説明

潤滑油組成物

【課題】内燃機関の潤滑に好適で、かつ有利なTBN(全塩基価)保留性を有する潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】基油と、(A)フェノレート洗浄剤、サリチレート洗浄剤及びスルホネート洗浄剤から選ばれた1種以上の洗浄剤であって、該1種以上の洗浄剤は、各々独立に、ISO 3771で測定して、30〜350mg.KOH/gの範囲のTBNを有する該洗浄剤と、(B)アミン系酸化防止剤及び/又はフェノール系酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の酸化防止剤3.5重量%以上(潤滑油組成物の総重量に対し)とを含有する、硫化灰分含有量が0.9重量%以下で燐含有量が0.04〜0.1重量%の範囲である内燃機関用潤滑油組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油組成物、特に内燃機関の潤滑に好適な潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
全塩基価(TBN)は、潤滑油組成物が燃焼/酸化の酸性副生物をいかに良く中和できるかの尺度であり、潤滑油のサンプル1gに存在する全ての塩基性成分を中和するのに要する酸の量として定義され、水酸化カリウムmgの当価(equivalent number)換算で表される(試験法としては、例えばISO 3771、ASTM D−2896及びASTM D−4739がある)。
【0003】
潤滑油組成物では、燃焼/酸化の酸性副生物による腐食性のエンジン磨耗を制御するために、高いTBNが望まれる。潤滑油組成物中の洗浄添加剤は、アルカリ性(TBN)の主要供給源であり、例えばトップリング堆積や内径研磨を制御する助けとなる。
したがって、金属ベースの洗浄剤は、クランクケース潤滑油組成物での主要供給源である。
【0004】
潤滑油組成物中の硫化灰分、硫黄及び燐の濃度が自動車の排気後処理装置に悪影響を与えることを考慮すると、硫化灰分、硫黄及び/又は燐の濃度が低い潤滑油組成物(即ち、いわゆる低SAPS潤滑油組成物)に向かう傾向がある。
【0005】
燐の濃度は、一般に潤滑油組成物に耐摩耗添加剤として存在するジチオ燐酸亜鉛の量を減らせば、低下できる。
潤滑油組成物中の硫黄レベルは、低硫黄レベルの基油を使用すると共に、組成物に使用された硫黄含有添加剤の量を減らせば、低下できる。
【0006】
硫化灰分は、潤滑油組成物を炭化し、残査を硫酸で処理し、次いで一定の重量になるまで加熱した後に残存する残査の全重量%である。潤滑油組成物中の硫化灰分含有量は、組
成物中の全金属含有量に関連する。硫化灰分は、ASTM D874に従って、便利に測定できる。
【0007】
潤滑油組成物中の硫化灰分の主要供給源は、一般に組成物に使用される金属洗浄添加剤及びジチオ燐酸亜鉛耐摩耗添加剤である。
【0008】
したがって、現在の低SAPS潤滑油組成物では、硫化灰分のレベル、したがって洗浄剤のレベルは低い。その結果、低SAPS潤滑油組成物の出発TBN(即ち、新しい未使用の潤滑油組成物のTBN)は、高濃度の硫化灰分、硫黄及び/又は燐を含む潤滑油組成物よりも低くなりやすい。
【0009】
こうして、出発TBNの低い低SAPS潤滑油組成物では、TBN保留性(即ち、潤滑油組成物の寿命期間中、有利なTBNレベルを維持する能力)に対する重要性が増大する。
【0010】
US 2004/0102335 A1には、少なくとも1種のスルホネート、サリゲニン(サリチルアルコール)及びサリキサレート(salixarate)洗浄剤を有する添加剤配合物を含む潤滑油組成物が記載されている。
しかし、US 2004/0102335 A1の実施例から明らかなように、この潤滑油組成物は高TBNの洗浄剤を使用している。
【0011】
この点について、US 2004/0102335 A1の実施例は全て、TBN増進剤として、高TBNのスルホン酸カルシウム洗浄剤を使用している。
しかもUS 2004/0102335 A1は、磨耗特性を改良した潤滑油組成物の開発に関するもので、出発TBNの低い低SAPS潤滑油組成物でのTBN保留性の問題に向けたものではない。
【0012】
EP−A−1167497は、硫黄含有量が0.01〜0.3重量%で燐含有量が0.01〜0.重量%で硫化灰分含有量が0.1〜1重量%の範囲にある、良好な高温洗浄性を示すと言われる潤滑油組成物を開示している。この組成物は、
a)硫黄含有量が0.1重量%以下の鉱物基油を主要量、
b)アルケニル−又はアルキル−スクシンイミド或いはその誘導体を含む灰分のない分散剤を窒素原子含有量換算で0.01〜0.3重量%量、
c)TBNが10〜350mg.KOH/gであるサリチル酸の非硫化アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、及びマンニッヒ塩基構造を有するアルキルフェノール誘導体の非硫化アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩よりなる群から選ばれた有機酸金属塩を含む金属含有洗浄剤を硫化灰分含有量換算で0.1〜1重量%量、
d)ジアルキルジチオ燐酸亜鉛を燐含有量換算で0.01〜0.1重量%量、及び
e)フェノール化合物及びアミン化合物よりなる群から選ばれた酸化防止剤を0.01〜5重量%量、
含有する。
EP−A−1167497の実施例は全て、アミン系酸化防止剤0.7重量%をフェノール系酸化防止剤0.7重量%と組合わせた混合物を使用している。
【0013】
しかし、EP−A−1167497は、硫化灰分、硫黄及び/又は燐濃度の低い組成物に対し、特にVW T4テスト(PV 1449)において、良好なTBN保留性を達成する問題に関する方法ではない。この点について、EP−A−1167497には、特に
VW T4テスト(PV 1449)において、どのようにして良好なTBN保留性を達成するか示唆する教示はない。
【0014】
EP−A−1104800には、
a)粘度潤滑性基油を主要量、
b)金属含有洗浄剤を硫化灰分含有量換算で0.1〜1重量%量、
c)硼素含有アルケニル−又はアルキル−スクシンイミドを活性成分換算で1.0〜15重量%量、
d)ジアルキルジチオ燐酸亜鉛を燐含有量換算で0.1〜0.1重量%量、
e)酸化防止剤を活性成分換算で0.1〜5重量%量、及び
f)灰分のないジチオカルバメートを活性成分換算で0.1〜5重量%量、
含む内燃機関用潤滑油組成物が記載されている。
【0015】
US 2003/0148900 A1は、1種以上の特定のヒンダードフェノールを少量及びグループII、グループIII及びグループIVの基油のリーツ(leats)1種を主要量含む天然ガスエンジン用潤滑油組成物を開示している。
【0016】
US 2003/0148900 A1は、酸化防止剤を増量すると、ビストン堆積制御に有害な影響を与える可能性があることを示している。したがって、US 2003/0148900 A1は酸化防止剤を増量しないで、潤滑基油の酸化寿命を延ばす方法に向けたものである。
【0017】
しかし、US 2003/0148900 A1は、低出発TBNを有する低SAPS潤滑油組成物におけるTBN保留性の問題に関連していない。
WO−A−03/083020には、窒素含有洗浄剤組成物をエンジンの操作中、内燃室に導入する内燃機関の操作方法が記載されている。
【0018】
この洗浄剤組成物は、
(A)ヒドロカルビル置換アクリル化剤とアミンとの反応生成物、
(B)ヒドロカルビル置換アミン、
(C)ヒドロカルビル置換ヒドロキシ含有芳香族化合物とアルデヒドとアミンとのマンニ
ッヒ反応生成物、
(D)ヒドロキシ含有ヒドロカルビル化合物1単位とブチレンオキシド2単位以上とを反応させてポリエーテル中間体を形成し、これをアミン又はアクリロニトリルと反応させ、このポリエーテル中間体とアクリロニトリルとの反応生成物を水素化することにより、アミン化して、製造した高分子量ポリエーテルアミン、又は
(E)その混合物、
を含有する。
【0019】
US−A−5595964には、天然ガスを燃料とする内燃機関に粘度潤滑性油、酸化防止剤、窒化防止剤及び好ましくはエポキシドの硼化生成物約0.1重量%以上を含有する潤滑油組成物を供給する前記内燃機関の潤滑方法が記載されている。組成物の供給量は、実質的に金属を含有せず、また酸化防止剤及び窒化防止剤の量は、前記内燃機関中のワニス形成量を減らすのに十分な量である。
【0020】
この潤滑油組成物の酸化防止剤の全使用量は、1.8重量%以上、好ましくは2重量%であると述べている。
US−A−5595964の潤滑油組成物は、硫化灰分をASTM D874で測定して、1%未満含有すると述べている。
【0021】
US−A−5595964の潤滑油組成物の燐レベルは、好ましくは0.03%未満、更に好ましくは0.005%未満であると述べている。
【0022】
US−A−5595964は、天然ガス燃料の内燃機関において、潤滑油組成物中に酸化防止剤の他、窒化防止剤を存在させることによるワニス配合物の還元に関する。
【0023】
US−A−5595964は、硫化灰分、硫黄及び/又は燐濃度の低い潤滑油組成物、特に出発TBNの低い低SAPS潤滑油組成物ではTBN保留性が悪いという問題を確認も提案もしていない。US−A−5595964は、このような潤滑油組成物において、どのようにして良好なTBN保留性を達成するか、特にどのようにしてVW T4テスト(PV 1449)にパスするか示唆する開示はない。
【0024】
したがって、良好なTBN保留性を有する、低硫化灰分、硫黄及び/又は燐濃度の潤滑油組成物、特に出発TBNが低く、しかも良好なTBN保留性を有する低SAPS潤滑油組成物を開発することが望ましい。
【特許文献1】US 2004/0102335 A1
【特許文献2】EP−A−1167497
【特許文献3】EP−A−1104800
【特許文献4】US 2003/0148900 A1
【特許文献5】WO−A−03/083020
【特許文献6】US−A−5595964
【特許文献7】EP−A−776959
【特許文献8】EP−A−668342
【特許文献9】WO−A−97/21788
【特許文献10】WO−00/14188
【特許文献11】WO−00/14187
【特許文献12】WO−00/14183
【特許文献13】WO−00/14179
【特許文献14】WO−00/08115
【特許文献15】WO−99/41332
【特許文献16】EP−1029029
【特許文献17】WO−01/18156
【特許文献18】WO−01/57166
【特許文献19】WO−A−98/26030
【特許文献20】日本特許No.1367796
【特許文献21】日本特許No.1667140
【特許文献22】日本特許No.1302811
【特許文献23】日本特許No.1743435
【特許文献24】日本特許No.954077
【特許文献25】日本特許No.1031507
【特許文献26】日本特許No.1468752
【特許文献27】日本特許No.1764494
【特許文献28】日本特許No.1751082
【特許文献29】日本特許No.1195542
【特許文献30】日本特許No.1264056
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
特にVW T4テスト(PV 1449)において良好なTBN保留性を有するような潤滑油組成物、更に特にISO 3771で測定して、テスト(VW T4テスト(PV 1449))TBN値の末端値(end)5.0mg.KOH/g以上を有するような潤滑油組成物を開発することが望ましい。
【0026】
本発明では内燃機関の潤滑に好適で、しかも有利なTBN保留性を有する潤滑油組成物が意外にも見い出された。
【課題を解決するための手段】
【0027】
したがって、本発明は、
基油と、
(A)フェノレート洗浄剤、サリチレート洗浄剤及びスルホネート洗浄剤から選ばれた1種以上の洗浄剤であって、該1種以上の洗浄剤は、各々独立に、ISO 3771で測定して、30〜350mg.KOH/gの範囲のTBN(全塩基価)を有する該洗浄剤と、
(B)アミン系酸化防止剤及び/又はフェノール系酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の酸化防止剤3.5重量%以上(潤滑油組成物の総重量に対し)と、
を含有する、硫化灰分含有量が0.9重量%以下で燐含有量が0.04〜0.1重量%の範囲である内燃機関用潤滑油組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
好ましい実施態様では、前記1種以上の酸化防止剤は、潤滑油組成物の総重量に対し、
3.7重量%以上、更に好ましくは3.9重量%以上、最も好ましくは4.0重量%以上の量で存在する。
本発明の潤滑油組成物は、1種以上のアミン系酸化防止剤を含有してよい。
【0029】
便利に使用できるアミン系酸化防止剤の例としては、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン及びアルキル化α−ナフチルアミンが挙げられる。
【0030】
好ましいアミン系酸化防止剤としては、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミン、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミン及びN−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンのようなジアルキルジフェニルアミン;モノ−t−ブチルジフェニルアミン及びモノ−オクチルジフェニルアミンのようなモノアルキルジフェニルアミン;ジ−(2,4−ジエチルフェニル)アミン及びジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンのようなビス(ジアルキルフェニル)アミン;オクチルフェニル−1−ナフ
チルアミン及びn−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンのようなアルキルフェニル−1−ナフチルアミン;1−ナフチルアミン;フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミン及びN−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンのようなアリールナフチルアミン;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン及びN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン;及びフェノチアジン及び3,7−ジオクチルフェノチアジンのようなフェノチアジンが挙げられる。
【0031】
好ましいアミン系酸化防止剤としては、以下の商品名:“Sonoflex OD−3”(Seiko Kagaku Co.から)、“Irganox L−57”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)及びフェノチアジン(Ho
dogaya Kagaku Co.から)で得られるものが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、1種以上のフェノール系酸化防止剤を含有してよい。
【0032】
便利に使用できるフェノール系酸化防止剤の例としては、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロピオン酸のC7〜C9分岐アルキルエステル;2−t−ブチルフェノール;2−t−ブチル−4−メチルフェノール;2−t−ブチル−5−メチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2−t−ブチル−4−メトキシフェノール;3−t−ブチル−4−メトキシフェノール;2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン;2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール及び2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールのような2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール及び2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールのような2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトオクチルアセテート;n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−ブチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及び2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートのようなアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)のような2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)及び2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルレゾルシノール)のようなビスフェノール;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス−[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)酪酸]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール及び2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノールのようなポリフェノール;及びp−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド縮合物及びp−t−ブチルフェノール−アセトアルデヒド縮合物が挙げられる。
【0033】
好ましいフェノール系酸化防止剤としては、以下の商品名:“Irganox L−135”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Anteeji DBH”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Yoshinox SS”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)、“Antage W−400”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Antage W−500”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Antage W−300”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Ionox 220AH”(Shell Japan Co.から)、Shell Japan Co.製ビスフェノールA、“Irganox L109”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Tominox 917”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)、“Irganox L115”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Sumilizer GA80”(Sumitomo Kagakuから)、“Antage RC”(Kawaguchi Kagaku Co.から)、“Irganox L101”(Ciba Specialty Chemicals Co.から)、“Yoshinox 930”(Yoshitomi Seiyaku Co.から)、“Ionox 330”(Shell Japan Co.から)が挙げられる。
【0034】
本発明の潤滑油組成物は、1種以上のフェノール系酸化防止剤と1種以上のアミン系酸化防止剤との混合物を含有してよい。
本発明で使用できる洗浄剤としては、サリチレート洗浄剤、フェノレート洗浄剤及びスルホネート洗浄剤から選ばれた1種以上の洗浄剤がある。
【0035】
本発明の潤滑油組成物では、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のサリチレート、フェノレート及びスルホネート洗浄剤が好ましい。カルシウム及びマグネシウムのサリチレート、フェノレート及びスルホネートは、特に好ましい洗浄剤である。
【0036】
好ましい実施態様では、本発明の潤滑油組成物は、(i)1種以上のサリチレート洗浄剤、及び/又は(ii)1種以上のフェノレート洗浄剤と1種以上のスルホネート洗浄剤との混合物を含有してよい。
【0037】
しかし、洗浄剤として使用される金属有機及び無機塩基塩は、潤滑油組成物の硫化灰分含有量の一因となるので、本発明の好ましい実施態様では、このような洗浄添加剤の量は最小限である。
低硫黄レベルを維持するには、サリチレート洗浄剤が特に好ましい。
こうして、好ましいし実施態様では、本発明の潤滑油組成物は1種以上のサリチレート洗浄剤を含有してよい。
【0038】
本発明潤滑油組成物の全硫化灰分含有量を、潤滑油組成物の総重量に対し、0.9重量%以下、好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.75重量%以下、最も好ましくは0.7重量%以下に維持するには、1種以上の洗浄剤(A)は、潤滑油組成物の総重量に対し、好ましくは0.05〜12.5重量%、更に好ましくは1.0〜9.0重量%、最も好ましくは2.0〜5.0重量%の範囲の量で使用される。
【0039】
更に1種以上の洗浄剤は、TBN(全塩基価)が、各々独立に、ISO 3771で測定して、30〜350mg.KOH/g、更に好ましくは50〜300mg.KOH/gの範囲であることが好ましい。
【0040】
即ち、本発明の潤滑油組成物にフェノレート洗浄剤、サリチレート洗浄剤及びスルホネート洗浄剤から選ばれた1種以上の洗浄剤が存在すると、このような洗浄剤は、各々、ISO 3771で測定して、30〜350mg.KOH/g、更に好ましくは50〜300mg.KOH/gの範囲のTBN(全塩基価)を有する。
【0041】
本発明の潤滑油組成物に取込まれる基油の量は、それぞれ潤滑油組成物の総重量に対し、好ましくは60〜92重量%、更に好ましくは75〜90重量%の範囲、最も好ましくは75〜88重量%の範囲の量で存在する。
【0042】
本発明で使用される基油については特別な制限はなく、各種公知の鉱油及び合成潤滑油が便利に使用できる。
鉱油としては、液状石油、及びパラフィン系、ナフテン系又はパラフィン/ナフテン混合系の溶剤処理又は酸処理した鉱物性潤滑油(更に水素化仕上げ及び/又は脱蝋により精製してよい)が挙げられる。
【0043】
ナフテン系基油は粘度指数(VI)が低く(一般に40〜80)、また流動点が低い。このような基油は、ナフテンに富み、かつ蝋含有量が少ない供給原料から製造され、まず色調及び色安定性が重要で、次にVI及び酸化安定性が重要とされる潤滑油に主として使用される。
パラフィン系基油は、VIが高く(一般に>95)、また流動点も高い。この基油は、パラフィンに富む供給原料から製造され、VI及び酸化安定性が重要とされる潤滑油に使用される。
【0044】
本発明潤滑油組成物の基油として、フィッシャー・トロプシュ誘導基油、例えばEP−A−776959、EP−A−668342、WO−A−97/21788、WO−00/14188、WO−00/14187、WO−00/14183、WO−00/14179、WO−00/08115、WO−99/41332、EP−1029029、WO−01/18156及びWO−01/57166に開示されるフィッシャー・トロプシュ誘導基油が便利に使用できる。
【0045】
合成法により、分子を、これより構造の簡単な物質から作ったり、或いは所要の正確な特性を付与するため、分子構造を改質することが可能である。
合成潤滑油としては、オレフィンオリゴマー(PAO)、二塩基酸エステル、ポリオールエステル及び脱蝋済み蝋状ラフィネートのような炭化水素油がある。Royal Dutch Shellグループの企業から商品名“XHVI”(商標)で販売されている合成炭化水素基油は便利に使用できる。
【0046】
基油は、 飽和物含有量が、ASTM D2007で測定して、80重量%を超え、好ましくは90重量%を超える、鉱油及び/又は合成基油で構成されることが好ましい。
基油は、更に硫黄含有量が、ASTM D2622、D4294、D4927又はD3120で測定し元素状硫黄として計算して、1.0重量%未満、好ましくは0.1重量%
未満であることが好ましい。
【0047】
基油の粘度指数は、ASTM D2270で測定して、好ましくは80を超え、更に好ましくは120を超える。
本発明で使用される基油の100℃での動粘度は、好ましくは2〜80mm/s、更に好ましくは3〜70mm/s、最も好ましくは4〜50mm/sの範囲である。
【0048】
好ましい実施態様では潤滑油組成物は、ジチオ燐酸亜鉛単独を含むか、耐摩耗剤として、2種以上のジチオ燐酸亜鉛の組合せを含有する。このジチオ燐酸亜鉛は、ジアルキル−、ジアリール−又はアルキルアリール−ジチオ燐酸亜鉛から選ばれる。
【0049】
ジチオ燐酸亜鉛は当該技術分野で周知の添加剤で、一般式II:
【化1】

で都合よく表すことができる。式中、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、各々、炭素原子数が1〜20、好ましくは3〜12の第一アルキル基; 炭素原子数が3〜20、好ましくは3〜12の第二アルキル基;アリール基;又は炭素原子数が1〜20、好ましくは3〜18のアルキル基で置換したアリール基である。
【0050】
〜Rが互いに全て異なるジチオ燐酸亜鉛化合物は、単独で又はR〜Rが全て同じのジチオ燐酸亜鉛化合物との混合物で使用できる。
本発明で使用されるジチオ燐酸亜鉛化合物は、好ましくはジアルキルジチオ燐酸亜鉛である。
【0051】
市販の好適なジチオ燐酸亜鉛としては、Lubrizol Corporationから商品名“Lz 1097”及び“Lz 1395”で得られる化合物、Chevon Oroniteから商品名“OLOA 267”及び“OLOA 269A”で得られる化合物、及びEthylから商品名“HITEC 7197”で得られる化合物のような第一ジチオ燐酸亜鉛;Lubrizol Corporationから商品名“Lz 677A”、“Lz 1095”及び“Lz 1371”で得られる化合物、Chevon Oroniteから商品名“OLOA 262”で得られる化合物、及びEthylから商品名“HITEC 7169”で得られる化合物のような第二ジチオ燐酸亜鉛;Lubrizol Corporationから商品名“Lz 677A”、“Lz 1370”及び“Lz 1373”で得られる化合物、及びChevon Oroniteから商品名“OLOA 260”で得られる化合物のようなアリール型ジチオ燐酸亜鉛が挙げられる。
【0052】
本発明の潤滑油組成物は、ジチオ燐酸亜鉛(第一又は第二アルキル型の場合)を潤滑油組成物の総重量に対し、一般に0.4〜1.0重量%、好ましくは0.4〜0.9重量%、最も好ましくは0.45〜0.8重量%の範囲で含有する。
【0053】
したがって、本発明の潤滑油組成物中の燐の量は、一般に0.04〜0.10重量%、好ましくは0.04〜0.09重量%、最も好ましくは0.045〜0.08重量%の範囲である。
【0054】
燐のレベルが0.04重量%以下では、耐摩耗性能が不十分となる可能性がある。燐のレベルが0.1重量%以上では、燐は自動車の後処理装置に有害な影響を与える恐れがある。
【0055】
本発明の潤滑油組成物は、硫化灰分含有量が、潤滑油組成物の総重量に対し、好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.75重量%以下、最も好ましくは0.7重量%以下である。
【0056】
本発明の潤滑油組成物は、硫黄含有量が、潤滑油組成物の総重量に対し、好ましくは1.2重量%以下、更に好ましくは0.8重量%以下、最も好ましくは0.2重量%以下である。
【0057】
本発明の好ましい組成物は、以下の特徴の1つ以上を有する。重量%は潤滑油組成物の総重量を基準とする。
(i)燐が0.04重量%より多い。
(ii)燐が0.045重量%より多い。
(iii)燐が0.04重量%以上である。
(iv)燐が0.09重量%未満である。
(v)燐が0.10重量%以下である。
(vi)燐が0.08重量%以下である。
(vii)硫化灰分が0.9重量%以下である。
(viii)硫化灰分が0.8重量%以下である。
(ix)硫化灰分が0.7重量%以下である。
(x)硫黄が1.2重量%以下である。
(xi)硫黄が0.8重量%以下である。
(xii)硫黄が0.2重量%以下である。
【0058】
本発明の特に好ましい組成物は以下の組成物である。
(A):
特徴(i)及び(iv)を有するもの;特徴(i)及び(v)を有するもの;特徴(i)及び(vi)を有するもの;特徴(ii)及び(iv)を有するもの;特徴(ii)及び(v)を有するもの;特徴(ii)及び(vi)を有するもの;特徴(iii)及び(iv)を有するもの;特徴(iii)及び(v)を有するもの;特徴(iii)及び(v
i)を有するもの;
【0059】
(B):
特徴(i)、(iv)及び(vii)を有するもの;特徴(i)、(iv)及び(viii)を有するもの;特徴(i)、(iv)及び(ix)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(vii)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(viii)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(ix)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(vii)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(viii)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(ix)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(vii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(viii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(ix)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(vii)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(viii)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(ix)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(vii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(viii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(ix)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(vii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(viii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(ix)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(vii)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(viii)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(ix)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(vii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(viii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(ix)を有するもの;
【0060】
(C):
特徴(i)、(iv)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(iv)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(iv)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(v)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(vi)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(iv)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(v)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(vi)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(iv)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(v)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(vi)及び(xii)を有するもの;
【0061】
(D):
特徴(i)、(iv)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(v)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(v)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(v)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(vii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(viii)及び(x)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(ix)及び(x)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(v)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(v)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(v)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)
、(vi)、(vii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(viii)及び(xi)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(ix)及び(xi)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(iv)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(v)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(v)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(v)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(i)、(vi)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(iv)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(v)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(ii)、(vi)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(iv)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(v)、(ix)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(vii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(viii)及び(xii)を有するもの;特徴(iii)、(vi)、(ix)及び(xii)を有するもの。
【0062】
本発明の基油組成物には、更に補助的耐摩耗剤、補助的洗浄剤、分散剤、摩擦改質剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、腐食防止剤、消泡剤、及びシール固定剤又はシール適合剤のような他の添加剤を含有してよい。
【0063】
便利に使用できる補助的耐摩耗剤としては、モリブデン含有化合物及び硼素含有化合物が挙げられる。
このようなモリブデン含有化合物の例としては、都合よくはジチオカルバミン酸モリブデン、例えばWO−A−98/26030に記載されるような3核モリブデン化合物、モリブデンの硫化物及びジチオ燐酸モリブデンが挙げられる。
【0064】
モリブデン含有耐摩耗剤は、本発明の潤滑油組成物に、潤滑油組成物の総重量に対し、便利には0.1〜3.0重量%の範囲の量で添加してよい。
便利に使用できる硼素含有化合物としては、硼酸エステル、硼化脂肪族アミン、硼化エポキシド、硼酸アルカリ金属(又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属混合物)塩及び硼化過剰塩基金属塩が挙げられる。
【0065】
硼素含有耐摩耗剤は、本発明の潤滑油組成物に、潤滑油組成物の総重量に対し、便利には0.1〜3.0重量%の範囲の量で添加してよい。
【0066】
本発明潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値は、ISO 3771で測定して、好ましくは5.0〜12.0mg.KOH/g、更に好ましくは6.0〜11.0mg.KOH/g、なお更に好ましくは6.0〜10.0mg.KOH/g、最も好ましくは6.0〜9.0mg.KOH/gの範囲である。
【0067】
本発明の潤滑油組成物は、更に灰分のない分散剤を、潤滑油組成物の総重量に対し、好ましくは5〜15重量%の範囲の量で混合、含有してよい。
【0068】
使用可能な分散剤の例としては、日本特許No.1367796、同1667140、同1302811、同1743435に記載のポリアルケニルスクシンイミド及びポリアルケニル琥珀酸エステルが挙げられる。好ましい分散剤としては、硼化スクシンイミドがある。
【0069】
便利に使用できる好ましい摩擦改質剤としては、脂肪酸アミド、更に好ましくは不飽和脂肪酸アミドがある。
本発明の潤滑油組成物における摩擦改質剤の全添加量は、潤滑油組成物の総重量に対し、便利には0.05〜0.2重量%である。
【0070】
本発明の潤滑油組成物に便利に使用できる粘度指数向上剤としては、日本特許No.954077、同1031507、同1468752、同1764494、同1751082に開示された、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン星形共重合体、及びポリメタクリレートベースの共重合体及びエチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。このような粘度指数向上剤は、本発明の潤滑油組成物の総重量に対し、便利には1〜20重量%の範囲の量で使用してよい。同様に、分子中に窒素原子及び酸素原子を有する共重合極性モノマーを含有する分散型粘度指数向上剤も組成物中に使用できる。
【0071】
日本特許No.1195542及び同1264056に開示されるようなポリメタクリレートは、本発明の潤滑油組成物に効果的な流動点降下剤として便利に使用できる。
更にアルケニル琥珀酸又はそのエステル部分のような化合物、ベンゾトリアゾールベースの化合物及びチオジアゾールベースの化合物は、本発明の潤滑油組成物に腐食防止剤として便利に使用できる。
【0072】
ポリシロキサン、ジメチルポリシクロヘキサン、ポリアクリレートのような化合物は、本発明の潤滑油組成物に消泡剤として便利に使用できる。
本発明の潤滑油組成物にシール固定剤又はシール適合剤として便利に使用できる化合物としては、例えば市販の芳香族エステルがある。
【0073】
本発明の潤滑油組成物は、1種以上の洗浄剤(A)、アミン系酸化防止剤及び/又はフェノール系酸化防止剤から選ばれた1種以上の酸化防止剤(B)、及び任意に、潤滑油に通常存在する1種以上の別の添加剤を、鉱物性及び/又は合成の基油と混合して、便利に製造できる。
【0074】
本発明の潤滑油組成物は、特にVW T4テスト(PV 1449)において、有利なTBN保留性を示す。
本発明の好ましい実施態様では、ISO 3771で測定して、テスト(VW T4テスト(PV 1449)TBN値の末端値が5.0mg.KOH/g以上である。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、本発明潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値は、ISO 3771で測定して、5.0〜12.0mg.KOH/gの範囲であり、またテスト(VW T4テスト(PV 1449)TBN値の末端値は5.0mg.KOH/g以上である。
【0076】
本発明の他の好ましい実施態様では、本発明潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値は、ISO 3771で測定して、6.0〜11.0mg.KOH/gの範囲であり、またテスト(VW T4テスト(PV 1449)TBN値の末端値は6.0mg.KOH/g以上である。
【0077】
本発明の更に他の好ましい実施態様では、本発明潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値は、ISO 3771で測定して、6.0〜10.0mg.KOH/gの範囲であり、またテスト(VW T4テスト(PV 1449)TBN値の末端値は6.0mg.KOH/g以上である。
【0078】
本発明においては、本発明潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値と、同じ潤滑油組成物のテスト(VW T4テスト(PV 1449)TBN値の末端値とのTBN変化(即ち、ΔTBNは、新しい油のTBN−テストTBNの末端値である)は、2.5mg.KOH/g未満、更に好ましくは2.0mg.KOH/g未満、最も好ましくは1.8mg.KOH/g未満であることが好ましい。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、テスト(VW T4テスト(PV 1449)Vk40値(即ち、40℃での動粘度)は200mm/s(cSt)未満である。
【0080】
したがって、本発明の好ましい実施態様では、TBNレベルをISO 3771で測定して、5.0mg.KOH/g以上に維持するため、特にVW T4テスト(PV 1449)に関し、内燃機関に前述の潤滑油組成物を使用する方法が提供される。
【0081】
本発明の他の実施態様では、前述の潤滑油組成物を内燃機関に適用することを特徴とする内燃機関の潤滑方法が提供される。
以下に本発明を実施例によって説明するが、これらの実施例は、いかなる方法でも本発明範囲の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0082】
配合物
第1表にテストした配合物を示す。
第1表の配合物は、従来の洗浄剤、消泡剤、分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤及びジチオ燐酸亜鉛添加剤を含有するが、これら添加剤は希釈油中に添加剤包装として存在する。
【0083】
使用したフェノール系酸化防止剤は、Ciba Specialty Chemicals Co.から商品名“Irganox L−135”で得られるもの(3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロピオン酸のC7〜C9分岐アルキルエステル)である。
使用したアミン系酸化防止剤は、Ciba Specialty Chemicals
Co.から商品名“Irganox L−57”で得られるものである。
【0084】
前記配合物で使用した基油は、“Royal Dutch/Shellグループの企業”から商品名“XHVI−5.2”及び“XHVI−8.2”で得られるグループIII基油の混合物である。第1表に記載した全ての配合物は、SAE 5W30粘度等級油である。
第2表にテストした配合物の物理的特性を示す。
【0085】
【表1】

【0086】
1:Lubrizolから商品名“Lz OS183698”で得られる商用添加剤包装で、TBNが各々30〜350mg.KOH/gのスルホネート洗浄剤及びフェノレート洗浄剤;分散剤;ジチオ燐酸亜鉛;及び希釈油を含有。
2:TBNが165mg.KOH/g及び280mg.KOH/gの混合サリチル酸カルシウム洗浄剤;分散剤;ジチオ燐酸亜鉛;及び希釈油を含有する従来の添加剤包装。
3:TBNが345mg.KOH/gのサリチル酸マグネシウム洗浄剤;分散剤;ジチオ燐酸亜鉛;及び希釈油を含有する従来の添加剤包装。
4: TBNが345mg.KOH/gのサリチル酸マグネシウム洗浄剤;分散剤;ジチオ燐酸亜鉛;及び希釈油を含有する従来の添加剤包装。
5:TBNが64mg.KOH/g及び165mg.KOH/gの混合サリチル酸カルシウム洗浄剤;分散剤;ジチオ燐酸亜鉛;及び希釈油を含有する従来の添加剤包装。
6:2種の異なる粘度指数向上剤の混合物。
7:XHVI−5.2とXHVI−8.2とのグループIII基油混合物。
【0087】
【表2】

【0088】
VW T4テスト(PV 1449)
上記例で使用した実験方法は、VW T4テスト(PV 1449)に対し公に得られるテスト規格に従い、このテスト規格に規定された標準テスト法に記載されたとおりであ
る。
【0089】
結果及び検討
第1表及び第2表に記載の配合物を前記テスト法を用いてテストした。得られた結果を第3表に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
*:40℃での動粘度
**:テスト限界(VW T4テスト(PV 1449))の末端値は<200(mm/s)。
***:テスト限界(VW T4テスト(PV 1449))の末端値は5.0mg.KOH/g 。
****:新しい油のTBN−テストTBNの末端値
【0092】
以上の結果から明らかなように、フェノール系酸化防止剤を含有する実施例1の配合物は、テストTBN結果の所要最小末端値5.0mg.KOH/gに適合しない比較例1の配合物に比べて、VW T4テスト(PV 1449)によるTBN保留性が向上した。
【0093】
更に、多量のフェノール系酸化防止剤も含有する実施例2〜5の配合物は、テストTBN限界のVW T4テスト(PV 1449)末端値5.0mg.KOH/gを意外にもパスした。
更に明らかなように、アミン系酸化防止剤を含有する実施例6の配合物も、比較例1の配合物に比べて、VW T4テスト(PV 1449)によるTBN保留性が向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TBNレベルをISO 3771で測定して、5.0mg.KOH/g以上に維持するため、VW T4テスト(PV 1449)において、内燃機関に潤滑油組成物を使用する方法であって、該潤滑油組成物は硫化灰分含有量が0.9重量%以下で燐含有量が0.04〜0.1重量%の範囲であり、かつ該潤滑油組成物は、基油と、
(A)フェノレート洗浄剤、サリチレート洗浄剤及びスルホネート洗浄剤から選ばれた1種以上の洗浄剤であって、該1種以上の洗浄剤は、各々独立に、ISO 3771で測定して、30〜350mg.KOH/gの範囲のTBN(全塩基価)を有する該洗浄剤と、
(B)アミン系酸化防止剤及び/又はフェノール系酸化防止剤よりなる群から選ばれた1種以上の酸化防止剤3.7重量%以上(潤滑油組成物の総重量に対し)と、
を含有することを特徴とする該使用法。
【請求項2】
前記潤滑油組成物中の前記1種以上の酸化防止剤がアミン系酸化防止剤である請求項1に記載の使用法。
【請求項3】
前記1種以上のアミン系酸化防止剤が、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン及びアルキル化α−ナフチルアミンから選ばれる請求項2に記載の使用法。
【請求項4】
前記潤滑油組成物中の前記1種以上の酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項1に記載の使用法。
【請求項5】
前記1種以上のフェノール系酸化防止剤が、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロピオン酸のC7〜C9分岐アルキルエステル、及び4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)から選ばれる請求項4に記載の使用法。
【請求項6】
前記潤滑油組成物の硫黄含有量が、潤滑油組成物の総重量に対し1.2重量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用法。
【請求項7】
前記潤滑油組成物の燐含有量が、潤滑油組成物の総重量に対し0.04〜0.09重量%の範囲である請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用法。
【請求項8】
前記潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値が、ISO 3771で測定して、5.0〜12.0mg.KOH/gの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用法。
【請求項9】
前記潤滑油組成物の新しい未使用サンプルのTBN値(ISO 3771で測定)と、同じ潤滑油組成物のテスト(VW T4テスト(PV 1449))TBN値(ISO 3771で測定)の末端値との変化が、2.5mg.KOH/g未満である請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用法。

【公開番号】特開2013−14778(P2013−14778A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204575(P2012−204575)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2007−519803(P2007−519803)の分割
【原出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】