説明

潜在危険地点検出装置および車載危険地点通知装置

【課題】道路上の潜在的危険地点を検出する。
【解決手段】センタが、車両の走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険事態の種別を示す危険種別情報をヒヤリハットマップDBから取得し(405)、当該危険発生地点上の道路走行に影響を及ぼす道路属性情報を地図DB32aから取得する(410)。そしてセンタは、取得したこれら複数の道路属性情報について、危険種別情報等の組が同じもの毎に頻度分布統計をとり(ステップ415、図13、図14参照)、その統計に基づいて、危険種別情報等の組毎に道路環境の代表的特徴を特定する(430)。さらにセンタ3は、地図DBを検索して、特定した複数の代表的特徴のいずれかに合致する地点を、潜在危険地点として抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在危険地点検出装置および車載危険地点通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバが車両を運転している際に直面する危険な事態は、そのような事態においてドライバが「ヒヤリ」としたり「ハッと」したりすることから、「ヒヤリハット」と呼ばれている。このようなヒヤリハットが発生した地点をマップデータとして整備し、そのマップデータを用いてドライバに注意を促すシステムが提案されている。このようなシステムを用いることで事故の発生を未然に防止することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、道路交通に関する危険情報を収集し、その危険情報を用いてドライバや歩行者に警告等を行うことで、事故の発生を未然に防止する装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、危険情報の活用例として、危険事態が発生したことのある地点をアイコンで地図上に表示し、車両がその地点に近づくと画像や音声で注意を喚起する車両用ナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−123185号公報
【特許文献2】特開2007−115079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、まだ実際には危険事態が発生していない地点であっても、その地点の走行に関わる道路環境によっては、危険事態の起こる可能性が高い場合がある。上記のような従来技術では、このような潜在的危険地点を検出することができない。本発明は上記点に鑑み、道路上の潜在的危険地点を検出することを第1の目的とする。
【0006】
また、危険事態が発生する可能性は、同じ地点であっても時刻、天候等に応じて変化し得る。しかし、上記の従来技術では、危険事態の発生の可能性の時間的な変動に対応することができない。本発明は上記点に鑑み、時間的に変動しうる危険事態の発生可能性を反映した危険地点の注意喚起を行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するための本発明の第1の特徴は、潜在危険地点検出装置が、車両の走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点上の道路走行に影響を及ぼす道路属性情報と、当該危険発生地点において発生した危険事態の種別を示す危険種別情報とを取得し、取得したこれら複数の道路属性情報について、同じ危険種別情報に対応するもの毎に頻度分布統計をとり、その頻度分布統計に基づいて、危険種別情報毎に道路環境の代表的特徴を特定する。
【0008】
さらに潜在危険地点検出装置は、地点と当該地点の道路走行に影響を及ぼす道路環境との組を複数地点分有する地点データを検索して、特定した複数の代表的特徴のいずれかに合致する地点を、潜在危険地点として抽出する。
【0009】
このように、潜在危険地点検出装置は、現実に危険事態が発生した危険発生地点についての危険種別および道路環境を用いて、同じ危険種別をまとめて道路環境の頻度分布統計を取ることで、危険種別毎に道路環境の代表的特徴を特定する。このように特定された代表的特徴のそれぞれは、対応する危険種別がどのような道路環境上で危険事態として発生し易いかを示す指標となる。したがって、潜在危険地点検出装置は、これら複数の代表的特徴のいずれかに合致する地点を、潜在危険地点として抽出することで、道路上の潜在的危険地点を検出することができるようになる。
【0010】
なお、ここでいう「危険種別情報毎」は、「少なくとも危険種別情報の違いによって区別されたものの各々」を意味する。したがって、「危険種別情報および他の情報との組によって区別されたものの各々」も、「危険種別情報毎」に該当する。
【0011】
また、統計処理手段が頻度分布統計をとる対象の道路属性情報の種別は、対応する危険種別情報に応じて変化するようになっていてもよい。このようになっていることで、危険種別情報毎に、対応する危険種別に適した道路属性情報を統計の対象とすることができる。
【0012】
また、潜在危険地点検出装置は、複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点の道路属性情報および危険種別情報に加え、当該危険事態の発生原因情報を取得し、また、取得した複数の道路属性情報について、対応する危険種別情報と発生原因情報の組が同じもの毎に頻度分布統計をとり、また、危険種別情報および発生原因情報の組毎にとられた道路属性情報の頻度分布統計に基づいて、危険種別情報と発生原因情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定するようになっていてもよい。
【0013】
このとき更に潜在危険地点検出装置は、抽出した潜在危険地点を示す情報および潜危険地点に対応する発生原因の情報を、車両のドライバに通知して注意喚起を促すために、出力するようになっていてもよい。
【0014】
なお、「通知するための出力」とは、車両内において画像表示装置および音声出力装置のいずれかに制御信号を出力することで通知を実現する作動、車両外から車両内の装置に対して、通知用の情報を送信する作動等、通知が最終的に実現までの通知用の情報の伝達過程の少なくとも一部を担う作動をいう。
【0015】
このように、潜在危険地点検出装置が、現実に危険事態が発生した危険発生地点についての危険種別、危険事態発生原因、および道路環境を用いて、危険種別および発生原因が同じ組毎に道路環境の頻度分布統計を取ることで、危険種別および発生原因の組毎に道路環境の代表的特徴を特定することができる。したがって、よりきめ細かい分類で潜在危険地点を抽出することができる。
【0016】
そして潜在危険地点検出装置は、それら潜在危険地点および発生原因を車両のドライバに通知するための出力を行うので、ドライバは、潜在危険地点を知るのみならず、当該潜在危険地点で危険事態を発生させないためにはどのようなことに注意すればよいかを知ることができる。
【0017】
また、潜在危険地点検出装置は、複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点の道路属性情報および前記危険種別情報に加え、当該危険発生地点において危険事態が発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの情報(以下、付加情報という)を取得し、また、取得した複数の道路属性情報について、同じ危険種別情報と同じ付加情報の組に対応するもの毎に頻度分布統計をとり、また、危険種別情報および付加情報の組毎にとった道路属性情報の頻度分布統計に基づいて、危険種別情報と付加情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定するようになっていてもよい。
【0018】
このようになっていることで、天候または時期といった、車両の運転の安全性に大きな影響を与える情報に基づいたよりきめ細かい分類で潜在危険地点を抽出することができる。
【0019】
また、上記第2の目的を達成するための本発明の第2の特徴は、車載危険地点通知装置が、走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、対応する危険事態の発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの状況の情報(以下、付加情報という)を記憶媒体(15)から読み出し、現在の自車両の走行状況が、読み出した付加情報の示す状況のいずれかに該当することに基づいて、その該当する付加情報に対応する危険発生地点の存在を車両のドライバに通知するための処理を行うことである。
【0020】
このようになっていることで、自車両の現在の走行時における天候(または時期)からかけ離れた天候(または時期)において危険事態が発生した地点についてまで、不必要に危険発生地点の存在を通知してしまう可能性が低下する。その結果、時間的に変動しうる危険事態の発生可能性を反映した危険地点の注意喚起を行うことができる。
【0021】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る危険情報通信システムの構成を概略的に示す。この危険情報通信システムは、複数の車両のそれぞれに発生した危険事態(例えば、急ブレーキ操作、急ハンドル操作)の発生情報を取得し、取得した危険発生情報を統計処理することで、危険事態は発生していないものの発生の恐れが大きい潜在危険地点を特定し、これら危険発生地点および潜在危険地点の情報を各車両のドライバに通知するようになっている。
【0023】
図1に示す通り、この危険情報通信システムは、ナビゲーション装置(車載危険地点通知装置の一例に相当する)1、車載センサ群2、およびセンタ(潜在危険地点検出装置の一例に相当する)3を含んでいる。ナビゲーション装置1および車載センサ群2は、複数の車両のそれぞれに1組搭載される。
【0024】
図2〜図5に、この危険情報通信システムの作動の流れを概略的に示す。各車両に搭載されたナビゲーション装置1は、図2に示すように、同じ車両に搭載された車載センサ群2からの情報に基づいて危険事態の発生を検出する度に、その危険事態の情報を含む危険発生情報を作成し(ステップ101)、作成した複数の危険発生情報を適切な時期にまとめて(または作成の度に)センタ3に送信する(ステップ102)。
【0025】
センタ3は、図2に示すように、これら危険発生情報を受信し(ステップ201)、更にヒヤリハットマップDBとして記録する(ステップ202)。そしてセンタ3は、図3に示すように、適切な時期にヒヤリハットマップDBを用いて統計処理を行い(ステップ203)、その統計処理の結果を利用して潜在危険地点を抽出し(ステップ204)、抽出した潜在危険地点の情報をヒヤリハットマップDBに追加する(ステップ205)。
【0026】
またナビゲーション装置1は、図4に示すように、必要時にセンタ3に対してヒヤリハットマップDBを要求し(ステップ103)、センタ3は、この要求を受信すると(ステップ206)、要求に応じてヒヤリハットマップDBをナビゲーション装置1に送信する(ステップ207)。そしてナビゲーション装置1は、送信されたヒヤリハットマップDBを受信して記録する(ステップ104)。
【0027】
さらにナビゲーション装置1は、図5に示すように、受信したヒヤリハットマップDBを適宜読み出し(ステップ105)、必要に応じてヒヤリハットマップDBの内容に基づいて危険発生地点および潜在危険地点の通知をすることで、ドライバの注意を喚起する(ステップ106)。
【0028】
以下、このような危険情報通信システムの構成および作動について詳述する。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、通信部11、音声出力部12、表示部13、位置検出部14、記憶媒体15、および車載側制御部16を有している。
【0029】
通信部11は、センタ3との通信を実現するための、周知の増幅、周波数変換、変調、復調等の機能を有する無線通信装置である。なお、センタ3との通信は、直接無線で行うようになっていてもよいし、無線基地局および当該無線基地局に接続された有線ネットワークを介して行うようになっていてもよい。
【0030】
音声出力部12は、車載側制御部16の制御に従って、車内のドライバに聞こえるように音声を出力する装置である。表示部13は、車載側制御部16の制御に従って、車内のドライバに見えるように画像を表示する装置である。
【0031】
位置検出部14は、周知のGPS受信機、車速センサ、ジャイロセンサ等のセンサを含み、それらセンサの出力信号を、自車両の位置や走行方向を示すための信号として、車載側制御部16に出力する。
【0032】
記憶媒体15は、ナビゲーション装置1の主電源がオフになっているときでも情報を記憶することができる書き込み可能メディア(例えば、不揮発性記憶媒体、バックアップRAM等)である。本実施形態においては、記憶媒体15は、地図DB15a、ヒヤリハットマップDB15b等を記憶するようになっている。ヒヤリハットマップDB15bについては後述する。
【0033】
地図DB15aは、道路データおよび施設データを有している。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を含んでいる。
【0034】
道路データは、リンク用の道路データおよびノード用の道路データを、リンクとノードのそれぞれ毎に対応して有している。各リンク用の道路データは、図6に例示するように、当該リンクについての属性情報を含んでいる。属性情報としては、リンクID、始点ノードID、終点ノードID、車線数情報、制限速度情報、見通し情報、歩道有無情報等の情報がある。
【0035】
始点ノードIDおよび終点ノードIDは、それぞれ当該リンクの始点および終点に接続するノードのノードIDである。車線数情報は、当該リンクが含む車線数を示している。制限速度情報は、当該リンクにおける制限速度を示している。見通し情報は、当該リンクの走行時におけるドライバの見通しの良し悪しを示している。歩道有無情報は、当該リンクが歩道を有しているか否かを示している。
【0036】
各ノード用の道路データは、当該ノードについての属性情報を含んでいる。属性情報としては、ノードID、接続リンクID、制限速度情報、見通し情報、歩道有無情報等の情報がある。接続リンクIDは、当該ノードに接続するリンクのリンクIDである。
【0037】
車載側制御部16は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するコンピュータである。CPUは、ROMから読み出したナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および記憶媒体15から情報を読み出し、RAMおよび記憶媒体15に対して情報の書き込みを行い、車載センサ群2から各種情報を取得する。
【0038】
例えば車載側制御部16は、ナビゲーション処理を実行する。ナビゲーション処理において、車載側制御部16は、ユーザから図示しない操作部を介して受け付けた目的地までの誘導経路を算出し、算出した誘導経路に沿って自車両が走行するよう、音声出力部12および表示部13を用いて、地図表示等によって案内する。図2、4、5の作動に関連した車載側制御部16の作動内容については、後述する。
【0039】
車載センサ群2は、車外用カメラ21、視線センサ22、レインセンサ23、ステアリングセンサ24、ブレーキセンサ25を有している。
【0040】
車外用カメラ21は、車両の周囲(例えば車両前方)を撮影し、その撮影結果の画像を車載側制御部16に出力する。本実施形態においては、この撮影画像は、車両周囲における障害物(人、自転車等)を画像認識によって検出するために用いられる。
【0041】
視線センサ22は、ドライバの顔を撮影し、その撮影画像中のドライバの目の部分の画像解析を行い、その結果に基づいて、ドライバの視線方向を検出し、その検出結果を車載側制御部16に出力する。本実施形態においては、この視線方向の情報は、ドライバのわき見の検出に用いられる。
【0042】
レインセンサ23は、雨滴センサ等の、車両周囲の降雨の有無を検出し、その検出結果を車載側制御部16に出力する。ステアリングセンサ24は、ドライバのステアリンクの切り角を検出し、その検出結果を車載側制御部16に出力する。ブレーキセンサ25は、ドライバのブレーキペダルの踏み込み量を検出し、その検出結果を車載側制御部16に出力する。
【0043】
センタ3は、通信部31、データ格納部32、およびセンタ側制御部33を有している。通信部31は、ナビゲーション装置1と通信するための装置である。センタ3がナビゲーション装置1の通信部11と直接無線通信するようになっている場合は、通信部31は、ナビゲーション装置1との通信を実現するための、周知の増幅、周波数変換、変調、復調等の機能を有する無線通信装置である。センタ3が有線ネットワークおよび無線基地局を介してナビゲーション装置1と通信するようになっている場合は、通信部31は、この有線ネットワークに接続するための周知のネットワークインターフェースである。
【0044】
データ格納部32は、書き込み可能な(例えばHDD等の)記憶媒体であり、上述の地図DB15aと同等の地図DB32aおよびヒヤリハットマップDB32bを記憶するようになっている。
【0045】
センタ側制御部33は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するコンピュータである。CPUは、ROMから読み出したセンタ3の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、およびデータ格納部32から情報を読み出し、RAMおよびデータ格納部32に対して情報の書き込みを行う。センタ側制御部33の具体的な作動については後述する。
【0046】
次に、危険情報通信システムの作動について詳細に説明する。まず、ナビゲーション装置1の車載側制御部16は、図2に示したステップ101の危険発生情報の作成処理のために、図7にフローチャートとして示すプログラムを、自車両の走行中に常時繰り返し実行する。
【0047】
この図7のプログラムの実行において車載側制御部16は、まずステップ305で、危険事態が発生したか否かを判定し、発生したと判定した場合続いてステップ310を実行し、発生していないと判定した場合このプログラムの1回分の実行を終了する。具体的には、車載センサ群2のうち、自車両の操作内容を検出するセンサ(具体的にはステアリングセンサ24およびブレーキセンサ25)からの信号に基づいて、危険事態の発生の有無を検出する。
【0048】
例えば、ステアリングセンサ24からの信号が、ステアリングの回転角速度が閾値を超えたことを検出した場合、急ハンドルの危険事態が発生したと判定する。また例えば、ブレーキセンサ25からの信号が、ブレーキペダル踏み込み量の増大速度が閾値を超えたことを検出した場合、急ブレーキの危険事態が発生したと判定する。
【0049】
危険事態が発生したと判定した後のステップ310では、その時点における走行環境を取得し、続いてステップ315では当該危険事態の危険種別を特定し、続いてステップ320では当該危険事態の発生原因を特定し、続いてステップ325では、これら走行環境情報、危険種別、発生原因をまとめて危険発生情報として記憶媒体15に記録する。図8および図9に、記録する危険発生情報の例を示す。
【0050】
ここで、走行環境とは、走行している自車両が置かれている位置、時間等についての状況をいう。具体的には、走行環境は、当該危険事態が発生した時点の日付(図8、9における発生日)、時刻(図8、9における発生時刻)、天気、自車両の位置(図8、9における発生位置)、自車位置の属する領域(具体的には標準地域メッシュとして規定されている2次メッシュのメッシュ番号)、自車位置の属する地物の種別(リンク、ノード、施設等の別)、地図DB15a上の当該地物に対応する地物IDを含む。なお、車載側制御部16は、天気については、レインセンサ23からの信号が降雨のあることを示している場合には、雨天であると判定し、当該信号が降雨のないことを示している場合には、晴天であると判定する。
【0051】
また車載側制御部16は、ステップ315においては、当該危険事態の発生をどのように判定したかに基づいて、危険種別と特定する。具体的には、ステアリングセンサ24からの信号に基づいて危険事態の発生を検出した場合には、危険種別が「急ハンドル」であると特定する。また、ブレーキセンサ25からの信号に基づいて危険事態の発生を検出した場合には、危険種別が「急ブレーキ」であると特定する。
【0052】
また車載側制御部16は、ステップ320においては、当該危険事態の発生原因を、車外用カメラ21、視線センサ22等のセンサの出力信号に基づいて決定する。例えば、車載側制御部16は、危険事態の発生直前(例えば発生の3秒前から発生までの期間)に車外用カメラ21で撮影された自車両前方の画像の画像解析を行い、その画像解析によって自転車、人等の障害物が自車両の前面に飛び出してきていると判定した場合には、発生原因を「障害物飛び出し」とする。
【0053】
また例えば、車載側制御部16は、危険事態の発生直前(例えば発生の10秒前から発生までの期間)に視線センサ22で検出されたドライバの視線が、車両の進行方向を向いていなかった場合には、発生原因を「わき見」とする。
【0054】
なお車載側制御部16は、ステップ325で記録する危険発生情報には、走行環境情報、危険種別、発生原因に加えて、その車両において発生した危険事態の発生順の通し番号を含める。
【0055】
また車載側制御部16は、所定のタイミングで(例えば、所定期間の経過毎に、所定数の危険発生情報が新たに記録される毎に)、ステップ102で、記憶媒体15に蓄積されている未送信の危険発生情報を、通信部11を用いてすべてセンタ3に送信する。
【0056】
センタ側制御部33は、ステップ201で当該危険発生情報を受信すると、個々の危険発生情報を発生ヒヤリハット情報に加工する。そしてステップ202で、加工後の発生ヒヤリハット情報をヒヤリハットマップDB32bに追加する。
【0057】
図10、11に、それぞれ図8、図9の危険発生情報から加工されてできた発生ヒヤリハット情報を例示する。これら図10、11に示す通り、危険発生情報から、通し番号および発生日を削除し、発生時刻をその時刻の属する時間帯(例えば、午前(5:00〜12:00)、午後(12:00〜18:00)、夜(18:00〜24:00)、深夜(0:00〜5:00))に変換することで、発生ヒヤリハット情報が生成される。
【0058】
このようになっていることで、センタ3のヒヤリハットマップDB32bには、各車両のナビゲーション装置1から送信された危険発生情報に基づく発生ヒヤリハット情報が、順次多数蓄積されていく。
【0059】
またセンタ側制御部33は、発生ヒヤリハット情報が蓄積されたヒヤリハットマップDB32bに対して、ステップ203の統計処理を行うために、図12にフローチャートとして示すプログラムを実行する。なお、このプログラムの実行タイミングは、定期的なタイミングでもよいし、発生ヒヤリハット情報が所定数蓄積されたタイミングであってもよい。
【0060】
センタ側制御部33は、このプログラムの実行において、まずステップ405で、ヒヤリハットマップDB32bから、まだ読み出していない発生ヒヤリハット情報を1件抽出する。
【0061】
続いてステップ410で、読み出した当該発生ヒヤリハット情報に該当する地物(リンク、ノード等)の属性情報のうち、その道路の走行の安全性に影響を及ぼし得る情報(特許請求の範囲の道路属性情報の一例に相当する)を、地図DB32aの道路データから読み出す。具体的には、当該地物がリンクまたはノードの場合、その地物の車線数情報、制限速度情報、見通し情報、歩道有無情報等が、ここで読み出す属性情報に相当する。
【0062】
続いてステップ415で、読み出した属性情報を、データ格納部32中の危険統計データに反映させる。
【0063】
図13、14に、危険統計データの一例を示す。図13の危険統計データは、危険種別、発生原因および発生時間帯の組が同じもの毎に、道路属性情報の頻度分布統計をとったデータである。図14の危険統計データは、危険種別、天気の組が同じもの毎に、道路属性情報の頻度分布統計をとったデータである。
【0064】
例えば、図13の形式の危険統計データを採用する場合、センタ側制御部33は、ステップ415で、当該ヒヤリハット情報に含まれる危険種別、発生原因および発生時間帯の組と同じ組に対応する危険統計データに対して、当該ヒヤリハット情報に含まれる制限速度、見通し、歩道の有無のそれぞれについて、その値に対応する範囲のカウント値を1件分増加させる。なお、当該ヒヤリハット情報にそれらの属性情報のうちいずれかが含まれていなかった場合、当該属性情報については、「不明」のカウント値を1件分増加させる。
【0065】
統計をとる単位、すなわち、1件の危険統計データが対象とする範囲は、図13のように、危険種別、発生原因および発生時間帯が同じものの組であってもよいし、図14のように、危険種別および天気が同じものの組であってもよいし、あるいは、危険種別、発生原因、発生時間帯、天気が同じ組であってもよいし、または危険種別が同じ組であってもよい。ただし、1つのセンタ3においては、統計をとる単位は統一されているものとする。
【0066】
また頻度分布統計をとる対象の項目は、図13に示すように、制限速度、見通し、および歩道の有無であってもよいし、また、図14に示すように、見通しおよび歩道の有無のみであってもよいし、あるいは制限速度のみであってもよい。そして、頻度分布統計をとる対象の項目は、1つのセンタ3内においても、個々の危険統計データ毎に異なっていてもよい。
【0067】
例えば、統計をとる対象の道路属性情報の項目種別は、危険種別情報の変化の応じて変化するようになっていてもよい。このようになっていることで、例えば、図13のように、制限速度が高いときほど多く起りがちな急ハンドルの危険種別については、制限速度の項目について統計をとり、図14のように、制限速度の高低にさほど関係なく発生する急ブレーキについては制限速度の項目について統計をとらないようにすることができる。このように、危険種別情報毎に、対応する危険種別に適した道路属性情報を統計の対象とすることができるので、例えば、データ蓄積量の効率的な節約に繋がる。
【0068】
ステップ415に続いて、ステップ420では、すべての発生ヒヤリハット情報について、ステップ405〜415の処理を実行したか否かを判定し、実行していなければ再度ステップ405以降を実行し、実行していれば続いてステップ430を実行する。
【0069】
このようなステップ405〜420のループ処理により、ヒヤリハットマップDB32b中のすべての発生ヒヤリハット情報についての、危険種別等の別による道路属性情報の頻度分布が作成される。
【0070】
ステップ430では、ステップ405〜420のループ処理により作成された複数の危険統計データのそれぞれについて、危険特徴データを作成してデータ格納部32に記録する。図15、16に、それぞれ図13、14に対応して作成される危険特徴データを例示する。
【0071】
危険特徴データは、統計をとった単位(危険種別、危険種別+発生原因等)毎の、道路環境の代表的特徴を示すデータである。具体的には、各危険統計データにおける統計をとった単位と、その危険統計データの項目の最頻値の範囲とを関連付けたデータである。このようなデータにより、どの種類の危険種別(または危険種別とその他の組み合わせ)がどのような属性の道路で発生し易いかが明らかになる。
【0072】
危険特徴データを作成した後、センタ側制御部33は、続いて図3のステップ204で、作成した危険特徴データに基づいて地図DB32aから潜在危険地点を抽出する。この処理のためにセンタ側制御部33は、図17にフローチャートとして示すプログラムを実行する。
【0073】
このプログラムの実行においてセンタ側制御部33は、地図DB32a中のすべての道路データ(すなわち、リンクまたはノードの道路データ)を1件1件順に取得し(ステップ505、ステップ525)、取得した道路データのそれぞれ(以下、対象道路データという)について、ステップ510以降の処理を行う。
【0074】
ステップ510では、データ格納部32中のすべての危険特徴データのそれぞれについて、対象道路データに含まれる属性(図6参照)と比較し、当該危険特徴データが含む道路属性データの値(例えば、図16の例においては、見通し:悪、歩道:無し)のすべてに、対象道路データの属性が合致するか否かを判定する。
【0075】
続いてステップ515で、合致する危険特徴データがあるか否かを判定し、あれば続いてステップ520で、対象道路データに対応する地物を、潜在危険地点として特定し、なければ続いてステップ525を実行する。このようなステップ505〜525のループを実行することで、危険特徴データのいずれかに合致する潜在危険地点をすべて抽出することができる。
【0076】
ステップ204に続いてステップ205では、センタ側制御部33は、特定した1つ以上の潜在危険地点をヒヤリハットマップDB32bに反映させる。具体的には、特定した潜在危険地点のそれぞれについて、潜在的ヒヤリハット情報を生成してヒヤリハットマップDB32bに追加記録する。図18、19に、潜在的ヒヤリハット情報を例示する。
【0077】
潜在的ヒヤリハット情報は、対象とする潜在危険地点の地図上の位置に関する情報を含んでいる。具体的には、潜在的ヒヤリハット情報は、当該潜在危険地を含む区画の指定(具体的には2次メッシュ番号)、当該潜在危険地点の地物種別(リンク、ノードの別)、当該地物の地物ID(リンクIDまたはノードID)含んでいる。
【0078】
また、潜在的ヒヤリハット情報には、図18のように、時間帯の情報も含めてもよいし、図19のように、天気の情報を含めてもよいし、あるいは、両方を含めてもよいし、どちらも含めなくてもよい。この時間帯、天気の情報としては、図17のステップ515で合致したと判定された危険特徴データ中の情報を用いる。このような情報を潜在的ヒヤリハット情報に含めることで、その潜在危険地点ではどのような状況で危険事態が発生し易いかが明らかになる。
【0079】
また、潜在的ヒヤリハット情報は、図18、19のように、警告内容の情報を含めてもよい。警告内容の情報としては、図17のステップ515で合致したと判定された危険特徴データ中の、発生原因の情報に基づいて決定する。例えば、当該発生原因が「わき見」ならば、警告内容を「わき見注意」とする。また例えば、当該発生原因が「自転車飛び出し」ならば、警告内容を「自転車注意」とする。このような情報を潜在的ヒヤリハット情報に含めることで、その潜在危険地点ではどのような警告をドライバにすればよいかが明らかになる。
【0080】
以上のように、センタ3が、車両の走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険事態の種別を示す危険種別情報等(危険種別情報に加え、発生原因、天気、時間帯のうち0個以上を含む情報;図10、11参照)をヒヤリハットマップDB32bから取得し(図12のステップ405参照)、当該危険発生地点上の道路走行に影響を及ぼす道路属性情報(図6参照)を地図DB32aから取得する(ステップ410参照)。
【0081】
そしてセンタ3は、取得したこれら複数の道路属性情報について、危険種別情報等の組が同じもの毎に頻度分布統計をとり(ステップ415、図13、図14参照)、その統計に基づいて、危険種別情報等の組毎に道路環境の代表的特徴を特定する(ステップ430、図15、図16参照)。
【0082】
さらにセンタ3は、地図DB32a(地点と当該地点の道路走行に影響を及ぼす道路環境との組を複数地点分有する地点データの一例に相当する)を検索して、特定した複数の代表的特徴のいずれかに合致する地点を、潜在危険地点として抽出し(図3のステップ204、図17参照)、それをヒヤリハットマップDB32bに記録する(ステップ205参照)。
【0083】
このように、センタ3は、現実に危険事態が発生した危険発生地点についての危険種別および道路環境を用いて、同じ危険種別をまとめて道路環境の統計を取ることで、危険種別毎に道路環境の代表的特徴を示す危険特徴データを作成する。このように特定された代表的特徴のそれぞれは、対応する危険種別がどのような道路環境上で危険事態として発生し易いかを示す指標となる。したがって、センタ3は、これら複数の代表的特徴のいずれかに合致する地点を、潜在危険地点として抽出することで、道路上の潜在的危険地点を検出することができるようになる。
【0084】
また、センタ3は、取得した複数の道路属性情報について、対応する危険種別情報と発生原因情報等の組が同じもの毎に統計をとり、また、危険種別情報および発生原因情報等の組毎にとられた道路属性情報の統計に基づいて、危険種別情報と発生原因情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定する。そしてセンタ3は、このようにして特定した潜在危険地点に、当該発生原因に対応する警告内容(発生原因の情報の一例に相当する)を記録する。
【0085】
そしてセンタ3は、図4のステップ270において、この潜在危険地点を示す情報および潜危険地点に対応する警告内容の情報を、ナビゲーション装置1の車両のドライバに通知して注意喚起を促すために、出力する。
【0086】
このように、センタ3が、現実に危険事態が発生した危険発生地点についての危険種別、危険事態発生原因、および道路環境を用いて、危険種別および発生原因等が同じ組毎に道路環境の統計を取ることで、危険種別および発生原因等の組毎に道路環境の代表的特徴を特定することができる。したがって、きめ細かい分類で潜在危険地点を抽出することができる。
【0087】
そしてセンタ3は、それら潜在危険地点および発生原因を車両のドライバに通知するための出力を行うので、ドライバは、潜在危険地点を知るのみならず、当該危険地点で危険事態を発生させないためにはどのようなことに注意すればよいかを知ることができる。
【0088】
より詳しくは、センタ3は、複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点の道路属性情報および危険種別情報に加え、対応する危険事態の発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの情報(以下、付加情報という)を取得し、また、取得した複数の道路属性情報について、同じ危険種別情報と同じ付加情報の組に対応するもの毎に統計をとり、また、危険種別情報および付加情報の組毎にとった道路属性情報の統計に基づいて、危険種別情報と付加情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定する。
【0089】
このようになっていることで、センタ3は、天候または時期といった、車両の運転の安全性に大きな影響を与える情報に基づいたきめ細かい分類で潜在危険地点を抽出することができる。
【0090】
ナビゲーション装置1の車載側制御部16は、図4のステップ103に示すように、センタ3において生成されたヒヤリハットマップDB32bの受信を、通信部11を介して要求する。なお、この要求を行うタイミングは、自車両のエンジンがオンになったとき、誘導経路を算出したとき、前回受信したヒヤリハットマップDBの一部分のカバーする地理的範囲の境界に自車両が近づいたとき等がある。
【0091】
この要求のために車載側制御部16が送信するヒヤリハットマップ要求データの内容を、図20に示す。ヒヤリハットマップ要求データは、自車両の車両ID、自車両の現在位置、自車両の現在の進行方向、自車両周辺の現在の天気、設定されている誘導経路等の情報を含んでいる。なお、誘導経路の情報としては、誘導経路に含まれるリンクのリンクIDと、誘導経路を含む区間の指定(具体的には2次メッシュ番号)を含む。
【0092】
センタ側制御部33は、図4に示すステップ206で通信部31を介してこのヒヤリハットマップ要求データを受けると、続いてステップ207で、この要求に応じてヒヤリハットマップDB32bの一部をナビゲーション装置1に送信するために、図21に示すプログラムの実行を開始し、まずステップ605で、受信したヒヤリハットマップ要求データに誘導経路の情報が含まれているか否かを判定し、含まれていれば続いてステップ610を実行し、含まれていなければ続いてステップ615を実行する。
【0093】
ステップ610では、ヒヤリハットマップDB32bから、ヒヤリハットマップ要求データ中の経路上のリンクおよびノードについての発生ヒヤリハット情報および潜在的ヒヤリハット情報を抽出し、続いてステップ620で抽出した情報を通信部31を用いて、要求の送信元のナビゲーション装置1に送信する。
【0094】
ステップ615では、受信したヒヤリハットマップ要求データ中の車両位置を含む地理範囲を特定し、特定した地理範囲中のリンクおよびノードについての発生ヒヤリハット情報および潜在的ヒヤリハット情報を抽出し、続いてステップ620で抽出した情報を通信部31を用いて、要求の送信元のナビゲーション装置1に送信する。なお、一度に抽出する情報のデータサイズは、所定値(例えば100KB)を上限とし、それを超えるデータの抽出は中止するようになっていてもよい。
【0095】
ここで、ステップ615で特定する地理範囲について説明する。この地理範囲は、図22に示すように、ヒヤリハットマップ要求データ中の車両位置40を中心とし、ヒヤリハットマップ要求データ中の車両の進行方向41側を覆う半径rキロメートルの半円42の内部であってもよい。また、地理範囲は、図23に示すように、2次メッシュ51〜56のうち、ヒヤリハットマップ要求データ中の車両位置50を含むメッシュ55であってもよい。なお、車載側制御部16は、既述の通り、前回ヒヤリハットマップ要求データを送信したときに特定された地理範囲の境界に近づいたとき(例えば境界から閾値距離内(例えば500メートル)に入ったとき)、再度図4のステップ103でヒヤリハットマップ要求データを送信する。
【0096】
このように、車両の走行予定経路や進行方向に合わせて限定的な地理領域のヒヤリハットマップDBを送信することで、データ送信量を低減しつつ、かつ車両にとって必要なデータを確実に送信することができる。
【0097】
車載側制御部16は、以上のようにしてセンタ3から送信されたヒヤリハットマップ要求データの一部を、図4のステップ104で受信し、記憶媒体15中にヒヤリハットマップDB15bとして記録する。
【0098】
続いて図5のステップ106で、このヒヤリハットマップDB15bを読み出し、さらにステップ106で、必要に応じてドライバに注意喚起のための通知を行う。このステップ106の処理のために、車載側制御部16は、図24に示したプログラムを実行する。
【0099】
このプログラムの実行において車載側制御部16は、位置検出部14からの信号に基づいて自車位置および進行方向を特定し(ステップ705)、続いて特定した自車位置から進行方向に沿った前方所定距離(例えば100メートル)以内の発生ヒヤリハット情報および潜在的ヒヤリハット情報を、ヒヤリハットマップDB15bから抽出する(ステップ710)。
【0100】
そして、ヒヤリハット情報を抽出できた場合(ステップ715)、そのヒヤリハット情報が現在の自車両の走行環境に適合すれば、そのヒヤリハット情報の通知を行う(ステップ720〜745)。
【0101】
具体的には、抽出したヒヤリハット情報に時間帯の情報が含まれていれば(ステップ720)、その時間帯に現在の時刻が含まれているか否かを判定する(ステップ725)。また、抽出したヒヤリハット情報に天気の情報が含まれていれば(ステップ730)、その天気に、現在のレインセンサ23からの出力に基づく天気が合致するか否かを判定する(ステップ740)。
【0102】
これら2つの判定(ステップ725、740)のうち、実行したものがすべて肯定的であった場合には、当該ヒヤリハット情報に基づいた通知を行う(ステップ745)。また、抽出したヒヤリハット情報があるにも関わらず、これら判定のうち1つも実行しなかった場合でも、当該ヒヤリハット情報に基づいた通知を行う(ステップ745)。
【0103】
当該ヒヤリハット情報に基づいた通知としては、例えば、当該ヒヤリハット情報に含まれる位置を強調した地図を表示部13に表示させてもよいし、当該ヒヤリハット情報に含まれる危険種別または発生原因を音声出力部12出力させまたは表示部13に表示させるようになっていてもよい。また、当該ヒヤリハット情報に含まれる警告内容に従った警告を行うようになっていてもよい。
【0104】
なお、ヒヤリハット情報を抽出できなかった場合(ステップ715→NO)、および、抽出できても現在の自車両の走行環境に適合しなければ(ステップ725→NO、ステップ745→NO)、注意喚起のための通知は行わない。
【0105】
以上のように、ナビゲーション装置1が、複数の危険発生地点および複数の潜在危険地点のそれぞれについて、対応する危険事態の発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの状況の情報(以下、付加情報という)をヒヤリハットマップDB15bから読み出し、現在の自車両の走行状況が、読み出した付加情報の示す状況のいずれかに該当することに基づいて、その該当する付加情報に対応する危険発生地点の存在を車両のドライバに通知するための処理を行う。
【0106】
このようになっていることで、自車両の現在の走行時における天候(または時期)からかけ離れた天候(または時期)において危険事態が発生した地点についてまで、不必要に通知してしまう可能性が低下する。その結果、時間的に変動しうる危険事態の発生可能性を反映した危険地点の注意喚起を行うことができる。
【0107】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0108】
例えば、図7のステップ305の判定は、発汗センサや心拍センサ等の生体センサからの信号に基づいて、ドライバの動揺の量が所定値より大きいときに、危険事態が発生したと判定するようになっていてもよい。
【0109】
また、本発明の潜在危険地点検出装置の機能は、センタ3でなく、ナビゲーション装置1が実現してもよい。具体的には、ナビゲーション装置1が、自機が図2のステップ101で作成した危険発生情報に基づいて、図3の処理を実行して潜在危険地点を抽出して記録し、その記録に基づいて図24の処理を行うようになっていてもよい。この場合は、車両用ナビゲーション装置1が潜在危険地点検出装置の一例に相当する。
【0110】
また、センタ3が、車両用ナビゲーション装置1から自車位置の情報を受信し、その情報に基づいて図24のフローチャートを実行するようになっていてもよい。その場合、ステップ745の処理は、注意喚起の内容をナビゲーション装置1に送信する処理となる。そして、ナビゲーション装置1は、この送信された注意喚起の内容にしたがった注意喚起を行う。この場合は、ナビゲーション装置1とセンタ3の組み合わせが、車載危険地点通知装置の一例として機能する。
【0111】
また、センタ3は、ヒヤリハットマップDB32bの一部として、潜在ヒヤリハット情報だけをナビゲーション装置1に送信するようになっていてもよい。
【0112】
また、上記の実施形態において、車載側制御部16、センタ側制御部33がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施形態に係る危険情報通信システムの構成図である。
【図2】危険発生情報の作成、送信、受信および記録の過程を示すシーケンス図である。
【図3】統計処理に基づく潜在危険地点の抽出、記録の過程を示すシーケンス図である。
【図4】センタ3からナビゲーション装置1へヒヤリハットマップDBを渡す過程を示すシーケンス図である。
【図5】ナビゲーション装置1が受信したヒヤリハットマップDBを読み出して
【図6】リンク用の道路データの構成例を示す図表である。
【図7】図2のステップ101のために車載側制御部16が実行するプログラムのフローチャートである。
【図8】ナビゲーション装置1において生成される危険発生情報の一例を示す図表である。
【図9】ナビゲーション装置1において生成される危険発生情報の一例を示す図表である。
【図10】センタ3において記録される発生ヒヤリハット情報の一例を示す図表である。
【図11】センタ3において記録される発生ヒヤリハット情報の一例を示す図表である。
【図12】図3のステップ203のためにセンタ側制御部33が実行するプログラムのフローチャートである。
【図13】危険統計データの一例を示す図表である。
【図14】危険統計データの一例を示す図表である。
【図15】危険特徴データの一例を示す図表である。
【図16】危険特徴データの一例を示す図表である。
【図17】図3のステップ204のためにセンタ側制御部33が実行するプログラムのフローチャートである。
【図18】潜在的ヒヤリハット情報の一例を示す図表である。
【図19】潜在的ヒヤリハット情報の一例を示す図表である。
【図20】ヒヤリハットマップ要求データの一例を示す図表である。
【図21】図4のステップ207のためにセンタ側制御部33が実行するプログラムのフローチャートである。
【図22】ヒヤリハットマップDB32bの送信範囲を示す概念図である。
【図23】ヒヤリハットマップDB32bの送信範囲を示す概念図である。
【図24】図5のステップ106のために車載側制御部16が実行するプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0114】
1…ナビゲーション装置、2…車載センサ群、3…センタ、11…通信部、
12…音声出力部、13…表示部、14…位置検出部、15…記憶媒体、
15a、32a…地図DB、15b、32b…ヒヤリハットマップDB、
16…車載側制御部、21…車外用カメラ、22…視線センサ、23…レインセンサ、
24…ステアリングセンサ、25…ブレーキセンサ、31…通信部、
32…データ格納部、33…センタ側制御部、40、50…車両位置、
41…進行方向、42…半円、51〜56…2次メッシュ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点上の道路走行に影響を及ぼす道路属性情報と、当該危険発生地点において発生した危険事態の種別を示す危険種別情報とを取得する取得手段(405、410)と、
前記得手段が取得した前記複数の道路属性情報について、同じ危険種別情報に対応するもの毎に頻度分布統計をとる統計処理手段(415)と、
前記統計処理手段がとった危険種別情報毎の道路属性情報の頻度分布統計に基づいて、危険種別情報毎に道路環境の代表的特徴を特定する特徴特定手段(430)と、
地点と当該地点の道路走行に影響を及ぼす道路環境との組を複数地点分有する地点データ(32a)を検索して、前記特徴特定手段が特定した前記複数の代表的特徴のいずれかに合致する潜在危険地点を抽出する抽出手段(204)と、を備えた潜在危険地点検出装置。
【請求項2】
前記統計処理手段が頻度分布統計をとる対象の道路属性情報の種別は、対応する危険種別情報に応じて変化することを特徴とする請求項1に記載の潜在危険地点検出装置。
【請求項3】
前記取得手段は、前記複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点の前記道路属性情報および前記危険種別情報に加え、当該危険事態の発生原因情報を取得し、
前記統計処理手段は、前記得手段が取得した前記複数の道路属性情報について、対応する危険種別情報と発生原因情報の組が同じもの毎に頻度分布統計をとり、
前記特徴特定手段は、前記統計処理手段がとった危険種別情報および発生原因情報の組毎の道路属性情報の頻度分布統計に基づいて、危険種別情報と発生原因情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定し、
当該潜在危険地点検出装置は、前記抽出手段が抽出した潜在危険地点を示す情報および前記潜危険地点に対応する発生原因情報を、車両のドライバに通知して注意喚起を促すために出力する出力手段(207)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の潜在危険地点検出装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記複数の危険発生地点のそれぞれについて、当該危険発生地点の前記道路属性情報および前記危険種別情報に加え、当該危険発生地点において危険事態が発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの情報(以下、付加情報という)を取得し、
前記統計処理手段は、前記得手段が取得した前記複数の道路属性情報について、対応する危険種別情報と付加情報の組が同じもの毎に頻度分布統計をとり、
前記特徴特定手段は、前記統計処理手段がとった危険種別情報および付加情報の組毎の道路属性情報の頻度分布統計に基づいて、危険種別情報と付加情報の組毎に道路環境の代表的特徴を特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の潜在危険地点検出装置。
【請求項5】
走行上の危険事態が発生した複数の危険発生地点のそれぞれについて、対応する危険事態の発生したときの時期および天候のうち少なくとも1つの状況の情報(以下、付加情報という)を記憶媒体(15)から読み出す読み出し手段(105)と、
現在の自車両の走行状況が、前記読み出し手段が読み出した付加情報の示す状況のいずれかに該当することに基づいて、その該当する付加情報に対応する危険発生地点の存在を前記車両のドライバに通知するための出力を行う通知手段(106)と、を備えた車載危険地点通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−104531(P2009−104531A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277746(P2007−277746)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】