説明

潜在活性化層を有する有機発光デバイス及びその製造方法

潜在活性化剤材料を有する有機発光デバイスを提供する。潜在活性化剤材料の活性化生成物を含む有機発光デバイスも提供する。デバイスの製造の前又は後にパターン化することができるパターン化された有機発光デバイスの実施形態も考えられる。潜在活性化剤材料又は活性化剤材料の活性化生成物を有する有機発光デバイスを製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義には有機電子デバイスに関する。本発明は特に有機発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機電子デバイスには、有機発光デバイス及び有機光起電力デバイスがある。有機電子デバイスは電荷の注入によって作動し、電荷が結合して、発光デバイスのようにエネルギーを輻射するか、或いは光起電力デバイスのように電荷を分離する。当業者には明らかな通り、有機発光デバイス(OLED)は通例1以上の有機層を2つの電極間にサンドイッチしてなる。OLEDは正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層のような追加の層を含むこともある。OLEDに適当な電圧を印加すると、注入した正電荷と負電荷が発光層で再結合して発光する。
【0003】
ある種の材料をデバイスに添加すると電荷の注入、輸送、再結合、分離などを促進することができる。幾つかの例では、かかる物質を添加すると、系内に存在する電荷担体(電子又は正孔)の数の増加によって系又はデバイスの導電性の増大につながることがある。従来のアプローチとしては、酸性化合物の添加(正孔供与体又は電子受容体の添加)及び金属フッ化物、アルカリ又はアルカリ土類金属のような還元性材料の添加(電子供与体の添加)のようなプロセスがある。多層デバイスを形成する際にはこれらの材料の反応性のために問題を生じるおそれがある。例えば、ある層に強酸が存在すると通例複数の層の添加の際に層の表面に移行する。また、公知の電子供与体は通例空気又は湿気と反応して、製造中に分解しかねない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、発光デバイスのような有機光電子デバイスにおける上述の1以上の問題に対処する技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に述べると、本技術の態様では、有機発光デバイスを提供する。本有機発光デバイスは基材と潜在活性化剤材料を含む1以上の層とを備える。
【0006】
本技術の別の態様では、有機発光デバイスを提供する。本有機発光デバイスは基材と潜在活性化剤材料の活性化生成物を含む1以上の層とを備える。
【0007】
本技術のさらに別の態様では、潜在活性化剤材料又は潜在活性化剤材料の活性化生成物を有する有機発光デバイスを製造する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって容易に理解できるであろう。図面を通して類似の参照符号は類似の部分を表す。
【0009】
以下の明細書及び特許請求の範囲では、多数の用語を用いるが、これらの用語は以下の意味をもつものとして定義される。単数形で記載したものであっても、文脈から単数であることが明らかでない限り複数形も包含する。本明細書で用いる「電気活性」という用語は、(1)電荷(正電荷又は負電荷)を輸送、ブロック又は蓄積することができる材料、(2)(必須ではないが、一般に蛍光の)光吸収性又は発光性の材料、及び/又は(3)光誘起電荷生成に有用な材料、及び/又は(4)バイアス印加時に色、反射率、透過率を変化させる材料をいう。「電気活性デバイス」は電気活性材料を含むデバイスである。本発明に関して、電気活性層とは、電気活性デバイスの層であって、1種以上の電気活性有機材料又は1種以上の電極材料を含むものである。本明細書で用いる「有機材料」という用語は、低分子有機化合物、或いは特に限定されないが、デンドリマーを始めとする高分子量有機化合物、又は繰返し単位数2〜10のオリゴマー及び繰返し単位数10超のポリマーを始めとする高分子ポリマーをいう。
【0010】
本明細書で用いる「活性化剤材料」という用語は、電荷注入、電荷輸送、電荷再結合又は電荷分離を増大させることができる材料をいう。幾つかの実施形態では、活性化剤材料は正孔又は電子供与体である。活性化剤材料の例としては、特に限定されないが、光酸(又は同義語として光発生酸)及び光塩基(又は同義語として光発生塩基)が挙げられる。
【0011】
本明細書で用いる「活性化層」という用語は、1種以上の活性化剤材料を有する層をいう。非限定的な例では、活性化層は光酸又は光塩基を含む。別の例では、正孔供与体を有する層つまりp−活性化層は、活性化剤材料を含まない層に比べて仕事関数が増大すると期待され、電子供与体を有する層つまりn−活性化層は、活性化剤材料を含まない層に比べて仕事関数を減少させると期待される。
【0012】
本明細書で用いる「潜在活性化剤材料」という用語は、その活性化生成物が1種以上の活性化剤材料を含む材料をいう。潜在活性化剤材料の例としては、特に限定されないが、光酸発生剤及び光塩基発生剤が挙げられる。
【0013】
本明細書で用いる「潜在活性化層」という用語は、1種以上の潜在活性化剤材料を有する層をいう。非限定的な例では、潜在活性化層は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)テトラメタクリレート(PEDOT)材料を含む電荷輸送層であって、さらにジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートのような潜在活性化剤材料を含んでいる。
【0014】
本明細書で用いる「活性化」という用語は、光又は熱を用いて活性化剤材料を生成させることをいう。
【0015】
本明細書で用いる「活性化生成物」という用語は、潜在活性化剤材料の熱又は光活性化による直接又は間接反応生成物をいう。例えば、光酸は光活性化光酸発生剤と潜在活性化剤材料の活性化生成物である。
【0016】
本明細書で用いる「不動態化」という用語は、ある層内の活性化領域と接触した潜在活性化剤材料の照射によって抗活性化剤材料を生じて活性化領域内の活性化剤材料を中和することによって活性化領域を不活性化することをいう。例えば、塩基材料を中和するには、塩基材料を光酸発生剤のような潜在活性化剤材料と接触させ、光酸発生剤を活性化して光酸を放出させて塩基材料を中和すればよい。
【0017】
本明細書で用いる「上に設けられる」又は「上に堆積する」という用語は、その上に直接接触させて設層又は堆積させること、或いはその上に介在層を介して設層又は堆積させることをいう。
【0018】
本発明の様々な実施形態で用いる「アルキル」という用語は、炭素と水素原子を含み、適宜、炭素と水素に加えて他の原子、例えば周期律表の第15族、第16族及び第17族から選択される原子を含んでいてもよい線状アルキル、枝分れアルキル、アラルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル及びポリシクロアルキル基を意味する。アルキル基は飽和でも不飽和でもよく、例えばビニル又はアリルも包含される。「アルキル」という用語には、アルコキシド基のアルキル部分も包含される。特記しない限り、様々な実施形態では、線状及び枝分れアルキル基は、炭素原子数1〜約32のものであり、その具体例としては、特に限定されないが、C1〜C32アルキル(適宜C1〜C32アルキル、C3〜C15シクロアルキル又はアリールから選択される1以上の基で置換されていてもよい)、及びC3〜C15シクロアルキル(適宜C1〜C32アルキル又はアリールから選択される1以上の基で置換されていてもよい)が挙げられる。具体例を幾つか挙げると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル及びドデシルがある。シクロアルキル及びビシクロアルキル基の具体例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロヘプチル及びアダマンチルが挙げられる。様々な実施形態では、アラルキル基は炭素原子数7〜約14のものであり、その例としては、特に限定されないが、ベンジル、フェニルブチル、フェニルプロピル及びフェニルエチルが挙げられる。本発明の各種実施形態で用いる「アリール基」という用語は、環炭素原子数6〜20の置換又は非置換アリール基をいう。これらのアリール基の具体例としては、特に限定されないが、C6〜C20アリールが挙げられ、これらは適宜C1〜C32アルキル、C3〜C15シクロアルキル、アリール並びに周期律表の第15族、第16族及び第17族から選択される原子を含む官能基から選択される1以上の基で置換されていてもよい。アリール基の具体例を幾つか挙げると、置換又は非置換フェニル、ビフェニル、トリル、キシリル、ナフチル及びビナフチルがある。
【0019】
本発明の一実施形態では、1種以上の潜在活性化剤材料を含む1以上の潜在活性化層を備える有機発光デバイスを提供する。図1を参照すると、第1の代表的な実施形態の有機発光デバイス(OLED)10を示す。図示した実施形態では、発光デバイス10は、第1の電極12、潜在活性化剤材料を有する潜在活性化層14、電気活性層16及び第2の電極18を備える。非限定的な例では、第1の電極はアノードであり、潜在活性化層は正孔注入及び/又は輸送層であり、電気活性層は発光層であり、第2の電極はカソードである。当業者には明らかであろうが、本技術の別の実施形態では、存在する電気活性層の数を増減してもよい。
【0020】
潜在活性化層はさらに、正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、電子注入材料、吸光材料、エレクトロルミネセント材料、カソード材料、アノード材料又はこれらの組合せのような材料を含んでいてもよい。
【0021】
潜在活性化剤材料は無機材料、有機金属材料、有機材料、ポリマー材料又はこれらの組合せでよい。幾つかの実施形態では、活性化剤材料は有機マトリックス中の分散質として存在する。ある実施形態では、潜在活性化剤材料は1以上の光酸発生型官能基、光塩基発生型官能基、熱酸発生型官能基又はこれらの組合せを有する材料である。潜在正孔供与体材料としては、特に限定されないが、光酸又は熱酸発生剤があり、潜在電子供与体材料としては、特に限定されないが、光塩基発生剤及び活性化の際に酸化状態0の金属を生成する有機金属化合物が挙げられる。
【0022】
例えば、光酸発生剤ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Ph2IPF6)をp−活性化用の潜在活性化剤材料として使用できる。
【0023】
Ph2IPF6 (1)
通例、光活性化では、フェニル及びフェニルヨウ素基が生成する。
【0024】
【化1】

光発生フェニル(Ph+●)及びフェニルヨウ素(PhI+●)基は反応性の極めて高い化学種であり、溶媒又はその他の不純物とさらに反応して、p−活性化剤として作用するヘキサフルオロリン酸を生成すると予測される。光酸発生は当技術分野で周知であり、“Crivello,Journal of Polymer Science part A: Polymer Chemistry,Volume 37 pp 4241−4254”(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。)などの多数の文献に記載されている。
【0025】
潜在n−活性化の一例では、ビス(フルオレニル)カルシウムのような有機金属化合物を潜在活性化剤材料として使用できる。
【0026】
【化2】

活性化の際に、ビス(フルオレニル)カルシウムは、還元的脱離反応を起こして酸化状態0の金属と有機生成物を形成すると予測される。金属は電子供与体として作用する。
【0027】
【化3】

幾つかの実施形態では、潜在活性化層は潜在活性化剤材料100重量%からなる。別の実施形態では、潜在活性化剤材料は潜在活性化層の約99〜0.1重量%の範囲で存在する。他の実施形態では、潜在活性化剤材料は潜在活性化層の約90〜約20%の範囲で存在する。さらに別の実施形態では、潜在活性化剤材料は潜在活性化層の約90〜約50%の範囲で存在する。その他の実施形態では、潜在活性化剤材料は、潜在活性化層組成物全体の100ppm程度の少量で存在し得る。
【0028】
光酸発生剤の非限定的な例としては、オニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ハロニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロベンジルエステル、スルホン、ホスフェート、N−ヒドロキシイミドスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアゾナフトキノン、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、トリアリールスルホニウムスルホネート、(p−メチルフェニル,p−イソプロピルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(イソプロピルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(n−ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどの材料が挙げられる。
【0029】
熱酸発生剤の例としては、特に限定されないが、チオラニウム塩、ベンジルチオラニウムヘキサフルオロ−プロパン−スルホネート、ニトロベンジルエステル、2−ニトロベンジルトシレート、アミントリフレート、ヨードニウム塩、ヨードニウム塩とベンゾピナコールのようなラジカル発生剤との組合せ、ヨードニウム塩と金属塩との組合せなどの材料が挙げられる。
【0030】
光塩基発生剤の非限定的な例としては、O−アシルオキシム、第四アンモニウム塩、O−フェニルアセチル−2−アセトナフトンオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、O−ニトロベンジルN−シクロヘキシルカルバメート、ニフェジピン、N−メチルニフェジピンなどの材料が挙げられる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、潜在活性化剤材料は有機金属化合物を含み、熱又は光活性化で酸化状態0の金属を放出する。かかる金属の非限定的な例としては、第I族金属及び第II族金属、第III族金属、第IV族金属、スカンジウム、イットリウム、及びランタニド系列の金属が挙げられる。一実施形態では、活性化剤材料は式R2Mのものであり、式中、Mは金属であり、Rは脂肪族又は芳香族基である。幾つかの実施形態では、Mは、特に限定されないが、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びマグネシウムのような第II族金属、又は特に限定されないが、ランタン、セリウム、ユーロピウム、プラセオジム及びネオジムのようなランタニド系列の金属である。かかる有機金属化合物の非限定的な例としては、アルカリ土類金属、ランタニド族遷移金属のシクロペンタジエニル誘導体、例えばビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)バリウム、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)カルシウム、ビス(ペンタ−イソプロピルシクロペンタジエニル)M、及びビス(トリ−t−ブチルシクロペンタジエニル)M、並びにアルカリ土類金属、ランタニド族遷移金属のフルオレニル誘導体、例えばビス(フルオレニル)カルシウム又はビス(フルオレニル)バリウムがある。ただし、Mはカルシウム、バリウム又はストロンチウムである。
【0032】
有機発光デバイスはさらに、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、エレクトロルミネセント層、カソード層、アノード層又はこれらの組合せのような1以上の層を備えていてもよい。OLEDはさらに、特に限定されないが、ポリマー基材のような基材層を備えていてもよい。
【0033】
本発明のある実施形態では、有機発光デバイスは空間選択的な光活性化又は熱活性化ができる1以上の潜在活性化層を備える。空間選択的な活性化によって、有機発光デバイスのパターン化が可能となる。熱活性化の非限定的な例として、潜在活性化層を有するデバイスをホットプレート上に配置するか、或いはレーザー源のような光源を用いて、潜在活性化材料を有する層の特定の領域を選択的に加熱する。潜在活性化剤材料に吸収された熱エネルギーによって活性化剤材料が放出される。光活性化法として、特に限定されないが、レーザーを始めとする赤外、可視、紫外光源などの光源を用いて潜在活性化剤材料を照射することが挙げられる。潜在活性化剤材料は光吸収時に光開始されて活性化剤材料を放出する。
【0034】
本発明の別の実施形態では、有機発光デバイスは、活性化領域と接触した1種以上の抗潜在活性化剤材料を含む。活性化領域と接触した潜在活性化剤材料の照射によって抗活性化剤を生じさせて活性化領域の供与体を中和することによって、活性化領域を不動態化することができる。例えば、p−活性化領域と接触した潜在光塩基発生剤を照射することによって電子供与体を放出させて、活性化領域の正孔供与体を中和する。空間選択的な不動態化によって、OLEDデバイスのパターン化も可能となる。
【0035】
本発明の別の実施形態では、有機発光デバイスは、1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を含む1以上の活性化層を備える。図2を参照すると、第2の代表的な実施形態の発光デバイス20を示す。図示した実施形態では、発光デバイス20は、第1の電極22、1種以上の潜在活性化剤材料の光又は熱活性化生成物を有する活性化層24、電気活性層26及び第2の電極28を備える。幾つかの実施形態では、活性化有機電気活性層は発光ポリマー層である。さらに別の実施形態では、活性化有機電気活性層は電荷輸送層である。
【0036】
活性化層はさらに、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、吸光層材料、カソード層材料、アノード層材料、エレクトロルミネセント層材料、又はこれらの組合せを含んでいてもよい。活性化層は2以上の波長での光活性化生成物を含んでいてもよい。OLEDはさらに、特に限定されないが、ポリマー基材のような基材層を備えていてもよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、活性化層は活性化剤材料100重量%からなる。別の実施形態では、活性化剤材料は活性化層の約99〜1重量%の範囲で存在する。他の実施形態では、活性化剤材料は活性化層組成物の約90〜約20%の範囲で存在する。さらに別の実施形態では、活性化剤材料は活性化層の約90〜約50%の範囲で存在する。その他の実施形態では、活性化剤材料は活性化層組成物全体の100ppmという少量で存在し得る。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態では、有機発光デバイスはパターン化される。パターンとしては、特に限定されないが、アルファベット、数字及び幾何構造のように規則的なものであってもよい。また、これらのパターンは自由で不規則なものであってもよい。OLEDデバイスのパターン化は光又は熱で誘起される空間選択的な活性化によって可能となる。空間選択的な活性化は予め機械加工したマスク、ネガフィルムその他の任意の手段を用いて達成される。
【0039】
本発明の別の実施形態では、パターン化は空間選択的な不動態化によっても達成できる。選択的な不動態化は、活性化領域と接触した抗電荷供与体材料の選択的照射による奪活を含む。
【0040】
図3を参照すると、別の代表的な実施形態の発光デバイス30を示す。図示した実施形態では、発光デバイス30は、第1の電極32、1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を含む活性化領域34、及び1種以上の潜在活性化剤材料を有する非活性化領域36を有する選択的に活性化電気活性層33を備える。デバイスはさらに追加の有機電気活性層38及び第2の電極40を備える。選択的活性化層33では、その特定の部分又は領域だけが選択的に活性化され、ある領域は潜在活性化剤材料を含んだまま残るか或いは奪活又は不動態化することができる。この選択的な活性化によって、OLEDのパターン化が可能となる。パターン化としては、特に限定されないが、アルファベット、数、幾何学的パターン又はこれらの組合せのような規則的な形状を挙げることができるが、任意の形状及びパターンであってもよい。
【0041】
図4に示す実施形態では、発光デバイス42は、第1の電極44、1種以上の潜在活性化剤材料の光又は熱活性化生成物を有する第1の活性化層46、1種以上の潜在活性化剤材料の光又は熱活性化生成物を有する第2の活性化層48、及び第2の電極50を備える。非限定的な例では、層46は正孔を注入及び/又は輸送できるように活性化され、層48は電子を注入及び/又は輸送できるように活性化される。
【0042】
図5を参照すると、別の代表的な実施形態の発光デバイス52を示す。図示した実施形態では、発光デバイス52は、第1の電極54、1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を有する第1の活性化層56、及び1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を有する第2の活性化層60を備える。このデバイスはさらに、2つの活性化層の間の電気活性層58、及び第2の電極62を備えていてもよい。非限定的な例では、第1の電極54はアノードであり、第2の電極62はカソードである。
【0043】
図6に示す実施形態では、タンデム型発光デバイス64は、酸化インジウムスズ(ITO)のようなアノード66、1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を有する正孔注入層のような活性化電気活性層68、発光ポリマー層70、透明カソード72、1種以上の潜在電荷供与体材料の光又は熱活性化生成物を有する第2の活性化正孔注入層74、第1の発光層と同一又は異なる波長で発光する第2の電気活性層76、及びカソード78を備える。
【0044】
電荷輸送層材料の非限定的な例としては、低乃至中間分子量(例えば、約200000未満)の有機分子、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)(PProDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVK)などの材料、或いはこれらの組合せが挙げられる。
【0045】
正孔輸送層材料の非限定的な例としては、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第三アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェンなどの材料が挙げられる。正孔ブロック層に適した材料はポリ(N−ビニルカルバゾール)などの材料が挙げられる。
【0046】
正孔注入促進層材料の非限定的な例としては、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(1,2,5−チアジアゾロ)−p−キノビス(1,3−ジチオール)などの材料のようなアリーレン系化合物が挙げられる。
【0047】
電子注入促進層材料及び電子輸送層材料として適切な材料としては、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などの材料のような金属有機錯体が挙げられる。
【0048】
発光層に使用できる材料の非限定的な例としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)及びその誘導体、ポリ(アルキルフルオレン)、例えばポリ(9,9−ジヘキシルフルオレン)、ポリ(ジオクチルフルオレン)又はポリ{9,9−ビス(3,6−ジオキサヘプチル)−フルオレン−2,7−ジイル}のようなポリフルオレン及びその誘導体、ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)又はポリ(2,5−ジヘプチル−1,4−フェニレン)のようなポリ(パラ−フェニレン)(PPP)及びその誘導体、ジアルコキシ置換PPV及びシアノ置換PPVのようなポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)及びその誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリ(4,4’−ジアルキル−2,2’−ビチオフェン)、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)のようなポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(ピリジンビニレン)及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、並びにポリキノリン及びその誘導体が挙げられる。ある特定の実施形態では、適切な発光材料はN,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アニリンで末端封鎖したポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)である。これらのポリマーの混合物、又はこれらのポリマーその他の1種以上に基づくコポリマーも使用できる。
【0049】
発光層に使用される別の部類の適切な材料はポリシランである。通例、ポリシランは、様々なアルキル及び/又はアリール側鎖基で置換された線状ケイ素骨格ポリマーであり、ポリマー主鎖に沿ってシグマ共役電子が非局在化した擬一次元材料である。ポリシランの例としては、ポリ(ジ−n−ブチルシラン)、ポリ(ジ−n−ペンチルシラン)、ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)、ポリ(メチルフェニルシラン)、及びポリ{ビス(p−ブチルフェニル)シラン}が挙げられる。
【0050】
電気活性デバイスに適したカソード材料としては、典型的には、仕事関数の値の低い材料が挙げられる。カソード材料の非限定的な例としては、K、Li、Na、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、Mn、Pb、ランタニド系列の元素、これらの合金、特にAg−Mg合金、Al−Li合金、In−Mg合金、Al−Ca合金、及びLi−Al合金並びにこれらの混合物のような材料が挙げられる。カソード材料のその他の例としては、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、又はフッ化物の混合物を挙げることができる。酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化アンチモン、カーボンナノチューブ、及びこれらの混合物のような他のカソード材料も適している。また、カソードは、2つの層から製造して電子注入を促進することができる。非限定的な例として、特に限定されないが、LiF若しくはNaFの内層とアルミニウム若しくは銀の外層、又はカルシウムの内層とアルミニウム若しくは銀の外層からなるものが挙げられる。
【0051】
電気活性デバイスに適したアノード材料としては、通例、高い仕事関数値を有するものが挙げられる。アノード材料の非限定的な例としては、特に限定されないが、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、ニッケル、金などの材料、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
基材の非限定的な例としては、熱可塑性ポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリレート、ポリオレフィン、ガラス、金属などの材料、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0053】
本発明の有機発光デバイスは、特に限定されないが、1以上の耐摩耗層、接着層、化学耐性層、光ルミネセント層、放射線吸収層、放射線反射層、バリヤー層、平坦化層、光散乱層、及びこれらの組合せのような追加の層を備えていてもよい。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態は、以下、図7〜図24を参照して説明する通り、有機発光デバイスの製造法である。この方法は一般に、基材を用意し、基材上に1以上の有機デバイス層を設層することを含み、有機デバイス層は1種以上の潜在活性化剤材料を含む。基材は通例電極である。電極基材は、特に限定されないが、ポリマー基材のような他の基材を含んでいてもよい。
【0055】
本方法は、潜在活性化剤材料の光活性化又は熱活性化によって塩基又は酸を発生させる段階をさらに含む。活性化は有機発光デバイス製造のいかなる段階で実施してもよい。活性化は、デバイス集成後に、デバイスの寿命中の任意の時点で実施することもできる。本方法はさらに、パターン化又は空間選択的活性化の段階を含んでいてもよい。パターン化としては、特に限定されないが、アルファベット、数字及び幾何構造のように規則的なものであってもよい。パターン化は自由で不規則なものであってもよい。空間選択的な活性化は予め機械加工したマスク、ネガフィルムその他あらゆる手段を用いて実施される。活性化は、1種以上の潜在電荷供与体材料を1以上の波長で光活性化することを含んでいてもよい。
【0056】
幾つかの実施形態では、本方法はさらに空間選択的な不動態化の段階を含んでいてもよく、空間選択的な不動態化は活性化領域と接触した抗潜在活性化剤材料を照射することを含む。例えば、p−活性化層は、p−活性化層と接触した光塩基発生剤の照射によって選択的に不動態化又は奪活できる。OLEDのパターン化は空間選択的な不動態化によっても達成できる。
【0057】
本方法はさらに、基材上に正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、吸光層材料、カソード層材料、アノード層材料、エレクトロルミネセント層材料又はこれらの組合せを設けることを含んでいてもよい。幾つかの実施形態では、本方法はさらに、潜在活性化剤材料又は潜在活性化剤材料の活性化生成物を含む1以上の層を互いに積層することを含んでいてもよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、潜在活性化剤材料は他のOLED層材料との組合せで堆積させる。例えば、潜在活性化剤材料は発光層材料との組合せで堆積させてもよい。他の実施形態では、潜在活性化剤材料はOLED層上に堆積させる。活性化すると、活性化剤材料が放出され、下の層を表面改質する。
【0059】
層の堆積又は設層法としては、特に限定されないが、スピンコーティング、ディップコーティング、リバースロールコーティング、巻線ロッド(メイヤーロッド)コーティング、直接及びオフセットグラビアコーティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、ホットメルトコーティング、カーテンコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、押出、エアナイフコーティング、スプレー、ロータリースクリーンコーティング、多層スライドコーティング、共押出、メニスカスコーティング、コンマ及びミクログラビアコーティング、リソグラフィー法、ラングミュア法及びフラッシュ蒸発、気相堆積、プラズマ化学気相堆積(「PECVD」)、高周波プラズマ化学気相堆積(「RFPECVD」)、膨張熱プラズマ化学気相堆積(「ETPCVD」)、反応性スパッタリングを始めとするスパッタリング、電子サイクロトロン共鳴プラズマ化学気相堆積(ECRPECVD」)、誘導結合型プラズマ化学気相堆積(「ICPECVD」)などの技術、さらにこれらの組合せなどが挙げられる。
【0060】
図7〜図22は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスを断面図で表したものである。図7に示す電極80を基材として用いてその後の層を堆積させる。電極の一例はITOアノードである。ある実施形態では、電極はさらにポリマー基材を備えていてもよい。電極は、その後の層の堆積に先立ってUV/オゾン表面処理に付してもよい。本明細書で用いるデバイス部分構造には、1以上の基材層、1以上の電極層、1以上の潜在活性化層、1以上の活性化層、1以上の電気活性層、又は特に限定されないが、接着層及びバリヤー層のような1以上の追加の層が包含される。幾つかの実施形態では、2以上のデバイス部分構造を堆積又は配置して有機発光デバイスを形成することができる。別の実施形態では、2以上のデバイス部分構造を、例えば積層などのプロセスを用いて結合させて有機発光デバイスを形成することができる。
【0061】
図8に示すように、潜在活性化剤材料を有する潜在活性化電気活性層82を電極上に設ける。この潜在活性化電気活性層82は有機電気活性層でよく、さらに例えば正孔輸送材料又は発光材料を含んでいてもよい。図9に示すように、潜在活性化剤材料を含む潜在活性化電気活性層82を次に、符号84で示すように加熱又は光照射して活性化する(それぞれ、熱又は光活性化)。潜在活性化電活性層82の活性化の結果、図10に示すように活性化電気活性層86が得られ、デバイス部分構造89を形成する。他の層をこの部分構造体の上に設ければ発光デバイスを形成することができる。このプロセスをさらに続けて1種以上の電気活性有機層88を設けてもよい。最後に、図11に示すように、カソード層のような第2の電極90を電気活性層88の上に設けて発光デバイス20(図2参照)を形成することができる。
【0062】
或いは、プロセスは、図8に示すプロセス段階から図12に示すプロセス段階に進んでもよく、電気活性層88を潜在活性化電気活性層82上に設ける。デバイス10(図1参照)は電気活性層82上に電極90を設層して完成する。その後、潜在活性化電気活性層82を加熱又は光活性化84によって活性化して、図15に示すように活性化層86及びデバイス20を形成することができる。
【0063】
別のプロセス経路では、プロセスは、図8に示すプロセス段階から図16に示すプロセス段階に進んでもよく、電気活性層82を選択的に活性化することができる。選択的な活性化によって、OLEDデバイスのパターン化を達成できる。パターン化は望ましくは規則的であってもよいし、自由に設定してもよい。選択的な活性化の結果、図17に示すように、活性化剤材料を有する活性化領域92と、依然として潜在的な活性化領域94とを有するパターン化された層91が得られる。図18に示すように、電気活性層88及び電極層90のような追加の層を設けて発光デバイス30を製造してもよい。
【0064】
また、プロセスは、図12に示すプロセス段階から図19に示すプロセス段階に進んでもよく、第2の潜在活性化層95を電気活性層88上に設けることができる。潜在活性化層95を光又は熱活性化94に付して図20に示すような第2の活性化層96を得る。図21に示すように、第2の電極を第2の活性化層96上に設層してデバイス52を得ることができる。非限定的な例では、第1の活性化層86はp−活性化層であり、第2の活性化層96はn−活性化層である。
【0065】
或いは、電極80、第1の活性化層86及び追加の電気活性層88を含む第1のデバイス部分構造89が形成される図10に示すプロセス段階を有するプロセスは、活性化層96及び第2の電極基材層90を含む第2のデバイス部分構造97を形成する図22に示すプロセス段階を含んでいてもよい。活性化層96は、図19に示す層95のような潜在活性化層の活性化によって形成することができる。これらの第1及び第2のデバイス部分構造89及び97を製造するプロセス段階の後に、これら2つの部分構造体を互いに積層して図21に示すようなデバイス52を形成することができる。幾つかの実施形態では、積層は、第1のデバイス部分構造と第2のデバイス部分構造を重ね合わせ、圧力又は熱の少なくともいずれかを部分構造体に加えることによって実施される。一実施形態では、第1のデバイス部分構造89と第2のデバイス部分構造97とを重ね合わせて、ロールラミネーターに通してデバイス52を形成する。幾つかの実施形態では、積層は温度150℃で実施される。ある実施形態では、部分構造体中の潜在活性化剤材料の活性化は図10及び19に示すように積層の前に実施してもよい。他の実施形態では、部分構造体中の潜在活性化剤材料の活性化は積層の後に実施してもよく、積層時に第1及び/又は第2のデバイス部分構造は潜在活性化層を含んでいてもよい。非限定的な例では、第1及び第2のデバイス部分構造は、1以上の基材層、1以上の電極、1以上の潜在活性化層、1以上の活性化層、1以上の電気活性層、又は特に限定されないが、接着層、及びバリヤー層のような1以上の他の層を備えていてもよい。
【0066】
図23は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセス100を示すフローチャートである。このプロセス100は、例えば電極であってもよい基材を用意する段階102(図7参照)、潜在活性化剤材料を含む層を基材上に設層する段階104(図8参照)、1以上の追加の有機層を基材上に設層する段階106(図12参照)、次いで第2の電極基材上に設層する段階108(図13参照)を含む。
【0067】
図24は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセス110を示すフローチャートである。プロセス110は、基材(例えば電極であってもよい。)を用意する段階112(図7参照)から開始される。このプロセス110は次いで潜在活性化剤材料を含む層を基材上に設層する段階114(図8参照)に進む。このプロセスは次いで段階116において、光又は熱活性化によって活性化剤材料を活性化する(図9参照)。
【0068】
図25は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセス118を示すフローチャートである。プロセス118の段階120では、基材(例えば電極であってもよい。)を用意する(図7参照)。このプロセス118は次いで、潜在活性化剤材料を含む層を基材上に設層する段階122(図8参照)に進む。このプロセスは次いで段階124において光又は熱活性化によって活性化剤材料を活性化し(図9参照)、その後1以上の追加の有機層を基材上に設層する段階126(図10参照)、最後に第2の電極を基材上に設層する段階128(図11)へと進む。
【実施例】
【0069】
これ以上説明しなくても、当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限に利用できるものと思料される。以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明を実施するための追加の指針を当業者に提供するためのものである。これらの実施例は、本願の教示内容を完成するに至った研究の代表例にすぎない。従って、これらの実施例は特許請求の範囲で規定される本発明を限定するものではない。
【0070】
ケルビンプローブ(KP)は、共通プローブに対するボルト単位での接触電位差(「CPD」、有効表面仕事関数の変化に対応する)の測定によって導電性/半導体材料の有効表面仕事関数の変化の測定に用いられる振動容量法である。KP測定はディジタルケルビンプローブKP6500を用いて行った。
【0071】
実施例1
本例では、Aldrich社からプロピレンカーボネート中の0.5wt%分散液として入手したチオフェン系導電性ポリマー:ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)テトラメタクリレート末端封鎖(PEDOT−TMA)を用いた。Aldrich社から入手したヨードニウム塩:ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートPh2IPF6を潜在活性化剤材料として用いた。PEDOT−TMAとPh2IPF6の混合溶液(PEDOT−TMA:Ph2IPF6という。)は、プロピレンカーボネート中の2gのPEDOT−TMAを、1.5mLのプロピレンカーボネート中の100mgのPh2IPF6と混合することによって調製した。
【0072】
【表1】

KP測定用の3つの試料(表1)は以下の通り調製した。Applied Films社から入手した酸化インジウムスズ(ITO、約140nm)をコートしたガラスを導電性基材として用いた。試料1は予め清浄化しておいた未被覆ITOであり、試料2はITOとプロピレンカーボネート中の溶液をスピン速度4000rpmでスピンコートして製膜したPEDOT−TMA層(約40nm)とからなり、試料3はITOと混合溶液をスピン速度4000rpmでスピンコートして製膜したPEDOT−TMA:Ph2IPF6層(約35nm)からなるものであった。次いでKP測定を、紫外線オゾン処理の前後に行った。UV−オゾン処理とKP測定(Jelight社(米国カリフォルニア州アーヴァイン)から入手したUltraviolet Ozone Cleaner、Model 42による)はいずれも約24℃の室温及び相対湿度約64%の周囲雰囲気中で実施した。
【0073】
表1に示す結果から明らかな通り、PEDOT−TMAを導入しても、PEDOT−TMAをUV−オゾン処理の有(活性化試料2)無(試料2)とは無関係に、ITO基材のCPD(有効仕事関数に相当)に顕著な変化は生じなかった。同様に、スピンコートしたPEDOT−TMA:Ph2IPF6の存在(試料3)はCPD測定値に大きな変化を生じなかった。しかし、PEDOT−TMA:Ph2IPF6混合物層をUV−オゾン処理した後は、CPDの大幅な低下(有効仕事関数の増大に相当)が観察された。
【0074】
実施例2
6つのOLEDデバイスを製造した。OLEDは、American Dye Sources社(カナダ)から入手し、納品時のままの状態でそれ以上精製せずに発光層材料として用いた青色発光ポリマー(LEP)ADS329BE[N,N−ビス(4−メチルフェニル)−アニリンで末端封鎖したポリ(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)]からなるものであった。
【0075】
これらのOLEDは以下の通り製造した。標準的フォトリソグラフィー技術を用いてパターン化したITO被覆ガラスをアノード基材として用いた。OLEDは、追加のアノード活性化層の有無以外は同じ構造のITOアノードを用いた。表2に示すように、デバイスA及びデバイスBは、ADS329BEの設層前にデバイスBのITO基材を5分間UV−オゾン処理した点を除いて、いずれも同じITOアノードを有していた。デバイスC及びデバイスDは、ADS329BEの設層前にデバイスDのPEDOT−TMA層を約5分間UV−オゾン処理した点を除いて、同じPEDOT−TMAのアノード活性化層(約40〜45nm)を有していた。デバイスE及びデバイスFは、ADS329BEの設層前にデバイスFのPEDOT−TMA:Ph2IPF6層を約5分間UV−オゾン処理した点を除いて、いずれも同じPEDOT−TMA:Ph2IPF6のアノード活性化層(約35nm)を有していた。次いで、ADS329BE層(65±3nm)を、p−キシレン中のその溶液(1.7wt%)から、アノード活性化層を有する又は有さないITO上に、スピンコートした。アノード活性化層及びADS329BE層の設層並びにUV−オゾン処理はすべて、24℃の室温及び相対湿度64%の周囲雰囲気中で実施した。次に、試料を、アルゴン雰囲気のグローブボックス(湿気及び酸素はそれぞれ約1ppm及び約10ppm未満であった)内に移した。次いで、NaF(4nm)/Al(110nm)二層カソードをADS329発光層の上に熱蒸着させた。メタライズ(メタライズとは、アルミニウムのような金属層を設層して様々なデバイス構造体を電気的に接続又は相互に接続することをいう)の後、Norland Products社(米国ニュージャージー州クランバリー)から入手した光接着剤Norland 68で封止したカバーガラスでデバイスを封止した。活性領域は約0.2cm2であった。
【0076】
【表2】

デバイスの測定性能特性をまとめて表2に示す。UV−オゾン処理したPEDOT−TMA:Ph2IPF6アノード活性化層を使用すると、裸のITOアノード又はPEDOT−TMAアノード活性化層を有するデバイスに比べて、大幅に向上した効率と格段に低下したターンオン電圧(対応輝度が1cd/m2に達したときの印加電圧として定義される)を有するOLEDデバイスが得られたことが分かる。これらのデバイスはすべて同種の発光層と同種の二層カソードを有するので、この性能向上は、PEDOT−TMA:Ph2IPF6でITO電極を活性化したことで、正孔注入が格段に促進されたことに起因すると思料される。この測定性能特性は、Ph2IPF6の存在とUV−オゾン処理が、観察された活性化効果に寄与する重要な因子であることを示している。
【0077】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、UV照射(及び/又はその他の潜在手段)によって、光酸発生剤として周知のPh2IPF6が分解して強酸(HPF6)を発生し、(光)発生した酸がPEDOT−TMAホストを活性化し、おそらくはPEDOT−TMA:Ph2IPF6/LEP界面も活性化し、ITO電極から活性LEP層への正孔注入を大幅に促進して、全体的な性能を大幅に向上させることができたと考えられる。
【0078】
実施例3
2リットル三首フラスコに、Adogen 464(約23g)、2−ブロモ−プロパン(約235mL)、水酸化カリウム(飽和水溶液、約1.2L)、及び新たに熱分解し蒸留したシクロペンタジエン(41mL)を仕込んだ。内容物をメカニカルスターラーで撹拌し、24時間約80℃に加熱した。上層のガスクロマトグラフィー分析から、テトラ−イソ−プロピルシクロペンタジエンへの優れた転化を示していた。全反応混合物を分液漏斗に入れた。水とヘキサンを添加してエマルジョンを破壊し、その上層を回収した。底の水性層をヘキサンで洗浄し、合計約1.5Lの有機溶媒を回収した。次に、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥してから濾過し、ヘキサンでさらに洗浄した。次いで、有機物全体を80℃で回転蒸発(30mmHg)に付してヘキサンを除去したところ、高沸点オイルが残った。オイルを次に0.6mmHgでビグローカラムに通して真空蒸留した。110〜130℃で沸騰する画分を回収した(約53.1g)。留出物全体を乾燥テトラヒドロフラン(THF)(約500mL)に溶解した後、カリウム(約10g)をゆっくり加えたところ、ガス発生が認められた。内容物を17時間撹拌した。水を添加して反応を奪活した。内容物をヘキサンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空中でヘキサンを除去した。回収したオイルを冷蔵室に入れて無色結晶C52(イソプロピル)4を得た。
【0079】
上記の通り調製したC52(イソプロピル)4(約8.12g)をTHF(約100mL)及び水素化カリウム(約1.4g)と混合し、約24時間撹拌した。溶液を窒素下で濾過し、窒素下で乾燥THFを用いて洗浄して白色固体のテトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニルカリウム(K[HC5(イソプロピル)4])を得た。K[HC5(イソプロピル)4](約2.81g)をTHF(50mL)中でヨウ化バリウム(約2g)と混合し、約24時間窒素下で撹拌した。この溶液を窒素下で濾過してヨウ化カリウムを除去し、固体をTHFで洗浄した。真空中でTHFを除去して、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)バリウム(Ba−TPCP)を含有する固体を得た。
【0080】
約55.7mgのBa−TPCPを約11mLのキシレンに溶解して名目濃度約0.5wt%の溶液を調製した。この溶液は、アルゴン雰囲気のグローブボックス(湿気及び酸素はそれぞれ約1ppm及び約3ppm未満)内で調製した。調製したての溶液は、ガラスバイアルの底に沈殿した未溶解材料を若干有していた。上の清澄溶液を取り、濾過段階を経ずに使用した。
【0081】
3つの試料、すなわち試料4、試料5及び試料6をKP測定用に調製した。すべての試料において、まず、導電性基材として用いたAl層(約80nm)を、予め清浄化しておいたガラススライド上に熱蒸着させた。
【0082】
試料4のKP測定は、周囲雰囲気への暴露(「空気暴露」)及びベーキングの前後にAl基材で実施した。周囲雰囲気とは、実験を行ったときの温度約24℃及び相対湿度約62%の標準的な室内条件をいう。試料5では、同じグローブボックス内でAl上にBa−TPCPの溶液をスピンコートした。次いで、試料5で、(1)スピンコートしたまま、(2)3分間空気暴露した後、(3)グローブボックス内で約180℃で約15分ベーキングした後、(4)さらに3分間空気暴露した後、(5)さらに同じグローブボックス内で約180℃で約15分ベーキングした後、及び(6)さらに約3分間空気暴露した後の一連のKP測定を行った。試料6では、グローブボックス内でAl上にBa−TPCPの溶液をスピンコートした。試料6で、(1)スピンコートしたまま、(2)同じグローブボックス内で約180℃で約15分ベーキングした後、(3)約3分間空気暴露した後の一連のKP測定を行った。
【0083】
KP測定の結果をまとめて表3に示す。測定はグローブボックスでのベーキング段階が決定的重要性をもつことを示している。ベーキング段階(又は試料Aのように第1のベーキング段階)に応答したCPDの増大は有効仕事関数の顕著な低下に相当する。
【0084】
【表3】

実施例4
4つのOLEDデバイスを製造した。デバイスの製造に先立って、同じグローブボックス(湿気及び酸素はそれぞれ1ppm及び3ppm未満であった)内で2種類の溶液を調製した。第1の溶液(OAP9903:SR454)は、H.W.Sands社(米国フロリダ州ジュピター)から入手した緑色発光ポリマー:ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−コ−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](OPA9903)と、Sartomer社(米国ペンシルヴァニア州エクストン)から入手したアクリレート系接着剤:エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(SR454)とを含んでいた。これらの材料はいずれも納品時のままの状態でそれ以上精製せずに使用した。p−キシレン中2%OPA9903溶液約2.5mLとp−キシレン中1%SR454溶液約2mLとを混合して混合溶液を調製した。得られたSR454とOPA9903の比は約30wt%であった。OPA9903とBa−TPCPとを含む第2の溶液(OPA9903:Ba−TPCP)は、キシレン中0.6wt%のOPA9903溶液約1.5mLとキシレン中Ba−TPCP溶液約3mLとを混合して調製した。
【0085】
OLEDは以下の通り製造した。アノード基材として使用した予めパターン化されたITO被覆ガラスをUV−オゾンで10分間清浄化した。次いで、Bayer社から入手した[ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート](PEDOT/PSS)ポリマー層(60nm)を、スピンコートによりITOの上に堆積させた後、周囲雰囲気(室温24℃、相対湿度62%)中180℃で1時間ベーキングした。次に、試料を同じグローブボックス内に移した。特記しない限り、以下の段階は同じグローブボックス内で実施した。次いで、OPA9903:SR454からなる発光層を、p−キシレン中のその溶液からPEDOT/PSS層上にスピンコートした後、UVランプ(Ultroviolet Products社(米国カリフォルニア州アプランド)から入手したR−52グリッドランプ、フィルター除去)(約310nm、365nm及び400nmでの測定強度は0.39、0.43及び1.93mW/cm2であった)を用いて1分間硬化させた。次に、この硬化発光層の上にOPA9903:Ba−TPCP混合物層をスピンコートした後、約180℃で約15分間ベーキングした。最後に、OPA9903:Ba−TPCP層上にシャドーマスクを通してAl層(約110nm)を熱蒸着させた。金属蒸着後、デバイスを光接着剤Norland 68で封止したガラススライドを用いて封止した。活性領域は約0.2cm2である。
【0086】
4つのOLEDデバイスを製造した。対照デバイスのデバイスGは、OPA9903:Ba−TPCPの混合物層を有していなかった。デバイスH、I及びJは、Al蒸着前にOPA9903:Ba−TPCPの混合物層に異なる処理をした点を除いて、同じ構造である。デバイスHでは、スピンコートした混合物層を周囲雰囲気に約3分暴露した後同じグローブボックス内で約15分180℃でベーキングした。デバイスIでは、混合物層は周囲雰囲気に暴露せず、デバイスJでは、ベーキング段階の後に混合物層を周囲雰囲気に3分暴露した。図25は、デバイスG、H、J及びIでの効率(cd/A単位で測定)と電流密度(mA/cm2単位で測定)の関係を示す。
【0087】
効率130と電流密度132の曲線を対比すると、デバイスH(曲線136)、I(曲線140)及びJ(曲線138)のようにOPA9903:Ba−TPCPの混合物層を導入すると、対照デバイスG(曲線134)に比べてデバイスの効率が大幅に向上することが分かる。4つのデバイスはすべて同じアノードを有しているので、観察された効率の向上は裸のAlカソードの活性化を直接反映していると考えられる。さらに、これらのプロットは、ベーキングと周囲雰囲気への暴露の順が重要であることも示している。周囲雰囲気に暴露しなかったデバイスIは、デバイスH及びデバイスJに比して最大の向上を示している。ベーキング段階の前に周囲雰囲気に暴露したデバイスHは、ベーキング段階の後に周囲雰囲気に暴露したデバイスJに比べると向上した効率を示している。
【0088】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、ベーキング(及び/又はその他の潜在手段)の際に、バリウム化合物(Ba−TPCP)が分解して、自由バリウム原子を放出し、このバリウム原子が後で活性ポリマー(OPA9903)を活性化できると考えられる。式5は、アルカリ土類金属の有機金属化合物M−TPCPが加熱時に分解して自由金属原子を放出することを示す。ここで、Mはバリウムを始めとするアルカリ土類金属である。
【0089】
【化4】

活性化OPA9903は、裸のAlカソードからOPA9903の活性層への電子注入を促進する。
【0090】
以上説明してきた本発明の実施形態は、導電率の向上したOLEDデバイスを与えてOLEDの発光効率を高めるなど、数多くの利点を有している。
【0091】
本明細書では本発明の幾つかの特徴を例示し説明してきたが、当業者は数多くの修正及び変更に想到し得るであろう。従って、特許請求の範囲は本発明の技術的思想に属する修正及び変更を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な実施形態の断面図である。
【図2】図2は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの別の代表的な実施形態の断面図である。
【図3】図3は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの別の代表的な実施形態の断面図である。
【図4】図4は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの別の代表的な実施形態の断面図である。
【図5】図5は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの別の代表的な実施形態の断面図である。
【図6】図6は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの別の代表的な実施形態の断面図である。
【図7】図7は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図8】図8は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図9】図9は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図10】図10は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図11】図11は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図12】図12は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図13】図13は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図14】図14は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図15】図15は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図16】図16は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図17】図17は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図18】図18は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図19】図19は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図20】図20は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図21】図21は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図22】図22は、本技術の態様に係る図1〜図6に示す有機発光デバイスの代表的な製造プロセスの断面図である。
【図23】図23は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセスを示すフローチャートである。
【図24】図24は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセスを示すフローチャートである。
【図25】図25は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの代表的な製造プロセスを示すフローチャートである。
【図26】図26は、本技術の態様に係る有機発光デバイスの効率対電流密度プロフィールを示すグラフである。
【符号の説明】
【0093】
10 OLED
12 電極
14 潜在活性化電気活性層
16 電気活性層
18 第2の電極
20 OLED
22 電極
24 活性化層
26 電気活性層
28 第2の電極
30 OLED
32 電極
34 電気活性層の活性化領域
36 非活性化領域
38 電気活性層
40 第2の電極
42 OLED
44 電極
46 活性化層
48 第2の活性化層
50 第2の電極
52 OLED
54 電極
56 活性化層
58 電気活性層
60 第2の活性化層
62 第2の電極
64 OLED
66 アノード
68 活性化電気活性層
70 LEP層
72 透明カソード
74 正孔注入活性化層
76 第2の電気活性層
78 カソード
80 電極
82 潜在活性化電気活性層
84 活性化源
86 活性化電気活性層
88 電気活性層
89 第1のデバイス部分構造
90 第2の電極
91 パターン化層
92 電気活性層の活性化領域
94 電気活性層の潜在活性化領域
95 潜在活性化層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の潜在活性化剤材料を含む1以上の潜在活性化層を含んでなる有機発光デバイス。
【請求項2】
潜在活性化層がさらに、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、カソード層材料、アノード層材料、吸光層材料、エレクトロルミネセント層材料、エレクトロクロミック材料又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項3】
潜在活性化剤材料が、無機材料、有機材料、ポリマー材料、有機金属材料又はこれらの組合せからなる1種以上の材料を含む、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項4】
潜在活性化剤材料が、光酸発生型官能基、光塩基発生型官能基、熱酸発生型官能基又はこれらの組合せからなる1以上の官能基を有する材料を含む、請求項3記載の有機発光デバイス。
【請求項5】
潜在活性化剤材料が光酸発生剤又は熱酸発生剤を含む、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項6】
光酸発生剤が、オニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ハロニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロベンジルエステル、スルホン、ホスフェート、N−ヒドロキシイミドスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアゾナフトキノン、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、トリスルホニウムトリフレート又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項5記載の有機発光デバイス。
【請求項7】
熱酸発生剤が、チオラニウム塩、ベンジルチオラニウムヘキサフルオロ−プロパン−スルホネート、ニトロベンジルエステル、2−ニトロベンジルトシレート又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項5記載の有機発光デバイス。
【請求項8】
潜在活性化剤材料が光塩基発生剤である、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項9】
光塩基発生剤が、O−アシルオキシム、第四アンモニウム塩、O−フェニルアセチル−2−アセトナフトンオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、O−ニトロベンジルN−シクロヘキシルカルバメート、ニフェジピン、N−メチルニフェジピン又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項8記載の有機発光デバイス。
【請求項10】
潜在活性化剤材料が式R2Mの有機金属化合物を含む(式中、Mは金属であり、Rは脂肪族又は芳香族基である。)、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項11】
潜在活性化剤材料が式R2Mの有機金属化合物を含む(式中、Mは第II族金属、ランタニド系金属又はこれらの組合せであり、Rは脂肪族又は芳香族基である。)、請求項10記載の有機発光デバイス。
【請求項12】
潜在活性化剤材料が、アルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)バリウム、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)カルシウム、ビス(ペンタ−イソプロピルシクロペンタジエニル)M、ビス(トリ−t−ブチルシクロペンタジエニル)M、ランタニド系遷移金属のシクロペンタジエニル誘導体、アルカリ土類金属のフルオレニル誘導体、ビス(フルオレニル)カルシウム、ビス(フルオレニル)バリウム、ランタニド系遷移金属のフルオレニル誘導体又はこれらの組合せからなる材料を含む(ただし、Mはカルシウム、バリウム又はストロンチウムである。)、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項13】
潜在活性化剤材料が有機マトリックス中の分散質として存在する、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項14】
さらに、正孔輸送層材料、正孔注入層材料材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、エレクトロルミネセント層材料、カソード層材料、アノード層材料又はこれらの組合せを含む1以上の層を含む、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項15】
1以上の潜在活性化層が光活性化又は熱活性化ができるものである、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項16】
1以上の潜在活性化層が空間選択的な光活性化又は熱活性化ができるものである、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項17】
1以上の潜在活性化層が空間選択的な不動態化ができるものであり、選択的な不動態化が、活性化剤材料と接触した抗潜在活性化材料を選択的に活性化することによって奪活することを含む、請求項1記載の有機発光デバイス。
【請求項18】
1種以上の潜在活性化剤材料の光又は熱活性化生成物を含む1以上の活性化層を含んでなる有機発光デバイス。
【請求項19】
光又は熱活性化生成物が酸、塩基又は酸化状態0の金属からなる材料を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項20】
潜在活性化剤材料が光酸発生剤又は熱酸発生剤を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項21】
光酸発生剤が、オニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ハロニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロベンジルエステル、スルホン、ホスフェート、N−ヒドロキシイミドスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアゾナフトキノン、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、トリスルホニウムトリフレート又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項20記載の有機発光デバイス。
【請求項22】
熱酸発生剤が、チオラニウム塩、ベンジルチオラニウムヘキサフルオロ−プロパン−スルホネート、ニトロベンジルエステル、2−ニトロベンジルトシレート又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項20記載の有機発光デバイス。
【請求項23】
潜在活性化剤材料が光塩基発生剤を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項24】
光塩基発生剤が、O−アシルオキシム、第四アンモニウム塩、O−フェニルアセチル−2−アセトナフトンオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、O−ニトロベンジルN−シクロヘキシルカルバメート、ニフェジピン、N−メチルニフェジピン又はこれらの組合せからなる材料を含む、請求項23記載の有機発光デバイス。
【請求項25】
潜在活性化剤材料が式R2Mの有機金属化合物を含む(式中、Mは金属であり、Rは脂肪族又は芳香族基である。)、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項26】
潜在活性化剤材料が式R2Mの有機金属化合物を含む(式中、Mは第II族金属、ランタニド系金属又はこれらの組合せであり、Rは脂肪族又は芳香族基である。)、請求項25記載の有機発光デバイス。
【請求項27】
潜在活性化剤材料が、アルカリ土類金属のシクロペンタジエニル誘導体、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)バリウム、ビス(テトラ−イソプロピル−シクロペンタジエニル)カルシウム、ビス(ペンタ−イソプロピルシクロペンタジエニル)M、及びビス(トリ−t−ブチルシクロペンタジエニル)M、ランタニド系遷移金属のシクロペンタジエニル誘導体、アルカリ土類金属のフルオレニル誘導体、ビス(フルオレニル)カルシウム、ビス(フルオレニル)バリウム、ランタニド系遷移金属のフルオレニル誘導体又はこれらの組合せからなる材料を含む(ただし、Mはカルシウム、バリウム又はストロンチウムである。)、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項28】
活性化層が、さらに、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、吸光層材料、エレクトロルミネセント層材料、エレクトロルミネセント層材料、カソード層材料、アノード層材料又はこれらの組合せからなる有機材料を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項29】
1以上の波長での光活性化生成物を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項30】
光又は熱で誘起される空間選択的な活性化を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項31】
光又は熱で誘起される空間選択的な不動態化を含む、請求項18記載の有機発光デバイス。
【請求項32】
有機発光デバイスの製造方法であって、
基材上に設けられた第1の電極と該記基材上に設けられた1以上の潜在活性化層とを含む第1のデバイス部分構造であって、1以上の潜在活性化層が1種以上の潜在活性化剤材料を含む第1のデバイス部分構造を用意し、
第2の電極を含む第2のデバイス部分構造を用意する
ことを含んでなる方法。
【請求項33】
さらに、正孔輸送層材料、正孔注入層材料、電子輸送層材料、電子注入層材料、吸光層材料、エレクトロルミネセント層材料、カソード層材料、アノード層材料又はこれらの組合せを基材上に配置することを含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
第2のデバイス部分構造がさらに、1以上の基材層、電極層、潜在活性化層、活性化層、電気活性層又はこれらの組合せを含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
さらに、第1のデバイス部分構造と第2のデバイス部分構造とを互いに積層することを含む、請求項32記載の方法。
【請求項36】
積層が、加熱、加圧又はこれらの組合せを含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
さらに、1種以上の潜在活性化剤材料の光活性化又は熱活性化によって塩基、酸又は酸化状態0の金属を生成させることを含む、請求項32記載の方法。
【請求項38】
塩基、酸又は酸化状態0の金属を生成させることが、第1のデバイス部分構造上に第2のデバイス部分構造を配置する前に1種以上の潜在活性化剤材料を光活性化又は熱活性化することを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
塩基、酸又は酸化状態0の金属を生成させることが、第1のデバイス部分構造上に第2のデバイス構造体を配置した後に1種以上の潜在活性化剤材料を光活性化又は熱活性化することを含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
光活性化又は熱活性化が空間選択的な活性化を含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
さらに、1以上の波長で1種以上の潜在活性化剤材料を光活性化することを含む、請求項32記載の方法。
【請求項42】
さらに空間選択的な不動態化を含んでおり、空間選択的な不動態化が活性化領域と接触した抗潜在活性化剤材料を照射することを含む、請求項32記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2009−510795(P2009−510795A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534519(P2008−534519)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/028428
【国際公開番号】WO2007/040728
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】