説明

濁水処理装置

【課題】 凝集剤を自動計量、自動補給し、濁水処理の効率を向上させるとともに、沈降槽を用いることなく、フロックを凝集させ、装置のコンパクト化と効率を両立できるようにした濁水処理装置を提供する。
【解決手段】 濁水に炭酸ガスを吹き込み、濁水を中和する中和処理装置15と、凝集剤溶解液を貯留する凝集剤タンク16、17、19と、凝集剤の計量、溶解から凝集剤タンク16、17への凝集剤溶解液の自動補充までの一連の工程を自動化して行う凝集剤自動補給装置18と、凝集剤タンクから投入された凝集剤と中和された濁水とを撹拌混合し、濁水中の浮遊物を凝集させフロックの生成反応を促進させる螺旋式ラインミキサ60a、60bを有する凝集装置20と、から濁水処理装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木、建設工事の現場で発生する濁水を処理する濁水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土木、建設工事では地盤を掘削するときに地中から水が流出し、大量の濁水が発生する。掘削工事は、ポンプで濁水を排水しながら続行されるが、このとき排水される濁水には、大量の土砂が含まれており、そのまま排出することは環境保全の面から許されず、現場で濁水処理を施してから、土などの固形物と水とに分離する必要がある。
【0003】
従来、一般に行われている濁水処理は、濁水中に懸濁している土などの異物の浮遊を凝集させてフロック化し、凝集して大きくなったフロックを沈殿させて固液分離を行い、上澄みの水を排水し、溜まった汚泥はそのまま廃棄し、あるいは脱水したのち廃棄する、という処理工程からなる。
【0004】
この種の濁水処理では、濁水中に浮遊している固形物をいかに大きな粒形のフロックに凝集させるかということが、処理効率を向上させるために重要である。このため、凝集剤として、例えば、PAC(ポリ塩化アルミニウム)や高分子凝集剤などを濁水に混合する処理が不可欠となる。
【0005】
近年では、この種の濁水処理を行う装置の一式をユニット化した濁水処理装置が利用されており、その従来技術としては、例えば、特開平7−204657号公報に記載されているものを例として挙げることができる。
【特許文献1】特開平7−204657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の濁水処理装置では、凝集剤の溶解液を作成する場合に、専ら、現場の作業員が手作業で溶解し、それを懸濁液に添加していることが多い。このため、凝集剤の補充を忘れたり、溶解不足のまま濁水処理を進めてしまうことが多く、未処理の濁水を流失したり、配管の閉塞を引き起こし、トラブルの原因になっていた。
【0007】
また、濁水中の浮遊物を次第に大きな形状のフロックになるように凝集させる手法としては、濁水を沈降槽に入れて、フロックが自然に沈降させる方式が主流で、処理能力を高めるには大型の沈降槽が必要となり、装置が大型化するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、凝集剤を自動計量、自動補給し、濁水処理の効率を向上させるとともに、沈降槽を用いることなく、凝集したフロックを分離させることにより、装置のコンパクト化と効率を両立できるようにした濁水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置において、濁水に炭酸ガスを吹き込み、濁水を中和する中和処理装置と、凝集剤溶解液を貯留する凝集剤タンクと、前記凝集剤の計量、溶解から前記凝集剤タンクへの凝集剤溶解液の自動補充までの一連の工程を自動化して行う凝集剤自動補給装置と、前記凝集剤タンクから投入された凝集剤と濁水とを撹拌混合し、濁水中の浮遊物を凝集させフロックの生成反応を促進させる螺旋式ラインミキサを有する凝集装置と、を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置に設けられ、濁水に凝集剤を混合し、濁水中の浮遊物を凝集させフロックの生成を促進するための凝集装置であって、濁水と凝集剤の混合液が流れる濁水処理配管の途中に、管体の内周部に邪魔板が螺旋状に延びるラインミキサを組み入れ、前記ラインミキサ入口の内径よりも内部の内径をより大きくしたことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明は、濁水処理に用いる粉末状の凝集剤を投入するホッパーと、前記ホッパーから供給された該凝集剤を水に溶解するための溶解撹拌槽を有し、前記溶解撹拌槽から凝集剤溶解液を濁水処理装置の凝集剤タンクに補給する凝集剤自動補給装置において、前記溶解撹拌槽に供給された凝集剤と水を撹拌する撹拌装置と、前記ホッパーから前記凝集剤を計量して前記溶解槽に供給する計量部と、前記溶解撹拌槽に水を補給する流路を開閉する給水用電磁弁と、前記溶解撹拌槽に給水された液面のレベルを検出する給水レベル検出手段と、前記凝集剤タンクの補給された凝集剤溶解液の液面レベルを検出する凝集剤レベル検出手段と、前記溶解撹拌槽から凝集剤タンクへ凝集剤溶解液を供給する流路を開閉する凝集剤用電磁弁と、前記溶解撹拌槽の凝集剤溶解液の液面レベルと前記凝集剤の液面レベルの変化に応じて、あらかじめ決められたシーケンスにしたがって前記計量部および撹拌装置の起動、停止と、給水用電磁弁および凝集剤用電磁弁の開閉動作を制御する制御部と、を具備したことを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明は、土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置に設けられ、凝集剤を混合した濁水中の浮遊物が凝縮したフロックを分離する固液分離装置であって、前記濁水を回転している円筒形のスクリーンに供給し、フロックをすくい出すとともに、水と汚泥とに強制的に分離するドラムスクリーン部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、凝集剤を自動計量、自動補給し、濁水処理の効率を向上させるとともに、沈降槽を用いることなく、凝集したフロックを分離させることにより、装置のコンパクト化と効率との両立を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による濁水処理装置の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
1.濁水処理装置の全体構成
図1は、本実施形態による濁水処理装置の全体構成図である。図1において、参照番号10は濁水処理装置を示す。参照番号12は、建設工事現場で発生した濁水を処理するために一時的にためておくための原水槽を示す。14は、処理した濁水から固形物と水を分離する固液分離装置を示している。
【0015】
原水槽12の底部には、濁水ポンプ21が設置されている。濁水ポンプ21の吐出口から延びる配管は濁水処理装置10の入口22に接続されており、原水槽12から送られた濁水は、入口22から濁水処理装置10に導入される。この濁水処理装置10は、炭酸ガスで濁水を中和する中和処理装置15と、凝集剤溶解液を貯留する凝集剤タンク16、17、凝集剤の計量、溶解から前記凝集剤タンク16、17への自動補充までの一連の工程を自動化して行う凝集剤自動補給装置18と、凝集剤タンク19、16、17から投入された凝集剤と中和された濁水とを撹拌混合して浮遊物をフロックに凝集させる反応を促進させる凝集装置20と、を主要な構成ユニットしているものである。なお、図1において、11は濁水処理装置の各部の動作を制御する制御装置、13は操作盤、21は水質監視盤を示している。
【0016】
2.中和処理装置
濁水処理装置14の入口22の下流には、電磁流量制御弁23が設けられており、この電磁流量制御弁23により適当な流量に制御された濁水が中和処理装置15に導入される。この中和処理装置15は、中和用の炭酸ガスと濁水を混合するための中和用ラインミキサ24を備えており、電磁流量制御弁23にて流量調整された濁水と、炭酸ガスが中和用ラインミキサ24に導入されるようになっている。なお、後述する凝集装置20で用いられるラインミキサ60a、60b、60cとは異なり、中和用ラインミキサ24としては、濁水を炭酸ガスで中和する処理では、急速に攪拌することが必要であるので、従来から濁水中和に用いられている右スクリュと左スクリュとを組み合わせた公知のラインミキサが用いられる。
【0017】
3.凝集剤タンク
この実施形態では、凝集剤タンクとして、上流から下流に向かって順に第1凝集剤タンク16、第2凝集剤タンク17が配設されている。このうち、第1凝集剤タンク16には、濁水中の浮遊物の凝集が進むのに必要な核をつくるために、濁水に浮遊する物質の分子結合を助ける凝集剤として、例えば、PAC溶液(ポリ塩化アルミニウム)が貯留されている。第2凝集剤タンク17には、生成した核を集合させてくもの巣状にグループ化させるための凝集剤として高分子凝集剤の溶解液が貯留されている。第2凝集剤タンク17に入っている高分子凝集剤の溶解液は、不足してくると、凝集剤自動補給装置18の備える高分子凝集剤用の溶解攪拌槽30から自動的に補給されるようになっている。
【0018】
4.凝集剤自動補給装置
次に、凝集剤自動補給装置18について説明する。
図1において、凝集剤自動補給装置18は、溶解撹拌槽30から高分子凝集剤溶解液を第2凝集剤タンク17に補給するための装置である。
【0019】
この実施形態では、凝集剤自動補給装置18は、高分子凝集剤用の溶解攪拌槽30に加えて、粉末状の高分子凝集剤を投入して計量するためのホッパー32と、溶解撹拌槽30に供給された凝集剤と水を撹拌する撹拌装置34と、高分子凝集剤を計量して溶解攪拌槽30に供給する計量部36を主要な構成要素としている。
【0020】
そこで、ホッパー32と攪拌装置34の構成を図2に示す。ホッパー32の底部は計量口37になっていて、この計量口37にはスクリューフィーダ38が水平な姿勢で配置されている。このスクリューフィーダ38は、モータ39によって駆動される。この場合、スクリューフィーダ38の回転軸には羽根が螺旋状に一定のピッチで延びており、単位時間あたり移送される高分子凝集剤の量があらかじめ決まっていることから、モータ39の駆動時間をタイマー(図示せず)で制御することにより、溶解攪拌槽30に供給する高分子凝集剤を計量することができる。
【0021】
高分子凝集剤をスクリューフィーダ38で計量しながら移送する場合、スクリューフィーダー38の入口部と出口部には高分子凝集剤が固まる、いわゆるブリッジができて詰まり易い。そこで、高分子凝集剤のブリッジを解消する手段として、入口部には、ブリッジ破壊用攪拌機41を設け、出口部には、エアブロー用のエアノズル42を設けている。
【0022】
図2のIII−III矢視図である図3並びに平面を示す図4に示すように、ブリッジ破壊用の攪拌機41は、スクリューフィーダ38の軸と平行な回転軸に取り付けられた羽根を有する撹拌機からなり、この場合、スクリューフィーダ38と連動させることもでき、あるいは独立して起動、停止するようになっている。他方、エアノズル42は、スクリューフィーダ38の出口部の通路に噴出口が開口しており、図示しない電磁弁が開くとエア配管から供給されるエアが出口部通路に向けて噴出されるようになっている。したがって、スクリューフィ38が停止している間にブリッジができそうになっても、攪拌機41で破壊したり、エアノズル42から噴出するエアで吹き飛ばすことができるので、詰まるトラブルを未然に防止することができる。
【0023】
次に、スクリューフィーダ38で計量された高分子凝集剤は、図2において、溶解攪拌槽30に投入されて水に溶解されることになる。そこで、溶解攪拌槽30について説明する。
【0024】
溶解攪拌槽30には、給水配管45によって給水される。給水配管45には、給水用電磁弁46が取り付けられている。また、溶解攪拌槽30には、液面のレベルを検出する電極棒47a乃至47cが配置されている。このうち、電極棒47cは液面レベルの上限を検出し、電極棒47aは液面レベル下限を検出する。なお、第2凝集剤タンク17にも、同様に液面レベルの上限、下限を検出する電極棒48a乃至48cが配置されている。
【0025】
溶解攪拌槽30には、攪拌装置34が設置されている。この攪拌装置34は、モータ51と、回転軸52と、この回転軸52に取り付けられたパンチメタル式の攪拌羽根53とから構成されている。この場合、攪拌羽根53には、多数の穴54が打ち抜かれている羽根が用いられており、これらの穴54を通るときの流れの乱れを利用して攪拌効率の向上を図っている。
【0026】
図1において、以上のような凝集剤自動補給装置18は制御装置11により制御され、溶解撹拌槽30の凝集剤溶解液の液面レベルと前記凝集剤タンク16、17の液面レベルの変化に応じて、あらかじめ決められた順序でシーケンス制御が実行される。
【0027】
なお、図2において、溶解攪拌槽30で溶解された凝集剤溶解液は、ポンプ55により溶解液供給配管56を通って第2凝集剤タンク17に送られる。溶解液供給配管56には、電磁弁58が設けられている。
【0028】
5.凝集装置
次に、図1並びに図5を参照しながら、濁水中の浮遊物を凝集させてフロックを生成する凝集装置20について説明する。
この実施形態では、電磁流量制御弁23の下流に延びる配管が、凝集装置20を構成する濁水処理配管60である。この濁水処理配管では、2基のラインミキサ60a、60bが直列に接続されている。
【0029】
この実施形態では、第1凝集剤タンク16のPAC凝集剤、第2凝集剤タンク17の高分子凝集剤は、それぞれポンプ62、63によって吸い出され、逆止弁64、65を介してラインミキサ60a、60bに供給される。
【0030】
ラインミキサ60a、60bは、いずれも同型であり、図5に示すような特徴を有している(図5では参照番号60でラインミキサを示す。)。
【0031】
ラインミキサ60の管体70の内周部には、2枚の邪魔板72a、72bが螺旋状に延びるようになっている。この2枚の邪魔板72a、72bは、図6に示すように、管体70の中心部に通路空間74を形成しつつ、それぞれ左右方向にねじれるようになっている。
【0032】
また、図5において、ラインミキサ60の管体70の内径D1とし、入口部の内径をD2、出口部の内径をD3とすると、
D2<D3<D1
という関係があり、ラインミキサ60の内径は入口と内部、出口とで異口径となっている。
【0033】
6.固液分離装置
次に、図1を参照しながら、固液分離装置14について説明する。
従来の濁水処理装置では、凝集剤と混合された濁水を沈殿槽に送り、浮遊物が核を中心に凝集がすすみ、生成したフロックの自然沈降を待って、フロックと水とを分離する自然沈降方式が採用されていたが、本実施形態による濁水処理装置では、以下のようなドラムスクリーンを用いた強制式の固液分離装置14が採用されている。
【0034】
この実施形態では、固液分離装置14では、ラインミキサ60bで高分子凝集剤と混合された濁水は、いったん滞留槽80に送られるようになっている。この滞留槽80では、凝集反応のすすんだフロックが浮遊しており、その状態の濁水がドラムスクリーン82に送られてるようになっている。ドラムスクリーン82は、特殊ポリエステル製シートマットからなる円筒状のスクリーンが用いられており、図示しないモータにより回転駆動されるので、濁水からすくい出したフロックを遠心力で水と汚泥に分離する。ドラムスクリーン82の下には、分離された水を受ける濾水槽84が配置されており、この濾水槽84にたまった水は、排水口へと排出される。なお、濾水槽84の水は、適宜、サンプリング装置85に送られ、このサンプリング装置85で水質がチェックされ。結果は水質監視盤21に表示される。
【0035】
他方、ドラムスクリーン82にすくい取られたフロックは、汚泥となってドラムスクリーンに付着する。この実施形態の固液分離装置14では、付着した汚泥を除去するためにエアブロー装置86がドラムスクリーン82の上に配置されている。このエアブロー装置86には、ブロワー87からエアが供給される。エアブロー装置86は、ドラムスクリーン82の幅方向に沿って配列するエア吹き出し口を有しており、回転するドラムスクリーン82の全体にエアが吹き付けられるようになっている。エアの吹き付けにより、ドラムスクリーン82から除去された汚泥は、シュート88に落下し、汚泥槽89に集められる。
【0036】
本実施形態は、以上のように構成されるものであり、次に、その作用並びに効果について説明する。
7.中和処理
図1において、電磁流量制御弁23にて流量調整された濁水と炭酸ガスボンベ26からの炭酸ガスとが中和用ラインミキサ24に導入されると、この中和用ラインミキサ24の内部で急速に攪拌されることで、濁水に含まれるアルカリに炭酸が反応して中和される。中和された濁水は、濁水処理配管60に直列に配列された2基のラインミキサ60a、60bに順次送られながら、凝集剤と混合される。
【0037】
8.凝集処理
本実施形態では、ラインミキサ60a、60bの内径は入口と内部、出口とで異口径となっているので、次のように、凝集剤と濁水の混合攪拌と凝集反応に共に適した攪拌を実現することができる。すなわち、凝集剤と濁水がラインミキサ60の入口から入ると、邪魔板72a、72bに沿って流れながら混合される。この場合、邪魔板72a、72bは、中心に通路空間74を形成しながら左右にねじれているので、水流は邪魔板72a、72bのねじれ方向に沿った一方向の流れとなる。しかも、ラインミキサ60の入口に比べて内部の内径が大きくなっている結果、濁水の圧力と流速が下がった状態で混じり合いながら攪拌されるので、生成した核やフロックが壊されるような過度の攪拌が加えられるのを防ぐことができ、適度な攪拌を加えつつ凝集反応に適した状態の水流を実現することができる。
【0038】
しかも、このようなラインミキサ60a、60bを2基、直列に接続しているので、上流のラインミキサ60aを出るときに出口が絞られているため、濁水は、再度圧力は高められて次のラインミキサ60bに送られ、このラインミキサ60bでは、上記のように流速と圧力が下がった状態で凝集が促進される。この減圧、混合、加圧の繰り返しにより、効率のよい攪拌と凝集促進を加えることができる一方で、濁水処理配管60でラインミキサ60a、60bをつないだだけであるので、従来と異なり、凝集反応用タンクを用いる必要がなくなるので、設置スペースを大幅に小さくすることが可能である。
【0039】
なお、上流のラインミキサ60aでは、凝集剤としてPACを用いてフロック成長の核を生成を助長し、下流のラインミキサ60bでは、凝集剤として高分子凝集剤を使って核を集合させてフロックをくもの巣状に成長のを促進されている。
【0040】
9.凝集剤の溶解および自動補給
こうして、ラインミキサ60a、60bでの処理が進むにつれ、次第に、第1凝集剤タンク16または第2凝集剤タンク17にたまっている凝集剤が減ってくる。このうち、凝集剤の消費量の大きい方の第2凝集剤タンク17に対しては、次のように、凝集剤自動補給装置18が溶解撹拌槽30から高分子凝集剤溶解液を第2凝集剤タンク17に補給する。
【0041】
そこで、図1、図2を参照しながら、第2凝集剤タンク17への自動補給を例に、制御装置11の実行するシーケンスについて説明する。
まず、スイッチをオンにして、動作モードを自動補給にすると、給水用電磁弁46が開き、溶解攪拌槽30に給水が開始される。この溶解攪拌槽30では液面が上昇し、やがて液面レベルが電極棒47cの先端にとどくと、給水用電磁弁46が閉じて給水は停止する。
【0042】
溶解攪拌槽30では、給水の停止と同時に、攪拌装置34のモータ51と、スクリューフィーダ38のモータ39が起動する。スクリューフィーダ38は、計量用タイマーによって起動、停止が制御され、投入する高分子凝集剤の量に相当する設定時間だけ回わると自動的に停止するので、計量された分の高分子凝集剤が溶解攪拌槽30に投入される。なお溶解時間については、攪拌用タイマーで自由に設定することができる。
【0043】
溶解が終了すると、攪拌装置50が停止し、移送用の電磁弁58が開く。これにより、溶解された凝集剤溶液は、第2凝集剤タンク17に補給されることになる。そして、第2凝集剤タンク17では液面レベルが電極棒48cの先端にとどくと、移送用電磁弁58が閉じるので第2凝集剤タンク17は凝集剤溶液で満タンになる。
【0044】
以後、この動作が繰り返して行われ、溶解電解槽30の溶解液が減って、液面レベルが電極棒47aの下端以下まで下がると、給水用電磁弁46が開いて給水、計量、溶解、補給の動作を繰り返して行う。
【0045】
なお、スクリューフィーダー38の入口部と出口部には高分子凝集剤が固まって、いわゆるブリッジができて詰まり易い。しかしながら、スクリューフィーダ38の起動と同期させて、入口部のブリッジ破壊用攪拌機41を起動するとともに、出口部のエアブロー用のエアノズル42からエアを噴出するようにすれば、ブリッジによる詰まりを確実に防止することができる。
【0046】
10.固液分離処理
固液分離装置14では、ラインミキサ60bで高分子凝集剤と混合されながらフロックの凝集反応の進んだ濁水は、いったん滞留槽80に送られてから、ドラムスクリーン82に送られる。このドラムスクリーン82では、すくい出したフロックを遠心力で水と汚泥に強制的に分離するので、フロックが滞留槽で自然に沈降するのを待つ必要がなく、効率的な固液分離処理を可能とするとともに、従来では処理能力を大きくするとそれだけ大きな滞留槽が必要となるのと異なり、大幅な省スペース化を実現できる。このため、中和処理から凝集処理、凝集剤の自動補給、さらには固液分離処理までの全工程を実施する装置をコンパクト化した一つのユニットとして構成することが可能となり、車両等にも搭載可能となる。
【0047】
また、エアブローによりドラムスクリーン82に付着した汚泥を簡単に除去できるので、汚泥でドラムスクリーン82の分離機能を再生させることや、清掃作業も簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態による濁水処理装置の系統図。
【図2】濁水処理装置の備える凝集剤自動補給装置の構成図。
【図3】図2の凝集剤自動補給装置におけるホッパーのIII−III矢視図。
【図4】図2のホッパーの平面図。
【図5】本発明の一実施形態による濁水処理装置で凝集反応の促進用のラインミキサの特徴を説明する図。
【図6】ラインミキサでの邪魔板のねじれの説明図。
【符号の説明】
【0049】
10 濁水処理装置
12 原水槽
14 固液分離装置
15 中和処理装置
16 凝集剤タンク
17 凝集剤タンク
18 凝集剤自動補給装置
19 助剤タンク
24 中和用ラインミキサ
30 溶解攪拌槽
32 ホッパー
34 攪拌装置
38 スクリューフィーダ
60a、60b ラインミキサ
80 滞留槽
82 ドラムスクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置において、
濁水に炭酸ガスを吹き込み、濁水を中和する中和処理装置と、
凝集剤溶解液を貯留する凝集剤タンクと、
前記凝集剤の計量、溶解から前記凝集剤タンクへの凝集剤溶解液の自動補充までの一連の工程を自動化して行う凝集剤自動補給装置と、
前記凝集剤タンクから投入された凝集剤と濁水とを撹拌混合し、濁水中の浮遊物を凝集させフロックの生成反応を促進させる螺旋式ラインミキサを有する凝集装置と、
を具備したことを特徴とする濁水処理装置。
【請求項2】
土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置に設けられ、濁水に凝集剤を混合し、濁水中の浮遊物を凝集させフロックの生成を促進するための凝集装置であって、
濁水と凝集剤の混合液が流れる濁水処理配管の途中に、管体の内周部に邪魔板が螺旋状に延びるラインミキサを組み入れ、前記ラインミキサ入口の内径よりも内部の内径をより大きくしたことを特徴とする濁水処理装置の凝集装置。
【請求項3】
前記ラインミキサの邪魔板は、管体の中心部に通路空間を形成しつつ左、右方向にねじれる2枚の邪魔板からなることを特徴とする請求項2に記載の濁水処理装置の凝集装置。
【請求項4】
前記複数の前記ラインミキサが直列に接続されてなる濁水処理配管を有し、上流側のラインミキサの出口部の内径は下流側のラインミキサの入口部の内径よりも大きいことを特徴とする請求項2または3に記載の濁水処理装置の凝集装置。
【請求項5】
濁水処理に用いる粉末状の凝集剤を投入するホッパーと、前記ホッパーから供給された該凝集剤を水に溶解するための溶解撹拌槽を有し、前記溶解撹拌槽から凝集剤溶解液を濁水処理装置の凝集剤タンクに補給する凝集剤自動補給装置において、
前記溶解撹拌槽に供給された凝集剤と水を撹拌する撹拌装置と、
前記ホッパーから前記凝集剤を計量して前記溶解槽に供給する計量部と、
前記溶解撹拌槽に水を補給する流路を開閉する給水用電磁弁と、
前記溶解撹拌槽に給水された液面のレベルを検出する給水レベル検出手段と、
前記凝集剤タンクの補給された凝集剤溶解液の液面レベルを検出する凝集剤レベル検出手段と、
前記溶解撹拌槽から凝集剤タンクへ凝集剤溶解液を供給する流路を開閉する移送用電磁弁と、
前記溶解撹拌槽の凝集剤溶解液の液面レベルと前記凝集剤の液面レベルの変化に応じて、あらかじめ決められたシーケンスにしたがって前記計量部および撹拌装置の起動、停止と、給水用電磁弁および凝集剤用電磁弁の開閉動作を制御する制御部と、
を具備したことを特徴とする濁水処理装置の凝集剤自動補給装置。
【請求項6】
前記計量部は、
前記ホッパーの底部の計量口に配置されるスクリューフィーダーと、
前記スクリューフィーダーの入口部での凝集剤の詰まりを防止する第1の詰まり防止手段と、
前記スクリューフィーダーの出口部での凝集剤の詰まりを防止する第2の詰まり防止手段と、
を具備することを特徴とする請求項5に記載の濁水処理装置の凝集剤自動補給装置。
【請求項7】
前記第1詰まり防止手段は、前記スクリューフィーダと平行な軸に取り付けられた羽根を有する撹拌機からなることを特徴とする請求項6に記載の濁水処理装置の凝集剤自動補給装置。
【請求項8】
前記第2詰まり防止手段は、前記スクリューフィーダの出口部に向けてエアを噴出するエアブロー手段からなることを特徴とする請求項6に記載の濁水処理装置の凝集剤自動補給装置。
【請求項9】
前記溶解撹拌槽の撹拌装置は、多数の孔が打ち抜かれたパンチメタル式の撹拌羽根を有することを特徴とする請求項5に記載の濁水処理装置の凝集剤自動補給装置。
【請求項10】
土木、建設工事で発生する濁水を処理する濁水処理装置に設けられ、凝集剤を混合した濁水中の浮遊物が凝縮したフロックを濁水から分離する固液分離装置であって、
前記濁水を回転している円筒形のスクリーンに供給し、フロックをすくい出すとともに水と汚泥に強制的に分離するドラムスクリーン部を有することを特徴とする濁水処理装置の固液分離装置。
【請求項11】
前記ドラムスクリーン部のスクリーンにエアを噴出することにより、濁水から掬い出したフロックが固まってスクリーン表面に付着した汚泥を強制的に除去する汚泥除去手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の濁水処理装置の固液分離装置。
【請求項12】
前記ドラムスクリーン部の入口側に、濁水中の浮遊物の凝集が進行し、十分に成長したフロックにするための滞留槽を並設し、前記滞留槽から十分にフロック化した異物を含む濁水を前記ドラムスクリーン部に供給することを特徴とする請求項10に記載の濁水処理装置の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−239619(P2006−239619A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60975(P2005−60975)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000179915)ジェコス株式会社 (27)
【出願人】(505082338)株式会社 レンタルシステム千葉 (1)
【Fターム(参考)】