説明

潤滑油組成物

【課題】潤滑油組成物において、中でも精製度の高い基油を用いた、工業用潤滑油全般、特に機械油、タービン油、コンプレッサー油、油圧作動油、歯車油、軸受油において、良好な防錆性を持ち、また低い摩擦係数を有する省エネ性に優れた潤滑油組成物を得ようとする。
【解決手段】鉱油や合成油の基油に、添加剤としてコハク酸誘導体と、アミド化合物を含有させる。これによって、優れた防錆性を有し、摩擦係数を低減させた、省エネ性に優れた工業用潤滑油として好適な潤滑油組成物を得ることができる。また、添加剤として多価アルコールのエステルを更に加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物に関し、精製された基油を用いた、工業用潤滑油全般に関するもので、特に機械油、油圧作動油、タービン油、コンプレッサー油、歯車油、軸受油として使用される潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油組成物、その中でも工業用潤滑油組成物には、良好な防錆性及び摩擦特性が要求され、低い摩擦係数(μ)を有することによって、効率的に、機械装置における摩擦損失を低減し、高い省エネルギー性を達成することが求められている。
例えば、建設用機械等において油圧装置が多用されているが、油圧作動油として使用される潤滑油の摩擦係数が高い場合、油圧シリンダーの往復動パッキングのしゅう動部において、微小スティックスリップ現象が発生し、シリンダーのビビリ、振動、鳴き、異音発生などの現象を引き起こし、油圧装置を精度良く制御できなくなる(特許文献1)。そこで、油圧シリンダーが正確かつスムーズに移動するようにするためには、潤滑油の摩擦係数を低下させることが必要となっている。
【0003】
機械設備に使用する潤滑油には、その性能を維持するために本質的に防錆性が必要とされている。これは、機械装置におけるタンク内の潤滑油温度が使用条件により上下するので、そのためタンク内の潤滑油には凝縮水が混入することがあること、また冷却水配管からの漏水により水分が混入することがあること、等によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−111277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、潤滑油の示す摩擦係数を低くさせ、高い省エネ性を持つ工業油潤滑油を得ようとするものである。また、この様な潤滑油組成物を油圧装置における油圧作動油として使用した場合に、油圧シリンダーのビビリ、振動、鳴き、異音発生などの現象を引き起こすことなく、油圧装置を精度良く制御できるようにすると共に、錆の発生を抑制し、良好な防錆性を付与しようとするものである。そして、これらによって良好な防錆性を有し、かつ低摩擦性で省エネルギー性に富んだ、作動効率の良い潤滑油組成物を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、鉱油や合成油、これらの混合油などの基油に、添加剤としてコハク酸誘導体と、アミド化合物を加えることによって、油圧作動油などの工業用潤滑油組成物として好適な潤滑油組成物を得ることができる。
また、必要に応じて添加剤としてさらに多価アルコールのエステルを加えることによって、防錆性に富み、かつ省エネルギー性の優れた潤滑油組成物を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各種工業用の装置で発生する摩擦損失を効果的に減らすことができ、省エネルギー化を図ることができる。また油圧作動油として使用した場合に、摩擦係数を低減させることにより、油圧シリンダーのビビリ、振動、鳴き、異音発生などの現象を引き起こすことなく、油圧装置を精度良く制御することができる。さらに、錆の発生を抑制して、防錆性に富んだ潤滑油組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本潤滑油組成物の基油には、通常の潤滑油に使用される鉱油、合成油を使用することができ、特に、API(American Petroleum Institute,米国石油協会)基油カテゴリーでグループ1、グループ2、グループ3、グループ4などに属する基油を、単独または混合物として使用することができる。
【0009】
グループ1基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、溶剤精製、水素化精製、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られるパラフィン系鉱油がある。粘度指数は80〜120、好ましくは95〜110が良い。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。全窒素分は50ppm未満、好ましくは25ppm未満が良い。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは90〜120℃のものを使用するのが良い。
【0010】
グループ2基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組合せて適用することにより得られたパラフィン系鉱油がある。ガルフ社法などの水素化精製法により精製されたグループ2基油は、全イオウ分が10ppm未満、アロマ分が5%以下であり、本発明に好適である。これらの基油の粘度は特に制限されないが、粘度指数は90〜125、好ましくは100〜120がよい。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。また全硫黄分は700ppm未満、好ましくは100ppm未満、更に好ましくは10ppm未満がよい。全窒素分も10ppm未満、好ましくは1ppm未満がよい。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは100〜135℃のものを使用するのがよい。
【0011】
グループ3基油及びグループ2プラス基油には、例えば、原油を常圧蒸留して得られる潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油や、脱ろうプロセスにて生成されるワックスをイソパラフィンに変換・脱ろうするISODEWAXプロセスにより精製された基油や、モービルWAX異性化プロセスにより精製された基油も好適である。これらの基油の粘度は特に制限されないが、粘度指数は95〜145、好ましくは100〜140がよい。40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。また全硫黄分は、0〜100ppm、好ましくは10ppm未満がよい。全窒素分も10ppm未満、好ましくは1ppm未満がよい。さらにアニリン点は80〜150℃、好ましくは110〜135℃のものを使用するのがよい。
【0012】
合成油としては、例えば、ポリオレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、エステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油などが挙げられる。
【0013】
上記ポリオレフィンには、各種オレフィンの重合物、又はこれらの水素化物が含まれる。オレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5以上のα−オレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィンの製造にあたっては、上記オレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特にポリαオレフィン(PAO)と呼ばれているポリオレフィンが好適であり、これはグループ4基油である。
これら合成基油の粘度は特に制限されないが、40℃における動粘度は、好ましくは2〜680mm/s、より好ましくは8〜220mm/sである。
【0014】
天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)は、原油から精製された鉱油基油と比較して、硫黄分や芳香族分が極めて低く、パラフィン構成比率が極めて高いため、酸化安定性に優れ、蒸発損失も非常に小さいため、本発明の基油として好適である。GTL基油の粘度性状は特に制限されないが、通例粘度指数は130〜180、より好ましくは140〜175である。また40℃における動粘度は、2〜680mm/s、より好ましくは5〜120mm/sである。また通例全硫黄分は10ppm未満、全窒素分1ppm未満である。そのようなGTL基油商品の一例として、SHELL XHVI(登録商標)がある。
【0015】
本発明の潤滑油組成物における上記基油の含有量は特に制限されないが、潤滑油組成物の全量基準で60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
【0016】
コハク酸誘導体は、一般式1に示すものである。
【化1】

【0017】
上記一般式1中、X及びXは各々水素又は3〜6の同一または異なったアルキル基、アルケニル基若しくはヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、水素原子、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メチルプロピル基、ターシャリーブチル基が良い。Xは炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルケニル基、エーテル結合を有するアルキル基、またはヒドロキシアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ドデシレン基、トリデシル基、テトラデシル基、テトラデシレン基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オクタデシレン基、エイコシル基、ドコシル基、アルコキシプロピル基、3−(C〜C18)ヒドロカーボンオキシ(C〜C)アルキル基、更に好ましくは、テトライソプロピル基、オレイル基、シクロヘキシルオキシプロピル基、3−オクチルオキシプロピル基、3−イソオクチルオキシプロピル基、3−デシルオキシプロピル基、3−イソデシルオキシプロピル基、3−(C12〜C16)アルコキシプロピル基が良い。またこれらの化合物のアミン化物でも良い。
【0018】
上記コハク酸誘導体は、JIS K2501で定める酸価が10〜300mgKOH/gのもの、好ましくは30〜200mgKOH/gのものが良い。コハク酸誘導体は、潤滑油組成物中に約0.001〜0.5質量%程度、好ましくは約0.001〜0.1質量%程度、より好ましくは約0.005〜0.1質量%程度で用いられる。このコハク酸誘導体は、1種で又は数種を混ぜて使用することができる。
【0019】
本発明におけるアミド化合物として、一般式(2)に示す脂肪酸とモノアミンによる生成物であるアミド化合物、または脂肪酸とポリアミンによる生成物であるアミド化合物が挙げられる。
【0020】
(化2)
CONH (2)

【0021】
脂肪酸とモノアミンによるアミド化合物として、上記一般式2中、Xは炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルケニル基である。例えば、ラウリルアミド、ココナットアミド、n−トリデシルアミド、ミリスチルアミド、n−ペンタデシルアミド、n−パルミチルアミド、n−ヘプタデシルアミド、n−ステアリルアミド、イソステアリルアミド、n−ノナデシルアミド、n−エイコシルアミド、n−ヘンエイコシルアミド、n−ドコシルアミド、n−トリコシルアミド、n−ペンタコシルアミド、オレイルアミド、牛脂アミド、水素化牛脂アミド、大豆アミド等が挙げられる。好ましくはXの炭素数は8〜24、更に好ましくは12〜18がよい。またアルキル基若しくはアルケニル基は、直鎖脂肪族でも、分岐脂肪族でも、三級アルキル基でもよい。
【0022】
またポリアミンと脂肪酸とのアミド化合物としては、例えばイソステアリン酸トリエチレンテトラミド,イソステアリン酸テトラエチレンペンタミド,オレイン酸ジエチレントリアミド,オレイン酸ジエタノールアミドなど、炭素数1〜24の飽和若しくは不飽和脂肪酸と脂肪族アミン,ポリアルキレンポリアミンなどとの反応物が挙げられる。
【0023】
アミド化合物は、潤滑油組成物中に約0.001〜0.5質量%程度、好ましくは約0.001〜0.1質量%程度、より好ましくは約0.005〜0.1質量%程度で用いられる。このアミド化合物は、1種で又は数種を混ぜて使用することができる。
【0024】
本発明の潤滑油組成物に対して、多価アルコールのエステルを配合することができる。この多価アルコールのエステルとしては、従来油性剤として使用されているもの、例えば、グリセロール、ソルビトール、アルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール等の多価アルコールの炭素数1〜24の飽和または不飽和脂肪酸の部分または完全エステルを用いることができる。
【0025】
こうしたものとして、具体的には、例えば、グリセロールエステルとして、グリセロールモノラウリレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノイソステアレート、グリセロールモノパルミテート、グリセロールモノオレート、グリセロールジラウリレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジイソステアレート、グリセロールジパルミテート、グリセロールジオレート等がある。
【0026】
ソルビトールエステルとしては、ソルビトールモノラウリレート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールモノオレート、ソルビトールジラウリレート、ソルビトールジパルミテート、ソルビトールジステアレート、ソルビトールジオレート、ソルビトールトリステアレート、ソルビトールトリラウリレート、ソルビトールトリオレート、ソルビトールセスキオレート、ソルビトールテトラオレート等が挙げられる。
【0027】
アルキレングリコールエステルとしては、エチレングリコールモノラウリレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノオレート、エチレングリコールジラウリレート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジオレート、プロピレングリコールモノラウリレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノオレート、プロピレングリコールジラウリレート、プロピレングリコールジステアレート、プロピレングリコールジオレート等がある。
【0028】
ネオペンチルグリコールエステルとしては、ネオペンチルグリコールモノラウリレート、ネオペンチルグリコールモノステアレート、ネオペンチルグリコールモノオレート、ネオペンチルグリコールジラウリレート、ネオペンチルグリコールジステアレート、ネオペンチルグリコールジオレート等が挙げられる。
【0029】
トリメチロールプロパンエステルとしては、トリメチロールプロパンモノラウリレート、トリメチロールプロパンモノステアレート、トリメチロールプロパンモノオレート、トリメチロールプロパンジラウリレート、トリメチロールプロパンジステアレート、トリメチロールプロパンジオレート等がある。
【0030】
ペンタエリスリトールエステルとしては、ペンタエリスリトールモノラウリレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ペンタエリスリトールジラウリレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジオレート、ジペンタエリスリトールモノオレート等がある。
こうした多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、好ましくは多価アルコールと不飽和脂肪酸との部分エステルを用いるとよい。
【0031】
これらの多価アルコールの脂肪酸エステルは、潤滑油組成物中に約0.01〜5質量%程度、好ましくは約0.05〜2質量%程度で用いられる。使用量が上記範囲を外れると、摩擦係数を低減する効果が弱くなることがある。
【0032】
上記した成分のほかに更に性能を向上させるため、必要に応じて種々の添加剤を適宜使用することができる。これらのものとしては、酸化防止剤、金属不活性剤、極圧剤、油性向上剤、消泡剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤、防錆剤、抗乳化剤等や、その他の公知の潤滑油添加剤を挙げることができる。
【0033】
本発明において使用する酸化防止剤としては、潤滑油に使用されるものが実用的には好ましく、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、潤滑油組成物中に約0.01〜5質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0034】
前記アミン系酸化防止剤としては、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミン(精工化学社製:ノンフレックスOD−3)、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミン、N−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンなどのジアルキル−ジフェニルアミン類、モノ−t−ブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン類、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなどのビス(ジアルキルフェニル)アミン類、オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、N−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンなどのアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミン、N−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアリール−ナフチルアミン類、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、フェノチアジン(保土谷化学社製:Phenothiazine)、3,7−ジオクチルフェノチアジンなどのフェノチアジン類などが挙げられる。
【0035】
硫黄系酸化防止剤としては、ジドデシルサルファイド、ジオクタデシルサルファイドなどのジアルキルサルファイド類、ジドデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ドデシルオクタデシルチオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸エステル類、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0036】
フェノール系酸化防止剤としては、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(川口化学社製:アンテージDBH)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類がある。
また、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(吉富製薬社製:ヨシノックスSS)、n−ドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL135)などのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−400)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−500)などの2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類がある。
さらに、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−300)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(シェル・ジャパン社製:Ionox220AH)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン(シェル・ジャパン社製:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL109)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](吉富製薬社製:トミノックス917)、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL115)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学:スミライザーGA80)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類がある。
そして、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL101)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(吉富製薬社製:ヨシノックス930)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(シェル・ジャパン社製:Ionox330)、ビス−[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類、p−t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体、p−t−ブチルフェノールとアセトアルデヒドの縮合体などのフェノールアルデヒド縮合体などが挙げられる。
【0037】
リン系酸化防止剤として、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォスファイトなどのトリアリールフォスファイト類、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイトなどのトリアルキルフォスファイト類、トリドデシルトリチオフォスファイトなどが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物と併用できる金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール、4−メチル−ベンゾトリアゾール、4−エチル−ベンゾトリアゾールなどの4−アルキル−ベンゾトリアゾール類、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−エチル−ベンゾトリアゾールなどの5−アルキル−ベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−ベンゾトリアゾールなどの1−アルキル−ベンゾトリアゾール類、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−トルトリアゾールなどの1−アルキル−トルトリアゾール類等のベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール、2−(オクチルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−ベンゾイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾイミダゾール類、2−(オクチルジチオ)−トルイミダゾール、2−(デシルジチオ)−トルイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−トルイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−トルイミダゾール類等のベンゾイミダゾール誘導体がある。
また、インダゾール、4−アルキル−インダゾール、5−アルキル−インダゾールなどのトルインダゾール類等のインダゾール誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体(千代田化学社製:チオライトB−3100)、2−(ヘキシルジチオ)ベンゾチアゾール、2−(オクチルジチオ)ベンゾチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)ベンゾチアゾール類、2−(ヘキシルジチオ)トルチアゾール、2−(オクチルジチオ)トルチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾールなど2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)トルチアゾールなどの2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−トルゾチアゾール類等のベンゾチアゾール誘導体がある。
さらに、2−(オクチルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(デシルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)ベンゾオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾオキサゾール類、2−(オクチルジチオ)トルオキサゾール、2−(デシルジチオ)トルオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)トルオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルオキサゾール類等のベンゾオキサゾール誘導体、2,5−ビス(ヘプチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(オクタデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール類、2,5−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジオクチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール類、2−N,N−ジブチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−N,N−ジオクチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどの2−N,N−ジアルキルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール類等のチアジアゾール誘導体、1−ジ−オクチルアミノメチル−2,4−トリアゾールなどの1−アルキル−2,4−トリアゾール類等のトリアゾール誘導体などが挙げられる。
これらの金属不活性剤は、潤滑油組成物中に約0.01〜0.5質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0039】
本発明の潤滑油組成物に対して、リン化合物を添加することもでき、これによって更に耐摩耗性や極圧性を付与することができる。本発明に適したリン化合物としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスフォロチオネート、ジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸とアルカノール又はポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体、リン含有カルボン酸、リン含有カルボン酸エステルが挙げられる。
これらのリン化合物は、潤滑油組成物中に約0.01〜2質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0040】
上記リン酸エステルとしては、例えば、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(iso−プロピルフェニル)ホスフェート、トリアリールフォスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
【0041】
上記酸性リン酸エステルの具体例としては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、及びジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0042】
上記酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、及びトリオクチルアミンなどのアミンとの塩などが挙げられる。
【0043】
上記亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、及びトリクレジルホスファイトなどが挙げられる。
【0044】
上記ホスフォロチオネートとしては、具体的には、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等が挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0045】
上記したジチオリン酸亜鉛としては、一般に、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、ジアリールジチオリン酸亜鉛、アリールアルキルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛のアルキル基は、炭素数3〜22の第1級又は第2級のアルキル基、炭素数3〜18のアルキル基で置換されたアルキルアリール基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛が使用される。
ジアルキルジチオリン酸亜鉛の具体例としては、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジイソペンチルジチオリン酸亜鉛、ジエチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジオクチルジチオリン酸亜鉛、ジノニルジチオリン酸亜鉛、ジデシルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジペンチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルメチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジノニルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジドデシルフェニルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0046】
リン含有カルボン酸、同エステル等のリン含有カルボン酸化合物としては、同一分子中にカルボキシル基とリン原子の双方を含んでいればよく、その構造は特に制限されないが、通常、極圧性及び熱・酸化安定性の点から、ホスホリル化カルボン酸若しくはホスホリル化カルボン酸エステルが好ましい。ホスホリル化カルボン酸及びホスホリル化カルボン酸エステルとしては、例えば下記の一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0047】
【化3】

【0048】
上記一般式3中、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R6は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R7は水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、X1、X2、X3及びX4は同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を示す。
上記一般式(3)中の、R4及びR5における炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
【0049】
上記ホスホリル化カルボン酸の中でも有用なβ−ジチオホスホリル化プロピオン酸は、下記の一般式(4)の構造を有するものである。
【0050】
【化4】

【0051】
このβ−ジチオホスホリル化プロピオン酸としては、具体的に、3−(ジ−イソブトキシ−チオホスホリルスルファニル)−2−メチル−プロピオン酸などが挙げられる。
【0052】
本潤滑油組成物におけるリン含有カルボン酸化合物の含有量は、特に制限されるものではないが、潤滑油組成物中に好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.002〜0.5質量%である。リン含有カルボン酸化合物の含有量が前記下限値未満では十分な潤滑性が得られない傾向にある。一方、前記上限値を超えて加えても含有量に見合う潤滑性向上効果が得られない傾向にあり、更には熱・酸化安定性や加水分解安定性が低下するおそれがあるので好ましくない。
【0053】
なお、上記一般式(3)で表されるホスホリル化カルボン酸のうち、R7が水素原子である化合物の含有量については、0.001〜0.1質量%、好ましくは0.002〜0.08質量%、より好ましくは0.003〜0.07質量%、更に好ましくは0.004〜0.06質量%、一層好ましくは0.005〜0.05質量%である。
【0054】
本発明の潤滑油組成物に対して、低温流動性や粘度特性を向上させるために、流動点降下剤や粘度指数向上剤を添加してもよい。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート類やエチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどのオレフィンポリマー類等の非分散型粘度指数向上剤や、これらに含窒素モノマーを共重合させた分散型粘度指数向上剤等が挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物中に約0.05〜20質量%の範囲で使用できる。
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレート系のポリマーが挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物中に約0.01〜5質量%の範囲で使用できる。
【0055】
本発明の潤滑油組成物に対して、消泡性を付与するために、消泡剤を添加してもよい。本発明に適した消泡剤として、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルシリケート、フルオロシリコーン等のオルガノシリケート類、ポリアルキルアクリレート等の非シリコーン系消泡剤が挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物中に約0.0001〜0.1質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
【0056】
本発明に適した抗乳化剤として、通常潤滑油添加剤として使用される公知のものが挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物中に約0.0005〜0.5質量%の範囲で使用できる。
【実施例】
【0057】
以下本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例の調製にあたり、下記の組成材料を用意した。
1.基油
(1−1)基油1: 原油を常圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、水素化分解、脱ろうなどの精製手段を適宜組み合わせて適用することにより得られたパラフィン系鉱油で、API(米国石油協会)基油分類によりグループ2に分類されるもの。(特性:100℃における動粘度;5.35mm/s、40℃における動粘度;31.4mm/s、粘度指数;103、硫黄分含有量(硫黄元素換算値);10質量ppm未満、窒素分含有量(窒素元素換算値);1質量ppm未満、アニリン点;110℃、15℃密度;0.863、20℃密度;0.860、20℃屈折率;1.472、ASTM D3238法による環分析のパラフィン分;62%、同ナフテン分;38%、同アロマ分;1%未満、ASTM D5480法によるガスクロ蒸留による初留点温度;312℃)
(1−2)基油2: 原油を常圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、高度水素化精製により製造されるパラフィン系鉱油で、API(米国石油協会)基油分類によりグループ3に分類されるもの。(特性:100℃における動粘度;4.25mm/s、40℃における動粘度;19.5mm/s、粘度指数;125、硫黄分含有量(硫黄元素換算値);10質量ppm未満、窒素分含有量(窒素元素換算値);1質量ppm未満、アニリン点;116℃、15℃密度;0.835、20℃密度;0.832、20℃屈折率;1.461、ASTM D2502による分子量;395、ASTM D3238法による環分析のパラフィン分;79%、同アロマ分;1%未満、ASTM D5480法によるガスクロ蒸留による初留点温度;337℃) (1−3)基油3: 天然ガスの液体燃料化技術のフィッシャートロプッシュ法により合成されたGTL(ガストゥリキッド)で、API(米国石油協会)基油分類によりグループ3に分類されるもの。(特性:100℃における動粘度;3.98mm/s、40℃における動粘度;17.2mm/s、粘度指数;131、硫黄分含有量(硫黄元素換算値);10質量ppm未満、窒素分含有量(窒素元素換算値);1質量ppm未満、アニリン点;121℃、15℃密度;0.817、20℃密度;0.813、20℃屈折率;1.454、ASTM D2502による分子量;390、ASTM D3238法による環分析のパラフィン分;93%、同アロマ分;1%未満、ASTM D5480法によるガスクロ蒸留による初留点温度;376℃)
(1−4)基油4: αデセンの重合により合成されたポリαオレフィン4で、API(米国石油協会)基油分類によりグループ4に分類されるもの。(特性:100℃における動粘度;3.96mm/s、40℃における動粘度;17.6mm/s、粘度指数;122、硫黄分含有量(硫黄元素換算値);10質量ppm未満、窒素分含有量(窒素元素換算値);1質量ppm未満、アニリン点;120℃、15℃密度;0.819、20℃屈折率;1.455、ASTM D5480法によるガスクロ蒸留による初留点温度;384℃)
【0058】
2.添加剤
(2−1) 添加剤A1:コハク酸誘導体;テトライソプロペニルコハク酸,1,2−プロパンジオールハーフエステル(JIS K2501法による酸価:160mgKOH/g)
(2−2) 添加剤A2:コハク酸誘導体;テトライソプロペニルコハク酸,1,3−プロパンジオールハーフエステル(JIS K2501法による酸価:160mgKOH/g)
(2−3) 添加剤A3:コハク酸誘導体;ラインケミー社製RC4802 (ASTM D3739による酸価:55mgKOH/g)
(2−4) 添加剤B1:オレイルアミド
(2−5) 添加剤B2:イソステアリン酸トリエチレンテトラミド(JIS K2501法による酸価:7mgKOH/g)
(2−6) 添加剤C1:ソルビトールセスキオレート(JIS K0070法による水酸基価:200mgKOH/g)
(2−7) 添加剤C2:グリセロールモノイソステアレート(JIS K0070法による水酸基価:313mgKOH/g)
【0059】
(実施例1〜7、比較例1〜3)
上記した組成材料を用いて、表1及び表2に示す組成により実施例1〜7、比較例1〜3の潤滑油組成物を調製した。
【0060】
(試験)
上記実施例1〜7並びに比較例1〜3の各潤滑油組成物について、その性能を見るために以下の試験を行った。
【0061】
(摩擦係数)
神鋼造機株式会社製の曽田式振子型油性試験機により摩擦係数を測定した。この試験は、振子支点の摩擦部分に試験油を与え、振子を振動させ、振動の減衰から摩擦係数を求めるものである。
試験の評価は次の基準によって行った。
摩擦係数が0.135以下・・・・・・・・・・◎(優)
摩擦係数が0.135超〜0.150未満・・・○(良)
摩擦係数が0.150以上・・・・・・・・・・×(不可)
【0062】
(錆止め性試験)
JIS K2510に準拠し、恒温槽内に設置した容器に、試験油300mlを採取し、毎分1000回転で攪拌し、60℃になったときに鉄製の試験片を試験油中に挿入し、更に人工海水を30ml加え、60℃に保ったまま24時間攪拌を続け、その後試験片を取り出し、試験片の錆の発生有無を目視で評価した。
試験の評価は次の基準によって行った。
錆の発生が見られない・・・・・・・・・◎(合格)
錆の発生が見られる・・・・・・・・・・×(不合格)
【0063】
(試験結果)
各試験の結果を表1及び表2に示す。
【0064】
(考察)
表1及び表2に示す試験結果から明らかなように、実施例1に示す基油(基油1)にコハク酸誘導体(添加剤A1)と脂肪酸アミド(添加剤B1)を併用したものでは、摩擦係数が優良(◎)で低く、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)となっている。実施例2のように、基油(基油1)にコハク酸誘導体(添加剤A1)と脂肪酸アミド(添加剤B1)と多価アルコールのエステル(添加剤C1)を併用したものでは、摩擦係数が更に優良(◎)で低く、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)になっている。
実施例3は、基油(基油2)にコハク酸誘導体(添加剤A2)と脂肪酸アミド(添加剤B1)と多価アルコールのエステル(添加剤C2)を併用したもので、摩擦係数がやや高いが優良(◎)であり、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)になっている。
実施例4の基油(基油3)にコハク酸誘導体(添加剤A3)と脂肪酸アミド(添加剤B2)と多価アルコールのエステル(添加剤C1)を併用したものでは、摩擦係数が優良(◎)で低く、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)となっている。実施例5は、基油(基油3)にコハク酸誘導体(添加剤A3)と脂肪酸アミド(添加剤B2)と多価アルコールのエステル(添加剤C2)を併用したもので、摩擦係数が優良(◎)で、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)になっている。
実施例6のものは、基油(基油4)にコハク酸誘導体(添加剤A3)と脂肪酸アミド(添加剤B2)と多価アルコールのエステル(添加剤C1)を併用しており、摩擦係数が優良(◎)で、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)になっている。実施例7では、基油(基油4)にコハク酸誘導体(添加剤A3)と脂肪酸アミド(添加剤B2)と多価アルコールのエステル(添加剤C2)を併用しており、摩擦係数がやや高目であるか優良(◎)であり、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)になっていることが判る。
これに対して、比較例1の基油(基油1)のみのものでは、摩擦係数が非常に高くて不良(×)であり、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生して不合格(×)となっている。比較例2の基油(基油1)にコハク酸誘導体(添加剤A1)を添加したものでは、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)となっているが、摩擦係数は高くて不良(×)である。また、比較例3の基油(基油1)に脂肪酸アミド(添加剤B1)を添加したものでは、摩擦係数が優良(◎)で低いが、錆止め性試験の人工海水中において錆が発生しており不合格(×)になっていることが判る。
このように、実施例1〜7のように基油(基油1〜4)にコハク酸誘導体(添加剤A1〜3)と脂肪酸アミド(添加剤B1〜2)を併用し、さらに多価アルコールのエステル(添加剤C1〜2)を加えた潤滑油組成物は、摩擦係数が優良(◎)で低く、錆止め性試験の人工海水中においても錆が発生せず合格(◎)しており、摩擦係数の低減及び防錆性向上が図られていることが認められた。また、基油、添加剤(A〜C)の種類が変わっても良好な結果が得られている。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱油および/または合成油の基油に、添加剤としてコハク酸誘導体と、アミド化合物を含有することを特徴とする潤滑油組成物。
【請求項2】
添加剤としてさらに多価アルコールのエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
上記コハク酸誘導体の酸価が10〜300mgKOH/g(JIS K2501)である請求項1または2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
潤滑油組成物中に上記コハク酸誘導体が0.001〜0.5質量%、アミド化合物が0.001〜0.5質量%含まれている請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
上記基油が、API(米国石油協会)基油分類によるグループ2、グループ3、GTL(ガストゥリキッド)及びポリαオレフィンのいずれか又はこれらの組み合わせである請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油組成物。

【公開番号】特開2011−140642(P2011−140642A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271966(P2010−271966)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】