説明

潜像を有する物品

【課題】偏光フィルタにより可視化することが可能となる潜像を有する物品であって該潜像が鮮明に確認または撮影できる物品の提供、および前記潜像の確認に用いるための装置の提供。
【解決手段】複屈折性の異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層と、例えば再帰反射層などの、入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層とを含む物品、ならびに、前記物品を偏光板21を介して観察することにより可視化される潜像を撮影するための潜像撮影装置20であって、入射光のための光路系、反射光のための光路系、および撮像素子23を含み、前記撮像素子が、入射光を特定の方向に選択的に反射した反射光の光路上に配置されている潜像撮影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潜像を有する物品に関する。より詳しくは、本発明は偏光性を有しない光源では不可視であるが、偏光フィルタを介することにより可視化することが可能となる潜像であって、特定の方向から観察した場合に鮮明である潜像が視認できる物品に関する。本発明はまた、このような物品の潜像を確認するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複屈折パターンを有する物品は、偏光性を有しない光源では不可視であるが、偏光フィルタにより可視化することが可能となる潜像を有する。複屈折パターンを有する物品の一例の製造方法については特許文献1、2に記載があり、それら物品を偽造防止のために応用することが提案されている。
【0003】
複屈折パターンを有する物品の潜像を鮮明に確認したり撮影したりすることが可能であれば、偽造防止手段として応用しやすい。しかし、偏光は非偏光よりも光量が少なく、偏光フィルタを介して観察される潜像の光は弱いものとなり、環境光の影響を受けやすく潜像が不鮮明になりやすい。鏡面反射する反射層を用いた物品の場合、観察する位置に応じた方向から照明する必要があり、配置に制限が生じる。特に、特許文献3に記載のような拡散性反射層を有する複屈折パターンを有する物品においては反射光の拡散によりさらに光が弱くなり、潜像が不鮮明になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−69793号公報
【特許文献2】特開2010−113249号公報
【特許文献3】特開2010−211063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、偏光フィルタにより可視化することが可能となる潜像を有する物品であって該潜像が鮮明に確認または撮影できる物品を提供することを課題とする。また、本発明は、このような物品の潜像の確認に用いるための装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意検討し、特定の方向でのみ潜像を確認する形態をとることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下[1]〜[16]を提供するものである。
[1]複屈折性の異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層と入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層とを含む物品。
[2]前記反射層が再帰反射層である[1]に記載の物品。
[3]前記再帰反射層がコーナーキューブまたは微小球を含む[2]に記載の物品。
[4]前記パターン化光学異方性層が下記(1)〜(3)の工程をこの順で含む方法で形成されたものである[1]または[2]に記載の物品:
(1)液晶性化合物を含む組成物からなる層を加熱または光照射する工程;
(2)該層にパターン露光を行う工程;
(3)得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
【0008】
[5]印刷層を有する[1]〜[4]のいずれか一項に記載の物品。
[6]支持体を有する[1]〜[5]のいずれか一項に記載の物品。
[7]前記パターン化光学異方性層、支持体、反射層をこの順に含む[1]〜[6]のいずれか一項に記載の物品。
[8]前記パターン化光学異方性層、反射層、支持体をこの順に含む[1]〜[7]のいずれか一項に記載の物品。
[9]前記パターン化光学異方性層が曲面を描いている[1]〜[8]のいずれか一項に記載の物品。
【0009】
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載の物品を偏光板を介して観察することにより可視化される潜像を撮影するための潜像撮影装置であって、物品への照射光のための光路系、反射光のための光路系、および撮像素子を含み、前記撮像素子が、入射光を特定の方向に選択的に反射した反射光の光路上に配置されている潜像撮影装置。
[11]前記反射光を撮像素子方向に反射させるハーフミラーが設けられている[10]に記載の潜像撮影装置。
[12]照射光の光路に略垂直であって、照射光が通過する位置に設けられた第一の偏光板と、前記反射光の光路に略垂直であって反射光が通過する位置に設けられた第二の偏光板とを含む[10]または[11]に記載の潜像撮影装置。
[13]前記偏光板をそれぞれ独立して回転させるためのユニットを有する[12]に記載の潜像撮影装置。
【0010】
[14]前記反射層が再帰反射層であり、かつ、照射光の光路および反射光の光路に略垂直であって入射光および反射光が通過する位置に偏光板が設けられている[10]または[11]に記載の潜像撮影装置。
[15]前記偏光板を回転させるためのユニットを有する[14]に記載の潜像撮影装置。
[16]光源を有する[10]〜[15]のいずれか一項に記載の潜像撮影装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、特定の方向から鮮明な潜像が視認できる複屈折パターンを有する物品が提供される。この性質により、曲面に複屈折パターンを有する物品を観察する際にも、鏡面反射の影響を受けずに特定の方向から潜像の確認や撮影が可能である。また、複屈折パターンと偏光フィルムを近傍に配置する必要が無くなり、遠隔に置いた偏光フィルムを利用して、または偏光層を内蔵する潜像撮影装置によって、遠隔から鮮明な潜像の確認または撮影が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基本的な本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図2】支持体を有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図3】配向層を有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図4】粘着層を有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図5】印刷層を有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図6】力学特性制御層および転写層を有する転写型の本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図7】表面層を有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図8】パターン化光学異方性層を複数有する本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の物品の潜像を撮影するための装置を模式的に示す図である。
【図10】再帰反射層を有する本発明の物品の潜像を撮影するための装置を模式的に示す図である。
【図11】1つの偏光板を有する本発明の物品の潜像を撮影するための装置を模式的に示す図である。
【図12】2つの偏光板を有する本発明の物品の潜像を撮影するための装置を模式的に示す図である。
【図13】実施例で行ったパターン露光のパターンを示す図である。
【図14】実施例で作製したフィルムを再帰反射テープ(a)または拡散反射シート(b)に転写して室内照明を点けた状態で測定を行った結果を示す図である。
【図15】実施例で作製したフィルムを再帰反射テープ(a)または拡散反射シート(b)に転写して曲面に貼付した例を、暗室状態で測定を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0014】
本明細書において、Reはレターデーションを表す。Reは透過または反射の分光スペクトルから、Journal of Optical Society of America,vol.39,p.791−794(1949)や特開2008−256590号公報に記載の方法を用いて位相差に換算する、スペクトル位相差法を用いて測定することができる。前記文献は透過スペクトルを用いた測定法であるが、特に反射の場合は、光が光学異方性層を2回通過するため、反射スペクトルより換算された位相差の半分を光学異方性層の位相差とすることができる。Reは特に指定がなければ正面レタ−デーションを指す。Re(λ)は測定光として波長λnmの光を用いたものである。本明細書におけるReは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmの波長で測定されたものを意味し、特に色に関する記載がなければ545±5nmの波長で測定されたものを意味する。
【0015】
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。レターデーションについて「実質的に」とは、レターデーションが±5%以内の差であることを意味する。さらに、レターデーションが実質的に0とは、レターデーションが5nm以下であることを意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の任意の波長を指す。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
【0016】
[入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層]
本発明の物品は入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層を有する。このような層を有することにより、本発明の物品の潜像はその特定の方向において鮮明に観測することが可能である。入射光の方向に対し、反射光の特定の方向はいずれの方向でもよい。1つの好ましい例として、入射光と同じ方向があげられる。入射光を、入射光と同じ方向に選択的に反射する機能を有する反射は再帰反射とよばれ、このような反射機能を有する反射層は再帰反射層とよばれる。再帰反射層については後述する。
【0017】
[潜像]
本明細書において、潜像とは、偏光性を有しない光源では不可視であるが、偏光フィルタにより可視化することが可能となる像を意味する。本発明において、偏光フィルタにより可視化することが可能となる像は、複屈折パターンにより得られる。
【0018】
[複屈折パターンの定義]
複屈折パターンとは、広義には複屈折性の異なる2つ以上の領域が2次元の面内または3次元的に配置されて描かれたパターンを意味する。なお特に2次元の面内においては、複屈折性は屈折率が最大となる遅相軸の方向と領域内のレターデーションの大きさの2つのパラメータにより定義される。例えば液晶性化合物による位相差フィルムなどにおける面内の配向欠陥や厚み方向の液晶の傾斜分布も広義には複屈折パターンと言えるが、狭義にはあらかじめ決めたデザインなどを基に、意図して複屈折性を制御してパターン化したものを複屈折パターンと定義することが望ましい。複屈折パターンは特に記載しない限り、複数層に渡っていてもよく、複数層のパターンの境界は一致していても異なっていてもよい。
【0019】
[物品]
本発明の物品は、パターン化光学異方性層を含む。本発明の物品は、パターン化光学異方性層のほか、後述する各種機能層を含んでいてもよい。本発明の物品は、基材上に直接、または他の層を介して後述の光学異方性層を塗布し、乾燥、パターン露光などの工程を経て形成されたものであってもよく、仮支持体および接着層等を有する複屈折パターン転写箔から、所定のプロセスを経ることによりパターン化光学異方性層を基材となる物品に転写させて形成されたものであってもよい。複屈折パターン転写箔を用いる態様については特開2010−113249号公報の記載を参照できる。なお、本明細書において「パターン化光学異方性層」とは複屈折パターンを有する光学異方性層のことであり、複屈折性の異なる領域を2つ以上有する光学異方性層を意味する。パターン化光学異方性層は複屈折性の異なる領域を3つ以上有することがさらに好ましい。複屈折性が同一である個々の領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。パターン化光学異方性層は例えば、後述のように、液晶性化合物を含む組成物から形成された層を用い、パターン露光を含む方法で複屈折のパターンを形成することによって作製することができるが、複屈折性が異なる領域を有する層であれば作製方法は特に限定されない。
【0020】
本発明の物品においてパターン化光学異方性層を設けるための基材は、通常、複屈折パターンによる潜像が付与されていない物品に対応し、後述の支持体が基材に対応している場合もある。基材としては、例えば、紙製の物品、プラスチック製の物品、金属製の物品等が挙げられる。具体的な基材の例としては特に限定されないがプリペイドカードやIDカードなどに用いられるプラスチックカード、各種証明書、有価証券、商品券、高級ブランド品、化粧品、薬品、タバコ等の商品パッケージ等が挙げられる。また金属反射面を有する物品をより好ましく用いることができる。このような基材の例としてはデジタルカメラ表面、腕時計裏面、懐中時計裏面、パソコン筐体表面、携帯電話表面および裏面、携帯音楽プレーヤー表面および裏面、化粧品や飲料の蓋、菓子や医薬品に用いられるPTP包装の表面および裏面、薬品包装用の金属缶表面、貴金属表面、宝飾品表面、または上に挙げた金属反射面を有する物品を包む透明包装があげられる。
【0021】
[本発明の物品の応用]
本発明の物品表面の複屈折パターンは通常はほぼ無色透明で、ほとんど視認できないか、印刷層などに基づく像が視認できるのみである一方で、偏光板を介した場合においては、追加の特徴的な明暗、あるいは色を示し容易に目視で認識できる。この性質を生かして、本発明の物品は、例えば偽造防止手段として利用することができる。すなわち、複屈折パターンを有する本発明の物品は、偏光板を用いることで通常の目視ではほぼ不可視である多色の画像が識別することができる。複屈折パターンは偏光板を介さずにコピーしても何も映らず、逆に偏光板を介してコピーすると永続的な、つまりは偏光板無しでも目視可能なパターンとして残る。従って複屈折パターンの複製は困難である。このような複屈折パターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊であることから、偽造防止手段として用いるに適していると考えられる。
【0022】
本発明の物品表面の複屈折パターンは、潜像によるセキュリティ効果だけでなく、例えばパターンをバーコード、QRコードのようにコード化することによって、デジタル情報との連携を図ることができ、さらにはデジタル暗号化も可能となる。また、高解像度潜像を形成することで偏光板を介しても肉眼では見分けがつかないマイクロ潜像印刷にでき、さらにセキュリティを高めることができる。他にもUV蛍光インク、IRインクなどの不可視インクによる印刷との組み合わせでもセキュリティを高めることができる。
【0023】
複屈折パターンを転写された物品には、セキュリティだけでなく他の機能の付与、例えば値札や賞味期限などの製品情報表示機能、水につけると色が変色するインクを印刷することによる水没検知機能と組み合わせることも可能である。
【0024】
[本発明の物品の構成]
本発明の物品は少なくとも一層のパターン化光学異方性層、および入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層を有する。
本明細書において「パターン化光学異方性層」とは複屈折性が異なる領域をパターン状に有する光学異方性層を意味する。パターン化光学異方性層は例えば特開2009−69793号公報の段落「0053」〜「0146」に記載の複屈折パターン作製材料を用いて容易に作製することができるが、複屈折性が異なる領域をパターン状に有する層であれば作製方法は特に限定されない。図では複屈折性が異なる領域を101A、101B、101Cとして例示する。
【0025】
図1は、最も基本的な、パターン化光学異方性層101と反射層13とを有する、本発明の物品の構成を模式的に示す図である。
本発明の物品の潜像の観察の際、光源および観測点はいずれも、パターン化光学異方性層から見て片側にあり、本発明の物品の前記パターン化光学異方性層から見た観測側と反対側の面には反射層がある。偏光フィルタなどを用いて作製された偏光光源から出た光が本発明の物品を通過、反射層で反射して再び本発明の物品を通過して面内で異なる楕円偏光が出射され、観測点側でさらに偏光フィルタを通過させて情報を可視化する。ここで偏光フィルタは直線偏光フィルタでも円偏光フィルタでも楕円偏光フィルタでもよく、偏光フィルタ自身が複屈折パターンまたは二色性パターンを有していてもよい。また、光源(入射光)側と観測(反射光)側で同一の偏光フィルタを用いてもよく、別の偏光フィルタを用いてもよいが、同一の偏光フィルタを用いることが好ましい。反射層13は反射性の高いホログラム層や電極層などと兼ねてもよい。
【0026】
図2(a)および(b)は支持体11を有する例である。反射層は支持体の光学異方性層側でも反対側でもよいが、支持体の制約が少ないことから光学異方性層側であることが好ましい。
図2(a)は、支持体(11)の上に反射層を形成し、その上にパターン化光学異方性層を設けた例である。図2(a)の構成を形成するために、市販の反射シート、特に再帰反射シートを用いてもよい。再帰反射シートは通常、支持体上に再帰反射層が形成されたものに該当する。なお、図において反射層13がない構成の物品を作製し、その物品に市販の再帰反射シートを貼付してもよい。このような形成方法は、耐熱性の低い再帰反射シートを用いる場合であっても複屈折パターン形成段階の温度の影響を受けないため好ましい。再帰反射シートの貼付は特に限定されないが、圧着などにより行えばよい。再帰反射シートとしては表面が平坦であるものを用いることが好ましい。
【0027】
図2(b)は、支持体(11)からみて、パターン化光学異方性層と反対側に反射層を有する例である。このような構成においては、支持体としては透明支持体を用いることが好ましい。図2(b)の構成の物品は、反射層を有する支持体の反射層と反対側の面にパターン化光学異方性層を形成することにより作製することができる。また、図において反射層13がない構成の物品をまず作製し、パターン化光学異方性層を設けた面と反対の支持体の面に再帰反射層を後から接着することもできる。図には示さないが支持体と反射層の間には接着層が設けられていてもよい。このような形成方法は、耐熱性の低い再帰反射シートを用いる場合であっても複屈折パターン形成段階の温度の影響を受けないため好ましい。パターン化光学異方性層と反射層との間に支持体を有する図2(b)の構成は、支持体が厚い場合には潜像の柄に制限が出る場合がある。そのため、図2(b)の構成の場合、支持体は、膜厚が20μm〜100μm、好ましくは25μm〜50μm程度のフィルム状の支持体であることが好ましい。シール形態で用いられる物品においてこのような構成をとる場合、再帰反射層(再帰反射シートを用いてもよい)の構造は、両面を接着する必要があるため平坦性が必要になる。平坦性を付与するため、空気層を入れるか、ミラーによる反射構造を設けてもよい。なお再帰反射層については後述する。
【0028】
さらに、支持体自体が反射光を特定の方向に反射する機能を有し、図1のような構成になっていてもよい。このような場合、反射層となる支持体は、耐熱性やロールでの製造適性があることが好ましい。この場合の支持体には、片面には塗布を行うための平滑性があり、かつ、他方の面には接着するための平滑性があることが好ましい。
【0029】
図3に示す本発明の物品は配向層14を有する例である。パターン化光学異方性層101として、液晶性化合物を含む溶液を塗布乾燥して液晶相を形成した後、加熱または光照射して重合固定化した光学異方性層から形成された層を用いる場合、配向層14は液晶性化合物の配向を助けるための層として機能する。
【0030】
図4(a)および(b)は粘着層15を有する本発明の物品の例である。シールラベルのような物品を作製するときに粘着層が必要となる。一般に粘着層には離型紙または離型フィルムが貼合されており、実用性の観点から好ましい。さらには、一旦対象物に貼合した後、剥離しようとすると特定のパターンで対象物に粘着剤が残るような特殊粘着層でもよい。
【0031】
図5(a)〜(c)は印刷層16を有する本発明の物品の例である。印刷層は不可視な複屈折パターンに重ねて可視の画像を与えるものが一般的だが、たとえばUV蛍光染料やIR染料などによる不可視なセキュリティ印刷と組み合わせることもできる。印刷層は光学異方性層の上でも下でも、さらには支持体からみて光学異方性層と反対側でもよく、印刷層に透過性があれば複屈折パターンによる潜像をフィルタで可視化した際、印刷と潜像が重なって見えるようになる。
【0032】
図6(a)および(b)は力学特性制御層17および転写層18を有する転写型の本発明の物品の例である。力学特性制御層は転写層が対象物に接触した際、所定の条件を満たしたときに対象物に光学異方性層が転写するように剥離性をコントロールする層である。力学特性制御層としては、隣接する層との剥離性を付与する剥離層や、転写時に均一に応力をかけることにより転写性を向上させるクッション層のようなものが挙げられる。転写層としては一般的な粘着剤、接着剤の他、熱により接着性を発現するホットメルト接着剤、紫外線照射によって接着性を発現するUV接着剤、さらには接着剤を転写したいパターンに印刷した層が挙げられる。図には示さないが、配向層が力学特性制御層を兼ねてもよい。なお、反射層13のない転写型材料を用い、入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射性を有する面を有する基材に貼付して、本発明の物品とすることもできる。
【0033】
図7(a)〜(c)は、表面層19を有する例である。表面層は、表面保護のためのハードコート層、指紋付着やマジックペンによる落書き防止の撥水層、タッチパネル性を付与する導電層、赤外線を透過させないことにより赤外線カメラで見えなくする遮蔽層、左右円偏光のいずれかを通過させないことにより円偏光フィルタで画像を見えなくする円偏光選択反射層、光学異方性層に感光性を付与する感光層、RFIDのアンテナとして作用するアンテナ層、水没した際に変色するなどして水没を検知する水没検知層、温度により色の変わるサーモトロピック層、潜像の色を制御する着色フィルタ層、透過型で光源側の偏光/非偏光を切り替えると潜像が可視化する偏光層、磁気記録性を付与する磁性層等の他、マット層、散乱層、潤滑層、感光層、帯電防止層、レジスト層などが挙げられる。表面層はパターン化光学異方性層(またはパターン化光学異方性層を形成するための層)に可塑剤や光重合開始剤を後から添加するための添加剤層を兼ねていてもよい。
【0034】
図8(a)および(b)に示す本発明の物品は、パターン化光学異方性層を複数有するものである。複数の光学異方性層の面内遅相軸は同一でも異なっていてもよい。複数の光学異方性層の複屈折性が異なる領域は互いに同一でも異なっていてもよい。図には示さないが、パターン化光学異方性層は3つ以上あってもよい。レターデーションあるいは遅相軸の向きが互いに異なる光学異方性層を2層以上設け、それぞれに独立したパターンを与えることにより、さらに多彩な機能を有する潜像を形成することができる。
【0035】
[反射層]
本発明の複屈折パターン転写を有する物品は入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層を有する。反射層において、入射光の光量に対する入射光と同じ方向に反射される光の光量の割合(選択性)は、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上等であればよく、好ましくは99%以上であればよく、より好ましくは100%であればよい。
【0036】
[再帰反射層]
入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層として好ましい例としては、再帰反射層があげられる。再帰反射層は、層に入射した光を入射方向に反射させる機能を有する。再帰反射層は、照射された光をそのまま光源方向にはね返すため、再帰反射層から離れて光源の近傍から観察しても強い反射光を観察できる。光源近傍からの観察、又はハーフミラーを用いて照明と観察カメラとを同軸配置しての観察では、環境光の影響が少ない状態で光源からの照射光の反射光を再び受け取ることができる。そのため、変調や偏光(直線偏光、楕円偏光、円偏光)した特殊な光を照射した場合、その光が作用した特殊光であっても、環境光に埋もれることなく、離れた位置で受け取ることができる。
【0037】
再帰反射性を有していない反射層を用いた複屈折パターンを有する物品では、偏光した光を照射しても、反射光による潜像は環境光に埋もれてしまうため、潜像の遠隔での視認性は低くなってしまう。再帰反射層を有する物品では、再帰反射により照明光源方向に反射光が反射されるため、照明光が環境光に比べて弱くても、潜像を遠隔において確認することができる。また、例えばシール形態の複屈折パターンを有する物品を曲面に貼り付けた場合等、複屈折パターンが曲面上にある場合においては、照明からの見込み角が変化し、照射光が鏡面反射して、一定方向からの潜像の確認が困難になるが、再帰反射層を用いた場合は、曲面から反射された光も入射光方向に戻るため曲面の影響を受けない。
【0038】
潜像を確認する距離は特に限定されないが、例えば、10mm幅程度の潜像につき、その潜像を表示する物品表面から、0.1m〜5m、好ましくは0.2m〜2m程度の場所で視認すればよい、撮影装置等を用いて確認するときは、接触して読み込むことや望遠観察も含むため、0m〜10m、好ましくは0m〜5m離れた場所でも確認すればよい。
本明細書において、「遠隔」とは離れた場所を意味し、特にその距離を限定するものではない。「遠隔において確認することができる」等というときは、例えば、10mm幅程度の潜像に対し、その潜像を表示する物品表面から2m〜5m離れた場所で視認することをいい、撮影装置等を用いて確認するときは、望遠観察も含むため、2m〜10mまたは5m〜10m離れた場所で確認することをいう。
【0039】
再帰反射層の代表的な例としては、特開2006−18040号公報または特表2006−524346号公報に記載のコーナーキューブ型反射層、特願2008−15363号公報に記載の透明球を用いた反射層などがあげられる。コーナーキューブはその表面が三角錐の凹凸からなり、基板側から入射した光を空気界面で全反射することで、再帰反射することができる。また、コーナーキューブの三角錐の凹凸面が蒸着などでミラー加工されていた場合、空気側から入射した光を再帰反射することができる。透明球を用いた反射構造においては、球内で反射して、入射と同一方向に反射することにより、再帰反射機能を実現できる。再帰反射層として、市販の再帰反射層を用いてもよい。市販の再帰反射層または。市販の再帰反射シートとしては、封入レンズ型再帰反射シートFMG-H8512(日本カーバイド工業株式会社)、封入型反射シート4600シリーズ(ユニチカスパークライト株式会社)、封入レンズ型3200シリーズ(住友スリーエム株式会社)などがあげられる。
【0040】
[パターン化光学異方性層]
パターン化光学異方性層としては、複屈折性の異なる領域を2つ以上有する光学異方性層である限り特に限定されない。例としては、上述の特開2009−69793号公報に記載の光学異方性層から所定の工程を経て作製されたものがあげられる。光学異方性層は液晶性化合物を含む組成物から形成された層であることが好ましい。温度変化や湿度変化を小さくできることから、液晶性化合物は反応性基を有する棒状液晶性化合物または円盤状液晶性化合物が好ましい。また、前記組成物は、1液晶分子中の反応性基が2以上ある液晶性化合物を少なくとも1つ含むことがさらに好ましい。2種以上の液晶性化合物の混合物の場合、少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
【0041】
好ましくは、架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有する液晶性化合物を用い、条件を選択して2種類以上の反応性基の一部の種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有するポリマーを含む光学異方性層を作製するとよい。架橋機構としては縮合反応、水素結合、重合など特に限定はないが、2種以上のうち少なくとも一方は重合が好ましく、2種類以上の異なる重合を用いることがさらに好ましい。一般に架橋反応は、重合に用いられるビニル基、(メタ)アクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基だけでなく、水酸基、カルボン酸基、アミノ基なども用いることができる。好ましい、棒状液晶性化合物の具体例としては、特開2009−69793号公報に記載のものがあげられる。
【0042】
光学異方性層を含む複屈折パターン作製材料に所定の工程を行ってパターン化光学異方性層を作製し、さらに必要に応じて追加の層を形成することにより本発明の物品を作製することができる。パターン化光学異方性層の作製に際して行う工程は特に限定されないが、例えば、パターン露光、加熱、熱書き込みなどが挙げられる。好ましくは複屈折パターン作製材料にパターン露光と加熱をこの順で行うことにより、効率的にパターン化光学異方性層を作製することができる。
【0043】
[パターン露光]
本明細書において、パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の一部の領域のみが露光されるように行う露光又は2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を意味する。互いに露光条件の異なる露光には、未露光(露光しないこと)が含まれていてもよい。パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画する走査露光を用いてもよい。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式露光、ロール形態であればRtoR式露光でもよい。前記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザ等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm2程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm2程度、最も好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。パターン露光の解像度を1200dpi以上にすることにより、マイクロ印刷潜像が形成でき、好ましい。解像度を高めるためには、パターン露光時にパターン化光学異方性層が固体であり、尚且つ厚みが10μm以下であることが必要であり、好ましい。厚み10μm以下で実現するためにはパターン化光学異方性層が重合性液晶化合物を含む層を配向固定化したものであることが好ましく、重合性液晶化合物が架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有することが特に好ましい。また、RtoR式露光を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
【0044】
[パターン露光時の露光条件]
複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行う際、「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は複数回の露光によって行われてもよく、もしくは、例えば領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。すなわち、パターン露光時に、異なる露光条件で露光された2つ以上の領域を生ずるような形で露光が行われていればよい。走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、露光領域の照射スポットを変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能であり、好ましい。
【0045】
露光条件としては、特に限定はされないが、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、露光量、露光時の温度、露光時の雰囲気等が挙げられる。この中で、条件調整の容易性の観点から、露光ピーク波長、露光照度、露光時間、および露光量が好ましく、露光照度、露光時間および露光量がさらに好ましい。パターン露光時に相異なる露光条件で露光された領域はその後、焼成を経て相異なる、かつ露光条件によって制御された複屈折性を示す。特に異なるレターデーション値を与える。すなわち、パターン露光の際に領域ごとに露光条件を調整することにより、焼成を経た後に領域ごとに異なる、かつ所望のレターデーションを有する複屈折パターンを作製することが可能である。なお、異なる露光条件で露光された2つ以上の露光領域間の露光条件は不連続に変化させてもよいし、連続的に変化させてもよい。
【0046】
[マスク露光]
露光条件の異なる露光領域を生じる手段の一つとして、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の下で同一時間の露光を行うことで異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
【0047】
[走査露光]
走査露光は、例えば、光により所望の2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を応用して行うことができる。
このような描画装置の代表的な例として、光ビーム発生手段から導出された光ビームを、光ビーム偏向走査手段を介して被走査体上に走査させることにより、所定の画像等を記録するように構成された画像記録装置がある。この種の画像記録装置では、画像等の記録に際して、光ビーム発生手段から導出される光ビームを画像信号に対応して変調させる(特開平7−52453号公報)。
【0048】
また主走査方向に回転するドラムの外周面に貼着された被走査体上に対してレーザビームを副走査方向に走査することで記録を行うタイプ、および、ドラムの円筒内周面に貼着された被走査体上に対してレーザビームを回転走査させることで記録を行うタイプ(特許2783481号)の装置も使用できる。
【0049】
さらに、描画ヘッドにより2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を用いることもできる。例えば、半導体基板や印刷版の作製で用いられている、露光ヘッドにより所望の2次元パターンを感光材料等の露光面上に形成する露光装置が使用できる。このような露光ヘッドとして代表的なものは、多数の画素を有し所望の2次元パターンを構成する光点群を発生させる画素アレイを備えている。この露光ヘッドを、露光面に対して相対移動させながら動作させることにより、所望の2次元パターンを露光面上に形成することができる。
【0050】
上記のような露光装置としては、たとえば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を露光面に対して所定の走査方向に相対的に移動させるとともに、その走査方向への移動に応じてDMDのメモリセルに多数のマイクロミラーに対応した多数の描画点データからなるフレームデータを入力し、DMDのマイクロミラーに対応した描画点群を時系列に順次形成することにより所望の画像を露光面に形成する露光装置が提案されている(特開2006−327084号公報)。
【0051】
露光ヘッドが備える空間光変調素子としては、上記のDMDの以外の、空間光変調素子を使用することもできる。なお、空間光変調素子は、反射型および透過型のいずれでもよい。そのほかの空間光変調素子の例としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Special Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)等の液晶シャッターアレイなどが挙げられる。なお、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術によるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ、そして制御回路を集積化した微細システムの総称であり、MEMSタイプの空間光変調素子とは、静電気力を利用した電気機械動作により駆動される空間光変調素子を意味している。
【0052】
さらに、回折格子ライトバルブ(GLV;Grating Light Valve)を複数ならべて二次元状に構成したものを用いることもできる。
露光ヘッドの光源としては、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も使用可能である。
【0053】
[2つ以上の光学異方性層のパターン露光]
複屈折パターン作製材料にパターン露光を行って得られた積層体の上に新たな複屈折パターン作製用転写材料を転写し、その後に新たにパターン露光を行ってもよい。この場合、一度目及び二度目ともに未露光部である領域(通常レターデーション値が一番低い)、一度目に露光部であり二度目に未露光部である領域、及び、一度目及び二度目ともに露光部である領域(通常レターデーション値が一番高い)でベーク後に残るレターデーションの値を効果的に変えることができる。なお、一度目に未露光部であり二度目に露光部である領域は、二度目の露光により一度目及び二度目ともに露光部である領域と同様となると考えられる。同様にして転写とパターン露光を交互に三度、四度と行うことにより、四つ以上の領域を作ることも容易にできる。この手法は、異なる領域の間で、露光条件だけでは与え得ないような差異(光学軸の方向の違いや非常に大きなレターデーションの差異など)を持たせたい時に有用である。
【0054】
[加熱(ベーク)]
パターン露光された複屈折パターン作製材料に対して50℃以上400℃以下、好ましくは80℃以上400℃以下に加熱を行うことにより複屈折パターンを作製することができる。加熱に使用する機器としては、温風炉、マッフル炉、IRヒーター、セラミックヒーター、電気炉等が使用できる。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式加熱、ロール形態であればRtoR式加熱でもよい。RtoR式加熱を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
なお、複屈折パターンはレターデーションが実質的に0である領域を含んでいてもよい。例えば、2種類以上の反応性基を有する液晶性化合物を用いて光学異方性層を形成した場合において、パターン露光で未露光であると上記ベークによってレターデーションが消失し、実質的に0となる場合がある。
【0055】
ベークを行った複屈折パターン材料の上には、新たな複屈折パターン作製用転写材料を転写し、その後に新たにパターン露光とベークを行ってもよい。この場合、一度目及び二度目の露光条件で組み合わせて、二度目のベーク後に残るレターデーションの値を効果的に変えることができる。この手法は、例えば互いに遅相軸の方向が異なる複屈折性を持つ二つの領域を互いに重ならない形で作りたい時に有用である。
【0056】
[熱書き込み]
上記のように、未露光領域にベークを行うことによってレターデーションを実質的に0にすることが可能であるため、複屈折パターンを有する物品には、パターン露光に基づく潜像に加えて、熱書き込みによる潜像が含まれていてもよい。熱書き込みはサーマルヘッド又は、赤外線やYAGなどのレーザ描画を用いて行うことができる。例えば、サーマルヘッドを有する小型のプリンタとの組み合わせで、秘匿を必要とする情報(個人情報、暗証番号、意匠性を損なう商品管理コードなど)を簡便に潜像化することができ、ダンボール箱などに熱書き込みする赤外線やYAGレーザをそのまま用いることもできる。
【0057】
[機能性層]
パターン化光学異方性層の他に設けられる機能性層としてはパターン化光学異方性層の他に、支持体、配向層、印刷層等があげられる。このほか、複屈折パターン転写箔を用いて作製された物品においては、接着層などが挙げられる。これらの機能性層はあらかじめ複屈折パターン作製材料に含まれていてもよいし、パターン化光学異方性層が作製された後に形成されてもよい。
【0058】
機能性層はディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)による塗布により形成することができる。またこの場合、二層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。また機能性層の性質に応じて、上記の他の形成法が用いられてもよい。
【0059】
[支持体]
本発明の物品を構成する支持体としては特に限定はなく剛直なものでもフレキシブルなものでもよいが、フレキシブルなものが好ましい。剛直な支持体としては特に限定はないが表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、アルミ板、鉄板、SUS板などの金属板、樹脂板、セラミック板、石板などが挙げられる。フレキシブルな支持体としては特に限定はないがセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーなどのプラスチックフィルムや紙、アルミホイル、布などが挙げられる。取扱いの容易さから、剛直な支持体の膜厚としては、100〜3000μmが好ましく、300〜1500μmがより好ましい。フレキシブルな支持体の膜厚としては、3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
前述のように支持体が吹く屈折パターン形成のための基材となっていてもよい。
【0060】
[配向層]
パターン化光学異方性層として、液晶性化合物を含む溶液を塗布乾燥して液晶相を形成した後、加熱または光照射して重合固定化した光学異方性層から形成された層を用いた場合等において、本発明の物品は、配向層を有していてもよい。配向層は、一般に支持体もしくは仮支持体上又は支持体もしくは仮支持体上に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、光学異方性層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、アゾベンゼンポリマーやポリビニルシンナメートに代表される偏光照射により液晶の配向性を発現する光配向層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。配向層としてはラビングの態様ではポリビニルアルコールを含むことが好ましく、配向層の上または下の少なくともいずれか1層と架橋できることが特に好ましい。配向方向を制御する方法としては、光配向層およびマイクログルーブが好ましい。光配向層としては、ポリビニルシンナメートのように二量化によって配向性を発現するものが特に好ましく、マイクログルーブとしてはあらかじめ機械加工またはレーザ加工により作製したマスターロールのエンボス処理が特に好ましい。
【0061】
[接着層]
複屈折パターン転写箔を用いて作製された本発明の物品などにおいては、接着層が含まれていてもよい。接着層としては感圧性樹脂層、感光性樹脂層および感熱性樹脂層などを用いることができる。
【0062】
[印刷層]
本発明の物品は必要とする視覚効果を得るために印刷層を有していてもよい。印刷層とは、可視または紫外線や赤外線などで視認できるパターンを形成した層などが挙げられる。UV蛍光インクやIRインクはそれ自体もセキュリティ印刷であるため、セキュリティ性が向上するので好ましい。印刷層を形成する方法は特に限定はないが、一般的に知られている凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷の他、インクジェットやゼログラフィなどを用いることができる。インクとしては、各種インクを用いることができるが、耐久性の観点から、UVインクを用いることが好ましい。また、解像度を1200dpi以上のマイクロ印刷にすることによっても、セキュリティ性を高めることができるので好ましい。
【0063】
[潜像の確認]
上記のように作製された本発明の物品の潜像の確認は、偏光板を介して行うことができる。偏光板は入射光が透過する偏光板(光源側)と反射光が透過する偏光板(観測側)とがあればよく、両者が共通していてもよい。本発明の物品は、入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層を含むため、観測側の偏光板は特定方向に反射された反射光の光路上で、反射光の方向に略垂直に配すればよい。鮮明な潜像の確認のために偏光板または物品を回転させて調整してもよい。
【0064】
反射層が再帰反射層である場合は、入射光と同じ方向に反射光が戻るため、偏光板は1つあればよい。また、偏光板は本発明の物品(パターン化光学異方性層)から遠隔に配置してしても、鮮明に潜像を確認することができる。
【0065】
本発明の物品の潜像の確認は、例えば、図9に示すように、物品における反射層が入射光を反射する特定の方向に合わせて撮像素子を設置した装置により行うことができる。このような装置は、本発明の物品の潜像を有する表面に接触させて用いればよい。
【0066】
再帰反射層を有する本発明の物品の潜像の確認は、例えば、図10に示すような、照明用の光路(入射光の光路)と撮像される光路(反射光の光路)とが並列である潜像撮影装置で行うことができる。入射光の光路と反射光の光路とは実質的に同一であってもよい。図に示すように、反射光がハーフミラーにより、撮像素子に取り込まれて撮像されていてもよい。
【0067】
また、潜像撮影装置自体が、図11に示すように、偏光板を備えていてもよい。偏光板は図11に示すように、入射光および反射光が通過する位置であって、好ましくは入射光の光路および反射光の光路に略垂直の位置に設けることができる。偏光板は、図12に示すように、光源および撮像素子の近傍にそれぞれ1つずつ設けられていてもよい。図12に示す構成は、再帰反射層以外の入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層を有する構成の物品の潜像撮像にも適用できる。
【0068】
上記の潜像撮影装置における偏光板は、回転可能であるように潜像撮影装置に備えられていることが好ましい。本発明の物品の潜像をより鮮明に撮影するために偏光板の向きを調整できるからである。例えば、図11に記載の1つの偏光板が回転可能であるように備えられていてもよく、また図12に記載の2つの偏光板のいずれか、または双方が回転可能であるように備えられていてもよい。この目的のため、市販の、回転可能とするためのホルダーを用いたり、回転リング付の偏光板を用いたりして、潜像撮影装置とすればよい。
図9〜図12では光源が潜像撮影装置と別に設けられている構成を示したが、光源は潜像撮影装置に設けられていてもよい。
【実施例】
【0069】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0070】
(剥離層用塗布液FL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径0.45μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、剥離層用塗布液FL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
剥離層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―
ポリメチルメタクリレート(質量平均分子量50,000) 16.00
メチルエチルケトン 74.00
シクロヘキサノン 10.00
──────────────────────────────────―
【0071】
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────―
配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.23
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.50
蒸留水 57.11
メタノール 38.16
──────────────────────────────────―
【0072】
(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.45μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は2つの反応性基を有する液晶化合物であり、2つの反応性基の片方はラジカル性の反応性基であるアクリル基、他方はカチオン性の反応性基であるオキセタン基である。
【0073】
──────────────────────────────────―
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―
重合性液晶化合物(LC−1−1) 32.88
水平配向剤(LC−1−2) 0.05
カチオン系光重合開始剤
(CPI100−P、サンアプロ株式会社製) 0.66
重合制御剤
(IRGANOX1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
0.07
メチルエチルケトン 46.34
シクロヘキサノン 20.00
──────────────────────────────────―
【0074】
【化1】

【0075】
(添加剤層用塗布液OC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.45μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、転写接着層用塗布液OC−1として用いた。ラジカル光重合開始剤RPI−1としては2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)1,3,4−オキサジアゾールを用いた。B−1はメタクリル酸メチルとメタクリル酸の共重合体で共重合組成比(モル比)=60/40である。
【0076】
──────────────────────────────────―
添加剤層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
バインダ(B−1) 7.63
ラジカル光重合開始剤(RPI−1) 0.49
界面活性剤溶液 0.03
(メガファックF−176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 68.89
酢酸エチル 15.34
酢酸ブチル 7.63
──────────────────────────────────―
【0077】
【化2】

【0078】
(感熱性接着層用塗布液AD−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.45μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、接着層用塗布液AD−1として用いた。
──────────────────────────────────―
感熱性接着層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────―
ポリエステル系ホットメルト樹脂溶液 37.50
(PES375S40、東亞合成(株)製)
メチルエチルケトン 62.50
──────────────────────────────────―
【0079】
(複屈折パターン作製材料P−1の作製)
厚さ50μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックスQ83、帝人デュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着し、反射層つき支持体を作製した。そのアルミニウムを蒸着した面上にワイヤーバーを用いて剥離層用塗布液FL−1を塗布、乾燥して剥離層とした。剥離層の乾燥膜厚は2.0μmであった。乾燥した剥離層上にワイヤーバーを用いて配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥して配向層とした。配向層の乾燥膜厚は0.5μmであった。
【0080】
次いで配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度90℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において600mW/cm2、照射量はUV−A領域において300mJ/cm2であった。光学異方性層のレターデーションは400nmであり、20℃で固体のポリマーであった。最後に、光学異方性層の上にワイヤーバーを用いて添加剤層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して膜厚0.8μmの添加剤層を形成し、複屈折パターン作製材料P−1を作製した。
【0081】
(複屈折パターン転写箔F−1の作製)
複屈折パターン作製材料P−1をレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図13に示すように、0mJ/cm2、40mJ/cm2の露光量を用いてRtoRでパターン露光した。図中、無地で示した領域Aの露光量が0mJ/cm2、黒領域の露光量が40mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が210℃となるように15分間加熱して、光学異方性層をパターン化した。
最後に、添加剤層上にワイヤーバーを用いて感熱性接着層用塗布液AD−1を塗布、乾燥して膜厚2.0μmの感熱性接着層を形成し、複屈折パターン転写箔F−1を作製した。
【0082】
(再帰反射層を用いた複屈折パターンの観測の評価)
作製した複屈折パターン転写箔F−1を、再帰反射テープ(住友スリーエム株式会社3290)または拡散反射シート(株式会社ツジデン D123)に転写して、比較実験を実施した。
【0083】
撮影はCMOSカメラ(Lumenera社LU275)に焦点距離25mmのCマウントレンズを取り付けて行った。レンズ前にプレート型ビームスプリッタ(Edmund Optics)を45度の角度で設置し、LEDバックライトをカメラから90度の角度に置くことで同軸照明系を構成した。平板をカメラより1m離れた位置に概ね直角になるように設置し、転写したそれぞれを貼り付けて測定対象とした。そして室内照明を点けた状態で撮影を行った時の、複屈折パターン転写箔を再帰反射テープに転写した例の画像と輝度プロファイルを図14aに、複屈折パターン転写箔を拡散反射シートに転写した例の画像と輝度プロファイルを図14bに示す。これらの図より、再帰反射テープに転写した例では環境光があっても模様が確認できているが、拡散反射シートに転写した例では確認できていないことがわかる。再帰反射層を用いることで、環境光に影響されることなく、潜像を観察できることが確認された。
【0084】
同様に、カメラから1m離れた位置に円筒物(直径6.5cm)を設置し、再帰反射テープに転写した例および拡散反射シートに転写した例のそれぞれを長さ5cmに切ったテープ状のものを円周方向に貼り、暗室状態で撮影を行った。再帰反射部の画像と輝度プロファイルを図15aに、拡散部の画像と輝度プロファイルを図15bに示す。これらの図より、再帰反射部では、テープ全長(5cm)にわたって模様が観測されているが、拡散反射部では暗く模様が観測できていないことがわかる。再帰反射層を用いることで、曲面に貼り付けた場合においても、潜像を比較的均一に観察できることが確認された。
【符号の説明】
【0085】
101 パターン化光学異方性層
11 (仮)支持体
13 反射層又は半透過半反射層
14 配向層
15 粘着層
16 印刷層
17 力学特性制御層
18 転写層
19 添加剤層又は表面層
20 潜像撮影装置
21 偏光板
22 光源
23 撮像素子
24 ハーフミラー
25 物品の潜像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複屈折性の異なる領域を二つ以上含むパターン化光学異方性層と入射光を特定の方向に選択的に反射する機能を有する反射層とを含む物品。
【請求項2】
前記反射層が再帰反射層である請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記再帰反射層がコーナーキューブまたは微小球を含む請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記パターン化光学異方性層が下記(1)〜(3)の工程をこの順で含む方法で形成されたものである請求項1または2に記載の物品:
(1)液晶性化合物を含む組成物からなる層を加熱または光照射する工程;
(2)該層にパターン露光を行う工程;
(3)得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
【請求項5】
印刷層を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
支持体を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記パターン化光学異方性層、支持体、反射層をこの順に含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記パターン化光学異方性層、反射層、支持体をこの順に含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
前記パターン化光学異方性層が曲面を描いている請求項1〜8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の物品を偏光板を介して観察することにより可視化される潜像を撮影するための潜像撮影装置であって、物品への照射光のための光路系、反射光のための光路系、および撮像素子を含み、前記撮像素子が、入射光を特定の方向に選択的に反射した反射光の光路上に配置されている潜像撮影装置。
【請求項11】
前記反射光を撮像素子方向に反射させるハーフミラーが設けられている請求項10に記載の潜像撮影装置。
【請求項12】
照射光の光路に略垂直であって、照射光が通過する位置に設けられた第一の偏光板と、前記反射光の光路に略垂直であって反射光が通過する位置に設けられた第二の偏光板とを含む請求項10または11に記載の潜像撮影装置。
【請求項13】
前記偏光板をそれぞれ独立して回転させるためのユニットを有する請求項12に記載の潜像撮影装置。
【請求項14】
前記反射層が再帰反射層であり、かつ、照射光の光路および反射光の光路に略垂直であって入射光および反射光が通過する位置に偏光板が設けられている請求項10または11に記載の潜像撮影装置。
【請求項15】
前記偏光板を回転させるためのユニットを有する請求項14に記載の潜像撮影装置。
【請求項16】
光源を有する請求項10〜15のいずれか一項に記載の潜像撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−73021(P2013−73021A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212022(P2011−212022)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】