説明

漸進的なモジュラスの変動を有する椎間板インプラントなどのポリウレタン製品の高精度な製造

ポリマー製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品の作製方法を、その方法を用いて形成された人工椎間板と合わせて開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー製品の製造方法、およびその方法によって作製された医療用途の製品に関する。本発明の材料および方法を用いて作製された構成物品(component)の例は、患者の脊椎において位置がずれるか損傷を受けた椎間板を置き換えるために使用される人工椎間板または椎間板隙であるが、本発明はまた、他の外科用器具およびヘルスケア産業用の構成物品に加えて、置換用関節の製造に適用することもできる。
【背景技術】
【0002】
ここでは主に、人工椎間板の製造における本発明の適用に言及することになるが、すでに上記したように、本発明は、人工椎間板またはそうした椎間板を作成する特定の方法に限定されない。
【0003】
成人したヒトの脊椎の長さの凡そ1/3から1/4は椎間板で占められている。各椎間板は、椎間板の断面積の約30〜50%を占める、ゼラチン状物質で満たされた中心核(髄核)を取り囲んで包含する環状壁(線維輪)を含む。この環状壁は、配列されたコラーゲン繊維と線維軟骨を含む同心円状に積層された構造であり、椎間板にかかる捻れおよび曲げの力に抵抗するための主要な安定化構造を提供する。椎間板は、硬い脊椎部と椎間板のより柔らかい物質との間の中間層として働く硝子軟骨を含む2つの椎間板の終板の間に収められている。
【0004】
人体の関節組織と筋骨格組織は、外傷および疾患、ならびに時間の経過とともに激しい痛みや不動状態を引き起こす関節の劣化または不全を招く可能性のある退行変性過程を被りやすい。一般に、痛みのない関節および担持負荷をもたらす耐荷重関節の能力は、安定した関節を提供する健全な骨、軟骨および関連筋骨格組織の存在によって影響を受ける。脊椎に関しては、流体の損失、環状裂傷および粘液腫状変化などの特性を特徴とする椎間板の変性は、椎間板性疼痛および/または椎間板の膨隆、あるいはその中で椎間板が脊髄神経を含む無脊椎孔中に突き出て、背痛および/または坐骨神経痛となる中心核(nucleus)のヘルニアをもたらす可能性がある。この状態はより一般的には「スリップした」椎間板と称される。
【0005】
上記の状態を緩和させるために、損傷した椎間板を外科的に脊椎から除去し、損傷した椎間板の両側に隣接した2つの椎骨を互いに融合(関節固定)することができる。この技術は、首尾よく痛みや苦痛の症状を除き関節安定性を改善するが、これは、融合した脊椎関節の全般的な動作性の損失をもたらし、隣接した関節にかかる応力を増大させ、これらの関節と、付随した柔らかい組織の互いに合いまった損傷を招く。次いで変性のサイクルが新たに開始される。
【0006】
より望ましい解決策は、損傷した椎間板を、完全で痛みのない椎骨の動きを可能にし、かつ健全な椎間板の機能を模倣した人工のインプラント(関節形成)で置き換えることである。現在、そうした処置での使用のための人工椎間板が存在はしている。しかし、構造の複雑さが欠けており、また正常な健常者の椎間板のバイオメカニクスを模倣できないので、生体材料の進歩にもかかわらず、既存の人工椎間板の展開は限定されたものである。
【0007】
従来の人工椎間板は金属、合金または超高分子量ポリエチレンを含む耐久性ポリマーを用いて作製された支持面(bearing surface)を使用して関節をつないでいる。しかし、硬質で非変形性の支持面の使用は、インプラントに非応従性(non-compliant)をもたらし、天然の椎間板が提供する応従性の耐荷重能力を複製することはできない。結果として、隣接する脊椎の面(level)は依然として強い機械的応力に曝され、これはさらなる劣化のリスクを高める結果となる。
【0008】
応従性人工椎間板は一般に、単一の均一な硬さ(単一デュロメータ)の材料を用いるか、または2つの異なる硬さ(デュアルデュロメータ)の材料を用いて作製される。後者の場合、材料は、より高いモジュラスのシェル中に包含されたより低いモジュラスのコアを有している。前者は、強度と応従性に対する耐磨耗性をバランスさせるための材料仕様での妥協を必要とし、一方、後者はしばしば、使用期間にわたる、2つの材料間の界面に沿った漸進的な損傷によって引き起こされる問題が生じる。後者のタイプの人工椎間板は米国特許第5171281号明細書に記載されている。
【特許文献1】米国特許第5171281号明細書
【特許文献2】国際公開WO02/11975号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、損傷した椎間板の代わりに外科的に挿入でき、病変のある脊椎関節の完全で痛みのない動きを可能にし、その使用の際にかけられた負荷と磨耗に十分耐えられ、同時に、人体自体の天然の椎間板のものにできるだけ類似したバイオメカニクスを示し、その結果、圧迫と捻れ負荷の両方に耐えることができる、人工椎間板インプラントが引き続き必要である。これらの要件が十分には満たされず、人工椎間板が堅過ぎる場合、動いた際に十分には変形せず、隣接する天然の椎間板の過度の変形が起こることになる。一方、椎間板が必要とされる程度の堅さを有していない場合、椎間板の過度の動きが起こり、椎間板が膨れあがり、患者に痛みと苦痛をもたらすことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、ポリマー製品の少なくとも一部を通して漸進的な変化を有するポリマー製品の製造方法であって、
(a)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択により鎖伸長剤とを反応させるステップであって、イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比と熱履歴を有する第1のポリウレタンを形成させるステップ;
(b)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択により鎖伸長剤とを反応させるステップであって、イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して第1のポリウレタンの化学量論比および熱履歴とは異なった所定の化学量論比と熱履歴を有する第2のポリウレタンを形成させるステップ;および
(c)上記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの製造に関わる重合反応が完了する前に、ポリマー製品の形を定める鋳型中に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって鋳型中で第1ポリウレタンと第2のポリウレタンとの重合反応が起こるステップ、
を含む方法が提供される。
【0011】
第1および第2のポリウレタンについて説明するが、本発明は、そのそれぞれが異なる所定の化学量論比および熱履歴を有する3つ以上のポリウレタンを含む方法もその範囲に包含することが理解されよう。
【0012】
上記のモジュラスは、ヤング率とも称される弾性モジュラスすなわち引張モジュラスを指し、弾性限界未満での応力と歪みの比である。ヤング率は歪みを応力で除して計算され、材料の剛性の尺度を提供する。
【0013】
本方法は第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを鋳型に同時に射出するステップを含むことが好ましい。ポリウレタンを、鋳型中に同一速度で射出することができるか、または、一方のポリウレタンが他方のポリウレタンより多く鋳型中に射出されるように、鋳型中への2つのポリウレタンの射出の相対速度を変え、それによってモジュラスが漸進的変化を示す材料を提供することもできる。
【0014】
一実施形態では、本方法は鋳型中に射出する前に共通射出ポートを通して、第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを混合するステップを含む。射出の前にポリウレタンを混合する場合でも、各ポリウレタンの供給速度を変えることによって射出の相対速度を変えることができる。
【0015】
有利には、鋳型中に射出する前に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの界面混合の程度を制御するために、共通射出ポートの長さを変えることができる。
【0016】
一実施形態では、第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを同時に別個の装置中で形成させることができる。デュアルヘッド技術として知られているこの方法では、2つのPPM設備(以下でより詳細に説明する)からの、異なる組成を有する2つのアウトプットストリームを、2つの別個のインプットで同時に鋳型に供給する。鋳型のインプットポートを、予め決めた仕方で鋳型を満たすようにアレンジし、それによって、2つのストリームの界面の混合が起こって段階をつけたモジュラスの構造が形成されるようにする。あるいは、鋳型中に射出する前に2つの別個のストリームを混合する。その場合、そのストリームは共通射出ポートを通して射出される。
【0017】
ポリウレタンを作製するために単一のPPM設備を用いることもできる。その場合、その方法には、第1のポリウレタンを形成させるステップと、それを中間容器に供給するステップと、設備によって混合される反応原料の相対量を変化させて、異なった化学量論比を有する第2のポリウレタンを形成させるステップとを含む。
【0018】
この方法は、中間容器に第2のポリウレタンを供給するステップを含むことができる。
【0019】
第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを、前記中間容器から鋳型中に同時に射出することが好ましい。
【0020】
本方法は、各中間容器の温度を制御して、容器中の第1のポリウレタンと第2のポリウレタンに既知の熱履歴を付与するステップを含むことが好ましい。
【0021】
本発明の他の態様によれば、製品の少なくとも一部を通して可変のモジュラスを有するポリマー製品の製造方法であって、以下のステップ:
(a)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択で鎖伸長剤とを反応させるステップであって、イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、その任意の混合物およびこれらから形成される任意のプレポリマーから選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比と熱履歴を有するポリウレタンを形成させるステップ、
(b)上記反応の過程の間に、少なくとも2つの反応原料の相対量を変化させて、形成されるポリウレタンのモジュラスを連続的に変化させるステップ、および
(c)そのポリウレタンの製造に関わる重合反応が完了する前に、上記ポリマー製品の形を定める鋳型中にポリウレタンを射出し、それによって鋳型中での重合を続行させるステップ、
を含む方法を提供する。
【0022】
本発明の第1または第2の態様のどちらかによって、ポリウレタンを、その中で反応を伴いながら押出すように押出機を通して送ることができる。
【0023】
反応を伴う押出ステップの間に、ポリウレタンに、熱的プロファイリングを施すことが有利である。
【0024】
本発明の他の態様によれば、製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品を作製するための装置であって、以下の:
(a)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための第1の供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比を有する第1のポリウレタンを形成させるための混合手段、
(b)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分注するための第2の供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合するための混合手段、および第1のポリウレタンとは異なる所定の化学量論比を有する第2のポリウレタンを形成させるための、反応を伴う押出手段と、および
(c)上記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの形成に関わる重合反応が完了する前に、鋳型中に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって鋳型中で第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの間に重合反応を起こさせる手段、
を含む装置を提供する。
【0025】
一実施形態では、上記装置は、鋳型中に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを同時に射出するための共通射出ポートを含む。
【0026】
その装置は、鋳型中に射出された第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの相対量、または、鋳型中への第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの射出相対速度を変えるための手段も含むことができる。
【0027】
本発明の他の態様によれば、製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品を作製するための装置であって、以下の:
(a)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比を有する第1のポリウレタンを形成させるための混合手段、
(b)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するために供給系を使用している間に、第1のポリウレタンをその中に導入する中間容器;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合するための混合手段、および第1のポリウレタンとは異なる所定の化学量論比を有する第2のポリウレタンを形成させるための、反応を伴う押出手段、および
(c)上記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの形成に関わる重合反応が完了する前に、鋳型中に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって鋳型中で第1のポリウレタンと第2のポリウレタンとの間に重合反応を起こさせる手段、
を含む装置を提供する。
【0028】
一実施形態では、その装置は、第1のポリウレタンと第2のポリウレタンがそのそれぞれの容器から鋳型中へ同時に射出されるように、第2のポリウレタンをそれに導入する第2の中間容器を含む。あるいは、第1のポリウレタンを中間容器から鋳型中に射出し、かつ第2のポリウレタンを供給系から直接鋳型中に射出する。
【0029】
装置は、鋳型中に射出する前に第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを混合するための混合ヘッドを含むことができる。その混合ヘッドは、鋳型へのポリウレタンのそれぞれの射出速度、または混合速度を変えるための手段も含むことができる。
【0030】
本発明の他の態様によれば、モジュラスの漸進的な変化を有する少なくとも一部分を示すポリマー材料からなる固形物体を含む人工椎間板を提供する。
【0031】
好ましい実施形態では、モジュラスは前記部分を通して実質的に線形で変化する。
【0032】
人工椎間板は好ましくは環状部領域によって囲まれた中心核を含み、上記部分は中心核領域と環状部(annulus)領域との間の領域に配置されている。
【0033】
本発明は本発明の方法によって製造された人工椎間板も提供する。
【0034】
人工椎間板を製造するための好ましい一実施形態では、2つの部分からなる鋳型は引き込み可能な中央部分を有し、この中央部分は、第1の化学量論比と熱履歴を有するポリウレタンが環状部領域を形成するように鋳型の第1の部分に射出された後に引っ込められ、それによって第2の化学量論比と熱履歴を有するポリウレタンを前記鋳型の第2の部分に射出することができ、その結果、鋳型の第1および第2の部分に射出されたポリウレタン間の重合反応が鋳型中で起こってモジュラスの漸進的な変化を示す、2つのポリウレタンの間の領域を形成することができる。
【0035】
本発明は、人工椎間板または任意の外科用デバイスもしくはインプラントの製造において、本発明の方法の使用を保護することも求める。
【0036】
医療用製品産業でそれを使用するのに適したものとしている、高度の堅牢性(consistency)を有するポリウレタンの製造方法は、精密ポリウレタン製造(PPM)として知られており、その詳細は、本出願者自身の先の国際特許出願PCT/GB01/03441号(公開番号WO02/11975)に詳細に記載されている。その開示を本願に援用する。
【0037】
上記PPMプロセスは、反応原料の化学量論比および熱プロファイルを動的に制御してバッチごとの特性の変動を低減させることができる。国際公開WO02/11975号は具体的には、反応化学量論比を、0.01〜2%、好ましくは0.05〜1%、最も好ましくは0.1〜0.2%の範囲内に制御でき、得られるポリウレタンの熱プロファイルを、0.01〜2℃、好ましくは0.05〜1℃、最も好ましくは0.1〜0.5℃の範囲内に、好ましくはコンピュータを用いて制御できることを記述している。しかし、その製品全体または一部にわたってそのモジュラスの漸進的な変化を示すポリマー製品を生成するように、その中で反応原料の化学量論比および熱プロファイルを意図的に変える、ポリマー製品の製造でのPPMプロセスの適用への言及は今日までなされていない。
【0038】
一実施形態では、上記ポリマー製品は人工椎間板を含む。材料のモジュラスの漸進的変化によって、異なる別個の構成要素の結合に関連する問題がまったくない、デュアル材料設計のすべての利点を有する人工椎間板が提供される。椎間板は、脊髄分節の正常な生理学的動きを維持しながら過剰な変形を抑制し制約する。
【0039】
好ましい実施形態では、人工椎間板は、隣接する椎体の表面とかみ合う凸状表面を示す一組のポリマー終板を組み込んでいる。この好ましい実施形態では、終板はデバイス全体の一部として製造される。したがって、デバイスの一部は、本体の表面からの軸方向の距離の関数としてモジュラスの漸進的な変化を示し、その結果、終板と椎間板の柔軟なコア領域との間の界面結合はない。
【0040】
別の実施形態では、終板は、生体適合性のある金属またはポリマーなどの剛性材料でできている。一実施形態では、可変モジュラスのコアを終板にしっかりと結合させ、それによって終板は、鋳型プロセスに組み込まれ、別個のパーツではなく、実際にはコアと共有結合的に結合して完全なデバイスを提供する。逆に、可変モジュラスのコアを、固定しないで2つの終板の間に配置して、終板間でコアが滑動できるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に以下の図面を参照して、例のためだけであるが、本発明の実施形態を説明する。
【0042】
最初に図4を参照すると、人工椎間板1が、椎間板1と連結して使用されている一対の終板2と一緒に示されている。椎間板1は、天然の椎間板中心核の機能を模倣し、エラストマーの全容積の範囲で容積が変化する柔らかいエラストマー性コア領域と、その中でモジュラスが、中心核領域からの距離の関数として増加するか、または椎間板1の表面からの距離の関数として減少する段階をつけたモジュラスの構造を示すコア領域で囲まれている周辺領域とを有する単一の構成要素である。中心核の相対的容積と環状部領域を変化させることによって、デバイス全体の総括的な機械的性能が変わることを理解されよう。したがって、デバイス構造を改変して最適な生理学的性能を実現することができる。
【0043】
例示した好ましい実施形態では、モジュラスは椎間板の表面から中心核へと変化する。しかし、その一部の距離の間だけ変化させることができることも理解されたい。周辺領域とコア領域を有する椎間板を参照しているが、これらの領域は別個になっておらず、すなわち個別的ではなく、椎間板は単一体の材料から形成されていることを理解されよう。
【0044】
図5は図4で示した椎間板の平面図を示し、そして図6は、図5のX-Xの線に沿った椎間板の断面図を示す。両図では椎間板全体でのモジュラスの変化を示す等高線を示した。モジュラスは線が互いに接近しているところではより大きい。図5で分かるように、モジュラスは図5のX-XやY-Yで示した方向などの半径方向でのコア領域からの距離の関数として増大する。これは図7および図8にプロットされている。図7はモジュラス(y-軸)と椎間板での距離(x-軸)との関係を示すプロットを例示している。図7では、距離は図5のX-Xに沿った半径方向の距離である。図8では、距離は図5のY-Yに沿った半径方向の距離である。図9も、図6のZ-Zに沿った軸方向での、物品全体の距離に関してのモジュラスの変化を示している。これらのグラフから、椎間板の材料は、椎間板全体でのモジュラスの測定方向によってモジュラスが異なるという点で、異方性であることが分かる。
【0045】
図4では、終板2は、ただ図面としての目的のために分離されているが、椎間板を使用する際は、椎間板の上側表面および下側表面とそれぞれ密に接触する。終板2は通常椎間板1と結合される。しかし、これらを結合させないで、椎間板1と密に接触させておくこともできる。終板2は、椎間板を収容するのに十分な剛性と、その目的のために適した疲労強度を有する任意の適切な金属性材料または合金で構成する。他の実施形態では、終板2は骨の内部成長を促進させるのに適した溝と穴を有する加工した表面を備えていてもよい。終板2をヒドロキシアパタイトなどの骨結合性セラミックでコーティングすることもできる。好ましい実施形態では、終板をデバイス全体の一部として形成させ、終板が共有結合的にコアと結合するようにする。それによって、終板とコア領域との間のモジュラスが変化する。図6を参照されたい。ここで組み込まれた終板は「X」と標記されている。
【0046】
上記の特性を有する椎間板1は、模擬的な生体力学的負荷の下での圧迫および圧迫-捻れ試験に対して、ヒトの動作の際に天然の椎間板によって示される特性と類似した応答を示し、椎間板と終板が、隣接する椎骨に、健全な椎間板のものと類似した生理学的に妥当な動き(屈曲、伸長および捻れ)を確実に提供する機械的特性(力の浸透、回復、クリープ)を有している。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明の方法を用いて作製したポリマー製品は人工椎間板であるが、本発明の1つまたは他の方法を用いて、医療用の他のデバイスまたは構成要素も形成できることが想定される。1つの具体的な構成要素は、損傷したもしくは退化した髄膜関節内の関節軟骨の少なくとも一部分を置き換える可変モジュラス支持面である。これは、再構成された支持面を提供するために、隣接する骨の一部の置き換えを含むことができる。例としては、これらに限定されないが、臀部関節形成処方での使用のための寛骨臼カップ、および膝の関節形成処方用の脛骨プラトー上の摩耗した軟骨のための支持面が含まれる。これらの可変モジュラス支持面は、関節への衝撃を和らげ、荷重支持の際の関節表面間の調和を高め、その結果、インプラントの耐用年数を向上させることになる応力分布の改善と接触応力の低減をもたらす。
【0048】
可変モジュラスポリマーは、化粧品用ならびに医療用の理由から実施される外科処方における、骨全体もしくは骨の一部を置き換えるか、または骨全体もしくは骨の一部に対する追加の支持体を提供するために使用できることも想定される。
【0049】
医療産業における使用のための別の実施形態は、静脈または尿道用のカテーテルの製造である。これらのカテーテルは、身体の導管を通って、それが閉塞部位に到達できるようにする必要な程度の剛性を有しており、同時に侵襲的処方の際に患者への不必要な外傷または付随的損傷を防止するのに十分柔軟性でなければならない。細長いカテーテルの少なくとも一部分は、その長さに沿って漸進的なモジュラスの変化を有する材料から形成できることが想定される。
【0050】
PPMプロセスについて記述し、続いて漸進的なモジュラスの変化を示すポリマー製品の製造へのその適用を説明する。
【0051】
PPMプロセスは、多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択で鎖伸長剤とを反応させることを含み、イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマーから選択される少なくとも2つの反応原料は、反応を伴って押出される前に強く混合されて、所定の化学量論比および熱履歴を有するポリウレタンを形成する。本発明の文脈では、「ポリウレタン」という用語は、多数のウレタン結合を含む任意のポリマー、例えばポリウレタン-尿素を含むものと理解されたい。一実施形態では、徹底的に混合する前にポリオールまたは鎖伸長剤の少なくとも一部をイソシアナートと反応させ、それによりポリオールまたは鎖延長剤をイソシアナート基で「エンドキャップし」、それによって後続の反応を容易にする。改変された処方では、徹底的に混合する前に、イソシアナートの少なくとも一部をポリオールまたは鎖伸長剤と反応させる。強く混合する前に、鎖伸長剤の少なくとも一部をポリオールと混合することが好ましい。そのプロセスが、反応原料の化学量論比の完全な制御を可能にし、同時に分子レベルでの反応原料の密な混合によって狭い分子量分布すなわち狭い多分散性をもつ調整された線状ポリウレタンの製造が可能になることが有利である。さらに、合成の間に、既知でかつ再現性のある熱履歴をポリマーに付与することができ、同時にポリウレタン成分に対する溶融サイクル数を少なくすることによって、全般的な熱劣化を最小化させることができる。そうしたプロセスはポリウレタン樹脂、最終製品、または水性ポリウレタン分散液の統合された製造を可能にする。
【0052】
多官能イソシアナートは適切な任意の芳香族、脂肪族または環式脂肪族ポリイソシアナートであってよいが、最も好ましくは有機ジイソシアナートである。好ましい有機ジイソシアナートには、4,4'-ジイソシアナートジフェニルメタン、2,4'-ジイソシアナートジフェニルメタン、イソホロンジイソシアナート、P-フェニレンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアナート、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニルジイソシアナート、4,4'-ジイソシアナートジシクロヘキシルメタン、2,4'-ジイソシアナートジシクロヘキシルメタン、および2,4-トルエンジイソシアナート、またはその組合せ、が含まれる。ポリオールは適切な任意のポリヒドロキシ化合物であってよいが、一般にヒドロキシ末端エステル、エーテルまたはカーボネートジオールである。好ましいポリアルキレンエーテルグリコールには、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-プロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-ジメチルエチレンエーテルグリコール、ポリ-1,2-ブチレンエーテルグリコール、およびポリデカメチレンエーテルグリコールが含まれる。好ましいポリエステルポリオールには、ポリブチレンアジペートおよびポリエチレンテレフタレートが含まれる。好ましいポリカーボネートジオールには、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサン-1,6-カーボネートジオール、およびポリ[1,6-ヘキシル-1,2-エチルカーボネート]ジオール、が含まれる。しかし、所望の用途に応じて多くの他の適切なポリヒドロキシ化合物を使用することもできる。活性化する量の適切な触媒、例えばオクタン酸スズなどの有機スズ触媒の存在下で、重合反応を実施することができる。しかし、少なくとも部分的に強力な混合ステップの効果により、通常は触媒の存在を必要としないが、それでも例えばインプラント可能なデバイスでの対象とするポリウレタンの用途によっては望ましい。ある用途のためには、多官能イソシアナートおよびポリオールを、鎖伸長剤と反応させないことがある。しかし、ほとんどの場合、ウレタン結合プレポリマーの鎖伸長または架橋を実施するために、それを形成させるときに鎖伸長剤を含めることになる。この目的のために適した、適切な任意のポリオール、ポリチオール、またはポリアミン、あるいはその混合物を使用することができる。例えば、2,4-ジアルキル-1,5-ペンタンジオールおよび2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオールを含む混合ジオール。2,4-ジアルキル-1,5-ペンタンジオールの具体的な例には、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-4-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジプロピル-1,5-ペンタンジオール、2-イソプロピル-4-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-4-イソプロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジイソプロピル-1,5-ペンタンジオール、2-イソプロピル-4-プロピル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジブチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジペンチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジヘキシル1,5-ペンタンジオール等が含まれる。2,2-ジアルキル-1,3-プロパンジオールの具体的な例には、2,2-ジペンチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジヘキシル1,3-プロパンジオール等が含まれる。特に好ましい鎖伸長剤には、1,4-ブタンジオール、1,2-エチレンジアミン、ヒドラジン、およびトリエチルアミンが含まれる。しかし、当分野の技術者に知られている多くの他の適切なポリオールおよびアミンの部類も含まれる。本発明の文脈では、「強く混合された」という用語は一般に、イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマーから選択される2種以上の反応原料が分子レベルで密に混合されることを意味する。好ましい実施形態では、2種以上の反応原料を渦巻状にして強く混合し、それによって2種以上の反応原料ストリームを同時に起こさせ、旋回状に一緒に流動させる。別の実施形態では、2種以上の反応原料を斜板ポンプまたは
ギヤポンプで輸送する。2種以上の反応原料は、従来のRIMまたはSRIMプロセスで用いられている種類の反応的射出加工技術で強く混合することが最も好ましい。好ましい実施形態では、本発明の合成技術は、RIM設備で使用されるものと同様で、かつ2種以上の反応原料ストリームに適している衝突混合ヘッドを使用する。それぞれの異なるストリームは、現在のRIMまたはREX技術と関連しないが、必要量の反応原料を連続的にかつ高い精度で供給するようにプログラムを組むことができる。さらに、反応原料が分子レベルで強く混合されるにしたがって、一般に反応が自発的に開始し、それによって、反応触媒を含める必要性がまったく回避されるか、またはそうした必要触媒量が著しく削減される。このような反応で通常使用される触媒の多くは、潜在的にインビボで毒性が強いので、本発明の方法はインプラント化のためのポリウレタンの医療用デバイスを作製するのに特に適している。それぞれを使用した後に装置を清浄化させることを回避するために、混合ヘッドは自己清浄化型が好ましい。一実施形態では、2種以上の反応原料を、好ましくは1つまたは複数の射出ランス(lance)を通して圧力下で混合ヘッドに供給する。例えば、第1の射出ランスはイソシアナートを含み、第2の射出ランスはポリオールおよび鎖伸長剤を含むことができる、あるいは、第1の射出ランスは第1のイソシアナートを含み、第2の射出ランスはエンドキャッピングをもたらすために一定分量の第1のポリオールと混合されている第2のイソシアナートを含み、第3の射出ランスは第2のポリオールを含み、第4の射出ランスは鎖伸長剤を含むことができる。種々の反応原料の多くの組合せと変形が可能であることは明らかであり、これらの組合せはすべて本発明の範囲に包含されるものとする。混合ステップは実質的に瞬間的に、最も好ましくは1秒からせいぜい数秒の間に起こることが好ましい。混合直後は得られる混合物が実質的に均一であるが、重合が進行するにしたがって後続する混合物の組成がはっきり変化することが特に望ましい。本発明の文脈では、「反応を伴って押出される」という用語は、好ましくは従来のREX法に関して上記の様々な変更の形態のうちの少なくとも1つにより、ポリウレタン混合物の物理的および化学的特性を、連続流混合型の反応器(CSTR)または押出機中で改変することを意味するものと理解されたい。
【0053】
得られた混合物を直接押出機中に供給することができる。押出機は混合ヘッドと接近して連結されていることが好ましい。押出機を、混合ヘッドと直に隣接させ、好ましくは直接混合ヘッドに連結させ、それによって混合ヘッドから出る得られたポリウレタンプレポリマー混合物が直接押出機中に送られるようにすることができる。混合物を、レオメーター、デンシトメーター、分光光度計、またはこれらの任意の組合せを経由して押出機中に供給することができる。これによって、反応を伴う押出プロセスが始まる前に反応混合物の粘度、密度または組成の瞬間的な「スナップショット」をとることができ、それに対する任意の調整ができるようになる。あるいは、反応チャンバー、好ましくは攪拌式反応チャンバーを経由して、得られた混合物を押出機中に供給して、さらなる重合反応を起こさせることができる。0.01〜25kg/s、好ましくは0.1〜10kg/s、最も好ましくは1〜5kg/sで押出機中に供給することが好ましい。押出機の役割は本質的に2つの要素(two fold)がある。第1に、押出機の長さに沿った区域の温度を制御することができ、それによって反応温度を制御でき、次に重合反応の進行に影響を及ぼすことができる。第2に、押出機中で重合反応が起こるにしたがって、追加の反応原料が押出機に導入され、重合反応に関与して、末端基がポリマー鎖内の基とは異なるポリウレタンなどの、特定の値の改変ポリウレタンをもたらすことができる。例えば、鎖伸長剤をこの段階でプレポリマーと混合して鎖伸長または架橋を促進させ、粘度と分子量を増大させることができる。センサーを押出機のバレルの長さに沿って設置して反応の進行を監視し、同時に、温度制御手段を用いて反応プロセスが確実に規定の温度範囲で起こるようにすることができる。したがって、好ましい実施形態では、反応を伴う押出プロセスの間に、よく規定された熱履歴を有するようにポリウレタンに熱的プロファイリングを施すことができる。押出機には押出機の長さに沿って、またはその出口の所定の場所に、レオメーター、デンシトメーター、分光光度計、または任意のその組合せを備え、それによって、生成するポリマーおよび最終ポリウレタンの物理的および化学的特性を綿密に監視することも、必要なら反応を伴う押出プロセスの間に調整することもできる。
【0054】
イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびそれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための供給系と、前記少なくとも2つの反応原料を強く混合するための混合手段と、反応を伴う押出手段とを含むPPMプロセスを用いたポリウレタン製造用の装置を提供することも知られている。供給系は、好ましくは線形のトランデューサを用いて制御された1つまたは複数の射出ランスを備える。反応を伴う押出手段は、好ましくは種々の反応原料を導入するための1つまたは複数の入口ポートを有するバレル押出機を備える。反応を伴う押出手段はニ軸スクリュー押出機、最も好ましくは同方向回転型ニ軸スクリュー押出機であることが好ましい。30mmスクリュー径(L:D=40/1;D=30mm)同方向回転型ニ軸スクリューおよび16の加熱ゾーンを備えたAPV Baker MP2030などの、任意の市販のニ軸スクリュー押出機を使用できる。これはAPV Baker、Speedwell Road、Parkhouse East、Newcastle-under-Lyme、United Kingdomから入手できる。押出機には、少なくとも1つの熱電対を備えて、熱電対のすぐ近傍での押出された材料の温度を監視することができる。押出機に温度調節手段を備えて、それに隣接する領域での押出された材料の温度を制御することもでき、その装置が、ポリウレタン混合物の物理的もしくは化学的パラメータまたは特性を測定するようになされた測定手段を含むこともできる。ポリウレタンまたはプレポリマー混合物の特性の瞬間的な評価が、反応を伴う押出の前にできるようにするために、測定手段は、混合手段と反応を伴う押出手段との間に配置されたレオメーター、デンシトメーター、分光光度計またはその任意の組合せを含むことが好ましい。ポリウレタン混合物および最終ポリマーの特性を監視するために、装置はさらに反応を伴う押出手段の内部またはその出口に少なくとも1つの測定手段も備える。装置はさらに以下の:第1の制御信号に応答して、供給手段が前記少なくとも2つの反応原料分注するその速度を制御するための手段;第2の制御信号に応答して、得られた混合物を反応を伴う押出手段に供給するその速度を制御するための手段;第3の制御信号に応答して反応を伴う押出手段中のポリウレタン混合物の温度を制御するための手段;反応を伴う押出の間のポリウレタン混合物の特性を検出し、検出器信号を発生するように適合させるための手段;並びに、前記検出器信号に応答して前記第1、第2および第3の制御信号を発生するように適合されたプロセッサー、を備えることができる。これによって、本発明のプロセスを自動化し、よく規定されているかまたは所定の化学量論比および熱履歴のポリウレタンを製造するために要求される任意の必要な調整を正確に制御することが可能となる。この最後に述べた実施形態では、制御および検出手段はプログラミング可能な手段であって、それによってその動作を、コンピュータ操作のプログラムによって制御できることが好ましい。
【0055】
PPM装置3を図1に示す。これは4つの射出ランス5、4つの反応原料ストリーム混合ヘッド6および鋳型7を備えている。このプロセスでは、4つのランスの使用に限定されず、製造する材料の数に応じて5つまたは6つ以上であってよいことが理解されよう。このことは、異なる化学量論比を有する2つを超えるポリウレタンを製造し互いに混合してより複雑な可変型モジュラス製品を得ることができることを意味する。2つよりも多い中間容器を使用できることが理解されよう。
【0056】
特定し易いように各ランス5には番号をつけている。各ランス5は油圧シリンダ8、ランスポンプ9、入口管10、逆止弁11および出口管13を備えている。混合ヘッド6は、4つの出口管13からの反応原料ストリームの両方の組が直接互いに相対するようになされている。混合ヘッド6は4つの垂直な溝(図示せず)を有するシリンダ状の混合ピン14を備える。その溝は、シリンダの表面に等間隔で刻まれ、それは、ピン14の底面から、中心点よりピンの長さの3/8からその長さの1/8の範囲にわたっている。
【0057】
図2を参照すると、パドル型攪拌器16で攪拌されている混合タンク15から各ランス5に反応原料が供給される。反応原料は、入口管10を経由し逆止弁11を通ってランス5に供給される。ランスポンプ9を上昇させて、反応原料を混合タンク15からランス5中に引き込み、続いて、パーソナルコンピュータ(図示せず)制御による線形トランデューサ17で制御された油圧シリンダ8の動作によりランスポンプ9を押し下げることによって、ランス5から反応原料が押出される。反応原料は出口管13を通って混合ヘッド6に供給される。混合ピン10が混合ヘッド6中に完全に挿入されたとき、溝は出口管9と一列上にならび、戻り管18へのチャンネルを提供し、それによって反応原料ストリームは、鋳型7に入ることができずに、混合タンク15へ再循環される。混合ピン10が引っ込められ、それによってそのより低い面が、出口管13と戻り管18との間に位置するとき、反応原料は衝突混合されて、次に鋳型7に送られる。鋳型7が満タンのとき、混合ピン10は再度完全に挿入され、余剰の反応原料が戻り管18を通って混合タンク15に再循環できるようになる。
【0058】
図3は4つの射出ランス5、混合ヘッド6および押出機18を含むPPM製造装置全体を示す。押出機18はレオメーター19を介して混合ヘッド6に連結されており、30mm直径の共回転型ニ軸スクリュー(図示せず)、16のプログラミング可能な加熱ゾーン20、第2のレオメーター21およびダイ22を有している。用途に応じて代替の形態の押出機も使用できることが理解されよう。混合ピンを引っ込めた場合、混合ヘッドからの混合された反応原料は、レオメーター19を通って押出機18中に送られる。反応混合物は、押出機18を出る前に、混合物を所定の温度に保持するようにプログラミングされた各加熱ゾーン20を通過する。
【0059】
典型的な運転では、混合タンクを所要の温度に予備加熱し、次いで、化学量論比、シーケンス分布要件および必要な製造運転の長さによって決定される所要量の反応原料を供給する。均一かつ一定の温度になるまで、窒素雰囲気下で、反応原料をパドル型攪拌器で連続的に攪拌する。所要の反応条件(すなわちストリーム混合比、混合容積および混合時間)下で、「ドライ」運転を実施する(混合ヘッドピンが引っ込められていない状態で)。各ストリームの圧力は運転の間監視される。各ストリーム中の圧力は、必要であれば、混合ヘッドオリフィス(図示せず)の後のニードル弁を調節することによりバランスさせることができる。良好な混合を容易にし、並びに、1つのストリームの圧力が他のストリームの圧力より著しく高くなり、それによってストリーム供給ラインが満たされる場合に起こることがある、供給ラインでの反応の発生の防止を容易にするので、各ストリームの圧力をバランスさせることは非常に重要である。ランスで貯槽から反応原料を抜出し、回路をまわって貯槽中に反応原料を押出し、各タンク中の反応原料をランスで循環させる。運転の用意ができたら、制御ソフトウェアを立ち上げる。各ランスのサイズ(容積)は、ソフトウェア中にプログラム化しておき、必要なら変更することができる。複数のピースの情報がソフトウェアに必要となる。すなわち使用ストリーム、混合容積、混合時間および混合比である。「使用するストリーム」情報が所要のランスを作動させる。混合容積は、運転の最後で必要な製品の総量であり、その最大容積は、選択したストリーム容積の合計である。混合時間によって、混合ピンが引っ込められる時間とランスの速度が決まる。混合比によってランスの速度の比が決まる。この情報から、ソフトウェアは理想的な分配要件を計算する。例えば、等しいサイズの2つのランスについて以下のパラメータ、1Lの混合容積、4秒間の混合時間および1:1の混合比を用いて、各ストリームからの0.5Lを4秒間かけて混合する。3:1の混合比が必要であれば、0.75Lの第1のストリームは0.25Lの第2のストリーム(第1のストリームの速度は第2のストリームの速度の3倍で)と衝突混合することになる。異なるサイズおよび異なる混合比のより多くのストリームを用いる場合、ソフトウェアが非常に有益なものとなる。各ランスの位置は線形トランデューサで測定する。上記情報をソフトウェアに入力した後、ランスの内容物を押出し、トランデューサから「空」という読みが得られる。次いでランスを完全に満たして「満杯」の読みが得られる。
【0060】
装置の運転の準備ができたら、ランス5は反応原料を移送ライン中に押出す。各ランス5の速度はソフトウェアで監視され、それが一定である場合、混合ピン14を引っ込めて、混合ヘッド6中で反応原料が衝突混合される。混合ヘッド6から、インラインレオメーター19を経由して、近接して連結したニ軸スクリュー押出機中を通過する時に、混合された反応原料は急速な重合反応を受ける。反応混合物は、所定の時間で押出機18を通過し、押出機18の走行速度と、プログラム化された温度ゾーン20のそれぞれの温度設定との組合せによって指示された所定の熱プロファイルに従う。インラインレオメーター21は、押出機18の出口端部に取り付けられて、押出機速度、押出機ゾーンの温度、ランス速度、化学量論比、反応原料温度などのプロセスの操作の制御局面への信号として、コンピュータで動作されたアルゴリズムにしたがって使用されるレオロジー特性のリアルタイムの測定値を提供して、ポリウレタンのレオロジー特性のリアルタイム制御ができるようにする。
【0061】
本発明の一実施形態によって、それぞれ異なった化学量論比および/または熱履歴を有し、同一PPM設備を用いて一方を他方の後に形成させるか、または2つの別個のPPM設備を同時に用いて形成させた、2つのポリウレタンを形成させることによってモジュラスの漸進的な変化を有する製品を作製する。そのように作製されたポリウレタンを、鋳型中に射出する前に強く混合するか、または鋳型中に別個に射出し、それによって重合反応が完了する前にその中で混合される場合、鋳型の中に入ってから2つのポリウレタン間での反応が続行し、その中でモジュラスに変化を示す製品が得られることになる。同一または異なる設備を用いて形成されたポリウレタンを、鋳型中に射出する前に中間容器に貯蔵することができる。両方のポリウレタンを作製するのに同一設備を使用した場合、第1のポリウレタンを中間容器中に貯蔵し、他方、反応原料の相対量を変化させて設備から排出されるポリウレタンの化学量論比を変化させることによって、第2のポリウレタンを形成させることができる。第2のポリウレタンを、中間容器からの第1のポリウレタンと一緒に鋳型中に直接射出することができる。あるいは、第2のポリウレタンを別の中間容器に貯蔵して、両方のポリウレタンを、そのそれぞれの容器から鋳型中に射出することができる。各容器の温度を独立に制御して、中間容器中に貯蔵されているポリウレタンのそれぞれに、異なった熱履歴および/または粘度を付与することができる。先にすでに述べたように、ポリウレタンのそれぞれを、独立に制御できる温度区域を有する押出機を通して供給し、それによって反応温度、したがって重合の進行を制御することができる。十分に規定された熱履歴を有するように、反応を伴う押出しプロセスの間にポリウレタンに熱的プロファイリングを施すこともできる。
【0062】
本出願者らは、人工椎間板の製造に適している三次元(3-D)の鋳型空洞(キャビティ)中への反応しつつあるポリウレタン系の流れの評価に特に関心がある。したがって、目的は、成型用空洞内での材料の正確な3-D配置を提供することである。理想的な結果は、図2〜6を参照してすでに述べたように、中央コア(中心核)領域を囲む周辺(環状)材料であり、中心核材料は垂直面上で中心点について対称であるが、顕著な横方向の分布を有していることである。この分布に影響を与える複数のパラメータを以下にまとめる。
1.材料特性-粘度、材料の接触角。
2.射出速度-椎間板を参照すると、正しい分布を得るためには、環状部および中心核材料の射出速度は異なっている。
3.射出ポート形状-これは、材料の鋳型中への流れに影響を与えることになる。椎間板を参照すると、射出ポートの形状は中心核材料の分布に影響を及ぼすことになる。
【0063】
これらのパラメータの多くを変えて、鋳型内での材料の3-D分布の制御のための最適条件を得ることができる。例えば、材料粘度は鋳型および/または中間容器の温度の影響を受け、射出速度は中間容器からの分配速度で決まり、最適射出ポート形状を機械加工して所望の条件を提供することができる。その一方、接触角は、射出される材料の特性と、鋳型を作製するのに用いた材料、例えばアルミニウム、鋼鉄等、の影響を受ける。さらに、市販されている離型剤、例えばシリコーンも射出される材料と鋳型壁との間の相互作用に影響を及ぼす。接触角の影響を理解することによって、射出速度および射出ポート形状を改変することが可能になり、その結果材料特性の所望の3-D分布が実現される。
【0064】
次に、人工椎間板人工器官などの可変モジュラスデバイスの製造のための鋳型の中で、これらのパラメータが、材料特性の3-D分布にいかに影響を及ぼすかを示すいくつかの実施例を示す。
【0065】
平型鋳型(高さ10mm、半径20mm)の軸対称性の有限要素(FE)モデルを構築し、同一の形状と容積を有する鋳型を用いて実験的に確認した。以下のパラメータを用いた(値は概数で示す):
【0066】
粘度材料A=5000cP
粘度材料B=15000cP
材料の鋳型表面との接触角=60°
射出速度=0.100ml/s及び0.010ml/s
【0067】
この第1の実施例のために、材料「A」で環状部を形成し、材料「B」で中心核を形成し、鋳型内での材料の3-D分布の変化を示すように射出速度を変化させる。0.010ml/sと0.100ml/sの一定した射出速度を用いて得られた材料特性の分布を図10A/表1と図10B/表2にそれぞれ示す。中心核の特性と環状部の特性との間のモジュラスの変化を示す中間領域と一緒に、環状部領域および中心核領域が示されている。この実施例のために、バルクな流れが鋳型(この実施例では図示せず)に達する前に、射出ポート内の界面混合によってモジュラスの変化が発生している。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
図から、小さい中心核射出速度によって鋳型のより低い方に位置した中心核領域が提供され(図10A)、一方、より大きい射出速度によって鋳型の頂部に位置した中心核領域が提供される(図10B)ことが明らかである。所与の鋳型形状と材料特性に対する最適速度によって、垂直面において対称性を示す製品が提供されることが理解されよう。さらに、射出速度は材料特性の半径方向の分布も決定することになる。提供した実施例について、より遅い射出速度は、より早い射出速度と比較して、より大きい半径方向分布を示す中心核材料を提供する。椎間板を参考にして、環状部および中心核の材料についての射出速度の最適化によって、環状部材料で封入された鋳型の中央に位置する中心核材料が提供されることになる。同様の仕方で、環状部領域と中心核領域との間でモジュラスの漸進的な変化を示す材料の分布も精密に制御することができる。
【0071】
製品内での材料分布の程度も鋳型形状、射出ポート形状および材料特性によって影響を受けることになり、したがって、所望の材料分布を実現するために射出速度を変更しなければならないことが理解されよう。
【0072】
同一のモデルを用いたさらなる実施例は、中心核材料特性および環状部材料特性の影響を実証している。図10Cおよび表3は、中心核(材料「A」)と環状部(材料「B」)からなり、且つ図10Bで用いたのと同等の射出速度を用いて得られる、鋳型中の材料特性分布を示す。射出ポートを通しての材料のバルクな流れによってもたらされる垂直方向の運動量にもかかわらず、より低粘度の中心核は、表面において、高粘度の環状部材料を通って浸透することができないことが理解されよう。その結果、中心核材料は半径方向に分配されて、図10Bに示した材料分布と比較して、より高い垂直方向および半径方向の対称性を示す中心核領域が提供される。
【0073】
【表3】

【0074】
上記実施例から、可変モジュラス製品の製造には、材料供給速度の正確な制御が、特に、椎間板の人工器官などの比較的小さい容積を有するデバイスまたは構成要素を加工する場合に必要であることが理解されよう。
【0075】
示した実施例は、可変モジュラスの人工器官の製造に適した鋳型内の特性の分布を表しているが、同じ原理と本発明の技術は、材料の正確な3-D配置を要する他の鋳型形状および可変モジュラス製品に適用できる。
【0076】
2つの中間容器からの異なる材料の相対的分布を変えた結果として、モジュラスの変化をいかに達成できるかということを、若干詳細に以下の節で示す。
【0077】
一方の材料(A)から他方の材料(B)へのモジュラスの漸進的な変化を示すデバイスの製造は、中間容器から分配される材料の相対量を変えることによって実施できる。このプロセスの一例を図11のグラフで示す。ここで、Y-軸は材料の割合でありX-軸は時間である。射出プロセスの開始時には、材料A(実線)だけが鋳型中に射出される。所定時間の後、材料Aの射出が遅くなり、他方、両方の材料の相対量が連続的に変化するように材料Bの射出(点線)が始まる。あるいは、図12のグラフに示すように、2種以上の材料間のモジュラスの変動を、鋳型中に射出される材料の相対量を段階的もしくは増分的に変化させることによって発生させることができる。
【0078】
モジュラスの領域の広さは、材料AおよびBの射出が変化する速度によって決まることが理解されよう。
【0079】
椎間板の製造に関しては、材料Aをまず射出して環状部を形成させる。次いで、同時に材料Bの流れを増加させながら材料Aの射出を遅らせ、100%の材料Bを射出する前に材料特性の変動を発生させて椎間板の中心核領域を形成させる。上記の製造のパラメータは、椎間板鋳型形状および材料特性について最適化され、それによって環状部および中心核材料のために適した射出速度が選択されて鋳型内の材料特性の所望の3-D分布が提供される。
【0080】
段階的変化法として知られているこの方法では、形成されたポリウレタンのモジュラスを連続的に変えるように、反応進行の間、少なくとも2つの反応原料の相対量を変化させる。そのときポリウレタンを、ポリマー製品の形を定める鋳型中に射出する。
【0081】
提案した別の方法では、反応型射出成型設備からのアウトプットを、連続的にし、かつ一定組成のものにすることができる。しかし、PPMプロセスに、ポリマーがそれを通過する押出機を含めることができる。押出機はその長さに沿って複数のポートを備え、鋳型を各ポートから抜き取られた材料で満たすことができる。各ポートからの材料を互いに異なる形で処理して、異なるモジュラスを有する材料を提供することができる。そのとき、各ポートからの材料の層を鋳型中に供給し、その層が互いに拡散しあって可変モジュラスを有する最終構成物が提供される。その構成物に高温でポスト圧縮工程を施して最終製品を形成し、相互に層間での拡散の程度を増大させて、モジュラスにおけるより大きな漸進的変化を有する製品を提供することもできる。
【0082】
本発明の方法によれば、2つの材料間でモジュラスの変化を示す領域は、いくつかのプロセスをとおして現われうる。第一に、先に述べたように、まず複数材料を相次いで射出し、そして、その材料の間の界面混合をとおしてモジュラスの変化がもたらされる。第二に、流れが鋳型に達する前に、射出管内における界面混合を可能にする共通射出ポートを通して複数材料が射出される。この際、段階をつけたモジュラスの広がりは、流れが鋳型に入る前に、材料間の混合の程度を決定する射出ノズルの長さによって変えることができる。代替の方法は、連続的に変化をつけられた量の各材料を、スタティックミキサーまたはある長さの管を通して通過させることを含み、特性の連続的な変化を示す材料を得る。各供給ストリームから分配された材料の相対量の変化を実現するために、この方法は、材料分配シリンダの正確な制御にたよっている。
【0083】
それに代えて、上記中間容器は、鋳型またはカルーセル型(carousel)であってよい。中間容器が妥当な温度に保持され、材料が反応して塊(スラグ)を形成する。必要な時に、このスラグを所要の構成物の形状を有する空洞(キャビティ)鋳型中に射出することができる。材料をカルーセル中に保持した場合、カルーセルは反応物を固化させることができ、製品に既知の熱履歴を付与することができる。
【0084】
これらの材料は1つのPPM機を使用して生産することができ、この機械は様々な材料の生産を切り替えて、分配シリンダ中に含有される材料のレベルを維持する。しかし、これらの方法は、単一のPPM機または反応型射出成形機(RIM)を用いることに限定されない。あるいは、より大きい流量が必要な場合、2つのPPM機を使用し、各材料を別々に生産して、分配シリンダ中への材料の連続的な流れを確実にすることができる。他の材料製造方法またはPPM装置の配列を用いて分配シリンダに供給し、モジュラスの変化を示すデバイスおよび部品の製造を可能にすることが理解されよう。
【0085】
上記中間容器は、あるいは、射出成型機バレルまたはシリンジであることもできる。上記材料をその結果、所要の鋳型中に直接射出することができる。
【0086】
本発明の多くの修正形態および変更形態が当分野の技術者には明らかであろう。上記の説明は、単に好ましい実施形態だけの説明であると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】4つの射出ランスを備えた反応型射出成型装置の正面図を示す図である。
【図2】図1の反応型射出成型装置の射出ランスの1つの側面図を示す図である。
【図3】ランスと押出機を含むPPM装置の正面図を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による人工椎間板の斜視図を、椎間板の上下の終板と合わせて示す図である。
【図5】図4に示した椎間板の平面図を示す図である。
【図6】図5のX-Xに沿った断面図を示す図である。
【図7】X-Xで示した椎間板の半径方向での、モジュラスと距離の関係を示すグラフである。
【図8】図5のX-Xで示した椎間板の半径方向での、モジュラスと距離の関係を示すグラフである。
【図9】図6のZ-Zで示した椎間板の軸方向での、モジュラスと距離の関係を示すグラフである。
【図10A】いくつかの具体的な実施例による、人工椎間板の製造の際の鋳型中での材料特性の分布を示す図である。
【図10B】いくつかの具体的な実施例による、人工椎間板の製造の際の鋳型中での材料特性の分布を示す図である。
【図10C】いくつかの具体的な実施例による、人工椎間板の製造の際の鋳型中での材料特性の分布を示す図である。
【図11】鋳型中に射出される2つの材料の量を変えることによって、漸進的モジュラスを有する材料がいかに形成されるかを示すグラフである。
【図12】鋳型中に射出される材料の相対量を段階的または増分的に変化させることによって、漸進的モジュラスを有する材料がいかに形成されるかを示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
5 ランス
6 混合ヘッド
7 鋳型
8 油圧シリンダ
9 ランスポンプ
10 入口管
11 逆止弁
13 出口管
14 シリンダ状の混合ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有する前記ポリマー製品の製造方法であって、以下のステップ:
(a)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択により鎖伸長剤とを反応させるステップであって、前記イソシアナート、前記ポリオール、前記鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比と熱履歴を有する第1のポリウレタンを形成させるステップ;
(b)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択により鎖伸長剤とを反応させるステップであって、前記イソシアナート、前記ポリオール、前記鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して前記第1のポリウレタンの化学量論比および熱履歴とは異なる所定の化学量論と熱履歴を有する第2のポリウレタンを形成させるステップ;および
(c)前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの製造に関わる重合反応が完了する前に、前記ポリマー製品の形を定める鋳型中に前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって前記鋳型中で前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンとの間で重合反応が起こるステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを前記鋳型中に同時に射出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記鋳型中への前記第2のポリウレタンの射出速度に対して、前記鋳型中への前記第1のポリウレタンの射出の相対速度を変えるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
共通射出ポートを通して前記鋳型中に射出する前に、前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを混合するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記鋳型中に射出する前に、前記共通射出ポートの長さを変えて、前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの混合の程度を制御するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記鋳型中に射出される前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの相対量を制御するステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記鋳型中に同一量の前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを別個の装置中で同時に形成させるステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
同一装置を用いて前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを形成させるステップを含む方法であって、前記方法が、前記第1のポリウレタンを形成させるステップと、続いて、前記反応原料の相対量を変化させて前記第2のポリウレタンを形成させるステップを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のポリウレタンを形成する前に、前記第1のポリウレタンを中間容器に送るステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のポリウレタンを中間容器に送るステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記中間容器から前記鋳型中へ、前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを同時に射出するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを、前記鋳型中に異なる射出速度で射出するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
1つの中間容器またはそれぞれの中間容器の温度を制御して、その容器に収容されている前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンに異なる化学量論比および/または熱履歴を付与するステップを含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品の製造方法であって、以下のステップ:
(a)多官能イソシアナートと、ポリオールと、任意選択により鎖伸長剤とを反応させるステップであって、前記イソシアナート、前記ポリオール、前記鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比と熱履歴を有するポリウレタンを形成させるステップ;
(b)前記反応の過程の間に、前記少なくとも2つの反応原料の相対量を連続的に変化させて、形成される前記ポリウレタンのモジュラスを連続的に変化させるステップ;および
(c)前記ポリウレタンの製造に関わる前記重合反応が完了する前に、前記ポリマー製品の形を定める鋳型中に前記ポリウレタンを射出し、それによって前記鋳型中での重合を続行させるステップ、
を含む方法。
【請求項16】
前記ポリウレタンを、押出機を通して送り、その中で反応を伴いながら押出す、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記反応を伴いながら押出すステップの間に、前記ポリウレタンに熱的プロファイリングを施す請求項16に記載の方法。
【請求項18】
モジュラスの漸進的な変化を有する少なくとも一部分を示すポリマー材料からなる固形物体を含む人工椎間板。
【請求項19】
前記部分を通じて、前記モジュラスがほぼ線形で変化する、請求項18に記載の人工椎間板。
【請求項20】
環状部領域で囲まれた核を含み、前記部分が、前記核と前記環状部領域との間の領域に位置している、請求項18または19に記載の人工椎間板。
【請求項21】
一組の一体のポリマー終板であって、前記終板と前記椎間板の残部との間に界面結合がないように構成された終板を含む、請求項18〜20のいずれか一項に記載の人工椎間板。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法によって製造された、請求項18〜21のいずれか一項に記載の人工椎間板。
【請求項23】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法によって製造された外科用インプラント。
【請求項24】
製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品を作製するための装置であって、以下の:
(a)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための第1の供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比を有する第1のポリウレタンを形成させるための混合手段、
(b)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための第2の供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合するための混合手段、および前記第1のポリウレタンとは異なる所定の化学量論比を有する第2のポリウレタンを形成させるための反応的押出手段、並びに
(c)前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの形成に関わる前記重合反応が完了する前に、鋳型中に前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって前記鋳型中で前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンとの間に重合反応を起こさせる手段、
を含む装置。
【請求項25】
製品の少なくとも一部を通してモジュラスの漸進的な変化を有するポリマー製品を作製するための装置であって、以下の:
(a)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するための供給系;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合して所定の化学量論比を有する第1のポリウレタンを形成させるための混合手段、
(b)イソシアナート、ポリオール、鎖伸長剤、それらの任意の混合物、およびこれらから形成される任意のプレポリマー、から選択される少なくとも2つの反応原料を定量的に分配するために前記供給系を使用している間に、前記第1のポリウレタンを中に導入する中間容器;前記少なくとも2つの反応原料を強く混合するための混合手段、および前記第1のポリウレタンとは異なる所定の化学量論比を有する第2のポリウレタンを形成させるための反応を伴う押出手段、および
(c)前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの形成に関わる前記重合反応が完了する前に、鋳型中に前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを射出し、それによって前記鋳型中で前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンとの間に重合反応を起こさせる手段、
を含む装置。
【請求項26】
前記第2のポリウレタンが中に導入される第2の中間容器を含み、それにより前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンがそれぞれの容器から前記鋳型中へ射出される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを前記鋳型中に同時に射出するための共通射出ポートを含む、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記鋳型中に射出する前に、前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンを混合するための手段を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記鋳型中に射出される前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの相対量、または前記第1のポリウレタンと第2のポリウレタンの前記鋳型中への射出の相対速度を変えるための手段を含む、請求項26〜28のいずか一項に記載の装置。
【請求項30】
請求項24〜29のいずか一項に記載の装置を用いて製造した人工椎間板。
【請求項31】
人工椎間板の製造のための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項32】
外科用デバイスの製造のための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−502274(P2006−502274A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542630(P2004−542630)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004352
【国際公開番号】WO2004/033516
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(503044938)レイニア・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】