説明

演奏補助装置および楽器

【課題】少ない力でも容易に楽器の演奏することができるようにする。
【解決手段】所定方向に付勢されている楽器操作子において、演奏者が触れる部分に貼り付けられているセンサ102は、演奏者が操作子に触れた時の圧力を検知し、検知した圧力を示す信号を制御部101へ出力する。制御部101は、演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を入力された信号に基づいて求める。制御部101は、求めた圧力値に基づいて、パワーアシスト部103のモータ103Aに出力する電流の電流値を決定し、決定した電流値の電流をモータ103Aへ流す。モータ103Aは、入力される電流に応じてシャフトを回転させ、楽器操作子に対して、付勢されている所定方向とは反対の力を楽器操作子に加えて楽器操作子を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の演奏を補助する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器の演奏を補助する技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示された技術がある。これらの文献に開示されている装置は、いずれもピアノのペダル操作を補助するものであり、ピアノのペダルの上面に接触してペダルを押圧する押圧部分を備えている。この押圧部分の上方には補助ペダルが設けられており、補助ペダルが下方に押し下げられると、補助ペダルに連動して押圧部が下方に移動し、ペダルを押し下げるようになっている。体格の小さい幼児の場合、椅子に座るとペダルに足が届かず、ペダルを踏むことができないが、これらの装置によれば、補助ペダルはペダルの上方に位置するため、幼児が椅子に座った場合でも足が補助ペダルに届き、補助ペダルを踏むことによりピアノのペダルを押し下げることができる。
【特許文献1】特開2001−109462号公報
【特許文献2】特開2004−334141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ピアノのペダルは上方に付勢されており、ペダルを下方に押すためには力が必要となる。また、ピアノのペダルに限らず、ドラムのキックペダルや、管楽器における操作レバー等も、ある方向に付勢されており、ペダルやレバーを押さえたり離したりすることにより演奏が行われる。楽器の演奏を行うのは大人だけでなく多くの幼児も楽器の演奏を行うが、演奏者が幼児等の力の弱いものである場合、付勢力に抗してペダルやレバーを押し切ることができないこともあり容易に演奏を行えない場合もある。特許文献1、2には、幼児でも演奏ができるように演奏を補助する技術が開示されているものの、このような力の不足を補助する技術は開示されておらず、少ない力でも容易に演奏ができるようにはなっていない。
【0004】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、その目的は、少ない力でも容易に楽器の演奏することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために本発明は、第1方向へ付勢されている楽器操作子に対して演奏者が加えた力の大きさを測定する測定手段と、前記楽器操作子に加える力の大きさを前記測定手段により測定された力の大きさに応じて決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力する信号出力手段と、前記信号出力手段から出力された信号に対応した大きさの力を前記楽器操作子に加えて前記楽器操作子を前記第1方向とは異なる第2方向へ駆動する駆動手段とを有する演奏補助装置を提供する。
【0006】
この態様においては、前記測定手段により測定された力の大きさと前記楽器操作子に加える力の大きさとの関係を複数記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている複数の関係のいずれかを選択する選択手段とを有し、前記信号出力手段は、前記楽器操作子に加える力の大きさを、前記選択手段により選択された関係に従って決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力するようにしてもよい。
また、前記測定手段は、複数の楽器操作子を有する楽器の楽器操作子毎に、演奏者が楽器操作子に対して加えた力の大きさを測定するようにしてもよい。
また、前記測定手段により測定された力の大きさと、前記楽器操作子に加える力の大きさとの関係を前記複数の楽器操作子毎に記憶する記憶手段を有し、前記信号出力手段は、前記楽器操作子に加える力の大きさを、前記記憶手段において該楽器操作子に対応して記憶されている関係に従って決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力するようにしてもよい。
また、本発明は、前記いずれかの態様の演奏補助装置を有する楽器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少ない力でも容易に楽器の演奏することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るサクソフォンの全体図である。複数の音孔が設けられた管体1の上部には吹込管11を介してマウスピース12が配設され、管体1の下部には朝顔管13が配設されている。また、管体1の側面には、演奏者の左手により操作される左手主鍵群4と、左手側鍵群2と、演奏者の右手により操作される右手側鍵群3が配設されている。左手側鍵群2はHighDキー21、HighFキー23、HighEbキー24を含み、また、左手主鍵群4はCキー22、Aキー44を含んでいる。また、右手側鍵群3はHighDトリルレバー31、HighEキー32、サイドCレバー33、サイドBbレバー34を含んでいる。なお、一般に指を通常の位置からはずして押さえる鍵を側鍵と呼び、主鍵とは区別している。
【0009】
また、本実施形態に係るサクソフォンは、演奏者がサクソフォンのキーを操作する時の力を補助する演奏補助装置100を備えている。図2は、本実施形態に係る演奏補助装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。図2に示したように、演奏補助装置100は、制御部101と、複数のセンサ102と、複数のパワーアシスト部103と、スイッチ104と、電源105とを備えている。
【0010】
スイッチ104は、演奏補助装置100の電源をON/OFFさせるためのスライド式のスイッチであり、管体1に配設されている。スイッチ104のスイッチのスライダがON側にスライドされている場合には、電源105から演奏補助装置100の各部に電力が供給されて演奏補助装置100が動作し、スイッチ104のスライダがOFF側にスライドされている場合には、演奏補助装置100の各部に電力が供給されず、演奏補助装置100は動作しないこととなる。
【0011】
センサ102は、フィルム状の圧力センサであり、演奏者がサクソフォンを演奏する時に触れる各種キーに貼り付けられている。センサ102は、演奏者がキーを押さえた時の指からの圧力を検知し、検知した圧力を示すアナログ信号を制御部101へ出力する。
パワーアシスト部103は、モータ103Aを備えており、サクソフォンが有する音孔に対応して管体1に配設されている。パワーアシスト部103が備えるモータ103Aの回転は制御部101によって制御される。
【0012】
制御部101は、例えば、CPU101A、ROM101B、RAM101C、入力端子および出力端子を備えた、所謂ワンチップ型のマイクロコンピュータであり、ROM101Bには、制御プログラムや圧力テーブルTB1が記憶されている。図3は、圧力テーブルTB1のフォーマットを例示した図である。図3に示したように、圧力テーブルTB1においては、圧力値に対応付けて、パワーアシスト部103のモータ103Aに供給する電流値が格納されている。制御部101は、電源105から電力が供給されるとROM101Bに記憶されているプログラムに従って動作し、センサ102から出力された信号に応じてパワーアシスト部103を制御する。なお、図3においては、圧力値は、a1<a2<a3<a4<a5・・・となっており、電流値は、b1<b2<b3<b4<b5・・・となっている。
【0013】
図4は、図1に示したサクソフォンの左手側鍵群2に係る鍵機構を説明するための図である。図4に示したように、管体1には、鍵柱21Bの組と、鍵柱23Bの組と、鍵柱24Bの組とが取り付けられている。
図5は図4のI−I線矢視図であり、図6(a)および図6(b)はHighFキー23をHighEbキー24側から見た図である。図5に示したように、一対の鍵柱23Bにより芯金23Eが支持されており、この芯金23Eには鍵管23Fが回転自在に取り付けられている。そして、この鍵管23Fには、HighFキー23が取り付けられている。左手側鍵群2におけるHighFキー23は、音孔23Dを開閉するためのキーである。HighFキー23の一方の端部には、センサ102が貼り付けられているレバー部23Aが設けられており、レバー部23Aの反対側の端部には、音孔23Dを塞ぐためのタンポ皿23Cが取り付けられている。
【0014】
HighFキー23は、付勢手段であるバネ23Gにより図6(a)の矢印A方向に付勢されているため、演奏者によってレバー部23Aが下方に押下されていない場合には、芯金23Eを中心にして矢印A方向に回動する。一方、レバー部23Aが演奏者により押下されると、HighFキー23は、バネ23Gの付勢力に抗して芯金23Eを中心にして矢印A方向と反対方向に回動する。HighFキー23が矢印A方向と反対方向に回動すると、タンポ皿23Cが音孔23Dから離隔し、管体1に設けられた音孔23Dが開くこととなる。なお、本実施形態においては、HighFキー23を含む各キーを付勢する手段はバネとなっているが、付勢手段はバネに限定されず、他の手段であってもよい。
【0015】
タンポ皿23Cの近傍には、パワーアシスト部103が配設されている。パワーアシスト部103が備えるモータ103Aのシャフトには、図4および図6に示したように、タンポ皿23Cを上下させるための開閉部材103Bが取り付けられている。開閉部材103Bは、図に示したように屈曲しており、その端部がタンポ皿23Cに取り付けられている。図6(a)において、モータ103Aのシャフトが反時計方向に回転すると、開閉部材103Bがシャフトの回転に伴ってシャフトを中心に回転する。そして、開閉部材103Bがシャフトを中心に反時計方向に回転すると、図6(b)に示したように、タンポ皿23Cが引き上げられて音孔23Dが開くこととなる。一方、モータのシャフトが図6(b)に示した状態から時計方向に回転すると、開閉部材103Bがシャフトの回転に伴ってシャフトを中心に回転する。開閉部材103Bがシャフトを中心に時計方向に回転すると、タンポ皿23Cが押し下げられて音孔23Dが閉まることとなる。
【0016】
以上、HighFキー23の構成について説明したが、HighDキー21、HighEbキー24の構成もHighFキー23と同様であるため、以下の説明においては、これら各キーの構成については、その説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0018】
(演奏補助装置100の各部に電力が供給されていない時の動作)
まず、演奏補助装置100の各部に電力が供給されていない時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがOFF側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100の各部に電力が供給されないこととなる。電力が供給されないと、パワーアシスト部103が制御されないため、サクソフォンの各キーは、演奏者の力のみによって操作されることとなる。
【0019】
演奏者がHighFキー23を操作する場合、HighFキー23は、付勢手段であるバネ23Gにより図6の矢印A方向に付勢されているため、演奏者によってレバー部23Aが下方に押下されていない時には、芯金23Eを中心にして矢印A方向に回動し、タンポ皿23Cによって音孔23Dを塞いでいる。
演奏者がレバー23部Aに触れ、レバー部23Aを押し下げる力を加えていくと、HighFキー23を矢印A方向とは反対方向に回動させようとする力(タンポ皿23Cを引き上げようとする力)がHighFキー23に働く。図7は、レバー部23Aを押し下げた時にレバー部23Aに働く力と、タンポ皿23Cに働く力との関係を示したグラフであるが、演奏補助装置100が動作していない場合、レバー部23Aを押し下げる力がF11であると、タンポ皿23Cを引き上げようとする力はF22となる。このように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力F21に達していない場合には、タンポ皿23Cは音孔23Dから離隔しないこととなる。
【0020】
演奏者がレバー部23Aにさらに力を加え、HighFキー23において、レバー部23Aを押す力がF12となると、タンポ皿23Cを引き上げようとする力がタンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力F21に達する。即ち、レバー部23Aを押し下げる力がF12となり、図7に示したようにタンポ皿23Cを引き上げようとする力がF21となると、HighFキー23は矢印A方向と反対方向に回動する。HighFキー23が矢印A方向と反対方向に回動すると、音孔23Dを塞いでいたタンポ皿23Cが音孔23Dから離隔し、管体1に設けられた音孔23Dが開くこととなる。
【0021】
この後、演奏者がレバー23Aを離すと、HighFキー23はバネ23Gの付勢力によって芯金23Eを中心にして矢印A方向に回動する。HighFキー23が矢印A方向に回動すると、音孔23Dから離隔していたタンポ皿23Cが音孔23Dを塞ぐので音孔23Dが閉じることなる。
【0022】
(演奏補助装置100の各部に電力が供給されている時の動作)
次に、演奏補助装置100の各部に電力が供給されている時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがON側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100の各部に電力が供給される。演奏補助装置100の各部に電力が供給されている状態において、演奏者が指でHighFキー23のレバー部23Aに触れると、指からの圧力がレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0023】
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号が入力されると、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、この変換したデジタル信号から、演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を求める。制御部101は、圧力値を求めると、求めた圧力値が格納されているセルを圧力テーブルTB1において検索する。そして、制御部101は、求めた圧力値が格納されているセルを見つけると、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB1から読み出す。
【0024】
ここで、求めた圧力値が「a1」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「b1」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。読み出した電流値の電流がモータ103Aに供給されると図6(a)に示したモータ103Aのシャフトを反時計方向に回転させるトルクがモータ103Aのシャフトに生じる。シャフトを反時計方向に回転させるトルクがシャフトに掛かると、シャフトに開閉部材103Bを介して連結されているタンポ皿23Cにはタンポ皿23Cを上方へ引き上げようとする力が加わることとなる。
ここで、レバー部23Aを押し下げる力がF13であると、タンポ皿23Cには、演奏者からの力に加えてモータ103Aからの力が加わるので、図7に示したように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力はF23となる。しかしながら、ここでは、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力F21に達していないため、タンポ皿23Cは音孔23Dから離隔せず、音孔23Dは閉じたままとなる。
【0025】
次に、演奏者がレバー部23Aに触れた指をさらに下方に下げようとして力を加えることにより、レバー部23Aに掛かる圧力が増加すると、増加した圧力がレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0026】
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から、演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を求めると、圧力テーブルTB1において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB1から読み出す。ここで、求めた圧力値が「a3」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「b3」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。ここで、電流値「b3」は電流値「b1」より大となっているため、モータ103Aのシャフトには、電流値「b1」の電流を供給した時より大きなトルクが生じることとなり、タンポ皿23Cを引き上げようとする力は、電流値「b1」の電流を供給した時より大となる。
ここで、レバー部23Aを押し下げる力がF11であると、タンポ皿23Cには、演奏者からの力に加えてモータ103Aからの力が加わるので、図7に示したように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力はF21となる。このように、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力F21に達すると、タンポ皿23Cはバネ23Gの付勢力に抗して上方へ引き上げられ、音孔23Dが開くこととなる。
【0027】
この後、音孔23Dを塞ぐために、演奏者が指にかける力を弱めると、レバー部23Aにかかる圧力が減少する。この減少した圧力はレバー部23Aに配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から演奏者がセンサ102を押さえた時の圧力を示す圧力値を求めると、圧力テーブルTB1において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB1から読み出す。ここで、求めた圧力値が「a2」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「b2」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をモータ103Aへ供給する。ここで、電流値「b2」は電流値「b3」より小となっているため、モータ103Aのシャフトには、電流値「b3」の電流を供給した時より小さなトルクが生じることとなる。電流値「b3」の電流を供給した時より小さなトルクが生じると、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、電流値「b3」の電流を供給した時より小となり、タンポ皿23Cを引き上げようとする力が、タンポ皿23Cを音孔23Dから離隔させるために必要な力F21より小となる。すると、タンポ皿23Cはバネ23Gの付勢力によって下方へ引き下げられ、音孔23Dが塞がれることとなる。
【0028】
本実施形態によれば、演奏者は小さな力でも音孔を開閉することができるので、指で押さえる力が弱い者でも容易に演奏をすることができる。なお、上述した実施形態においては、サクソフォンのHighDキー21、HighFキー23、HighEbキー24を押さえる時の力を補助する構成について説明したが、センサ102をサクソフォンの他のキーに貼り付けると共に、他のタンポ皿の近傍にもパワーアシスト部103を配設し、他のタンポ皿についてもタンポ皿23Cと同様に制御するようにしてもよい。特に、大きなタンポ皿を有するバリトンサクソフォンのようなサクソフォンにおいては、タンポ皿が大きい分、タンポ皿を動かすのに力が必要となる。また、このような、バリトンサクソフォンの低音部に対応するタンポ皿を動かすためのキーは、小指で操作するようになっているため、力の弱い演奏者にとっては、操作に困難を要する。しかしながら、本実施形態によれば、小さな力でも演奏者の操作に応じてタンポ皿を容易に動かすことができるため、力が弱い演奏者であっても容易に演奏を行うことができる。
また、本実施形態によれば、演奏者がキーに触れたりキーを離したりしただけで音孔が開閉されるのではなく、指からの圧力に応じてタンポ皿を引き上げようとする力が制御されるので、演奏時におけるキーの微妙なタッチの感覚を損なうことがない。
また、本実施形態によれば、演奏に必要となる力を軽減できるので、早いパッセージのフレーズが実現できるようになり演奏の表現力が豊かになる。
【0029】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係るピアノのペダル部分の構成を示した図である。図8において、グランドピアノの棚板50の上には鍵盤が配置されている。棚板50の下面にはペダル持竿51およびペダル笠木52が取り付けられており、ペダル笠木52には、ペダルの支柱となるペダル吊り53が固着されて懸垂されている。このペダル吊り53の下端には、ペダル支持部55が設けられている。
【0030】
ペダル支持部55には、ラウドペダル56が支点ピン76aを中心として回動可能に取り付けられており、演奏者は、ペダル支持部55から突き出したラウドペダル56の前方部分を踏み下げるようになっている。なお、ペダル支持部55には、ラウドペダル56のほかにも、ソステヌートペダルおよびシフトペダルが取り付けられ、これらも演奏者に踏み下げられるようになっているが、その説明は省略する。
【0031】
ペダル吊り53の背面側には、ペダル突上げロッド57が、その長手方向をほぼ垂直になるように配設されており、ラウドペダル56が踏み下げられると、ペダル突上げロッド57が上昇するようになっている。ペダル突上げロッド57は、一本の真直な棒であり、その上部は、ペダル吊り53の背面から突出する支持部59に設けられている軸受により、ほぼ垂直に移動可能に支持されている。ペダル突上げロッド57の上端には、キャプスタンスクリュー63が取り付けられており、ペダル突上げロッド57の上昇時には、キャプスタンスクリュー63の上端によりレバー64が回動されるようになっている。また、ペダル突上げロッド57の下部はラウドペダル56の後端に取り付けられている。レバー64は、ネジロッド65および六角ナット66を介して図示せぬダンパアクション機構に接続されているため、レバー64が回動すると、ダンパアクション機構が動作して図示せぬダンパが動作することとなる。
【0032】
次に、ラウドペダル56周辺の構成について説明する。図9(a)は、ラウドペダル56周辺の平面図であり、図9(b)は、ラウドペダル56周辺の断面図である。ラウドペダル56の後端部には、上下に貫通する断面円形の貫通孔70が形成されている。この貫通孔70には、ゴム製のほぼ円筒状のブッシュ71が埋設されている。ブッシュ71は、貫通孔70から抜け出さないように上下端に円環状のフランジを有しており、その中央の部分が貫通孔70に嵌め込まれている。そして、このブッシュ71にはペダル突上げロッド57の下端が挿入されている。
【0033】
ブッシュ71の内周面の上部は、上端から内部に向かうほど直径が小さくなるテーパ状になっている。また、ブッシュ71の内周面の下部も、上記と同一のテーパ角をもって、下端から内部に向かうほど直径が小さくなるテーパ状になっている。これにより、ブッシュ71の上下方向の中央において、内周面の直径が最も小さくなっている。この形状により、ペダル突上げロッド57の下部と、ラウドペダル56との相対的な傾斜が可能になされている。
【0034】
さて、ブッシュ71より上方において、ペダル突上げロッド57の下部には、C形止めリング72が固定されている。このC形止めリング72とブッシュ71との間には、高分子樹脂または高分子ゴムからなる部材73が配設されている。部材73は楕円柱状であって、この楕円の短軸方向がほぼ上下方向に向けられている。そして、この方向に沿って、部材73には、ペダル突上げロッド57の下部が貫通する貫通孔が形成されている。
【0035】
また、図9(b)に示すように、支点ピン76aとペダル突上げロッド57の間において、ラウドペダル56の底面には、凹部74が形成されており、この凹部74にはコイルバネ75の上部が嵌入されている。コイルバネ75の下部はペダル支持部55に形成された凹部76に嵌入されている。このコイルバネ75により、常時、ラウドペダル56に、これを踏み下げる方向の付勢力が与えられている。また、この付勢力により、ペダル突上げロッド57には、上向きの付勢力が与えられており、これにより、キャプスタンスクリュー63が常にレバー64に接触しているようになされている。つまり、ペダル突上げロッド57の変位と、レバー64の変位(より正確には回動角度)は、ほぼ一義的な関係にある。ただし、コイルバネ75による力は弱いものであり、レバー64から外力(ダンパアクション機構50の荷重)がペダル突上げロッド57に与えられているときは、コイルバネ75の力だけでペダル突上げロッド57が上昇することはない。
【0036】
また、図9(b)に示すように、ラウドペダル56の底面には凹部77が形成されており、ペダル支持部55には凹部78が形成されている。そして、この凹部78には、ソレノイドユニット103Dが嵌入されており、凹部77には、ソレノイドユニット103Dが備えるプランジャ103Cが嵌入されている。
【0037】
次に、本実施形態に係る演奏補助装置100Aについて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成要素については第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。図10は、本実施形態に係る演奏補助装置100Aのハードウェア構成を示したブロック図である。図10に示したように、演奏補助装置100Aは、制御部101と、複数のセンサ102と、複数のパワーアシスト部103と、スイッチ104と、電源105とを備えている。
【0038】
スイッチ104は、演奏補助装置100Aの電源をON/OFFさせるためのスライド式のスイッチであり、ペダル吊り53に配設されている。センサ102は、フィルム状の圧力センサであり、ピアノの各ペダルの上面に貼り付けられている。センサ102は、演奏者がペダルを踏んだ時の圧力を検知し、検知した圧力を示すアナログ信号を制御部101へ出力する。パワーアシスト部103は、ソレノイドユニット103Dを備えており、ピアノの各ペダルに対応してペダル支持部55に配設されている。このソレノイドユニット103Dは制御部101によって制御される。
【0039】
制御部101は、第1実施形態と同様のワンチップ型のマイクロコンピュータであり、ROMには、制御プログラムや圧力テーブルTB2が記憶されている。図11は、圧力テーブルTB2のフォーマットを例示した図である。図11に示したように、圧力テーブルTB2においては、圧力値に対応付けて、パワーアシスト部103のソレノイドユニット103Dに供給する電流値が格納されている。制御部101は、電源105から電力が供給されるとROMに記憶されているプログラムに従って動作し、センサ102から出力された信号に応じてパワーアシスト部103を制御する。なお、図11においては、圧力値は、c1<c2<c3<c4<c5・・・となっており、電流値は、d1<d2<d3<d4<d5・・・となっている。
【0040】
[第2実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0041】
(演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されていない時の動作)
まず、演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されていない時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがOFF側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されないこととなる。電力が供給されないと、パワーアシスト部103が制御されないため、ピアノの各ペダルは、演奏者の力のみによって操作されることとなる。
【0042】
演奏者がペダルに触れていない状態においては、ダンパアクション機構の荷重がレバー64を介してペダル突上げロッド57に伝わっており、これにより、ラウドペダル56は、コイルバネ75の力に抗して図9(b)中、支点ピン76aを中心にして反時計回りに付勢されている。ここで、演奏者が足でラウドペダル56に触れると、支点ピン76aを中心にして時計回りに回転させる力がラウドペダル56に働く。ここで時計回りに働く力が、ペダル突上げロッド57を押し下げようとする力より弱い場合には、ラウドペダル56は、時計方向に回動しないこととなる。
【0043】
この後、演奏者がさらに足に力を入れ、ラウドペダル56を時計方向に回動させようとする力が、ペダル突上げロッド57を押し下げようとする力より強くなると、ラウドペダル56が時計方向に回動し、ペダル突上げロッド57が押し上げられてダンパが動作することとなる。
【0044】
(演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されている時の動作)
次に、演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されている時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがON側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100Aの各部に電力が供給される。演奏補助装置100Aの各部に電力が供給されている状態において、演奏者が足でラウドペダル56に触れると、足からの圧力がラウドペダル56に配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0045】
制御部101は、アナログ信号が入力されると、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、この変換したデジタル信号から、演奏者がセンサ102を踏んだ時の圧力を示す圧力値を求める。制御部101は、圧力値を求めると、圧力テーブルTB2において、求めた圧力値が格納されているセルを検索する。制御部101は、求めた圧力値が格納されているセルを見つけると、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB2から読み出す。
【0046】
ここで、求めた圧力値が「c1」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB2に格納されている電流値「d1」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をソレノイドユニット103Dへ供給する。読み出した電流値の電流がソレノイドユニット103Dに供給されると、供給された電流に応じてプランジャ103Cを突出させる力が働く。ここで、ラウドペダル56を押し下げる力がF33であると、ラウドペダル56には、演奏者からの力に加えてソレノイドユニット103Dからの力が加わるので、図7に示したように、ペダル突上げロッド57を押し上げようとする力はF43となる。このように、ペダル突き上げロッド57を押し上げようとする力が、ペダル突き上げロッド57を押し上げるために必要な力F41に達していない場合には、ペダル突上げロッド57は押し上げられず、ダンパは動作しないこととなる。
【0047】
次に、演奏者がさらに足に力を入れ、ラウドペダル56に掛かる圧力が増加すると、増加した圧力がラウドペダル56に配設されているセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。
【0048】
制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から、演奏者がラウドペダル56を踏んだ時の圧力を示す圧力値を求めると、圧力テーブルTB2において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB2から読み出す。ここで、求めた圧力値が「c3」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB1に格納されている電流値「d3」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をソレノイドユニット103Dへ供給する。ここで、電流値「d3」は電流値「d1」より大となっているため、プランジャ103Cを突出させる力は、電流値「d1」の電流が供給された時より大となる。
ここで、ラウドペダル56を押し下げる力がF31であると、ラウドペダル56には、演奏者からの力に加えてソレノイドユニット103Dからの力が加わるので、図12に示したように、ペダル突上げロッド57を押し上げようとする力はF41となる。このように、ペダル突上げロッド57を押し上げようとする力が、ペダル突上げロッド57を押し上げるのに必要な力F41となると、ペダル突上げロッド57が押し上げられ、これにより図示せぬダンパが動作する。
【0049】
この後、演奏者が足にかける力を弱めると、ラウドペダル56にかかる圧力が減少する。この減少した圧力はセンサ102により検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が制御部101に入力される。制御部101は、センサ102から出力されたアナログ信号から、演奏者がセンサ102を踏んだ時の圧力を示す圧力値を求めると、圧力テーブルTB2において、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB2から読み出す。ここで、求めた圧力値が「c2」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB2に格納されている電流値「d2」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をソレノイドユニット103Dへ供給する。ここで、電流値「d2」は電流値「d3」より小となっているため、ソレノイドユニット103Dがプランジャ103Cを突出させる力は、電流値「d3」の電流を供給した時より小さくなる。
【0050】
プランジャ103Cを突出させる力が、電流値「d3」の電流を供給した時より小さくなると、ペダル突上げロッド57を押し上げようとする力が、電流値「d3」の電流を供給した時より小となる。ペダル突上げロッド57を押し上げようとする力が小さくなると、ペダル突上げロッド57が下降し、図示せぬダンパは、演奏者がラウドペダル56に触れていない時の初期の位置に戻ることとなる。
【0051】
本実施形態によれば、演奏者は小さな力でもペダルを操作することができるので、足の力が弱い者でも容易に演奏をすることができる。
【0052】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図13は、演奏補助装置100Bを有するピアノの要部の構成を示した断面図である。図13に示すように、ピアノは、鍵91と、鍵91の運動をハンマー92に伝達する公知のアクション(機構)93と、ハンマー92によって打弦される弦94と、鍵91を駆動するソレノイドユニット103Dと、センサ102とを有している。また、鍵91の下面には板状の突出部98が設けられている。センサ102は圧力センサであり、突出部98により押されると、突出部98がセンサ102を押すときの圧力を検知し、検知した圧力を示すアナログ信号を出力する。
【0053】
次に、本実施形態に係る演奏補助装置100Bは、圧力テーブルTB2に格納されている数値が第2実施形態と異なるのみであり(図14)、他の構成は、演奏補助装置100Bと同じになっている。制御部101は、電源105から電力が供給されるとROMに記憶されているプログラムに従って動作し、圧力センサ102から出力された信号に応じてパワーアシスト部103を制御する。
【0054】
[第3実施形態の動作]
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0055】
(演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されていない時の動作)
まず、演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されていない時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがOFF側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されないこととなる。電力が供給されないと、パワーアシスト部103が制御されないため、ピアノの各鍵は、演奏者の力のみによって操作されることとなる。
【0056】
そして、演奏者により鍵91が押下されると、鍵91がバランスピンPを中心に回動し、鍵91の演奏者側が下がる。また、これに連動してアクション93が作動し、ダンパ96が弦94から離れるとともに、ハンマー92が回動して打弦する。
【0057】
(演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されている時の動作)
次に、演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されている時の動作について説明する。スイッチ104のスライダがON側にスライドされていると、電源105から演奏補助装置100Bの各部に電力が供給される。演奏補助装置100Bの各部に電力が供給されている状態において、演奏者が鍵91を押下すると、鍵91の突出部98がセンサ102を押圧する。センサ102は、突出部98により押圧されると突出部98から受けた圧力を示す信号を制御部101へ出力する。
【0058】
制御部101は、アナログ信号が入力されると、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、この変換したデジタル信号から、演奏者が鍵91を押した時の圧力を示す圧力値を求める。制御部101は、圧力値を求めると、求めた圧力値が格納されているセルを圧力テーブルTB3において検索する。制御部101は、求めた圧力値が格納されているセルを見つけると、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルTB3から読み出す。
【0059】
ここで、求めた圧力値が「e1」である場合には、この圧力値に対応付けて圧力テーブルTB3に格納されている電流値「f1」が読み出される。制御部101は、電流値を読み出すと、読み出した電流値の電流をソレノイドユニット103Dへ供給する。読み出した電流値の電流がソレノイドユニット103Dに供給されると、供給された電流に応じてプランジャ103Cを突出させる力が働く。プランジャ103Cがソレノイドユニット103Dから押し出され、プランジャ103Cが鍵91を押すと、演奏者が鍵91を押す力に対し、バランスピンPを中心に鍵91を回動させようとする力が加わる。
【0060】
演奏者が鍵91を押す力と、プランジャ103Cが鍵91を押す力とを合わせた力が、鍵91を回動させるために必要な力となると、鍵91がバランスピンPを中心に回動し、鍵91の演奏者側が下がる。また、これに連動してアクション93が作動し、ダンパ96が弦94から離れるとともに、ハンマー92が回動して打弦する。
【0061】
本実施形態によれば、演奏者は小さな力でも鍵91を操作することができるので、指の力が弱い者でも容易に演奏をすることができる。
【0062】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図15は、本発明に係る演奏補助装置が装着されたバスドラムペダルを示す図である。図15に示すようにバスドラムペダルは、フットボード82の踏み込み操作に応じて回転軸80が回転し、回転軸80の回転に伴ってビータがドラムを打撃する。フットボード82の表面にはセンサ102が貼り付けられており、回転軸80を支持する支柱部81Aには、制御部101と、スイッチ104と、電源105と、モータを備えたパワーアシスト部103とを内部に有する筐体106が装着されている。そして、モータのシャフトは回転軸80に連結されている。この態様において、演奏者が足でフットボードを踏み込むと、踏み込んだ時の圧力がセンサ102によって検知され、検知した圧力を示すアナログ信号が筐体106内の制御部101に入力される。制御部101は、入力されたアナログ信号から演奏者がセンサ102を踏み込んだ時の圧力を示す圧力値を求めると、制御部101のROMに記憶されている圧力テーブルにおいて、求めた圧力値が格納されているセルを検索し、見つけたセルに対応付けて格納されている電流値を圧力テーブルから読み出す。そして、読み出した電流値に応じてパワーアシスト部103のモータのシャフトを回転させる。モータのシャフトが回転すると、シャフトに連結されている回転軸80がシャフトの回転に伴って回転し、回転軸80の回転に伴って、ビータがドラムを打撃する。このように、演奏補助装置はピアノだけでなく、ペダルを有する他の楽器にも装着して演奏を補助することができる。
【0063】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
【0064】
また、上述した実施形態では、ROM101Bに一つの圧力テーブルのみが記憶されている構成となっているが、図16に示した演奏補助装置100Cのように、不揮発性メモリ106に複数の圧力テーブルTB11〜TB13を記憶させておくと共に、この複数の圧力テーブルのいずれかを選択するための操作スイッチ107を演奏補助装置100Cに設け、制御部101は、演奏者が操作スイッチ107に行った操作に応じて複数の圧力テーブルTB11〜TB13のいずれかを選択し、選択された圧力テーブルに応じてパワーアシスト部103を制御するようにしてもよい。なお、複数の圧力テーブルは、不揮発性メモリ106ではなくROM101Bに記憶させるようにしてもよい。
また、圧力テーブルを複数有する態様においては、楽器の個々のキー毎や個々のペダル毎に対応して圧力テーブルを記憶させるようにしてもよい。例えば、第1実施形態においては、HighFキー23に対して圧力テーブルTB11、HighEbキー24に対して圧力テーブルTB12を対応付けるようにしてもよい。また、圧力テーブルに格納する値を圧力テーブル毎に同じ値にしたり異なる値にしたりするようにしてもよい。そしてキーやペダルが操作されたときには、操作されたキーやペダルに対応する圧力テーブルを用いてパワーアシスト部103を制御するようにしてもよい。この態様によれば、特定のキーのみ力を入れるのが困難な場合であっても、圧力テーブルの値を調整すれば、操作する力が小さくてもキーやペダルを操作することができる。そして、キーやペダル毎に操作に要する力が異なる場合であっても各キーやペダルを操作することができる。
また、上述した実施形態においては、不揮発性メモリを演奏補助装置に設け、圧力テーブルを不揮発性メモリに記憶させるようにしてもよい。
また、圧力テーブルを不揮発性メモリに記憶させる態様においては、圧力テーブルの内容を表示する液晶ディスプレイ等の表示装置と、数値を入力するためのテンキー等の操作子を演奏補助装置に設け、圧力テーブルに格納された数値を演奏者が変更できるようにしてもよい。
【0065】
上述した第1実施形態においてはサクソフォンに演奏補助装置100を装着した場合について説明したが、演奏補助装置100はサクソフォンだけでなく、音孔を開閉する機構を備えた楽器であれば、サクソフォン以外の管楽器に装着してもよい。
また、上述した第2実施形態においては、ピアノに演奏補助装置100Aを装着した場合について説明したが、演奏補助装置100Aはピアノだけでなく、ピアノと同様のペダルを備えた楽器であれば、ピアノ以外の楽器に装着してもよい。
【0066】
上述した第1実施形態においては、任意に選択したキーについてのみセンサとパワーアシスト部を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、演奏補助装置の各部は、楽器への取り付けおよび取り外しが自在にできるようにしてもよい。
【0067】
上述した実施形態においては、楽器の操作子における圧力を検知してパワーアシスト部を制御しているが、単位時間当たりの操作子位置の変化量を検知して操作子の移動速度を求め、この移動速度に応じてパワーアシスト部を制御するようにしてもよい。また、移動速度を微分して操作子の加速度を求め、求めた加速度に応じてパワーアシスト部を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係るサクソフォンの全体図である。
【図2】同実施形態に係る演奏補助装置100の構成を示したブロック図である。
【図3】同実施形態に係る圧力テーブルTB1を例示した図である。
【図4】同実施形態に係るサクソフォンの鍵機構を説明するための図である。
【図5】図4のI−I線矢視図である。
【図6】HighFキー23をHighEbキー24側から見たときの図である。
【図7】第1実施形態の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るピアノのペダル部分の構成を示した図である。
【図9】同実施形態に係るペダル部分の平面図と断面図である。
【図10】同実施形態に係る演奏補助装置100Aの構成を示したブロック図である。
【図11】同実施形態に係る圧力テーブルTB2を例示した図である。
【図12】第2実施形態の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るピアノの要部の構成を示した断面図である。
【図14】同実施形態に係る圧力テーブルTB3を例示した図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るバスドラムペダルの全体構成を示した図である。
【図16】本発明の変形例に係る演奏補助装置100Cの構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1・・・管体、2・・・左手側鍵群、3・・・右手側鍵群、4・・・左手主鍵群、11・・・吹込管、12・・・マウスピース、13・・・朝顔管、21・・・HighDキー、22・・・Cキー、23・・・HighFキー23、24・・・HighEbキー、21A、23A、24A・・・レバー部、21B、23B、24B・・・鍵柱、21C、23C、24C・・・タンポ皿、21D、23D、24D・・・音孔、23E・・・芯金、23F・・・鍵管、23G・・・バネ(付勢手段)、31・・・HighDトリルレバー、32・・・HighEキー、33・・・サイドCレバー、34・・・サイドBbレバー、44・・・Aキー、50・・・棚板、51・・・ペダル持竿、52・・・笠木、53・・・ペダル吊り、55・・・ペダル支持部、56・・・ラウドペダル、56a・・・支点ピン、57・・・ペダル突上げロッド、59・・・支持部、63・・・キャプスタンスクリュー、64・・・レバー、65・・・ネジロッド、66・・・六角ナット、74、76、78、79・・・凹部、75・・・バネ、76a・・・支点ピン、91・・・鍵、92・・・ハンマー、93・・・アクション、94・・・弦、98・・・突出部、100,100A・・・演奏補助装置、101・・・制御部、102・・・センサ、103・・・パワーアシスト部、103A・・・モータ、103C・・・プランジャ、103D・・・ソレノイドユニット、104・・・スイッチ、105・・・電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向へ付勢されている楽器操作子に対して演奏者が加えた力の大きさを測定する測定手段と、
前記楽器操作子に加える力の大きさを前記測定手段により測定された力の大きさに応じて決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力する信号出力手段と、
前記信号出力手段から出力された信号に対応した大きさの力を前記楽器操作子に加えて前記楽器操作子を前記第1方向とは異なる第2方向へ駆動する駆動手段と
を有する演奏補助装置。
【請求項2】
前記測定手段により測定された力の大きさと前記楽器操作子に加える力の大きさとの関係を複数記憶した記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている複数の関係のいずれかを選択する選択手段と
を有し、
前記信号出力手段は、前記楽器操作子に加える力の大きさを、前記選択手段により選択された関係に従って決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の演奏補助装置。
【請求項3】
前記測定手段は、複数の楽器操作子を有する楽器の楽器操作子毎に、演奏者が楽器操作子に対して加えた力の大きさを測定することを特徴とする請求項1に記載の演奏補助装置。
【請求項4】
前記測定手段により測定された力の大きさと、前記楽器操作子に加える力の大きさとの関係を前記複数の楽器操作子毎に記憶する記憶手段を有し、
前記信号出力手段は、前記楽器操作子に加える力の大きさを、前記記憶手段において該楽器操作子に対応して記憶されている関係に従って決定し、決定した力の大きさに対応した信号を出力すること
を特徴とする請求項1に記載の演奏補助装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の演奏補助装置を備えた楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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