説明

潤滑剤組成物

【課題】潤滑剤組成物を提供すること。
【解決手段】

【化1】


(式中、Rは直鎖状又は枝分かれした7ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし18の数を表す。)で表される特定のNH立体障害性アミン化合物は、潤滑剤組成物における安定化剤としての使用に適する。前記立体障害性アミンは、フルオロエラストマーO−リング又はシールに対して非攻撃的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の立体障害性アミン安定剤の配合によって酸化劣化に対して安定化された潤滑剤組成物に関する。該潤滑剤組成物は、シールスウェル(seal swell)に関して優れた結果を示す。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、特定の芳香族アミン及び少なくとも1種の立体障害性アミンを用いた潤滑剤組成物の安定化を教示する。
特許文献3は、立体障害性アミン及びフェノールの添加によって安定化された潤滑剤を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それらの性能特性を改善するために鉱油又は合成油をベースとした潤滑剤に安定剤を添加することは既知である。酸化防止剤は特に重要である。潤滑剤の酸化劣化は、エンジンの燃焼室に広がる高温及び、酸素に加えて、酸化触媒として作用する窒素の酸化物の存在のために、特にモーター油において重要な役割を果たす。
ヒンダードアミン化合物は潤滑剤に対して効果的な安定剤である。しかしながら、それらは一般的にシールスウェルのような損傷効果のために使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特定の種類のヒンダードアミン化合物を用いた潤滑剤組成物の安定化に関する。本発明の潤滑剤組成物は、シールに対して非攻撃的である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、鉱油もしくは合成基油又は鉱油及び合成基油の混合物、並びに少なくとも1種の式
【化1】

(式中、Rは直鎖状又は枝分かれした7ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし18の数を表す。)で表される立体障害性アミン化合物を含む安定化された潤滑剤組成物に関する。
前記アルキル基は線状又は枝分かれ状であり、及び例えば7,8,9,10,11,12,13,14,15,16又は17個の炭素原子からなる。
前記数のnは、例えば6,8,10,12,14,16又は18である。
【0006】
立体障害性アミンは既知であり、また技術的に既知である方法に従い製造される。例えば、本発明のヒンダードアミンは、脂肪族カルボン酸の2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−オールエステル、例えばラウリン酸又はステアリン酸のエステルである。
【0007】
本発明の態様によれば、本発明は式
【化2】

で表されるヒンダードアミンが存在する組成物に関する。
【0008】
本発明に従う潤滑剤は機能液であり、それは潤滑剤、圧媒液又は金属工作液である。
【0009】
潤滑剤は、潤滑剤の製造に通常使用されるような、特に鉱油をベースとした油[API
分類グループI、II、III、ガス トゥ リキッド(gas to liquid)(GTL)油を含むグループIV]又は合成基油である。合成油は、例えば、ポリカルボ
ン酸又はポリオールのエステルであり得;それらは脂肪族ポリエステル又はポリ−α−オレフィン、シリコーン、リン酸エステル又はポリアルキレングリコールでもあり得る。潤滑剤はグリースをベースとした油又は増粘剤でもあり得る。そのような潤滑剤は、例えばD.Klamann,“Schmierstoffe und artverwandte Produkte”[潤滑剤および関連製品](Verlag Chemie,Weinheim,1982)に記載されている。
【0010】
例は、鉱油をベースとした潤滑剤及び圧媒液又は合成潤滑剤もしくは圧媒液、特にカルボン酸エステルの誘導体でありかつ200℃以上の温度で使用されるものである。
【0011】
合成潤滑剤の例は、二塩基酸と一価アルコールとのジエステル、例えばジオクチルセバケート又はジノニルアジペート、トリメチロールプロパンと一塩基酸又はそのような酸の混合物とのトリエステル、例えばトリメチロールプロパントリペラルゴネート、トリメチロールプロパントリカプリレート又はそれらの混合物、ペンタエリトリトールと一塩基酸又はそのような酸の混合物とのテトラエステル、例えばペンタエリトリトールテトラカプリレート、又は一塩基酸及び二塩基酸と多価アルコールとの複合エステル、例えばトリメチロールプロパンとカプリル酸及びセバシン酸との複合エステル、又はそれらの混合物をベースとする潤滑剤を包含する。
【0012】
特に適したものは、鉱油以外では、例えばポリ−α−オレフィン、エステルベースの潤
滑剤、又はホスフェート、グリコール、ポリグリコール及びポリアルキレングリコール、並びにそれらと水との混合物である。
【0013】
本発明の立体障害性アミンは、特にゴム弾性シール(elastomeric seal)に対して非攻撃的である。
【0014】
前記シールは、特にO−リング又は他の品で使用されるフルオロポリマーエラストマーである。該“フルオロエラストマー”は、ASTM D1418及びISO1629のもと、例えばFKMの記号表示で分類される。該フルオロエラストマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びフッ化ビニリデン(VF2又はVDF)のコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロピレンのターポリマー、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、TFE及びプロピレンのコポリマー並びにTFE、PMVE及びエチレンのコポリマーを含む。フッ素含有量は、例えば約66ないし約70質量%の間で変わる。
【0015】
FKMは、ポリマー鎖に置換基フルオロ及びパーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルコキシ基を有するポリメチレン型のフルオロゴムである。
【0016】
従って、本発明の好ましい対象はフルオロエラストマーと接触し、かつ鉱油もしくは合成基油又は鉱油及び合成基油の混合物、並びに少なくとも1種の式(I)又は(II)(式中、Rは直鎖状又は枝分かれした7ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし18の数を表す。)で表される立体障害性アミン化合物を含む安定化された潤滑剤組成物である。
【0017】
本発明に従う立体障害性アミンは、潤滑剤の質量に基づき、約0.01ないし約5質量%、例えば約0.05ないし約3質量%、例えば約0.1ないし約2質量%の量で潤滑剤と混合される。
【0018】
潤滑剤は、潤滑剤の基本性質をさらに改良するために添加される他の添加剤をも含み得;これらは酸化防止剤、金属奪活剤、錆止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、洗浄剤、極圧添加剤、耐摩擦添加剤及び耐摩耗添加剤を含む。
【0019】
これらの付加的な添加剤は例えば以下のものである:
1.酸化防止剤
1.1.アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6(1’−メチルウンデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシ−1’−イル)フェノール及びそれらの混合物。1.2.アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−第三ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
1.3.ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−第三アミ
ルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−第三ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
1.4.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3,6−ジ−第二アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド。
1.5.アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−第三ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−第三ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ2−メチルフェニル)ペンタン。
1.6.O−、N−及びS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−第三ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
1.7.ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
1.8.芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメ
チルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
1.9.トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
1.10.ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
1.11.アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチル N−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)カルバメート。
1.12.[3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の
以下の一価又は多価アルコールとのエステル、
例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'−ビ
ス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
1.13.β−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸の以下の一価又は多価アルコールとのエステル、
例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N'−ビ
ス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
1.14.13−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の以下の一価又は多価アルコールとのエステル、
例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1
−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
1.15.3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸の以下の一価又は多価アルコールとのエステル、
例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
1.16.β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン。
【0020】
アミン系酸化防止剤:
N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−第三オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−第三ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタ
ン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、第三オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6 −テトラメチルピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−オン及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−4−オール。
【0021】
他の酸化防止剤の例:
脂肪族又は芳香族ホスフィット、チオジプロピン酸エステル又はチオジ酢酸エステル、或
いはジチオカルバミン酸塩又はジチオ燐酸塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,11−トリチアトリデカン及び2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカン。
【0022】
金属奪活剤(例えば銅用)の例は以下のものである:
a)ベンゾトリアゾール及びその誘導体、例えば4−又は5−アルキルベンゾトリアゾール(例えばトルトリアゾール)及びその誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾール及び5,5’−メチレンビスベンゾトリアゾール;ベンゾトリアゾール又はトルトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トルトリアゾール及び1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール;及びアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば1−(ノニルオキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール及び1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トルトリアゾール。
b)1,2,4−トリアゾール及びその誘導体、例えば3−アルキル(又はアリール)−1,2,4−トリアゾール、及び1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,2,4−トリアゾール;アルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール、例えば1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾール;及びアクリル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール。
c)イミダゾール誘導体、例えば4,4’−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)及びビス[(N−メチル)イミダゾール−2−イル]カルビノールオクチルエーテル。
d)硫黄含有複素環式化合物、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及びその誘導体;及び3,5−ビス[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,3,4−チアジアゾリン−2−オン。
e)アミノ化合物、例えばサリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン及びこれらの塩。
【0023】
錆止剤及び摩擦調整剤の例は以下のものである:
a)有機酸、それらのエステル,金属塩,アミン塩及び無水物、例えばアルキル−及びアルケニルコハク酸及びアルコール,ジオール又はヒドロキシカルボン酸とのそれらの部分エステル、アルキル−及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4−ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシ−及びアルコキシエトキシカルボン酸、例えばドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸及びそれらのアミン塩、及びまたN−オレオイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、鉛ナフテネート、アルケニルコハク酸無水物、例えばドデセニルコハク酸無水物、2−カルボキシメチル−1−ドデシル−3−メチルグリセロール及びそのアミン塩。
b)窒素含有化合物、例えば:
I.第一、第二、第三脂肪族アミン又は脂環式アミン並びに有機酸及び無機酸のアミン塩、例えば油溶性アルキルアンモニウムカルボン酸塩、及びまた1−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−3−(4−ノニルフェノキシ)プロパン−2−オール。
II.ヘテロ環式化合物、例えば:置換性イミダゾリン及びオキサゾリン、及び2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリン。
c)燐含有化合物、例えば:燐酸部分エステル又はホスホン酸部分エステルのアミン塩、及び亜鉛ジアルキル−ジチオホスフェート。
d)モリブデン含有化合物、例えばモリブデンジチオカルバメート及び他の硫黄及び燐含有誘導体
e)硫黄含有化合物、例えば:バリウムジノニルナフタレンスルホネート、カルシウム石油スルホネート、アルキルチオ置換された脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステル及びその塩。
f)グリセロール誘導体、例えば:グリセロールモノオレエート、1−(アルキルフェノ
キシ)−3−(2−ヒドロキシエチル)グリセロール、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)グリセロール及び2−カルボキシアルキル−1,3−ジアルキルグリセロール。
【0024】
粘度指数改良剤の例は以下のものである:
ポリアクリルレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー及びポリエーテル。
【0025】
流動点降下剤の例は以下のものである:
ポリメタクリレート及びアルキル化ナフタレン誘導体。
【0026】
分散剤/界面活性剤の例は以下のものである:
ポリブテニルコハク酸アミド又はイミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体及び塩基性のマグネシウム,カルシウム及びバリウムスルホネート並びに塩基性のマグネシウム,カルシウム及びバリウムフェノレート。
【0027】
耐摩耗添加剤の例は以下のものである:
硫黄原子及び/又は燐原子及び/又はハロゲン原子を含有する化合物、例えば硫化オレフィン又は植物油、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、アルキル化トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、塩素化パラフィン、アルキル及びアリールジスルフィド並びにアルキル及びアリールトリスルフィド、モノ−及びジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体、エチル3−[(ジイソプロポキシホスフィノチオニル)チオ]プロピオネート、トリフェニルチオホスフェート(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート及びその混合物(例えばトリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン3−オキシドのドデシルアミン塩、トリチオ燐酸5,5,5−トリス[イソオクチル 2−アセテート]、2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、例えば1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾール、及びエトキシカルボニル−5−オクチルジチオカルバメート。
【0028】
下記の実施例は本発明をより詳細に説明する。部及びパーセンテージは、特に他の記載がない限り質量に基づく。
【実施例】
【0029】
他の類似の立体障害性アミン添加剤を超えて特許請求の範囲に記載されている立体障害性アミンの優れているところは、下記の実施例によって説明される。0.08%のPを含有する5W−30エンジンオイルは、2つのユニットによるASTM D 4739によって測定されるような全塩基価(total base number)を上げるために
十分な立体障害性アミンが追加された。アミン添加剤Aを1.0質量%の処理水準で添加し、及びアミン添加剤Bを1.2%の処理水準で添加した。前記オイルを均一性を確実にするために60℃で1時間攪拌した。エラストマー適合性手順(elastomer compatibility procedure)CEC−L−39−T−96に従い配合物を試験した。FKMフッ化ゴムを用いたこれらの配合物のCEC−L−39−T−96試験結果を以下に見出した。両方のアミンがゴムエラストマーに作用した。
【表1】

引張り強度及び破断点伸びにおけるアミンAの効果の大きさは、ACEAのそれらの規格に関する使用に全く適していない。アミンBはフッ化ゴムに対してより低い効果を有し−それはエンジンオイルにおける使用に適することを示す。
アミンAは、
【化3】

であり、アミンBは
【化4】

である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】米国特許第5,073,278号明細書
【特許文献2】米国特許第5,273,669号明細書
【特許文献3】米国特許第5,268,113号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱油もしくは合成基油又は鉱油及び合成基油の混合物、並びに
少なくとも1種の式
【化1】

(式中、Rは直鎖状又は枝分かれした7ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし18の数を表す。)で表される立体障害性アミン化合物
を含む安定化された潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記Rは直鎖状又は枝分かれした11ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし8の数を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記立体障害性アミンが式(I)で表される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記立体障害性アミンが式(II)で表される請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記立体障害性アミンが式
【化2】

で表される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記立体障害性アミンが式
【化3】

で表される請求項1に記載の安定化された潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記立体障害性アミンが、潤滑剤の質量に基づき、約0.01ないし約5質量%存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記立体障害性アミンが、潤滑剤の質量に基づき、約0.05ないし約3質量%存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記立体障害性アミンが、潤滑剤の質量に基づき、約0.1ないし約2質量%存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
フルオロエラストマーと接触し、かつ少なくとも1種の鉱油もしくは合成基油又は鉱油及び合成基油の混合物、並びに少なくとも1種以上の式(I)又は(II)(式中、Rは直鎖状又は枝分かれした7ないし17個の炭素原子からなるアルキル基を表し、及びnは6ないし18の数を表す。)で表される立体障害性アミン化合物を含む安定化された潤滑剤組成物。

【公表番号】特表2009−545640(P2009−545640A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522212(P2009−522212)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057552
【国際公開番号】WO2008/015116
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】