演奏評価装置、プログラム及び演奏評価方法
【課題】同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価をする。
【解決手段】演奏評価装置は、音高を示すノート値が楽曲の演奏すべき進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成する。評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する。最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する。
【解決手段】演奏評価装置は、音高を示すノート値が楽曲の演奏すべき進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成する。評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する。最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲の演奏を評価する演奏評価装置、プログラム及び演奏評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の演奏者による楽曲のそれぞれの演奏について、楽譜の音符が示す本来演奏すべき音高の音と、実際に演奏者によって演奏された音と、が相違した数であるミスタッチ数をそれぞれ記憶し、ミスタッチ数の総計が最小の演奏者を基準演奏者と決定し、当該基準演奏者のミスタッチ数に基づいて、正誤判定する演奏評価装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような演奏評価装置では、評価の基準となる基準演奏者のミスタッチ数に基づいて、演奏者による楽曲の演奏を評価できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽曲の中には、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返されるものもある。また、演奏者は、意図せずに同じ音符を連続して鳴らしてしまったり、同じフレーズを繰り返してしまったりする場合もある。
しかしながら、特許文献1に記載の技術を含め、従来の演奏評価装置においては、このように演奏者が意図せずに鳴らした音であっても、楽曲の正しい音符の順番と同じとなれば、ミスタッチと判断されず、適正な評価がされない場合があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の演奏評価装置は、
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る演奏評価装置における演奏を評価する処理の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る演奏評価装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行するDPマッチング処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが評価マトリクスにおける各セルのペナルティ値を算出する手順を説明する図である。
【図5】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUによる正誤判定処理の結果を評価マトリクスに示した図である。
【図7】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUによる正誤判定処理の結果の具体例を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定マーク処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定マーク処理により生成された画像の一例を示す図である。
【図10】第1応用例に係る演奏評価装置のCPUが実行する定期評価処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】第2応用例に係る演奏評価装置のCPUが実行する和音評価処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る演奏評価装置を説明する。
まず、本実施形態の理解を容易にするため、本実施形態に係る演奏評価装置の概要を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る演奏評価装置における演奏を評価する処理の概要を説明する図である。
【0010】
演奏評価装置は、ステップSAにおいて、DP(Dynamic Programming)マッチング処理を行う。
本処理において、演奏評価装置は、まず、評価基準(以下、教師とも呼ぶ)となる、楽曲の小節毎の評価基準(教師)データD1と、評価対象(以下、生徒とも呼ぶ)となる評価対象(生徒)データD2と、対比した評価マトリクスを作成する。
ここで、本実施形態において、「評価基準(教師)データ」は、SMF(Standard MIDI File)データであり、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列されたデータである。また、「評価対象(生徒)データ」は、SMFデータであり、評価対象(生徒)により楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列されたデータである。
【0011】
次に、演奏評価装置は、評価マトリクスにおいて、評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算されるペナルティ値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小評価値D3を算出するとともに、当該最小評価値D3が算出された経路である最小経路MTを得る。
【0012】
ここで、本実施形態において、「評価値」は、評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が不一致の場合及び詳しくは後述するが経路の方向に応じて加算されるペナルティ値が合算された値である。よって、「評価値」は、その値が小さいほど評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2との相違が少ない、即ち、演奏が適切であることを示す。
【0013】
演奏評価装置は、ステップSBにおいて、正誤判定処理を行う。
本処理において、演奏評価装置は、最小経路MTにおいて、最小経路MTが向かう方向、及び評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象(生徒)データD2のノート値の正誤を判定し、正誤データD4を得る。
演奏評価装置は、正誤データD4に基づき、例えば、ユーザに対して楽曲の楽譜における各音符に対して、誤って演奏したことを示すマークを付した画像を示す画像データの表示制御を行う。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る演奏評価装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図2において、演奏評価装置1は、CPU11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、MIDIインターフェース部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0015】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。具体的には、CPU11は、DPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
【0016】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、MIDIインターフェース部19及びドライブ20が接続されている。
【0017】
入力部16は、入力部16には、マウス等のポインティングデバイスや、文字入力のためのキーボードが含まれ、これらによる入力信号をCPU11に出力する。また、演奏評価装置1を、例えば、電子ピアノとして構成した場合には、入力部16は、MIDIキーボードを含み、鍵盤及び各種情報を入力するためのスイッチを備えている。そして、入力部16は、鍵が押下された場合に、その鍵を識別するための鍵番号や、鍵の押下の強さを示す情報(以下、「ベロシティ」と呼ぶ。)をCPU11に出力したり、ユーザによって入力された各種情報をCPU11に出力したりする。
【0018】
出力部17は、ディスプレイや、スピーカ及びD/A変換回路等を有しており、画像や音声を出力する。
記憶部18は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、演奏評価装置1の制御のための各種プログラムや、図1に示すような、評価基準(教師)データD1、評価対象(生徒)データD2、最小評価値D3、正誤データD4等のデータを記憶する。また、楽譜をビットマップで表示するための画像データや楽譜に評価基準(教師)データD1のノート値を音符として表示するための音符データベースを記憶する。
【0019】
MIDIインターフェース部19は、楽音を発生する音源41と演奏評価装置1とを接続するインターフェースである。音源41は、SMFデータに基づく楽音を出力する。
【0020】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0021】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行するDPマッチング処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行するDPマッチング処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS1において、CPU11は、記憶部18より、評価対象(生徒)データを読み込む。
ステップS2において、CPU11は、記憶部18より、第N小節(Nは整数を示す)の評価基準(教師)データを読み込む。本ステップにおいて、CPU11は、楽曲の進行順に、第1小節より順次1つの小節ずつ評価基準(教師)データを読み込む。
【0022】
ステップS3において、CPU11は、縦軸に評価対象(生徒)データのノート値を演奏順に配列し、横軸に評価基準(教師)データのノート値を楽曲の進行順に配列し、評価対象(生徒)データのノート値の数s×評価基準(教師)データのノート値の数t通りのセルから構成される2次元マトリクスを作成する。そして、本ステップにおいて、CPU11は、s×t通りの2次元マトリクスにおいて総当たりで、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とを比較し、各セルに正誤の判定結果を入力した正誤マトリクスを得る。「正誤の判定結果」とは、各セルにおける、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していれば正を示すデータであり、不一致であれば誤を示すデータである。
【0023】
ステップS4において、CPU11は、正誤マトリクスにおける全てのセルのペナルティ値を算出した評価マトリクスを作成する。
図4は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が評価マトリクスにおける各セルのペナルティ値を算出する手順を説明する図である。
CPU11がセル51のペナルティ値を算出する手順を説明する。
まず、ペナルティ値には、セルの正誤の判定結果が誤である場合に加算される誤ペナルティ値と、ペナルティ値を算出するセルに向かう経路によって加算されるシフトペナルティ値がある。ペナルティ値を算出するセル51に向かう経路は、図4中の矢印で示す左上セル52からと、上セル53からと、左セル54からとがある。シフトペナルティ値は、これら3つの経路のうち、上セル53からと、左セル54からとの経路に加算される。
【0024】
セル51のペナルティ値は、左上セル52の誤ペナルティ値(例えば、図4では正なので誤ペナルティ値は0である)、上セル53の誤ペナルティ値(例えば、図4では正なので誤ペナルティ値は0である)とシフトペナルティ値との合算値、左セル54の誤ペナルティ値とシフトペナルティ値の合算値、の中から最小となる値が選択される。
CPU11は、当該選択した最小の値をセル51のペナルティ値として記憶部18に記憶する。また、CPU11は、当該選択した最小の値となる経路をセル51の経路(左上、上又は左)として記憶部18に記憶する。
CPU11は、同様の手順で全てのセルのペナルティ値を算出することで、評価マトリクスを作成する。
【0025】
このように、ステップS1乃至ステップS4の処理を実行するCPU11は、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
【0026】
図3に戻って、ステップS5において、CPU11は、評価マトリクスの右下から左上に向かう複数の経路のうち、経路上のセルのペナルティ値の合算値である評価値が最小となる経路を検索し、検索した評価値が最小となる経路を記憶部18に記憶する。
【0027】
ステップS6において、CPU11は、ステップS2で読み込んだ評価基準(教師)データが楽曲の最後の小節であるか否かを判定し、最後の小節であると判定した場合はステップS7に処理を移し、最後の小節でないと判定した場合はステップS2に処理を戻す。
【0028】
ステップS7において、CPU11は、ステップS5で記憶した各小節の評価値が最小となる経路から成る楽曲全体の最小経路を得る。
このように、ステップS5及びステップS7の処理を実行するCPU11は、マトリクス作成手段が作成した評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
【0029】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0030】
ステップS11において、CPU11は、評価マトリクスにおいて、正誤判定処理を開始する位置を、評価基準(教師)データの第1小節の先頭ノート値に対応するセルに設定し、当該セルを判定対象セルとする。
【0031】
ステップS12において、CPU11は、判定対象セルがステップS7で得た最小経路上のセルであるか否かを判定し、最小経路上のセルであると判定した場合はステップS14に処理を移し、最小経路上のセルでないと判定した場合はステップS13に処理を移す。
【0032】
ステップS13において、CPU11は、判定対象セルを次のセルに移動する。ここで、「次のセル」とは、判定対象セルの右隣のセル又は直下のセルである。
【0033】
ステップS14において、CPU11は、判定対象セルがステップS3で、当該判定対象セルにおける、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致と判定されたか否かを判定し、不一致であると判定した場合はステップS16に処理を移し、不一致でないと判定した場合はステップS15に処理を移す。
【0034】
ステップS15において、CPU11は、ステップS4で記憶部18に記憶した判定対象セルの経路を読み出し、当該経路が上又は左のいずれかであるか否かを判定し、上又は左のいずれかであると判定した場合はステップS16に処理を移し、上又は左のいずれかでないと判定した場合はステップS17に処理を移す。即ち、CPU11は、本ステップにおいて、最小経路が向かう方向を判定している。
【0035】
ステップS16において、CPU11は、判定対象セルに対応する評価基準(教師)データのノート値に対し、評価対象(生徒)データのノート値が誤音符である判定し、記憶部18に記憶する。
ステップS17において、CPU11は、判定対象セルに対応する評価基準(教師)データのノート値に対し、評価対象(生徒)データのノート値が正音符であると判定し、記憶部18に記憶する。
【0036】
ステップS18において、CPU11は、判定対象セルが最後のセル(例えば、評価マトリクスにおける最右下のセル)であるか否かを判定し、最後のセルであると判定した場合は本処理を終了し、最後のセルでないと判定した場合はステップS19に処理を移す。
ステップS19において、CPU11は、判定対象セルを次のセルに移動し、ステップS12に処理を戻す。
【0037】
図6は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11による正誤判定処理の結果を評価マトリクスに示した図である。
図7は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11による正誤判定処理の結果の具体例を説明する図である。
図6及び図7において、評価マトリクスは、縦軸に評価対象(生徒)データのノート値を演奏順に配列し、横軸に評価基準(教師)データのノート値を楽曲の進行順に配列し、評価対象(生徒)データのノート値の数s×評価基準(教師)データのノート値の数t通りのセルから構成される2次元マトリクスである。そして、評価マトリクスの最下段には、ステップS16又はステップS17の正誤判定結果を示している。
【0038】
評価マトリクスにおいて、“×”は、最小経路上のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致であることを示している。“○”は、最小経路上のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していることを示している。“.”は、最小経路外のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致であることを示している。“=”は、最小経路外のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していることを示している。
評価マトリクスの最下段の正誤判定結果において、“正”はステップS17で正音符と判定されたことを示し、“誤”はステップS16で誤音符と判定されたことを示している。
【0039】
図6に示すように、例えば、左から3番目の評価基準(教師)データのノート値に対すセルは“○”も含むが最小経路が向かう方向が上から下に向かう方向であるため、正誤判定結果は“誤”となっている。
一方、例えば、左から6番目の評価基準(教師)データのノート値に対すセルは“○”であり、最小経路が向かう方向が左上から右下に向かう方向であるため、正誤判定結果は“正”となっている。
【0040】
次に、図7を参照してCPU11による正誤判定処理の結果の具体例を説明する。
(a)は、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは全て“○”であり、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるため、正誤判定結果は全音“正”であることを示している。
(b)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは全て“×”であるため、正誤判定結果は全音“誤”であることを示している。
(c)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは1つ“×”であるため、正誤判定結果は1音のみ“誤”であることを示している。
(d)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは2つ“×”であるため、正誤判定結果は2音“誤”であることを示している。
(e)は、左から3つ目の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が抜けているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(f)は、左から3つ目の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(g)は、末尾の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(h)は、評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が複数回重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(i)は、評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が足りないため、足りない分のノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(j)は、同じフレーズを繰り返す評価基準(教師)データのノート値に対して、評価対象(生徒)データのノート値は繰り返し回数が足りないため、足りない分のノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
【0041】
このように、ステップS11乃至ステップS19の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路において、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
【0042】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理の流れを説明するフローチャートである。
【0043】
ステップS21において、CPU11は、楽譜をビットマップで表示するための画像データを記憶部18から読み込む。
ステップS22において、CPU11は、記憶部18に記憶された楽譜に評価基準(教師)データのノート値を音符として表示するための音符データベースを参照し、楽譜における音符の位置情報を読み込む。本ステップにおいて、CPU11は、読み込んだ音符の位置情報に基づき、ステップS21で読み込んだ楽譜をビットマップで表示するための画像データに音符を表示するためのデータを合成する。
ステップS23において、CPU11は、正誤判定処理の正誤判定結果に基づき、ステップS22で配置した音符を表示するためのデータに、“誤”であると判定された音符(ノート値)にマークを付するためのデータを合成する。
【0044】
ステップS24において、CPU11は、正誤判定マーク処理により生成された画像データによる画像を、演奏評価装置1が備える表示部又は外付けされた表示部に表示する表示制御を行う。
【0045】
図9は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理により生成された画像の一例を示す図である。
正誤判定マーク処理により生成された画像は、例えば、評価対象(生徒)が演奏した楽曲の音符が示された楽譜において、“誤”であると判定された音符を囲む丸が付された画像である。
【0046】
このように、ステップS21乃至ステップS24の処理を実行するCPU11は、正誤判定手段により判定された評価対象データのノート値の正誤を、楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段として機能する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の演奏評価装置1は、CPU11を備える。
本実施形態のステップS1乃至ステップS4の処理を実行するCPU11は、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ステップS5及びステップS7の処理を実行するCPU11は、マトリクス作成手段が作成した評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
ステップS11乃至ステップS19の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路において、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
これにより、評価基準データと評価対象データとにより評価マトリクスを作成し、当該評価マトリクスにおいて、最小経路を検索し、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、正誤を判定する。
このため、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲において、演奏者が意図せずに同じ音符を連続して鳴らしてしまったり、同じフレーズを繰り返してしまった場合、仮にノート値が一致したとしても、最小経路が向かう方向が異なるため、誤判定される。
したがって、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価が可能となる。
【0048】
また、本実施形態のステップS21乃至ステップS24の処理を実行するCPU11は、正誤判定手段により判定された評価対象データのノート値の正誤を、楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段として機能する。
これにより、ユーザに対して演奏が誤っていた音符を具体的に示すことができるので、ユーザにとって重点的に練習すべき部分をフィードバックできる。
【0049】
[第1応用例]
次に、CPU11により定期評価処理が実行される本実施形態の第1応用例について説明する。
定期評価処理では、定期的に本実施形態のDPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。
図10は、第1応用例に係る演奏評価装置のCPU11が実行する定期評価処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS31において、CPU11は、定期時間、ステップS32以降の処理の開始を待機する。ここで、第1応用例における「定期時間」は、予め設定された時間(例えば、1時間や30分等)であり、例えば、ユーザの入力部16(図2参照)の操作により設定される。
【0050】
ステップS32において、CPU11は、DPマッチング処理のステップS1(図3参照)を実行し、記憶部18より読み込んだ評価対象(生徒)データにおけるノート値の数が所定数以上か否かを判定し、所定数以上であると判定した場合はステップS33に処理を移し、所定数以上でないと判定した場合はステップS31に処理を戻す。ここで、第1応用例における「所定数」とは、ユーザが演奏の練習をしていると推測できるのに適した数である。具体的には、ノート値の数は楽曲の演奏した音符の数であり、この音符の数が1小節分にも満たない数である場合は、ユーザが演奏の練習をしていないと推測できる。一方、例えば、音符の数が5つ程度あれば、ユーザは1つの小節を練習していると推測することもできる。このように、ステップS32の処理を実行するCPU11は、評価対象データのノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段として機能する。
【0051】
ステップS33において、CPU11は、DPマッチング処理のステップS2乃至ステップS7(図3参照)を実行し、最小の評価値を算出し、当該評価値を仮評価値として記憶部18に記憶する。
【0052】
ステップS34において、CPU11は、ステップS33で記憶した仮評価値が所定値以上か否かを判定し、所定値以上であると判定した場合はステップS35に処理を移し、所定値以上でないと判定した場合はステップS33で記憶した仮評価値をクリアしてステップS31に処理を戻す。ここで、評価値は、評価対象(生徒)データにおけるノート値の数が少ない場合や、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが経路も含めて一致する割合が高ければ、即ち、ユーザによる演奏が適切な場合は、低い値となる。よって、第1応用例における「所定値」とは、ユーザが適切に演奏できない部分の練習をしていると推測できるのに適した値であることが望ましい。このように、ステップS34の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路の評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段として機能する。
【0053】
ステップS35において、CPU11は、ステップS33で記憶部18に記憶した仮評価値を本評価値とし最小経路を得る。このように、ステップS35の処理を実行するCPU11は、ノート値数判定手段により評価対象データのノート値の数が所定数以上と判定された場合に、最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
【0054】
ステップS36において、CPU11は、正誤判定処理(図5参照)を実行する。このように、ステップS36の処理を実行するCPU11は、評価値判定手段により評価値が所定値以上と判定された場合に、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
【0055】
ステップS37において、CPU11は、正誤判定マーク処理(図8参照)を実行する。CPU11は、本ステップ終了後、ステップS31に処理を戻す。
【0056】
第1応用例によれば、ステップS34の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路の評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段として機能する。
ステップS35の処理を実行するCPU11は、ノート値数判定手段により評価対象データのノート値の数が所定数以上と判定された場合に、最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
ステップS36の処理を実行するCPU11は、評価値判定手段により評価値が所定値以上と判定された場合に、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
これにより、ユーザが演奏評価を意識することなく、自動的に定期時間間隔で演奏を評価できる。
【0057】
[第2応用例]
次に、CPU11により和音評価処理が実行される本実施形態の第2応用例について説明する。
和音評価処理では、和音を構成する評価基準(教師)データのノート値を並び替えてから、本実施形態のDPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。
図11は、第2応用例に係る演奏評価装置のCPU11が実行する和音評価処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS41において、CPU11は、記憶部18より、和音を示す複数のノート値を含む第N小節(Nは整数を示す)の評価基準(教師)データを読み込み、読み込んだ和音を示す複数のノート値を音高が低い順に並び替える。このように、ステップS41の処理を実行するCPU11は、1つの和音を構成する評価基準データのノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段として機能する。
【0058】
ステップS42において、CPU11は、短い時間、待機する。ここで、第2応用例における「短い時間」とは、数msの時間であり、例えば、ユーザである評価対象(生徒)の実演奏において、複数の音が出音された場合に、これらの複数の音が和音を構成するとみなすことができる範囲の時間である。
【0059】
ステップS43において、CPU11は、評価対象(生徒)の実演奏があったか否かを判定し、実演奏があったと判定した場合はステップS44に処理を移し、実演奏がないと判定した場合はステップS47に処理を移す。ここで、「実演奏」とは、演奏評価装置1を、例えば、電子ピアノとして構成した場合における入力部16としてのMIDIキーボードの操作や、演奏評価装置1に外付けされた電子楽器の操作を言う。
【0060】
ステップS44において、CPU11は、評価対象(生徒)の実演奏に基づき、評価対象(生徒)データを作成し、記憶部18に記憶する。
ステップS45において、CPU11は、ステップS44で作成した評価対象(生徒)データに複数のノート値が含まれていた場合に、これら複数のノート値を音高が低い順に並び替える。このように、ステップS45の処理を実行するCPU11は、評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段として機能する。
【0061】
ステップS46において、CPU11は、ステップS45で並び替えた複数のノート値を、評価対象(生徒)データの末尾に追加する。CPU11は、本ステップ終了後、ステップS42に処理を戻す。
【0062】
ステップS47において、CPU11は、例えば、所定時間経過後に、評価対象(生徒)の実演奏が終了したと判断する。ここで、第2応用例における「所定時間」とは、予め設定された時間であり、例えば、評価対象(生徒)の演奏が終了したと推定できる時間である。
【0063】
ステップS48において、CPU11は、ステップS41でノート値を並び替えた評価基準(教師)データと、ステップS46で並び替えた複数のノート値が追加された評価対象(生徒)データと、を読み込み、ステップS3乃至ステップS7(図3参照)の処理を実行する。このように、ステップS48の処理を実行するCPU11は、評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価基準データと、評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ステップS49において、CPU11は、正誤判定処理(図5参照)を実行する。
ステップS50において、CPU11は、正誤判定マーク処理(図8参照)を実行する。
【0064】
第2応用例によれば、ステップS41の処理を実行するCPU11は、1つの和音を構成する評価基準データのノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段として機能する。
ステップS45の処理を実行するCPU11は、評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段として機能する。
ステップS48の処理を実行するCPU11は、評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価基準データと、評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ここで、和音は複数の音が略同時に出音されることで生成される音である。このため、和音を構成する複数の音は、どの順番で出音したとしても音楽的には正しい。
第2応用例によれば、和音を構成する評価基準データのノート値と評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値とを所定の順番(例えば、音高が低い順)で並べ替えてから対比するので、和音に対しても適正な評価が可能となる。
【0065】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0066】
例えば、上述の実施形態では、評価対象(生徒)データを、記憶部18から読み込んでいるが、これに限らず、例えば、評価対象となる者(例えば、ユーザである生徒)による演奏から、直接、評価対象(生徒)データを作成してもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、評価基準(教師)データを、記憶部18から読み込んでいるが、これに限らず、例えば、評価基準となる者(例えば、教師)による演奏から、直接、評価基準(教師)データを作成してもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、演奏評価装置1として、情報処理機能を有する電子機器一般を採用することができる。具体的には、例えば、演奏評価装置1は、ノート型のパーソナルコンピュータ、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、ポータブルゲーム機等によって実現することができる。
【0069】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、各手段は、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0070】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0071】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図2のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM12や、図2の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0072】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0074】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える演奏評価装置。
[付記2]
前記正誤判定手段により判定された前記評価対象データの前記ノート値の正誤を、前記楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段を、更に備える付記1に記載の演奏評価装置。
[付記3]
前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路の前記評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段と、を更に備え、
前記最小経路検索手段は、前記ノート値数判定手段により前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上と判定された場合に、前記最小経路を検索し、
前記正誤判定手段は、前記評価値判定手段により前記評価値が所定値以上と判定された場合に、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する付記1又は2に記載の演奏評価装置。
[付記4]
1つの和音を構成する前記評価基準データの前記ノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段と、
前記評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、前記所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段と、を更に備え、
前記マトリクス作成手段は、前記評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価基準データと、前記評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価対象データと、を対比した前記評価マトリクスを作成する付記1から3のいずれかに記載の演奏評価装置。
[付記5]
楽曲の演奏を評価する演奏評価装置を制御するコンピュータを、
音高を示すノート値が前記楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
[付記6]
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、
前記マトリクス作成ステップで作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索ステップと、
前記最小経路検索ステップで検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定ステップと、
を含むことを特徴とする演奏評価方法。
【符号の説明】
【0075】
1・・・演奏評価装置、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・MIDIインターフェース部、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、41・・・音源
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲の演奏を評価する演奏評価装置、プログラム及び演奏評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の演奏者による楽曲のそれぞれの演奏について、楽譜の音符が示す本来演奏すべき音高の音と、実際に演奏者によって演奏された音と、が相違した数であるミスタッチ数をそれぞれ記憶し、ミスタッチ数の総計が最小の演奏者を基準演奏者と決定し、当該基準演奏者のミスタッチ数に基づいて、正誤判定する演奏評価装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような演奏評価装置では、評価の基準となる基準演奏者のミスタッチ数に基づいて、演奏者による楽曲の演奏を評価できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−134207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽曲の中には、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返されるものもある。また、演奏者は、意図せずに同じ音符を連続して鳴らしてしまったり、同じフレーズを繰り返してしまったりする場合もある。
しかしながら、特許文献1に記載の技術を含め、従来の演奏評価装置においては、このように演奏者が意図せずに鳴らした音であっても、楽曲の正しい音符の順番と同じとなれば、ミスタッチと判断されず、適正な評価がされない場合があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の演奏評価装置は、
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る演奏評価装置における演奏を評価する処理の概要を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る演奏評価装置のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行するDPマッチング処理の流れを説明するフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが評価マトリクスにおける各セルのペナルティ値を算出する手順を説明する図である。
【図5】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUによる正誤判定処理の結果を評価マトリクスに示した図である。
【図7】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUによる正誤判定処理の結果の具体例を説明する図である。
【図8】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定マーク処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る演奏評価装置のCPUが実行する正誤判定マーク処理により生成された画像の一例を示す図である。
【図10】第1応用例に係る演奏評価装置のCPUが実行する定期評価処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】第2応用例に係る演奏評価装置のCPUが実行する和音評価処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る演奏評価装置を説明する。
まず、本実施形態の理解を容易にするため、本実施形態に係る演奏評価装置の概要を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る演奏評価装置における演奏を評価する処理の概要を説明する図である。
【0010】
演奏評価装置は、ステップSAにおいて、DP(Dynamic Programming)マッチング処理を行う。
本処理において、演奏評価装置は、まず、評価基準(以下、教師とも呼ぶ)となる、楽曲の小節毎の評価基準(教師)データD1と、評価対象(以下、生徒とも呼ぶ)となる評価対象(生徒)データD2と、対比した評価マトリクスを作成する。
ここで、本実施形態において、「評価基準(教師)データ」は、SMF(Standard MIDI File)データであり、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列されたデータである。また、「評価対象(生徒)データ」は、SMFデータであり、評価対象(生徒)により楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列されたデータである。
【0011】
次に、演奏評価装置は、評価マトリクスにおいて、評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算されるペナルティ値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小評価値D3を算出するとともに、当該最小評価値D3が算出された経路である最小経路MTを得る。
【0012】
ここで、本実施形態において、「評価値」は、評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が不一致の場合及び詳しくは後述するが経路の方向に応じて加算されるペナルティ値が合算された値である。よって、「評価値」は、その値が小さいほど評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2との相違が少ない、即ち、演奏が適切であることを示す。
【0013】
演奏評価装置は、ステップSBにおいて、正誤判定処理を行う。
本処理において、演奏評価装置は、最小経路MTにおいて、最小経路MTが向かう方向、及び評価基準(教師)データD1と評価対象(生徒)データD2とにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象(生徒)データD2のノート値の正誤を判定し、正誤データD4を得る。
演奏評価装置は、正誤データD4に基づき、例えば、ユーザに対して楽曲の楽譜における各音符に対して、誤って演奏したことを示すマークを付した画像を示す画像データの表示制御を行う。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る演奏評価装置1のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図2において、演奏評価装置1は、CPU11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、MIDIインターフェース部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0015】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。具体的には、CPU11は、DPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等が適宜記憶される。
【0016】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、MIDIインターフェース部19及びドライブ20が接続されている。
【0017】
入力部16は、入力部16には、マウス等のポインティングデバイスや、文字入力のためのキーボードが含まれ、これらによる入力信号をCPU11に出力する。また、演奏評価装置1を、例えば、電子ピアノとして構成した場合には、入力部16は、MIDIキーボードを含み、鍵盤及び各種情報を入力するためのスイッチを備えている。そして、入力部16は、鍵が押下された場合に、その鍵を識別するための鍵番号や、鍵の押下の強さを示す情報(以下、「ベロシティ」と呼ぶ。)をCPU11に出力したり、ユーザによって入力された各種情報をCPU11に出力したりする。
【0018】
出力部17は、ディスプレイや、スピーカ及びD/A変換回路等を有しており、画像や音声を出力する。
記憶部18は、ハードディスク或いはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、演奏評価装置1の制御のための各種プログラムや、図1に示すような、評価基準(教師)データD1、評価対象(生徒)データD2、最小評価値D3、正誤データD4等のデータを記憶する。また、楽譜をビットマップで表示するための画像データや楽譜に評価基準(教師)データD1のノート値を音符として表示するための音符データベースを記憶する。
【0019】
MIDIインターフェース部19は、楽音を発生する音源41と演奏評価装置1とを接続するインターフェースである。音源41は、SMFデータに基づく楽音を出力する。
【0020】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0021】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行するDPマッチング処理について説明する。
図3は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行するDPマッチング処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS1において、CPU11は、記憶部18より、評価対象(生徒)データを読み込む。
ステップS2において、CPU11は、記憶部18より、第N小節(Nは整数を示す)の評価基準(教師)データを読み込む。本ステップにおいて、CPU11は、楽曲の進行順に、第1小節より順次1つの小節ずつ評価基準(教師)データを読み込む。
【0022】
ステップS3において、CPU11は、縦軸に評価対象(生徒)データのノート値を演奏順に配列し、横軸に評価基準(教師)データのノート値を楽曲の進行順に配列し、評価対象(生徒)データのノート値の数s×評価基準(教師)データのノート値の数t通りのセルから構成される2次元マトリクスを作成する。そして、本ステップにおいて、CPU11は、s×t通りの2次元マトリクスにおいて総当たりで、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とを比較し、各セルに正誤の判定結果を入力した正誤マトリクスを得る。「正誤の判定結果」とは、各セルにおける、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していれば正を示すデータであり、不一致であれば誤を示すデータである。
【0023】
ステップS4において、CPU11は、正誤マトリクスにおける全てのセルのペナルティ値を算出した評価マトリクスを作成する。
図4は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が評価マトリクスにおける各セルのペナルティ値を算出する手順を説明する図である。
CPU11がセル51のペナルティ値を算出する手順を説明する。
まず、ペナルティ値には、セルの正誤の判定結果が誤である場合に加算される誤ペナルティ値と、ペナルティ値を算出するセルに向かう経路によって加算されるシフトペナルティ値がある。ペナルティ値を算出するセル51に向かう経路は、図4中の矢印で示す左上セル52からと、上セル53からと、左セル54からとがある。シフトペナルティ値は、これら3つの経路のうち、上セル53からと、左セル54からとの経路に加算される。
【0024】
セル51のペナルティ値は、左上セル52の誤ペナルティ値(例えば、図4では正なので誤ペナルティ値は0である)、上セル53の誤ペナルティ値(例えば、図4では正なので誤ペナルティ値は0である)とシフトペナルティ値との合算値、左セル54の誤ペナルティ値とシフトペナルティ値の合算値、の中から最小となる値が選択される。
CPU11は、当該選択した最小の値をセル51のペナルティ値として記憶部18に記憶する。また、CPU11は、当該選択した最小の値となる経路をセル51の経路(左上、上又は左)として記憶部18に記憶する。
CPU11は、同様の手順で全てのセルのペナルティ値を算出することで、評価マトリクスを作成する。
【0025】
このように、ステップS1乃至ステップS4の処理を実行するCPU11は、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
【0026】
図3に戻って、ステップS5において、CPU11は、評価マトリクスの右下から左上に向かう複数の経路のうち、経路上のセルのペナルティ値の合算値である評価値が最小となる経路を検索し、検索した評価値が最小となる経路を記憶部18に記憶する。
【0027】
ステップS6において、CPU11は、ステップS2で読み込んだ評価基準(教師)データが楽曲の最後の小節であるか否かを判定し、最後の小節であると判定した場合はステップS7に処理を移し、最後の小節でないと判定した場合はステップS2に処理を戻す。
【0028】
ステップS7において、CPU11は、ステップS5で記憶した各小節の評価値が最小となる経路から成る楽曲全体の最小経路を得る。
このように、ステップS5及びステップS7の処理を実行するCPU11は、マトリクス作成手段が作成した評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
【0029】
次に、図5を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定処理について説明する。
図5は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定処理の流れを説明するフローチャートである。
【0030】
ステップS11において、CPU11は、評価マトリクスにおいて、正誤判定処理を開始する位置を、評価基準(教師)データの第1小節の先頭ノート値に対応するセルに設定し、当該セルを判定対象セルとする。
【0031】
ステップS12において、CPU11は、判定対象セルがステップS7で得た最小経路上のセルであるか否かを判定し、最小経路上のセルであると判定した場合はステップS14に処理を移し、最小経路上のセルでないと判定した場合はステップS13に処理を移す。
【0032】
ステップS13において、CPU11は、判定対象セルを次のセルに移動する。ここで、「次のセル」とは、判定対象セルの右隣のセル又は直下のセルである。
【0033】
ステップS14において、CPU11は、判定対象セルがステップS3で、当該判定対象セルにおける、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致と判定されたか否かを判定し、不一致であると判定した場合はステップS16に処理を移し、不一致でないと判定した場合はステップS15に処理を移す。
【0034】
ステップS15において、CPU11は、ステップS4で記憶部18に記憶した判定対象セルの経路を読み出し、当該経路が上又は左のいずれかであるか否かを判定し、上又は左のいずれかであると判定した場合はステップS16に処理を移し、上又は左のいずれかでないと判定した場合はステップS17に処理を移す。即ち、CPU11は、本ステップにおいて、最小経路が向かう方向を判定している。
【0035】
ステップS16において、CPU11は、判定対象セルに対応する評価基準(教師)データのノート値に対し、評価対象(生徒)データのノート値が誤音符である判定し、記憶部18に記憶する。
ステップS17において、CPU11は、判定対象セルに対応する評価基準(教師)データのノート値に対し、評価対象(生徒)データのノート値が正音符であると判定し、記憶部18に記憶する。
【0036】
ステップS18において、CPU11は、判定対象セルが最後のセル(例えば、評価マトリクスにおける最右下のセル)であるか否かを判定し、最後のセルであると判定した場合は本処理を終了し、最後のセルでないと判定した場合はステップS19に処理を移す。
ステップS19において、CPU11は、判定対象セルを次のセルに移動し、ステップS12に処理を戻す。
【0037】
図6は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11による正誤判定処理の結果を評価マトリクスに示した図である。
図7は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11による正誤判定処理の結果の具体例を説明する図である。
図6及び図7において、評価マトリクスは、縦軸に評価対象(生徒)データのノート値を演奏順に配列し、横軸に評価基準(教師)データのノート値を楽曲の進行順に配列し、評価対象(生徒)データのノート値の数s×評価基準(教師)データのノート値の数t通りのセルから構成される2次元マトリクスである。そして、評価マトリクスの最下段には、ステップS16又はステップS17の正誤判定結果を示している。
【0038】
評価マトリクスにおいて、“×”は、最小経路上のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致であることを示している。“○”は、最小経路上のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していることを示している。“.”は、最小経路外のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが不一致であることを示している。“=”は、最小経路外のセルであって評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが一致していることを示している。
評価マトリクスの最下段の正誤判定結果において、“正”はステップS17で正音符と判定されたことを示し、“誤”はステップS16で誤音符と判定されたことを示している。
【0039】
図6に示すように、例えば、左から3番目の評価基準(教師)データのノート値に対すセルは“○”も含むが最小経路が向かう方向が上から下に向かう方向であるため、正誤判定結果は“誤”となっている。
一方、例えば、左から6番目の評価基準(教師)データのノート値に対すセルは“○”であり、最小経路が向かう方向が左上から右下に向かう方向であるため、正誤判定結果は“正”となっている。
【0040】
次に、図7を参照してCPU11による正誤判定処理の結果の具体例を説明する。
(a)は、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは全て“○”であり、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるため、正誤判定結果は全音“正”であることを示している。
(b)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは全て“×”であるため、正誤判定結果は全音“誤”であることを示している。
(c)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは1つ“×”であるため、正誤判定結果は1音のみ“誤”であることを示している。
(d)は、最小経路が向かう方向が全て左上から右下に向かう方向であるが、評価基準(教師)データのノート値に対すセルは2つ“×”であるため、正誤判定結果は2音“誤”であることを示している。
(e)は、左から3つ目の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が抜けているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(f)は、左から3つ目の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(g)は、末尾の評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(h)は、評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が複数回重複しているため、当該ノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(i)は、評価基準(教師)データのノート値に対する評価対象(生徒)データのノート値が足りないため、足りない分のノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
(j)は、同じフレーズを繰り返す評価基準(教師)データのノート値に対して、評価対象(生徒)データのノート値は繰り返し回数が足りないため、足りない分のノート値に対する正誤判定結果は“誤”であることを示している。
【0041】
このように、ステップS11乃至ステップS19の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路において、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
【0042】
次に、図8を参照して、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理の流れを説明するフローチャートである。
【0043】
ステップS21において、CPU11は、楽譜をビットマップで表示するための画像データを記憶部18から読み込む。
ステップS22において、CPU11は、記憶部18に記憶された楽譜に評価基準(教師)データのノート値を音符として表示するための音符データベースを参照し、楽譜における音符の位置情報を読み込む。本ステップにおいて、CPU11は、読み込んだ音符の位置情報に基づき、ステップS21で読み込んだ楽譜をビットマップで表示するための画像データに音符を表示するためのデータを合成する。
ステップS23において、CPU11は、正誤判定処理の正誤判定結果に基づき、ステップS22で配置した音符を表示するためのデータに、“誤”であると判定された音符(ノート値)にマークを付するためのデータを合成する。
【0044】
ステップS24において、CPU11は、正誤判定マーク処理により生成された画像データによる画像を、演奏評価装置1が備える表示部又は外付けされた表示部に表示する表示制御を行う。
【0045】
図9は、本実施形態に係る演奏評価装置1のCPU11が実行する正誤判定マーク処理により生成された画像の一例を示す図である。
正誤判定マーク処理により生成された画像は、例えば、評価対象(生徒)が演奏した楽曲の音符が示された楽譜において、“誤”であると判定された音符を囲む丸が付された画像である。
【0046】
このように、ステップS21乃至ステップS24の処理を実行するCPU11は、正誤判定手段により判定された評価対象データのノート値の正誤を、楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段として機能する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の演奏評価装置1は、CPU11を備える。
本実施形態のステップS1乃至ステップS4の処理を実行するCPU11は、音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ステップS5及びステップS7の処理を実行するCPU11は、マトリクス作成手段が作成した評価マトリクスにおいて、評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
ステップS11乃至ステップS19の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路において、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
これにより、評価基準データと評価対象データとにより評価マトリクスを作成し、当該評価マトリクスにおいて、最小経路を検索し、最小経路が向かう方向、及び評価基準データと評価対象データとにおいて互いに対応する各々のノート値が一致するか否かにより、正誤を判定する。
このため、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲において、演奏者が意図せずに同じ音符を連続して鳴らしてしまったり、同じフレーズを繰り返してしまった場合、仮にノート値が一致したとしても、最小経路が向かう方向が異なるため、誤判定される。
したがって、同じ音符が連続したり、同じフレーズが繰り返される楽曲についても適正な評価が可能となる。
【0048】
また、本実施形態のステップS21乃至ステップS24の処理を実行するCPU11は、正誤判定手段により判定された評価対象データのノート値の正誤を、楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段として機能する。
これにより、ユーザに対して演奏が誤っていた音符を具体的に示すことができるので、ユーザにとって重点的に練習すべき部分をフィードバックできる。
【0049】
[第1応用例]
次に、CPU11により定期評価処理が実行される本実施形態の第1応用例について説明する。
定期評価処理では、定期的に本実施形態のDPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。
図10は、第1応用例に係る演奏評価装置のCPU11が実行する定期評価処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS31において、CPU11は、定期時間、ステップS32以降の処理の開始を待機する。ここで、第1応用例における「定期時間」は、予め設定された時間(例えば、1時間や30分等)であり、例えば、ユーザの入力部16(図2参照)の操作により設定される。
【0050】
ステップS32において、CPU11は、DPマッチング処理のステップS1(図3参照)を実行し、記憶部18より読み込んだ評価対象(生徒)データにおけるノート値の数が所定数以上か否かを判定し、所定数以上であると判定した場合はステップS33に処理を移し、所定数以上でないと判定した場合はステップS31に処理を戻す。ここで、第1応用例における「所定数」とは、ユーザが演奏の練習をしていると推測できるのに適した数である。具体的には、ノート値の数は楽曲の演奏した音符の数であり、この音符の数が1小節分にも満たない数である場合は、ユーザが演奏の練習をしていないと推測できる。一方、例えば、音符の数が5つ程度あれば、ユーザは1つの小節を練習していると推測することもできる。このように、ステップS32の処理を実行するCPU11は、評価対象データのノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段として機能する。
【0051】
ステップS33において、CPU11は、DPマッチング処理のステップS2乃至ステップS7(図3参照)を実行し、最小の評価値を算出し、当該評価値を仮評価値として記憶部18に記憶する。
【0052】
ステップS34において、CPU11は、ステップS33で記憶した仮評価値が所定値以上か否かを判定し、所定値以上であると判定した場合はステップS35に処理を移し、所定値以上でないと判定した場合はステップS33で記憶した仮評価値をクリアしてステップS31に処理を戻す。ここで、評価値は、評価対象(生徒)データにおけるノート値の数が少ない場合や、評価対象(生徒)データのノート値と評価基準(教師)データのノート値とが経路も含めて一致する割合が高ければ、即ち、ユーザによる演奏が適切な場合は、低い値となる。よって、第1応用例における「所定値」とは、ユーザが適切に演奏できない部分の練習をしていると推測できるのに適した値であることが望ましい。このように、ステップS34の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路の評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段として機能する。
【0053】
ステップS35において、CPU11は、ステップS33で記憶部18に記憶した仮評価値を本評価値とし最小経路を得る。このように、ステップS35の処理を実行するCPU11は、ノート値数判定手段により評価対象データのノート値の数が所定数以上と判定された場合に、最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
【0054】
ステップS36において、CPU11は、正誤判定処理(図5参照)を実行する。このように、ステップS36の処理を実行するCPU11は、評価値判定手段により評価値が所定値以上と判定された場合に、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
【0055】
ステップS37において、CPU11は、正誤判定マーク処理(図8参照)を実行する。CPU11は、本ステップ終了後、ステップS31に処理を戻す。
【0056】
第1応用例によれば、ステップS34の処理を実行するCPU11は、最小経路検索手段が検索した最小経路の評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段として機能する。
ステップS35の処理を実行するCPU11は、ノート値数判定手段により評価対象データのノート値の数が所定数以上と判定された場合に、最小経路を検索する最小経路検索手段として機能する。
ステップS36の処理を実行するCPU11は、評価値判定手段により評価値が所定値以上と判定された場合に、評価対象データのノート値の正誤を判定する正誤判定手段として機能する。
これにより、ユーザが演奏評価を意識することなく、自動的に定期時間間隔で演奏を評価できる。
【0057】
[第2応用例]
次に、CPU11により和音評価処理が実行される本実施形態の第2応用例について説明する。
和音評価処理では、和音を構成する評価基準(教師)データのノート値を並び替えてから、本実施形態のDPマッチング処理、正誤判定処理及び正誤判定マーク処理を実行する。
図11は、第2応用例に係る演奏評価装置のCPU11が実行する和音評価処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS41において、CPU11は、記憶部18より、和音を示す複数のノート値を含む第N小節(Nは整数を示す)の評価基準(教師)データを読み込み、読み込んだ和音を示す複数のノート値を音高が低い順に並び替える。このように、ステップS41の処理を実行するCPU11は、1つの和音を構成する評価基準データのノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段として機能する。
【0058】
ステップS42において、CPU11は、短い時間、待機する。ここで、第2応用例における「短い時間」とは、数msの時間であり、例えば、ユーザである評価対象(生徒)の実演奏において、複数の音が出音された場合に、これらの複数の音が和音を構成するとみなすことができる範囲の時間である。
【0059】
ステップS43において、CPU11は、評価対象(生徒)の実演奏があったか否かを判定し、実演奏があったと判定した場合はステップS44に処理を移し、実演奏がないと判定した場合はステップS47に処理を移す。ここで、「実演奏」とは、演奏評価装置1を、例えば、電子ピアノとして構成した場合における入力部16としてのMIDIキーボードの操作や、演奏評価装置1に外付けされた電子楽器の操作を言う。
【0060】
ステップS44において、CPU11は、評価対象(生徒)の実演奏に基づき、評価対象(生徒)データを作成し、記憶部18に記憶する。
ステップS45において、CPU11は、ステップS44で作成した評価対象(生徒)データに複数のノート値が含まれていた場合に、これら複数のノート値を音高が低い順に並び替える。このように、ステップS45の処理を実行するCPU11は、評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段として機能する。
【0061】
ステップS46において、CPU11は、ステップS45で並び替えた複数のノート値を、評価対象(生徒)データの末尾に追加する。CPU11は、本ステップ終了後、ステップS42に処理を戻す。
【0062】
ステップS47において、CPU11は、例えば、所定時間経過後に、評価対象(生徒)の実演奏が終了したと判断する。ここで、第2応用例における「所定時間」とは、予め設定された時間であり、例えば、評価対象(生徒)の演奏が終了したと推定できる時間である。
【0063】
ステップS48において、CPU11は、ステップS41でノート値を並び替えた評価基準(教師)データと、ステップS46で並び替えた複数のノート値が追加された評価対象(生徒)データと、を読み込み、ステップS3乃至ステップS7(図3参照)の処理を実行する。このように、ステップS48の処理を実行するCPU11は、評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価基準データと、評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ステップS49において、CPU11は、正誤判定処理(図5参照)を実行する。
ステップS50において、CPU11は、正誤判定マーク処理(図8参照)を実行する。
【0064】
第2応用例によれば、ステップS41の処理を実行するCPU11は、1つの和音を構成する評価基準データのノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段として機能する。
ステップS45の処理を実行するCPU11は、評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段として機能する。
ステップS48の処理を実行するCPU11は、評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価基準データと、評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えたノート値を含む評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段として機能する。
ここで、和音は複数の音が略同時に出音されることで生成される音である。このため、和音を構成する複数の音は、どの順番で出音したとしても音楽的には正しい。
第2応用例によれば、和音を構成する評価基準データのノート値と評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値とを所定の順番(例えば、音高が低い順)で並べ替えてから対比するので、和音に対しても適正な評価が可能となる。
【0065】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0066】
例えば、上述の実施形態では、評価対象(生徒)データを、記憶部18から読み込んでいるが、これに限らず、例えば、評価対象となる者(例えば、ユーザである生徒)による演奏から、直接、評価対象(生徒)データを作成してもよい。
【0067】
また、上述の実施形態では、評価基準(教師)データを、記憶部18から読み込んでいるが、これに限らず、例えば、評価基準となる者(例えば、教師)による演奏から、直接、評価基準(教師)データを作成してもよい。
【0068】
また、上述の実施形態では、演奏評価装置1として、情報処理機能を有する電子機器一般を採用することができる。具体的には、例えば、演奏評価装置1は、ノート型のパーソナルコンピュータ、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話機、ポータブルゲーム機等によって実現することができる。
【0069】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、各手段は、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0070】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0071】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図2のリムーバブルメディア31により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディア31は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD−ROM(Compact Disk−Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini−Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM12や、図2の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0072】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0073】
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0074】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える演奏評価装置。
[付記2]
前記正誤判定手段により判定された前記評価対象データの前記ノート値の正誤を、前記楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段を、更に備える付記1に記載の演奏評価装置。
[付記3]
前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路の前記評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段と、を更に備え、
前記最小経路検索手段は、前記ノート値数判定手段により前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上と判定された場合に、前記最小経路を検索し、
前記正誤判定手段は、前記評価値判定手段により前記評価値が所定値以上と判定された場合に、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する付記1又は2に記載の演奏評価装置。
[付記4]
1つの和音を構成する前記評価基準データの前記ノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段と、
前記評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、前記所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段と、を更に備え、
前記マトリクス作成手段は、前記評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価基準データと、前記評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価対象データと、を対比した前記評価マトリクスを作成する付記1から3のいずれかに記載の演奏評価装置。
[付記5]
楽曲の演奏を評価する演奏評価装置を制御するコンピュータを、
音高を示すノート値が前記楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
[付記6]
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、
前記マトリクス作成ステップで作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索ステップと、
前記最小経路検索ステップで検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定ステップと、
を含むことを特徴とする演奏評価方法。
【符号の説明】
【0075】
1・・・演奏評価装置、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・MIDIインターフェース部、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、41・・・音源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える演奏評価装置。
【請求項2】
前記正誤判定手段により判定された前記評価対象データの前記ノート値の正誤を、前記楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段を、更に備える請求項1に記載の演奏評価装置。
【請求項3】
前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路の前記評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段と、を更に備え、
前記最小経路検索手段は、前記ノート値数判定手段により前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上と判定された場合に、前記最小経路を検索し、
前記正誤判定手段は、前記評価値判定手段により前記評価値が所定値以上と判定された場合に、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する請求項1又は2に記載の演奏評価装置。
【請求項4】
1つの和音を構成する前記評価基準データの前記ノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段と、
前記評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、前記所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段と、を更に備え、
前記マトリクス作成手段は、前記評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価基準データと、前記評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価対象データと、を対比した前記評価マトリクスを作成する請求項1から3のいずれかに記載の演奏評価装置。
【請求項5】
楽曲の演奏を評価する演奏評価装置を制御するコンピュータを、
音高を示すノート値が前記楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、
前記マトリクス作成ステップで作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索ステップと、
前記最小経路検索ステップで検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定ステップと、
を含むことを特徴とする演奏評価方法。
【請求項1】
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段と、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段と、を備える演奏評価装置。
【請求項2】
前記正誤判定手段により判定された前記評価対象データの前記ノート値の正誤を、前記楽曲の楽譜上の音符に示した画像の表示を制御する表示制御手段を、更に備える請求項1に記載の演奏評価装置。
【請求項3】
前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上か否かを判定するノート値数判定手段と、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路の前記評価値が所定値以上か否かを判定する評価値判定手段と、を更に備え、
前記最小経路検索手段は、前記ノート値数判定手段により前記評価対象データの前記ノート値の数が所定数以上と判定された場合に、前記最小経路を検索し、
前記正誤判定手段は、前記評価値判定手段により前記評価値が所定値以上と判定された場合に、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する請求項1又は2に記載の演奏評価装置。
【請求項4】
1つの和音を構成する前記評価基準データの前記ノート値を、所定の順番で並び替える評価基準和音ノート値並び替え手段と、
前記評価対象データにおいて、所定時間の間に実演奏された複数の音を示す複数のノート値を、前記所定の順番で並び替える評価対象和音ノート値並び替え手段と、を更に備え、
前記マトリクス作成手段は、前記評価基準和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価基準データと、前記評価対象和音ノート値並び替え手段が並び替えた前記ノート値を含む前記評価対象データと、を対比した前記評価マトリクスを作成する請求項1から3のいずれかに記載の演奏評価装置。
【請求項5】
楽曲の演奏を評価する演奏評価装置を制御するコンピュータを、
音高を示すノート値が前記楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成手段、
前記マトリクス作成手段が作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索手段、
前記最小経路検索手段が検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
音高を示すノート値が演奏すべき楽曲の進行順に配列され、評価の基準となる評価基準データと、前記楽曲が実演奏されたときの音高を示すノート値が前記楽曲の演奏順に配列され、評価の対象となる評価対象データと、を対比した評価マトリクスを作成するマトリクス作成ステップと、
前記マトリクス作成ステップで作成した前記評価マトリクスにおいて、前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かに基づき加算される値を合算した値を評価値として、当該評価値が最小となる最小経路を検索する最小経路検索ステップと、
前記最小経路検索ステップで検索した前記最小経路において、前記最小経路が向かう方向、及び前記評価基準データと前記評価対象データとにおいて互いに対応する各々の前記ノート値が一致するか否かにより、前記評価対象データの前記ノート値の正誤を判定する正誤判定ステップと、
を含むことを特徴とする演奏評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図9】
【公開番号】特開2013−80155(P2013−80155A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220916(P2011−220916)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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