Pから遠端F、Gを介し、導電線3aの近端K、極46→42(接地点g)までの電位差が測定されることになる。ここで、抵抗線2aの単位長さあたりの導体抵抗R0 が導電線2aの単位長さあたりの導体抵抗R1 を無視し得るほどに大きく、抵抗線2aのP−F間の電圧降下が、導電線3aのG−K間の電圧降下を無視し得るほどに大きいものとすると、測定される電圧VY は、抵抗線2aのP−F間の電圧降下にほぼ等しい。抵抗線2aの導体抵抗が長さ方向に均一であり、単位長さあたりの導体抵抗値をR0 、導電線3aの単位長さあたりの導体抵抗値をR1 とし、漏液点Pから遠端Fまでの距離をY、漏液位置検知線の全長をLとすると、 VY =Ic×〔(R0 ×Y)+(R1 ×L)〕 (2)
【0031】Ic,R0 ,R2 、Lが既知であるから、式(1)及び(2)から漏液点までの距離X又はYを求めることができる。そこで、式(2)の両辺を式(1)の両辺で割ると、 VY /VX =〔(R0 ×Y)+(R1 ×L)〕/(R0 ×X)(3)
しかるに、 L=X+Y (4)
であるから、 VY /VX =〔(R0 +R1 )×Y+R1 〕/(R0 ×X) ={〔1+(R1 /R0 )〕×Y+(R1 /R0 )}/X導電線3aの単位長さあたりの導体抵抗R1 が抵抗線2aの単位長さあたりの導体抵抗R0 に比べて無視し得るほどに小さいと次の近似式が成り立つ。
Y /VX ≒Y/X (5) 式(4)から、Y=L−Xであるから、これを式(5)代入すると、 VY /VX ≒(L/X)−1 X=L×〔VX /(VX +VY )〕 (6)
同様にして、 Y=L×〔VY /(VX +VY )〕 (7)
式(7)には単位長さあたりの抵抗値R0 、R1 が含まれないので、VX やVY が測定されると、近端又は遠端から漏液点Pまでの距離X又はYは、抵抗線2a,導電線3aの単位長さあたりの導体抵抗値R0 、R1 に関係なく得られる。
【0032】次に、図4に基づいて、漏液検知システムの第2の実施形態20について説明する。漏液検知システム20は、遮水シートが2枚の場合に適用される(図6R>6参照)。第1の実施形態15と異なるところは、遮水シートが、上下2枚の遮水シート61,62で構成されるため、漏液位置検知線1を、2枚の遮水シート61、62の間に敷設して共用とし、電流ソース線を遮水シート61の上面に敷設される上側電流ソース線21と、下側遮水シート62の下面に敷設される下側電流ソース線22の2本とし、これらの端部(図示例では、近端J1,J2)及び漏液位置検知線の端部(図示例では、近端I、K)を検知器25の端子26,27、28,29にそれぞれ接続したものである。
【0033】検知器25において、直流電源B及び電流制御器Cからなる定電流電源Dは電流計A及び電流ソース線切り替えスイッチS2を介して、端子26,27に切り替え可能に接続されている。そして、電流ソース線切り替えスイッチS2は、端子26を介して電流ソース線21に接続される極47と端子27を介して電流ソース線22に接続される極48と電流計Aに接続された極49とを備えている。また、近端遠端切り替えスイッチS1は、端子28,29間に接続される。近端遠端切り替えスイッチS1の構成は、図3の近端遠端切り替えスイッチSと同じである。そして、直流電圧計Vは、近端遠端切り替えスイッチS1を介して、抵抗線2aの両端の電圧を測定できるように接続されている。
【0034】次に、動作について説明する。遮水シート61の点P1 に漏液が生じたときは、電流ソース線切り替えスイッチS2を電流ソース線21側の極47に接続すると、電流ソース線21と漏液位置検知線1の抵抗線2aとの間に漏液E1 と半導電性被覆2bを介して定電流Icが流れる。さらに近端遠端切り換えスイッチS1が、近端側に接続されていると、抵抗線2aの漏液点P1 から近端Iへと電流が流れ、端子28、近端遠端切り換えスイッチS1を介して、接地点gに流れる。そのとき、直流電圧計Vには、導電線3aを介して、P点の電位、すなわち漏液点Pから接地点gまでの電位差が測定されることになる。以下、図3の漏液検知システムの場合と同様にして漏液点P1 の位置が検知できる。
【0035】同様にして、遮水シート62の点P2 に漏液E2 が生じたときは、電流ソース線切り替えスイッチS2を電流ソース線22側の極48に接続すると、電流ソース線22と漏液位置検知線1の抵抗線2aとの間に漏液E2 と半導電性被覆2bを介して抵抗線 2aに定電流Icが流れる。近端遠端切り換えスイッチS1が、近端側に接続されていると、抵抗線2aの漏液点P2 から近端Iへと電流が流れ、端子29、近端遠端切り替えスイッチS1を介して、接地点gに流れる。そのとき、直流電圧計Vには、導電線3aを介して、P2 点の電位、すなわち漏液点P2 から接地点gまでの電位差が測定されることになる。以下、図3 の漏液検知システムの場合と同様にして漏液点P2 の位置が検知できる。
【0036】上記漏液検知システムにおいて、漏液位置検知線1と、電流ソース線21,22とは、ほぼ平行に配設されるのが好ましいが、遮水シート61,62を挟んでともに面状に配設されるようにし、互いに多数の点で交差するようにしてもよい。漏液位置検知線1及び電流ソース線21,22を面状に敷設する方法は、地形に合わせて、全長を適宜の長さごとに折り返し蛇行させつつ面状に形成してもよいし、適宜の長さのものを面状に配設して接続してもよい。
【0037】以上の漏液検知システムにおいて、電流ソース線21、22は、裸銅線であってもよいが、耐腐食性の点からいえば、被覆抵抗線の半導電性の被覆と同様、半導電性の高分子材料を被覆したものとしてもよい。また、漏液位置検知線としては、漏液位置検知線1を用いるものとして説明したが、もちろん漏液位置検知線10を用いたものとしてもよい。近端遠端切り替えスイッチS,S1及び電流ソース線切り替えスイッチS2は,手動スイッチとして説明したが、もちろんリレーや電子スイッチなどを用いても良い。
【0038】
【実施例】次に、実施例による漏液位置検知の実例について説明する。図5において、1は、表1に示す構造・寸法を有する全長60mの漏液位置検知線であり、被覆抵抗線及び被覆リード線の近端I,Kから遠端F,Gまでを10mごとに折り返し蛇行させて面状に敷設した。被覆抵抗線の抵抗線の近端Iを、抵抗線用リード線23を介し、被覆リード線のなかの導電線の遠端Gを、被覆リード線用リード線24を介して、それぞれ検知器25に接続した。被覆リード線の導電線が、近端Kではなく遠端Gにおいて検知器25に接続されている点で、図3及び図4の場合と異なるが、測定原理上変わるところがないことは容易に理解できよう。
【0039】
【表1】


【0040】電流ソース線21には、4mmの裸軟銅線を用い、次に示すように被覆抵抗線に直接接触させるか又は水道水での水溜りをつくりそれを介して接触させた。
<測定方法1> 電流ソース線21を漏液位置検知線1の漏液位置模擬点として近端Iから5m,15m,25m,35m,45m、55mの点P5,15, 25, 35, 45, 55に被覆抵抗線21を順次直接触させて測定した。
<測定方法2> 漏液位置検知線1の漏液位置模擬点P5,15, 25, 35,45, 55上に水道水の水溜りE5 ,E15,E25,E35,E45,E55を順次つくり、その都度その水溜りを介して、電流ソース線21をその外周と被覆抵抗線の外周との間に2〜3mmの間隔をあけて配設し、測定した。測定結果を表2に示す。
【0041】
【表2】


【0042】測定結果は、漏液位置模擬点P5,15, 25, 35, 45, 55の近端からの距離を正確に示している。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の請求項1記載の発明によれば、抵抗線には、耐液性で半導電性の高分子部材が被覆され、被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してあるので、抵抗線や導電線が腐食されることがなく、また被覆抵抗線の被覆は半導電性であるから、抵抗線を電極として他の電極線との間に電圧を加えれば、電極線間への液体の浸入などによる電気特性の変化を検知することができる。そして、被覆抵抗線と被覆リード線は連接して一体化されているので、曲げ方向が短径方向に限定されるが、抵抗線と導電線との間に剛性のちがいがあってもキンクを生じることがないから、取り扱いが容易である。
【0044】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、適度の導電性を有する半導電性の高分子部材で被覆された被覆抵抗線が安価に得られるので、漏液位置検知線も安価となる。
【0045】請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、被覆抵抗線と被覆リード線との一括押し出しが可能となり、被覆抵抗線及び被覆リード線の形成と連接・一体化が同時に行われ量産に適している。
【0046】請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、抵抗線の端部から漏液位置までの導体抵抗を測定することにより、漏液位置の検知ができ、しかも被覆リード線中の導電線を測定用のリード線として用いることができるので測定が容易である。
【0047】請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、連接・一体化された被覆抵抗線と被覆リード線は、保護編組体により、いっそう確実に一体化され、ばらけたりするおそれがないので丈夫で取り扱いが容易である。
【0048】請求項6記載の発明によれば 遮水シートの損傷により、漏液が生じると、漏液位置検知線の抵抗線と、遮水シートを挟んで反対側に敷設された電流ソース線との間に定電流電源からの電流が流れ、電圧測定手段によって抵抗線の両端の電圧を測定すると、抵抗線の端部から漏液点までの距離が分かり、漏液位置が検知できる。また抵抗線には、耐液性で半導電性の高分子部材が被覆され、被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してあるので、抵抗線や導電線が腐食されることがなく、また被覆抵抗線の被覆は半導電性であるから、抵抗線と電流ソース線との間に電圧を加えれば、その間への液体の浸入などによる電気特性の変化を検知することができる。そして、被覆抵抗線と被覆リード線は連接して一体化されているので、曲げ方向が短径方向に限定されるが、抵抗線と導電線との間に剛性のちがいがあってもキンクを生じることがない。したがって、漏液検知システムとして、敷設や取り扱いが容易であり、長期間の使用に耐える。
【0049】請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明の効果に加えて、上下2枚の遮水シートの間に漏液位置検知線を、上側遮水シートの上面に上側電流ソース線を、下側遮水シートの下面に下側電流ソース線を、それぞれ敷設し、漏液位置検知線中の抵抗線と上側及び下側電流ソース線との間にそれぞれ定電流電源から定電流を供給するようにすれば、電圧測定手段により抵抗線の両端の電圧を測定することにより上下2枚の遮水シートのいずれに損傷が生じてもそこからの漏液を検知し、その位置を検知することができるので、遮水シートが2枚ある場合でも、漏液位置検知が確実に行われ、2枚の使用を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の漏液位置検知線の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】本発明の漏液位置検知線の第2の実施形態の斜視図である。
【図3】本発明の漏液検知システムの第1の実施形態の説明図である。
【図4】本発明の漏液検知システムの第2の実施形態の説明図である。
【図5】本発明の実施例による位置検知の実験の説明図である。
【図6】漏液検知システムの使用例の説明図である。
【図7】漏液検知システムの原理の説明図である。
【図8】従来の漏液検知線の斜視図である。
【符号の説明】
1,10 漏液位置検知線
2 被覆抵抗線
2a 抵抗線
2b 半導電性の被覆
3 被覆リード線
3a 導電線
3b 絶縁被覆
4 連接部
11 保護編組体
15,20 漏液検知システム
21,22 電流ソース線
25 検知器
50 廃棄物処分場
60 地盤
61,62 遮水シート
A,A1,A2 直流電流計
C,C1,C2 電流制御器
D,D1,D2 定電流電源
V 直流電圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ平行に配設された被覆抵抗線と被覆リード線とを連接して一体化してなり、前記被覆抵抗線は、導体抵抗が長さ方向に均一な抵抗線の上に耐液性で半導電性の高分子部材を被覆してなり、前記被覆リード線は、導電線の上に耐液性の絶縁部材を被覆してなることを特徴とする漏液位置検知線。
【請求項2】 請求項1記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線の被覆は、導電性粉を含有する高分子部材からなることを特徴とする漏液位置検知線。
【請求項3】 請求項1又は2記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線の被覆及び前記被覆リード線の絶縁部材は、基材がともに押出成形可能な高分子部材からなることを特徴とする漏液位置検知線。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の漏液位置検知線において、前記被覆リード線の導電線の導体抵抗は、前記被覆抵抗線の抵抗線の導体抵抗に比して無視し得るほどに小さいことを特徴とする漏液位置検知線。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の漏液位置検知線において、前記被覆抵抗線及び前記被覆リード線に外接して包被する保護編組体を有することを特徴とする漏液位置検知線。
【請求項6】 堆積物等からの液体の流出を遮断する遮水シートの損傷による漏液を検知する漏液検知システムにおいて、前記遮水シートの片側に敷設された請求項1乃至5のいずれかに記載の漏液位置検知線と、前記遮水シートを挟んで前記漏液位置検知線と反対側に敷設され、前記漏液位置検知線中の抵抗線との間の電気特性の変化を検知するための電流ソース線と、前記抵抗線と前記電流ソース線との間に定電流を供給する定電流電源と、前記抵抗線の両端の電圧を測定する電圧測定手段とを備えたことを特徴とする漏液検知システム。
【請求項7】 請求項6記載の漏液検知システムにおいて、前記遮水シートは、上下2枚の遮水シートからなり、前記上下2枚の遮水シートの間に敷設される請求項1乃至5のいずれかに記載の漏液位置検知線と、前記上側遮水シートの上面に敷設される上側電流ソース線と、前記下側遮水シートの下面に敷設される下側電流ソース線と、前記漏液位置検知線中の抵抗線と前記上側及び下側電流ソース線との間にそれぞれ定電流を供給する定電流電源と、前記抵抗線の両端の電圧を測定する電圧測定手段とを備えたことを特徴とする漏液検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−114161(P2003−114161A)
【公開日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−308555(P2001−308555)
【出願日】平成13年10月4日(2001.10.4)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)
【Fターム(参考)】