説明

潤滑油劣化モニター装置

【課題】、広い油種および広い使用環境に対応可能であり、かつ安価な提供が可能であり、しかも簡易な測定が可能である画期的な潤滑油劣化モニター装置を提供する。
【解決手段】単一の光源から発生した可視光を潤滑油1と赤外線カット用フィルター4を透過させ、単一の受光素子5により電気信号に変えて潤滑油1の劣化を検知する潤滑油劣化モニター装置100において、光源として、白色LED3を用いる。装置そのものをきわめてシンプルとし、より小型、かつより低価格な装置とする。また、光源が白色LED3であるため、潤滑油1の劣化に伴う光の透過度の変化の大きい波長領域を選択的に測定できることが可能となる。また、白色LED3を用いることによって、潤滑油1の多くの種類あるいは使用状況への対応が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油劣化モニター装置に関する。詳しくは、あらゆる潤滑油の劣化度合いを最もよく判定するべく潤滑油を透過する光を最適化し、その光を検知することによって潤滑油の劣化度を判定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用潤滑油や工業用潤滑油等、各種装置、各種機関、機械の駆動部等に用いられる潤滑油の劣化度合いを正確にかつ連続的にモニターすることは、必要な時期の潤滑油の交換が可能になるばかりでなく、計画的に潤滑油の交換を行うことを可能にする。このことは、潤滑油資源の省資源になるばかりか、機械寿命を延長することに繋がる。
【0003】
潤滑油の劣化度を判定する場合、一般的には、使用中の潤滑油を採取し、別な実験室で色、粘度、酸価、きょう雑物量などの各種物性を測定することによって行われる。これらの方法では、潤滑油の劣化度を総合的に判断することが可能であるが、多くの時間と人手を要するため、産業上重要な装置または高価な装置においてのみ行われているのが現状である。一方、一般に存在する自動車を含む数多くの機械には、このような対応が行われていないのが実情であり、これらの多くの機械では、これまでの経験から駆動時間や走行距離に応じて劣化状況を想定し、または簡単な目視により潤滑油の交換が行われているのが現状である。
【0004】
これらの問題を解決するには、潤滑油を採取せずに、劣化度を使用中にモニターすることが必要になる。これを実現するために、これまでに各種の方法が提案されている。透過光または特定波長の光吸収による方法、赤外線または紫外線の吸収による方法、電気的特性たとえば静電容量、電気抵抗、誘電率、または電極の起電力測定による方法、粘度または密度等物理特性による方法、粒子カウンターまたは光透過量から不溶分を計測する方法など、多くの方法が提案されている。しかしながら、いずれもが劣化判定の指標としての精度や再現性に問題があるため、あるいはこれらに問題がなくても装置が高価格であることなどの理由により、広く使用されるに至っていない。多くの機械に適用するためには、劣化判定の指標としての精度と価格の両立が必須である。
【0005】
多くの劣化モニターの中で精度と価格の両立に最も可能性がある装置としては、透過光の測定による方法および電気的特性の測定による方法が挙げられる。その他の方法では、高価格であるか、もしくは精度に問題がある。電気的特性による方法は、装置の構造が簡単であるため、価格を低く抑えられ、大きな魅力がある。ただし、この方法では、測定値が測定環境によってばらつくという問題があるほか、工業用潤滑油においては使用初期から中期までの測定値の変化が小さいという欠点を有する。
【0006】
一方、光による色の判定法は、潤滑油の色変化が使用時間と共に必ず少しずつ変化していき、かつ測定値そのものの測定精度が極めて高いという特徴がある。この方法を利用して、可視光の透過率を測定して、劣化判定を行う単純な装置が市販されている。しかしながら、この単純な方法では、潤滑油の使用中に透過率が変化しても、潤滑油の種類によって劣化度と透過率が直線関係にはないため、劣化度の判定を一義的に決められないという欠点を有する。
【0007】
潤滑油の種類によって着色傾向が異なっていることに対しての対策としては、透過光をRGBに分けて測定するという方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、潤滑油の種類によって劣化パターンが異なることから油種毎の対応が必要となり、汎用的な劣化度の判定が困難となる。また、透過光をRGBに分けて測定するため、光源またはセンサーが3種類必要となる。
【0008】
また、透過光の三刺激値の一つのYおよび三刺激値から求めた色度座標x、yと、あらかじめ潤滑油の種類によって設定した定数A、B、C、Dとから潤滑油の劣化を判定する評点を計算で求めるという方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では、あらかじめ油種毎に4つの定数を求めておくことが必要となるため汎用性に問題が残る。また、センサーが3つ必要なことから、価格的にも限界がある。
【0009】
波長の異なる少なくとも2種の単色光光源を用い、2波長間の光吸収損失差でオイルの劣化度を判定する装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方法では、油種毎に最適の単色光が異なるため、多くの油種に対応するには信頼性に問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平6−34541号公報
【特許文献2】特開平05−223729号公報
【特許文献3】特開平11−235097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、従来の潤滑油劣化モニター装置では、広い油種及び使用環境に対応することが求められており、安価に提供することができ、且つ簡易に測定することが求められていた。
【0012】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたものであり、広い油種および広い使用環境に対応可能であり、かつ安価な提供が可能であり、しかも簡易な測定が可能である画期的な潤滑油劣化モニター装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、本発明者らは、白色LEDを発光素子に使用することで、より簡易に潤滑油の劣化を把握できることを見出すに至った。白色LEDを光源に使用すると、装置そのものがきわめてシンプルなものとなり、より小型、かつより低価格な潤滑油劣化モニター装置の実現が可能となるためである。
【0014】
現在、白色LEDには3つのタイプが存在する。すなわち、青色LEDと黄色発光蛍光体を組み合わせたもの、近紫外LEDと赤・緑・青の3色を発光する蛍光体を組み合わせたもの、および赤・緑・青の3色のLEDを組み合わせたものである。これら三つのいずれのタイプでも使用可能であるが、白色LEDの中でも、本発明者らは、本発明に係る潤滑油劣化モニター装置として、青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせた白色LEDが好適であることを見出した。
【0015】
青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせた白色LEDを発光素子に利用することで潤滑油の劣化をより簡易に計測できるのは、以下の理由による。すなわち、潤滑油の可視光の透過度は短波長側で小さく、長波長側で大きいという特徴を持っている。一方、潤滑油の劣化に伴う透過度の低下の度合いは短波長側が大きく、長波長側が小さい傾向を示す。このため、可視光の短波長側の470nm付近と中央の570nm付近に強度のピークを持ち、600nm以上の高波長域にはピークを持たない白色LEDは、潤滑油の劣化に伴う光の透過度の変化の大きい波長領域を選択的に測定できることになる。
【0016】
上述のように、可視域全域で測定する場合は、透過度が大きくかつ変化の小さい長波長側の情報が主になるため、潤滑油の劣化に伴う光の透過度の変化の度合いが小さくなってしまう。そこで、特開平6−34541や特許第3266637に開示されている、RGBの三つの単色光を測定する方法が開発された。しかしながら、このように可視域を単色光に分けて測定した場合、それを選択もしくは適当な式で演算するということが必要となる。また、単色光で測定したこれらの方法では、本質的に選択した光の波長のみの情報となり、潤滑油の多くの種類あるいは使用状況への対応が難しくなると推察される。
【0017】
以上より、本発明に係る潤滑油劣化モニター装置は、単一の光源から発生した可視光を潤滑油とフィルターを透過させ、単一の受光素子により電気信号に変えて潤滑油の劣化を検知する潤滑油劣化モニター装置において、光源は、白色LEDであることを特徴とする。
【0018】
この潤滑油劣化モニター装置によれば、単一の光源として白色LEDを用い、単一の受光素子で受光するため、装置そのものがきわめてシンプルなものとなり、より小型、かつより低価格な装置とすることが可能となる。光源が白色LEDであるため、潤滑油の劣化に伴う光の透過度の変化の大きい波長領域を選択的に測定できることが可能となる。また、白色LEDを用いることによって、RGBの三つの単色光を測定する場合に比して、潤滑油の多くの種類あるいは使用状況への対応が可能となる。以上によって、広い油種および広い使用環境に対応可能であり、かつ安価な提供が可能であり、しかも簡易な測定が可能となる。
【0019】
また、本発明に係る潤滑油劣化モニター装置において、青色LEDと黄色発光蛍光体を組み合わせたもの、近紫外LEDと赤・緑・青の3色を発光する蛍光体を組み合わせたもの、および赤・緑・青の3色のLEDを組み合わせたもの、などいずれのタイプでもよいが白色LEDは、青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせたものであることが好ましい。
【0020】
更に、本発明者らは、本発明の装置を使用し、潤滑油の透過度の変化を測定した結果、潤滑油の寿命とよく一致する結果を得ることができた。しかしながら、多くのモニター機を試作した結果、個体差が生じることが明らかになった。これは、白色LEDの性能差によるものであって、したがって、白色LEDを選別する必要があることが明らかとなった。通常の発光体としての白色LEDを使用する場合には、1個1個の微妙な発色性の違いは問題にならない。しかしながら、本装置では、白色LEDを1個1個、個別に使用する装置であり、また、その結果によって、潤滑油の寿命を判定するものである。かかる装置においては白色LEDの個体差は使用上最小限に限られるべきことを見出した。
【0021】
本発明者らは、鋭意研究の結果、波長400〜500nmのピーク発光量に対し、波長500〜600nmのピーク発光量が20〜80%、好ましくは25〜70%、より好ましくは30〜60%となることを特徴とする白色LEDを用いることにより、潤滑油劣化モニター装置の個体差を最小限にとどめられることを見出した。なお、上記個体差を持つ白色LEDをそのまま製品化した場合に、それでも製品にばらつきが生じる可能性がある。このため、上記個体差の範囲内であっても最終製品では感度の補正を行うことで、一層性能を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、広い油種および広い使用環境に対応可能であり、かつ安価な提供が可能であり、しかも簡易な測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る潤滑油劣化モニター装置の構成を示す図である。
【図2】実験例1の結果を示す線図である。
【図3】実験例2の結果を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る潤滑油劣化モニター装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明の実施形態の潤滑油劣化モニター装置100の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る潤滑油劣化モニター装置100の構成を示す図である。図1に示されるように、潤滑油劣化モニター装置100は、検査対象となる潤滑油1に可視光を照射する単一の光源である白色LED3と、潤滑油1を透過した可視光を通過させる赤外線カット用フィルター4と、潤滑油1及び赤外線カット用フィルター4を透過した可視光を受光して検出する単一の受光素子5と、受光素子5から出力される電気信号を処理するADC/MPU6と、ADC/MPU6で処理されたデータを表示する表示器7及び当該データを処理するパソコン8とを備えて構成されている。潤滑油1は試料セル2に貯留されており、光源3と赤外線カット用フィルター4の間に試料セル2を配置することによって測定することができる。ここで試料セル2は、測定用の専用セルであってもよいが、各種装置や各種機関の潤滑油タンクや配管であってもよい。白色LED3の光はグラスファイバーGF1を介して潤滑油1を透過し、その光は再びグラスファイバーGF2を介して赤外線カット用フィルター4に導かれ受光素子5で受光される。このように、グラスファイバーGF1とグラスファイバーGF2のみを潤滑油1中に挿入してもよく、また、白色LED3、赤外線カット用フィルター4、受光素子5を測定ユニット10として潤滑油1内に浸漬してもよい。また、潤滑油1を光が通過する距離は特に制限されないが、潤滑油1の残存寿命が0となっても受光素子5において十分に検出が可能な光度が得られればよく、具体的には1mm〜20mm程度が装置の構成上都合が良い。一方、光源である白色LED3の発光光度についても特に制限はないが、受光素子5において十分に検出が可能な光度が得られればよく、LEDへの供給電流を調節することにより光度を最適な値に設定し維持すればよい。
【0026】
潤滑油1は、自動車用潤滑油や工業用潤滑油などの各種装置、各種機関、各機械の駆動部等に用いられる多種多様な潤滑油を適用することができ、たとえば、空気圧縮機油、工業用多目的油、油圧動作油、工業用汎用油などを測定することができる。
【0027】
白色LED3は、波長400〜500nmと波長500〜600nmの二つの波長領域にピーク持つものであって、波長400〜500nmのピーク発光量に対し、波長500〜600nmのピーク発光量が20〜80%、好ましくは25〜70%、より好ましくは30〜60%である。また、白色LED3は、青色LEDと黄色発光蛍光体を組み合わせたもの、近紫外LEDと赤・緑・青の3色を発光する蛍光体を組み合わせたもの、および赤・緑・青の3色のLEDを組み合わせたもの、などいずれのタイプでもよいが、青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせたものであることが好ましい。青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせたタイプの白色LED3は、可視光の短波長側の470nm付近と中央の570nm付近に強度のピークを持ち、600nm以上の高波長域にはピークを持たないため、潤滑油の劣化に伴う光の透過度の変化の大きい波長領域を選択的に測定できることになる。
【0028】
受光素子5は、光源3から照射されて潤滑油1及び赤外線カット用フィルター4を透過した光を受光して電圧に変換してADC/MPU6へ出力する機能を有している。この受光素子5は、単一の素子から構成されており、一般に市販されているフォトダイオードであれば光センサーとしてすべて使用可能である。また、受光素子5の前には、赤外線をカットする赤外線カット用フィルター4を挿入するのが好ましい。これは、赤外線の情報により得られる情報が誤差を持つことが明らかとなったためである。
【0029】
ADC/MPU6は、受光素子5から入力された信号をA/D変換するためのA/D変換器と演算処理を行うためのマイクロプロセッサー(MPU)から構成されている。マイクロプロセッサーによる演算処理としては、平方根処理、立方根処理、または対数処理等があり、これら演算処理をすることにより、潤滑油の劣化程度が大きく濃く着色した潤滑油の測定感度を向上させることが可能となる。マイクロプロセッサーによる演算結果は表示器7及びパソコン8へ出力される。なお、A/D変換した信号を直接表示器7及びパソコン8へ出力してもよい。
【0030】
潤滑油劣化モニター装置100による測定は、光源3、受光素子5、A/D変換器および表示器7及びパソコン8の電源スイッチを入れるだけの動作で開始される。データをパソコン8に読み込ませ、経時変化をプロットさせることが望まれる。測定値が新油時の20〜30%程度となった時が潤滑油の交換の基準と判断できるが、正確な判断を行うには最初の使用段階で一度従来の潤滑油採取法による各種の物理性状や化学性状と比較検討しておくことが望ましい。
【0031】
試料セル2を用いずに、潤滑油が充填されている測定場所に測定ユニット10を設置して測定するに当たって、測定場所は、機械の潤滑油タンク、オイルパン、または配管等の潤滑油1に触れるいかなる場所でもよい。また、通常時は潤滑油1に触れない場所においておき、測定のたびにタンク等に挿入してもよい。また、設備上は工夫が必要であるが、通常時は潤滑油1に触れないようにしておき、測定時に潤滑油1を導き入れることにより測定を行うことも可能である。このような構成にすることによって、装置が潤滑油1によって汚れることを防ぐことができる。
【0032】
潤滑油劣化モニター装置100の測定ユニット10を数年間潤滑油1に浸したままであると、測定ユニット10の受光素子5のセンサー部に潤滑油1の汚れが付着する可能性があるため、時々は潤滑油1の汚れをふき取る必要がある。汚れをふき取る方法は各種の方法が考えられる。簡単なワイパーを設置すれば、自動的なふき取りが可能であり、定期的に汚れた部品のみを交換する等も考えられる。あるいは、一度空気中に取り出すことにより、汚れを電気的にキャンセルすることも可能である。
【0033】
次に、本発明の実施形態に係る潤滑油劣化モニター装置100の作用・効果について説明する。
【0034】
本発明の実施形態に係る潤滑油劣化モニター装置100によれば、単一の光源として白色LED3を用い、単一の受光素子5で受光するため、装置そのものがきわめてシンプルなものとなり、より小型、かつより低価格な装置とすることが可能となる。光源が白色LED3であるため、潤滑油1の劣化に伴う光の透過度の変化の大きい波長領域を選択的に測定できることが可能となる。また、白色LED3を用いることによって、RGBの三つの単色光を測定する場合に比して、潤滑油1の多くの種類あるいは使用状況への対応が可能となる。以上によって、広い油種および広い使用環境に対応可能であり、かつ安価な提供が可能であり、しかも簡易な測定が可能となる。
【0035】
また、本発明の実施形態に係る潤滑油劣化モニター装置100では、波長400〜500nmのピーク発光量に対し、波長500〜600nmのピーク発光量が20〜80%となる白色LED3を用いている。これによって、潤滑油劣化モニター装置の個体差を最小限にとどめることができる。
【0036】
以下、本実施形態に従って行った実験例について説明する。
【0037】
[実験例1]
本発明装置を用い、工業用多目的油を実験室で強制劣化し劣化度をモニターした結果である劣化度指数(MPUで演算処理した平方根の値)を図2(a)に示す。また、図2(b)に劣化度指数と残存寿命のデータとをプロットした。図2(b)において実線で示される残存寿命は劣化油の各種性状(粘度、酸価、色、きょう雑物量、添加剤残存量など)を実験室で別途求め、総合的に劣化油の残存寿命を判定したものである。可視光の透過度から求めた劣化度指数は、多くのデータから判定した残存寿命とよく一致しており、劣化の指数として十分用いることが出来ることがわかる。
[実験例1における実験条件]
実験例1における実験条件は以下の通りである。
【0038】
・使用LED:豊田合成社製 砲弾型白色LEDランプE1L53−AW0C30−01型
・印加電圧:3.4V
・光が潤滑油中を透過する距離:10mm
・受光素子:浜松フォトニクス社製 S1336−44BK型
・フィルター:HOYA−SCHOTT社製 IRおよびUVカットフィルター
[実験例2]
本発明装置を用い、油圧作動油を実験室で強制劣化し劣化度をモニターした結果である劣化度指数(MPUで演算処理した平方根の値)を図3(a)に示す。また、図3(b)に劣化度指数と前述した残存寿命のデータとをプロットした。図2(b)において実線で示されるすべてのデータを考慮に入れた判定結果と比較的よく一致しており、劣化の指数として十分用いることが出来ることがわかる。なお、実験例2の実験条件は実験例1と同様である。
【符号の説明】
【0039】
1…潤滑油、2…試料セル、3…白色LED(光源)、4…赤外線カット用フィルター、5…受光素子、6…ADC/MPU、7…表示器、8…パソコン、10…測定ユニット、100…潤滑油劣化モニター装置、GF1,GF2…グラスファイバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の光源から発生した可視光を潤滑油とフィルターを透過させ、単一の受光素子により電気信号に変えて潤滑油の劣化を検知する潤滑油劣化モニター装置において、
前記光源は、白色LEDであることを特徴とする潤滑油劣化モニター装置。
【請求項2】
前記白色LEDは、波長400〜500nmと波長500〜600nmの二つの波長領域にピークを持つものであって、波長400〜500nmのピーク発光量に対し、波長500〜600nmのピーク発光量が20〜80%であることを特徴とする請求項1の潤滑油劣化モニター装置。
【請求項3】
前記白色LEDは、青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1記載の潤滑油劣化モニター装置。
【請求項4】
前記白色LEDは、青色LEDに黄色発光蛍光体を組み合わせたものであって、波長400〜500nmのピーク発光量に対し、波長500〜600nmのピーク発光量が20〜80%であることを特徴とする請求項1の潤滑油劣化モニター装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−122968(P2011−122968A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281670(P2009−281670)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【出願人】(509086981)株式会社カラーテクノシステム (3)
【出願人】(591209383)大生工業株式会社 (3)
【出願人】(591061448)東京産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】