説明

潤滑油組成物

【課題】本発明は、ディーゼルエンジンにおいて、削減されたレベルのZDDPを用いて、優れた耐磨耗性能を示す潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】潤滑油組成物、より具体的には硫酸化灰分が1.0質量%以下であり、硫黄含量が0.4質量%以下であり、リン含量が0.12質量%以下であり、TBNが約7〜約15であるヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン用潤滑油組成物が提供され、前記潤滑油組成物は、過半量の潤滑粘度の油、硫黄非含有フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びこれらの混合物からなる群より選ばれる、少なくとも0.5質量%の無灰酸化防止剤及び少量の過塩基性マグネシウム清浄剤を含み、過塩基性金属清浄剤によって前記潤滑油組成物に与えられるTBNの少なくとも約60%は、過塩基性マグネシウム清浄剤によって与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑油組成物に関する。より具体的には、本発明は、現代の圧縮点火(ディーゼル)エンジン、より具体的には現代のヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンにおける潤滑性能を改善する潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
環境に対する関心事は、圧縮点火式(ディーゼル)内燃機関のNOx排出を減少させる継続的な努力をもたらしている。ディーゼルエンジンのNOx排出を減少させるために用いられている最新技術は、排気ガス再循環、すなわちEGRとして知られている。EGRは、エンジン燃焼室へ導入される流入する空気-燃料装入物に、不燃成分(排気ガス)を導入することによってNOx排出を減少させる。このことは、ピークの火炎温度とNOx生成とを減少させる。EGRの簡単な希釈効果に加えて、エンジンに戻される前に排気ガスを冷却することによって、NOx排出の更に大きな減少が達成される。より冷たい吸入装入物は、シリンダをより良く充填することを可能にし、したがって動力発生の改良を可能にする。更に、EGR成分は、流入する空気と燃料の混合物よりも高い比熱値を有することから、EGRガスは、更に燃焼混合物を冷却して、一定のNOx生成レベルで、動力発生を大きくし、また燃料節約をより良くする。
ディーゼル燃料は硫黄を含有する。「低硫黄」ディーゼル燃料でさえ、300〜400ppmの硫黄を含有する。燃料がエンジンで燃焼するとき、この硫黄はSOxに変換される。更に、炭化水素燃料の燃焼の主要な副生成物の1つは水蒸気である。それ故、排気流は、ある程度のNOx、SOx及び水蒸気を含有する。従来、排気ガスが極めて熱いままであったことから、これらの物質の存在は問題がなく、又これらの成分は分離されたガス状態で排気されていた。しかしながら、エンジンがEGR系を備えて、排気ガスがより冷たい吸入空気と混合されエンジンを通って再循環される場合には、水蒸気は凝縮して、NOx及びSOxの成分と反応してEGR流中の硝酸と硫酸の蒸気を形成する。この現象は、EGR流がエンジンに戻される前に冷却される場合に、更に悪化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記から、現代のヘビーデューティーディーゼルエンジン用潤滑剤が特に厳しい環境において相応な性能を与えることができなければならないことは明らかである。
凝縮(condensed)EGRエンジンの開発と同時に、環境に対する懸念のため、また現代のエンジンと組合せて用いられる汚染防止装置(例えば、スリーウェイ触媒コンバータや微粒子トラップ)との適合性を保証するため、クランクケース潤滑剤中の硫酸化灰分、リン及び硫黄の含量を減少させる努力が継続されている。潤滑剤配合機に利用可能な酸化防止剤-耐磨耗剤添加剤の特に効果的なクラスはジアルキルジチオホスファートの金属塩、特にその亜鉛塩(一般に、ZDDPと呼ばれる)である。そのような添加剤は優れた性能を与えるが、ZDDPは硫酸化灰、リン及び硫黄の各々を潤滑剤に導入する。欧州(ACEA E6)及び米国(API CJ-4(又はPC-10))での最近の潤滑剤規格は、従来の基準に対して硫酸化灰、リン及び硫黄の許容レベルの低減を要求し、使用できるZDDPの量の削減を要求する。削減された量のZDDPを使用する場合、エンジン磨耗の保護を与える代替手段、好ましくは追加の硫酸化灰の潤滑剤への導入をもたらさない手段を発見する必要がある。
驚いたことに、ある選択された清浄剤を用いる潤滑油組成物がディーゼルエンジン(EGR系を備えるヘビーデューティーディーゼルエンジンなど)において、削減されたレベルのZDDPを用いて、優れた耐磨耗性能を示すことがわかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要約)
本発明の第1の態様によれば、潤滑油組成物、より具体的には硫酸化灰分が1.0質量%以下、例えば約0.7〜1.0質量%であり、硫黄含量が0.4質量%以下であり、リン含量が0.12質量%(1200ppm)以下、例えば約0.08〜0.12質量%であり、TBNが約7〜約15であるヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン用潤滑油組成物が提供され、前記潤滑油組成物は、過半量の潤滑粘度の油、硫黄非含有フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びこれらの混合物からなる群より選ばれる、少なくとも0.5質量%の無灰酸化防止剤及び少量の過塩基性金属清浄剤を含み、過塩基性金属(灰含有)清浄剤によって前記潤滑油組成物に与えられるTBNの少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは実質的にすべて又はすべては、過塩基性マグネシウム清浄剤によって提供される。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に記載される潤滑油組成物であって、マグネシウム清浄剤が、少なくとも0.07質量%(700ppm)、好ましくは少なくとも0.11質量%(1100ppm)、より好ましくは少なくとも0.12質量%(1200ppm)のマグネシウムを有する前記組成物を提供する量で使用される、潤滑油組成物が提供される。
本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様に記載される潤滑油組成物であって、さらに少なくとも0.08質量%の窒素を有する前記潤滑油組成物を提供する量の、窒素含有分散剤を含む潤滑油組成物が提供される。
本発明の第4の態様によれば、第1、第2又は第3の態様に記載される潤滑油組成物であって、実質的にモリブデン及びホウ素を含まない、好ましくはモリブデン及びホウ素を含まない、前記潤滑油組成物が提供される。
【0005】
本発明の第5の態様によれば、第1〜第4の態様に記載された潤滑油組成物であって、少なくとも0.6質量%、好ましくは少なくとも0.8質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%の、硫黄非含有ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びこれらの組合せからなる群より選ばれる少なくとも1つの無灰酸化防止剤を含む潤滑油組成物が提供される。
本発明の第6の態様によれば、第1〜第5の態様いずれか1つに記載の潤滑油組成物によって潤滑される圧縮点火(ディーゼル)エンジン、好ましくはヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン、最も好ましくは排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備えるヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンが提供される。
本発明の第7の態様によれば、圧縮点火(ディーゼル)エンジン、好ましくはヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン、より好ましくは排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備えるヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンの磨耗性能、より詳細にはバルブトレイン磨耗性能を改善する方法が提供され、前記方法は、前記エンジンを第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の潤滑油組成物によって潤滑し、前記潤滑されたエンジンを作動させる工程を含む。
本発明の第8の態様によれば、圧縮点火(ディーゼル)エンジン、好ましくはヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン、より好ましくは排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備えるヘビーデューティーディーゼルエンジンの磨耗性能、より詳細にはバルブトレイン磨耗性能を改善するための、第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の潤滑油組成物の使用が提供される。
本発明のその他の更なる目的、利点及び特徴は、以下の明細書によって理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施において有用な潤滑粘度の油は、ガソリンエンジン油、潤滑鉱油、ヘビーデューティーディーゼル油のように、軽質留分鉱油から重質潤滑油までの粘度範囲に及ぶものである。一般的には、前記油の粘度は、100℃で測定した場合、約2mm2/sec(センチストークス)〜約40mm2/sec、特に約3mm2/sec〜約20mm2/sec、最も好ましくは約9mm2/sec〜約17mm2/secの範囲にある。
天然の油としては、動物油及び植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油);パラフィン系、ナフテン系及び混合パラフィン-ナフテン系などの種類の液体石油系油分や水素化精製(hydrorefined)、溶媒処理又は酸処理した鉱油が含まれる。石炭又はシェールに由来する潤滑粘度の油も有用な基油として役立つ。
合成潤滑油としては、ポリマー化オレフィン及びインターポリマー化オレフィンなどの炭化水素油及びハロ置換炭化水素油(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1‐オクテン)、ポリ(1-デセン));アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、並びにそれらの誘導体、類似体及び同族体が含まれる。
アルキレンオキシドのポリマー及びインターポリマー、並びに末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化等によって改変されたそれらの誘導体は、他の種類の既知の合成潤滑油を構成する。これらは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合化によって調製されるポリオキシアルキレンポリマー、そのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテル及びアリールエーテル(例えば、分子量1000を有するメチルポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量1000〜1500を有するポリエチレングリコールのジフェニルエーテル);並びに、これらのモノ-及びポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3-C8脂肪酸エステル及びC13オキソ酸ジエステルによって例示される。
【0007】
別の適切な種類の合成潤滑油には、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸及びアルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルへキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルを含む。そのようなエステルの具体的な例としては、ジブチルアジペート、ジ(2-エチルへキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼラート、ジイソデシルアゼラート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジエイコシルセバケート、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、並びに1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルへキサン酸との反応によって形成される複合エステルが含まれる。また、フィッシャー‐トロプシュ合成炭化水素(一般に、天然ガス液化(gas-to-liquid)又は「GTL」基油と呼ばれる)の天然ガス液化(gas to liquid)プロセスから誘導される合成油も有用である。
合成油として有用なエステルは、C5-C12モノカルボン酸とポリオールから製造されるもの、並びにネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びトリペンタエリトリトールのようなポリオールエステルも含む。
ポリアルキルシリコーン油、ポリアリールシリコーン油、ポリアルコキシシリコーン油又はポリアリールオキシシリコーン油のようなシリコンをベースとする油及びシリケート油は、別の有用な種類の合成潤滑剤を含む;そのような油としては、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ-(2-エチルヘキシル)シリケート、テトラ-(4-メチル-2-エチルへキシル)シリケート、テトラ-(p-tert-ブチルフェニル)シリケート、ヘキサ-(4-メチル-2-エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。他の合成潤滑油としては、リン含有酸の液体エステル(例えば、トリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、デシルリン酸のジエチルエステル)及びテトラヒドロフランポリマーなどが挙げられる。
【0008】
潤滑粘度の油は、グループI、グループII、グループIII、グループIV又はグループVベースストック又は上記ベースストックの基油ブレンドを含むことができる。好ましくは、潤滑粘度の油は、グループII、グループIII、グループIV若しくはグループVベースストック、又はこれらの混合物、又はグループIベースストックと1若しくは2以上のグループII、グループIII、グループIV若しくはグループVベースストックとの混合物である。ベースストック又はベースストックブレンドの飽和成分(saturate)含量は、好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも75%、例えば少なくとも85%である。好ましくは、ベースストック又はベースストックブレンドは、グループIII以上のベースストック若しくはこれらの混合物、若しくはグループIIベースストックとグループIII以上のベースストックの混合物又はこれらの混合物である。最も好ましくは、ベースストック又はベースストックブレンドの飽和成分含量が90%より大きい。好ましくは、油又は油ブレンドの硫黄含量は、1質量%未満、好ましくは0.6質量%未満、最も好ましくは0.4質量%未満、例えば0.3質量%未満である。グループIIIベースストックはグループIベースストックに対して良い磨耗特性(wear credit)を与えることが分かった。したがって、1つの好ましい実施態様では、本発明の潤滑油組成物で使用される潤滑粘度の油の少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも80質量%は、グループIIIベースストックである。
好ましくは、ノアク(Noack)試験(ASTM D5800)で測定された場合の油又は油ブレンドの揮発度は、30質量%以下、例えば約25質量%未満、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、最も好ましくは13質量%以下である。好ましくは、油又は油ブレンドの粘度指数(VI)は、少なくとも85、好ましくは少なくとも100、最も好ましくは約105〜140である。
本発明のベースストック及び基油の定義は、米国石油協会(API)の刊行物「Engine Oil Licensing and Certification System」, Industry Services Department, Fourteenth Edition, December 1996, Addendum 1, December 1998に見られるものと同様である。前記刊行物は、以下のようにベースストックを分類している。
a) グループIのベースストックは、下記表1で特定される試験法を用いて測定して、90%未満の飽和成分及び/又は0.03%よりも多い硫黄を含有し、80以上120未満の粘度指数を有する。
b) グループIIのベースストックは、下記表1で特定される試験法を用いて測定して、90%以上の飽和成分及び0.03%以下の硫黄を含有し、80以上120未満の粘度指数を有する。
c) グループIIIのベースストックは、下記表1で特定される試験法を用いて測定して、90%以上の飽和成分及び0.03%以下の硫黄を含有し、120以上の粘度指数を有する。
d) グループIVのベースストックは、ポリαオレフィン(PAO)である。
e) グループVのベースストックは、グループI、II、III又はIVに含まれないその他全てのベースストックを含む。
【0009】
【表1】

【0010】
金属含有清浄剤又は灰形成清浄剤は、沈着物を減少させる又は除去する清浄剤と、酸中和剤又は錆止め剤としての両方に機能し、したがって摩耗及び腐食を減少させ、エンジン寿命を延ばす。清浄剤は、一般的には長い疎水性の尾部を有する極性の頭部を含む。その極性の頭部は酸性有機化合物の金属塩を含んでいる。そのような塩は、実質的に化学量論的な量の金属を含有することができ、その場合は、通常正塩又は中性塩として記載され、0〜150未満、例えば0〜約80又は100の全塩基価(すなわち、TBN)を有する(ASTM D-2896によって測定される場合に)。過剰量の金属化合物(例えば、酸化物又は水酸化物)を、酸性ガス(例えば、二酸化炭素)と反応させることによって多量の金属塩基を含めることが可能である。得られた過塩基性清浄剤は、金属塩基(例えば、カーボネート)ミセルの外層として、中和された清浄剤を含む。そのような過塩基性清浄剤は、150又はそれ以上のTBNを有し、典型的には250〜450又はそれ以上のTBNを有する。
用いることができる清浄剤としては、金属、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばバリウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム及びマグネシウムの油溶性の中性及び過塩基性スルホネート、フェナート、硫化フェナート、チオホスホネート、サリチレート及びナフテナート並びに他の油溶性カルボキシレートが挙げられる。最も一般的に使用される金属は、カルシウム及びマグネシウム(その両方は、潤滑剤で使用される清浄剤中に存在していてもよい)、並びにナトリウムとカルシウム及び/又はマグネシウムとの混合物である。過塩基性又は中性又はその双方の清浄剤の組合せを用いることができる。
スルホネートはスルホン酸から調製することができ、そのようなスルホン酸は、石油の分画から得られるようなアルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化によって、又は芳香族炭化水素のアルキル化によって典型的に得られる。例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル又はそれらのハロゲン誘導体(例えば、クロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン)をアルキル化することによって得られるものが挙げられる。アルキル化は、触媒と約3〜70を超えるまでの炭素原子を有するアルキル化剤との存在下で行うことができる。アルカリールスルホネートは、通常アルキル置換芳香族部分につき、約9〜約80又はそれ以上の炭素原子、好ましくは約16〜約60の炭素原子を有する。
【0011】
油溶性のスルホネート又はアルカリールスルホン酸は、金属の酸化物、水酸化物、アルコキシド、カーボネート、カルボキシレート、スルフィド、ヒドロスルフィド、ニトレート、ボレート及びエーテルを用いて中和することができる。金属化合物の量は、最終生成物の所望のTBNを顧慮して選ばれるが、典型的には化学量論的に必要とされる量の約100〜220質量%(好ましくは、少なくとも125質量%)の範囲内である。
フェノール及び硫化フェノールの金属塩は、酸化物又は水酸化物のような適切な金属化合物を用いる反応によって調製され、本技術分野で周知の方法によって中性又は過塩基性の生成物を得てもよい。硫化フェノールは、フェノールを、硫黄又は硫化水素、モノハロゲン化硫黄若しくはジハロゲン化硫黄などの硫黄含有化合物と反応させて調製し、一般に2以上のフェノールが硫黄含有ブリッジによって架橋されている化合物の混合物である生成物を生成してもよい。
カルボキシレート清浄剤、例えばサリチレートは、芳香族カルボン酸を、酸化物又は水酸化物のような適切な金属化合物と反応させることによって調製することができ、本技術分野で周知の方法によって、中性又は過塩基性の生成物を得ることができる。その芳香族カルボン酸の芳香族部分は、窒素及び酸素などのヘテロ原子を含むこともできる。好ましくは、そのような部分は炭素原子のみを含み、より好ましくは6以上の炭素原子を含み、例えば、ベンゼンが好ましい部分である。芳香族カルボン酸は、縮合しているか又はアルキレンブリッジを介して連結している1以上の芳香族部分、例えば1以上のベンゼン環を含んでいてもよい。カルボン酸部分は、直接又は間接的に、芳香族部分に結合することができる。好ましくは、カルボン酸基は、芳香族部分上の炭素原子、例えばベンゼン環上の炭素原子などに直接結合される。より好ましくは、芳香族部分が第二の官能基、例えばヒドロキシ基又はスルホネート基なども有しており、直接又は間接的に、芳香族部分上の炭素原子に結合することができる。
芳香族カルボン酸の好ましい例は、サリチル酸及びその硫化誘導体、例えばヒドロカルビル置換サリチル酸及びその誘導体である。例えば、ヒドロカルビル置換サリチル酸といった置換サリチル酸の硫化方法は、当業者に公知である。サリチル酸は、典型的にはフェノキシドのカルボキシル化によって、例えばコルベ-シュミット法によって調製され、その場合、一般に、通常は希釈剤中で、非カルボキシル化フェノールとの混合物で得られる。
【0012】
油溶性サリチル酸の好ましい置換基は、アルキル置換基である。アルキル置換サリチル酸では、アルキル基が有利には5〜100の炭素原子、好ましくは9〜30の炭素原子、特に好ましくは14〜20の炭素原子を含む。2以上のアルキル基が存在する場合、アルキル基全体の平均炭素原子数は、少なくとも9であって充分な油溶性を保証するのが好ましい。
潤滑油組成物の配合において一般的に有用な清浄剤としては、例えば米国特許第6,153,565号;同第6,281,179号;同第6,429,178号;及び同第6,429,178号明細書に記載されるような、混合界面活性剤系、例えばフェナート/サリチレート、スルホネート/フェナート、スルホネート/サリチレート、スルホネート/フェナート/サリチレートを用いて形成される「ハイブリッド」清浄剤も挙げられる。
【0013】
本発明の潤滑油組成物は、本質的に過塩基性マグネシウム清浄剤からなる過塩基性金属清浄剤を含む。好ましくは、過塩基性マグネシウム清浄剤は、少なくとも0.07質量%(700ppm)、好ましくは少なくとも0.11質量%(1100ppm)、より好ましくは少なくとも0.12質量%(1200ppm)のマグネシウムを有する前記組成物を提供する量で使用される。好ましくは、過塩基性清浄剤は、約5〜約12、好ましくは約5.3〜約10、より好ましくは約5.7〜約9のTBNを有する潤滑油組成物を提供する量で使用される。マグネシウム以外の金属に基づく過塩基性灰含有清浄剤は、過塩基性清浄剤によって与えられる潤滑油組成物のTBNの40%以下を与える量で存在する。好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、過塩基性清浄剤によって潤滑油組成物に与えられる合計TBNの約20%以下を与える量の、マグネシウム以外の金属に基づく過塩基性灰含有清浄剤を含む。過塩基性マグネシウム清浄剤の組合せを使用してもよい(例えば、過塩基性マグネシウムサリチレートと過塩基性マグネシウムスルホネート;又はそれぞれ150よりも大きい異なるTBNを有する2以上のマグネシウム清浄剤)。好ましくは、過塩基性マグネシウム清浄剤は、少なくとも約200、例えば約200〜約500;好ましは少なくとも約250、例えば約250〜約500;より好ましくは少なくとも約300、例えば約300〜約450のTBNを有するか、又は平均で有する。
必須の過塩基性マグネシウム清浄剤に加えて、潤滑油組成物は、中性金属含有清浄剤(150未満のTBNを有する)を含んでもよい。これらの中性金属ベース清浄剤は、マグネシウム塩又は他のアルカリ又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)の塩であってもよい。マグネシウム以外の金属に基づく中性清浄剤を使用する場合、清浄剤によって潤滑油組成物に導入される金属の合計量の、好ましくは少なくとも約40質量%、より好ましくは少なくとも約59質量%、特に少なくとも約70質量%はマグネシウムである。
【0014】
本発明の潤滑油組成物は、また例えば米国特許出願公開第2005-0277559号明細書に記載される油溶性ヒドロカルビルフェノールアルデヒド縮合物のような無灰(金属非含有)清浄剤を含んでもよい。
好ましくは、清浄剤は、合計で、約0.35〜約1.0質量%、例えば約0.5〜約0.9質量%、より好ましくは約0.6〜約0.8質量%の硫酸化灰(SASH)を有する潤滑油組成物を提供する量で使用される。好ましくは、潤滑油組成物は約7〜約15、例えば約8〜約13、より好ましくは約9〜約11のTBNを有する。TBNは、清浄剤以外の添加剤によって潤滑油組成物に与えられてもよい。分散剤、酸化防止剤及び耐磨耗剤は、場合によっては、潤滑剤のTBNの合計量の40%以上に寄与してもよい。
慣習的に、ヘビーデューティーディーゼルエンジンで使用するために配合される潤滑油組成物は、配合された潤滑油組成物の合計質量を基準として、約0.5〜約10質量%、好ましくは約1.5〜約5質量%、最も好ましくは約2〜約3質量%の清浄剤を含む。清浄剤は、慣習的に希釈油中で形成される。慣習的に、清浄剤はTBN(希釈剤中の活性な清浄剤のTBNである)によって参照される。したがって、他の添加剤がしばしば活性成分(A.I.)の量で参照されるが、清浄剤の記載された量は希釈剤を含む清浄剤の合計質量を参照する。
【0015】
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、耐摩耗剤及び酸化防止剤として頻繁に用いられる。その金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅であってもよい。亜鉛塩は、潤滑油組成物の全質量に基づき、0.1〜10、好ましくは0.2〜2質量%の量で潤滑油に最も一般に用いられる。それらは、既知の技術に従い、通常は1以上のアルコール又はフェノールとP2S5との反応によって最初にジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を生成させ、生成したDDPAを次に亜鉛化合物で中和することによって、調製してもよい。例えば、ジチオリン酸は、第一級アルコールと第二級アルコールとの混合物を反応させることによって、製造してもよい。あるいは、一方についてのヒドロカルビル基の特性が全て第二級であり、他方についてのヒドロカルビル基の特性が全て第一級である複数のジチオリン酸が調製できる。亜鉛塩を製造するために、塩基性又は中性の亜鉛化合物のいずれもが用いることができたが、オキシド、ヒドロキシド及びカーボネートが最も一般的に用いられる。市販の添加剤は、中和反応において過剰量の塩基性亜鉛化合物を使用するために、過剰量の亜鉛を含む場合が多い。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、以下の式によって表わすことができる:
【0016】
【化1】

(式中、R及びR'は、炭素原子1〜18個、好ましくは2〜12個を有する同一又は異なるヒドロカルビル基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリール基及び脂環式基のような基を含む。)
【0017】
R基及びR'基として特に好ましいのは、炭素数2〜8のアルキル基である。よって、そのような基は、例えばエチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオリン酸における炭素原子の総数(すなわち、R及びR')は、一般に約5又はそれ以上であろう。したがって、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み得る。本発明の潤滑油組成物は約0.12質量%(1200ppm)以下のリン含量を有する。慣習的に、ZDDPは許容される最大量に近いか、又は等しい量で用いられる。このように、本発明の潤滑油(ヘビーデューティディーゼルエンジンで使用するために配合される)は、好ましくは潤滑油組成物の合計質量に基づいて、約0.08〜約0.12質量%のリンを導入する量で、ZDDP又はジヒドロカルビルジチオリン酸の他の金属塩を含む。好ましくは、ZDDPは単独で存在するリン含有添加剤である。
【0018】
酸化防止剤又は抗酸化剤は、使用時の鉱油の劣化傾向を低減する。酸化的劣化は、潤滑剤におけるスラッジ、金属表面上のワニス様付着物や粘性増大によって明示され得る。かかる酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、(好ましくはC5〜C12のアルキル側鎖を有する)アルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、カルシウムノニルフェノールスルフィド、油溶性フェナート及び硫化フェナート、リン硫化又は硫化炭化水素又はエステル、亜リン酸エステル、金属チオカルバメート、米国特許第4,867,890号明細書に記載されているような油溶性銅化合物、モリブデン含有化合物が挙げられる。
少なくとも2つの芳香族基が直接窒素に結合した芳香族アミンは、抗酸化にしばしば用いられる他の種類の化合物を構成している。少なくとも2つの芳香族基が直接1つのアミン窒素に結合した典型的な油溶性芳香族アミンは、炭素原子6〜16個を有する。そのようなアミンは、2つを超える芳香族基を有してもよい。2つの芳香族基が共有結合によって又は原子若しくは基(例えば、酸素若しくは硫黄原子又は-CO-、-SO2-又はアルキレン基)によって結合し且つ2つの芳香族基が1つのアミン窒素に直接結合している、合計で少なくとも3つの芳香族基を有している化合物も、少なくとも2つの芳香族基が窒素に直接結合した芳香族アミンとみなした。これらの芳香環は、典型的にはアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ヒドロキシ基及びニトロ基から選ばれた1つ以上の置換基によって置換される。少なくとも2つの芳香族基が直接1つのアミン窒素に結合したいずれの油溶性芳香族アミンの量も、好ましくは0.4質量%を超えてはならない。
耐磨耗剤ZDDPは潤滑剤に強い酸化防止効果(credit)を与える。リン及びSASH制限を満たすために、より少ないZDDPを使用する場合、潤滑剤配合者は、好ましくはより高い効果を持つ無灰硫黄非含有酸化防止剤の使用によって、酸化防止の低下を補わなければならない。したがって、本発明の潤滑油組成物は、硫黄非含有フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤又はこれらの組合せからなる群より選ばれる、少なくとも約0.5質量%、好ましくは少なくとも約0.6質量%、例えば少なくとも0.8質量%、より好ましくは少なくとも1.0質量%の無灰酸化防止剤を含む。好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、硫黄非含有フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤の組合せを含む。
【0019】
分散剤は、使用の間に酸化により生じる不溶性の材料を油中に懸濁状態で維持し、したがってスラッジフロキュレーション及び沈殿、又は金属部分への堆積を防止する。本発明の潤滑油組成物は、少なくとも1つの分散剤を含み、複数の分散剤を含むこともできる。1つ又は複数の分散剤は、好ましくは窒素含有分散剤であり、好ましくは、全体で、窒素の約0.08〜約0.19質量%、例えば約0.09〜約0.18質量%、最も好ましくは約0.09〜約0.16質量%を潤滑油組成物に与える。
本発明の状況下で有用な分散剤は、潤滑油に添加した場合、ガソリンやディーゼルエンジンでの使用の際に堆積物の形成を減少させるのに有効であることが知られている範囲の窒素含有無灰(金属を含まない)分散剤を含み、分散される粒子と会合できる官能基を有する油溶性ポリマー長鎖骨格を含んでいる。典型的には、そのような分散剤は、しばしば架橋基を介して、ポリマー主鎖に結び付いているアミン、アミンアルコール又はアミド極性部分を有する。無灰分散剤は、例えば油溶性の、長鎖炭化水素置換モノ及びポリカルボン酸又はそれらの酸無水物の塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド並びにオキサゾリン;長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体;直接的に結び付いているポリアミン部分を有する長鎖脂肪族炭化水素;並びに長鎖置換フェノールとホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとの縮合によって生成するマンニッヒ縮合生成物から選択することができる。
一般に、各々のモノ又はジルボン酸生成部分は求核基(アミン又はアミド)と反応し、ポリアルケニル置換カルボン酸アシル化試薬における官能基の数は、最終的な分散剤における求核基の数を決定する。
本発明の分散剤のポリアルケニル部分の数平均分子量は、約700〜約3000、好ましくは950〜3000、例えば950〜2800、より好ましくは約950〜2500、最も好ましくは約950〜約2400である。本発明の一態様においては、分散剤は低分子量分散剤(例えば、数平均分子量が約700〜1100である)と数平均分子量が少なくとも約1500、好ましくは1800〜3000、例えば2000〜2800、より好ましくは約2100〜2500、最も好ましくは約2150〜約2400である高分子量分散剤との組合せを含んでいる。分散剤の分子量は、分散剤の正確な分子量範囲が、分散剤を誘導するために用いられるポリマーの種類、官能基の数及び使われる求核基の種類を含む多数のパラメータに左右されるため、一般的にはポリアルケニル部分の分子量によって表される。
【0020】
高分子量分散剤を誘導するポリアルケニル部分は、好ましくは狭い分子量分布(MWD、多分散性とも称される)を有し、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率によって決定される。特に、本発明の分散剤を誘導するポリマーのMw/Mnは約1.5〜約2.0、好ましくは約1.5〜約1.9、最も好ましくは約1.6〜約1.8である。
本発明の分散剤の生成に用いられる適切な炭化水素又はポリマーとしては、ホモポリマー、インターポリマー又は低分子量炭化水素が挙げられる。そのようなポリマーの1つの系統群は、エチレン及び/又は式H2C=CHR1を有する少なくとも1つのC3〜C28α-オレフィン(式中、R1は直鎖又は分枝鎖の1〜26の炭素原子を含むアルキル基である)を含み、ここで前記ポリマーは炭素-炭素不飽和を含有し、好ましくは高度の末端エテニリデン不飽和を含有する。好ましくは、そのようなポリマーは、エチレンと少なくとも1の上記式のα-オレフィンとのインターポリマーを含み、ここでR1は、炭素数1〜18のアルキル、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル、更により好ましくは炭素数1〜2のアルキルである。それ故、有用なα-オレフィンモノマー及びコモノマーとしては、例えばプロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチルペンテン-1、デセン-1、ドデセン-1、トリデセン-1、テトラデセン-1、ペンタデセン-1、ヘキサデセン-1、ヘプタデセン-1、オクタデセン-1、ノナデセン-1及びそれらの混合物(例えば、プロピレンとブテン-1の混合物等)が挙げられる。例示的なかかるポリマーは、プロピレンホモポリマー、ブテン-1ホモポリマー、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブテン-1コポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー等であり、ここでポリマーは、少なくとも幾つかの末端及び/又は内部不飽和を含む。好ましいポリマーは、エチレンとプロピレン及びエチレンとブテン-1の不飽和コポリマーである。本発明のインターポリマーは、少量、例えば0.5〜5モル%のC4〜C18非共役ジオレフィンコモノマーを含有することができる。しかしながら、本発明のポリマーはアルファオレフィンホモポリマー、アルファ-オレフィンコモノマーのインターポリマー及びエチレンとアルファ-オレフィンコモノマーのインターポリマーだけを含むことが好ましい。本発明に使われるポリマーのエチレンモル含有量は、好ましくは0〜80%、より好ましくは0〜60%の範囲にある。プロピレン及び/又はブテン-1がエチレンとのコモノマーとして使われる場合、かかるコポリマーのエチレン含有量は、最も好ましくは15〜50%であるが、更に高い又は低いエチレン含有量も存在させることができる。
【0021】
これらのポリマーは、少なくとも1つのメタロセン(例えば、シクロペンタジエニル-遷移金属化合物)とアルモキサン化合物を含む触媒系の存在下に、アルファ-オレフィンモノマー、又はアルファ-オレフィンモノマーの混合物、又はエチレンと少なくとも1つのC3〜C28アルファ-オレフィンモノマーを含む混合物を重合することによって調製することができる。このプロセスを用いて、95%以上のポリマー鎖が末端エテニリデン型不飽和を有するポリマーを供給することができる。末端エテニリデン不飽和を示すポリマー鎖の割合は、FTIR分光分析、滴定又はC13NMRで測定することができる。この後者のタイプのインターポリマーは、式POLY-C(R1)=CH2(式中、R1はC1〜C26アルキル、好ましくはC1〜C18アルキル、より好ましくはC1〜C8アルキル、最も好ましくはC1〜C2アルキル、(例えばメチル又はエチル)であり、POLYはポリマー鎖である。)で特徴付けることができる。R1アルキル基の鎖長は、重合に用いるために選ばれたコモノマーによって変化する。ポリマー鎖の少量は末端エテニル(即ち、ビニル)不飽和、即ちPOLY-CH=CH2を有することができ、ポリマーの一部は内部モノ不飽和、例えばPOLY-CH=CH(R1)(ここで、R1は上で定義した通りである。)を有することができる。これらの末端不飽和インターポリマーは、既知のメタロセン化学反応によって調製することができ、米国特許第5,498,809号;同第5,663,130号;同第5,705,577号;同第5,814,715号;同第6,022,929号及び同第6,030,930号明細書に記載されるように調製することができる。
別の有用なポリマーの分類は、イソブテン、スチレンなどのカチオン重合によって調製されるポリマーである。この分類に由来する一般的なポリマーとしては、三塩化アルミニウム又は三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒の存在下で、約35〜約75質量%のブテン含有量及び約30〜約60質量%のイソブテン含有量を有するC4精製流を重合することによって得られるポリイソブテンが挙げられる。ポリ-n-ブテンを製造するのに好ましいモノマー供給源は、ラフィネート(Raffinate)IIのような石油供給流である。これらの原料油は、例えば米国特許第4,952,739号明細書といった文献で開示されている。ブテン流からカチオン重合によって(例えば、AlCl3又はBF3触媒を使用して) 容易に入手できることから、ポリイソブチレンが本発明の最も好ましい主鎖である。このようなポリイソブチレンは、一般にポリマー鎖に沿って位置している残留不飽和を、ポリマー鎖あたり約1のエチレン二重結合という量で含有する。好ましい態様は、純粋なイソブチレン流又はラフィネートI流から調製されたポリイソブチレンを利用して、末端ビニリデンオレフィンを有する反応性のイソブチレンポリマーを調製する。好ましくは、高度反応性ポリイソブチレン(HR−PIB)とも呼ばれるこれらのポリマーは、少なくとも65%、例えば70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも85%の末端ビニリデン含有量を有する。そのようなポリマーの調製は、例えば米国特許第4,152,499号明細書に記載されている。HR−PIBは、公知のものであって、商品名グリソッパル(Glissopal(商標):BASF)及び商品名ウルトラビス(Ultravis(商標):BP-Amoco)で商業的に入手可能である。
【0022】
使用し得るポリイソブチレンポリマーは、一般に約700〜3000の炭化水素鎖をベースとしている。ポリイソブチレンの製造方法は公知である。ポリイソブチレンは、下に記載するように、ハロゲン化(例えば、塩素化)によって、熱的「エン」反応によって、又は触媒(例えば、ペルオキシド)を使用する遊離基グラフトによって、官能性を付与することができる。
炭化水素又はポリマー主鎖は、例えばカルボン酸生成部分(好ましくは、酸部分又は酸無水物部分)を用いて、ポリマー鎖又は炭化水素鎖上の炭素-炭素不飽和の部位で選択的に官能性を付与することができ、あるいは上述する3つの方法のいずれか若しくはいずれかの順序でそれらの組合せを用いて鎖に沿ってランダムに官能性を付与することができる。
ポリマー炭化水素を不飽和カルボン酸、酸無水物又はエステルと反応させる方法及びそのような化合物からの誘導体の調製は、米国特許第3,087,936号;第3,172,892号;第3,215,707号;第3,231,587号;第3,272,746号;第3,275,554号;第3,381,022号;第3,442,808号;第3,565,804号;第3,912,764号;第4,110,349号;第4,234,435号;第5,777,025号;第5,891,953号明細書、欧州特許第382,450号明細書、カナダ特許公開第1,335,895号明細書及び英国特許出願公開第1,440,219号明細書に開示されている。ポリマー又は炭化水素は、ハロゲン補助的官能性付与(halogen assisted functionalization)(例えば、塩素化)する方法又は熱的「エン」反応を用いて、主に炭素-炭素不飽和の部位(エチレン不飽和又はオレフィン不飽和とも呼ばれる)に官能性部分又は試薬、すなわち酸、酸無水物、エステル部分などの付加をもたらす条件下で、前記ポリマー又は炭化水素を反応させることによって、例えばカルボン酸生成部分(好ましくは、酸又は酸無水物)で官能性を付与してもよい。
【0023】
選択的な官能性付与は、ハロゲン化、例えばポリマー又は炭化水素の質量を基準として約1〜8質量%、好ましくは3〜7質量%の塩素又は臭素に対し不飽和α-オレフィンポリマーを塩素化又は臭素化することによって、あるいは60〜250℃、好ましくは110〜160℃、例えば120〜140℃の温度にて、約0.5〜10時間、好ましくは1〜7時間、塩素又は臭素を前記ポリマーに通すことによって、得ることができる。ハロゲン化されたポリマー又は炭化水素(これ以降は、主鎖と呼ぶ)は、次いで必要数の官能部分を主鎖に付加し得るのに充分なモノ不飽和反応体、例えばモノ不飽和カルボン酸反応体と、100〜250℃にて、通常は約180℃〜235℃にて、約0.5〜10時間、例えば3〜8時間反応させられ、得られる生成物はハロゲン化主鎖1モルあたり所望のモル数のモノ不飽和カルボン酸反応体を含有する。あるいは、主鎖とモノ不飽和カルボン酸反応体とが混合及び加熱されて、その間その熱い材料に塩素が添加される。
塩素化は、通常、出発オレフィンポリマーとモノ不飽和官能性付与反応体との反応性の増強を援助するが、本発明に用いるのに企図されたポリマー又は炭化水素の一部、特に高い末端結合含量と反応性を有するそれらの好ましいポリマー又は炭化水素においては必要でない。したがって、好ましくは主鎖とモノ不飽和官能性反応体、例えばカルボン酸反応体を高温で接触させて最初の熱「エン」反応を行わせる。エン反応は知られている。
炭化水素又はポリマーの主鎖は、種々の方法によるポリマー鎖に沿った官能部分のランダム結合によって官能性が付与され得る。例えば、ポリマーは、溶解状態で又は固体形態で、上述のように遊離基開始剤の存在下でモノ不飽和カルボン酸反応体とグラフトされ得る。溶解状態で行う場合は、約100〜260℃、好ましくは120〜240℃の範囲の高温にて、グラフトが行われる。好ましくは、遊離基が開始するグラフトは、開始時の総油溶液に基づいて、例えば1〜50質量%、好ましくは5〜30質量%のポリマーを含有する鉱物潤滑油溶液中で達成され得る。
【0024】
用いることができる遊離基開始剤は、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物であり、好ましくは沸点が約100℃より高く且つグラフト化温度範囲内で熱的に分解して遊離基を与えるものである。代表的なこれらの遊離基開始剤は、アゾブチロニトリル、2,5-ジメチルヘキサ-3-エン-2,5-ビス-第三級ブチルペルオキシド及びジクメンペルオキシドである。開始剤は、用いられる場合、典型的には反応混合物溶液の質量に基づいて、0.005質量%〜1質量%の量で用いられる。典型的には、上述したモノ不飽和カルボン酸反応体材料と遊離基開始剤は、約1.0:1〜30:1、好ましくは3:1〜6:1の質量比範囲で用いられる。グラフトは、好ましくは不活性雰囲気中で、例えば窒素ブランケッティング下で行われる。得られたグラフトポリマーは、カルボン酸(又は、エステル若しくは無水物)部分がポリマー鎖に沿ってランダムに結合していることによって特徴付けられる。当然、ポリマー鎖の一部がグラフトされていないことが理解される。上で記載される遊離基グラフトは、本発明の他のポリマーや炭化水素に使用し得る。
主鎖の官能性付与に用いられる好ましいモノ不飽和反応体は、モノ及びジカルボン酸材料、すなわち酸、酸無水物又は酸エステル材料を含み、そのような材料としては以下のものが挙げられる:(i)モノ不飽和C4〜C10ジカルボン酸、ここで(a)カルボキシル基はビシニル(すなわち、隣接炭素原子上に位置している)であり、(b)前記隣接炭素原子の少なくとも1つ、好ましくは両方が、前記モノ不飽和の一部である;(ii)(i)の酸無水物又はC1〜C5アルコール誘導モノ若しくはジエステルのような、(i)の誘導体;(iii)モノ不飽和C3〜C10モノカルボン酸、ここで炭素-炭素二重結合は、カルボキシ基と共役している、すなわち-C=C-CO-という構造である;及び(iv)(iii)のC1〜C5アルコール誘導モノ若しくはジエステルのような、(iii)の誘導体。モノ不飽和カルボン酸材料(i)〜(iv)の混合物も用いられ得る。主鎖との反応において、モノ不飽和カルボン酸反応体のモノ不飽和は、飽和となる。よって、例えばマレイン酸無水物は主鎖置換コハク酸無水物となり、アクリル酸は主鎖置換プロピオン酸となる。そのようなモノ不飽和カルボン酸反応体の例は、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、クロロマレイン酸、クロロマレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸並びに上記のものの低級アルキル(例えば、C1〜C4アルキル)酸エステル、例えばメチルマレエート、エチルフマレート及びメチルフマレートである。
【0025】
必要な官能性を提供するために、モノ不飽和カルボン酸反応体、好ましくはマレイン酸無水物が、典型的にはポリマー又は炭化水素のモル量に基づいて約同モル量〜約100質量%過剰量、好ましくは5〜50質量%過剰量にわたる量で用いられる。未反応の過剰なモノ不飽和カルボン酸反応体は、必要に応じて最終的な分散剤生成物から、例えば通常は真空条件下でストリッピングによって取り除かれ得る。
官能性付与された油溶性ポリマー炭化水素主鎖は、次にアミン、アミノアルコール、アミド又はそれらの混合物などの窒素含有求核反応体で誘導されて、対応する誘導体を生成する。アミン化合物が好ましい。官能性付与されたポリマーを誘導するのに有用なアミン化合物は、少なくとも1つのアミンを含み、また1以上の更なるアミン基、他の反応基又は極性基を含んでいてもよい。これらのアミンは、ヒドロカルビルアミンであってもよく、又はヒドロカルビル基が他の基、例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、アミド基、ニトリル基、イミダゾリン基などを含むヒドロカルビルアミンが支配的(predominantly)であってもよい。特に有用なアミン化合物としては、モノ及びポリアミン、例えば1分子あたり約1〜12、例えば3〜12、好ましくは3〜9、最も好ましくは約6〜約7の窒素原子を有する総炭素数約2〜60、例えば2〜40(例えば、3〜20)のポリアルケンポリアミン及びポリオキシアルキレンポリアミンが挙げられる。アミン化合物の混合物も有利に用いることができ、例えばアルキレンジハライドとアンモニアの反応によって調製されるものが挙げられる。好ましいアミンとしては、例えば1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノへキサンなどの脂肪族飽和アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポリエチレンアミン;及び1,2-プロピレンジアミン、ジ-(1,2-プロピレン)トリアミンなどのポリプロプレンアミンが挙げられる。このようなポリアミン混合物はPAMとして知られており、商業的に入手可能である。特に好ましいポリアミン混合物は、PAM製品から軽留分を蒸留して得られる混合物である。得られる混合物は、「重」PAM又はHPAMとして知られており、商業的にも入手可能である。PAM及び/又はHPAM両方の特性及び属性は、例えば米国特許第4,938,881号;同第4,927,551号;同第5,230,714号;同第5,241,003号;同第5,565,128号;同第5,756,431号;同第5,792,730号;及び同第5,854,186号明細書に記載されている。
【0026】
他の有用なアミン化合物としては、1,4-ジ(アミノメチル)シクロヘキサンのような脂環式ジアミン及びイミダゾリンのようなヘテロ環式窒素化合物が挙げられる。別の種類の有用なアミンは、米国特許第4,857,217号;同第4,956,107号;同第4,963,275号;及び同第5,229,022号明細書に開示されている、ポリアミド及びそれに関連するアミドアミンである。米国特許第4,102,798号;同第4,113,639号;及び同第4,116,876号明細書;並びに英国特許出願公開第989,409号明細書に記載されているトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TAM)も利用可能である。デンドリマー、星形様アミン及びコーム構造アミンも用いることができる。同様に、米国特許第5,053,152号明細書に記載されているような縮合アミンも使用できる。官能性付与されたポリマーは、例えば米国特許第4,234,435号及び同第5,229,022号明細書並びに欧州特許出願公開第208,560号明細書に記載されているような通常の技術を用いて、アミン化合物と反応させられる。
好ましい分散剤組成物は、少なくとも1つのポリアルケニルスクシンイミドを含むものであり、カップリング比が約0.65〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1.1、最も好ましくは約0.9〜約1であるポリアルケニル置換コハク酸無水(例えば、PIBSA)とポリアミン(PAM)の反応生成物である。この開示の文脈で、「カップリング比」は、PIBSAにおけるスクシニル基の数とポリアミン反応体における第一級アミン基の数の比として定義することができる。
別の種類の高分子量無灰分散剤は、マンニッヒ塩基縮合生成物を含む。一般に、それらの生成物は、例えば米国特許第3,442,808号明細書に開示されているように、約1モルの長鎖アルキル置換モノ又はポリヒドロキシベンゼンを約1〜2.5モルのカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒド)及び約0.5〜2モルのポリアルキレンポリアミンと縮合することによって調製される。そのようなマンニッヒ塩基縮合生成物としては、ベンゼン基上の置換基としてメタロセン触媒重合のポリマー生成物を挙げることができ、あるいは米国特許第3,442,808号明細書に記載されているものと類似の様式で、コハク酸無水物上で置換されている前記のようなポリマーを含有する化合物と反応させられてもよい。メタロセン触媒系を用いて合成した、官能性付与及び/又は誘導化オレフィンポリマーの例は、上記で示す刊行物に記載されている。
本発明の分散剤は、好ましくは非ポリマー性である(例えば、モノ又はビススクシンイミド)である。
【0027】
本発明の分散剤、特に低分子量分散剤は、ホウ素化されてもよい。かかる分散剤は、米国特許第3,087,936号、同第3,254,025号及び第5,430,105号明細書で一般的に教示されているような通常の方法によって、ホウ素化することができる。分散剤のホウ素化は、アシル窒素含有分散剤を、アシル化窒素組成物の各1モルにつき約0.1〜約20原子の割合でホウ素が提供されるのに充分な量のホウ素化合物、例えば酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸及びホウ酸のエステルなどを用いて処理することによって、容易に達成される。好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、400ppm未満、例えば300ppm未満、より好ましくは100ppm未満、例えば70ppm未満のホウ素(ホウ素原子として測定される)を含有する。1つの好ましい実施態様では、本発明の潤滑油組成物はホウ素を実質的に含まない(例えば、70ppm未満含む)か、より好ましくはホウ素を含まない。
高反応性ポリイソブチレンから誘導される分散剤は、従来のポリイソブチレンから誘導される対応する分散剤に関連して磨耗クレジット(credit)を潤滑油組成物に与えることが分かった。この磨耗クレジット(credit)は、灰含有耐磨耗剤(例えば、ZDDP)の低減されたレベルを含む潤滑剤において特に重要である。こうして、1つの好ましい実施態様では、本発明の潤滑油組成物で使用される少なくとも1つの分散剤は高反応性ポリイソブチレンから誘導される。
特定の性能要求を満たすことができるように、追加の添加剤を本発明の組成物に添加してもよい。本発明の潤滑油組成物に含有させてもよい添加剤の例としては、金属錆止め剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、酸化防止剤、摩擦改質剤、消泡剤、耐磨耗剤及び流動点降下剤などが挙げられる。一部を更に詳細に下で述べる。
【0028】
最終油の他の構成成分と適合できる摩擦改質剤や燃料節約剤も含めることができる。かかる材料の例としては、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル、例えばグリセリルモノオレエート;長鎖ポリカルボン酸とジオールとのエステル、例えば二量化不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物;並びにアルコキシル化アルキル置換モノアミン、ジアミン及びアルキルエーテルアミン、例えばエトキシル化獣脂アミン及びエトキシル化獣脂エーテルアミンが挙げられる。
他の公知の摩擦改質剤には、油溶性有機モリブデン化合物が含まれる。そのような有機モリブデン摩擦改質剤は、また潤滑油組成物に酸化防止及び耐磨耗クレジットを与える。そのような油溶性有機モリブデン化合物の例としては、ジチオカルバメート、ジチオホスフェート、ジチオホスフィネート、キサンタート、チオキサンタート、スルフィドなど、及びこれらの混合物が挙げられる。モリブデンジチオカルバマート、ジアルキルジチオホスファート、アルキルキサンタート及びアルキルチオキサンタートが特に好ましい。
更に、モリブデン化合物は、酸性モリブデン化合物でもよい。これらの化合物は、ASTM試験D-664またはD-2896滴定法により測定されるように塩基性窒素化合物と反応し、典型的には6価である。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及びその他のアルカリ金属モリブデン酸塩、及び例えばモリブデン酸ナトリウム水素、MoOCl4、MoO2Br2、Mo2O3Cl6、三酸化モリブデンのようなその他のモリブデン塩または同様な酸性モリブデン化合物が含まれる。
【0029】
モリブデン化合物のうちで、下式の有機モリブデン化合物が本発明の組成物で有用である。
Mo(ROCS2)4及びMo(RSCS2)4
式中、Rは、アルキル、アリール、アラルキル及びアルコキシアルキルからなる群から選択される有機基であり、一般的には1〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子の有機基であり、最も好ましくは2〜12個の炭素原子のアルキルである。モリブデンのジアルキルジチオカルバメートが特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物で有用な有機モリブデン化合物の別の群は、三核モリブデン化合物であり、特に式Mo3SkLnQzの化合物及びそれらの混合物(式中、Lは独立して選択される、化合物を油中に溶解または分散させるのに十分な数の炭素原子の有機基を有する配位子であり、nは1〜4であり、kは4〜7であり、Qは水、アミン、アルコール、ホスフィン、及びエーテルのような中性の電子供与化合物の群から選択され、zは0〜5であり、非化学量論量の値を含む)である。すべての配位子の有機基には、25個以上、30個以上、または35個以上のような、21個以上の総炭素原子数が存在すべきである。
上述のモリブデン化合物は、摩擦低減特性を提供することに加えて、耐磨耗クレジット(credit)も提供し、したがってモリブデン化合物は低減した量のZDDPを有する潤滑油組成物で使用されている。そのような低減されたリン潤滑油組成物で使用される場合、モリブデン化合物は約10〜約1000ppm、例えば10〜約350ppm、又は10〜約100ppmのモリブデン(モリブデン原子として測定)を導入する量で使用されている。1つの実施態様では、潤滑油組成物は実質的にモリブデンを含まない(例えば、10ppm未満を含む)。より好ましくはモリブデンを含まない。
【0030】
ベースストックの粘度指数は、粘度調整剤(VM)又は粘度指数向上剤(VII)として機能するある種の高分子材料をその中に組み込むことによって増強されるか、又は改善される。一般的には、粘度調整剤として有用な高分子材料は、数平均分子量(Mn)が約5,000〜約250,000、好ましくは約15,000〜約200,000、より好ましくは約20,000〜約150,000であるものである。これらの粘度調整剤は、例えばマレイン酸無水物といったグラフト材料でグラフトすることができ、そのようなグラフト材料は、例えばアミン、アミド、窒素含有ヘテロ環式化合物又はアルコールと反応でき、多機能粘度調整剤(分散剤-粘度調整剤)を形成する。ポリマーの分子量、具体的には

は、種々の既知の技術によって決定することができる。便利な一方法は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)であり、加えてこの方法は分子量分布の情報を提供する(W. W. Yau, J. J. Kirkland and D. D. Bly, "Modern Size Excl us ion Liquid Chromatography", John Wiley and Sons, New York, 1979を参照)。分子量、特に低分子量ポリマーの分子量を決定する別の有用な方法は、蒸気圧浸透圧測定である(例えば、ASTM D3592を参照)。
【0031】
粘度調整剤として有用なジブロックコポリマーの1つのクラスは、例えばオレフィンコポリマー粘度調整剤に関連して磨耗クレジットを提供することが分かった。この磨耗クレジットは、低減されたレベルの灰含有耐磨耗剤(例えば、ZDDP)を含む潤滑剤において特に重要である。このように、1つの好ましい実施態様では、本発明の潤滑油組成物で使用される少なくとも1つの粘度調整剤は、主に、好ましくは支配的に(predominantly)、ビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導される1つのブロック及び主に、好ましくは支配的に(predominantly)、ジエンモノマーから誘導される1つのブロックを含む線状ジブロックコポリマーである。有用なビニル芳香族炭化水素モノマーとしては、8〜16個の炭素原子を含むもの、例えばアリール置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレンなどが挙げられる。ジエン(すなわち、ジオレフィン)は、一般に1,3位の関係で共役して配置される2つの2重結合を含む。また、2つよりも多くの2重結合を含むオレフィン(しばしば、ポリエンと呼ばれる。)は、本明細書において使用される「ジエン」の定義に含まれるとみなされる。有用なジエンとしては、4〜約12個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子を含むもの、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンが挙げられ、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。
【0032】
ポリマーブロック組成と関連して本明細書で使用される「支配的に(predominantly)」は、ポリマーブロックがそのブロックの少なくとも85重量%の量で存在する点で、特定されるモノマー又はモノマータイプが主成分であることを意味する。
ジオレフィンによって調製されるポリマーは、エチレン性不飽和を含み、そのようなポリマーは、好ましくは水素化されている。前記ポリマーが水素化される場合、その水素化は、従来技術で公知のどのような方法を用いて行ってもよい。例えば、水素化は、例えば米国特許第3113986号及び同第3700633号明細書で教示されるもののような方法を用いて、エチレン性及び芳香族不飽和の両方が変換(飽和)するように行ってもよい。又は、水素化は、例えば米国特許第3634595号、同第3670054号及び同第3700633号明細書、並びに米国再発行特許発明第27145号明細書で教示されるように、エチレン性不飽和の大部分が変換されるが、芳香族不飽和はほとんど又はまったく変換されないように選択的に行ってもよい。これらの方法はいずれも、エチレン性不飽和のみを含み、芳香族不飽和を含まないポリマーを水素化するために使用できる。
ブロックコポリマーは、上述のように、異なる分子量及び/又は異なるビニル芳香族含有量を有する線状ジブロックポリマーの混合物並びに異なる分子量及び/又は異なるビニル芳香族含有量を有する線状ブロックコポリマーの混合物を含んでいてもよい。2又は3以上の異なるポリマーの使用は、配合されたエンジンオイルを生成するために使用される場合にその生成物が付与する流体力学的特性に依存して、単一のポリマーよりも好ましい場合がある。市販のスチレン/水素化イソプレン線状ジブロックコポリマーの例としては、Infineum USA L.P.及びInfineum UK Ltd.から入手可能であるInfineum SV140(商標)、Infineum SV150(商標)及びInfineum SV160(商標);The Lubrizol Corporationから入手可能であるLubrizol(商標) 7318;及びSepton Company of America(Kuraray Group)から入手可能であるSepton 1001(商標)及びSepton 1020(商標)などが挙げられる。適したスチレン/1,3-ブタジエン水素化ブロックコポリマーは、BASFにより商品名Glissoviscal(商標)で市販されている。
【0033】
潤滑油流動性向上剤(LOFI)としても知られる流動点降下剤(PPD)は、温度を低下させる。VMと比較して、LOFIは、一般的には数平均分子量が小さい。VMのように、LOFIは、例えばマレイン酸無水物といったグラフト材料でグラフトすることができ、そのようなグラフト材料は、例えばアミン、アミド、窒素含有複素環式化合物又はアルコールと反応することができ、多官能性添加剤を形成する。
本発明においては、ブレンドの粘性の安定性を維持する添加剤を含むことが必要であってもよい。したがって、極性基含有添加剤は、配合前の段階で適切な低粘性を得られるが、長期間保存される場合にある組成物の粘性が増大することが見られた。この粘性増加を制御するのに有効な添加剤としては、上文で開示された無灰分散剤の調製に用いられるモノ-若しくはジカルボン酸又はそれらの酸無水物との反応によって官能性付与された、長鎖炭化水素が含まれる。他の好ましい実施態様においては、本発明の潤滑油組成物は、モノ-若しくはジカルボン酸又はそれらの酸無水物との反応によって官能性付与された長鎖炭化水素を有効な量で含有する。
潤滑油組成物が上述の添加剤の1以上を含有する場合、各添加剤は、典型的には添加剤が所望の機能を与えることを可能にする量で、基油に配合される。クランクケース潤滑剤に用いられる場合の、かかる添加剤の代表的な有効な量を下に示す。示された値は全て有効成分(A.I.)の質量%として記載されている。
【0034】
【表2】

【0035】
好ましくは、完全に配合された潤滑油組成物(潤滑粘度の油と全添加剤)のノアク揮発度は、20質量%以下、例えば15質量%以下、好ましくは13質量%以下である。
添加剤を含む1以上の添加剤濃厚物(濃厚物は、しばしば添加剤パッケージとも呼ばれる)を調製することは望ましいが、必須ではなく、そのような添加剤濃厚物によって、複数の添加剤が同時に油に添加されて潤滑油組成物を形成することができる。
最終組成物は、5〜25質量%、好ましくは5〜22質量%、典型的には10〜20質量%の濃厚物を使うことができ、残りは潤滑粘度の油である。
本発明は、以下の実施例によって更に理解され、ここで、特にことわらない限り、部は全て質量部であり、本発明の好ましい態様が含まれている。
【実施例】
【0036】
(実施例)
ベースストック、分散剤、清浄剤、ZDDP、無灰硫黄非含有フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤の組合せ(合計1.5質量%)、粘度調整剤並びに流動点降下剤を含む2つの15W40グレード潤滑剤を、PC-10仕様に適合させて配合した(1.0質量%のSASH;0.4質量%の硫黄及び0.12質量%のリン)。比較例の油1は、過塩基性(300BN)カルシウムスルホナート清浄剤(清浄剤A);過塩基性(400BN)マグネシウムスルホナート清浄剤(清浄剤B);及び中性(150BN)カルシウムフェナート清浄剤の組合せを含んでいた。本発明の油1は、過塩基性(400BN)マグネシウムスルホナート清浄剤(清浄剤B);及び中性(150BN)カルシウムフェナート清浄剤(清浄剤C)の組合せを含んでいた。同一量の清浄剤Cを比較例の油1及び本発明の油1のそれぞれで使用した。本発明の油1及び比較例の油1における清浄剤の合計量は同一であった。
前記2つの潤滑剤の使用から生じたバルブトレイン磨耗をCummins ISBエンジン試験(HDD潤滑剤用PC-10仕様のためのエンジン試験の1つ)で測定した。ISBエンジン試験は2つのステージを含む。ステージ1は100時間稼動させて油にすすを生成させる。ステージ2は250時間の循環部分であり、短い爆発でエンジンに重い負荷を生成することを目的とする。試験の終わりに、バルブトレイン部分を磨耗について測定し、タペット重量減少としてミリグラムで報告する。
比較例の油1及び本発明の油1で得られた結果を下記表2に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
示したように、本発明の油1(単独の過塩基性清浄剤としてマグネシウム清浄剤を含む)は、比較例の油1(過塩基性カルシウム及びマグネシウム清浄剤の組合せによって配合される)に対して改善された磨耗特性を与える。
本明細書に記載される全ての特許、論文及び他の材料の開示は全て参考により本願明細書に含まれるものとする。複数の規定された成分を「含む」と記載される組成物は、規定された成分のうちの規定された複数を混合することによって形成された組成物を含むものとして解釈すべきである。前述部分の明細書には本発明の原理、好ましい態様及び操作様式を記載してきた。出願人は発明を提示するが、開示された実施態様は限定ではなく説明としてみなされるため、開示された特定の態様に限定されるものとして解釈すべきではない。本発明の真意から逸脱することなく、当業者によって変更が行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸化灰分が1.0質量%以下であり、硫黄含量が0.4質量%以下であり、リン含量が0.12質量%以下であり、TBNが約7〜約15である潤滑油組成物であって、前記潤滑油組成物が、
(a)過半量の潤滑粘度の油;
(b)少量の過塩基性マグネシウム清浄剤;及び
(c)硫黄非含有フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びこれらの混合物からなる群より選ばれる、少なくとも0.5質量%の無灰酸化防止剤
を含むか、又はこれらを混合することによって製造され、
過塩基性清浄剤によって前記潤滑油組成物に与えられるTBNの少なくとも約60%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって与えられる、潤滑油組成物。
【請求項2】
過塩基性清浄剤によって前記潤滑油組成物に与えられるTBNの少なくとも約80%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって与えられる、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記潤滑油組成物における過塩基性清浄剤の実質的にすべてが過塩基性マグネシウム清浄剤である、請求項2記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
硫酸化灰分が約0.7〜1.0質量%である、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
リン含量が約0.08〜0.12質量%である、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
さらに、少なくとも0.08質量%の窒素を有する前記潤滑油組成物を提供する量の、少なくとも1つの窒素含有分散剤を含む、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記過塩基性マグネシウム清浄剤が、150〜約500のTBNを有する過塩基性マグネシウム清浄剤であるか、又は平均で150〜約500のTBNを有する2以上の過塩基性マグネシウム清浄剤である、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記過塩基性マグネシウム清浄剤が、約300〜約450のTBNを有する過塩基性マグネシウム清浄剤であるか、又は平均で約3000〜約450のTBNを有する2以上の過塩基性マグネシウム清浄剤である、請求項7記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記過塩基性マグネシウム清浄剤が少なくとも700ppmのマグネシウムを有する前記潤滑油組成物を提供する量で存在する、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
前記過塩基性マグネシウム清浄剤が少なくとも1100ppmのマグネシウムを有する前記潤滑油組成物を提供する量で存在する、請求項9記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
前記潤滑油組成物における過塩基性清浄剤のすべてが過塩基性マグネシウム清浄剤である、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
清浄剤によって前記潤滑油組成物に導入される金属の合計量の少なくとも40質量%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって導入される、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
清浄剤によって前記潤滑油組成物に導入される金属の合計量の少なくとも70質量%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって導入される、請求項12記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
実質的にホウ素を含まない請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
ホウ素を含まない請求項14記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
実質的にモリブデンを含まない請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
モリブデンを含まない請求項16記載の潤滑油組成物。
【請求項18】
実質的にホウ素及びモリブデンを含まない請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項19】
ホウ素及びモリブデンを含まない請求項18記載の潤滑油組成物。
【請求項20】
さらに、少量の少なくとも1つの分散剤を含む請求項1記載の潤滑油組成物であって、前記少なくとも1つの分散剤が反応性の高いポリイソブチレンから誘導される、潤滑油組成物。
【請求項21】
さらに、少量の線状ブロックコポリマーを含む請求項1記載の潤滑油組成物であって、前記線状ブロックコポリマーが主にビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導される1つのブロックと主にジエンモノマーから誘導される1つのブロックを含む、潤滑油組成物。
【請求項22】
前記潤滑粘度の油の少なくとも30質量%がグループIIIベースストックである、請求項1記載の潤滑油組成物。
【請求項23】
硫酸化灰分が約0.7〜1.0質量%であり、硫黄含量が0.4質量%以下であり、リン含量が約0.08〜0.12質量%であり、TBNが約7〜約15である潤滑油組成物であって、前記潤滑油組成物が、
(a)過半量の潤滑粘度の油;
(b)少なくとも700ppmのマグネシウムを有する前記潤滑油組成物を提供する量の過塩基性マグネシウム清浄剤;
(c)硫黄非含有フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びこれらの混合物からなる群より選ばれる、少なくとも0.5質量%の無灰酸化防止剤;及び
(d)少なくとも0.08質量%の窒素を有する前記潤滑油組成物を提供する量の、少なくとも1つの窒素含有分散剤
を含むか、又はこれらを混合することによって製造され、
過塩基性清浄剤によって前記潤滑油組成物に与えられるTBNの少なくとも約80%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって与えられ、清浄剤によって前記潤滑油組成物に導入される金属の合計量の少なくとも59質量%が過塩基性マグネシウム清浄剤によって導入され、実質的にホウ素及びモリブデンを含まない潤滑油組成物。
【請求項24】
前記潤滑粘度の油の少なくとも30質量%がグループIIIベースストックである、請求項23記載の潤滑油組成物。
【請求項25】
請求項1記載の潤滑油組成物によって潤滑される圧縮点火(ディーゼル)エンジン。
【請求項26】
前記エンジンがヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンである、請求項25記載の圧縮点火(ディーゼル)エンジン。
【請求項27】
前記エンジンが排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備える、請求項26記載のエンジン。
【請求項28】
請求項23記載の潤滑油組成物によって潤滑される圧縮点火(ディーゼル)エンジン。
【請求項29】
前記エンジンがヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンである、請求項28記載の圧縮点火(ディーゼル)エンジン。
【請求項30】
前記エンジンが排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備える、請求項29記載のエンジン。
【請求項31】
圧縮点火(ディーゼルエンジン)エンジンの磨耗性能を改善する方法であって、前記エンジンを請求項1記載の潤滑油組成物によって潤滑し、前記潤滑されたエンジンを作動させる工程を含む、前記方法。
【請求項32】
前記エンジンがヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記エンジンが排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備える、請求項32記載の方法。
【請求項34】
圧縮点火(ディーゼルエンジン)エンジンの磨耗性能を改善する方法であって、前記エンジンを請求項23記載の潤滑油組成物によって潤滑し、前記潤滑されたエンジンを作動させる工程を含む、前記方法。
【請求項35】
前記エンジンがヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記エンジンが排気ガス再循環(EGR)系、触媒コンバータ及び微粒子トラップの少なくとも1つを備える、請求項35記載の方法。

【公開番号】特開2008−24936(P2008−24936A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187176(P2007−187176)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】