説明

潤滑組成物

本発明は、基油および1つ以上の添加剤を含む潤滑組成物を提供し、この組成物は、2.25J/g℃を超える90℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有する。さらなる態様において、本発明は、摩擦低減、圧力粘度係数、およびエネルギー効率の1つ以上を改善する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサ油およびタービン油としての特定使用のための潤滑組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
実際には、種々の潤滑組成物が知られている。既知の潤滑組成物の欠点は、とりわけ潤滑組成物が過酷な条件下で、例えばコンプレッサおよびタービンにて使用される予定の場合、油寿命および潤滑性能が制限されることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記問題を最小限にすることである。
【0004】
本発明の別の目的は、代替潤滑組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つ以上の上記または他の目的が、基油および1つ以上の添加剤を含む潤滑組成物を提供することによる本発明によって達成でき、組成物は、90℃での熱容量(ASTM E1269に従う)が2.25J/g℃を超える。
【発明を実施するための形態】
【0006】
驚くべきことに、本発明に従う潤滑組成物は、長い油寿命を示すことを見出した。また、本発明に従う潤滑組成物は、改善された摩擦低減特性をもたらすことを見出した。
【0007】
本発明の別の利点は、本発明に従う潤滑組成物がより低い操作温度をもたらすことによって、組成物に対する熱応力を低下させ、適用中の操作寿命を延ばすことに寄与できることである。
【0008】
また、とりわけ本発明に従う潤滑組成物においてフィッシャー−トロプス誘導基油が基油として使用される場合、相対的に低いNoack揮発性値および相対的に迅速な放気性を得ることができる。
【0009】
本発明のなおさらなる利点は、所望の長い油寿命を維持しつつ、酸化防止剤の量を最小限にできることである。
【0010】
本発明に従う潤滑組成物において使用される基油に関して特に制限はなく、本発明に従って必要とされる熱容量を得ることができるならば、種々の従来の鉱油または合成油、ならびに天然エステル、例えば植物油が好都合に使用できる。本説明の趣旨上、「基油」という用語はまた、グリースベース原料も含むことを意味する。
【0011】
本発明に使用される基油は、1つ以上の鉱油および/または1つ以上の合成油の混合物を好都合に含むことができる。鉱油としては、液体石油およびパラフィン系、ナフタレン系もしくは混合パラフィン/ナフタレンタイプの溶媒処理もしくは酸処理された潤滑油が挙げられ、これらはさらに、水素化仕上げプロセスおよび/または脱ろうによって精製されてもよい。
【0012】
本発明の潤滑油組成物に使用するために好適な基油は、グループI、グループIIまたはグループIII基油、ポリαオレフィン、フィッシャー−トロプス誘導基油およびこれらの混合物である。
【0013】
本発明において「グループI」基油、「グループII」基油および「グループIII」基油とは、American Petroleum Institute(API)カテゴリI、IIおよびIIIの定義に従う潤滑油基油を意味する。こうしたAPIカテゴリは、API Publication 1509,第15版,Appendix E,2002年4月に定義される。
【0014】
フィッシャー−トロプス誘導基油は、当分野において既知である。「フィッシャー−トロプス誘導」とは、基油が、フィッシャー−トロプスプロセスの合成生成物である、またはフィッシャー−トロプスプロセスの合成生成物から誘導されることを意味する。フィッシャー−トロプス誘導基油はまた、GTL(ガス−ツー−リキッド)基油と称される場合がある。本発明の潤滑油組成物において基油として好都合に使用できる好適なフィッシャー−トロプス誘導基油は、例えば、EP0 776 959、EP0 668 342、WO97/21788、WO00/15736、WO00/14188、WO00/14187、WO00/14183、WO00/14179、WO00/08115、WO99/41332、EP1 029 029、WO01/18156およびWO01/57166に開示されるものである。
合成油としては、炭化水素油、例えばオレフィンオリゴマー(ポリαオレフィン基油;PAOを含む)、二塩基性酸エステル、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール(PAG)、アルキルナフタレンおよび脱ろうワックス状ラフィネートが挙げられる。Shell Groupから表示「XHVI」(商標)として販売されている合成炭化水素基油を使用するのが好都合な場合がある。
【0015】
US6 180 575号およびUS5 602 086号に記載されるように、ポリαオレフィン基油およびこれらの製造は当分野において周知である。本発明の潤滑組成物に使用できる好ましいポリαオレフィン基油は、C−C32αオレフィンから誘導され得る。前記ポリαオレフィンに特に好ましい供給原料は、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンおよび1−テトラデセンである。好ましくは、本発明の潤滑組成物に使用されるのが好都合な場合があるポリαオレフィンは、40℃の動粘度が3から300mm/s、より好ましくは4から100mm/sの範囲である。
【0016】
好ましくは、本発明に従う潤滑組成物に使用されるような基油は、ポリαオレフィン基油およびフィッシャー−トロプス誘導基油からなる群から選択される少なくとも1つの基油を含む。
【0017】
本発明の潤滑組成物に組み込まれる基油の総量は、潤滑組成物の総重量に対して、好ましくは60から99重量%の範囲の量、より好ましくは75から99重量%の範囲の量、および最も好ましくは75から98重量%の範囲の量である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態において、潤滑組成物はさらに、1つ以上の添加剤、例えば酸化防止剤、耐摩耗性添加剤、分散剤、洗剤、極圧添加剤、摩擦調整剤、粘度指数改善剤、流動点降下剤、金属不動態化剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、発泡防止剤およびシール適合性剤などを含む。
【0019】
当業者は上記およびその他の添加剤に精通しているので、ここでは、これらをさらに詳細には記載しない。
【0020】
好都合に使用される場合がある酸化防止剤としては、例えばWO2007/045629およびEP1 058 720B1に開示されるような、フェニル−ナフチルアミン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な「IRGANOX L−06」)およびジフェニルアミン(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な「IRGANOX L−57」)、およびフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。WO2007/045629およびEP1 058 720B1の教示は、本明細書に参考として組み込まれる。
【0021】
好都合に使用される場合がある耐摩耗性添加剤としては、ジアルキル−、ジアリール−および/またはアルキルアリール−ジチオリン酸亜鉛、モリブデン含有化合物、ホウ素含有化合物および無灰耐摩耗性添加剤、例えば置換または非置換チオリン酸、およびこれらの塩から選択される亜鉛ジチオリン酸塩化合物が挙げられる。
【0022】
こうしたモリブデン含有化合物の例としては、好都合なことには、モリブデンジチオカルバマート、三核モルブデン化合物、例えばWO98/26030に記載されるようなもの、モリブデンスルフィドおよびモリブデンジチオホスファートを挙げることができる。
【0023】
使用されるのが好都合な場合があるホウ素含有化合物としては、ボラートエステル、ホウ素化脂肪族アミン、ホウ素化エポキシド、アルカリ金属(または混合アルカリ金属またはアルカリ土類金属)ボラートおよびホウ素化過剰塩基(overbased)金属塩が挙げられる。
【0024】
化合物、例えばアルケニルコハク酸またはこれらのエステル部分、ベンゾトリアゾール系化合物およびチオジアゾール系化合物が、好都合なことに、本発明の潤滑油組成物にて腐食防止剤として使用されてもよい。
【0025】
化合物、例えばポリシロキサン、ジメチルポリシクロヘキサンおよびポリアクリラートは、発泡防止剤として、本発明の潤滑油組成物に使用されるのが好都合な場合がある。
【0026】
上述の添加剤は、通常、潤滑組成物の総重量に対して、0.01から12.5重量%の範囲の量、好ましくは0.05から10.0重量%の範囲の量、より好ましくは1.0から9.0重量%、および最も好ましくは1.0から5.0重量%の範囲の量で存在する。
【0027】
潤滑組成物はまたグリースの形態でも存在できるので、潤滑組成物中に含有されるような基油は、1つ以上の増粘剤、例えば金属性石鹸、有機物質または無機物質、例えばリチウム石鹸、リチウム錯体石鹸、テレフタル酸ナトリウム、尿素/ウレタン化合物および粘土を含有してもよく、これらとコンパウンドされてもよい。
【0028】
本発明の潤滑組成物は、1つ以上の基油、および場合により潤滑組成物に普通は存在する1つ以上の添加剤、例えば本明細書にて先に記載されたようなものを、鉱油および/または合成基油と混合することによって調製されるのが好都合な場合がある。
【0029】
本発明の好ましい実施形態に従って、潤滑組成物は、2.28J/g℃を超える、好ましくは2.30J/g℃を超える、より好ましくは2.32J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.35J/g℃を超える、90℃での熱容量を有する。通常、90℃での熱容量の上限は、3.0J/g℃未満、好ましくは2.70J/g℃未満である。
【0030】
さらに、組成物が2.06J/g℃を超える、好ましくは2.08J/g℃を超える、より好ましくは2.10J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.13J/g℃を超える40℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有するのが好ましい。通常、40℃での熱容量の上限は、3.0J/g℃未満、好ましくは2.70J/g℃未満である。
【0031】
また、組成物が、2.15J/g℃を超える、好ましくは2.17J/g℃を超える、より好ましくは2.20J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.24J/g℃を超える、60℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有するのが好ましい。通常、60℃での熱容量の上限は、3.0J/g℃未満、好ましくは2.70J/g℃未満である。
【0032】
さらに、組成物は、2から200mm/s、好ましくは7から100mm/s、より好ましくは7から90mm/sの40℃での動粘度(ASTM D445に従う)を有するのが好ましい。
【0033】
本発明のとりわけ好ましい実施形態によれば、組成物は、ポリαオレフィン基油およびフィッシャー−トロプス誘導基油またはこれらの組み合わせからなる群から選択される基油を、組成物の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは40重量%を超えて、より好ましくは50重量%を超えて、さらにより好ましくは60重量%を超えて、なおさらに好ましくは80重量%を超えて、特別好ましくは90重量%を超えて含む。
【0034】
好ましくは組成物は、組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%の1つ以上のフィッシャー−トロプス誘導基油を含む。フィッシャー−トロプス誘導基油の組み込みにより、Noack揮発性(即ち、相対的に低い)および放気性(即ち、相対的に迅速)についてより望ましい値が得られることを見出した。
【0035】
通常、潤滑基油は、組成物の総重量に基づいて99重量%未満、好ましくは98重量%未満の基油を含む。
【0036】
本発明のとりわけ好ましい実施形態に従って、組成物は、ISO46組成物である(これは、(ASTM D445に従って)40℃での目的動粘度の値が46であることを意味する)。好ましくはISO46組成物は、CEC−L−40に従うNoack揮発性が、最大5.0%、好ましくは3.0%未満、およびより好ましくは2.8%未満、および通常0.5%を超える。さらに、ISO46組成物は、IP313に従う放気性が最大2.0分、好ましくは1.5分未満、より好ましくは1.0分未満、および通常0.1分を超えるのが好ましい。
【0037】
別の態様において、本発明は、摩擦低減、圧力粘度係数、エネルギー効率、Noack揮発性および放気性特性の1つ以上を改善する方法を提供し、この方法は、本発明に従う潤滑組成物を用いて潤滑させる工程を含む。
【0038】
本発明はまた、摩擦低減、圧力粘度係数、エネルギー効率、Noack揮発性および放気性特性の1つ以上を改善するための、本発明に従う潤滑組成物の使用を提供する。
【0039】
なおさらなる態様において、本発明は、コンプレッサ油、タービン油、循環油、油圧油、ギア油、伝熱油、電気油、冷凍機油、エンジン油、緩衝器液、およびプロセス油の1つ以上としての、本発明に従う潤滑組成物の使用を提供する。
【0040】
本発明は、次の実施例を参照して以下に記載されるが、これらの実施例はいかなる方法によっても本発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0041】
潤滑油組成物
表1は、試験された潤滑油組成物の組成を示す;組成物の量は、完全に配合された配合物の総重量に基づいて、重量%で与えられる。
【0042】
試験された潤滑組成物のすべては、ISO46コンプレッサ油組成物として配合されたが、これは40℃での目的粘度値が46であることを意味する(ASTM D445に従う)。試験された潤滑組成物のすべては、基油および添加剤パッケージの組み合わせを含有したが、この添加剤パッケージは、すべての試験組成物において実質的に同一であった。
【0043】
添加剤パッケージは、酸化防止剤、無灰極圧添加剤および耐摩耗性添加剤、乳化破壊剤、腐食防止剤および消泡剤を含む添加剤の組み合わせを含有していた。
【0044】
実施例1に使用される「基油1」は、例えばIneos(商標名「Durasyn D168」として)から入手可能なPAO8(100℃で8cSt、ASTM D445)基油を含有した。
【0045】
実施例2に使用される「基油2」は、約8cSt(mm−1)の100℃での動粘度(ASTM D445)を有するフィッシャー−トロプス誘導基油(「GTL8」)を含有した。このGTL8基油は、WO−A−02/070631に記載されるプロセスによって好都合に製造でき、この技術は本明細書に参考として組み込まれる。
【0046】
比較例1に使用される「基油3」は、約7cStの100℃での動粘度(ASTM D445)を有する市販のグループI基油を含有した。
【0047】
比較例2に使用される「基油4」は、例えばMotiva(商標名「Star4」)から入手可能なグループII基油のブレンドを含有したが、このブレンドは、約7の100℃での動粘度(ASTM D445)を有する。
【0048】
実施例1から2および比較例1から2の組成物は、基油を添加剤パッケージと単に混合することによって得られた。
【0049】
【表1】

【0050】
比熱容量試験
本発明の比熱容量特性を明示するために、種々の温度での標準試験ASTM E1269に従う測定を行った。
【0051】
ASTM E1269は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて比熱容量を測定する。
【0052】
測定された比熱容量(J/g℃単位)を以下の表2に示す。表2はまた、Noack揮発性(重量損失%、m/m;CEC−L−40に従う)および放気性(分単位;IP313に従う)を示す。
【0053】
【表2】

【0054】
摩擦低減特性
本発明の摩擦特性を明示するために、摩擦係数測定は、PCS Instruments(英国)から入手可能な小型牽引機(MTM、モデル2)にて行った。
【0055】
試験において、実施例1および2ならびに比較例1および2の組成物(表1を参照)の摩擦特性は、上記小型牽引機を用いて試験した。
【0056】
試験は、スチールディスク上で転がり、滑るスチールボールを用いた。標準構成において、ボールは、ディスク面に対して荷重され、ボールおよびディスクを独立に駆動して混合転がり/滑り接触を生じさせた。ボールとディスクとの間の摩擦力は、力変換器によって測定した。追加のセンサは、適用された荷重、潤滑剤温度および(場合により)試料間の電気接触抵抗およびこれらの相対摩耗を測定した。
【0057】
試験の前に、ボールおよびディスクを、90℃に加熱した潤滑組成物に含浸した。続いて摩擦係数測定を、次の試験条件下で運転中のStribeck曲線(摩擦対速度)により行った:
荷重:71N
最大Hertzian圧力:1.25GPa
潤滑剤温度:90℃
ボール半径:0.95cm
滑りと転がり比:10%。
【0058】
滑りと転がり比(SRR)は、滑り速度(Uball−Udisc)とエントレインメント速度(Uball+Udisc)/2の比として定義した。
【0059】
測定される摩擦係数を以下の表3に示す。データは1000mm/sの平均速度にけるものを選択したが、これはコンプレッサに見出される通常の潤滑条件の代表的なものであると見なされるからである。
【0060】
【表3】

【0061】
圧力粘度試験
圧力粘度係数は、PCS Instruments Ltd(英国)から入手可能な、光学ボール・オン・プレートテスト装備を用いて測定した。
【0062】
試験では、光干渉を使用して、転がる炭化タングステンボールと、コーティングされた回転グラスプレートとの間の油膜厚を直接測定する。試験条件は、90℃で、508MPaのピーク圧力であった。
【0063】
上記試験を用いる比較例1および2の組成物に関する上記試験圧力−粘度係数(α)値は15.7を超えることがわかった。実施例2のα値は15.0未満であった。
【0064】
議論
表2からわかるように、実施例1および2の比熱容量値は、比較例1および2と比較した場合に顕著に増大しており、結果として良好な冷却作用をもたらし、油に対する熱応力を低下させて適用時の寿命を延ばす。フィッシャー−トロプス誘導基油を含有する実施例2の組成物は、驚くべきことに、PAOを含有する実施例1の組成物より優れていた。
【0065】
表2はさらに、実施例1および2の組成物が、比較例1および2と比較した場合に、改善されたNoack揮発性および放気性を示したことを示す。
【0066】
また、実施例2の組成物は、PAOを含有する実施例1の組成物より優れていた。
【0067】
さらに、実施例1および2の組成物は、比較例1および2と比較した場合に、改善された摩擦低減特性(表3を参照)を示した。これは、エネルギー消費に利益をもたらす場合がある。
【0068】
低い圧力粘度−係数(α)値が、本発明に従う組成物に関して得られたこともわかった。このことにより、油が荷重下にある場合は、従来の潤滑剤と比較した場合、粘度の上昇がより小さくなる。これは、低い撹拌損失および良好なエネルギー効率をもたらす。
【0069】
上記では、本発明に従う組成物は、改善された冷却作用だけでなく、同時に所望の摩擦低減特性を示すことを示す。この結果として本発明に従う組成物の使用は、一方で油寿命の増大(操作温度が低いことによる熱応力の低減の観点から)をもたらし、他方ではエネルギー消費における利益をもたらし得る。
【0070】
さらに、本発明に従う組成物(および特にフィッシャー−トロプス誘導基油を含有するもの)は、低い摩擦係数と同時に、低い圧力粘度係数との両方を示す;累積作用は、潤滑剤のエネルギー効率を、単独でのこれらの作用よりも顕著に増大させることを見出した。
【0071】
また、摩擦係数、圧力粘度係数、エネルギー効率、Noack揮発性および放気性の1つ以上の特性を改善する際に、PAOに比較した場合でさえ、フィッシャー−トロプス誘導基油を用いるのが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基油および1つ以上の添加剤を含む潤滑組成物であって、この組成物が、2.25J/g℃を超える90℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有する、組成物。
【請求項2】
組成物が、2.28J/g℃を超える、好ましくは2.30J/g℃を超える、より好ましくは2.32J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.35J/g℃を超える、90℃での熱容量を有する、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
組成物が、2.06J/g℃を超える、好ましくは2.08J/g℃を超える、より好ましくは2.10J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.13J/g℃を超える、40℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有する、請求項1または2に記載の潤滑組成物。
【請求項4】
組成物が、2.15J/g℃を超える、好ましくは2.17J/g℃を超える、より好ましくは2.20J/g℃を超える、さらにより好ましくは2.24J/g℃を超える、60℃での熱容量(ASTM E1269に従う)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項5】
組成物が、2から200mm/s、好ましくは7から100mm/s、より好ましくは7から90mm/sの40℃での動粘度(ASTM D445に従う)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項6】
組成物が、ポリαオレフィン基油およびフィッシャー−トロプス誘導基油またはこれらの組み合わせからなる群から選択される基油を、組成物の総重量に基づいて、少なくとも30重量%、好ましくは40重量%を超えて、さらにより好ましくは50重量%を超えて含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項7】
組成物がISO46組成物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項8】
最大5.0%のCEC−L−40に従うNoack揮発性を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項9】
最大2.0分のIP313に従う放気性を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の潤滑組成物。
【請求項10】
摩擦係数、圧力粘度係数、エネルギー効率、Noack揮発性および放気性特性の1つ以上を改善する方法であって、この方法が、請求項1から9のいずれか一項に記載の潤滑組成物で潤滑する工程を含む、方法。
【請求項11】
摩擦係数、圧力粘度係数、エネルギー効率、Noack揮発性および放気性特性の1つ以上を改善するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の潤滑組成物の使用。
【請求項12】
コンプレッサ油、タービン油、循環油、油圧油、ギア油、伝熱油、電気油、冷凍機油、エンジン油、緩衝器液、およびプロセス油の1つ以上としての請求項1から9のいずれか一項に記載の潤滑組成物の使用。

【公表番号】特表2011−515521(P2011−515521A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500184(P2011−500184)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053103
【国際公開番号】WO2009/115502
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】