説明

潜在性硬化剤および該潜在性硬化剤を含有するエポキシ組成物

一般式(1):
【化1】


[式中、XおよびYは、独立して、H、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基またはアセチル基であってよく、Zは、H、OH、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよい]で示されるクマリン化合物と、一般式(2):
【化2】


[式中、「a」は、1または2であり、Aは、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよく、Bは、アルキル基(a=1の場合)、アルキレン基(a=2の場合)、ヘテロアルキル基(a=1の場合)、ヘテロアルキレン基(a=2の場合)、芳香族基、ヘテロ芳香族基、ヒドロキシル基(a=1の場合)、第2級アミノ基(a=2の場合)、OまたはS(a=2の場合)であってよく、ここで、Bは価数「a」を有するか、または、Bは単独で、または、AおよびBが一緒になって、脂肪族環系、ヘテロ脂肪族環系、または芳香族環系から選択される環系を形成する]で示されるアミンとの反応により得られる潜在性硬化剤は、1分子あたり少なくとも2個の1,2-エポキシ基を有するポリエポキシドを有する硬化性組成物に使用することができる。これらの硬化性組成物は良好な貯蔵安定性および接着特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在性硬化剤、並びに該潜在性硬化剤および少なくとも1種のポリエポキシドを含有する硬化性組成物、該硬化剤の製造方法、並びに該潜在性硬化剤およびポリエポキシドを含有する硬化性組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化特性、可使時間および/または接着強度、および、複合構造の接着、充填および形成において有用な接着剤の主要特性を改善すべく、多種多様のエポキシ系組成物および添加剤を形成および使用するための技術分野において、多数の組成物および方法が記載されている。
【0003】
エポキシ-アミン硬化系は、接着剤、シーラント、およびコーティングに最も広く適用される製剤の1つである。アミンおよびエポキシ基間での付加反応を含む硬化反応は、通常、大気温度で自然に起こる。エポキシ−アミン反応を避けるために、硬化性組成物を塗布する直前に、エポキシ樹脂およびアミン硬化剤を混合させる。このような系の硬化反応は混合前に開始されないが、混合処理すると、直ちに、粘性の増加が促進され、容易な混合および塗布が妨げられる。これらのエポキシ組成物の取扱い性を改善するために、硬化が高温でのみ起こるように、エポキシ-アミン硬化系に潜在性特性を付与することが望まれる。
【0004】
1成分系(「ワンパッケージ系」と称されることも多い)は、エポキシ組成物の製造会社および消費者がより複雑な包装手段を避けることができ、かつ、別々に包装されたエポキシ樹脂および硬化剤を硬化させた物質へと変換し得る前に必要なさらなる混合工程を避けることができ、かつ、最終消費者によって誤った量の硬化剤が樹脂に添加される可能性を避けることができるため、非常に望まれている。
【0005】
最も古い潜在性硬化剤の1種は、ジシアンジアミドである。ジシアンジアミドは、使用の容易性、優れた性能特性、長い貯蔵安定性および低い毒性を有するため、全ての1成分(1K)エポキシ硬化剤の「主力製品」であると考えられることも多い。ジシアンジアミドは、液状エポキシ樹脂中にわずかに溶解するのみである白色結晶粉末状で提供される。しかし一方、エポキシ接着剤中におけるジシアンジアミド性能特性は、要求が高く、時に、塗布特性および硬化特性における所望の活性のための活性化温度が高すぎる。
【0006】
アミン硬化剤の潜在性を改善するために、通常、アミン硬化剤を、ワンパッケージ系においてある程度の期間、エポキシ化合物と共存することができる、大気温度で固体のものから選択する。このような組成物の硬化反応は、硬化剤の溶融を引き起こし、エポキシドとの硬化反応を可能にする高温で開始する。しかしながら、このような潜在性アミン化合物の選択は限られている。
【0007】
米国特許第3488742号明細書および米国特許第3639657号明細書には、酸無水物(例えばフタル酸無水物)、およびポリアミン(例えばジエチレントリアミン)の、ほぼ等しい割合のモル量での反応生成物が開示されている。それらは、エポキシ樹脂系の硬化におけるジシアンジアミドに対する効果的な潜在性促進剤であることが報告されている。ジシアンジアミドと、上記の酸無水物およびポリアミンの反応生成物との組合せは、エポキシ樹脂の併用において、大気温度で貯蔵する際に長期安定な系を与えるが、それにも関わらず、約100〜150℃の高温で比較的短時間で硬化する際に、十分なまたは良好な特性の硬化させた生成物を与えることが述べられている。
【0008】
欧州特許出願公開第440583号明細書によれば、ポリアリルナジン酸無水物と種々のポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,3-ジアミノプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、イミノ-ビス(プロピルアミン)およびメチル-イミノ-ビス(プロピルアミン)との反応生成物は、1分子あたり1より多くの1,2-エポキシ基を有するエポキシ樹脂中で使用するための潜在性硬化剤である。これらの生成物およびエポキシ樹脂の混合物は、室温で長期間安定であるが、高温で迅速に硬化し、高いガラス転移温度を有する生成物を与えることが述べられている。
【0009】
米国特許第3261882号明細書から、ポリイソフタルアミドおよび熱硬化性のエポキシ樹脂液から作られた接着剤が知られている。この文献によれば、ポリイソフタルアミドを、中でも、C〜C16-ジアミン、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンと、イソフタル酸とから作ることができる。
【0010】
カルボン酸含有ミクロゲル、特に架橋コポリマーと、窒素含有塩基との反応生成物が、欧州特許出願公開第816393号明細書に開示されている。上記のミクロゲルは、カルボン酸と、N−含有塩基との、0〜200℃での反応(ここで、カルボン酸基の数は、塩基性N原子の数に少なくとも等しい)により調製することができる。上記の反応生成物を硬化剤として含有するエポキシ樹脂組成物も開示されている。この文献によれば、反応生成物は、不飽和カルボン酸と、多官能性架橋剤、および任意にCOOH基を含有しないビニルモノマーとのコポリマーであることが好ましい。適当な不飽和酸として、(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(2-(メタ)アクリロイル)エステル、マレイン酸またはフマル酸、(またはそれらのモノメチルエステルまたはモノエチルエステル)、イタコン酸、ケイ皮酸、クロトン酸、4-ビニルシクロヘキサンカルボン酸、4-ビニルフェニル酢酸または4-ビニル安息香酸が挙げられている。架橋剤は、特に、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノール-Aジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルエステル、ジビニルシクロヘキサンまたはジビニルベンゼンである。カルボキシル基を含有しないビニルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートまたはブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートまたはスチレンである。適当な窒素塩基としては、アミン、(メタ)アミンまたはイミダゾールが開示されている。
【0011】
したがって、従来技術において、種々のアミン硬化剤が、アミノ基の活性を減らすためおよび/またはそれらを大気温度で固体状態に変換するために、他の化合物で修飾されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3488742号明細書
【特許文献2】米国特許第3639657号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第440583号明細書
【特許文献4】米国特許第3261882号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第816393号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第1級アミノ基のエポキシドに対する不活性化に効果を有し、その結果、硬化性組成物の潜在性を改善するアミン硬化剤に対する需要がなお存在する。その上、金属表面への接着の改善、ならびに組成物を硬化するのに必要な熱の低減も望まれている。さらには、高温下での、エポキシ-イミダゾール硬化系の硬化反応の促進も有利である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの主題は、一般式(1):
【化1】

で示されるクマリン化合物と、一般式(2):
【化2】

で示されるアミンとの反応により得られる潜在性硬化剤を提供することである。
【0015】
式(1)中、XおよびYは、独立して、H、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基またはアセチル基であってよく、Zは、H、OH、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよい。
【0016】
式(2)中、「a」は、1または2の整数であり、Aは、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよく、Bは、アルキル基(a=1の場合)、アルキレン基(a=2の場合)、ヘテロアルキル基(a=1の場合)、ヘテロアルキレン基(a=2の場合)、芳香族基、ヘテロ芳香族基、ヒドロキシル基(a=1の場合)、第2級アミノ基(a=2の場合)、OまたはS(a=2の場合)であってよく、ここで、Bは価数「a」を有する(BはAに「a」の数の結合を形成することを意味する)か、または、Bは単独で、もしくはAおよびBが一緒になって、脂肪族環系、ヘテロ脂肪族環系、または芳香族環系から選択される環系を形成する。AおよびBは、独立して、完全に飽和(すなわち二重結合または三重結合を含有しない)、部分的に不飽和(すなわち1以上の二重結合または三重結合を含有する)であってよく、または芳香族環系を含有または形成してよい。
【0017】
例えば、式2中のAは、例えば、x=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上を有する−(CH−)基であってよい。この場合において、「a」=1の場合、Bはメチル基(したがって上記アミンはモノアルキルアミンである)、ヒドロキシル基(したがって上記アミンはモノアルカノールアミンである)であってよく、または「a」=2でありBがメチレン基であるか(したがって直鎖状アルキレンジアミンが形成されるか)、またはAおよびBが一緒になって環系を形成してよい。「a」=2で、かつ、Bが-O-または-S-である場合、上記のアミンは、ジ(アミノアルキル)エーテルまたはジ(アミノアルキル)チオエーテルである。あるいは、AおよびBを、例えば「Jeffamine(登録商標)」として知られる種類のポリ(オキシアルキレン)鎖を一緒になって形成するように(したがって、上記のアミンはポリ(オキシアルキレン)ジアミンである)選択してよい。さらに、AおよびBを、以下に明示的に指定するアミンが形成されるように選択してよい。
【0018】
本発明のさらなる態様は、上記に示した少なくとも1種の潜在性硬化剤および1分子あたり少なくとも2個の1,2-エポキシ基を有するポリエポキシドを含有する硬化性組成物である。
【0019】
さらに、本発明の他の主題は、以下の工程を含む、式(1)で示されるクマリン化合物および式(2)で示されるアミンから硬化剤を製造する方法である:
(a)少なくとも1種のモノアミンまたはジアミンとクマリンとを、任意に極性溶媒の存在下で、混合する工程、
(b)上記のモノアミンまたはジアミンが、上記のクマリンと完全に反応するまで、室温(20℃)〜70℃の温度に反応混合物を加熱する工程、
(c)クマリンアミン反応生成物に対する非溶媒中に反応混合物を沈殿させる工程、
(d)沈殿を液相からろ過する工程、および
(e)クマリンアミン反応生成物を乾燥する工程。
【発明を実施するための形態】
【0020】
式(1)で示されるクマリン化合物の適当な例は、7,8-ジヒドロキシ-1-ベンゾピラン-2-オン(ダフネチンとしても知られる)、6,7-ジヒドロキシ-1-ベンゾピラン-2-オン(エスクレチンとしても知られる)、7-ヒドロキシ-1-ベンゾピラン-2-オン(ウンベリフェロンとしても知られる)、4-メチル-7,8-ジヒドロキシ-1-ベンゾピラン-2-オン(4-メチルダフネチンとしても知られる)および特に基本的な1-ベンゾピラン-2-オン(クマリン)である。
【0021】
式(2)で示されるアミンは、好ましくは、以下からなる群に例示されるようなモノアミン:ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、N−アミノエチル-ピペリジン、1-アミノ-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、ベンジルアミン、アミノフェノール、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノール、またはポリアミン、特に、以下からなる群に例示されるようなジアミン:テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、2-メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサ-メチレンジアミン、5-メチル-ノナメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)-プロパン、ポリオキシテトラメチレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ポリ-オキシエチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン(Huntsman社製、「Jeffamine(登録商標)」の製品名としても知られる)、m-キシリレンジアミン(m-XDA)、p-キシリレンジアミン(p-XDA)、1,4-ビス(アミノプロピル)ピペリジン(BAPP)、1-プロパンアミン,3,3'-(オキシビス(2,1-エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール、Air Products製、「ANCAMINE(登録商標) 1922A」の製品名としても知られる)、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(一般に「イソホロンジアミン」と称される)、シクロヘキシレンジアミン、4,4'-イソプロピリデンジシクロヘキシルジアミン、および3,3'-ジメチル-4,4'-イソプロピリデンジシクロヘキシルジアミン、または上記のモノアミンおよび/またはジアミンの混合物から選択することができる。
【0022】
クマリンとモノアミンとの反応生成物は、モノアミンと選択したクマリンとの反応によって、モノアミン化合物前駆体から1段階で、定量的に得ることができる。メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、Ν,Ν-ジメチルアセトアミド(DMA)またはテトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒を使用することが適当であり得る。必要であれば、極性溶媒の混合物を使用してよい。反応生成物は、通常、定量的収率で得られ、次の一般式(3):
【化3】

[式(3)中、A、BおよびZは、上記で「a」=1に対して定義したものと同じ意味を有する]
を有する。
【0023】
通常は、第1級モノアミンを、アミン2当量:クマリン1当量の化学量論比で反応させる。
【0024】
所望であれば、反応混合物に塩基性触媒を添加することにより、クマリンとアミンとの反応速度を高めることができる。適当な塩基性触媒は、第3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、Ν,Ν-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-ベンジルアミン、ピリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、Ν,Ν-ジメチルアミノピリジン、モルホリン誘導体、例えばビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、グアニジン、例えば1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、および特にアミジン結合を有する複素環化合物、例えばジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)である。
【0025】
選択したアミンが第1級ジアミンである場合、第1級ジアミンを、アミン1当量:クマリン1当量の化学量論比で、モノアミンの反応と基本的に同様の条件下(溶媒および/または触媒の任意の使用を含む)で反応させる。合成混合物からの反応生成物の分離は、付加物に対する非溶媒である非極性溶媒中で沈殿させることにより行ってよい。付加物に対する非溶媒または貧溶媒は、例えばジエチルエーテル、ジクロロメタン、アルコール、アセトンまたはそれらの混合物である。
【0026】
この場合、形成した付加物は、式(4):
【化4】

で示される反復構造を有するオリゴマー組成物である。
【0027】
式(4)中、A、BおよびZは、上記において、式(1)および(2)で、それぞれ、「a」=2に対して定義したものと同じ意味を有する。
【0028】
通常、式(4)で示されるオリゴマーの分子量(Mn)は、2000〜20000、好ましくは4000〜10000の範囲である。
【0029】
硬化性組成物を、式(3)および/または式(4)で示される潜在性硬化剤と、1分子あたり少なくとも2個の1,2-エポキシ基を有する少なくとも1種のポリエポキシドとを、室温(約20℃)またはわずかに高温(例えば約50℃まで)で、混合することにより調製することができる。
【0030】
使用する少なくとも1種のポリエポキシドが、多官能性エポキシ含有成分、例えばC〜C28アルキル-、ポリ-フェノールグリシジルエーテル;ピロカテコールのポリグリシジルエーテル、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメタン(またはビスフェノールF、例えば日本化薬(日本)より市販されているRE-303-SまたはRE-404-Sなど)、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(またはビスフェノールA)、4,4'-ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチルジフェニルプロパン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン;遷移金属錯体のポリグリシジルエーテル;上記ジフェノールの塩素化生成物および臭素化生成物;ノボラックのポリグリシジルエーテル;ジハロアルカンまたはジハロゲンジアルキルエーテルを有する芳香族ヒドロカルボン酸の塩をエステル化することにより得られるジフェノールのエーテルをエステル化することにより得られるジフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールおよび少なくとも2個のハロゲン原子を含有する長鎖ハロゲンパラフィンを縮合することにより得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールノボラックエポキシ;クレゾールノボラックエポキシ;およびそれらの組合せを含んでよい。
【0031】
市販され入手できるエポキシ成分のうち、本発明において使用するのに適したものは、フェノール性化合物のポリグリシジル誘導体、例えばEPON 825、EPON 826、EPON 828、EPON 1001 、EPON 1007 および EPON 1009の商品名で入手できるもの、脂環式エポキシ含有化合物、例えばHuntsman製 Araldite CY179 または水性分散体、Hexion製のEPI-REZ 3510、EPI-REZ 3515、EPI-REZ 3520、EPI-REZ 3522、EPI-REZ 3540またはEPI-REZ 3546;Dow Chemical社製のDER 331、DER 332、DER 383、DER 354、およびDER 542;Huntsman, Inc.製のGY285;および日本化薬(日本)製のBREN-Sの商品名のものである。他の適当なエポキシ成分としては、ポリオールなどから調製したポリエポキシドおよびフェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体が挙げられ、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体は、Dow Chemical社からDEN 431、DEN 438、およびDEN 439の商品名で市販されており、水性分散体ARALDITE PZ 323がHuntsmanより市販されている。
【0032】
クレゾール類似体も市販されており、例えばHuntsman Inc社よりECN 1273、ECN 1280、ECN 1285、およびECN 1299または水性分散体ARALDITE ECN 1400である。SU-8およびEPI-REZ 5003は、Hexion社より市販されているビスフェノールA型エポキシノボラックである。接着性、柔軟性および強度を改善するためのエポキシまたはフェノキシ官能性改質剤は、例えばHELOXYブランドのエポキシ改質剤 67、71 、84、および505である。使用する際、上記のエポキシまたはフェノキシ官能性改質剤を、熱硬化性樹脂に対して約1:1〜約5:1の量で使用してよい。
【0033】
もちろん、異なるエポキシ樹脂(エポキシ成分)を組み合わせて使用することも、本発明における使用に望ましい。
【0034】
本発明において使用するエポキシ樹脂の硬化を、加熱する際に所望の硬化を促進することができる他の物質を組み込むことにより、補ってよい。本明細書において、このような物質を「硬化剤」と称するが、本分野の当業者によって、加硫剤、ハードナー、促進剤、活性化剤、および触媒と称されるものも含む。特定の硬化剤は、触媒作用によりエポキシ樹脂の硬化を促進するが、樹脂の反応に直接関与し、形成させた熱硬化性高分子ネットワーク中に導入されるものもある。エポキシ樹脂分野において既知のいずれの硬化剤(加硫剤)(「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」における対応する章を参照)を、アミン-エポキシ付加物に加えて、本発明で使用してよいが、1種以上の窒素含有化合物、例えばイミダゾール(例えば2-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(BMI)などを含む)、アミジン結合を有する複素環化合物、例えばジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)、置換尿素、例えばp-クロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(MONURON)、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素(FENURON)または3,4-ジクロロフェニル-N,N-ジメチル尿素(DIURON)、第3級アリールアミンまたはアルキルアミンようなアミノ化合物、例えばベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)フェノール、ピペリジンまたはピペリジン誘導体の、アミン塩、および第4級アンモニウム化合物を、補助硬化剤として使用することが望ましい(ただし、通常の貯蔵条件下で受け入れがたいほど著しいエポキシ樹脂反応をもたらす化合物を避ける)。他のグアニジン化合物を使用してもよいが、ジシアンジアミド(Air Productsより「AMICURE CG」の商標名で市販されている)が特に好ましい補助硬化剤である。本発明の望ましい一態様において、ジシアンジアミド(好ましくは、熱硬化可能な組成物の全重量に基づいて約0.5〜8重量%)を、アミン-エポキシ付加物(好ましくは約0.1〜5重量%)と組み合わせて、硬化系において使用する。しかしながら、上記の硬化系を、通常の貯蔵条件下で、長期にわたり、熱硬化可能な組成物の硬化を有意な程度に触媒しないように選択すべきである。硬化系の成分の量および特性を、熱硬化可能な組成物が、約50℃での貯蔵において硬化特性における重大な損失なく、少なくとも2週間安定なままであるが、約135℃で加熱すると約10分以内に硬化するように選択することが好ましい。特に好ましい硬化剤は、複素環アミジン、例えばDBU、DBN、イミダゾールおよびその誘導体である。
【0035】
本発明の硬化性組成物に含有させることができる他の添加剤は、強化剤、可塑剤、増量剤、反応性希釈剤、ミクロスフェア、フィラー、および補強剤、例えばコールタール、ビチューメン、織物繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、鉱物ケイ酸塩、マイカ、粉末化石英、水和アルミニウム酸化物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、シリカ、エアロゲルまたは金属粉末、例えばアルミニウム粉末または鉄粉、ならびに顔料および染料、例えばカーボンブラック、酸化物着色剤および二酸化チタン、難燃剤、チキソトロピック剤、フロー調整剤、例えばシリコーン、ワックスおよびステアレート(これらの一部は、離型剤としても使用できる)、接着促進剤、酸化防止剤および光安定剤であり、これらの多くの粒径および分布を制御し、本発明の重合性組成物の物理的性質および性能を変化させてよい。
【0036】
使用に際し、所望のレオロジー特性を与えるのに十分な量でフィラーを使用する。フィラーは、組成物の全重量に対し、約50重量%まで、例えば約5〜約32重量%、例えば約10〜約25重量%の量で使用してよい。フィラーは、無機のもの、例えばシリカであってよい。例として、上記のシリカフィラーは、シリカナノ粒子であってよい。
【0037】
反応性希釈剤は、本発明の一態様によるバインダー組成物の別の成分である。本発明に関して、反応性希釈剤は、エポキシ基(グリシジルエーテルまたはグリシジルエステル)を含有し、脂肪族構造または芳香族構造を有する低粘性物質である。これら反応性希釈剤は、一方で、軟化点より上にバインダー系の粘性を低くすることをもたらし、他方で、それらは、射出成形における予備ゲル化工程を制御する。本発明により用いることができる反応性希釈剤の例は、C〜C14-モノアルコールまたはアルキルフェノールの、モノグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテルまたはトリグリシジルエーテルおよびカシューナットシェル油のモノグリシジルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールまたはシクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテルおよびC〜C24-カルボン酸のグリシジルエステルまたはそれらの混合物である。
【0038】
任意に、少なくとも1種の希釈剤は熱伝導流体であり、より好ましくは芳香族油、グリコール油、鉱油、フルオロカーボン油、および/またはシリコーン油から誘導した熱伝導流体であり、最も好ましくは酸化安定性を有する熱伝導流体である。好ましい熱伝導流体としては、Sasol North America Inc.製のMARLOTHERM LH、MARLOTHERM N、MARLOTHERM P1 、MARLOTHERM P2、MAR-LOTHERM SH、および MARLOTHERM X が挙げられる。
【0039】
伸縮可能なストラクチュラルフォームを得るために、組成物は「発泡剤」を追加的に含む。あらゆる既知の発泡剤、例えば分解により気体を遊離させる「化学的発泡剤」、または、「物理的発泡剤」、すなわち中空ビーズを膨張させることが、発泡剤として特に適当である。物理的発泡剤の例は、Akzo Nobel ABより、EXPANCELの商標名で市販されている、またはHenkelよりDUALITEの商標名で市販されている膨張性マイクロスフェアである。化学的発泡剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボキサミド、ジ-ニトロソ-ペンタメチレンテトラミン、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニル-スルホン-3,3'-ジスルホヒドラジド、ベンゼン-1,3-ジスルホヒドラジドおよびp-トルエンスルホニルセミカルバジドである。
【0040】
本発明の好ましい硬化性組成物は、以下を含む:
(a)少なくとも1種の反応性エポキシ樹脂10〜60重量%、好ましくは30〜40重量%、
(b)少なくとも1種の本発明の潜在性硬化剤2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、
(c)任意に柔軟剤0〜25重量%、好ましくは1〜15重量%、
(d)任意に反応性希釈剤0〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、
(e)任意に少なくとも1種の微粒子フィラー0〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、
(f)任意に促進剤0〜5重量%、
(g)任意に発泡剤0〜3重量%、
全成分の合計は100重量%である。
【0041】
本発明の硬化性組成物を調製するために、エポキシ樹脂、潜在性硬化剤および任意の成分、例えば柔軟剤、反応性希釈剤を、フィラー、繊維および顔料と共に、従来の混合ユニット(例えばプラネタリミキサー、ニーダー、スピードミキサーなど)中で均質化する。最終段階において、任意に促進剤および/または発泡剤をブレンドする。混合中の混合物の温度が約40〜60℃を超えないように注意すべきである。
【0042】
既に述べたように、本発明の硬化性組成物は、コーティング、接着剤(特に構造用接着剤)、シーラント、封入剤、補強性ストラクチュラルフォームおよび強化材料(例えばプリプレグおよびトウプレグ)を製造するためのマトリックスとして特に適当であり、および/または射出成形または押し出し成形において、または本発明の重合性組成物で浸した繊維の層または束から形成させたプリプレグまたはトウプレグの形成において使用することができる。硬化性組成物は、基本的に、熱硬化型1Kまたは2K成分エポキシ-アミン組成物である。
【0043】
本発明を、以下の実施例において、より詳細に説明するが、ここで、選択した例は、本発明の構成要件の範囲が限定されることを意図するものではなく、単に、個々の態様および本発明の有利な効果をモデルを用いて示すことを意図するものである。
【0044】
特記しない限り、以下の実施例に記載する組成物の成分量は、全て、重量部または重量パーセントである。
【実施例】
【0045】
〔実験例1:クマリンのモノアミン付加物の合成〕
クマリン(0.3775g、2.583mmol)、2.0等モルのn-ヘキシルアミン(0.5324g、5.261mmol)および0.1等モルのDBU(0.0418g、0.275mmol)を添加し、まとめて混合した。混合物を、炉内で反応させ、50℃で10日間維持した。得られた粗混合物を、分取薄層クロマトグラフィー(TLC)で分離し(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1/4(体積/体積))、対応するクマリンモノアミン(1:2)付加物(0.8287g、2.378mmol、収率=92%)を得た。
【0046】
〔実験例2〜5:クマリンのジアミン付加物の合成〕
フラスコ中のクマリンDMSO溶液(5.537g、37.89mmol、濃度=3M)に、1.0等モルのm-キシリレンジアミン(m-XDA)(5.168g、37.95mmol)および0.1等モルのDBU(0.579g、3.803mmol)を添加した。得られた混合物を、50℃で10日間、撹拌しながら反応させた。ジエチルエーテル中へ沈殿させて分離した後、対応するクマリン-m-XDA(1:1)付加物を沈殿として得た(10.213g、収率=95%)。他のクマリン-ジアミン(1:1)付加物を、同様にして得た(表1参照)。
【表1】

【0047】
〔実験例6〜10:クマリンのアミン付加物を含有する硬化性組成物〕
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Bis A-DGE)、クマリンアミン付加物および、任意に、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(BMI)を、スピードミキサー(AR-100、株式会社シンキー、日本)で、室温で、空気中で、および真空下で脱気して混合し、表2に示した本発明の硬化性組成物を得た。
【表2】

【0048】
〔参考実験例11〜15:遊離アミン含有硬化性組成物〕
比較のために、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Bis A-DGE)および遊離アミンに由来する硬化性組成物をスピードミキサー(AR-100、株式会社シンキー、日本)で、室温で、空気中で、および真空下で脱気して混合し、表3に示す参考組成物を得た。
【表3】

【0049】
〔硬化反応〕
実験例6〜15の硬化性組成物を、Differential Scanning Calorimetry(DSC)によって、力学的加熱モード(dynamic heating mode)(10℃/分)で解析した。それぞれの製剤10mgを、DSCについて加熱した。得られた熱発生特性を表4に示す。本発明の付加物を硬化剤として使用する全ての場合において、開始温度およびピーク最高温度が高くなる結果が得られ(表4)、この結果は、本発明の組成物6〜10が、参考組成物11〜15よりも、ずっとより安定であることを示している。同一時間で、本発明のアミン付加物で硬化させた組成物の硬化熱(ΔH)は、純粋な(ポリ)アミンで硬化させたものよりも、ずっとより低く、このことは、本発明のクマリン-アミン付加物を硬化剤として使用することにより、硬化熱が抑えられることを示す。
【表4】

【0050】
〔等温加熱モードでのDSCによる硬化性組成物の解析〕
組成物を、50℃または100℃で等温加熱した。硬化熱はほとんど観察されず、このことは、これらの加熱条件下で、反応がうまく抑制されたことを示す。一方で、温度を150℃まで上げた場合、硬化反応が進行するため熱の発生が顕著になり、10分以内に終わりに達し、このことは、この硬化条件下で組成物が早く硬化したことを示す。要約すると、本発明の組成物のDSC解析により、アミン付加物を硬化剤として適用することにより、50℃以下での組成物の安定性が、未修飾アミンを硬化剤として含有する組成物よりも、よりずっと高くなることが明らかになった。
【0051】
〔接着特性〕
実験例8および10の組成物を、金属結合用接着剤として試験した。
【0052】
接着試験を、ASTM D1002法(「引張り荷重による、金属試験片に接着結合した重ね合わせ接着継手の見掛けの剪断強度(金属対金属)」)に従って、引張試験機(オリエンテック社(日本)により製造されたモデル:RTC-1350A)を用い、試験標本(大きさ=25.4×101.6×1.6mm、グリッドブラストされたもの)として、軟鋼(JISC3141、SPCC-SD)、銅(JISH3100、C1 100P)およびアルミニウム(JISH4000、A5052P)基材を用いて行った。試験を、50%相対湿度の大気下、室温で行った。
【0053】
実施例8および10の組成物を金属試料上に塗布し、150℃で1時間硬化させた。3つの異なる基材について、クマリン-ジアミン付加物を含有する本発明の組成物は、対応する未修飾アミンを含有する組成物13よりも高い接着強度を示した。同様に、組成物10を、金属結合用接着剤として用いた。これを金属試料上に塗布し、150℃で1時間硬化させた。クマリンモノアミン付加物を含有する組成物は、対応する未修飾アミンを含有する組成物よりも高い接着強度を示した(表5)。
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
【化1】

[式中、XおよびYは、独立して、H、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基またはアセチル基であってよく、Zは、H、OH、アルキル基、ヘテロアルキル基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよい]
で示されるクマリン化合物と、
一般式(2):
【化2】

[式中、「a」は、1または2であり、
Aは、アルキレン基、ヘテロアルキレン基、芳香族基、ヘテロ芳香族基であってよく、
Bは、アルキル基(a=1の場合)、アルキレン基(a=2の場合)、ヘテロアルキル基(a=1の場合)、ヘテロアルキレン基(a=2の場合)、芳香族基、ヘテロ芳香族基、ヒドロキシル基(a=1の場合)、第2級アミノ基(a=2の場合)、OまたはS(a=2の場合)であってよく、ここで、Bは価数「a」を有するか、または、
Bは単独で、もしくはAおよびBが一緒になって、脂肪族環系、ヘテロ脂肪族環系、または芳香族環系から選択される環系を形成する]
で示されるアミンとの反応により得られる潜在性硬化剤。
【請求項2】
アミンは、アミン2当量:クマリン1当量の化学量論比で反応させる第1級モノアミンである、請求項1に記載の潜在性硬化剤。
【請求項3】
アミンは、アミン1当量:クマリン1当量の化学量論比で反応させる第1級ジアミンである、請求項1に記載の潜在性硬化剤。
【請求項4】
ジアミンは、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレン-ジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチル-ノナメチレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)-シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロ-ヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)-プロパン、ポリオキシテトラメチレンジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ポリオキシエチレン-ジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン(Huntsmanより「Jeffamine」の商品名でも既知である)、m-キシリレンジアミン(mXDA)、p-キシリレンジアミン(XDA)、1,4-ビス(アミノプロピル)ピペリジン、1-プロパンアミン,3,3'-(オキシビス(2,1-エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール、Air Productsより「ANCAMINE 1922A」の商品名でも既知である)、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(一般に「イソホロンジアミン」と称される)、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、シクロヘキシレンジアミン、4,4'-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、4,4'-イソプロピリデンジシクロヘキシルジアミン、および3,3'-ジメチル-4,4'-イソプロピリデンジシクロヘキシルジアミンまたはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の潜在性硬化剤。
【請求項5】
モノアミンは、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、N-アミノエチル-ピペリジン、1-アミノ-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン、ベンジルアミン、アミノフェノール、2-アミノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、5-アミノ-1-ペンタノールまたはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の潜在性硬化剤。
【請求項6】
クマリンは1-ベンゾピラン-2-オンである、請求項1〜5のいずれかに記載の潜在性硬化剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種の潜在性硬化剤、および、1分子あたり少なくとも2個の1,2-エポキシ基を有するポリエポキシドを含有する、硬化性組成物。
【請求項8】
アミン/エポキシ反応に対する少なくとも1種の触媒または促進剤をさらに含有する、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
(a)少なくとも1種の反応性エポキシ樹脂、
(b)任意に柔軟剤、
(c)任意に反応性希釈剤、
(d)少なくとも1種の微粒子フィラー、
(e)請求項1〜6のいずれかに記載の硬化剤、
(f)任意に促進剤、
(g)任意に発泡剤
を含有する、請求項7または8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれかに記載の硬化剤を製造するための方法であって、
(a)少なくとも1種のモノアミンまたはジアミンとクマリンとを、任意に極性溶媒の存在下で、混合する工程、
(b)該モノアミンまたはジアミンが該クマリンと完全に反応するまで、反応混合物を室温〜70℃の温度に加熱する工程、
(c)クマリンアミン反応生成物に対する非溶媒中に反応混合物を沈殿させる工程、
(d)沈殿を液相からろ過する工程、および
(e)クマリンアミン反応生成物を乾燥する工程
を含む方法。
【請求項11】
溶媒を、メタノール、エタノール、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、Ν,Ν-ジメチルアセトアミド(DMA)およびテトラヒドロフラン(THF)またはそれらの混合物から選択する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アミンクマリン反応に対する促進剤としての塩基性触媒を添加することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
塩基性触媒がアミジン結合を有する複素環化合物である、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2013−507456(P2013−507456A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532467(P2012−532467)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063157
【国際公開番号】WO2011/042062
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】