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潜在性硬化剤及びその製造方法
説明

潜在性硬化剤及びその製造方法

【課題】 低温領域での熱応答性に優れるとともに、硬化性と貯蔵安定性とを両立することが可能な潜在性硬化剤及びその製造方法、並びに熱硬化型樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明の潜在性硬化剤は、多孔質無機粒子と、該多孔質無機粒子に保持された有機金属化合物とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜在性硬化剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、接着性等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。
【0003】
エポキシ樹脂の硬化剤の一つとして潜在性硬化剤が用いられている。このうちエポキシ樹脂に対する低温硬化性を示す硬化剤として、下記非特許文献1にはアルミニウムキレート化合物とシラノール化合物との併用が報告されている。この硬化方法によれば、アルミニウムキレート化合物とシラノール化合物との反応により、アルミノシリケート錯体が生成し、このアルミノシリケート錯体がシラノール化合物のヒドロキシル基を活性化することで、プロトンが放出され、エポキシ樹脂のカチオン重合が進行する。
【0004】
ところで、アルミニウムキレート化合物とシラノール化合物によるエポキシのカチオン重合反応は、上記の化合物とエポキシ樹脂とが反応系中に存在すると室温でも反応が進行する。これを取り扱い性及び貯蔵安定性に優れた一液型の熱硬化型樹脂組成物にするために、アルミニウムキレート化合物を潜在化させる技術が提案されている(例えば、下記特許文献1〜5を参照)。
【0005】
また、アミン化合物を多孔質粒子内に内包し、その表面を高分子化合物で被覆することすることによりエポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を向上させる技術も提案されている(例えば、下記特許文献6を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】早瀬修二、他著,「活性なケイ素化合物とアルミニウム錯体からなるエポキシ樹脂硬化触媒と他の付加反応への応用」,日本化学会誌,第1号,P1〜14,1993年
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−212537号公報
【特許文献2】特開2002−363255号公報
【特許文献3】特許第4381255号公報
【特許文献4】特開2009−221465号公報
【特許文献5】特開2007−16202号公報
【特許文献6】特開2011−12168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1及び2には、アルミニウムキレート化合物の粒子(母粒子)の表面に、ハイブリダイゼーション法により、ポリビニルアルコール微粒子(子粒子)あるいはフッ素樹脂系微粒子(子粒子)を付着させてなるマイクロカプセル型の潜在性硬化剤が開示されている。しかし、この硬化剤は、表面に凹凸のムラが生じやすく、安定した硬化特性が得られないという問題があり、硬化条件をコントロールすることが困難であった。
【0009】
上記特許文献3には、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂にアルミニウムキレート化合物を保持させてなるマイクロカプセル型の潜在性硬化剤が開示されている。しかし、この硬化剤は、潜在性を付与するために多官能イソシアネート化合物の界面重合をマイクロカプセル壁として利用しているため、低温領域での熱応答性に問題があった。
【0010】
上記特許文献4には、多官能イソシアネート化合物の界面重合の際にイソシアネート基との反応性の低いラジカル重合性化合物を共存させてラジカル重合を同時に行うことにより得られる多孔性樹脂に、アルミニウムキレート化合物を保持させてなるマイクロカプセル型の潜在性硬化剤が開示されている。しかし、上記の方法では、界面重合とラジカル重合を同時に行うという性質上、安定して多孔性樹脂を得ることができないという問題があり、硬化性と貯蔵安定性を調整することが困難であった。
【0011】
上記特許文献5には、シルセスキオキサン型オキセタン誘導体の重合体とアルミニウムキレート硬化剤とが複合化したコアの周囲をエチルセルロースのシェルで被覆されている構造のマイクロカプセル型の潜在性硬化剤が開示されている。しかし、アルミニウムキレート化合物にシルセスキオキサン型オキセタン誘導体を、非水溶性又は難水溶性セルロースエーテルの存在化で加熱して反応させているため、良好なコアシェル型カプセル構造が得られず、十分な貯蔵安定性を得ることが困難であった。
【0012】
また、上記特許文献1〜5に記載の潜在性硬化剤は以下の問題を有している。すなわち、上記特許文献1〜5の潜在性硬化剤は、その調製時に造粒や界面重合及びラジカル重合などの化学合成的に粒子を調製するため、調製条件によっては得られる潜在性硬化剤の粒子径が変化し、単分散な粒子を安定に得ることが困難である。単分散性が低い潜在性硬化剤を使用した場合、粒径の違いに起因する表面積の差から硬化剤成分の保持性が変化するため、硬化性や貯蔵安定性が安定しない場合がある。
【0013】
一方、上記特許文献6に記載の多孔質粒子状潜在性硬化剤は、アミン化合物を保持した多孔質粒子表面を高分子化合物で被覆することにより、120℃で10分間の硬化時間が必要であり、エポキシ樹脂の低温短時間硬化が困難であった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低温領域での熱応答性に優れるとともに、硬化性と貯蔵安定性とを両立することが可能な潜在性硬化剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明は、多孔質無機粒子と、該多孔質無機粒子に保持された有機金属化合物とを有する潜在性硬化剤を提供する。
【0016】
本発明の潜在性硬化剤によれば、上記構成を有することにより、低温領域で十分な熱応答性を得ることができ、しかも硬化性と貯蔵安定性とを両立することができる。また、本発明の潜在性硬化剤によれば、多孔質無機粒子に有機金属化合物を保持させることにより単分散性の高い潜在性硬化剤を実現することができ、上記の効果を安定して得ることができる。
【0017】
上記多孔質無機粒子は、潜在性硬化剤に必要な機械的強度の観点から、酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、ホウ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、酸化ナトリウム及びリン酸からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を主成分とするものが好ましい。
【0018】
また、上記多孔質無機粒子は、原材料の入手し易さの観点から、多孔質シリカ粒子、多孔質アルミナ粒子、多孔質チタニア粒子、多孔質ジルコニア粒子及びゼオライトからなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0019】
更に、上記多孔質無機粒子は、粒子径の調整が容易となる点で、多孔質シリカ粒子であることが好ましい。
【0020】
上記多孔質無機粒子は、平均粒子径が50nm〜5000μmであるものを用いることができる。
【0021】
また、上記多孔質無機粒子は、平均細孔径が0.4nm〜200nmであるものを用いることができる。
【0022】
更に、上記多孔質無機粒子は、比表面積が5m/g〜2000m/gであるものを用いることができる。
【0023】
また、上記多孔質無機粒子は、細孔容積が0.1ml/g〜3.0ml/gであるものを用いることができる。
【0024】
本発明の潜在性硬化剤は、上記有機金属化合物として、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物、有機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、有機ロジウム化合物、有機鉄化合物、有機クロム化合物及び有機ニッケル化合物からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を含むことができる。
【0025】
本発明の潜在性硬化剤をシラン系化合物とともにエポキシ樹脂の硬化に用いる場合にシラン系化合物との相互作用の観点から、上記有機金属化合物は有機アルミニウム化合物であることが好ましい。
【0026】
この場合、特にシラン系化合物との相互作用によってエポキシ樹脂の硬化を促進する観点から、上記有機アルミニウム化合物として、アルミニウキレート化合物又はアルミニウムアルコレート化合物が含まれることが好ましい。
【0027】
また、エポキシ樹脂の速硬化性の観点から、上記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノセカンダリーブチレート、アルミニウムモノアセチルアセトネート・ビスオレイルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムキレート化合物が含まれることが好ましい。
【0028】
更に、有機アルミニウム化合物の合成および入手し易さの観点から、上記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート及びアルミニウムセカンダリーブチレートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムアルコレート化合物が含まれることが好ましい。
【0029】
また、貯蔵安定性とエポキシ樹脂の速硬化性とを両立する観点から、上記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネートが含まれることが好ましい。
【0030】
本発明はまた、上記本発明の潜在性硬化剤の製造方法であって、有機金属化合物と有機溶媒とを含む有機金属化合物含有液を、多孔質無機粒子に含浸させる工程を備える、潜在性硬化剤の製造方法を提供する。
【0031】
本発明の潜在性硬化剤は熱硬化型樹脂組成物に配合することができ、このような熱硬化型樹脂組成物は、低温領域で十分な熱応答性を得ることができ、しかも硬化性と貯蔵安定性とを両立することができる。
【0032】
本発明の潜在性硬化剤を熱硬化型樹脂組成物に配合する場合、潜在性硬化剤が有機金属化合物として有機アルミニウム化合物を有し、熱硬化型樹脂がエポキシ樹脂であり、シラン系化合物を更に含有するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、低温領域での熱応答性に優れるとともに、硬化性と貯蔵安定性とを両立することが可能な潜在性硬化剤及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1〜4で調製した熱硬化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である。
【図2】実施例5〜7で調製した熱硬化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である。
【図3】実施例8及び9で調製した熱硬化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である。
【図4】実施例10及び11で調製した熱硬化型エポキシ樹脂組成物のDSC測定図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本実施形態に係る潜在性硬化剤は、多孔質無機粒子と、該多孔質無機粒子に保持された有機金属化合物とを有する。
【0036】
本発明における保持とは、所望の硬化開始温度までの加熱又は加圧によっては有機金属化合物が多孔質無機粒子から放出されない状態をいう。但し、本発明においては、潜在性硬化剤に所定の熱又は圧力を加えたときに、多孔質無機粒子に保持されている有機金属化合物が放出される状態となることが重要である。
【0037】
上記で定義される保持の状態を満たすのであれば、有機金属化合物は、多孔質無機粒子に分子間力による物理的な吸着又は化学的な結合生成等によって固定化された状態であってもよく、粒子中にある細孔中に固定化されずに存在していてもよい。また、有機金属化合物は、多孔質無機粒子の表面に存在していてもよく、或いは多孔質無機粒子の細孔内に存在していてもよいが、良好な貯蔵安定性が得られる点で多孔質無機粒子の細孔内に存在することが好ましい。
【0038】
本実施形態の潜在性硬化剤は、多孔質無機粒子に保持された有機金属化合物の保持量を調整することにより、硬化性と貯蔵安定性とを調整することができる。
【0039】
本実施形態の潜在性硬化剤は、有機金属化合物と有機溶媒とを含む有機金属化合物含有液を、多孔質無機粒子に含浸させることにより得ることができる。この場合、使用する多孔質無機粒子の平均粒子径、平均細孔径、細孔容積又は比表面積や、有機金属化合物含有液における有機金属化合物の濃度、有機金属化合物及び多孔質無機粒子の配合割合などを変更することにより、上記有機金属化合物の保持量を調整することができる。有機金属化合物含有液は、有機溶媒に有機金属化合物を溶解させたものが挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、クロロホルムなどが挙げられる。
【0040】
有機金属化合物含有液における有機金属化合物の濃度は、有機金属化合物含有溶液を多孔質粒子に効率よく含浸させる点で、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
【0041】
上記の方法によって得られる潜在性硬化剤は、有機溶媒を実質的に含有しないこと、具体的には、1ppm以下であることが貯蔵安定性の点で好ましい。
【0042】
無機多孔質粒子と有機金属化合物との配合割合は、無機多孔質粒子100質量部に対して、有機金属化合物が10〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましい。有機金属化合物の配合量が上記下限値未満であると、硬化させるべきエポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂の硬化性が低下する傾向にあり、上記上限値を超えると、多孔質無機粒子に保持されない有機金属化合物が存在することによる貯蔵安定性の低下が生じやすくなる。
【0043】
潜在性硬化剤における有機金属化合物の含有量は、潜在性硬化剤の質量を基準として、0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。なお、上記の含有量は以下の手順により確認される。
【0044】
潜在硬化剤のサンプルについて、酸素フロー下、500℃まで10℃/分で昇温する条件で熱重量分析を行い、150℃以下の重量減をサンプル内の残余溶媒分とし、150℃〜500℃の重量減を有機金属化合物分とする。こうして得られた残余溶媒分及び有機金属化合物分から、以下の式に基づいて潜在性硬化剤における有機金属化合物の含有量を算出する。
有機金属化合物の含有量(質量%)=(有機金属化合物分の重量)/[(潜在硬化剤のサンプル重量)−(残余溶媒分の重量)]×100
【0045】
多孔質無機粒子は、上記の有機金属化合物含有液を含浸させることで内部細孔に当該液体を十分に浸透せしめた後に、固液分離し溶剤を蒸発させることで有機金属化合物を粒子外表面、細孔表面及び細孔空間に保持することが可能なものであれば、特に制限なく用いることができる。
【0046】
本実施形態においては、化学的な安定性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化ナトリウム等の無機酸化物、ホウ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ホウケイ酸ナトリウム、リン酸塩などの無機酸塩の群から選択される1種又は2種以上の化合物を主成分とする多孔質無機粒子が好適に用いることができる。多孔質無機粒子における上記成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0047】
また、多孔質無機粒子は、粒子の機械的強度の観点から、酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、ホウ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、酸化ナトリウム及びリン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を主成分とするものが好ましい。
【0048】
具体的には、多孔質シリカ粒子、多孔質アルミナ粒子、多孔質チタニア粒子、多孔質ジルコニア粒子あるいはゼオライトのような無機多孔質粒子が挙げられる。更に、多様な粒子径のものが入手可能であること及び入手の簡便さの点から、多孔質シリカ粒子が好ましい。
【0049】
多孔質無機粒子は、1種類を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0050】
多孔質無機粒子は、潜在硬化剤としての良好な貯蔵安定性と、加熱又は加圧により保持された有機金属化合物が良好に放出されることによる硬化性との両立を図る観点から、平均粒子径、平均細孔径、細孔容積及び比表面積について所定の範囲にあるものを適宜選択することが好ましい。
【0051】
多孔質無機粒子の平均粒子径は、50nm〜5000μmが好ましく、250nm〜1000μmがより好ましく、500nm〜200μmが更により好ましい。本明細書における多孔質無機粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定することができる。
【0052】
また、多孔質無機粒子の平均細孔径は、0.4nm〜200nmが好ましく、1.0nm〜50nmがより好ましく、2.0nm〜25nmが更により好ましい。
【0053】
また、多孔質無機粒子の細孔容積は、0.1ml/g〜3.0ml/gが好ましく、0.2ml/g〜2.5ml/gがより好ましく、0.3ml/g〜2.0ml/gが更により好ましい。
【0054】
また、多孔質無機粒子の比表面積は、5m/g〜2000m/gが好ましく、25m/g〜1500m/gがより好ましく、50m/g〜1000m/gが更により好ましい。
【0055】
本発明に係る多孔質無機粒子の平均細孔径、細孔容量、及び比表面積はいずれも、例えば流動式比表面析測定装置により測定することができる。
【0056】
本実施形態で用いられる多孔質無機粒子は、平均粒子径が50nm〜5000μmであり、平均細孔径が0.4nm〜200nmであり、細孔容積が0.1ml/g〜3.0ml/gであり、比表面積が5m/g〜2000m/gであるものが好ましく、平均粒子径が250nm〜1000μmであり、平均細孔径が1.0nm〜50nmであり、細孔容積が0.2ml/g〜2.5ml/gであり、比表面積が25m/g〜1500m/gであるものがより好ましく、平均粒子径が500nm〜200μmであり、平均細孔径が2.0nm〜25nmであり、細孔容積が0.3ml/g〜2.0ml/gであり、比表面積が50m/g〜1000m/gであるものが更により好ましい。
【0057】
多孔質無機粒子は、合成後のもの或いは市販品をそのまま用いることも可能であるが、減圧乾燥により多孔質無機粒子中から水分を除去した粒子を使用することが、有機金属化合物の保持量及び反応性の観点から望ましい。
【0058】
多孔質無機粒子は、潜在性硬化剤としての用途として、粒子径が小さいほうが好ましいため、必要に応じて、例えばボールミル、粉砕機などにより、粉砕処理することも可能である。この粉砕処理は、多孔質無機粒子に対して有機金属化合物を保持させる前であっても、保持させた後であっても行うことができる。
【0059】
また、多孔質無機粒子の粒度分布は、粒子に保持される有機金属化合物の放出の観点から、小さい方が好ましい。有機金属化合物の放出性は粒子径にも依存するため、粒度分布が大きい硬化剤では、所望の温度にて速硬化が困難となる傾向にある。粒度分布の指標として、粒度分布測定結果の累積粒度分布微粒側から累積10%、50%、90%の粒径を意味するd10、d50、d90があり、d50は平均粒径となる。また、d90/d10は粒度分布比を意味し、この値が小さい方が、粒度分布が小さく、粒子が単分散である。d90/d10の値は、0.1〜10.0の間が好ましい。硬化性の制御の観点から、d90/d10は0.1〜5.0であることが好ましい。
【0060】
本実施形態で用いる有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物、有機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、有機ロジウム化合物、有機鉄化合物、有機クロム化合物及び有機ニッケル化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
有機アルミニウム化合物としては、シラン系化合物と共働してエポキシ樹脂などの熱硬化型樹脂のカチオン重合を開始させる機能を有する化合物が挙げられる。カチオン重合性の点から、好適にはアルミニウムキレート化合物又はアルミニウムアルコキシド化合物が挙げられる。
【0062】
アルミニウムキレート化合物としては、下記一般式(1)で示される3つのβ−ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物や、下記一般式(2)および(3)で示されるβ−ケトエノラート陰イオンの1つ又は2つがアルコキシドイオンに置換された化合物が挙げられる。
【0063】
【化1】



【0064】
ここで、R〜Rはそれぞれ独立的に、アルキル基又はアルコキシル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基など炭素数1〜25のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、オレイルオキシ基など炭素数1〜25のアルキル鎖をもつアルコキシル基が挙げられる。また、RおよびRはアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基など炭素数1〜25のアルキル基が挙げられる。
【0065】
一般式(1)〜(3)で示されるアルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムアルキルアセテートジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0066】
アルミニウムアルコキシド化合物としては、下記一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0067】
【化2】



【0068】
ここで、Rはアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基など炭素数1〜25のアルキル基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、オレイルオキシ基など炭素数1〜25のアルキル鎖をもつアルコキシル基が挙げられる。
【0069】
一般式(4)で示されるアルミニウムアルコキシド化合物の具体例としては、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノセカンダリーブチレートなどが挙げられる。
【0070】
本実施形態の潜在性硬化剤においては、エポキシ樹脂の速硬化性の観点から、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノセカンダリーブチレート、アルミニウムモノアセチルアセトネート・ビスオレイルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムキレート化合物が含まれることが好ましい。
【0071】
更に、有機アルミニウム化合物の合成および入手し易さの観点から、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート及びアルミニウムセカンダリーブチレートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムアルコレート化合物が含まれることが好ましい。
【0072】
また、貯蔵安定性とエポキシ樹脂の速硬化性とを両立する観点から、有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネートが含まれることが好ましい。
【0073】
本実施形態に係る潜在性硬化剤は、熱硬化型樹脂と併用して熱硬化型樹脂組成物を提供することができる。また、本実施形態に係る潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂及びシラン系化合物と併用して低温速硬化性の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することができる。この場合、潜在性硬化剤は、有機金属化合物として有機アルミニウム化合物を有することが好ましい。
【0074】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物における潜在性硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して1〜70質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。熱潜在性硬化剤の含有量が、上記下限値を下回ると硬化性が十分に得られにくくなり、上記上限値を超えると、得られる硬化物の樹脂特性(例えば、可撓性)が低下する傾向にある。
【0075】
エポキシ樹脂としては、成膜成分として使用されているものを用いることができる。そのようなエポキシ樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ樹脂、及びグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0076】
脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2:8,9ジエポキシリモネン、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン、エポキシ化ポリブタジエン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物などが挙げられる。
【0077】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、速硬化性の点で、脂環式エポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0078】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、液状でも固体状でもよく、エポキシ当量が通常100〜4000程度であって、分子中に2以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、樹脂特性の点からビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく使用できる。また、これらのエポキシ樹脂にはモノマーやオリゴマーも含まれる。
【0079】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、樹脂成分として、上記の脂環式エポキシ樹脂やグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の他に、発熱ピークをシャープにするために、オキセタン化合物を更に含むことができる。
【0080】
好ましいオキセタン化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸 ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)]メチルエステル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等を挙げることができる。オキセタン化合物を配合する場合、その配合量は、エポキシ樹脂100質量部に対して10〜100質量部が好ましく、20〜70質量部がより好ましい。
【0081】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物に配合されるシラン系化合物は、特開2002−212537号公報の段落0007〜0010に記載されているように、本発明に係る潜在性硬化剤に保持されていた有機アルミニウム化合物などの有機金属化合物と共働してエポキシ樹脂のカチオン重合を開始させる機能を有する。従って、このような、シラン系化合物を併用することにより、エポキシ樹脂の硬化を促進するという効果が得られる。このようなシラン系化合物としては、高立体障害性のシラノール化合物や、分子中に1〜3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤等を挙げることができる。なお、シランカップリング剤は、分子中に熱硬化性樹脂の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよい。本発明に係る潜在性硬化剤はカチオン型硬化剤であるため、アミノ基やメルカプト基を有するカップリング剤は、アミノ基やメルカプト基が発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
【0082】
高立体障害性のシラノール化合物としては、例えば、下記一般式(5)で示される構造を有するアリールシランオールが挙げられる。
【0083】
【化3】



【0084】
一般式(5)において、nは1〜3の整数であり、mは1〜3の整数である。但し、mとnとの和は4である。好ましくは、nが1であり、mが3である。式(5)中のArは、置換されてもよいアリール基を示す。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基(例えば、1または2−ナフチル基)、アントラセニル基(例えば、1、2または9−アントラセニル基、ベンズ[a]−9−アントラセニル基)、フェナリル基(例えば、3または9−フェナリル基)、ピレニル基(例えば、1−ピレニル基)、アズレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基(例えば、2,3または4−ビフェニル基)、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができる。中でも、入手容易性、入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
【0085】
上記のアリール基は、1〜3個の置換基を有することができ、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン;トリフルオロメチル;ニトロ;スルホ;カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ホルミル等の電子吸引基、メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ;ヒドロキシ;アミノ;モノメチルアミノ等のモノアルキルアミノ;ジメチルアミノ等のジアルキルアミノ等の電子供与基などが挙げられる。なお、置換基として電子吸引基を使用することによりシラノールの水酸基の酸度を上げることができ、逆に、電子供与基を使用することにより酸度を下げることができるので、硬化活性のコントロールが可能となる。ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。置換基を有するフェニル基の具体例としては、2、3または4−メチルフェニル基;2,6−ジメチル、3,5−ジメチル、2,4−ジメチル、2,3−ジメチル、2,5−ジメチルまたは3,4−ジメチルフェニル基;2,4,6−トリメチルフェニル基;2または4−エチルフェニル基等が挙げられる。
【0086】
一般式(5)で示されるシラノール化合物の中でも、好ましいものとして、トリフェニルシラノール又はジフェニルシランジオールが挙げられる。特に好ましいものは、トリフェニルシラノールである。
【0087】
分子中に1〜3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0088】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物におけるシラン系化合物の配合量は、本発明に係る潜在性硬化剤100質量部に対して10〜3000質量部が好ましい。シラン系化合物の配合量が上記下限値未満であると、エポキシ樹脂組成物の硬化性の向上効果が得られにくく、上記上限値を超えると、エポキシ樹脂組成物の硬化物物性が低下する傾向にある。
【0089】
シラン系化合物として高立体障害性のシラノール化合物を使用した場合、高立体障害性のシラノール化合物の配合量は、本発明に係る潜在性硬化剤100質量部に対して10〜2000質量部が好ましく、100〜1000質量部がより好ましい。高立体障害性のシラノール化合物の配合量が、上記下限値未満であると硬化性の向上効果が得られにくく、上記上限値を超えると硬化後の樹脂特性が低下する傾向にある。
【0090】
シラン系化合物として分子中に1〜3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤を使用した場合、シランカップリング剤の配合量は、本発明に係る潜在性硬化剤100質量部に対して10〜3000質量部が好ましく、100〜2000質量部がより好ましい。シランカップリング剤の配合量は上記下限値未満であると硬化性の向上効果が得られにくく、上記上限値を超えるとシランカップリング剤から発生するシラノレートアニオンによる重合停止反応の影響が生じやすくなる。
【0091】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシリカ、マイカなどの充填剤、顔料、帯電防止剤などを含有させることができる。また、本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物には、数μmオーダーの粒径の導電性粒子、金属粒子、樹脂コア表面を金属メッキ層で被覆したもの、それらの表面を絶縁薄膜で更に被覆したもの等を、熱硬化型エポキシ樹脂組成物全量を基準として1〜10質量%の配合量で配合することが好ましい。これにより、本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、異方導電性接着ペースト、異方導電性フィルムとして使用することが可能となる。
【0092】
本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、本発明に係る潜在性硬化剤、エポキシ樹脂、シラン系化合物、及び、必要に応じて添加される他の添加剤を、常法に従って均一に混合撹拌することにより製造することができる。
【0093】
こうして得られた本実施形態の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、硬化剤が潜在化しているので、一剤型であるにも拘わらず、保存安定性に優れている。また、本発明に係る潜在性硬化剤がシラン系化合物と共働して、エポキシ樹脂を低温速硬化でカチオン重合させることができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
<潜在性硬化剤の合成>
(実施例1)
500ml丸底フラスコに、真空加熱乾燥した多孔質シリカであるCARiACT Q−3(富士シリシア社製商品名、平均粒子径75−150μm、平均細孔径3nm、細孔容量0.3ml/g、比表面積550m/g)を0.5g投入し、次いで、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート(川研ファインケミカル社製,商品名AL−D)をイソプロパノールに溶解して濃度18.5質量%となるように調整した有機アルミニウム化合物含有液を滴下し、その後、溶液を18時間緩やかに撹拌し、有機アルミニウム化合物含有液を多孔質シリカに含浸させた。この含浸処理が終了した後、有機アルミニウム化合物含有液を含浸させた多孔質シリカをろ過し、イソプロパノール100mlで3回洗浄した。ろ過洗浄回収物を40℃にて18時間減圧乾燥して、AL−Dを保持した多孔質シリカからなる潜在性硬化剤を0.45g得た。
【0096】
(実施例2)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるCARiACT Q−10(富士シリシア社製商品名、平均粒子径75−150μm、平均細孔径10nm、細孔容量1ml/g、比表面積300m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.47g得た。
【0097】
(実施例3)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるCARiACT Q−50(富士シリシア社製商品名、平均粒子径75−150μm、平均細孔径50nm、細孔容量1ml/g、比表面積80m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.45g得た。
【0098】
(実施例4)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるサイロスムース(富士シリシア社製商品名、平均粒子径0.7μm、平均細孔径2.5nm、比表面積757m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.45g得た。
【0099】
(実施例5)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるサンスフェアH−31(AGCエスアイテック社製商品名、平均粒子径3μm、平均細孔径5nm、細孔容量1ml/g、比表面積800m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.47g得た。
【0100】
(実施例6)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるサンスフェアH−32(AGCエスアイテック社製商品名、平均粒子径3μm、平均細孔径25nm、細孔容量2ml/g、比表面積700m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.44g得た。
【0101】
(実施例7)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるサンスフェアL−31(AGCエスアイテック社製商品名、平均粒子径3μm、平均細孔径13nm、細孔容量1ml/g、比表面積300m/g)を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.48g得た。
【0102】
(実施例8)
500ml丸底フラスコに、真空加熱乾燥した多孔質シリカであるCARiACT Q−3(富士シリシア社製商品名、平均粒子径75−150μm、平均細孔径3nm、細孔容量0.3ml/g、比表面積550m/g)を0.5g投入し、次いで、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート(川研ファインケミカル社製,商品名AL−D)をイソプロパノールに溶解して濃度74質量%となるように調整した有機アルミニウム化合物含有液を滴下し、その後、溶液を18時間緩やかに撹拌し、有機アルミニウム化合物含有液を多孔質シリカに含浸させた。この含浸処理が終了した後、有機アルミニウム化合物含有液を含浸させた多孔質シリカをろ過し、イソプロパノール100mlで3回洗浄した。ろ過洗浄回収物を40℃にて18時間減圧乾燥して、AL−Dを保持した多孔質シリカからなる潜在性硬化剤を0.48g得た。
【0103】
(実施例9)
CARiACT Q−3に代えて、多孔質シリカであるサイロスムース(富士シリシア社製商品名、平均粒子径0.7μm、平均細孔径2.5nm、比表面積757m/g)を使用したこと以外は実施例8と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.45g得た。
【0104】
(実施例10)
500ml丸底フラスコに、真空加熱乾燥した多孔質シリカサイロスムース(富士シリシア社製商品名、平均粒子径0.7μm、平均細孔径2.5nm、比表面積757m/g)を0.5g投入し、次いで、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製,商品名AL−M)をイソプロパノールに溶解して濃度74質量%となるように調整した有機アルミニウム化合物含有液を滴下し、その後、溶液を18時間緩やかに撹拌し、有機アルミニウム化合物含有液を多孔質シリカに含浸させた。この含浸処理が終了した後、有機アルミニウム化合物含有液を含浸させた多孔質シリカをろ過し、イソプロパノール100mlで3回洗浄した。ろ過洗浄回収物を40℃にて18時間減圧乾燥して、AL−Mを保持した多孔質シリカからなる潜在性硬化剤を0.48g得た。
【0105】
(実施例11)
有機アルミニウム化合物AL−Mを含む有機アルミニウム化合物含有液に代えて、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート(川研ファインケミカル社製,商品名ALCH)をイソプロパノールに溶解して濃度74質量%となるように調整した有機アルミニウム化合物含有液を使用したこと以外は実施例10と同様の操作を行い、潜在性硬化剤を0.45g得た。
【0106】
(比較例1)
有機アルミニウム化合物含有液の含浸処理を行わずに、真空加熱乾燥した多孔質シリカCARiACT Q−3(富士シリシア社製商品名、平均粒子径75−150μm、平均細孔径3nm、細孔容量0.3ml/g、比表面積550m/g)をそのまま比較例1の潜在性硬化剤とした。
【0107】
(比較例2)
500ml丸底フラスコに、真空加熱乾燥した真球状シリカエクセリカSE−30(トクヤマ社製商品名、平均粒子径30μm)を0.5g投入し、次いで、有機アルミニウム化合物としてアルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート(川研ファインケミカル社製,商品名AL−D)をイソプロパノールに溶解して濃度74質量%となるように調整した有機アルミニウム化合物含有液を滴下し、その後、溶液を18時間緩やかに撹拌し、有機アルミニウム化合物含有液を多孔質シリカに含浸させた。この含浸処理が終了した後、有機アルミニウム化合物含有液を含浸させた多孔質シリカをろ過し、イソプロパノール100mlで3回洗浄した。ろ過洗浄回収物を40℃にて18時間減圧乾燥して、潜在性硬化剤を0.44g得た。
【0108】
[潜在性硬化剤における有機アルミニウム化合物の含有量の測定]
潜在硬化剤のサンプルについて、酸素フロー下、500℃まで10℃/分で昇温する条件で熱重量分析を行い、150℃以下の重量減をサンプル内の残余溶媒分とし、150℃〜500℃の重量減を有機アルミニウム化合物分とした。こうして得られた残余溶媒分及び有機アルミニウム化合物分から、以下の式に基づいて潜在性硬化剤における有機アルミニウム化合物の含有量を算出した。結果を表1に示す。
有機アルミニウム化合物の含有量(質量%)=(有機アルミニウム化合物分の重量)/[(潜在硬化剤のサンプル重量)−(残余溶媒分の重量)]×100

【0109】
【表1】



【0110】
[潜在性硬化剤の粒度分布の測定]
実施例1〜11又は比較例1若しくは2で得られた潜在性硬化剤をレーザー回折散乱法粒度分布計(ベックマン・コールター株式会社製LS 13 320)を用いて測定した。測定結果を表2に示す。ここで、d10、d50、d90はそれぞれ粒度分布測定結果の累積粒度分布微粒側から累積10%、50%、90%の粒径を意味しており、d50は平均粒径となる。また、d90/d10は粒度分布比を意味する。
【0111】
【表2】



【0112】
<熱硬化型エポキシ樹脂組成物の調製>
(実施例12〜22、比較例3及び4)
実施例1〜11又は比較例1若しくは2で得られた潜在性硬化剤20質量部と、トリフェニルシラノール10質量部と、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学社製、商品名「セロキサイド2021P」)90質量部とを均一に混合することにより、熱硬化型エポキシ樹脂組成物をそれぞれ得た。
【0113】
[熱硬化型エポキシ樹脂組成物の発熱挙動の測定]
上記で得られた熱硬化型エポキシ樹脂組成物について、示差熱分析装置(Perkin−Elmer社製DSC7)を用いて窒素雰囲気下、測定温度範囲25℃〜250℃、昇温速度10℃/分の測定条件で熱分析した。得られた結果を表2及び3並びに図1〜4に示す。ここで、樹脂組成物の熱挙動に関して、発熱開始温度は硬化開始温度を意味しており、発熱ピーク温度は最も硬化反応が活性となる温度を意味しており、発熱終了温度は硬化終了温度を意味しており、ピーク面積は発熱量を意味している。
【0114】
[熱硬化型エポキシ樹脂組成物のゲルタイムの測定]
上記で得られた熱硬化型エポキシ樹脂組成物を、120℃、140℃、160℃、180℃又は200℃に加熱したホットプレート上で加熱し、樹脂組成物の糸引きがなくなるまでの時間をそれぞれ測定した。得られた結果を表2及び3に示す。
【0115】
[熱硬化型エポキシ樹脂組成物の保存安定性]
上記で得られた熱硬化型エポキシ樹脂組成物を、室温で1日放置した。実施例1〜11の潜在性硬化剤を用いた実施例12〜23の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂のゲル化は確認されず、保存安定性が良好である。
【0116】
【表3】



【0117】
【表4】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質無機粒子と、該多孔質無機粒子に保持された有機金属化合物と、を有する、潜在性硬化剤。
【請求項2】
前記多孔質無機粒子が、酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、ホウ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、酸化ナトリウム及びリン酸塩からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を主成分とする、請求項1に記載の潜在性硬化剤。
【請求項3】
前記多孔質無機粒子が、多孔質シリカ粒子、多孔質アルミナ粒子、多孔質チタニア粒子、多孔質ジルコニア粒子及びゼオライトからなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の潜在性硬化剤。
【請求項4】
前記多孔質無機粒子が多孔質シリカ粒子である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項5】
前記多孔質無機粒子は、平均粒子径が50nm〜5000μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項6】
前記多孔質無機粒子は、平均細孔径が0.4nm〜200nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項7】
前記多孔質無機粒子は、比表面積が5m/g〜2000m/gである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項8】
前記多孔質無機粒子は、細孔容積が0.1ml/g〜3.0ml/gである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項9】
前記有機金属化合物として、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物、有機モリブデン化合物、有機亜鉛化合物、有機ロジウム化合物、有機鉄化合物、有機クロム化合物及び有機ニッケル化合物からなる群より選択される1種又は2種以上の化合物を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項10】
前記有機金属化合物が有機アルミニウム化合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤。
【請求項11】
前記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムキレート化合物又はアルミニウムアルコレート化合物を含む、請求項10に記載の潜在性硬化剤。
【請求項12】
前記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノセカンダリーブチレート、アルミニウムモノアセチルアセトネート・ビスオレイルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリスアセチルアセトネートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムキレート化合物を含む、請求項10に記載の潜在性硬化剤。
【請求項13】
前記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノセカンダリーブチレート及びアルミニウムセカンダリーブチレートからなる群より選択される1種又は2種以上のアルミニウムアルコレート化合物を含む、請求項10に記載の潜在性硬化剤。
【請求項14】
前記有機アルミニウム化合物として、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネートを含む、請求項10に記載の潜在性硬化剤。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の潜在性硬化剤の製造方法であって、
有機金属化合物と有機溶媒とを含む有機金属化合物含有液を、多孔質無機粒子に含浸させる工程を備える、潜在性硬化剤の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100382(P2013−100382A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243476(P2011−243476)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【出願人】(304021277)国立大学法人 名古屋工業大学 (784)
【Fターム(参考)】