説明

澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法およびそれにより得られる澱粉誘導体含有水系エマルジョン

【課題】耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた澱粉誘導体を含有し、かつ前記澱粉誘導体が安定に分散した、低コストで、環境負荷低減への寄与の大きい澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法を提供する。
【解決手段】澱粉誘導体を含有する水系エマルジョンの製造方法であって、澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する変性澱粉生成工程と、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する乳化重合工程とを含み、前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法およびそれにより得られる澱粉誘導体含有水系エマルジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の観点から、合成樹脂の水系化が進められている。例えば、ラジカル重合性モノマーを乳化重合して得られる水系エマルジョンは、環境負荷が少ないことから、塗料、接着剤、インク、紙等の各種分野で利用されている。
【0003】
また、バイオマス材料は、光合成によって作り出される有機性資源であり、持続的に再生できる資源である。このため、限りある化石資源をバイオマス材料で代替することは、大気中の二酸化炭素(CO)削減につながり、地球温暖化の防止と環境循環型社会の形成に寄与する。代表的なバイオマス材料の一つとして、澱粉があげられる。澱粉は、供給量が豊富であること、安価であること、加工性に優れること、生分解性を有すること等から、利用価値が高い。
【0004】
このような観点から、澱粉の存在下、所定のモノマーを乳化重合して得られる共重合体ラテックス(水系エマルジョン)が提案されている(特許文献1)。この共重合体ラテックスは、耐溶剤性、耐ブロッキング性に優れるとともに、取り扱い性、塗工作業性も良好であり、剥離紙用アンダーコート形成材料に好適である。しかし、この共重合ラテックスは、耐水性、耐溶剤性に対する要求が高くない製紙用途に使用することに問題はないが、高い耐水性、耐溶剤性が要求される用途においては、澱粉の配合率を低くする必要があり、環境負荷低減への寄与が小さくなる。
【0005】
また、レドックス開始剤を用い、澱粉に所定のモノマーをグラフト重合させたポリマーを含有するポリマー分散体が提案されている(特許文献2、3および非特許文献1)。前記ポリマーでは、レドックス開始剤の使用によりグラフト化が進み、物性が向上する。しかし、前記ポリマー分散体には、開始剤の添加作業が煩雑になる、金属イオンに起因した着色を生じる、グラフト化率の調節が困難である等の問題がある。
【0006】
前記金属イオンの使用を回避するものとして、過硫酸塩を開始剤として用いた澱粉安定化ポリマーエマルジョンを生成し得る組成物が提案されている(特許文献4)。しかし、前記組成物は、グラフト化効率が低い。このため、前記組成物から生成されるポリマーを耐水性や耐溶剤性が要求される用途に使用することは難しい。
【0007】
そして、澱粉をマレイン酸半エステルに変えた後、これに所定のモノマーをグラフト重合させた共重合体が提案されている(特許文献5および6)。しかし、前記共重合体は、乳化重合で製造されたものではない。このため、前記共重合体をエマルジョンとした場合、凝集、相分離またはゲル化を起こすおそれがある。
【0008】
さらに、高度にエステル化した(エステル置換度が高い)変性澱粉とアクリルモノマーとの共重合体を含有する水系エマルジョンが提案されている(特許文献7)。前記共重合体は、疎水化された変性澱粉を用いているため、耐水性に優れる。しかし、澱粉の高度エステル化は非水有機溶媒中での反応が必須なことから、前記水系エマルジョンには、前記変性澱粉の製造過程における環境負荷が大きく、コストも高いという問題がある。また、前記水系エマルジョンでは、前記変性澱粉と前記アクリルモノマーとの相溶性が、その性能やハンドリング性に影響する。このため、前記水性エマルジョンでは、変性澱粉の配合率が限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−157518号公報
【特許文献2】特表2005−528478号公報
【特許文献3】特表2008−545027号公報
【特許文献4】特表2002−513824号公報
【特許文献5】特開昭54−120698号公報
【特許文献6】特開平10−259590号公報
【特許文献7】特開2006−52338号公報
【非特許文献1】Journal of Applied Polymer Science, Vol. 47, 1765−1772 (1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた澱粉誘導体を含有し、かつ前記澱粉誘導体が安定に分散した、低コストで、環境負荷低減への寄与の大きい澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法およびそれにより得られる澱粉誘導体含有水系エマルジョンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法は、
澱粉誘導体を含有する水系エマルジョンの製造方法であって、
澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する変性澱粉生成工程と、
前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する乳化重合工程とを含み、
前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲であることを特徴とする。
【0012】
本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンは、前記本発明の製造方法により製造された澱粉誘導体含有水系エマルジョンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、澱粉にラジカル重合性官能基を導入して変性澱粉を得た後、ラジカル重合性モノマーと水系溶媒中で乳化重合することで、澱粉誘導体が安定に分散した澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得ることができる。ここで、前記ラジカル重合性官能基への置換度を0.01以上とすることで、前記乳化重合時に前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとが強固に結ばれた共有結合が形成されるため、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた澱粉誘導体を形成することができる。また、前記置換度を1以下とすることで、前記澱粉誘導体における澱粉配合率が高くなり、低コストで、環境負荷低減への寄与の大きい澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「水系溶媒」とは、水または水を含む混合溶媒を意味し、水であることが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法では、前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換してもよい。また、本発明の製造方法では、前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換してもよい。
【0016】
本発明の製造方法において、前記変性澱粉生成工程を、乾式反応で実施してもよい。また、本発明の製造方法において、前記変性澱粉生成工程を、水系溶媒を用いた湿式反応で実施してもよい。
【0017】
本発明の製造方法において、前記ラジカル重合性官能基は、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方であることが好ましい。
【0018】
本発明の製造方法において、前記変性澱粉の重量平均分子量は、300,000以下であることが好ましい。これにより、前記澱粉誘導体の分散がより安定した澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得ることができる。前記変性澱粉の重量平均分子量は、より好ましくは、5,000〜200,000の範囲であり、さらに好ましくは、5,000〜150,000の範囲である。前記重量平均分子量は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。
【0019】
本発明の製造方法では、前記乳化重合工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比が、A:B=5:95〜30:70の範囲であることが好ましい。前記比(A:B)は、より好ましくは、A:B=5:95〜25:75の範囲であり、さらに好ましくは、A:B=10:90〜20:80の範囲である。
【0020】
本発明の製造方法では、前記乳化重合工程において、乳化剤を用いてもよい。
【0021】
本発明の澱粉誘導体水系エマルジョンの用途は、特に制限されず、例えば、塗料、接着剤等が挙げられる。
【0022】
(1)澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法の各工程
つぎに、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法について、例を挙げて説明する。本発明の製造方法は、前述のとおり、変性澱粉生成工程と、乳化重合工程とを含む。
【0023】
(1−1)変性澱粉生成工程
まず、澱粉を準備する。本工程に用いる澱粉としては、例えば、とうもろこし澱粉(コーンスターチ);ハイアミロースコーンスターチ;ワキシーコーンスターチ;サゴ澱粉;緑豆澱粉;小麦澱粉;米澱粉;馬鈴薯澱粉;甘藷澱粉:タピオカ澱粉:前記各種澱粉をエステル化、エーテル化等した化工澱粉等が挙げられる。前記澱粉は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
前記澱粉の重量平均分子量は、前述の変性澱粉の重量平均分子量に応じて適宜設定すればよく、特に制限されない。前記重量平均分子量の調整方法としては、例えば、酸加水分解、酸化分解、酵素分解等の従来公知の方法を採用できる。
【0025】
つぎに、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する。前記ラジカル重合性官能基は、ラジカル重合性を有するものであればいかなる基であってもよく、例えば、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリル基含有エステル、アリル基含有エーテル、シトラコン酸エステル、フマル酸エステル、桂皮酸エステル等が挙げられる。前記澱粉への導入の容易さ、コスト等の点を考慮すると、前記ラジカル重合性官能基は、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方であることが好ましい。
【0026】
つぎに、前記変性澱粉を生成する方法について、例を挙げて説明する。
【0027】
前記変性澱粉を生成する第1の方法は、水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法である。前記水系溶媒は、水に限られず、必要に応じて水に塩やアルコール等を必要量配合した水溶液を用いてもよい。具体的には、前記澱粉を弱アルカリ性の水系溶媒に懸濁させた後、酸無水物を添加し反応させる。この第1の方法に用い得る酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。前記酸無水物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。この第1の方法では、反応温度を、20〜80℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。
【0028】
つぎに、得られた反応生成物(変性澱粉)を、水洗、ろ過した後、乾燥させる。
【0029】
前記変性澱粉を生成する第2の方法は、非水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法である。具体的には、前記澱粉を弱アルカリ性の非水系溶媒に懸濁または溶解した後、酸無水物を添加し反応させる。この第2の方法に用い得る酸無水物は、前記第1の方法と同様である。前記非水系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ピリジン等が挙げられる。前記非水系溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。この第2の方法では、反応温度を、20〜100℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。
【0030】
つぎに、得られた反応生成物(変性澱粉)を、エタノールによる再沈殿の後、ろ過し、乾燥させる。
【0031】
前記変性澱粉を生成する第3の方法は、乾式反応で、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法である。具体的には、前記澱粉と前記酸とを粉体混合し、乾式反応させる。この第3の方法に用い得る酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、フマル酸、桂皮酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。この第3の方法では、反応温度を、80〜180℃の範囲とすることが好ましく、反応時間を、20〜300分の範囲とすることが好ましい。この乾式反応は、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法に加え若しくは代えて、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加する方法であってもよい。この第3の方法によれば、より低コストで変性澱粉を得ることができる。
【0032】
本工程は、触媒を添加して実施してもよい。前記触媒としては、例えば、周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシド;有機物層間転移触媒;アミノ化合物等が挙げられる。前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物;酢酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属有機酸塩;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、p−トルエンスルホン酸バリウム等のアルカリ土類金属有機酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、亜鉛酸カリウム等の無機酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛等の両性金属水酸化物等が挙げられる。前記有機物層間転移触媒としては、例えば、トリメチルプロピルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム化合物等が挙げられる。前記アミノ化合物としては、例えば、ジメチルアミノピリジン、ジエチルアミノ酢酸等が挙げられる。これらの中でも、反応効率およびコスト等の観点から、前記周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物、鉱酸塩、炭酸塩、有機化合物若しくはアルカリ金属アルコキシドが、特に好ましい。前記触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記触媒を用いる場合において、前記触媒を添加するタイミングおよび方法は、特に制限されない。
【0033】
前記変性澱粉を生成する方法は、前記第1〜第3の方法に限定されず、例えば、非水系溶媒を用いた湿式反応で、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合する方法、非水系溶媒を用いた湿式反応または乾式反応で、前記澱粉と酸クロライド等の酸ハロゲン化物またはグリシジルエーテルとを反応させる方法、エクストルーダーを用いて行う乾式反応等、いかなる方法であってもよい。
【0034】
前記変性澱粉の重量平均分子量は、前述のとおりである。
【0035】
前述のとおり、前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度は、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲である。前記置換度は、好ましくは、0.02〜0.8の範囲であり、より好ましくは、0.05〜0.5の範囲である。例えば、前記置換度を、1以下、0.8以下または0.5以下等と低くすることで、(I)後述の乳化重合工程における前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとの共有結合が過剰とならず、高性能の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得ることができる、(II)例えば、前記ラジカル重合性官能基がマレイン酸エステル等のカルボキシル基を含有するものであった場合に、親水性が高くなりすぎ耐水性が低下するのを防止できる、(III)前記変性澱粉中の澱粉含有率を高くでき、CO削減等の環境負荷低減への寄与が大きくなる等の利点がある。
【0036】
(2)乳化重合工程
つぎに、前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する。前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン誘導体、酢酸ビニル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類等が挙げられる。
【0037】
前記アクリル酸エステル類としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸n−へキシル、アクリル酸イソへキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸イソヘプチル、アクリル酸2−エチルへキシル(2EHA)、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。前記メタクリル酸エステル類としては、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル(BMA)、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸イソへキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸イソヘプチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0038】
前記スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。
【0039】
前記酢酸ビニル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミスチリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル、バーサテック酸ビニル等が挙げられる。
【0040】
前記アクリルアミド類としては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−プロポキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。前記メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−n−プロポキシメチルメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0041】
前記アクリロニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、α−メチルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、α−メトキシメチルアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−エトキシメチルアクリロニトリル、α−ブトキシメチルアクリロニトリル、α−フェノキシメチルアクリロニトリル等が挙げられる。前記メタクリロニトリル類としては、例えば、メタクリロニトリル、α−メチルメタクリロニトリル、α−エチルメタクリロニトリル、α−メトキシメチルメタクリロニトリル、α−クロロメチルメタクリロニトリル、α−エトキシメチルメタクリロニトリル、α−ブトキシメチルメタクリロニトリル、α−フェノキシメチルメタクリロニトリル等が挙げられる。
【0042】
前記ラジカル重合性モノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比は、前述のとおりである。
【0043】
つぎに、前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する方法について、例を挙げて説明する。
【0044】
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する第1の方法は、前記変性澱粉の水溶液に前記ラジカル重合性モノマーを滴下する方法である。具体的には、まず、必要に応じて加熱(例えば、95℃で30分間)しながら、前記変性澱粉を水に溶解する。ついで、アルゴンガスで系内の酸素を置換した後、前記変性澱粉の水溶液に乳化剤および開始剤を添加する。つぎに、20〜90℃のオイルバス中で撹拌しながら前記ラジカル重合性モノマーを60〜120分かけて滴下する。その後、20〜90℃でさらに60〜300分撹拌し、乳化重合する。
【0045】
この第1の方法に用い得る乳化剤としては、例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、反応性乳化剤等が挙げられる。前記アニオン系乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミンまたは脂肪族アミドの硫酸塩、二塩基性脂肪酸のスルホン酸塩、脂肪族アミドのスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンコハク酸塩、ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル塩等が挙げられる。具体的には、例えば、ラウリン硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。前記ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記反応性乳化剤としては、1個以上のエチレン性不飽和結合を有する反応性乳化剤等が挙げられる。前記乳化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記乳化剤の添加量は、前記乳化剤の種類、前記ラジカル重合性モノマーの種類や組成等に応じて適宜設定すればよく、特に制限されないが、例えば、前記ラジカル重合性モノマー全量に対して、0.5〜10重量%の範囲である。
【0046】
この第1の方法に用い得る開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、クメンハイドロパーオキシド、イソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、パラメンタンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド等の過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビスイソカプロニトリル、2,2’−アゾビス(フェニルイソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;硫酸二セシウムアンモニウム;レドックス系開始剤等が挙げられる。前記レドックス系開始剤における還元剤としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、グルコース、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸やその塩等が挙げられる。前記開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記開始剤の添加量は、特に限定されないが、例えば、前記ラジカル重合性モノマー全量に対して、0.03〜3重量%の範囲である。
【0047】
本工程においては、前記乳化剤および前記開始剤に加え、従来公知の添加剤を添加してもよい。前記添加剤としては、例えば、重合促進剤、連鎖移動剤、水溶性高分子化合物、アクリル酸系またはメタクリル酸系等の各種エマルジョン、消泡剤、防腐剤、防カビ剤、レベリング剤、皮膜形成助剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、凍結防止剤等が挙げられる。前記添加剤を用いる場合において、前記添加剤を添加するタイミングおよび方法は、特に制限されない。
【0048】
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する第2の方法は、前記ラジカル重合性モノマーを乳化剤および開始剤の一部または全部を含む前記変性澱粉の水溶液の一部または全部でプレエマルジョン化したものを、乳化剤および開始剤を含む前記変性澱粉の水溶液の残りまたは水中に滴下する方法である。これ以外は、この第2の方法は、前記第1の方法と同様である。
【0049】
前記変性澱粉と前記ラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する方法は、前記第1および第2の方法に限定されず、例えば、前記変性澱粉の水溶液を、乳化剤を添加するのに加え若しくは代えて、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー、高速撹拌機等を用いて乳化する方法等、いかなる方法であってもよい。
【0050】
前記変性澱粉生成工程および前記乳化重合工程は、同一装置内で連続的に行ってもよいし、異なる装置を用いて行ってもよい。
【0051】
(3)澱粉誘導体含有水系エマルジョン
前述のとおり、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンは、前記本発明の製造方法により製造された澱粉誘導体含有水系エマルジョンである。
【0052】
(4)用途
前述のとおり、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの用途は、特に制限されず、例えば、塗料、接着剤等が挙げられる。
【0053】
(4−1)塗料
つぎに、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを用いた塗料について、例を挙げて説明する。前記塗料は、例えば、本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンそのものであってもよいし、さらに硬化剤を含んでもよい。
【0054】
前記硬化剤としては、特に制限されず、例えば、前記澱粉誘導体の残存水酸基、または前記変性澱粉生成工程および前記乳化重合工程の少なくとも一方の工程で導入された官能基と相補的に反応する官能基(例えば、カルボジイミド基、イソシアネート基、酸無水基、酸基、アミノ基、アミド基、イミノ基等)を有するもの等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリカルボジイミド、イソシアネート化合物、アミノ樹脂等を用いることができる。
【0055】
前記ポリカルボジイミドは、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を有するポリマーであり、登録商標「カルボジライト」として、日清紡ケミカル(株)から市販されている。
【0056】
前記イソシアネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよいし、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物であってもよい。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;これらの誘導体および重合体等が挙げられる。前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−750、−800、DN−950、−970、15−455」、バイエル社製の商品名「ディスモジュールL、N、HL、N3390」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートD−102、−202、−110、−123N」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートEH、L、HL、203」、旭化成(株)製の商品名「デュラネート24A−90CX」等が挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、前記フリーのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を、オキシム、フェノール、アルコール、ラクタム、マロン酸エステル、メルカプタン等の従来公知のブロック化剤でブロックしたものが挙げられる。前記ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、例えば、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の商品名「バーノックD−550」、武田薬品工業(株)製の商品名「タケネートB−815−N」、ヘキスト社製の商品名「アディトールVXL−80」、日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネート2507」等が挙げられる。
【0057】
前記アミノ樹脂としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、尿素、ジシアンジアミド等と、ホルムアルデヒドとの縮合または共縮合によって得られるものが挙げられる。
【0058】
前記硬化剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0059】
前記硬化剤の配合割合は、特に制限されず、例えば、前記澱粉誘導体における残存水酸基、または前記変性澱粉生成工程および前記乳化重合工程の少なくとも一方の工程で導入された官能基1個あたり、硬化剤中の官能基が平均0.001〜2個の範囲であり、好ましくは、平均0.01〜1.5個の範囲である。
【0060】
前記塗料は、必要に応じて、さらに、従来公知の着色剤を含んでもよい。前記着色剤としては、例えば、有機顔料、天然色素、無機顔料等が挙げられる。
【0061】
前記有機顔料としては、例えば、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色205号(リソールレッド)、赤色206号(リソールレッドCA)、赤色207号(リソールレッドBA)、赤色208号(リソールレッドSR)、赤色219号(ブリリアントレーキレッドR)、赤色220号(ディープマルーン)、赤色221号(トルイジンレッド)、赤色228号(パーマトンレッド)、だいだい色203号(パーマネントオレンジ)、だいだい色204号(ペンチジンオレンジG)、黄色205号(ペンチジンイエローG)、赤色404号(ブリリアントファストスカーレット)、赤色405号(パーマネントレッドF5R)、だいだい色401号(ハンザオレンジ)、黄色401号(ハンザイエロー)、青色404号(フタロシアニンブルー)等が挙げられる。
【0062】
前記天然色素としては、例えば、カルチノイド系色素、フラボノイド系色素、フラビン系色素、キノン系色素、ポルフィリン系色素、ジケトン系色素、ベタシアニジン系色素等が挙げられる。前記カルチノイド系色素としては、例えば、カロチン、カロチナール、カプサンチン、リコピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、アナトー等が挙げられる。前記フラボノイド系色素としては、例えば、シソニン、ラファニン、エノシアニン等のアントシアニジン類;サフロールイエロー、ベニバナ等のカルコン類;ルチン、クエルセチン等のフラボノール類;カカオ色素等のフラボン類等が挙げられる。前記フラビン系色素としては、例えば、リボフラビン等が挙げられる。前記キノン系色素としては、例えば、ラッカイン酸、カルミン酸(コチニール)、ケルメス酸、アリザリン等のアントラキノン類;シコニン、アルカニン、エキノクローム等のナフトキノン類等が挙げられる。前記ポルフィリン系色素としては、例えば、クロロフィル、血色素等が挙げられる。前記ジケトン系色素としては、例えば、クルクミン(ターメリック)等が挙げられる。前記ベタシアニジン系色素としては、例えば、ベタニン等が挙げられる。
【0063】
前記無機顔料としては、例えば、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン等が挙げられる。
【0064】
前記着色剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0065】
前記着色剤の配合割合は、特に制限されないが、例えば、前記本発明の澱粉誘導体含有エマルジョン100重量部に対して、0.001〜400重量部の範囲であり、好ましくは、0.01〜200重量部の範囲である。
【0066】
前記塗料は、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、体質顔料、メタリック顔料、着色パール顔料、流動性調整剤、ハジキ防止剤、垂れ止め防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、艶消し剤、艶出し剤、防腐剤、硬化促進剤、硬化触媒、擦り傷防止剤、消泡剤、ブロック剤等が挙げられる。
【0067】
前記塗料は、例えば、前記本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンに、前記硬化剤と必要に応じて前記着色剤等の他の添加成分とを溶解若しくは分散することで製造できる。前記塗料は、例えば、ローラー塗装、刷毛塗装、浸漬塗装、スプレー塗装(例えば、非静電塗装、静電塗装等)、カーテンフロー塗装等により塗装することができる。
【0068】
前記塗料は、例えば、熱風乾燥機、赤外乾燥機、遠赤外乾燥機等を用いて熱硬化させることができる。塗膜の厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、2〜150μmの範囲である。
【0069】
前記塗料が塗装される被塗物としては、特に制限されないが、例えば、プラスチック、金属、ガラス、陶器、木材、植物、岩、砂等が挙げられる。
【実施例】
【0070】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。また、各実施例および比較例における各種特性および物性の測定および評価は、下記の方法により実施した。
【0071】
(変性澱粉のラジカル重合性官能基置換度)
変性澱粉を90%エタノール溶液に懸濁し、塩酸処理してラジカル重合性官能基(マレイン酸エステルまたはイタコン酸エステル)のカルボキシル基を酸型とした。その後、前記溶液をガラス漏斗で吸引ろ過し、90%エタノール溶液で数回洗浄することで、残留する塩酸を完全に除去した。その後、前記塩酸処理した変性澱粉を所定量用い、90℃に加温しながら水に完全に溶解した後、水酸化ナトリウム(NaOH)にて中和滴定することでカルボキシル基含量を定量し、これを用いてラジカル重合性官能基置換度を算出した。
【0072】
(水系エマルジョンの不揮発分)
加熱式水分計を用いて200℃における重量変化が0.1%/分となった時点で測定した重量と、測定開始前の水系エマルジョンの重量とから、不揮発分を算出した。
【0073】
(水系エマルジョンの凝集性)
乳化重合工程における状態変化から、下記の評価基準に従って目視評価した。
【0074】
凝集性評価 評価基準
A:凝集が見られなかった。
B:凝集により増粘したが、実用上問題ないレベルであった。
【0075】
(水系エマルジョンの分散安定性)
水系エマルジョンを室温(25℃)で2週間保管した後の状態変化から、下記の評価基準に従って目視評価した。
【0076】
分散安定性評価 評価基準
A:分散状態に変化がなかった。
B:相分離またはゲル化したが、実用上問題ないレベルであった。
【0077】
(水系エマルジョンの粘度)
水系エマルジョンの粘度は、EM型粘度計を用いて25℃、50rpmの条件で測定した。
【0078】
(フィルムの作製)
水系エマルジョン約1.5gをテフロン(登録商標)製の型(幅17mm×長さ50mm×高さ1mm)に流し込み、30℃で48時間乾燥させてフィルムを作製した。実施例8および9においては、澱粉誘導体含有水系エマルジョン約2gをトリエチルアミンにより中和した後、硬化剤(カルボジライト(登録商標)V−02−L2、日清紡ケミカル(株)製)を添加して十分に撹拌した後、前記型に流し込み、30℃で4日間乾燥させてフィルムを作製した。実施例8および9における硬化剤配合量は、下記表2に示すとおりである。
【0079】
(フィルムのトルエン溶出率)
前記フィルムを100℃で30分間乾燥させてから重量測定を行った後、乾燥後の前記フィルムを過剰量のトルエンに24時間浸漬した。その後、前記フィルムをトルエンから取り出し、100℃で60分間乾燥させることでトルエンを揮発させた後、再度重量測定を行い、元のフィルム重量に対する重量減少分からトルエン溶出率を算出した。
【0080】
(フィルムのラジカル重合性モノマー保持率)
前記トルエンにより溶出する成分をすべてラジカル重合性モノマーから形成されたホモポリマーとみなし、前記フィルム中の全ラジカル重合性モノマー含有率に対するトルエン溶出率から、トルエン浸漬におけるラジカル重合性モノマーの保持率を算出した。実施例8および9においては、硬化剤も前記ホモポリマーに含ませて計算した。この保持率が高いほど、澱粉とラジカル重合性モノマーとが強固に結合しているといえる。
【0081】
(フィルムの水溶出率)
前記フィルムを100℃で30分間乾燥させてから重量測定を行った後、乾燥後の前記フィルムを過剰量の水(イオン交換水)に24時間浸漬した。その後、前記フィルムを水から取り出し、100℃で60分間乾燥させることで水を蒸発させた後、再度重量測定を行い、元のフィルム重量に対する重量減少分から水溶出率を算出した。
【0082】
(フィルムの澱粉保持率)
前記水により溶出する成分をすべて澱粉とみなし、前記フィルム中の全澱粉含有率に対する水溶出率から、水浸漬における澱粉の保持率を算出した。この保持率が高いほど、澱粉とラジカル重合性モノマーとが強固に結合しているといえる。
【0083】
(フィルムの弾性率)
前記フィルムから5mm×50mmの試験片を切り出し、チャック間距離10mm、クロスヘッドスピード10mm/分の条件で引張り試験を実施し、その時のSS(Stress−Strain)カーブにおける初期立ち上がりの傾きから弾性率を算出した。
【0084】
(フィルムのひずみ)
前記引張り試験における破断点におけるひずみ(伸び率)を算出した。
【0085】
[実施例1]
(1)変性澱粉生成工程
まず、コーンスターチに酸処理を施した。つぎに、酸処理後の前記コーンスターチ100gを弱アルカリ性の水系溶媒に懸濁させた後、硫酸ナトリウムを5g添加し、次いで無水マレイン酸7gを添加し反応させた。その後、得られた反応生成物を、水洗、ろ過した後、乾燥させることで、ラジカル重合性官能基置換度が0.07、重量平均分子量が約50,000の変性澱粉S−1を得た。
【0086】
(2)乳化重合工程
セパラブルフラスコ内で20重量部の前記変性澱粉S−1を、前記変性澱粉S−1と後述の全ラジカル重合性モノマーの合計重量の5倍量の水に95℃で30分間加熱して溶解した。ついで、アルゴンガスで系内の酸素を置換した後、前記変性澱粉の水溶液にドデシル硫酸ナトリウム3部および過硫酸カリウム2部を添加した。つぎに、80℃のオイルバス中で撹拌しながら64重量部のBMAおよび16重量部の2EHAを約90分間かけて滴下した。その後、80℃でさらに150分間撹拌し、乳化重合した。このようにして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0087】
[実施例2]
(1)変性澱粉生成工程
まず、コーンスターチに酸処理を施した。つぎに、酸処理後の前記コーンスターチ100gを弱アルカリ性のDMSOに溶解した後、無水マレイン酸27gを添加し反応させた。その後、得られた反応生成物を、エタノールによる再沈殿の後、ろ過し、乾燥させることで、ラジカル重合性官能基置換度が0.22、重量平均分子量が約50,000の変性澱粉S−2を得た。
【0088】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−2を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0089】
[実施例3]
(1)変性澱粉生成工程
前記酸処理の条件および無水マレイン酸の添加量を120gに変更したこと以外は、実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、ラジカル重合性官能基置換度が0.84、重量平均分子量が約150,000の変性澱粉S−3を得た。
【0090】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−3を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0091】
[実施例4]
(1)変性澱粉生成工程
まず、コーンスターチに酸処理を施した。つぎに、酸処理後の前記コーンスターチ100gと少量の水に溶解したマレイン酸16gとを粉体混合し、フラッシュドライヤーで予備乾燥させた後、130℃で5時間乾式反応させた。このようにして、ラジカル重合性官能基置換度が0.13、重量平均分子量が約50,000の変性澱粉S−5を得た。
【0092】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−5を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0093】
[実施例5]
(1)変性澱粉生成工程
実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−2を得た。
【0094】
(2)乳化重合工程
10重量部の前記変性澱粉S−2を用いたこと、BMAの配合量を72重量部、2EHAの配合量を18重量部に変更したこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0095】
[実施例6]
(1)変性澱粉生成工程
実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−2を得た。
【0096】
(2)乳化重合工程
30重量部の前記変性澱粉S−2を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと、BMAの配合量を56重量部、2EHAの配合量を14重量部に変更したこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0097】
[実施例7]
(1)変性澱粉生成工程
実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−2を得た。
【0098】
(2)乳化重合工程
20重量部の前記変性澱粉S−2を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと、2EHAの配合量を48重量部に変更したこと、BMAを用いず、代わりに16重量部のスチレンおよび16重量部のMMAを用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0099】
[実施例8]
実施例2と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0100】
[実施例9]
実施例7と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0101】
[実施例10]
(1)変性澱粉生成工程
前記酸処理の条件を変更したこと以外は、実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、ラジカル重合性官能基置換度が0.23、重量平均分子量が約350,000の変性澱粉S−4を得た。
【0102】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−4を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0103】
[実施例11]
(1)変性澱粉生成工程
実施例10の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−4を得た。
【0104】
(2)乳化重合工程
10重量部の前記変性澱粉S−4を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと、BMAの配合量を72重量部、2EHAの配合量を18重量部に変更したこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0105】
[実施例12]
(1)変性澱粉生成工程
実施例10の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−4を得た。
【0106】
(2)乳化重合工程
20重量部の前記変性澱粉S−4を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと、2EHAの配合量を48重量部に変更したこと、BMAを用いず、代わりに16重量部のスチレンおよび16重量部のMMAを用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0107】
[実施例13]
(1)変性澱粉生成工程
無水イタコン酸30gを用いたこと以外は、実施例2の変性澱粉生成工程と同様にして、ラジカル重合性官能基置換度が0.25、重量平均分子量が約50,000の変性澱粉S−6を得た。
【0108】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−6を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0109】
[実施例14]
(1)変性澱粉生成工程
実施例13の変性澱粉生成工程と同様にして、前記変性澱粉S−6を得た。
【0110】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−6を加熱せずに水に溶解させた水溶液を用いたこと、カチオン性アゾ開始剤(和光純薬(株)製の商品名「V−50」)を用いたこと、ポリオキシアルキルエーテル乳化剤(花王(株)の商品名「エマルゲン1118S−70」)を用いたこと、重合温度を70℃としたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0111】
[実施例15]
(1)変性澱粉生成工程
イタコン酸18gを用いたこと以外は、実施例4の変性澱粉生成工程と同様にして、ラジカル重合性官能基置換度が0.07、重量平均分子量が約70,000の変性澱粉S−7を得た。
【0112】
(2)乳化重合工程
前記変性澱粉S−7を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本実施例の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを得た。
【0113】
[比較例1]
セパラブルフラスコ内で後述のラジカル重合性モノマーの合計重量の5倍量の水に、アルゴンガスで系内の酸素を置換した後、ドデシル硫酸ナトリウム3部および過硫酸カリウム2部を添加した。つぎに、80℃のオイルバス中で撹拌しながら80重量部のBMAおよび20重量部の2EHAを約90分間かけて滴下した。その後、80℃でさらに150分間撹拌し、乳化重合した。このようにして、本比較例の水系エマルジョンを得た。この水系エマルジョンを用いて前記フィルムのトルエン溶出率測定およびラジカル重合性モノマー保持率測定を行ったところ、前記フィルムの形状が保持できず、測定不能であった。
【0114】
[比較例2]
(1)澱粉準備工程
コーンスターチに酸処理を施すことで、重量平均分子量が約50,000の酸処理澱粉C−1を得た。
【0115】
(2)乳化重合工程
前記酸処理澱粉C−1を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本比較例の澱粉含有水系エマルジョンを得た。
【0116】
[比較例3]
(1)澱粉準備工程
市販の尿素リン酸化澱粉C−2(日本食品化工(株)製の商品名「スターコート#14」、重量平均分子量が約200,000)を準備した。
【0117】
(2)乳化重合工程
前記尿素リン酸化澱粉C−2を用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本比較例の澱粉含有水系エマルジョンを得た。
【0118】
[比較例4]
(1)澱粉準備工程
比較例3の澱粉準備工程と同様にして、前記尿素リン酸化澱粉C−2を準備した。
【0119】
(2)乳化重合工程
10重量部の前記尿素リン酸化澱粉C−2を用いたこと、BMAの配合量を72重量部、2EHAの配合量を18重量部に変更こと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本比較例の澱粉含有水系エマルジョンを得た。
【0120】
[比較例5]
セパラブルフラスコ内で後述のラジカル重合性モノマーの合計重量の5倍量の水に、アルゴンガスで系内の酸素を置換した後、ドデシル硫酸ナトリウム3部および過硫酸カリウム2部を添加した。つぎに、80℃のオイルバス中で撹拌しながら60重量部の2EHA、20重量部のスチレンおよび20重量部のMMAを約90分間かけて滴下した。その後、80℃でさらに150分間撹拌し、乳化重合した。このようにして、本比較例の水系エマルジョンを得た。この水系エマルジョンを用いて前記フィルムのトルエン溶出率測定、ラジカル重合性モノマー保持率測定を行ったところ、前記フィルムの形状が保持できず、測定不能であった。
【0121】
[比較例6]
(1)澱粉準備工程
比較例3の澱粉準備工程と同様にして、前記尿素リン酸化澱粉C−2を準備した。
【0122】
(2)乳化重合工程
20重量部の前記尿素リン酸化澱粉C−2を用いたこと、2EHAの配合量を48重量部に変更したこと、BMAを用いず、代わりに16重量部のスチレンおよび16重量部のMMAを用いたこと以外は、実施例1の乳化重合工程と同様にして、本比較例の澱粉含有水系エマルジョンを得た。
【0123】
前記変性澱粉S−1〜S−5のラジカル重合性官能基置換度および重量平均分子量、並びに前記酸処理澱粉C−1および前記尿素リン酸化澱粉C−2の重量平均分子量を、下記表1に示す。また、各実施例および各比較例における各種特性および物性の測定および評価結果を、下記表2に示す。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
前記表2に示すとおり、実施例1〜15では、水系エマルジョンおよびフィルムの評価結果がすべて良好であった。また、実施例10〜12では、水系エマルジョンの凝集性、分散安定性がやや劣るものの、実用上問題ないレベルであった。一方、比較例1〜5では、フィルムの評価結果が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上のように、本発明によれば、耐水性、耐溶剤性および機械特性に優れた澱粉誘導体を含有し、かつ前記澱粉誘導体が安定に分散した、環境負荷低減への寄与の大きい澱粉誘導体含有水系エマルジョンを低コストで得ることが可能である。本発明の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの用途は、特に限定されず、例えば、塗料、接着剤等の用途に広く適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉誘導体を含有する水系エマルジョンの製造方法であって、
澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換することで変性澱粉を生成する変性澱粉生成工程と、
前記変性澱粉とラジカル重合性モノマーとを水系溶媒中で乳化重合する乳化重合工程とを含み、
前記変性澱粉生成工程において、前記ラジカル重合性官能基への置換度が、前記澱粉の糖残基1個当たりの平均値で、0.01〜1の範囲であることを特徴とする澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項2】
前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉にラジカル重合性不飽和基を有する酸無水物を開環付加させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換する請求項1記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項3】
前記変性澱粉生成工程において、前記澱粉とラジカル重合性不飽和基を有する酸とを脱水縮合させることで、前記澱粉の水酸基の一部を、ラジカル重合性官能基で置換する請求項1記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項4】
前記変性澱粉生成工程を、乾式反応で実施する請求項1から3のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項5】
前記変性澱粉生成工程を、水系溶媒を用いた湿式反応で実施する請求項1から3のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項6】
前記ラジカル重合性官能基が、マレイン酸エステルおよびイタコン酸エステルの少なくとも一方である請求項1から5のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項7】
前記変性澱粉の重量平均分子量が、300,000以下である請求項1から6のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項8】
前記乳化重合工程において、前記変性澱粉(A)と前記ラジカル重合性モノマー(B)との重量比が、A:B=5:95〜30:70の範囲である請求項1から7のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項9】
前記乳化重合工程において、乳化剤を用いる請求項1から8のいずれか一項に記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法により製造された澱粉誘導体含有水系エマルジョン。
【請求項11】
請求項10記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを含むことを特徴とする塗料。
【請求項12】
請求項10記載の澱粉誘導体含有水系エマルジョンを含むことを特徴とする接着剤。

【公開番号】特開2011−57722(P2011−57722A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205256(P2009−205256)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000231453)日本食品化工株式会社 (68)
【Fターム(参考)】