説明

潤滑油組成物

【課題】カム及びリフター摩耗を改善した潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】内燃機関クランクケース潤滑油組成物は、0.09質量%以下のリン濃度、1又は2以上の有機カルボン酸の金属塩、及び線状ジブロックコポリマー(1つのブロックはビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導され、1つのブロックはジエンモノマーから誘導される)を含む粘度指数向上剤を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関クランクケース潤滑油組成物(又は潤滑油)、より詳細にはピストンエンジンでの使用に、特にガソリン(火花点火)及びディーゼル(圧縮点火)ピストンエンジン潤滑に適した組成物、及び摩耗を減らすためのそのような組成物における添加剤の使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クランクケース潤滑油は、油だめが一般にエンジンのクランク軸の下方に位置し、かつ、循環した油が戻ってくる内燃機関において、一般的な潤滑で使用される油である。複数の目的でクランクケース潤滑油中に添加剤を含めることは、よく知られていることである。
排気ガス処理用触媒の耐久性を改善するために、クランクケース潤滑油中のリン濃度を減らすことが必要であり、及び/又は要求されている。しかしながら、リン含有潤滑油添加剤の量の減少は、エンジンでの摩耗を増加させ得る。
また、クランクケース潤滑油中に添加剤としてサリチラート系金属洗浄剤を添加することが知られている。
欧州特許出願公開第1338643号明細書('643)には、過塩基性サリチル酸カルシウム又はマグネシウムを含み、かつ、50ppm未満のリンを含むクランクケース潤滑油が記載されている。'643には、平均カム摩耗を測定するために、そのような潤滑油(サリチル酸カルシウムを含むが、リンを含まない)の例についての試験が記載され、ILSAC GF-3エンジン試験限界内であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1338643号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
'643の問題は、そこに記載された配合物が良くないカム及びリフター摩耗を示し得ることである。カム-プラス-リフター摩耗は、シーケンスIIIG試験のパラメータの1つであり、高温条件下で行われるAPIカテゴリーSM、ILSACカテゴリーGF-4試験であり、相対的に高い周囲温度条件下で高速運転をシミュレートする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚いたことに、本明細書に示したデータからも明らかなように、本発明は、特定の粘度指数向上剤を含む配合物を使用することによって前記問題を解決する。
第1の態様では、本発明は、リン原子として表される(内燃機関クランクケース潤滑油組成物の質量を基準として)0.09質量%以下のリン濃度を有する内燃機関クランクケース潤滑油組成物を提供し、この油組成物は、以下を含む、又は以下を混合することによって製造される:
(a)多割合の潤滑粘度の油、
(b)1又は2以上の有機カルボン酸の金属塩を含む、少割合の添加剤としての金属洗浄剤システム、及び
(c)主にビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導される少なくとも1つのブロックと主にジエンモノマーから誘導される少なくとも1つのブロックとを含む線状ジブロックコポリマーを含む粘度指数向上剤。
第2の態様では、本発明は、圧縮点火又は火花点火内燃機関を潤滑する方法を提供し、この方法は、前記内燃機関に本発明の第1の態様の潤滑油組成物を供給することを含む。
第3の態様では、本発明は、リン原子として表される(潤滑油組成物の質量を基準として)0.08質量%以下のリン濃度を有する潤滑油組成物による内燃機関のクランクケース潤滑において、カム及びリフター摩耗を改善するための、本発明の第1の態様で定義される粘度指数向上剤の使用を提供する。
本発明の潤滑油組成物のリン含有量は、前記油組成物の質量を基準として、少なくとも0.005質量%であり、好ましくは少なくとも0.01質量%であり、かつ、0.08質量%以下であり得る。
本発明の潤滑油組成物の全塩基価(TBN)は、2〜9であり、好ましくは4〜8であり得る。
好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、低粘度油組成物であり、例えばXが20、30及び40のいずれか1つを表すSAE 0W-X又はSAE 5W-X特性を満足するマルチグレード油組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において、以下の用語及び表現は、使用される場合、以下に与えられた意味を有するものとする:
「活性成分」又は「(a.i.)」は希釈剤又は溶媒ではない添加剤を意味する。
「含む」又は同種の用語は、定められた特徴、工程、又は完全体(integers)又は成分が存在することを示すが、1又は2以上の他の特徴、工程、完全体、成分又はこれらのグループの存在又は追加を排除しない。「からなる」又は「から本質的になる」又は同種の用語は、「含む」又は同種の用語に含まれる場合があり、この場合、「から本質的になる」は、それが適用される組成物の特徴に実質的に影響を及ぼさない物質を含めることを認める。
「多割合」とは、組成物の50質量%を越えることを意味する。
「少割合」とは、組成物の50質量%未満を意味する。
「TBN」とは、ASTM D2896によって測定される全塩基価を意味する。
さらに、本明細書において、
「リン含有量」は、ASTM D5185によって測定され、
「硫酸化灰含有量」は、ASTM D874によって測定され、
「硫黄含有量」は、ASTM D2622によって測定され、
「KV1000」は、ASTM D445によって測定される100℃での動粘度を意味する。
また、当然のことながら、使用される、必須の、並びに最適及び通常の種々の成分は、配合、保管又は使用の条件下で反応し得、また本発明は、任意のそのような反応の結果として得ることができる、又は得た生成物を与える。
さらに、当然のことながら、本明細書に記載される任意の上限及び下限の量、範囲及び比の限定は、独立して組み合わせてもよい。
適切な場合には、本発明の各及びすべての態様に関連する本発明の特徴は、より詳細に以下のとおりに記載される。
【0007】
(潤滑粘度の油(A))
これは、しばしば基油又はベースストックとも呼ばれ、添加剤及びおそらく他の油がブレンドされる組成物の主要な液体成分である。
基油は、天然油(植物油、動物油又は鉱油)及び合成潤滑油並びにこれらの混合物から選択されてもよい。軽留出鉱油からガスエンジン油、鉱物潤滑油、自動車用油及び大型車両用ディーゼル油のような重質潤滑油まで、粘度を変えることができる。一般に、油の粘度は、100℃で2〜30 mm2s-1、特に5〜20 mm2s-1の範囲で変わる。
天然油としては、動物及び植物油(例えば、ヒマシ油及びラード油)、液体鉱油及びパラフィン系、ナフテン系及び混合パラフィン-ナフテン系タイプの水素化精製、溶媒処理鉱物潤滑油などが挙げられる。また、石炭又は頁岩から誘導される潤滑粘度の油は、有用な基油である。
合成潤滑油としては、重合及び共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、ポリ(1-デセン))などの炭化水素油、アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン)、ポリフェノール(例えば、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール)及びアルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド及びこれらの誘導体、類似体及び同族体などが挙げられる。
【0008】
他の適した種類の合成潤滑油には、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステルが含まれる。これらのエステルの具体的な例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2-エチルヘキシル)、フマル酸ジ-n-ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸ダイマーの2-エチルヘキシルジエステル及び1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコール及び2モルの2-エチルヘキサン酸との反応によって生成される複合エステルなどが挙げられる。
また、合成油賭して有用なエステルとしては、C5-C12モノカルボン酸とポリオールから合成されるもの、及びネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトールのようなポリオールエステルなどが挙げられる。
【0009】
未精製、精製及び再精製油は、本発明の組成物で使用できる。未精製油は、さらに精製処理をしないで、天然又は合成源から直接得られるものである。例えば、レトルト乾留操作(retorting operations)から直接得られる頁岩油、蒸留から直接得られる石油又はエステル化プロセスから直接得られ、さらに処理しないで使用されるエステル油は未精製油である。精製油は、1以上の特性を改善するために、1以上の精製工程でさらに処理されることを除いて、未精製油と同様である。多くのそのような精製方法、例えば蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、ろ過及び浸出(percolation)は、当業者に公知である。再精製油は、すでに使用されている精製油に適用される、精製油を得るために使用される方法と同様の方法によって得られる。そのような再精製油は、また再生油又は再加工油として知られており、しばしば使用した添加剤及び油分解生成物の承認のための方法によってさらに処理される。
基油の他の例は、合成灯軽油(gas-to-liquid)(「GTL」)基油である。すなわち、基油は、フィッシャー‐トロプシュ触媒を用いて水素及び一酸化炭素を含む合成ガスから製造されるフィッシャー‐トロプシュ合成炭化水素から誘導される油であってもよい。これらの炭化水素は、典型的には基油として有用であるためにさらに処理されることを必要とする。例えば、当業界で公知の方法によって、水素化異性化(hydroisomerized)、水素化分解及び水素化異性化、脱ろう、又は水素化異性化及び脱ろうされてもよい。
【0010】
基油は、API EOLCS 1509の定義に従ってグループIからVに分され得る。グループIII、IV及びVの1以上から誘導される基油が好ましい。
潤滑粘度の油は、組成物を構成する少割合の添加剤(B)及び(C)、並びに必要な場合には、以下に記載されるような1以上の補助添加剤と組み合わせて、多割合で供給される。この調製は、油に直接添加剤を添加することによって、又は添加剤を分散又は溶解するために、その濃厚物の形態で添加することによって、行ってもよい。添加剤は、他の添加剤の添加の前、同時又は後に、当業者に公知の任意の方法によって、油に添加してもよい。
本明細書で使用される「油溶性」若しくは「油分散性」なる用語又は同種の用語は、化合物又は添加剤が可溶性(soluble, dissolvable)、混和性であるか、又は油にすべての割合で懸濁できる又は懸濁されることを必ずしも示す必要はない。しかしながら、例えば油が使用される環境で意図した効果を与えるのに十分な程度に、油に溶解又は安定に分散することを意味する。さらに、他の添加剤の追加の添加は、また所望により、特定の添加剤の高濃度での添加を可能にし得る。
【0011】
(金属洗浄剤システム(B))
金属洗浄剤は、エンジンのピストン付着物の形成を減少させる添加剤であり、酸中和性能を有し、「洗浄剤」という用語は、潤滑油組成物内でこれらの機能のいずれか、又は両方を与えることができる材料を定義するために本明細書で使用される。洗浄剤は、金属「石鹸」をベースとするものであって、酸性有機化合物の金属塩であり、しばしば界面活性剤と呼ばれ、一般に長い疎水性尾部を有する極性頭部を含む。
記載したように、金属洗浄剤システムは、1又は2以上の金属塩又は有機カルボン酸を含む。
好ましくは、カルボン酸は、芳香族カルボン酸であり、より好ましくは芳香族カルボン酸の塩は、金属洗浄剤システムのすべてを構成する。
芳香族カルボン酸の芳香族部分は、窒素及び酸素のようなヘテロ原子を含むことができるが、好ましくは炭素及び水素原子のみを含み、例えば6又は7以上の炭素原子を含む。ベンゼンは、好ましい部分である。
芳香族カルボン酸は、1又は2以上の芳香族部分、例えば1又は2以上のベンゼン環(縮合又はアルキレンブリッジを介して連結された)を含んでもよい。
カルボン酸部分は、芳香族部分に直接又は間接的に結合してもよく、好ましくは芳香族部分の炭素原子、例えばベンゼン環の炭素原子に直接結合する。
より好ましくは、芳香族部分は、また芳香族部分の炭素原子に直接又は間接的に結合したヒドロキシル基のような第2の官能基を含む。
芳香族カルボン酸の好ましい例は、ヒドロカルビル置換サリチル酸のようなサリチル酸である。「ヒドロカルビル」とは、実質的に水素及び炭素原子を含み、炭素原子を介して直接分子の残りの部分に結合した基を意味し、1又は2以上のヘテロ原子を含んでもよいが、これらが、本質的に基のヒドロカルビル性を損なないことを条件とする。
【0012】
前記塩は、フェナートのような他の界面活性剤と複合体を形成してもよく、ヒドロキシベンゾアートの形態であってもよい。アルキルフェノールであってもよい。米国特許第5808145号明細書、欧州特許出願公開第0933417号明細書及び第0985726号明細書には、そのような複合体の例が記載されている。
前記金属は、好ましくはカルシウム及びマグネシウムのようなアルカリ土類金属である。
有機カルボン酸の有用な他の種類の金属塩は、フェノール及びサリチル酸単位を含む線状及び環状化合物の金属塩であり、しばしば「サリチル酸カリックスアレーン(salicylic calixarenes)」と呼ばれる。そのような洗浄剤は、例えば欧州特許出願公開第0708171号明細書、国際公開第99/0025677号パンフレット、第02/0072529号パンフレット及び第03/0018728号パンフレットに記載されている。
芳香族カルボン酸がサリチル酸である場合、都合のよいことには、各サリチラートは、例えば独立して8〜30個の炭素数を有するアルキル基でアルキル置換され、前記アルキル基は、線状、分枝又は環状であってもよい。アルキル基の例としては、以下のものが挙げられる:オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ペンタデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、トリコシル、ヘキサコシル、トリアコンチル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル及びシクロヘキシルエチル。
好ましくは、それが多くともサリチル酸カルシウム以外の金属洗浄剤を少量又は付随的な量を含むという意味では、金属洗浄剤システムの実質的にすべてがサリチル酸カルシウムである。より好ましくは、金属フェナート及び金属スルホナートを実質的に、又はより好ましくは完全に含んでいない金属洗浄剤システムである。
都合のよいことには、使用する場合には、サリチル酸カルシウムは、潤滑油組成物の質量を基準として、50〜4000質量ppm、好ましくは100〜3000質量ppmのカルシウム原子を供給する。
洗浄剤システムにおける洗浄剤添加剤は、中性又は過塩基性であってもよく、好ましくは過塩基性である。都合のよいことには、15又は60〜600、好ましくは100〜450の範囲のTBNを有する。
【0013】
(粘度指数向上剤(C))
本発明の実施に有用な粘度指数向上剤、すなわちVI向上剤は、主にビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導される少なくとも1つのブロックと、主にジエンモノマーから誘導される少なくとも1つのブロックとを含む線状ジブロックコポリマーである。有用なビニル芳香族炭化水素モノマーとしては、8〜16個の炭素原子を含むもの、例えばアリール置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ビニルナフタレン、アルキル置換ビニルナフタレンなどが挙げられる。ジエン(すなわち、ジオレフィン)は、一般に1,3位の関係で共役して配置される2つの2重結合を含む。また、2つよりも多くの2重結合を含むオレフィン(しばしば、ポリエンと呼ばれる。)は、本明細書において使用される「ジエン」の定義に含まれるとみなされる。有用なジエンとしては、4〜約12個の炭素原子、好ましくは8〜16個の炭素原子を含むもの、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンが挙げられ、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。
【0014】
本発明の実施に有用な線状ブロックコポリマーは下記一般式で表される。
A−B
(式中、
Aは主に(predominantly)ビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導されるポリマーブロックであり、
Bは主に共役ジエンモノマーから誘導されるポリマーブロックである。)
下記一般式で表されるテーパー(tapered)線状ブロックコポリマーも「線状ジブロックコポリマー」の定義に含まれる。
A−A/B−B
(式中、
Aは主にビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導されるポリマーブロックであり、
Bは主に共役ジオレフィンモノマーから誘導されるポリマーブロックであり、
A/Bはビニル芳香族炭化水素モノマー及び共役ジオレフィンモノマーの両方から誘導されるテーパー部分(tapered segment)である。)
ポリマーブロック組成と関連して本明細書で使用される「主に(predominantly)」は、ポリマーブロックがそのブロックの少なくとも85重量%の量で存在する点で、特定されるモノマー又はモノマータイプが主成分であることを意味する。
【0015】
ジオレフィンによって調製されるポリマーは、エチレン性不飽和を含み、そのようなポリマーは、好ましくは水素化されている。前記ポリマーが水素化される場合、その水素化は、従来技術で公知のどのような方法を用いて行ってもよい。例えば、水素化は、例えば米国特許第3113986号明細書及び第3700633号明細書で教示されるもののような方法を用いて、エチレン性及び芳香族不飽和の両方が変換(飽和)するように行ってもよい。又は、水素化は、例えば米国特許第3634595号明細書、第3670054号明細書及び第3700633号明細書、並びに米国再発行特許発明第27145号明細書で教示されるように、エチレン性不飽和の大部分が変換されるが、芳香族不飽和はほとんど又はまったく変換されないように選択的に行ってもよい。これらの方法はいずれも、エチレン性不飽和のみを含み、芳香族不飽和を含まないポリマーを水素化するために使用できる。
ブロックコポリマーは、上述のように、異なる分子量及び/又は異なるビニル芳香族含有量を有する線状ポリマーの混合物並びに異なる分子量及び/又は異なるビニル芳香族含有量を有する線状ジブロックコポリマーの混合物を含んでいてもよい。2又は3以上の異なるポリマーの使用は、配合されたエンジンオイルを生成するために使用される場合にその生成物が付与する流体力学的特性に依存して、単一のポリマーよりも好ましい場合がある。
ブロックコポリマーの数平均分子量は、200000〜1500000であってもよい。数平均分子量は、350000〜900000であるのが好ましい。前記コポリマーのビニル芳香族含有量は、好ましくはコポリマーの5重量%〜40重量%である。そのようなコポリマーについて、85000〜300000の数平均分子量がよい。
有用なブロックコポリマーとしては、バルク、懸濁液、溶液又は乳濁液で調製されるものが挙げられる。よく知られているように、炭化水素ポリマーを生成するためのモノマーの重合は、フリーラジカル、カチオン及びアニオン重合開始剤又は重合触媒、例えばチーグラー-ナッタ及びメタロセンタイプ(「シングルサイト」とも呼ばれる。)触媒に用いられる遷移金属触媒を用いて行ってもよい。
【0016】
好ましくは、線状ジブロックコポリマーは、ポリスチレンブロックと、イソプレン、ブタジエン又はこれらの混合物から誘導されるブロックとを有する少なくとも1つの線状ジブロックコポリマーである。より好ましくは、線状ジブロックコポリマーは、水素化スチレン/ブタジエンジブロックコポリマー及び水素化スチレン/イソプレンジブロックコポリマーから選ばれる少なくとも1つの線状ジブロックコポリマーである。好ましくは、ジブロックコポリマーの剪断安定度指数の値(ASTM D6278-98の方法(クルト-オルバン(KO)又はDINベンチ試験として知られる)に従って決定される)は、2〜50%であり、より好ましくは5〜50%であり(30サイクル)、ジエンから誘導されるジブロックコポリマーのブロックは、イソプレンから誘導されるものを40〜90質量%及びブタジエンから誘導されるものを10〜60質量%含む。
必要に応じて、本発明の実施で使用されるVI向上剤は、VI向上剤に分散剤としての機能を与える窒素含有官能基を有してもよい。産業における1つのトレンドは、分散剤の一部又は全部に代えて、潤滑油においてそのような「多機能」VI向上剤を使用している。窒素含有官能基は、窒素又はヒドロキシル含有部分、好ましくは窒素含有部分をVI向上剤のポリマー骨格にグラフト重合させること(官能化)によって、ポリマーVI向上剤に付加することができる。窒素含有部分のポリマーへのグラフト重合方法は、当該技術分野で公知であり、例えばフリーラジカル重合開始剤の存在下で、そのままで、又は溶媒の存在下で、ポリマーと窒素含有部分を接触させることなどが挙げられる。フリーラジカル重合開始剤は、フリーラジカル重合開始剤前駆体、例えば過酸化水素を剪断(押出成形機などで)又は加熱することによって生成してもよい。
窒素含有グラフトモノマーの量は、ある程度、基質ポリマーの性質及びグラフトポリマーの要求される分散性のレベルに依存する。星型及び線状コポリマーに分散性を与えるために、グラフト窒素含有モノマーの量は、好ましくはグラフトポリマーの合計重量を基準として0.4〜2.2重量%であり、好ましくは0.5〜1.8重量%であり、最も好ましくは0.6〜1.2重量%である。
【0017】
窒素含有モノマーをポリマー骨格にグラフト重合する方法及び適した窒素含有グラフト重合モノマーは、公知であり、例えば米国特許第5141996号明細書、国際公開第98/13443号パンフレット及び第99/21902号パンフレット、米国特許第4146489号明細書、第4292414号明細書及び第4506056号明細書に記載されている。また、J Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, Vol. 26, 1189-1198 (1988)、J. Polymer Science, Polymer Letters, Vol. 20, 481-486 (1982) 及び J. Polymer Science, Polymer Letters, Vol. 21, 23-30 (1983)(すべて Gaylord 及び Mehta)及び Gaylord、Mehta 及び Mehta の Degradation and Cross-linking of Ethylene-Propylene Copolymer Rubber on Reaction with Maleic Anhydride and/or Peroxides; J. Applied Polymer Science, Vol. 33, 2549-2558 (1987) を参照のこと。
本発明のジブロックコポリマー成分は、市販の製品として入手可能である。市販のスチレン/水素化イソプレン線状ジブロックコポリマーの例としては、Infineum SV140(商標)、Infineum SV150(商標)及び Infineum SV160(商標)(インフィニアム USA L.P. 及びインフィニアム UK Ltd. から入手可能)、Lubrizol(商標)7318(ルブリゾール社から入手可能)及び Septon 1001(商標)及び Septon 1020(商標)(Septon Company of America(クラレグループ)から入手可能)が挙げられる。適したスチレン/1,3-ブタジエン水素化ブロックコポリマーはBASFから商品名 Glissoviscal(商標)で市販されている。
粘度指数向上剤は、例えば潤滑油組成物の質量を基準として、0.01〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の量で供給されてもよい。
【0018】
(他の添加剤)
また、以下のような他の添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させてもよい。
無灰分散剤は、分散される粒子と結合できる官能基を有する油溶性ポリマー炭化水素骨格を含む。典型的には、前記分散剤は、ポリマー骨格に、しばしば架橋する基を介して結合されたアミン、アルコール、アミド、又はエステル極性部分を含む。無灰分散剤は、例えば長鎖炭化水素置換されたモノ及びジカルボン酸又はその無水物の油溶性の塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド、及びオキサゾリン、長鎖炭化水素のチオカルボキシラート誘導体、それに直接結合されたポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素、及び長鎖置換フェノールとホルムアルデヒド及びポリアルキレンポリアミンとを縮合して形成されるマンニッヒ縮合生成物から選択されてもよい。
耐摩耗剤は、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩を含んでもよく、前記金属はアルカリ又はアルカリ土類金属、又はアルミニウム、鉛、スズ、モリブデン、マンガン、ニッケル、銅であってもよく、又は好ましくは亜鉛であってもよい。
ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩は、公知の方法に従って、通常は1以上のアルコール又はフェノールとP25との反応によって最初にジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を生成し、生成したDDPAを次に金属化合物で中和することによって、調製され得る。例えば、ジチオリン酸は、一級アルコールと二級アルコールとの混合物を反応させることによって、製造され得る。あるいは、一方についてのヒドロカルビル基の特性が全て二級であり、他方についてのヒドロカルビル基の特性が全て一級である複数のジチオリン酸が調製され得る。金属塩を製造するために、塩基性又は中性の金属化合物のいずれもが用いられ得るが、オキシド、ヒドロキシド及びカーボネートが最も一般的に用いられる。市販の添加剤は、中和反応において過剰量の塩基性金属化合物を使用するために、過剰量の金属を含む場合が多い。
【0019】
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性塩であり、以下の式によって表わすことができる:

(式中、R及びR’は、1〜18個、好ましくは2〜12個の炭素原子を有する同一又は異なるヒドロカルビル基であり、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリール基及び脂環式基のような基などが挙げられる。)
R基及びR’基として特に好ましいのは、炭素数が2〜8個のアルキル基である。よって、前記基は、例えばエチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、アミル、n-ヘキシル、i-ヘキシル、n-オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2-エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニルであってもよい。油溶性を得るために、ジチオリン酸における炭素原子の総数(すなわち、R及びR’)は、一般に約5又はそれ以上であろう。したがって、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み得る。
ZDDPによって潤滑油組成物に導入されるリンの量を0.09質量%以下に制限するために、ZDDPは、好ましくは潤滑油組成物の合計質量を基準として、約1.1〜1.3質量%以下の量で潤滑油組成物に添加される必要がある。
【0020】
酸化防止剤又は抗酸化剤は、ベースストックの使用中の劣化傾向を低減する。酸化劣化は、スラッジ及び金属表面のワニス様付着物のような酸化生成物及び粘度上昇によって示される。そのような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、芳香族アミン、好ましくはC5-C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、ノニルフェノール硫化カルシウム、無灰油溶性フェナート及び硫化フェナート、リン硫化又は硫化炭化水素、亜リン酸エステル、金属チオカルバメート、及び米国特許第4867890号明細書に記載される油溶性銅化合物などが挙げられる。
摩擦係数を下げ、それによって燃費を改善する境界潤滑添加剤を含む摩擦低減剤を使用してもよい。その例としては、多価アルコール、例えばグリセロールモノオレアートの部分脂肪酸エステルのようなエステル系有機摩擦低減剤及びアミン系有機摩擦低減剤などが挙げられる。別の例として、有機モリブデン化合物のような二硫化モリブデンを含む添加剤があり、ここでモリブデンは、例えば2核又は3核の形態である。
非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール及びそのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール並びに陰イオン性アルキルスルホン酸からなる群より選ばれる錆止め剤を用いてもよい。
銅及び鉛ベアリング腐食防止剤を用いてもよいが、典型的には本発明の配合物では要求されない。典型的には、そのような化合物は、5〜50個の炭素原子を含むチアジアゾールポリスルフィド、その誘導体及びそのポリマーである。米国特許第2719125号明細書、第2719126号明細書及び第3087932号明細書に記載されるもののような1,3,4-チアジアゾールの誘導体が典型的である。他の同様の材料は、米国特許第3821236号明細書、第3904537号明細書、第4097387号明細書、第4107059号明細書、第4136043号明細書、第4188299号明細書及び第4193882号明細書に記載されている。他の添加剤は、英国特許第1560830号明細書に記載されているもののようなチアジアゾールのチオ及びポリチオスルフェンアミドである。ベンゾチアゾール誘導体は、またこの種の添加剤に含まれる。これらの化合物を潤滑油組成物に含ませる場合、好ましくは活性成分が0.2質量%を超えない量で含む。
【0021】
少量の解乳化剤成分を使用してもよい。好ましい解乳化剤成分は、欧州特許出願公開第330522号明細書に記載されている。それは、アルキレンオキシドを、ビスエポキシドと多価アルコールとを反応させて得た付加物と反応させることによって得られる。解乳化剤は、活性成分が0.1質量%を越えないレベルで使用される必要がる。活性成分が0.001〜0.05質量%である処理量が好都合である。
流動点降下剤(あるいは、潤滑油流動性向上剤として知られている)は、流体が流動する又は注がれ得る最低温度を低下させる。そのような添加剤は、周知である。流体の低温流動性を向上させる添加剤の典型的なものは、C8〜C18-ジアルキルフマレート/ビニルアセテートコポリマー、ポリアルキルメタクリレートなどである。
泡の制御は、ポリシロキサンタイプの消泡剤、例えばシリコーンオイル又はポリジメチルシロキサンを含む多くの化合物によって提供され得る。
また、本発明の潤滑油組成物は、必要により粘度指数向上剤(C)以外のVI向上剤材料、例えばエチレン-プロピレン、又は他のオレフィンコポリマー(OCP)VI向上剤、又はビニル芳香族炭化水素及びジエンから誘導されるランダム若しくは線状トリブロックコポリマー又はランダム星型若しくは星型ブロックコポリマーを含んでもよい。そのような他のVI向上剤は、周知であり、商業的に入手可能である。好ましくは、粘度指数向上剤(C)は、潤滑油組成物で使用される唯一のVI向上剤である。
【0022】
個々の添加剤は、いずれか好都合な方法によってベースストック中に組み込まれ得る。このように、成分の各々は、所望の濃度レベルで、ベースストック中又はベースオイルブレンド中に分散又は溶解させることによって、ベースストック又はベースオイルブレンドに直接的に添加することができる。このような混和(blending)は、周囲温度にて又は高温にて起こり得る。
好ましくは、粘度調整剤および流動点降下剤を除く全ての添加剤が、添加剤パッケージとして本明細書に記載される濃厚物中に配合され、添加剤パッケージは、その後続いてベースストック中に配合されて、完成した潤滑油を作り上げる。前記濃厚物は、典型的には添加剤を適切な量で含有するように調合されて、前記濃厚物が所定量の基礎潤滑剤(base lubricant)と混合される場合に、最終的な組成物において所望の濃度を提供する。
前記濃厚物は、好ましくは米国特許第4,938,880号明細書に記載される方法に従って作られる。
最終的なクランクケース潤滑油組成物は、2〜20質量%、好ましくは4〜18質量%、最も好ましくは5〜17質量%の濃厚物又は添加剤パッケージを用いることができ、残りはベースストックである。好ましくは、本発明の潤滑油組成物は、1.0質量%以下の硫酸化灰濃度及び/又は硫黄原子として表される0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下の硫黄濃度を有する。
【0023】
(エンジン)
本発明は、圧縮点火及び火花点火2又は4サイクルピストンエンジンのような種々の内燃機関に適用できる。その例としては、発電用機関、機関車(locomotive)及び船舶用装置及び大型オンハイウェイトラック(heavy duty on-highway trucks)用エンジン、農業、建築及び鉱業で使用され得るような大型オフハイウェイエンジン及び軽量商用車及び乗用車用エンジンなどが挙げられる。
【実施例】
【0024】
(実施例)
本発明は、以下の実施例により具体的に説明されるが、以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
2つの十分に配合された5W30潤滑油組成物(又は潤滑油)を当技術分野で公知の方法によってブレンドした。
各潤滑油を、100℃で同じ動粘度を有するように配合した。各潤滑油は、以下を含む:サリチル酸カルシウム洗浄剤添加剤(TBN 160、0.114質量%のCa原子を生じる)、
0.05質量%のリン含有量、
0.9質量%のポリマー含有量、及び
同一量の分散剤、耐摩耗剤、酸化防止剤、摩擦低減剤及び他の添加剤(潤滑油組成物の配合で通常使用される)。
2つの潤滑油は以下の点で異なる:
潤滑油1:1.9質量%のポリメタクリレートLOFIを含む130NグループIベースストック中に粘度指数向上剤として6質量%のイソプレン/スチレン線状ジブロックコポリマーを含む本発明の潤滑油。スチレンから誘導される1つのブロックと水素化ポリイソプレンの1つのブロックとを有するコポリマーは、スチレン含有量が35質量%であり、数平均分子量(スチレン換算)が130000である。
潤滑油A:130NグループIベースストック中に粘度指数向上剤として15質量%の星型コポリマーを含む参照潤滑油。星型コポリマーは、水素化ポリイソプレンアームを有し、全数平均分子量(スチレン換算)が360000である。
2つの潤滑油のそれぞれを、シーケンスIIIG試験に従って、カム及びリフター摩耗について試験した。試験では、試験装置として1996 General Motors 3800 cc Series II(水冷式4サイクルV-6ガソリンエンジン)を用いた。シーケンスIIIG試験エンジンは、オーバーヘッドバルブ設計(OHV)であり、吸気弁及び排気弁の両方をプッシュロッド及びハイドロリックバルブリフターを介して操作する1つのカム軸をスライディングフォロアアレンジメント(sliding-follower arrangement)で用いる。無鉛ガソリンを使用して、前記エンジンを稼動し、10分間の初期オイルレベリング手順に続いて15分間でゆっくりと試験スピード及び負荷条件まで高める。次いで、エンジンを、125bhp、3600rpm及び150℃のオイル温度で100時間稼動した(オイルレベルチェックのために20時間間隔で中断した)。
試験の最後に、カムローブ及びリフターの摩耗を測定した。平均カム-プラス-リフター摩耗としてμmで表した結果は、以下のとおりである(試験の合格基準は最大60μmである)。
潤滑油1:57.2
潤滑油A:291.7
上記結果は、潤滑油1において線状ジブロック粘度指数向上剤を用いることにより、潤滑油Aと比較して、認定を受けたエンジン試験で劇的に良い摩耗特性が得られることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン原子として表される(内燃機関クランクケース潤滑油組成物の質量を基準として)0.09質量%以下のリン濃度を有する内燃機関クランクケース潤滑油組成物であって、以下を含む、又は以下を混合することによって製造される前記油組成物:
(a)多割合の潤滑粘度の油、
(b)1又は2以上の有機カルボン酸の金属塩を含む、少割合の添加剤としての金属洗浄剤システム、及び
(c)主にビニル芳香族炭化水素モノマーから誘導される少なくとも1つのブロックと主にジエンモノマーから誘導される少なくとも1つのブロックとを含む線状ジブロックコポリマーを含む粘度指数向上剤。
【請求項2】
線状ジブロックコポリマーが、少なくともポリスチレンブロックと、イソプレン、ブタジエン又はこれらの混合物から誘導されるブロックとを含む少なくとも1つのジブロックコポリマーである、請求項1記載の油組成物。
【請求項3】
線状ジブロックコポリマーが水素化スチレン/ブタジエンジブロックコポリマー及び水素化スチレン/イソプレンジブロックコポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1つのジブロックコポリマーである、請求項2記載の油組成物。
【請求項4】
ジブロックコポリマーの剪断安定度指数の値が2%〜50%(30サイクル)であり、ジブロックコポリマーのポリジエンブロックの40〜90質量%がイソプレンから誘導され、10〜60質量%がブタジエンから誘導される、請求項2又は3記載の油組成物。
【請求項5】
ジブロックコポリマーの剪断安定度指数の値が5%〜25%(30サイクル)である、請求項1〜4のいずれか1項記載の油組成物。
【請求項6】
硫酸化灰濃度が1.0質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項記載の油組成物。
【請求項7】
硫黄原子として表される0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下の硫黄濃度を有する請求項1〜6のいずれか1項記載の油組成物。
【請求項8】
有機カルボン酸の金属塩が過塩基性アルカリ土類金属サリチラートである、請求項1〜7のいずれか1項記載の油組成物。
【請求項9】
さらに、分散剤、洗浄剤、酸化防止剤、耐摩耗剤、摩擦低減剤、腐食防止剤、流動点降下剤、解乳化剤及び消泡剤から選ばれる、(b)及び(c)以外の1又は2以上の添加剤を含む請求項1〜8のいずれか1項記載の油組成物。
【請求項10】
圧縮点火又は火花点火内燃機関を潤滑する方法であって、前記内燃機関に請求項1〜9のいずれか1項記載の潤滑油組成物を供給することを含む前記潤滑方法。
【請求項11】
リン原子として表される(潤滑油組成物の質量を基準として)0.09質量%以下のリン濃度を有し、かつ、請求項1、7及び8のいずれか1項で定義される金属洗浄剤システムを含む潤滑油組成物による内燃機関のクランクケース潤滑において、カム及びリフター摩耗を改善するための請求項1〜5のいずれか1項で定義される粘度指数向上剤の使用。

【公開番号】特開2013−100556(P2013−100556A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−39243(P2013−39243)
【出願日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【分割の表示】特願2006−299214(P2006−299214)の分割
【原出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500010875)インフィニューム インターナショナル リミテッド (132)
【Fターム(参考)】