説明

演出装置および遊技機

【課題】1つの動力源で軸の異なる2つの装飾体を回転させ、単純な構造で斬新な動作を行わせるとともに、装飾の識別を困難にさせて、回転停止時の装飾の状態に対する興趣を高めることができる演出装置および遊技機を提供する。
【解決手段】回転板150が回転すると、円環ギア145が固定ギア125の周囲を周回しつつ、それぞれの歯部146と歯部126とが噛み合うことで、円環ギア145が従動回転される。円環ギア145は、ピッチ円半径および歯部146の歯数が、台座120に固定される固定ギア125のピッチ円半径および歯部126の歯数と同じ大きさ、および同じ数であり、ギア比は1対1に設定されている。回転板150に組み付けられる第一装飾体が所定の第三向きを向くとき、円環ギア145に組み付けられる第二装飾体140は第一向きを向く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの動力によって装飾体を動作させることで各種演出を行う演出装置および遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機等に用いられる演出装置として、モータの動力によって装飾体を動作させることで各種演出を行う演出装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の演出装置は、演出時にモータによって回転部材が回転する。このとき、回転部材の軸部材に支持された回転装飾体の一部が遠心力によって回転部材の外周から突出し、これにより、回転装飾体による回転演出のインパクトが高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−279548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の演出装置では、回転装飾体は、回転部材が回転したときに回転部材の外周からせり出し、その形態のままで回転部材と一体になって回転軸を中心に回転するだけであった。回転部材よりも外径が大きくなっただけの1つの回転体が回転軸を中心に回転しているだけにすぎず、動体視力の高い遊技者が見れば回転装飾体の装飾を識別できてしまうため、回転の動作よりも大きさによるインパクトを与えるだけの演出となっていた。
【0005】
本発明は、1つの動力源で軸の異なる2つの装飾体を回転させ、単純な構造で斬新な動作を行わせるとともに、装飾の識別を困難にさせて、回転停止時の装飾の状態に対する興趣を高めることができる演出装置および遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、回転駆動する第一モータを備え、前記第一モータの動力で装飾体を動作させることで演出を行う演出装置であって、前記第一モータの動力によって回転する回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸と一体に回転する第一装飾体と、前記回転軸を回転可能に支持する支持体と、前記支持体に固定され、前記回転軸と同軸に設けられる歯部を有する第一ギアと、前記第一装飾体の回転半径内において、前記回転軸とは異なる軸にて前記第一装飾体に回転可能に支持され、前記第一ギアの歯部に噛み合う歯部を有する第二ギアと、前記第二ギアに固定され、前記第一装飾体の回転に伴い前記回転軸の周囲を周回しつつ、前記第一装飾体に対して相対的に回転する第二装飾体と、を備える演出装置が提供される。
【0007】
第一モータの動力で第一装飾体を回転させるだけで、第一装飾体とは別軸の第二装飾体を回転させることができる。第二装飾体は第一装飾体の回転半径内にあり、1つの回転体の内周内で異なる回転を行う別軸の回転体が存在することとなるため、装飾体の斬新な動作を実現することができる。また、第二装飾体は、第一装飾体内で第一装飾体とは別軸で回転するため、第二装飾体の装飾の識別は困難であるがゆえに、回転停止時に識別可能となる第二装飾体の装飾の状態に対する興趣を高めることができる。
【0008】
第1態様において、前記第一装飾体の回転周期よりも前記第二装飾体の回転周期の方が短くてもよい。第二装飾体は、第一装飾体の回転に加え、第一装飾体よりも短い回転周期によって回転するので、第二装飾体が単独で回転する場合よりも早く回転するように遊技者に見せることができる。例えば、第二装飾体の装飾として文字や図柄等を表示して演出を行う場合、第一装飾体の回転が停止しないと第二装飾体の文字や図柄等の識別が難しいので、回転中に、遊技者に期待感をもたせることができる。
【0009】
第1態様において、前記第一ギアと前記第二ギアのギア比は1対1に設定されていてもよい。前記第一装飾体が前記支持体に対して半回転するごとに、前記第二装飾体が前記支持体に対して1回転してもよい。第二装飾体は、第一装飾体の回転に加え、第一装飾体が1回転する間に2回転するので、第二装飾体が単独で回転する場合よりも早く回転するように遊技者に見せることができる。例えば、第二装飾体に文字や図柄等を表示して演出を行う場合、第一装飾体の回転が停止しないと第二装飾体の文字や図柄等の識別が難しいので、回転中に、遊技者に期待感をもたせることができる。
【0010】
第1態様において、前記第二装飾体は、前記第一装飾体の回転が停止した状態において、前記支持体に対する向きが、上下左右の方向があらかじめ正方向として定められた第一向きを向いてもよい。例えば、第二装飾体に文字や図柄等を表示して演出を行う場合、第一装飾体の回転が停止した場合には第二装飾体が正方向を向くため、文字や図柄等を識別しやすい。
【0011】
第1態様は、前記支持体に設けられ、前記第一装飾体の回転方向における前記支持体に対する向きを検知する第一検知部をさらに備えてもよい。第1態様において、前記第一検知部によって前記第一装飾体が前記支持体に対してあらかじめ定められた第二向きを向くことが検知された場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一ギアと前記第二ギアのギア比が整数比に設定されていてもよい。第一装飾体が第二向きを向く場合に必ず第二装飾体が第一向きを向くので、第一検知部によって検知した第一装飾体の第二向きを基準にすれば第二装飾体の向きを把握することができる。
【0012】
第1態様において、前記第二装飾体は複数あり、前記第一装飾体が、前記支持体に対して前記第二向きを基準に所定の角度分回転した第三向きを向く場合に、少なくとも1以上の前記第二装飾体が、前記支持体に対して前記第一向きを向いてもよい。第二装飾体が複数あっても、第一装飾体を任意の第二装飾体に応じた第三向きに向ければ、第二装飾体が確実に第一向きを向くようにすることができる。
【0013】
第1態様は、回転駆動する第二モータと、前記第二モータの動力で、前記第一装飾体および前記第二装飾体を、第一位置と、当該第一位置とは異なる第二位置との間で移動させる移動機構と、前記第一装飾体を正面視した場合に、前記第一装飾体および前記第二装飾体の一部を遮蔽しつつ、前記第一装飾体および前記第二装飾体が前記第一位置または前記第二位置に位置する場合に、複数の前記第二装飾体のうちの少なくとも1つを露出させる遮蔽体と、前記第一装飾体および前記第二装飾体が、前記第一位置に位置するか否かを検知する第二検知部と、前記第二検知部によって検知される前記第一位置に前記第一装飾体および前記第二装飾体が位置する場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一モータの駆動を制御して前記第一装飾体を回転させる第一制御部と、をさらに備えてもよい。第一装飾体および第二装飾体が第一位置に位置し、第一装飾体の回転が停止した場合に、遮蔽体から露出する第二装飾体が、確実に、第一向きを向くようにすることができる。
【0014】
第1態様は、前記第二モータの駆動を制御して、前記第二検知部によって検知される前記第一位置を基準に、前記第一装飾体および前記第二装飾体を前記第二位置に移動させる第二制御部をさらに備えてもよい。第1態様において、前記第一制御部は、前記第二制御部の制御によって前記第一装飾体および前記第二装飾体が前記第二位置に移動した場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一モータの駆動を制御して前記第一装飾体を回転させてもよい。上記同様に、第一装飾体および第二装飾体が第二位置に位置する場合にも、第一装飾体の回転が停止した場合に、遮蔽体から露出する第二装飾体が、確実に、第一向きを向くようにすることができる。
【0015】
本発明の第2態様によれば、請求項1から8のいずれかに記載の演出装置を備える遊技機が提供される。第1態様の演出装置を備えることで、単純な構造で斬新な動作を行い、且つ、回転停止時の装飾の状態に対する遊技者の興趣を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】パチンコ機1の正面図である。
【図2】ガトリングユニット110が第一位置にある場合のガトリング役物100の正面図である。
【図3】ガトリングユニット110が第二位置にある場合のガトリング役物100の正面図である。
【図4】ガトリングユニット110の分解斜視図である。
【図5】ガトリングユニット110の一部を分解し、円環ギア145と固定ギア125との関係を示した斜視図である。
【図6】ユニット昇降機170の分解斜視図である。
【図7】第二装飾体140aが第一向きを向くときのガトリングユニット110の正面図である。
【図8】図7の状態から第一装飾体130を45°回転させた状態のガトリングユニット110の正面図である。
【図9】図7の状態から第一装飾体130を90°回転させた状態のガトリングユニット110の正面図である。
【図10】図7の状態から第一装飾体130を180°回転させた状態のガトリングユニット110の正面図である。
【図11】パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。
【図12】ガトリング役物100に行わせる演出を制御するための演出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る演出装置および遊技機の一実施の形態であるガトリング役物100およびパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、ガトリング役物100を備えるパチンコ機1の機械的な構成について、図1を参照して説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、および表裏方向については、特に断りがない場合、遊技盤2の盤面の向きを基準とする。すなわち、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向き(すなわち図1に図示されるパチンコ機1の向き)が基準となる。以下では便宜上、表裏方向を前後方向として、説明を行う。また、パチンコ機1に使用される装置や部品についても、パチンコ機1に組み付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、および前後方向を規定するものとする。
【0018】
図1に示すように、パチンコ機1の上段側には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下段側には上皿5および下皿6が設けられている。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、発射機(図示外)に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が配設されている。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、ガラス枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
【0019】
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等を用いて構成される表示装置28が設けられている。表示装置28の表示画面には、動画、メッセージ等の様々な映像が表示され、特に、大当り判定の結果を報知するためのデモ図柄が表示される。
【0020】
表示装置28の周囲には、表示装置28の外縁を取り囲むように、各種演出を行う様々な演出装置が設けられている。以下では、便宜上、これら様々な演出装置を取りまとめて演出部30と称する。各種の演出装置は、モータ等の動力を用いて駆動し、LED等の発光体を発光させ、表示装置28およびスピーカ48等と連動しながら様々な演出を行う。後述するガトリング役物100は、演出部30を構成する演出装置の一つとして、表示装置28の上方に配置され、演出時には下降して表示装置28の前面側に張り出し、演出を行う。
【0021】
また、表示装置28の直下には、期待度表示部11が設けられている。期待度表示部11は、大型の7セグメントを2つ横並びに備えており、2桁の数字、文字、記号等を表示することができる。パチンコ機1は、大当りに対する期待度を期待度表示部11で表示することができる。
【0022】
期待度表示部11の下方には、第一特別図柄始動入賞口14が設けられている。表示装置28の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられており、普通図柄始動ゲート12の下方には第二特別図柄始動電動役物15が配設されている。第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材は下端を中心として前後方向に揺動可能であり、開閉部材が表側に揺動した状態(開放状態)でのみ、遊技球が第二特別図柄始動電動役物15に入賞できる。
【0023】
第二特別図柄始動電動役物15の左斜め下方には、Vアタッカー10が設けられている。Vアタッカー10には、遊技球の通過を契機に特別な遊技状態を生起するため、遊技球が通過可能な特定領域(図示外)が設けられている。パチンコ機1では、大当り遊技中に遊技球が特定領域を通過することが、大当り遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。本実施形態では、Vアタッカー10は1回の大当り遊技中に1回開放される。Vアタッカー10の開放パターンには、1回の開放動作で最大13秒開放される長時間開放パターンと、最大0.3秒しか開放されない短時間開放パターンとがある。短時間開放パターンの場合には、Vアタッカー10に遊技球が入賞する確率は低い。そして、大当り遊技の種類には、長時間開放パターンが選択される長時間開放大当りと、短時間開放パターンが選択される短時間開放大当りとが設けられている。よって、長時間開放大当りとなるか否かによって、確率変動状態が生起される割合は変化する。
【0024】
次に、Vアタッカー10の左斜め下方に通常アタッカー16が設けられている。通常アタッカー16は、前後方向に揺動可能な開閉部材を備える。上記同様、遊技球は、通常アタッカー16の開閉部材が開放した状態でのみ、通常アタッカー16に入賞できる。開閉部材はソレノイド(図示外)によって電気的に開閉される。
【0025】
遊技領域4の右斜め下方には、複数のLEDを備える図柄表示装置8が設けられている。図柄表示装置8は、図示しない、普通図柄表示部、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄記憶数表示LED、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED等を備える。
【0026】
普通図柄表示部にはLEDが用いられている。普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると普通当たり判定が行われて、判定結果が普通図柄表示部に表示される。普通図柄表示部は、点灯することで普通当たりを表示し、消灯することではずれを表示し、点滅することで普通図柄の変動中であることを示す。
【0027】
第一特別図柄表示部および第二特別図柄表示部には、アルファベット、数字、記号、またはこれらの組合せからなる特別図柄が表示される。第一特別図柄始動入賞口14へ遊技球が入賞すると、第一大当り判定が行われ、その判定の結果に応じて複数の特別図柄のうちの1つが第一特別図柄表示部に表示される。第二特別図柄始動電動役物15へ遊技球が入賞すると、第二大当り判定が行われ、その判定結果は第二特別図柄表示部に表示される。
【0028】
普通図柄記憶数表示LEDは、普通図柄作動保留球数を4つまで表示する。普通図柄作動保留球数とは、普通図柄始動ゲート12を通過し、且つ普通図柄表示部に普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第一特別図柄作動保留球数とは、第一特別図柄始動入賞口14に入賞し、且つ第一大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二特別図柄作動保留球数を4つまで表示する。第二特別図柄作動保留球数とは、第二特別図柄始動電動役物15に入賞し、且つ第二大当り判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である。
【0029】
次に、図2〜図6を参照し、ガトリング役物100の構造の詳細について説明する。前述したように、ガトリング役物100は、表示装置28の外縁に演出部30を構成する複数の演出装置のうちの一つであり、表示装置28の上方に配置されている。図2,図3に示す、ガトリング役物100は、ガトリングユニット110、ユニット昇降機170、ユニット遮蔽体160を備える。ガトリングユニット110は正面視円形状の装飾体であり、ユニット昇降機170に支持され、ユニット昇降機170に対して相対的に移動される。より具体的に、パチンコ機1の正面からガトリング役物100を見たときに、ガトリングユニット110は、ガトリング役物100の右上と左下との間をユニット昇降機170によって弧に沿う軌跡で移動される。ユニット遮蔽体160はユニット昇降機170に固定され、パチンコ機1の正面からガトリング役物100を見たときにガトリングユニット110の一部を露出させつつ一部を覆い隠す。
【0030】
まず、ガトリングユニット110の構造について説明する。ガトリングユニット110は、パチンコ機1の正面から見た場合に円形状で、前後方向に厚みを有する円柱状をなす。図4に示すように、ガトリングユニット110は、第一装飾体130、第二装飾体140、回転板150、台座120、固定板122、回転軸115等を備える。台座120は、正面視円形の天壁121の外周縁が後面側へ向けて立ち上がり一周して周壁をなすことで、後側に開口を有する円形の凹部形状をなす。台座120の後側の開口は、円形の固定板122によって閉じられる。固定板122は、後述するユニット昇降機170にガトリングユニット110を固定する。
【0031】
天壁121の中央には前後方向に貫通する孔124が形成され、回転による駆動力を第一装飾体130および第二装飾体140に伝達する回転軸115が挿通されて、回転可能に軸支される。台座120の凹部内には、動力源である第一モータ111と、第一モータ111の軸に固定される動力ギア112と、動力ギア112に噛み合って第一モータ111の動力を伝達する伝達ギア113が収容される。第一モータ111はステッピングモータであり、台座120内で固定される。伝達ギア113は、回転軸115の一端に固定されており、第一モータ111の駆動力が回転軸115に伝達されると、回転軸115は、前後方向を軸方向とする周方向に回転する。
【0032】
台座120の天壁121の前側の面には、LED等が配置された電飾用基板が設けられている。また、天壁121の中央には、回転軸115と軸位置を同じにして外周に歯部126が設けられた固定ギア125が4本のねじで固定される。固定ギア125は、回転軸115とは独立しており、第一モータ111の駆動力からは切り離されている。また、台座120の凹部内には、後述する回転板150の回転方向における向きの検出に用いる第一フォトセンサ114が収容され、センサ部分が天壁121の前面側に露出される。台座120の側部には、第一モータ111や演出用電飾LED(図示外)への電力の供給や、第一フォトセンサ114の出力を取り出すためのリード線(図示外)を保護する筒状の保護部材123が、側方(左方)へ向けて延びた状態で固定されている。
【0033】
台座120の天壁121の前面側には、回転軸115の軸方向(前後方向)に直交する面を有する円形板状の回転板150が配置される。回転板150は、外径が天壁121の外径とほぼ同じ大きさに形成され、中央に、固定ギア125に干渉しないように、固定ギア125の外周に合わせた円形の案内穴151が開口されている。固定ギア125は、回転板150の案内穴151を介して天壁121との間に回転板150を回転自在に挟む形態で天壁121に固定される。
【0034】
固定ギア125は軸部分が大きく開口され、その開口を介し、回転軸115が固定ギア125内を挿通している。回転軸115の他端には、回転板150と回転軸115を一体に接続し、回転軸115を回転板150の軸として機能させる軸固定部材155が取り付けられる。軸固定部材155は、中央に回転軸115の取り付け部位を有し、中央から、自身を回転板150に固定するための脚部156が四方へ延びている。脚部156の先端は、固定ギア125と干渉しないように、固定ギア125の歯部126よりも外周側で回転板150にねじ止めされている。回転軸115が回転すると、軸固定部材155および回転板150が、静止する台座120および固定ギア125に対して相対的に回転する。
【0035】
また、回転板150の後側の面には、外周に近い位置に、後方へ向けて小幅で突出する突片(図示外)が設けられている。台座120の天壁121には、電飾用基板の外周に沿って回転軸115を中心に一周する溝部127が形成されている。回転板150の突片は溝部127内に配置され、回転板150が回転するときには、突片が溝部127内を周回する。上記の第一フォトセンサ114のセンサ部分が台座120の天壁121の背面側から溝部127内に露出されており、回転板150が回転したときに、センサ部分に突片が位置するか否か、すなわち回転板150の回転方向の向きが所定の向きであるか否かを検出することができる。
【0036】
回転板150には、さらに、案内穴151を取り巻く四方に4つの円形の案内穴152が開口されている。案内穴152は、後述する4つの円環ギア145が、回転軸115と直交する平面に沿って回転可能となるように、それぞれを内周面で支える。案内穴152は、軸固定部材155の4つの脚部156のうちの隣り合う2つの脚部156間で、固定ギア125の歯部126の外周よりも径方向外側の位置、且つ、回転軸115からの距離が同じ位置に、それぞれ形成されている。
【0037】
円環ギア145は、外径が台座120の天壁121の半径よりも小さく形成された円環状のギアであり、前側の開口に円形の第二装飾体140が組み付けられて、開口が閉じられている。円環ギア145は、後方側の外周に、歯部142を有する。円環ギア145の後端側の開口には開口に沿って一周するリブが設けられており、回転板150の案内穴152にリブが接した状態に維持されることで、円環ギア145が回転板150に対して案内穴152の周方向に回転可能な状態で位置決めされる。円環ギア145が案内穴152に位置決めされると、図5に示すように、4つの円環ギア145は、それぞれの歯部146が、1つの固定ギア125の歯部126に噛み合った状態となる。
【0038】
円環ギア145は、ピッチ円半径および歯部146の歯数が、台座120に固定される固定ギア125のピッチ円半径および歯部126の歯数と同じ大きさ、および同じ数となるように形成されている。すなわち、円環ギア145と固定ギア125のギア比は1対1に設定されている。回転板150が回転すると、案内穴152が固定ギア125の周囲を周回し、案内穴152に位置決めされる円環ギア145も、固定ギア125の周囲を周回する。このとき、固定ギア125の歯部126に円環ギア145の歯部146が噛み合うため、円環ギア145は、台座120とともに静止する固定ギア125によって、回転板150と同方向に従動回転される。
【0039】
図2、図3に示すように、4つの円環ギア145にそれぞれ設けられた第二装飾体140には、それぞれ異なる図柄や文字、記号等が表示されている。なお、図2,図3では、4つのうちの1つの第二装飾体140の図柄を視認することができる。第二装飾体140は半透過性の部材で形成され、天壁121の表面に設けられた電飾用基板のLED等の光を反射・透過させて、演出を行う。後述するが、パチンコ機1の正面から見た場合に、第二装飾体140は、表示する図柄や文字、記号等を視認する上で上下左右の向きが正しい向きとしてあらかじめ設定された所定の向き(以下、「第一向き」という。)を個々に有する。例えば、図2に示す、「V」の文字とその周囲の飾り絵が表示された第二装飾体140は、「V」の文字を正しく読むことのできる向きが、第一向きとして設定されている。
【0040】
図4に示す、第一装飾体130は、表面に装飾が施された正面視円形の装飾体であり、外径は回転板150の外径とほぼ同じ大きさに形成されている。第一装飾体130は、回転板150にねじ止めにより固定されており、第一モータ111の駆動によって、回転板150とともに回転する。第一装飾体130は、回転板150に組み付けられたときの案内穴152の形成位置に対応させて、4つの円形の露出穴131が開口されている。露出穴131は、第一装飾体130の後ろ面側に、後端側の開口が案内穴152に位置決めされた円環ギア145の前端側の開口の縁を位置決め保持する凹み(図示外)を有する。第一装飾体130が回転板150に組み付けられたとき、円環ギア145は、両端が、第一装飾体130の露出穴131と、回転板150の案内穴152とによって位置決めされ、その場での回転は可能な状態に保持される。
【0041】
円環ギア145に設けられた第二装飾体140は、第一装飾体130の露出穴131を介して露出される。従って、第一モータ111の駆動によって回転軸115が回転すると、回転板150とともに第一装飾体130が回転し、4つの露出穴131から露出される4つの第二装飾体140も、第一装飾体130の回転半径内で、第一装飾体130の回転向きと同じ方向にそれぞれ回転する。なお、前述した第一フォトセンサ114と、回転板150の突片によって、回転板150の回転方向における向き、すなわち、第一装飾体130が所定の向きであるか否かが検出される。第一フォトセンサ114が回転板150の突片を検出したときの第一装飾体130の向きを、以下では「第二向き」と呼ぶこととする。
【0042】
次に、ユニット昇降機170の構造について説明する。図2,図3に示す、ユニット昇降機170は、ガトリングユニット110の固定板122を固定した昇降アーム220,225(図6参照)を上下させて、ガトリングユニット110をガトリング役物100の右上(図2参照)と左下(図3参照)との間で移動する装置である。図6に示すように、ユニット昇降機170は、動力伝達ボックス180、ガイド板200、昇降板210、昇降アーム220,225、化粧カバー230(図2,図3参照)を備える。
【0043】
動力伝達ボックス180は、左右方向に長い略長方形の背板181にギア群を回転可能に支持し、動力源である第二モータ182の駆動力を昇降板210に伝達するユニットである。動力伝達ボックス180は、背板181の左上側に、軸に動力ギア183を固定した第二モータ182が組み付けられている。第二モータ182もステッピングモータである。動力ギア183は背板181に沿う平面内に回転方向を有する。動力ギア183の右方には第一昇降ギア184が配置され、動力ギア183と歯部同士を噛み合わせている。
【0044】
また、第一昇降ギア184の右方に、第一昇降ギア184と同じピッチ円半径で同じ歯数の第二昇降ギア187が配置されている。そして、第一昇降ギア184と第二昇降ギア187との間に、自身の歯部が両者の歯部にそれぞれ噛み合う伝達ギア186が設けられている。第二モータ182の駆動力は、動力ギア183から第一昇降ギア184に伝達され、さらに伝達ギア186を介して第二昇降ギア187に伝達される。よって第一昇降ギア184と第二昇降ギア187は、同じ周方向に回転する。
【0045】
第一昇降ギア184および第二昇降ギア187には、前側を向く側面(軸と直交する面)に、昇降板210を上下させるダボ189が取り付けられる取付部185,188が、それぞれ設けられている。取付部185,188は、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187の側面において、それぞれ軸から離れて外周(すなわち歯部)に近い位置に形成されている。また、動力伝達ボックス180には第二フォトセンサ190が固定されている。第二フォトセンサ190は、昇降板210の上部に設けられた検知部211がセンサ部分に位置するか否かを検出することで、昇降板210が移動範囲の上端に位置するか否かを検出する。
【0046】
ガイド板200は、動力伝達ボックス180に固定され、背板181との間に上記のギア群を挟み、第一昇降ギア184、伝達ギア186および第二昇降ギア187のそれぞれの軸を背板181とともに支える。また、ガイド板200には、板面を貫通して溝状に開口する3つの溝部201,202,203が形成されている。溝部202,203は、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187にそれぞれ取り付けられるダボ189にガイド板200を通過させるとともに、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187の回転範囲を制限する。溝部202,203は、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187それぞれの軸の上部の位置から下部の位置まで、ダボ189の軌跡に沿って右側に膨らむ弧状に開口されている。
【0047】
溝部201は、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187のダボ189によって昇降板210が昇降される際に、昇降板210の昇降経路を案内する溝である。溝部201は、ガイド板200の上部右側から下部左側へ、下側が膨らむ斜め弓なりの軌跡に開口されている。
【0048】
昇降板210は、細幅で左右に延びる板状体で、中央に、板面と直交して後方へ向けて延びるダボ214が設けられている。ダボ214は、先端がガイド板200の溝部201に挿入され、昇降板210の昇降時に溝部201の溝に沿って移動することで、昇降板210の昇降経路を案内する。また、昇降板210には、ダボ214を挟んで左右両側に、板面を貫通して左右方向に溝状に延びる溝部212,213が形成されている。溝部212,213には、それぞれ、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187のダボ189が差し込まれる。第一昇降ギア184および第二昇降ギア187の回転によってダボ189がガイド板200の溝部202,203に沿って移動するとき、昇降板210の溝部212,213がダボ189の左右方向への押圧を逃す。これにより、昇降板210は溝部212,213の幅方向にダボ189から押圧力を受け、溝部201に案内されつつ上下方向に移動する。
【0049】
昇降板210の前面には、2本の昇降アーム220,225が固定されている。昇降アーム220,225は上下方向に延びる細幅の板状体であり、先端側にそれぞれ2つずつ、ガトリングユニット110の固定板122を固定するためのねじ穴を有する。昇降アーム220,225の後端側にもそれぞれ2つずつねじ穴を有し、先端側を昇降板210の下方に突出させつつ左右に並べて配置した状態で、昇降板210の前面にねじ止めされている。ガトリングユニット110の固定板122には、昇降アーム220,225の先端側が、固定板122の下端側の部位においてねじ止めされ、ねじ止め位置より上方の部位と昇降アーム220,225との間に間隙が設けられている。
【0050】
図2,図3に示す、化粧カバー230は、ユニット昇降機170の前面側を覆うカバーである。化粧カバー230は動力伝達ボックス180に固定され、ガトリングユニット110が上下に移動しても、内部のギア群が露出することがないように覆う。化粧カバー230には一部に装飾が施されており、ガトリング役物100がパチンコ機1の遊技盤2に取り付けられると、ガトリングユニット110とともに装飾が施された部分が盤面上に露出する。
【0051】
また、化粧カバー230には、ユニット遮蔽体160が取り付けられている。ユニット遮蔽体160は、ガトリングユニット110の前面側で、ガトリングユニット110の移動領域を左右方向にまたがって設けられ、パチンコ機1の正面から見た場合にガトリングユニット110の一部を覆い隠す。ユニット遮蔽体160にはパチンコ機1のロゴが表示されており、内部に電飾LED等が設けられ、ガトリング役物100を用いた演出の際に点灯・点滅するLEDの光を反射・透過させる。
【0052】
図2に示すように、ユニット昇降機170によってガトリングユニット110が上端の位置に移動した場合に、ユニット遮蔽体160は、1つの第二装飾体140を下側から露出させつつ、他の3つの第二装飾体140を遮蔽する。同様に、図3に示すように、ガトリングユニット110が下端の位置に移動した場合に、ユニット遮蔽体160は、1つの第二装飾体140を下側から露出させつつ、他の3つの第二装飾体140を遮蔽する。
【0053】
このような構造のガトリング役物100において、ガトリングユニット110は、第一モータ111の駆動によって回転する回転軸115に固定された回転板150とともに第一装飾体130が回転される。そして、第一装飾体130と回転板150との間に位置決めされた第二装飾体140が従動回転され、第二装飾体140に表示された文字や図柄等の向きが変化する。本実施の形態では、第一装飾体130が回転して4つの第二装飾体140が回転軸115の位置を中心に上下左右に配置される並びとなったときに、上下の第二装飾体140が第一向きを向くように、固定ギア125と円環ギア145との噛み合わせが設定されている。なお、回転軸115を中心とする上下左右の向きは、自身は回転しない台座120(天壁121)を基準とする。
【0054】
図7に示すように、4つの第二装飾体140を、便宜上、「V」の文字が表示されたものを第二装飾体140a、「ANGEL」の文字が表示されたものを第二装飾体140b、「BURST」の文字が表示されたものを第二装飾体140c、図形が表示されたものを第二装飾体140dとして区別する。回転軸115に対して上側および下側に位置する第二装飾体140aおよび第二装飾体140cは、それぞれ表示された文字を正しく読むことのできる第一向きを向く。
【0055】
回転軸115の回転によって第一装飾体130が時計回りに回転すると、従動する第二装飾体140は、静止する固定ギア125の外周に沿うように周方向に移動する。なお、以下では、第二装飾体140aに注目する。図8に示すように、第一装飾体130が45°時計回りに回転すると、第二装飾体140aは回転軸115の上から斜め右上に周方向に移動する。円環ギア145の歯部146が固定ギア125の歯部126と噛み合い、ギア比が1対1に設定されているため、第二装飾体140aは、周方向に移動しながら時計回りに90°従動回転する。
【0056】
そして図9に示すように、第一装飾体130が90°時計回りに回転したときには、第二装飾体140aは回転軸115の右側に位置する。ギア比が1対1であるため、第二装飾体140aは、回転前の状態から180°時計回りに従動回転する。なお、このときに、回転前の状態において回転軸115の左右に位置していた第二装飾体140b,140dは、それぞれ回転軸115の上下に位置し、回転前に回転軸115の下に位置していた第二装飾体140cは、回転軸115の左に位置する。
【0057】
図10に示すように、第一装飾体130が180°時計回りに回転したときには、第二装飾体140aは回転軸115の下側に位置する。ギア比が1対1であるため、第二装飾体140aは、回転前の状態から360°時計回りに従動回転している。すなわち、第二装飾体140aは、第一向きを向く。
【0058】
このように、円環ギア145と固定ギア125のギア比が1対1であるため、静止する固定ギア125の周囲を周回する円環ギア145は、従動回転によって、第一装飾体130が半回転(180°回転)する間に1回転(360°回転)する。そして、第一装飾体130の回転前に第二装飾体140の1つが第一向きを向く場合に、第一装飾体130が90°回転するごとに、第二装飾体140のいずれかが第一向きを向く。本実施の形態では、図7に示すように、第二装飾体140が回転軸115の上下に位置する場合に第一向きを向き、左右に位置する場合には第一向きとは逆向きとなるように、ガトリングユニット110の組み立ての際に円環ギア145の位置合わせがなされている。
【0059】
従って、第一装飾体130の向きによって、第二装飾体140の位置関係および向きが決定される。さらに、本実施の形態では、ユニット昇降機170によってガトリングユニット110が上端および下端に移動した場合に、第二装飾体140の1つがユニット遮蔽体160から露出し、第一向きを向く。この動作は、ガトリングユニット110に設けられた第一フォトセンサ114と、ユニット昇降機170に設けられた第二フォトセンサ190の検出結果に基づく第一モータ111および第二モータ182の駆動制御によってなされる。
【0060】
以下、図11を参照して、パチンコ機1の概略的な電気的構成について説明する。図11に示すように、パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ統合基板60、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を備える。
【0061】
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演出処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。CPU51は、主基板41に設けられる割込信号発生回路(図示外)から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板60、払出制御基板45、中継基板47、第一始動口スイッチ72、および第二始動口スイッチ73に接続されている。第一始動口スイッチ72は、第一特別図柄始動入賞口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ73は、第二特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
【0062】
サブ統合基板60はCPU61、RAM62、ROM63を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、およびスピーカ48に接続している。サブ統合基板60は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出部30を構成する各種演出装置による演出等の総合的な制御を行う。また、ROM63には、演出部30を構成する演出装置の1つであるガトリング役物100の動作を制御するための演出パターンが、他の演出装置の制御用の演出パターンとともに記憶されている。サブ統合基板60は、主基板41から演出パターン指定コマンドを受信すると、ガトリング役物100の制御に関するコマンドが含まれれば、指定された演出パターンと、第一フォトセンサ114および第二フォトセンサ190の検出結果とに基づいて、第一モータ111および第二モータ182を制御するためのコマンドをランプドライバ基板46に送信する。
【0063】
ランプドライバ基板46はサブ統合基板60から受信するコマンドを変換し、演出部30に設けられた各種装置に振り分けて指示を送信し、演出用電飾LED等を点灯・点滅させたり、演出用の役物を駆動させたりする。また、上記したガトリング役物100に使用される第一フォトセンサ114、第二フォトセンサ190、第一モータ111、第二モータ182もランプドライバ基板46によって制御される。演出制御基板43は、サブ統合基板60から受信するコマンドに従って表示装置28の表示を制御する。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
【0064】
中継基板47には、電動役物開閉ソレノイド69、通常アタッカー開閉ソレノイド70、Vアタッカー開閉ソレノイド71が接続されている。電動役物開閉ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。通常アタッカー開閉ソレノイド70は、大当たり遊技中に通常アタッカー16の開閉部材を開閉する。Vアタッカー開閉ソレノイド71は、大当たり遊技中にVアタッカー10の開閉部材を開閉する。
【0065】
また、中継基板47には、普通図柄作動スイッチ74、通常アタッカースイッチ75、Vアタッカースイッチ78が接続されている。普通図柄作動スイッチ74は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。通常アタッカースイッチ75は、通常アタッカー16の入賞口に入賞した遊技球を検出する。Vアタッカースイッチ78は、Vアタッカー10に入賞した遊技球を検出する。
【0066】
さらに、中継基板47には、図柄表示装置8が接続されている。また、電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ、遊技球を遊技領域4へ発射する。
【0067】
次に、図12を参照して、サブ統合基板60で行われるガトリング役物100による演出処理について説明する。まず、演出処理における制御の概要について説明する。上記したように、サブ統合基板60のCPU61は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出部30を制御するコマンドをランプドライバ基板46に送信する。サブ統合基板60のCPU61が、主基板41からのコマンドに基づく演出パターンをROM63から読み出し、その内容にガトリング役物100による演出の実行が含まれる場合、CPU61は、ランプドライバ基板46から第一フォトセンサ114および第二フォトセンサ190の検出結果を取得する。そして、演出パターンとフォトセンサの検出結果に基づいて、第一モータ111および第二モータ182を制御するためのコマンドをランプドライバ基板46に送信する。ランプドライバ基板46はサブ統合基板60から受信するコマンドを変換し、第一モータ111および第二モータ182をコマンドによって指示された所定のステップ分回転させる制御を行う。
【0068】
次に、演出処理の詳細について説明する。なお、以下の説明において、第一モータ111は、パチンコ機1の正面から見たときに、回転板150を時計回りに回転させる向き(動力ギア112を正面から見て反時計回りに回転させる向き)を正回転とする。第二モータ182は、パチンコ機1の正面から見たときに、第一昇降ギア184および第二昇降ギア187(図6参照)を時計回りに回転させる向き(動力ギア183を正面から見て反時計回りに回転させる向き)を正回転とする。
【0069】
ガトリング役物100の演出処理は、サブ統合基板60のCPU61がROM63に記憶する演出処理のプログラム(図12参照)に従って行われる。なお、ガトリング役物100における電飾LED等による演出は、他のプログラム等により制御されるものとし、本実施の形態ではガトリングユニット110の回転および昇降の動作について注目することとする。サブ統合基板60のCPU61が主基板41からガトリング役物100による演出が含まれるコマンドを受信すると、第二モータ182を逆回転させるコマンドをランプドライバ基板46に送信する(S2)。第一昇降ギア184および第二昇降ギア187が反時計回りに回転し、昇降板210を上昇させ、ガトリングユニット110が移動範囲の上端に位置させる(この位置をガトリング役物100における演出の「第一位置」とする。)。
【0070】
昇降板210の検知部211が第二フォトセンサ190のセンサ部分に位置して検出結果がOFFとなれば、昇降板210が移動範囲の上端に位置し、ガトリングユニット110が第一位置に配置される。CPU61は、ランプドライバ基板46を介して第二フォトセンサ190の検出結果を取得し、OFFとなるまで第二モータ182の逆回転を維持する(S4:NO)。
【0071】
第二フォトセンサ190の検出結果がOFFとなれば(S4:YES)、CPU61は、第二モータ182の駆動を停止させるコマンドを出力し(S6)、次いで第一モータ111を正回転させるコマンドを出力する(S8)。ガトリングユニット110の第一装飾体130が時計回りに回転し始め、4つの第二装飾体140も従動して時計回りに回転をし始める。
【0072】
CPU61は、演出パターンに従って、ガトリングユニット110を下降させるタイミングまで待機し(S10:NO)、第一装飾体130および第二装飾体140の回転を第一位置で継続する。そして下降タイミングになったら(S10:YES)、第二モータ182を正回転させるコマンドを出力する(S12)。昇降板210の下降が開始され、ガトリングユニット110が移動範囲の下端へ向けて移動を開始する。
【0073】
ガトリングユニット110の移動距離は、第二モータ182の回転量、すなわちステッピングモータのステップ数で、あらかじめ決められている。第二モータ182が所定のステップ数回転するまでCPU61はガトリングユニット110の下降を継続し(S14:NO)、所定のステップ数回転したら(S14:YES)、第二モータ182を停止するコマンドを出力する(S16)。なお、ガトリングユニット110が移動範囲の下端に達したその位置を、ガトリング役物100における演出の「第二位置」とする。
【0074】
第一モータ111は回転を継続しており、CPU61は、演出パターンに従って、第一装飾体130および第二装飾体140の回転を停止するタイミングまで第二位置で待機する(S18:NO)。そして停止タイミングになったら(S18:YES)、停止時における第一装飾体130の向き(以下、「第三向き」という。)を特定するための基準となる第一装飾体130の第二向きが、第一フォトセンサ114がOFFとなることによって検出されるのを待つ(S20:NO)。
【0075】
第一フォトセンサ114の検出結果がOFFとなれば(S20:YES)、CPU61は、演出パターンに従って決定された、4つの第二装飾体140のうちの1つの第二装飾体140を、回転軸115の下側に配置させる。個々の第二装飾体140をそれぞれ回転軸115の下側に配置させるために第一モータ111を基準の位置(第一フォトセンサ114がOFFとなった位置)から回転させる角度は、上記同様、第一モータ111の回転量、すなわちステッピングモータのステップ数で、あらかじめ求められている。よって、CPU61は、第一フォトセンサ114がOFFとなってから継続して第一モータ111を回転させ(S22:NO)、演出パターンに基づく所定のステップ数回転したら(S22:YES)、第一モータ111を停止するコマンドを出力する(S24)。演出パターンに従って決定された第二装飾体140の1つが、ガトリングユニット110の下部に配置され、ユニット遮蔽体160から露出して表示される。このとき、露出された第二装飾体140は、あらかじめ設定された、固定ギア125と円環ギア145との噛み合わせの状態に基づき、第一向きを向く。
【0076】
演出パターンに従って、第二装飾体140を下部で露出させる表示による演出が終了するまで、CPU61は待機し(S26:NO)、表示の演出が終了すると、第二モータ182を逆回転させるコマンドを出力する(S28)。昇降板210の上昇が開始され、ガトリングユニット110が移動範囲の上端(第一位置)へ向けて移動を開始する。
【0077】
また、CPU61は、第一モータ111を正回転させるコマンドを出力する(S30)。ガトリングユニット110は、第一装飾体130および第二装飾体140を回転させながら上昇し、CPU61はその移動中待機する(S32:NO)。第二フォトセンサ190の検出結果がOFFとなって、上記のようにガトリングユニット110が第一位置に到達したら(S32:YES)、CPU61は、第二モータ182を停止するコマンドを出力する(S34)。
【0078】
そして、S20と同様に、第一装飾体130が向きの基準となる第二向きになるのを待つ(S36:NO)。第一フォトセンサ114がOFFとなって第一装飾体130が第二向きなったら(S36:YES)、CPU61は、基準の位置から所定のステップ数回転するまで第一モータ111の回転を継続する(S38:NO)。このときの所定のステップ数は、演出パターンに従って決定された1つの第二装飾体140が回転軸115の上側に配置されるように、第一装飾体130を第二向きから回転させて第三向きを向けさせるのに必要な第一モータ111のステップ数である。第一モータ111が所定のステップ数回転したら(S38:YES)、第一モータ111を停止するコマンドを出力する(S40)。ガトリングユニット110は第一位置に配置され、また、演出パターンに従って決定された第二装飾体140の1つが、ガトリングユニット110の上部に配置され、ユニット遮蔽体160から露出して表示される。このとき、露出された第二装飾体140は、上記同様に、あらかじめ設定された、固定ギア125と円環ギア145との噛み合わせの状態に基づき、第一向きを向く。
【0079】
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1は、第一モータ111の動力で第一装飾体130を回転させるだけで、第一装飾体130とは別軸の第二装飾体140を回転させることができる。第二装飾体140は第一装飾体130の回転半径内にあり、1つの回転体の内周内で異なる回転を行う別軸の回転体が存在することとなるため、装飾体の斬新な動作を実現することができる。また、第二装飾体140は、第一装飾体130内で第一装飾体130とは別軸で回転するため、第二装飾体140の装飾の識別は困難であるがゆえに、回転停止時に識別可能となる第二装飾体140の装飾の状態に対する興趣を高めることができる。
【0080】
また、1つの第一モータ111で異なる装飾体を回転させることができるので、ガトリングユニット110に搭載するモータは1つで済む。ゆえに、ガトリングユニット110の重量を減らして、ガトリングユニット110を支える部品にかかる負荷を減らすことができる。
【0081】
第二装飾体140は、第一装飾体130の回転に加え、第一装飾体130よりも短い回転周期によって回転するので、第二装飾体140が単独で回転する場合よりも早く回転するように遊技者に見せることができる。例えば、第二装飾体140の装飾として文字や図柄等を表示して演出を行う場合、第一装飾体130の回転が停止しないと第二装飾体140の文字や図柄等の識別が難しいので、回転中に、遊技者に期待感をもたせることができる。具体的に、第一装飾体130が1回転する間に第二装飾体140を2回転させれば、第二装飾体140が単独で回転する場合よりも早く回転するように遊技者に見せることができる。
【0082】
また、第一装飾体130の回転が停止した場合には第二装飾体140が正方向である第一向きを向けば、文字や図柄等を識別しやすい。そして、固定ギア125と円環ギア145との噛み合わせを設定することで、第一装飾体130が第二向きを向く場合に必ず第二装飾体140が第一向きを向くので、第一フォトセンサ114によって検知した第一装飾体130の第二向きを基準にすれば第二装飾体140の向きを把握することができる。さらに、第二装飾体140が複数あっても、第一装飾体130を任意の第二装飾体140に応じた第三向きに向ければ、第二装飾体140が確実に第一向きを向くようにすることができる。
【0083】
また、演出処理に従う制御を行うことによって、第一装飾体130および第二装飾体140が第一位置に位置し、第一装飾体130の回転が停止した場合に、ユニット遮蔽体160から露出する第二装飾体140が、確実に、第一向きを向くようにすることができる。同様に、第一装飾体130および第二装飾体140が第二位置に位置する場合にも、第一装飾体130の回転が停止した場合に、ユニット遮蔽体160から露出する第二装飾体140が、確実に、第一向きを向くようにすることができる。
【0084】
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、所定の第二装飾体140を表示させるため、第一装飾体130を向けさせる第三向きを、第一フォトセンサ114の検出結果に基づき、第一モータ111を回転させるステップ数によって調整したが、複数のフォトセンサを設けて個々の第二装飾体140に応じた第一装飾体130の第三向きを、一意に決定してもよい。また、ユニット昇降機170による昇降板210の第二位置についても、フォトセンサを設けて検出してもよい。また、第一フォトセンサ114および第二フォトセンサ190は、フォトセンサに限らず、電磁センサ、超音波センサ、その他様々なセンサを代用してもよい。
【0085】
また、第二装飾体140の数は4つに限らず、1つでも2つでも3つでもよいし、5対状であってもよい。ユニット昇降機170はガトリングユニット110を上下に移動させたが、左右でもよいし、前後でもよく、任意の方向に移動させてもよい。第二装飾体140は1つを残してユニット遮蔽体160に遮蔽されるようにしたが、2つ以上の第二装飾体140が露出するようにしてもよい。円環ギア145と固定ギア125のギア比を1対1にしたが、整数比であればよい。
【0086】
なお、本発明においては、パチンコ機1が「遊技機」に相当する。台座120が「支持体」に相当する。固定ギア125が「第一ギア」に相当し、円環ギア145が「第二ギア」に相当する。ガトリング役物100が「演出装置」に相当する。第一フォトセンサ114が「第一検知部」に相当し、第二フォトセンサ190が「第二検知部」に相当する。ユニット昇降機170が「移動機構」に相当する。ユニット遮蔽体160が「遮蔽体」に相当する。S36で第一フォトセンサ114による検知を基準にS38で第一モータ111を所定ステップ回転させた後、S40で第一モータ111を停止させることで、第一装飾体130に、第二装飾体が第一向きを向く所定の向きを向かせる制御を行うCPU61が、「第一制御部」に相当する。S12で第二モータ182を駆動させ、S14で所定ステップ回転させた後、S16で第二モータ182を停止させることで、ガトリングユニット110を第二位置に移動させる処理を行うCPU61が、「第二制御部」に相当する。
【符号の説明】
【0087】
1 パチンコ機
60 サブ統合基板
100 ガトリング役物
110 ガトリングユニット
111 第一モータ
114 第一フォトセンサ
115 回転軸
120 台座
125 固定ギア
126 歯部
130 第一装飾体
140 第二装飾体
145 円環ギア
146 歯部
160 ユニット遮蔽体
170 ユニット昇降機
182 第二モータ
190 第二フォトセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動する第一モータを備え、前記第一モータの動力で装飾体を動作させることで演出を行う演出装置であって、
前記第一モータの動力によって回転する回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸と一体に回転する第一装飾体と、
前記回転軸を回転可能に支持する支持体と、
前記支持体に固定され、前記回転軸と同軸に設けられる歯部を有する第一ギアと、
前記第一装飾体の回転半径内において、前記回転軸とは異なる軸にて前記第一装飾体に回転可能に支持され、前記第一ギアの歯部に噛み合う歯部を有する第二ギアと、
前記第二ギアに固定され、前記第一装飾体の回転に伴い前記回転軸の周囲を周回しつつ、前記第一装飾体に対して相対的に回転する第二装飾体と、
を備えることを特徴とする演出装置。
【請求項2】
前記第一装飾体の回転周期よりも前記第二装飾体の回転周期の方が短いことを特徴とする請求項1に記載の演出装置。
【請求項3】
前記第一ギアと前記第二ギアのギア比は1対1に設定されており、
前記第一装飾体が前記支持体に対して半回転するごとに、前記第二装飾体が前記支持体に対して1回転することを特徴とする請求項1または2に記載の演出装置。
【請求項4】
前記第二装飾体は、前記第一装飾体の回転が停止した状態において、前記支持体に対する向きが、上下左右の方向があらかじめ正方向として定められた第一向きを向くことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の演出装置。
【請求項5】
前記支持体に設けられ、前記第一装飾体の回転方向における前記支持体に対する向きを検知する第一検知部をさらに備え、
前記第一検知部によって前記第一装飾体が前記支持体に対してあらかじめ定められた第二向きを向くことが検知された場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一ギアと前記第二ギアのギア比が整数比に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の演出装置。
【請求項6】
前記第二装飾体は複数あり、前記第一装飾体が、前記支持体に対して前記第二向きを基準に所定の角度分回転した第三向きを向く場合に、少なくとも1以上の前記第二装飾体が、前記支持体に対して前記第一向きを向くことを特徴とする請求項5に記載の演出装置。
【請求項7】
回転駆動する第二モータと、
前記第二モータの動力で、前記第一装飾体および前記第二装飾体を、第一位置と、当該第一位置とは異なる第二位置との間で移動させる移動機構と、
前記第一装飾体を正面視した場合に、前記第一装飾体および前記第二装飾体の一部を遮蔽しつつ、前記第一装飾体および前記第二装飾体が前記第一位置または前記第二位置に位置する場合に、複数の前記第二装飾体のうちの少なくとも1つを露出させる遮蔽体と、
前記第一装飾体および前記第二装飾体が、前記第一位置に位置するか否かを検知する第二検知部と、
前記第二検知部によって検知される前記第一位置に前記第一装飾体および前記第二装飾体が位置する場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一モータの駆動を制御して前記第一装飾体を回転させる第一制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5または6に記載の演出装置。
【請求項8】
前記第二モータの駆動を制御して、前記第二検知部によって検知される前記第一位置を基準に、前記第一装飾体および前記第二装飾体を前記第二位置に移動させる第二制御部をさらに備え、
前記第一制御部は、前記第二制御部の制御によって前記第一装飾体および前記第二装飾体が前記第二位置に移動した場合に、前記第二装飾体が前記支持体に対して前記第一向きを向くように、前記第一モータの駆動を制御して前記第一装飾体を回転させることを特徴とする請求項7に記載の演出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の演出装置を備える遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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