説明

濁度・色度連続計測装置、濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム及び自動洗浄方法

【課題】濁度・色度連続計測装置の計測部等を薬液洗浄するに際して、多大な労力及び経費を費やすことなく定期的な洗浄を実行できること。
【解決手段】濁度・色度連続計測装置1は、計測部2を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部11と、薬液貯留部11から供給される洗浄用薬液を、流入路3を経由して計測部2に供給し、排水路4を経由して薬液貯留部11に帰還させる薬液循環流路12と、流入路3及び排水路4を試料水が流れる状態から洗浄用薬液が流れる状態に切り替える流路切り替え手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水等の濁度と色度の一方又は両方を連続的に計測する濁度・色度連続計測装置、濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム及び自動洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水道水のような流水に対して常時基準に適合する水質が維持されているか否かを監視するための装置として、流水の一部を取り出して計測部に送り、連続的に濁度と色度の一方又は両方を計測する濁度・色度連続計測装置が知られている。これは、光源、受光素子、フローセル(計測室)を含む計測部に連続的に試料水を送り込み、透過光測定法等によって、送られてきた試料水の濁度や色度を計測するものである。
【0003】
このような濁度・色度連続計測装置では、連続的な計測によって経時的にフローセル内や配管系内に汚れや着色成分が付着し、計測精度を悪化させる問題が生じる。これに対しては、定期的に計測を停止させて、薬液洗浄等の洗浄工程を施すことで計測精度の回復を図っている。
【0004】
下記特許文献1に示した従来技術では、濁色度計の洗浄装置として、薬液タンクから薬液注入ポンプにより塩酸薬液を、電磁弁を介して濁色度計の計測セル内に満たし、一定時間計測セル内に薬液を充填反応させることで、計測セル内壁に付着した生物スライム,全鉄マンガン等を剥離し、薬液処理した後には高圧フラッシュ洗浄経路を通して高圧流を濁色度計の計測セル部に流通させること等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−181130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来技術では、洗浄処理後の薬液は試料水の排水経路に導かれ、試料水や洗浄水と同様に排液されている。そのため、洗浄工程では薬液が洗浄処理に必要なだけ消費されることになり、消費された薬液を定期的に追加補給する作業が必要になっている。
【0007】
濁度・色度連続計測装置は、昼夜を問わない連続計測が行われることから無人運転が前提となっており、計測結果は通信手段を用いて遠隔地の管理センターまで送信されるようになっている。このように遠隔監視がなされる濁度・色度計測装置に前述した従来技術のような洗浄装置を適用すると、頻繁に遠隔地まで薬液を運搬して補給することになるので、薬液補充の作業に多大な労力と費用を要する問題があった。これに対しては、大型の薬液タンクを装備することで対処することも考えられるが、それには広い設置スペースを確保することが必要になり、設置スペースに制限がある場合では採用できない問題があった。
【0008】
また、従来技術のように洗浄処理後の薬液を試料水の排水経路から試料水と同様に排液する洗浄装置を採用した場合には、一部で薬液が垂れ流し状態にされる場合もあり、これには周辺環境への悪影響が問題視されている。
【0009】
また、従来技術では、薬液洗浄の効果を十分に得るためには多量の薬液消費が必要になり、高額なランニングコストを要することも問題になっていた。
【0010】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、遠隔監視がなされる濁度・色度連続計測装置の計測部等を薬液洗浄するに際して、多大な労力及び経費を費やすことなく定期的な洗浄を実行できること、洗浄工程を定期的に行う濁度・色度連続計測装置において薬液洗浄によるランニングコストを低減させることができること、洗浄処理後の薬液の垂れ流しをなくし周辺環境に悪影響を及ぼさない濁度・色度連続計測装置を提供できること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
【0012】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置であって、前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部と、前記薬液貯留部から供給される洗浄用薬液を、前記流入路を経由して前記計測部に供給し、前記排水路を経由して前記薬液貯留部に帰還させる薬液循環流路と、前記流入路及び前記排水路を試料水が流れる状態から前記洗浄用薬液が流れる状態に切り替える流路切り替え手段とを備えることを特徴とする濁度・色度連続計測装置。
【0013】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置に用いられ、前記試料水の供給を停止し、前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部から当該洗浄用薬液を前記計測部に供給し、供給された前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させることで、前記計測部を洗浄用薬液で循環洗浄することを特徴とする濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム。
【0014】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置に用いられ前記試料水の供給を停止し、前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部から当該洗浄用薬液を前記計測部に供給し、供給された前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させることで、前記計測部を洗浄用薬液で循環洗浄することを特徴とする濁度・色度連続計測装置の自動洗浄方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このような特徴を備えることで、遠隔監視がなされる濁度・色度連続計測装置の計測部等を薬液洗浄するに際して、洗浄用薬液を循環させて繰り返し使用することで、洗浄工程毎の洗浄用薬液の消費を無くし、洗浄用薬液を追加補充することに伴う多大な労力及び経費を費やすことなく、定期的な洗浄を実行可能にした。また、洗浄用薬液を循環させて繰り返し使用することで、洗浄工程毎の洗浄用薬液の消費を無くし、洗浄工程を定期的に行う濁度・色度連続計測装置において薬液洗浄によるランニングコストを低減させることが可能になった。更には、洗浄処理後の薬液の垂れ流しをなくし周辺環境に悪影響を及ぼさない濁度・色度連続計測装置を実現可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システムを説明する説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る濁度・色度連続計測装置、或いは濁度・色度連続計測装置における自動洗浄システムの動作(濁度・色度連続計測装置1を用いた自動洗浄方法)を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る濁度・色度連続計測装置、或いは濁度・色度連続計測装置における自動洗浄システムの動作(濁度・色度連続計測装置1を用いた自動洗浄方法)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る濁度・色度連続計測装置は、水道水のような流水に対して常時基準に適合する水質が維持されているか否かを監視するための装置であり、流水の一部を取り出して計測部に送り、連続的に濁度と色度の一方又は両方を計測することができるものである。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システムを説明する説明図である。濁度・色度連続計測装置1は、フローセル2Aを含む計測部2と自動洗浄システム10を少なくとも備えている。自動洗浄システム10は、濁度・色度連続計測装置1の内部に又は外付けで配備され、濁度・色度連続計測装置1の一部として一体に構成することもできるし、濁度・色度連続計測装置1に対して付加的に装備される別装置として構成することもできる。
【0019】
このような自動洗浄システム10を備えた濁度・色度連続計測装置1は、計測部2、流入路3、排水路4を濁度・色度連続計測のための基本構成として備えると共に、薬液貯留部11、薬液循環流路12、流路切り替え手段13を自動洗浄システム10の構成として備えている。
【0020】
計測部2は、フローセル2Aを通過する試料水に対して濁度と色度の一方又は両方を計測するものである。透過光測定法を採用した計測部2には、図示省略した光源と受光素子がフローセル2Aを挟んで配備されている。また、計測部2としては、受光素子が検出した信号を増幅する増幅回路やA/D変換器、演算処理装置、メモリ、キーボード等の入力装置、ディスプレイ等の表示装置、計測結果を送信するデータ送信装置等が必要に応じて備えられている。
【0021】
流入路3は計測部2のフローセル2Aに試料水を流入させる流路の一部であり、排水路4は計測部2のフローセル2Aから試料水を排水する流路の一部である。図示の例では、流入路3は、第1流入路3A、第2流入路(合流路)3Bを備え、排水路4は、第1排水路4A、第2排水路4B、第3排水路4Cを備えている。試料水供給路5から供給された試料水は、後述する流路切り替え手段13の切り替え動作に従って切り替えられる流路を通り、流入路3を経由してフローセル2A内に流入し、フローセル2A内に流入した試料水は、排水路4を経由して、後述する流路切り替え手段13の切り替え動作に従って切り替えられる流路を通り、末端で試料水排水路6を通って排水ソケット7に排水されることになる。
【0022】
薬液貯留部11は、計測部2のフローセル2Aや流入路3、流出路4等の内部を洗浄するための洗浄用薬液が貯留された容器(タンク)を備えている。薬液貯留部11の容器内には、薬液循環流路12の両端部12a,12bが配置されている。薬液供給側の端部12aは容器内の洗浄用薬液Lの水位より低く入り込んでおり、薬液回収側の端部12bは容器内の洗浄用薬液Lの水位より高い位置に配置されている。
【0023】
薬液循環流路12は、薬液貯留部11から供給される洗浄用薬液Lを、流入路3を経由して計測部2のフローセル2Aに供給し、排水路4を経由して薬液貯留部11に帰還させる流路である。図示の例では、薬液供給路12Sと薬液帰還路12Rを少なくとも備えている。
【0024】
流路切り替え手段13は、流入路3及び排水路4を試料水が流れる状態から洗浄用薬液が流れる状態に切り替えるものである。これは、一段階の切り替えで前述した状態の切り替えを行う場合だけでなく、複数段階の切り替えを経て前述した状態の切り替えを行う場合を含んでいる。流路切り替え手段13は、流入路3及び排水路4を試料水が流れる状態から洗浄用薬液が流れる状態に切り替えることを必須の動作とするが、それに加えて、流入路3及び排水路4を洗浄用薬液が流れる状態から試料水が流れる状態に切り替えること、流入路3及び排水路4を試料水が流れる状態から試料水を抜き取った状態に切り替えること、流入路3及び排水路4を洗浄用薬液が流れる状態から洗浄用薬液を回収する状態に切り替えること等を含んでいる。
【0025】
以下に、流路切り替え手段13について、図示の例に基づいて具体的に説明する。流路切り替え手段13は、流入路3を試料水供給状態から薬液供給状態に切り替える流入側切り替え手段13Aと、排水路4を試料水排水状態から薬液帰還状態に切り替える排水側切り替え手段13Bとを備えている。流入側切り替え手段13Aは、第1切り替え弁21と第2切り替え弁22を備え、排水側切り替え手段13Bは、第3切り替え弁23と第4切り替え弁24を備えている。
【0026】
第1切り替え弁21は、試料水を供給する試料水供給路5と薬液貯留部11から洗浄用薬液を供給する薬液供給路12Sとを選択して流入路3(第1流入路3A)に合流させる合流路(第2流入路3B)に連通させる三方切り替え弁によって形成することができる。
【0027】
第2切り替え弁22は、前述した合流路(第2流入路3B)と排水路4(第3排水路4C)とを選択して流入路3(第1流入路3A)に連通させる三方切り替え弁によって形成することができる。
【0028】
第3切り替え弁23は、試料水を排水する試料水排水路6と洗浄用薬液を薬液貯留部11に帰還させる薬液帰還路12Rとを選択して排水路4(第3排水路4C)に連通させる三方切り替え弁によって形成することができる。
【0029】
第4切り替え弁24は、排水路4を計測部2側に向けた吸気流路8に切り替えるもので、吸気流路8と第2排水路4Bとを選択して第1排水路4Aに連通させる三方切り替え弁によって形成することができる。
【0030】
そして、試料水の流入・排水及び洗浄用薬液Lの循環の流れは排流ポンプ25の駆動によって発生され、第1切り替え弁21、第2切り替え弁22、第3切り替え弁23、第4切り替え弁24、排流ポンプ25は、流路切り替え手段13における制御部20からの制御信号によって動作制御されるようになっている。特に、排流ポンプ25は制御部20からの制御信号によってオン−オフ制御がなされ、必要に応じて、脈動的な流れを形成するように小刻みに繰り返しオン−オフ制御を行うこともできるようになっている。
【0031】
このような構成を備える濁度・色度連続計測装置1、或いは濁度・色度連続計測装置1における自動洗浄システム10の動作(濁度・色度連続計測装置1を用いた自動洗浄方法)を図2及び図3に基づいて説明する。
【0032】
流路切り替え手段13を切り替え制御する制御部20は、計測動作状態(図2(a)参照)と薬液循環洗浄状態(図2(b)参照)を切り替え制御することができ、また、その切り替え途中段階で、試料水抜き出し動作状態(図3(a)参照)或いは薬液回収動作状態(図3(b))を実行することが可能なものである。
【0033】
計測動作状態は、図2(a)に示すように、試料水(水道水等)を計測部2のフローセル2Aに供給して、フローセル2Aから試料水を排水させる動作状態である。これは、濁度・色度連続計測装置1の定常的な計測動作状態になる。計測動作状態では、第1切り替え弁21は試料水供給路5を選択し、第2切り替え弁22は第2流入路(合流路)3Bを選択し、第3切り替え弁23は試料水排水路6を選択し、第4切り替え弁24は第2排水路4Bを選択している。これによって、試料水供給路5から供給された試料水は、第2流入路3Bと第1流入路3Aを経由してフローセル2Aに流入し、フローセル2Aから流出した試料水は、第1排水路4Aと第2排水路4Bと第3排水路4Cと試料水排水路6を経由して、排水ソケット7に排水される。この動作状態で、計測部2では濁度と色度の一方又は両方を連続的に計測する。
【0034】
一方、薬液循環洗浄状態は、図2(b)に示すように、洗浄用薬液を計測部2のフローセル2Aに供給して、フローセル2Aから洗浄用薬液を薬液貯留部11に帰還させる動作状態である。これによって薬液貯留部11に溜められた洗浄用薬液Lを循環させながらフローセル2A等を薬液洗浄することができる。計測動作状態から薬液循環洗浄状態への切り替えを定期的に自動で行うことで経時的に計測部2に付着した汚れや着色を取り除き、計測部2の計測精度を回復させることができる。
【0035】
薬液循環洗浄状態では、第1切り替え弁21は薬液供給路12Sを選択し、第2切り替え弁22は第2流入路(合流路)3Bを選択し、第3切り替え弁23は薬液帰還路12Rを選択し、第4切り替え弁24は第2排水路4Bを選択している。これによって、薬液貯留部11から供給された洗浄用薬液Lは、薬液供給路12Sと第2流入路3B、第1流入路3Aを経由してフローセル2Aに流入し、フローセル2Aから流出した洗浄用薬液は、第1排水路4Aと第2排水路4Bと第3排水路4Cと薬液帰還路12Rを経由して、薬液貯留部11に戻される。この流れを繰り返すことで、薬液貯留部11に溜められた薬液を循環させて計測部2等を自動洗浄することができる。
【0036】
計測動作状態から薬液循環洗浄状態に切り替える際の準備段階として、計測動作状態から図3(a)に示す試料水抜き出し動作状態への切り替えを行うことで、薬液Lの薄まりを防ぎ薬液洗浄効果を高めることが可能になる。
【0037】
試料水抜き出し動作状態は、図3(a)に示すように、第2排水路4Cを選択して第1流入路3Aに連通させるように第2切り替え弁22を切り替え制御し、試料水排水路6を選択して第2排水路4Cに連通させるように第3切り替え弁23を切り替え制御し、排水路4Aを計測部2側に向けた吸気流路8に切り替えるように第4切り替え弁24を切り替え制御する。第2切り替え弁22の切り替えによって試料水の供給は遮断される。この状態では、逆止弁を介して吸気が吸気流路8に引き込まれ、第1排水路4A、フローセル2A、第1流入路3A、第3排水路4C、試料水排水路6を経由して排水ソケット7に吐き出される。これによって、フローセル2Aや流路に残った試料水を全て抜き出すことができ、試料水を全て抜き出した後に前述した薬液循環洗浄状態に切り替える。
【0038】
一方、薬液循環洗浄状態から計測動作状態に切り替える際の準備段階として、薬液循環洗浄状態から図3(b)に示す薬液回収動作状態への切り替えを行うことで、試料水に薬液Lが混ざることを防ぎ、切り替え当初の計測精度を高めることが可能になる。また、残留薬液を回収することで薬液の消耗量を少なくすることができる。
【0039】
薬液回収動作状態は、図3(b)に示すように、第3排水路4Cを選択して第1流入路3Aに連通させるように第2切り替え弁22を切り替え制御し、薬液帰還路12Rを選択して第3排水路4Cに連通するように第3切り替え弁23を切り替え制御し、第1排水路4Aを計測部2側に向けた吸気流路8に切り替えるように第4切り替え弁24を切り替え制御する。第2切り替え弁22の切り替えによって薬液の供給は遮断される。この状態では、逆止弁を介して吸気が吸気流路8に引き込まれ、第1排水路4A、フローセル2A、第1流入路3A、第3排水路4C、薬液帰還路12Rを経由して薬液貯留部11に吐き出される。これによって、フローセル2Aや流路に残った薬液を薬液貯留部11内に回収することができる。
【0040】
このような動作を行う濁度・色度連続計測装置1或いは自動洗浄システム10では、試料水の供給を停止し、薬液貯留部11から洗浄用薬液Lを計測部2のフローセル2Aに供給し、供給された洗浄用薬液Lを薬液貯留部11に帰還させることで、計測部2のフローセル2A等を洗浄用薬液で循環洗浄する。これによると、自動洗浄工程を定期的に行っても薬液貯留部11に貯められた薬液は基本的に消費されないので、薬液の洗浄効果が低下して交換を要する状態になるまでは、定期的な自動洗浄工程を継続することが可能になる。したがって、一回の洗浄工程で多量の薬液を消費してしまう従来技術に比べて、薬液洗浄を行うことによるランニングコストを著しく低減させることができる。また、濁度・色度連続計測装置1を管理センターから離れた場所に配備した場合であっても、洗浄用薬液を追加補充することに伴う多大な労力及び経費を費やすことなく、定期的な洗浄を繰り返し実行することが可能になる。更には、洗浄処理後の薬液の垂れ流しが無くなるので、周辺環境に悪影響を及ぼさない濁度・色度連続計測装置を提供することが可能になる。
【0041】
また、計測動作状態から薬液循環洗浄状態に切り替える際に、試料水の停止後、排水路4又は流入路3を計測部2側に向けた吸気流路に切り替えて計測部2内の試料水を抜き出す試料水抜き出し動作を実行することができるので、薬液に試料水が混ざって希釈される不都合を無くし、洗浄工程を複数回繰り返した場合にも循環される薬液の機能低下を最小限に抑えることが可能になる。
【0042】
更には、薬液循環洗浄状態から計測動作状態に切り替える際に、各循環洗浄工程後に、排水路2又は流入路3を計測部2側に向けた吸気流路に切り替えて計測部2内の洗浄用薬液を薬液貯留部11に回収する薬液回収動作を実行することができるので、洗浄工程を複数回繰り返した場合にも薬液の消耗を最小限に抑えることができると共に、計測動作状態への切り替え当初に速やかに精度の高い濁度・色度計測を行うことができる。
【0043】
制御部20が行う動作状態の切り替え制御は、制御部20に組み込まれたタイマーの動作によってシーケンシャルに行うことができる。また、薬液循環洗浄状態や薬液回収動作状態においては、制御部20からの制御信号によって、排流ポンプ25の駆動を小刻みに繰り返しオン−オフ制御することで、薬液の流れを変則的に脈動させて、循環洗浄効果や薬液回収効果を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:濁度・色度連続計測装置,2:計測部,2A:フローセル,
3:流入路,3A:第1流入路,3B:第2流入路,
4:排水路,4A:第1排水路,4B:第2排水路,4C:第3排水路,
5:試料水供給路,6:試料水排水路,7:排水ソケット,8:吸気流路,
10:自動洗浄システム,11:薬液貯留部,
12:薬液循環流路,12S:薬液供給路,12R:薬液帰還路,
13:流路切り換え手段,
13A:流入側切り換え手段,13B:排水側切り換え手段,
20:制御部,
21:第1切り替え弁,22:第2切り替え弁,
23;第3切り替え弁,24:第4切り替え弁,
25:排流ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置であって、
前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部と、
前記薬液貯留部から供給される洗浄用薬液を、前記流入路を経由して前記計測部に供給し、前記排水路を経由して前記薬液貯留部に帰還させる薬液循環流路と、
前記流入路及び前記排水路を試料水が流れる状態から前記洗浄用薬液が流れる状態に切り替える流路切り替え手段とを備えることを特徴とする濁度・色度連続計測装置。
【請求項2】
前記流路切り替え手段は、前記流入路を試料水供給状態から薬液供給状態に切り替える流入側切り替え手段と、前記排水路を試料水排水状態から薬液帰還状態に切り替える排水側切り替え手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の濁度・色度連続計測装置。
【請求項3】
前記流入側切り替え手段は、試料水を供給する試料水供給路と前記薬液貯留部から洗浄用薬液を供給する薬液供給路とを選択して前記流入路に合流させる合流路に連通させる第1切り替え弁と、前記合流路と前記排水路とを選択して前記流入路に連通させる第2切り替え弁とを備え、
前記排水側切り替え手段は、試料水を排水する試料水排水路と前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させる薬液帰還路とを選択して前記排水路に連通させる第3切り替え弁と、前記排水路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替える第4切り替え弁とを備えることを特徴とする請求項2記載の濁度・色度連続計測装置。
【請求項4】
前記流路切り替え手段を切り替え制御する制御部を備え、
前記制御部は、
試料水を前記計測部に供給して、前記計測部から試料水を排水させる計測動作状態と、
前記洗浄用薬液を前記計測部に供給して、前記計測部から前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させる薬液循環洗浄状態とを切り替え制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された濁度・色度連続計測装置。
【請求項5】
前記流路切り替え手段を切り替え制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記排水路を選択して前記流入路に連通させるように前記第2切り替え弁を切り替え制御し、前記試料水排水路を選択して前記流入路に連通された前記排水路に連通させるように前記第3切り替え弁を切り替え制御し、前記排水路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えるように前記第4切り替え弁を切り替え制御することで、試料水抜き出し動作状態を実行させることを特徴とする請求項3記載の濁度・色度連続計測装置。
【請求項6】
前記流路切り替え手段を切り替え制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記排水路を選択して前記流入路に連通させるように前記第2切り替え弁を切り替え制御し、前記薬液帰還路を選択して前記流入路に連通された前記排水路に連通するように前記第3切り替え弁を切り替え制御し、前記排水路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えるように前記第4切り替え弁を切り替え制御することで、薬液回収動作状態を実行させることを特徴とする請求項3記載の濁度・色度連続計測装置。
【請求項7】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置に用いられ、
前記試料水の供給を停止し、前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部から当該洗浄用薬液を前記計測部に供給し、供給された前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させることで、前記計測部を洗浄用薬液で循環洗浄することを特徴とする濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム。
【請求項8】
前記試料水の停止後、前記排水路又は前記流入路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えて前記計測部内の試料水を抜き出すことを特徴とする請求項7に記載された濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム。
【請求項9】
前記循環洗浄後、前記排水路又は前記流入路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えて前記計測部内の洗浄用薬液を前記薬液貯留部に回収することを特徴とする請求項7又は8に記載された濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム。
【請求項10】
前記洗浄用薬液で循環洗浄する際、或いは前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に回収する際に、薬液の流れを脈動させるように排流ポンプをオンオフ制御することを特徴とする請求項9に記載された濁度・色度連続計測装置の自動洗浄システム。
【請求項11】
試料水の濁度と色度の一方又は両方を計測する計測部と、該計測部に試料水を流入させる流入路と、前記計測部から試料水を排水する排水路とを備え、前記流入路を介して前記計測部に連続的に試料水を供給し、前記排水路を介して前記計測部に供給した試料水を排水させる濁度・色度連続計測装置に用いられ
前記試料水の供給を停止し、前記計測部を洗浄する洗浄用薬液を貯留する薬液貯留部から当該洗浄用薬液を前記計測部に供給し、供給された前記洗浄用薬液を前記薬液貯留部に帰還させることで、前記計測部を洗浄用薬液で循環洗浄することを特徴とする濁度・色度連続計測装置の自動洗浄方法。
【請求項12】
前記試料水の停止後、前記排水路又は前記流入路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えて前記計測部内の試料水を抜き出すことを特徴とする請求項11に記載された濁度・色度連続計測装置の自動洗浄方法。
【請求項13】
前記循環洗浄後、前記排水路又は前記流入路を前記計測部側に向けた吸気流路に切り替えて前記計測部内の洗浄用薬液を前記薬液貯留部に回収することを特徴とする請求項11又は12に記載された濁度・色度連続計測装置の自動洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−59054(P2011−59054A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211719(P2009−211719)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【特許番号】特許第4476353号(P4476353)
【特許公報発行日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(391033816)日本電色工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】