説明

濃厚な抗菌性組成物および方法

本発明は概して、加工肉、果物および野菜、植物部分のような有機質、ならびに布地およびステンレススチールのような無生物表面上の微生物汚染を減らすための製品および方法に関する。具体的には、本発明は、主要量の多価アルコールの脂肪酸エステルと、エンハンサーと、任意に界面活性剤と、を含有する濃厚な抗菌性組成物を使用する肉製品および他の基材を殺菌するための製品および方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は概して、加工肉、果物および野菜、植物部分のような有機質、ならびに布地およびステンレススチールのような他の無生物表面上の微生物汚染を減らすための組成物および方法に関する。
【0002】
食品経由の病気は毎年かなりの疾病および死亡の原因となり、直接的および間接的な医療コストは年10億を超えると幾つかの情報源によって推定されている。一般的な食品病原体は、サルモネラ属(Salmonella)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、大腸菌(Escherichia coli)O157:H7、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、セレウス菌(Bacillus cereus)、およびノーウォーク様ウィルス(Norwalk−like viruses)を含む。食品経由の病気の発生は典型的には、汚染された肉製品、生乳、または鶏肉製品に関連してきたが、果物および野菜もまた食品経由の疾病の発生源として働くことができる。表面、容器、および他の基材は食品汚染の発生源であり得る。牛ひき肉、ホットドッグ、およびアルファルファもやし、ならびにオレンジジュースのような食品のリコールは、ヒトにとって安全であり、環境にやさしく、かつ、費用効果的である広範なスペクトルの抗菌性解決策の必要性を示している。
【0003】
食品中および食品上のならびに他の表面上の微生物汚染を減らすために使用される組成物は、典型的には、より高い濃度では処理される表面の特性に影響を及ぼすかもしれない、有機酸および例えば次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素化合物のような物質の使用を伴ってきた。脂肪酸モノエステルを使用する組成物は、特許文献1および特許文献2のように鶏肉、特許文献3に記載されているように果物および野菜のような食品上で、ならびに2000年5月17日に出願された特許文献4に記載されているように布地上に使用される乾燥組成物上で、ならびに特許文献5に記載されているようにコンタクトレンズで微生物負荷を減らすために近年使用されてきた。これらの組成物中の脂肪酸モノエステルは他の成分の存在下では限られた安定性を有する。組成物の抗菌活性は、エステル交換または加水分解のような反応によって時間とともに低下する。コストの増加はまた、高濃度の媒体またはキャリアの存在のためにこれらの組成物の輸送にも関連している。
【特許文献1】米国特許第5,460,833号明細書
【特許文献2】米国特許第5,490,992号明細書
【特許文献3】国際公開第200143549A号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願第09/572,549号明細書
【特許文献5】米国特許第4,485,029号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、抗菌性組成物と、食品および哺乳類皮膚のような有機質、ならびに無生物材料の両方で微生物のレベルを下げるのに有効な抗菌活性を有する組成物の使用および製造方法とを提供する。かかる組成物は典型的には、多種多様な表面に塗布された時に有用である。それらは、微生物、特に細菌、真菌類、およびウィルスの効果的な低減、予防、または排除を提供することができる。好ましくは、微生物は、本発明の組成物が幅広いスペクトルの活性を有するように比較的多種多様である。
【0005】
本発明の組成物は抗菌性脂質成分を含む。本発明の組成物は、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらの(エステルかエーテルかのどちらかの)アルコキシル化誘導体よりなる群から選択された抗菌性脂質を含む。これらの組成物はエンハンサーをさらに含む。含まれ得る他の成分は界面活性剤、および他の添加剤である。組成物は濃厚な形で使用されてもよいし、または使用前に水性媒体か非水性媒体かのどちらかにさらに組み合わされてもよい。
【0006】
一態様では、本発明は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪族エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪族エーテル、それらのアルコキシル化誘導体、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択された化合物を含む主要量の抗菌性脂質成分であって、アルコキシル化誘導体が多価アルコールのモル当たり5モル未満のアルコキシドを有する抗菌性脂質成分と、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、(C6〜C12)アルカリールカルボン酸、フェノール系化合物、(C1〜C10)アルキルアルコール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択された化合物を含むエンハンサーと、任意に界面活性剤とを含む抗菌性組成物を提供する。
【0007】
別の態様では、本発明は、少なくとも60%の脂肪酸モノエステルを含有する主要量のC8〜C14プロピレングリコール脂肪酸エステルと、エンハンサーと、任意に1つもしくはそれ以上の界面活性剤とを含有する食品での使用に安全な抗菌性調合物を含む。エンハンサーは、EDTAまたはその塩のようなキレート剤、有機酸(例えば、乳酸、マンデル酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、サリチル酸、グリコール酸、安息香酸、酢酸、リンゴ酸、またはアジピン酸)のような酸、ブチル化ヒドロキシルアニソール、ブチル化ヒドロキシルトルエン、およびアルキルパラベンのようなフィノール化合物、またはエタノールもしくはイソプロパノールのようなアルコールであることができる。組成物はまた、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、およびグリセロールモノカプレートのようなC8〜C14グリセロール脂肪酸エステルを含んでもよい。
【0008】
別の態様では、本組成物は任意にまた界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、組成物の予想される用途に基づいて選ぶことができる。好適な界面活性剤は、アシルラクチレート(acyl lactylate)塩、スルホコハク酸ジオクチル塩、ラウリル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、C8〜C18脂肪酸の塩、グリセロールエステル、ソルビタンエステル、およびポリアルキレンオキシドのブロック共重合体を含む。
【0009】
本発明のさらなる態様では、食品グレード成分を含有するある種の実施形態は、食物および食品の味覚、食感、色、臭いまたは外観に悪影響を及ぼすことなく有効な抗菌活性を示す。これは、利き味試験を用いることによって評価されてもよい。ハンバーガーのような普通に調理される食品については、利き味試験は調理された食品で行われるべきである。処理食品は、処理製品と対照未処理製品との間に何の統計的な差もない場合には、食物および食品の味覚、食感、色、臭い、または外観に何の影響も持たないと考えられる。
【0010】
別の態様では、本発明のエステルおよびエンハンサーの多くのような、一般に食品グレードと認められる(GRAS)成分を含有する組成物は、有意で有害な毒物学または環境問題を好ましくは提起しない。組成物の多くはまた、加工工場で容易に取り扱うことができ、加工装置と相性がよい。
【0011】
本発明の別の態様では、好ましくは、本明細書で開示される調合物および方法を用いてトータル好気性細菌カウント(すなわち、その多くが食品を腐敗させる原因となり得る)の少なくとも1−log平均減少を基材(例えば、食品)上で達成することができる。これは、(肉の重量%を基準にして)1%の抗菌性脂質が牛ひき肉に塗布されるように十分な組成物が塗布される時に10000〜100,000細菌/グラム牛ひき肉の初期天然(native)細菌濃度を有する牛ひき肉のサンプルを用いて実施例6に記載される方法に従って測定することができる。より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも2のlog平均減少、さらにより好ましくは少なくとも3のlog平均減少を達成する。最も好ましくは、本発明の組成物は、天然細菌の完全な撲滅(細菌レベルが検出できないような)を達成する。
【0012】
別の態様では、本発明はまた、食品または表面を濃厚組成物と接触させる工程を含む、食品または他の表面の殺菌方法を含む。本発明の組成物はまた、残留物を残すことによって、または有効のままであり、かつ、かなりの抗菌活性を提供する状態を表面に与えることによって生じる残留抗菌性効能を表面上に提供するために使用することもできる。
【0013】
あるいはまた、方法は、組成物を基材への塗布前に希釈する工程を提供される。第3の態様では、抗菌性脂質を含む組成物を塗布する工程と、エンハンサーを別々に塗布する工程とを含む方法が提供される。
【0014】
本発明の別の態様では、病原菌の少なくとも1−log減少は、本明細書で開示される調合物および方法を用いて食品上で達成することができる。特定の調合物では、組成物は有機質によって不活性化されない。すなわち、本発明の組成物は、血液、血清、脂肪、および食品上で典型的に見いだされ、ヨウ素およびクォーツのような他の抗菌剤を不活性化することが知られている他の有機質の存在下で活性である。
【0015】
別の態様では、本発明は、少なくとも60%脂肪酸モノエステルを含有する主要量のプロピレングリコール脂肪酸エステルと、エンハンサーと、任意に界面活性剤とを含む使用準備のできた抗菌性調合物であって、脂肪酸プロピレングリコールエステルの濃度が使用準備のできた調合物の30重量%より大きく、かつ、エンハンサーが使用準備のできた調合物の約0.1重量%〜約30重量%を含む調合物を特徴とする。
【0016】
さらに別の態様では、本発明は、主要量のC8〜C14プロピレングリコール脂肪酸エステル入り組成物を有する第1容器と、エンハンサーを有する第2容器とを含むキットを特徴とする。代わりの実施形態では、キットは、主要量のC8〜C14プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびエンハンサー入り組成物を有する第1容器と、第2エンハンサーを有する第2容器とを含む。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、多価アルコールの(C8〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C8〜C14)飽和脂肪族エーテル、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪族エーテル、それらのアルコキシル化誘導体、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択された化合物を含む主要量の抗菌性脂質成分であって、アルコキシル化誘導体が多価アルコールのモル当たり5モル未満のアルコキシドを有する抗菌性脂質成分入り組成物を有する第1容器と、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C1〜C4)アルキルカルボン酸、(C6〜C12)アラルキルカルボン酸、(C6〜C12)アルカリールカルボン酸、フェノール系化合物、(C1〜C10)アルキルアルコール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択された化合物を含むエンハンサーを有する第2容器とを含むキットを特徴とする。代わりの実施形態では、キットは、主要量の抗菌性脂質およびエンハンサー入り組成物を有する第1容器と、第2エンハンサーを有する第2容器とを含む。
【0018】
キット中の1つまたは両方の容器はまた、任意に界面活性剤を含有してもよい。キットは、第1容器および第2容器の内容物が微生物汚染を減らすのに有効である抗菌性調合物を生み出すために混合されることを示すラベルまたは添付文書をさらに含むことができる。ラベルまたは添付文書は、抗菌性調合物を食物、食品、および無生物表面への塗布前に希釈できることをさらに示すことができる。
【0019】
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの開示された実施形態またはあらゆる実施を記載することを意図するものではない。次に続く説明は、例示的な実施形態をより具体的に例証する。本出願の全体にわたって幾つかの場所で、手引は実施例のリストによって提供され、それらの実施例は様々な組み合わせで用いることができる。それぞれの場合において、列挙リストは代表的なグループとして役立つに過ぎず、限定的なリストと解釈されるべきではない。本発明の他の特徴および利点は、次の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらの(モノエステルかモノエーテルかのどちらかの)アルコキシル化誘導体よりなる群から選択された主要量の抗菌性脂質と、エンハンサーとを含む濃厚な抗菌性組成物、およびこれらの組成物の使用方法を含む。組成物は、界面活性剤および風味料をはじめとする他の添加剤をさらに含んでもよい。
【0021】
本調合物は、微生物によって汚染されているまたは汚染されるかもしれない多種多様な基材を処理するために使用することができる。例えば、本組成物は、スチール、ガラス、アルミニウム、木材、紙、ポリマー材料、フォーマイカ(Formica)、ゴム、紙、ならびに綿、ナイロン、ポリプロピレン不織布、およびリンネルのような布地を処理するために使用することができる。例えば、本組成物は、哺乳類組織(具体的には、皮膚、粘膜組織、慢性外傷、急性外傷、火傷など)、および医療(例えば、手術)デバイス、床タイル、カウンタートップ、チューブ、皿のような硬表面上で、ならびに手袋(例えば手術用手袋)上で使用することができる。それらはまた、例えば、綿棒、クロス、スポンジ、フォーム、不織布、および紙製品(例えば、紙タオルおよびワイプ)から配送することができる。室温で液体である主要量の抗菌性脂質を含む組成物については、抗菌性脂質は、活性な抗菌剤および抗菌性組成物の他の成分のための媒体の両方として機能する。医療用途のような本組成物のための他の用途は、2003年9月9日に出願された同時係属米国特許出願第10/659,571号明細書、および本明細書と同じ日に出願された米国特許出願第 号明細書(代理人整理番号第58707US003号)に記載されている。
【0022】
主要量のプロピレングリコール脂肪酸エステルを含む組成物については、プロピレングリコール脂肪酸エステルは、活性な抗菌剤および抗菌性組成物の他の成分のための媒体の両方として機能する。脂肪酸エステルの安全性は、食品におけるヒト病原体および腐敗の数を減らすために、食品および食品に曝される表面を処理するのに有用な候補にそれらをする。本発明組成物に使用されてもよいC8〜C12脂肪酸エステルは、ラウリン酸、カプリル酸およびカプリン酸の公知のグリセロールモノエステルおよび/またはラウリン酸、カプリル酸もしくはカプリン酸のプロピレングリコールモノエステルを含む。これらのモノエステルは、食品グレード、一般に安全と認められる(GRAS)物質であると報告されてきたし、かつ、食品防腐剤および局所薬剤として有効であると報告されてきた。例えば、カバラ(Kabara)著、食品保護雑誌(J.of Food Protection)、44(1981)、633−647ページおよびカバラ著、食品安全性雑誌(J.of Food Safety)、4(1982)、13−25ページは、ラウリシジン(LAURICIDIN)TM(モノラウリンと一般に言われるラウリン酸のグリセロールモノエステル)、食品グレードのフェノール類およびキレート剤が食品防腐システムをデザインする際に有用であるかもしれないと報告している。脂肪酸モノエステルは、ペストリーおよびパン生地、アイスクリーム、マーガリン、ならびにサラダドレッシングのような食品で食品グレード乳化剤として50年以上の間使用されてきた。
【0023】
脂肪酸モノエステルは、グラム陽性菌、真菌類、酵母および脂質被覆ウィルスに対して活性であるが、単独ではグラム陰性菌に対して一般に活性ではない。脂肪酸モノエステルが組成物中でエンハンサーと組み合わされる時、組成物はグラム陰性菌に対して活性である。
【0024】
具体的には、本発明の調合物は、食品経由ヒト病原体の肉中の数を減らすことができる。例えば、それらは牛肉、豚肉、鶏肉のような屠殺肉、魚、および屠殺子羊肉を処理するためのスプレーおよび浸漬液として使用することができる。それらはまた、牛ひき肉、豚ひき肉、鶏ひき肉、七面鳥ひき肉、ホットドッグ、ソーセージおよび加工肉食品のような加工肉をさらに処理するためのスプレーおよび浸漬液として使用することもできる。開示される調合物によって殺されるヒト食品経由病原体は、例えば、大腸菌(E.coli)O157:H7、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、およびサルモネラ血清型(Salmonella serovars)を含む。
【0025】
本調合物はヒト病原体を肉および肉製品から除去するために使用されるだけでなく、それらはまた、ヒト病原体と腐敗を生み出し、かつ、果物および野菜の品質および貯蔵寿命に悪影響を及ぼす病原体とから植物および植物部品のような他の食品を保護するのを助けるために使用することもできる。例えば、本発明の抗菌性組成物は、オレンジおよびグレープフルーツのような柑橘類の腐敗を引き起こすアオカビ病菌(Penicillium italicum)およびミドリカビ病菌(Penicillium digitatum)のような糸状菌に対して有効な殺傷速度を実証する。
【0026】
一般に、本組成物中の成分は、全体として、本質的にほとんどの病原性のまたは望ましくない細菌、真菌類、酵母および脂質被覆ウィルスを殺す、またはその数をそれらの許容できるレベルまで減らすのに十分な幅のスペクトルを有する抗菌性(抗ウィルス性、抗細菌性、または抗真菌性を含む)活性を提供する。本発明の組成物で、成分の濃度または量は、別々に考えられる場合、許容できるレベルまで殺さないかもしれないし、またはそれほど広いスペクトルの望ましくない微生物を殺さないかもしれないし、またはそれほど速く殺さないかもしれないが、一緒に使用される時、かかる成分は(同じ条件下に単独で使用される同じ成分と比べて)高められた(好ましくは相乗的な)抗菌活性を提供することが理解されるべきである。
【0027】
「有効量」は、微生物の許容できるレベルが生じるように1つもしくはそれ以上の種の微生物を減らす、予防する、または排除する抗菌性(例えば、抗ウィルス性、抗細菌性、または抗真菌性を含む)活性を組成物において、全体として提供する時の抗菌性脂質成分および/またはエンハンサー成分の量を意味する。本発明の組成物で、成分の濃度または量は、別々に考えられる時、許容できるレベルまで殺さないかもしれないし、またはそれほど広いスペクトルの望ましくない微生物を殺さないかもしれないし、またはそれほど速く殺さないかもしれないが、一緒に使用される場合、かかる成分は(同じ条件下に単独で使用される同じ成分と比べて)高められた(好ましくは相乗的な)抗菌活性を提供することが理解されるべきである。
【0028】
「主要量」は、いかなる他の個別成分よりも高い濃度で存在する成分を意味する。
【0029】
「エンハンサー」は、抗菌性脂質なしの組成物か、エンハンサー成分なしの組成物かのどちらかが別々に使用された時に、それらが全体としての組成物と同じレベルの抗菌活性を提供しないほどに抗菌性脂質の有効性を高める成分を意味する。例えば、エンハンサーは、抗菌性脂質がない場合にはいかなる感知できる抗菌活性も提供しないかもしれない。増強効果は、殺傷のレベル、殺傷の速度、および/または殺される微生物のスペクトルに関してであり得るし、すべての微生物については見られないかもしれない。実際に、殺傷の高められたレベルは、大腸菌のようなグラム陰性菌で最もしばしば見られる。エンハンサーは、組成物の残りと組み合わせられた時に全体としての組成物に、エンハンサー成分なしの組成物および抗菌性脂質なしの組成物の活性の合計よりも大きい活性を示させる相乗剤であるかもしれない。
【0030】
「微生物」または「マイクローブ」は、細菌、酵母、糸状菌、真菌類、マイコプラズマ、ならびにウィルスを意味する。
【0031】
「脂肪族」は、特に明記しない限り、本明細書で用いるところでは、6〜14(奇数または偶数)個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルまたはアルキレン部分を意味する。
【0032】
用語「含む」およびその変形は、これらの用語が本説明および特許請求の範囲に現れる場合に限定的な意味を持たない。
【0033】
本明細書で用いるところでは、単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つの」、および「1つもしくはそれ以上の」は同義的に使用される。
【0034】
また本明細書では、終点による数値域の列挙は、当該範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0035】
当業者は、本発明の組成物がいつ高められたまたは相乗的な抗菌活性を提供するかを、当該技術分野で周知の効力検定および細菌スクリーニング方法を用いて容易に決定するであろう。容易に行われる一効力検定は、大腸菌(Escherichia coli)、ブドウ球菌種(Staphylococcus spp.)、連鎖球菌種(Streptococcus spp.)、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、またはサルモネラ種(Salmonella spp.)のような、選択された公知のまたは容易に入手可能な生菌株を、適切な温度で培地中予め決定された細菌負担レベルで試験組成物に曝すことを含む。十分な接触時間の後、曝された細菌を含有するサンプルのアリコートが集められ、希釈され、中和され、そして寒天のような培地上にプレートアウトされる(plated out)。細菌のプレート化サンプルは約48時間培養され、プレート上に増殖中の生菌コロニーの数がカウントされる。いったんコロニーがカウントされると、試験組成物によってもたらされた細菌の数の減少は容易に求められる。細菌減少は、初期の接種物カウントのlog10と曝露後の接種物カウントのlog10との間の差によって求められたlog10減少として一般に報告される。
【0036】
好ましくは、本発明の組成物は、基材上で使用された時にトータル好気性細菌カウントの少なくとも1−log平均減少を実証する。高められた活性と相乗活性とを区別するためにチェッカー盤効力検定を行うことができる。
【0037】
「貯蔵寿命」は、加工食品が腐敗するのに要する期間を意味する。例えば、牛肉は、表皮の区域(1平方センチメートル)についての細菌カウントが10(平方センチメートル当たりのコロニー形成単位)に等しいかもしくはそれ以上である場合に腐敗していると考えることができる。
【0038】
「媒体」は、組成物の成分のためのキャリアを意味する。抗菌性組成物では、媒体は典型的には主要量で存在する成分である。
【0039】
抗菌「活性」は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌、真菌類、真菌胞子、酵母、マイコプラズマ生物、ならびに脂質被覆ウィルスを含むがそれらに限定されない微生物に対する活性を含む。
【0040】
「安定な活性」は、組成物の抗菌活性が本質的に一定のままであるかまたは指定レベルより上に留まることを意味する。幾つかの組成物で、プロピレングリコール脂肪酸エステル、および任意にグリセロール脂肪酸エステルは、存在する他の成分と反応するかもしれないが、全体組成物は安定な活性を保持するであろう。
【0041】
本発明の好ましい組成物は物理的に安定である。本明細書で定義されるところでは、「物理的に安定な」組成物は、23℃で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間の貯蔵の間にそれらの元の状態から、実質的な沈澱、結晶化、相分離などによって有意に変化しないものである。ほとんどの実施形態では、組成物は4℃より上でほとんどのまたは何の相分離もなしに物理的に安定であろう。特に好ましい組成物は、組成物の10ミリリットル(10mL)サンプルが15mL円錐状の目盛付きプラスチック遠心分離管(コーニング(Corning))に入れられ、ヘラエウス・セパテック有限責任会社(Heraeus Sepatech GmbH)、西独国オステロード(Osterode,West Germany)によって製造されたラボフージ(Labofuge)B、モデル2650を用いて3,000回転毎分(rpm)で10分間遠心分離された時に、チューブの底部および最上部に何の目に見える相分離もない場合に物理的に安定である。
【0042】
本発明の好ましい組成物は、良好な化学的安定性を示す。これは、例えば、エステル交換をしばしば受け得る抗菌性脂肪酸エステルで特に懸案事項であり得る。ほとんどの組成物で、プロピレングリコール脂肪酸エステルは化学的に安定であり、ほとんどまたは何の加水分解も受けない。好ましい組成物は、50℃で4週間のエージング後に抗菌性脂質成分の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも95%を保持する(3サンプルの平均)。最も好ましい組成物は、密封容器中50℃で4週間のエージング後に抗菌性脂質の少なくとも平均97%を保持する。パーセント保持率は、完全に同じように調製されたサンプル(好ましくは同じバッチから)に分解を引き起こさない密封容器中でエージングされたサンプル中に残っている量を調製され室温で1〜5日間放置されたサンプル中の実際の測定レベルと比較して、保持された抗菌性脂質成分の量を意味すると理解される。複数部分中にあることを意図される組成物については、抗菌性脂肪酸エステルを含む部分は好ましくは上記の安定性を示す。抗菌性脂質成分のレベルは、実施例2に含まれる試験方法で記載されるようにガスクロマトグラフィーを用いて好ましくは測定される。
【0043】
抗菌性調合物
本発明の抗菌性調合物は、1つもしくはそれ以上の脂肪酸エステル、脂肪族エーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体、1つもしくはそれ以上のエンハンサー、および任意に1つもしくはそれ以上の界面活性剤を含む。本組成物は、植物および植物部分、肉および他の食品上でならびに無生物表面上でグラム陰性およびグラム陽性菌、ウィルス、真菌類および真菌胞子をはじめとする微生物のレベルを下げるために使用することができる。本明細書で用いるところでは、「微生物のレベルを下げること」は、微生物増殖を抑制すること、微生物死亡を促進すること、ならびに植物または植物部分、肉および他の食品の表面からならびに無生物表面から微生物を除去することを含む。
【0044】
好ましくは、本発明の組成物は低密度液体溶液として調合される。しかしながら、組成物の幾つかは次の形の1つで調合されてもよい。
【0045】
疎水性軟膏
組成物は疎水性ベース(例えば、増粘またはゲル化した水不溶性オイル)で調合され、任意に少量の水溶性相を有する。
【0046】
水中油型エマルジョン
組成物は、抗菌性脂質成分が疎水性成分の不連続相と、水および任意に1つもしくはそれ以上の極性の親水性キャリアならびに塩、界面活性剤、乳化剤、および他の成分を含む連続水相とを含むエマルジョン中へ乳化されている調合物であってもよい。これらのエマルジョンは、水溶性または水膨潤性ポリマーならびにエマルジョンを安定化させるのを助ける1つもしくはそれ以上の乳化剤を含んでもよい。これらのエマルジョンは、2001年9月28日に出願された米国特許出願第09/966,511号明細書に記載されているように、より高い導電率値を一般に有する。
【0047】
油中水型エマルジョン
組成物は、抗菌性脂質成分が疎水性成分の連続相と、水および任意に1つもしくはそれ以上の極性の親水性キャリアならびに塩または他の成分を含む水相とを含むエマルジョン中へ組み入れられている調合物であってもよい。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマーならびにエマルジョンを安定化させるのを助ける1つもしくはそれ以上の乳化剤を含んでもよい。
【0048】
増粘水性ゲル
これらのシステムは、少なくとも500センチポアズ(cps)、より好ましくは少なくとも1,000cps、さらにより好ましくは少なくとも10,000cps、さらにより好ましくは少なくとも20,000cps、さらにより好ましくは少なくとも50,000cps、さらにより好ましくは少なくとも75,000cps、さらにより好ましくは少なくとも100,000cps、さらにより好ましくは少なくとも250,000cps(そしてさらに500,000cps、1,000,000cps、またはそれ以上ほどに高い)の粘度を達成するために増粘された水相を含む。これらのシステムは、下に記載されるような好適な天然ポリマー、変性された天然ポリマー、または合成ポリマーによって増粘することができる。あるいはまた、増粘水性ゲルは、組成物ならびに他の非イオン性、陽イオン性、または陰イオン性乳化剤システムを効果的に増粘する好適なポリエトキシル化アルキル鎖界面活性剤を用いて増粘することができる。幾つかのポリエトキシル化乳化剤は抗菌性脂質を特により高い濃度で不活性化し得るので、好ましくは、陽イオン性または陰イオン性乳化剤システムが選ばれる。ある種の実施形態については、陰イオン性乳化剤システムが使用される。
【0049】
親水性媒体
これらは、連続相が水以外の少なくとも1つの水溶性の親水性成分を含むシステムである。調合物は、任意にまた20重量%以下の水を含有してもよい。より高いレベルが幾つかの組成物で好適であるかもしれない。好適な親水性成分は、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのような1つもしくはそれ以上のグリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシドのランダムまたはブロック共重合体、分子当たり1つもしくはそれ以上の疎水性部分を有するポリアルコキシル化界面活性剤、シリコーンコポリオール、ならびにそれらの組み合わせなどを含む。当業者は、エトキシル化のレベルが親水性成分を23℃で水溶性または水分散性にするのに十分であるべきであることを認めるであろう。ほとんどの実施形態では、含水率は、組成物の20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。
【0050】
ニート組成物
本発明の抗菌性脂質成分はまた、ニート形でまたは容易に蒸発してニート組成物を後に残す揮発性溶剤中で基材に配送されてもよい。かかる組成物は、固体、半固体または液体であってもよい。組成物が固体であるケースでは、抗菌性脂質成分、および/またはエンハンサーおよび/または界面活性剤は、配送を持続するか容易に配送される粉末の製造を促進するかのどちらかのために、任意にマイクロカプセル化されてもよい。あるいはまた、組成物は他の成分の添加なしに細粉へ微粉化することができる、またはそれは任意に粉末製造を促進するフィラーおよび他の成分を含有してもよい。好適な粉末は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーを含むが、それらに限定されない。
【0051】
あるいはまた、暖められた時にゲル化するまたは増粘する調合物を考えることができる。例えば、プルロニック(Pluronic)F127(例えば、約17重量%より大きい)、ならびに類似構造の他のポロキサマー(Poloxamer)をベースとする水性組成物は、4℃では比較的低い粘度であるが、35℃より上に暖められた時に非常に粘稠になることができる。
【0052】
同様に、粘度および/または溶融温度は、不溶性フィラー/チキソトロープの添加のような結晶性または半結晶性乳化剤および/または疎水性キャリアの組み入れによってか、ポリマー増粘剤(例えば、ペトロラタム媒体中のポリエチレンワックス)の添加によってかのどちらかで高めることができる。ポリマー増粘剤は、線状であっても、分岐していても、またはわずかに架橋していてもよい。
【0053】
抗菌性脂質
抗菌性脂質は、抗菌活性の少なくとも一部を提供する組成物の当該成分である。すなわち、抗菌性脂質は、少なくとも1つの微生物に対して少なくとも幾らかの抗菌活性を有する。それは本発明の組成物の主要な活性成分と一般に考えられる。抗菌性脂質は、多価アルコールの1つもしくはそれ以上の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらの(エステルおよびエーテルのどちらかまたは両方の)アルコキシル化誘導体、およびそれらの組み合わせを含む。ある種の実施形態では、抗菌性脂質成分は、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C8〜C14)飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪酸エステル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C7〜C14)飽和脂肪族エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C8〜C14)飽和脂肪族エーテル)、多価アルコールの(C8〜C22)不飽和脂肪族エーテル(好ましくは、多価アルコールの(C12〜C22)不飽和脂肪族エーテル)、それらのアルコキシル化誘導体、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択された化合物であって、アルコキシル化誘導体が多価アルコールのモル当たり5モル未満のアルコキシドを有する化合物を含む。
【0054】
多価アルコールの脂肪酸エステルは好ましくは式(R−C(O)−O)−R(式中、Rは(C7〜C14)飽和脂肪酸(好ましくは、(C8〜C14)飽和脂肪酸)、または(C8〜C22)不飽和(好ましくは、ポリ不飽和を含む(C12〜C22)不飽和)脂肪酸の残基であり、Rは多価アルコール(典型的にはグリセリン、プロピレングリコール、またはショ糖)の残基であり、そしてn=1または2である)のものである。R基は少なくとも1つの遊離のヒドロキシル基(好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、またはショ糖の残基)を含む。多価アルコールの好ましい脂肪酸エステルは、C7、C8、C9、C10、C11、およびC12飽和脂肪酸から誘導されたエステルである。多価アルコールがグリセリンまたはプロピレングリコールである実施形態については、n=1であるが、それがショ糖である時はn=1または2である。
【0055】
ラウリン酸、カプリル酸およびカプリン酸のグレセロールモノエステルおよび/またはラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸およびヘプタン酸のプロピレングリコールモノエステルのような脂肪酸モノエステルは、グラム陽性菌、真菌類、酵母および脂質被覆ウィルスに対して活性であるが、単独ではグラム陰性菌に対して一般に活性ではない。模範的な脂肪酸モノエステルは、ラウリン酸(モノラウリン)、カプリル酸(モノカプリリン)、およびカプリン酸(モノカプリン)のグリセロールモノエステル、ならびにラウリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸のプロピレングリコールモノエステル、ならびにショ糖のラウリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸モノエステルを含むが、それらに限定されない。模範的な脂肪酸ジエステルは、ショ糖のラウリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸ジエステルを含むが、それらに限定されない。他の脂肪酸モノエステルは、オレイン(18:1)、リノール(18:2)、リノレン(18:3)、およびアラキドン(20:4)不飽和(ポリ不飽和を含む)脂肪酸のグリセリンおよびプロピレングリコールモノエステルを含む。一般に知られているように、例えば、18:1は、化合物が18個の炭素原子および1個の炭素−炭素二重結合を有することを意味する。
【0056】
ある種の好ましい実施形態では、および食品での使用のための特定のそれら実施形態では、本発明組成物での使用に好適である脂肪酸モノエステルは、GMLまたは商品名ラウリシジン(一般にモノラウリンまたはグリセロールモノラウレートと言われるラウリン酸のグリセロールモノエステル)、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、およびそれらの組み合わせのような、ラウリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸の公知のモノエステルを含む。
【0057】
多価アルコールの脂肪族エーテルは好ましくは式(R−O)−R(式中、Rは(C7〜C12)飽和脂肪族基(好ましくは、(C8〜C12)飽和脂肪族基)、または(C8〜C22)不飽和(好ましくは、ポリ不飽和を含む(C12〜C22)不飽和)脂肪族基であり、Rはグリセリン、ショ糖、またはプロピレングリコールの残基であり、そしてn=1または2である)のものである。グリセリンおよびプロピレングリコールについては、n=1であり、ショ糖についてはn=1または2である。好ましい脂肪族エーテルは、(C7〜C12)アルキル基(好ましくは、(C8〜C12)アルキル基)のモノエーテルである。
【0058】
模範的な脂肪族モノエーテルは、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、およびカプリリルプロピレングリコールエーテルを含むが、それらに限定されない。他の脂肪族モノエーテルは、オレイル(18:1)、リノレイル(18:2)、リノレニル(18:3)、およびアラコニル(20:4)不飽和およびポリ不飽和脂肪族アルコールのグリセリンおよびプロピレングリコールモノエーテルを含む。本発明組成物での使用に好適である脂肪族モノエーテルは、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、カプリリルプロピレングリコールエーテル、およびそれらの組み合わせを含む。
【0059】
前述の脂肪酸エステルおよび脂肪族エーテルのアルコキシル化誘導体(例えば、残存アルコール基上でエトキシル化および/またはプロポキシル化されているもの)はまた、全アルコキレートが比較的低く保たれる限り、抗菌活性を有する。好ましいアルコキシル化レベルは米国特許第5,208,257号明細書(カバラ)に開示されている。エステルおよびエーテルがエトキシル化されているケースでは、エチレンオキシドの全モルは好ましくは5未満、より好ましくは3未満である。
【0060】
多価アルコールの脂肪酸エステルまたは脂肪族エーテルは、通常の技法によって、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化および/またはプロポキシル化することができる。アルコキシル化剤は好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびそれらの混合物、ならびに類似のオキシラン化合物よりなる群から選択される。
【0061】
本発明の組成物は、所望の結果を生み出すために好適なレベルで1つもしくはそれ以上の脂肪酸エステル、脂肪族エーテル、アルコキシル化脂肪酸エステル、またはアルコキシル化脂肪族エーテルを含む。使用前に希釈された時、抗菌性組成物は、組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、好ましくは少なくとも0.10%、より好ましくは少なくとも1重量%の総量のかかる材料を典型的には含む。
【0062】
1つもしくはそれ以上の脂肪酸モノエステル、脂肪族モノエーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体を含む本発明の好ましい組成物はまた、ある量のジ−もしくはトリ−脂肪酸エステル(すなわち、脂肪酸ジ−もしくはトリ−エステル)、ジ−もしくはトリ−脂肪族エーテル(すなわち、脂肪族ジ−もしくはトリ−エーテル)、またはそれらのアルコキシル化誘導体を含むことができる。プロピレングリコールのモノエステル、モノエーテル、またはアルコキシル化誘導体については、好ましくは40%以下の二官能性物質が存在する。グリセリンのモノエステル、モノエーテル、またはアルコキシル化誘導体については、好ましくは少量の二−または三−官能性物質が存在するに過ぎない。グリセリンの脂肪酸モノエステルおよび脂肪族モノエーテルのケースでは、組成物中に存在する抗菌性脂質の総重量を基準にして、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは7重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下、そしてさらにより好ましくは5重量%以下のジエステル、ジエーテル、トリエステル、トリエーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体が存在する。
【0063】
プロピレングリコール脂肪酸エステルが使用される場合、組成物中のこれらのエステルは、抗菌活性体および別個の媒体として別の水性または非水性溶剤を必要としない媒体の両方として二重の目的を果たす。4℃以上で液体である他の抗菌性脂質もまた、媒体および抗菌活性体の両方として機能することができる。好ましい実施形態では、室温で固体である抗菌性脂質が使用される場合、抗菌性組成物は4℃以上で液体であるべきである。他のそれほど好ましくない実施形態では、組成物は、抗菌性脂質が液体であろうと固体であろうと固体であるかもしれない。本発明の組成物は、食品または他の処理表面により高い濃度の抗菌性脂質を配送するために、媒体および活性な抗菌剤の両方としての非常に濃厚な抗菌性溶液を開示する。これらの組成物は、効能を上げ、かつまた、同時に安定な組成物を与え、そして使用のコストを低減する。
【0064】
エンハンサー
本発明の組成物は、特に大腸菌のようなグラム陰性菌に対する抗菌活性を高めるためのエンハンサー(好ましくは相乗剤)を含む。エンハンサーは、アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、カルボン酸以外のキレート剤、フェノール系化合物(ある種の酸化防止剤およびパラベンのような)、または(C1〜C10)一価アルコールであってもよい。他の好適なエンハンサーは、本明細書と同じ日に出願された出願人の同時係属米国特許出願第 号明細書(代理人整理番号第58929US004号)に記載されているように、バクテリオシン、抗菌性酵素、鉄結合タンパク質およびその誘導体、シデロホア、糖、糖アルコール、ならびにそれらの組み合わせを含む。必要ならばエンハンサーの様々な組み合わせを使用することができる。
【0065】
アルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、および他のカルボン酸エンハンサーは、好ましくはそれらのプロトン化された遊離酸型で存在する。酸エンハンサーのすべてが遊離酸型で存在する必要はないが、下にリストされる好ましい濃度は遊離酸型で存在する量を意味する。さらに、カルボン酸基を含むキレート化剤エンハンサーは好ましくは、それらの遊離酸型で少なくとも1つの、より好ましくは少なくとも2つのカルボン酸基付きで存在する。下に与えられる濃度は、これがそのケースであることを前提としている。
【0066】
1つもしくはそれ以上のエンハンサーが所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして少なくとも0.01重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして20重量%以下の総量で存在する。かかる濃度はアルファ−ヒドロキシ酸、ベータ−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、キレート剤、フェノール類、(C5〜C10)一価アルコールに適用される。下により詳細に記載されるように、一般に、より高い濃度が(C1〜C4)一価アルコールに必要とされる。
【0067】
アルファ−ヒドロキシ酸
アルファ−ヒドロキシ酸は典型的には式
(CROH)COOH
(式中、RおよびRはそれぞれ独立してHまたは(C1〜C8)アルキル基(直鎖、分岐、または環式の)、(C6〜C12)アリール、または(C6〜C12)アラルキルもしくはアルカリール基(ここで、アルキル基は直鎖、分岐、または環式である)であり、ここで、RおよびRは任意に1つもしくはそれ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく、n=1〜3、好ましくはn=1〜2である)
で表される化合物である。
【0068】
模範的なアルファ−ヒドロキシ酸は、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、アルファ−ヒドロキシエタン酸、アスコルビン酸、アルファ−ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシカプリル酸、ならびにそれらの誘導体(例えば、ヒドロキシル、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン、ならびにそれらの組み合わせで置換された化合物)を含むが、それらに限定されない。好ましいアルファ−ヒドロキシ酸は乳酸、リンゴ酸、およびマンデル酸を含む。これらの酸はD、L、またはDL型にあってもよく、遊離酸、ラクトン、またはその部分塩として存在してもよい。好ましくは、酸は遊離酸型で存在する。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用なアルファ−ヒドロキシ酸は、乳酸、マンデル酸、およびリンゴ酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。他の好適なアルファ−ヒドロキシ酸は米国特許第5,665,776号明細書(ユ(Yu))に記載されている。
【0069】
1つもしくはそれ以上のアルファ−ヒドロキシ酸が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.25重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは3重量%以下の総量で存在する。
【0070】
ベータ−ヒドロキシ酸
ベータ−ヒドロキシ酸は典型的には式
(CROH)(CHRCOOHまたは
【化1】

(式中、R、R、およびRはそれぞれ独立してHまたは(C1〜C8)アルキル基(飽和の直鎖、分岐、または環式の)、(C6〜C12)アリール、または(C6〜C12)アラルキルもしくはアルカリール基(ここでアルキル基は直鎖、分岐、または環式である)であり、ここで、RおよびRは任意に1つもしくはそれ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく、m=0または1であり、n=1〜3(好ましくは、n=1〜2)であり、R21はH、(C1〜C4)アルキルまたはハロゲンである)
で表される化合物である。
【0071】
模範的なベータ−ヒドロキシ酸は、サリチル酸、ベータ−ヒドロキシブタン酸、トロパ酸、およびトレトカン酸を含むが、それらに限定されない。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用なベータ−ヒドロキシ酸は、サリチル酸、ベータ−ヒドロキシブタン酸、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。他の好適なベータ−ヒドロキシ酸は米国特許第5,665,776号明細書(ユ(Yu))に記載されている。
【0072】
1つもしくはそれ以上のベータ−ヒドロキシ酸が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.25重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.5重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは3重量%以下の総量で存在する。
【0073】
低濃度の水のシステムでは、または本質的に水なしであるシステムでは、エステル交換が脂肪酸モノエステル(FAME)、脂肪族アルキルモノエーテル(FAMEth)、およびこれら活性成分のアルコキシル化誘導体の損失の主要ルートであるかもしれない。従って、ある種のベータ−ヒドロキシ酸(BHA) は、これらがAHAまたはBHAのヒドロキシル基の反応によってエステル抗菌性脂質または他のエステルをエステル交換する可能性が少ないので特に好ましい。例えば、サリチル酸は、フェノール性ヒドロキシル基がはるかにより酸性なアルコールであり、従ってはるかに反応する可能性が少ないので、ある種の調合物で特に好ましいかもしれない。
【0074】
他のカルボン酸
アルファ−およびベータ−カルボン酸以外のカルボン酸はエンハンサーとしての使用に好適である。これらは、18個に等しいかもしくはそれ未満の炭素原子を典型的には有するアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリールカルボン酸を含む。これらのうちの好ましいクラスは、次式
10(CR11COOH
(式中、R10およびR11はそれぞれ独立してHまたは(C1〜C4)飽和もしくは不飽和脂肪族基(それは直鎖、分岐、もしくは脂環式基であることができる)、(C6〜C12)アリール基、アリール基および脂肪族基(それは直鎖、分岐、もしくは脂環式基であることができる)の両方を含有する(C6〜C18)基であり、ここで、R10およびR11は任意に1つもしくはそれ以上のカルボン酸基で置換されていてもよく、n=0〜3、好ましくはn=0〜2である)
で表すことができる。
【0075】
模範的な酸は、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンジル酸、ノニル安息香酸などを含むが、それらに限定されない。安息香酸が特に好ましい。
【0076】
1つもしくはそれ以上のカルボン酸が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた濃度組成物を基準にして、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.25重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは3重量%以下の総量で存在する。
【0077】
キレート化剤
キレート剤(すなわち、キレート化剤)は典型的には、溶液中の金属イオンと多重配位サイト可能な有機化合物である。典型的には、これらのキレート剤はポリアニオン性化合物であり、多価金属イオンに最も良く配位する。模範的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(例えば、EDTA(Na)、EDTA(Na)、EDTA(Ca)、EDTA(K))、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、ポリリン酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性化ヘキサメタリン酸ナトリウム、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエチレン、1,1−ジホスホン酸、ならびにジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)を含むが、それらに限定されない。ある種のカルボン酸、特にアルファ−ヒドロキシ酸およびベータ−ヒドロキシ酸、例えばリンゴ酸および酒石酸もまたキレート化剤として機能することができる。
【0078】
親鉄剤、および鉄結合タンパク質のような第一鉄および/または第二鉄イオンを結合するのに非常に特異的な化合物もまたキレート化剤として含まれる。鉄結合タンパク質は、例えば、ラクトフェリン、およびトランスフェリンを含む。親鉄剤は、例えば、エンテロチリン(enterochlin)、エンテロバクチン、ビブリオバクチン(vibriobactin)、アングイバクチン(anguibactin)、ピオケリン(pyochelin)、ピオヴァージン(pyoverdin)、およびエアロバクチンを含む。
【0079】
ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸およびその塩、コハク酸、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択されたものを含む。好ましくは、EDTAの遊離酸かモノ−またはジ−塩形かのどちらかが使用される。
【0080】
1つもしくはそれ以上のキレート剤が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の重量を基準にして、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.05重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下の総量で存在する。
【0081】
フェノール系化合物
フェノール系化合物エンハンサーは典型的には次の一般構造
【化2】

(式中、mは0〜3(特に1〜3)であり、nは1〜3(特に1〜2)であり、各R12は独立して、任意に鎖中にもしくは鎖上にOで(例えば、カルボニル基として)または鎖上にOHで置換された12個以下の炭素原子(特に8個以下の炭素原子)のアルキルまたはアルケニルであり、各R13は独立してHおよび任意に鎖中にもしくは鎖上にOで(例えば、カルボニル基として)または鎖上にOHで置換された8個以下の炭素原子(特に6個以下の炭素原子)のアルキルまたはアルケニルであるが、R13がHである場合、nは好ましくは1または2である)
を有する化合物である。
【0082】
フェノール系エンハンサーの例には、ブチル化ヒドロキシアニソール、例えば、3(2)−第三ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルフェノール、2,6−ジ−第三−4−ヘキシルフェノール、2,6−ジ−第三−4−オクチルフェノール、2,6−ジ−第三−4−デシルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−第三−4−ブチルフェノール、2,5−ジ−第三ブチルフェノール、3,5−ジ−第三ブチルフェノール、4,6−ジ−第三ブチル−レゾルシノール、メチルパラベン(4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル)、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、2−フェノキシエタノール、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。フェノール系化合物の好ましいグループは、上に示された一般構造(ここでR13=Hであり、およびR12は8個以下の炭素原子のアルキルまたはアルケニル基であり、nは0、1、2、または3であり、特に少なくとも1つのR12はブチル、特に第三ブチルである)を有するフェノール化学種、特にその非毒性メンバーである。好ましいフェノール系相乗剤の幾つかはBHA、BHT、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびブチルパラベンならびにこれらの組み合わせである。
【0083】
1つもしくはそれ以上のフェノール系化合物が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。医療グレード組成物中のフェノール系化合物の濃度は広く変動してもよいが、上記のエステルが上記範囲内に存在する場合、組成物の総重量を基準にして0.001重量%ほどの少量が有効であり得る。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物を基準にして、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.10重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.25重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物を基準にして、8重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下の総量で存在する。
【0084】
フェノール類の上記濃度は、後の希釈のための濃厚調合物が意図されない限り、普通に観察される。一方、抗菌効果を提供するためのフェノール類および抗菌性脂質成分の最低濃度は、特定の用途と共に変動するであろう。
【0085】
一価アルコール
追加のエンハンサーは1〜10個の炭素原子を有する一価アルコールである。これは低級(すなわち、C1〜C4)一価アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、およびブタノール)ならびに長鎖(すなわち、C5〜C10)一価アルコール(例えば、イソブタノール、t-ブタノール、オクタノール、およびデカノール)を含む。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用なアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0086】
1つもしくはそれ以上のアルコールが所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、短鎖(すなわち、C1〜C4)アルコールは、使用準備のできた組成物を基準にして、少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらにより好ましくは少なくとも25重量%の総量で存在する。別の好ましい実施形態では、長鎖(すなわち、C5〜C10)アルコールは、使用準備のできた組成物を基準にして、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.25重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.5重量%、最も好ましくは少なくとも1.0%の総量で存在する。好ましい実施形態では、(C5〜C10)アルコールは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下の総量で存在する。
【0087】
エンハンサーがイソプロパノールまたはエタノールのようなアルコールである場合、相乗的な抗菌活性を維持する最低濃度は約15重量%(例えばエタノールについては20〜30重量%およびイソプロパノールについては15〜20重量%)である。デシルアルコールのような長鎖アルコールについては、相乗的な活性を維持する最低濃度は約1重量%(例えば1〜2重量%)であるが、1−オクタノールについては、最低濃度は約0.5重量%(例えば0.5〜1.0重量%)である。
【0088】
界面活性剤
本発明の組成物は、組成物を乳化させるための、および表面を湿らせて微生物に接触させるのを助けるための界面活性剤を含むことができる。本明細書で用いるところでは、用語「界面活性剤」は、共有結合している極性領域および非極性領域の両方を有する分子と定義される両親媒性物質を意味する。該用語は、石鹸、洗剤、乳化剤、表面活性剤などを含むことを意図される。界面活性剤は陽イオン性、陰イオン性、非イオン性、または両性イオン性であることができる。これは多種多様な通常の界面活性剤を含むが、ある種のエトキシル化界面活性剤は抗菌性脂質の抗菌性効能を低下させるまたは排除するかもしれない。この正確なメカニズムは知られていないが、すべてのエトキシル化界面活性剤がこの負の効果を示すわけではない。例えば、ポロキサマー・ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド界面活性剤は抗菌性脂質成分と適合性であることが示されてきたが、ICIによって商品名トゥイーン(TWEEN)で販売されているもののようなエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステルは幾つかの調合物で適合性ではなかった。これらは大まかな一般化であり、活性は調合物依存性であり得る、すなわち、使用される抗菌性脂質およびエトキシル化界面活性剤の両方の選択および量に基づき得ることに留意されるべきである。当業者は、調合物を製造し、そして実施例セクションに記載されるように抗菌活性について試験することによって界面活性剤の適合性を容易に判断することができる。必要ならば様々な界面活性剤の組み合わせを使用することができる。
【0089】
様々なクラスの界面活性剤の例は下に記載される。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用な界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、ホスフェート、ポロキサマー(ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロック共重合体)、陽イオン性界面活性剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。ある種のより好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用な界面活性剤は、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0090】
1つもしくはそれ以上の界面活性剤が所望の結果を生み出すために好適なレベルで本発明の組成物に使用されてもよい。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、少なくとも0.1重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも1.0重量%の総量で存在する。好ましい実施形態では、それらは、使用準備のできた組成物の総重量を基準にして、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下の総量で存在する。界面活性剤の総濃度対抗菌性脂質成分の総濃度の比は、重量基準で、好ましくは5:1〜1:100、より好ましくは3:1〜1:10、最も好ましくは2:1〜1:3の範囲内である。
【0091】
陽イオン性界面活性剤
模範的な陽イオン性界面活性剤は、第一級、第二級または第三級脂肪族アミンおよびそれらのポリオキシアルケネート化誘導体の塩;テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムまたはアルキルピリジニウム・ハロゲン化物(好ましくは塩化物または臭化物)のような第四級アンモニウム塩;イミダゾリン誘導体;陽イオン性のアミンオキシド(例えば、酸性pHで)を含むが、それらに限定されない。
【0092】
ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用な陽イオン性界面活性剤は、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、およびアルキルピリジニウム・ハロゲン化物、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0093】
次式
(R14N→O
(式中、R14は(C1〜C22)アルキル基(好ましくは(C1〜C14)アルキル基)または(C6〜C18)アラルキルもしくは(C6〜C18)アルカリール基であり、ここで、これらの基のいかなるものも任意に、アミド、エステル、ヒドロキシルなどのようなN、O、S含有基によって鎖中または鎖上で置換されることができる。各R14は、少なくとも1つのR14基が少なくとも8個の炭素を含むという条件で同じものであっても異なるものであってもよい。任意に、R14基は結合して窒素入り複素環を形成し、アルキルモルホリン、アルキルピペラジンなどのアミンオキシドのような界面活性剤を形成することができる。好ましくは2つのR14基はメチルであり、1つのR14基は(C12〜C16)アルキルまたはアルキルアミドプロピル基である)
のアルキルおよびアルキルアミドアルキルジアルキルアミンオキシドをはじめとするアミンオキシド界面活性剤もまた特に好ましい。
【0094】
陰イオン性界面活性剤
模範的な陰イオン性界面活性剤は、サルコシシ酸塩、グルタミン酸塩、アルキル硫酸塩、アラルキル硫酸塩、アルキルエーテル(alkyleth)硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル(laureth)−n−硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル−n−硫酸塩、イセチオン酸塩、グリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホスクシネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、アルキルホスホネート、およびアラルキルホスホネートを含むが、それらに限定されない。これらの陰イオン性界面活性剤は金属または有機アンモニウム対イオンを有してもよい。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用な陰イオン性界面活性剤は、下記よりなる群から選択される。
【0095】
1.スルホネートおよびスルフェート
好適な陰イオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンエーテル硫酸塩、アルキルスルホアセテート、第二アルカンスルホン酸塩、第二アルキル硫酸塩などのようなスルホネートおよびスルフェートを含む。これらの多くは式
14−(OCHCH(OCH(CH)CH−(Ph)−(OCHCH−(O)−SO、および
14−CH[SO−M]−R15
(式中、aおよびb=0または1であり、n、p、m=0〜100(好ましくは0〜20、より好ましくは0〜10)であり、R14は、少なくとも1つのR14またはR15が少なくともC8であるという条件で上記のように定義され、R15は、任意にN、O、もしくはS原子またはヒドロキシル、カルボキシル、アミド、もしくはアミン基で置換されていてもよい(C1〜C12)アルキル基(飽和の直鎖、分岐、または環式基)であり、Ph=フェニルであり、Mは、H、Na、K、Li、アンモニウム、トリエタノールアミンのようなプロトン化第三級アミンまたは第四級アンモニウム基のような陽イオン性対イオンである)
で表すことができる。
【0096】
上の式において、エチレンオキシド基(すなわち、「n」および「m」基)ならびにプロピレンオキシド基(すなわち、「p」基)は、逆の順番でならびにランダム、順次、またはブロック配列で存在することができる。好ましくはこのクラスについて、R14は、R16−C(O)N(CH)CHCH−のようなアルキルアミド基、ならびに−OC(O)−CH−のようなエステル基を含み、ここで、R16は(C8〜C22)アルキル基(分岐、直鎖、または環式基)である。
【0097】
2.ホスフェートおよびホスホネート
好適な陰イオン性界面活性剤はまた、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アラルキルリン酸塩、およびアラルキルエーテルリン酸塩のようなホスフェートを含む。多くは式
[R14−(Ph)−O(CHCHO)(CHCH(CH)O)−P(O)[O
(式中、Ph、R14、a、n、p、およびMは上に定義されており、rは0〜2であり、q=1〜3であり、ただし、q=1の時、r=2であり、q=2の時、r=1であり、q=3の時、r=0である。上記のように、エチレンオキシド基(すなわち、「n」基)およびプロピレンオキシド基(すなわち、「p」基)は、逆の順番でならびにランダム、順次、またはブロック配列で存在することができる)
で表されてもよい。
【0098】
両性界面活性剤
両性タイプの界面活性剤は、プロトン化されていてもよい第三級アミン基を有する界面活性剤、ならびに第四級アミン含有両性イオン性界面活性剤を含む。特に有用であったものは下記を含む。
【0099】
1.カルボン酸アンモニウム両性物質
このクラスの界面活性剤は次式
17−(C(O)−NH)−R18−N(R19−R20−COO
(式中、a=0または1であり、R17は、(C7〜C21)アルキル基(飽和の直鎖、分岐、または環式基)、(C6〜C22)アリール基または(C6〜C22)アラルキルもしくはアルカリール基(飽和の直鎖、分岐、または環式アルキル基)であり、ここで、R17は、任意に1つもしくはそれ以上のN、O、もしくはS原子、または1つもしくはそれ以上のヒドロキシル、カルボキシル、アミド、もしくはアミン基で置換されていてもよく、R19は、Hまたは(C1〜C8)アルキル基(飽和の直鎖、分岐、または環式基)(ここでR19は、任意に1つもしくはそれ以上のN、O、もしくはS原子、または1つもしくはそれ以上のヒドロキシル、カルボキシル、もしくはアミン基で置換されていてもよい)、(C6〜C9)アリール基、または(C6〜C9)アラルキルもしくはアルカリール基であり、R18およびR20はそれぞれ独立して、同じものであっても異なるものであってもよい、かつ、任意に1つもしくはそれ以上のN、O、もしくはS原子、または1つもしくはそれ以上のヒドロキシルもしくはアミン基で置換されていてもよい(C1〜C10)アルキレン基である)
で表すことができる。
【0100】
より好ましくは、上の式において、R17は(C1〜C18)アルキル基であり、R19は、好ましくはメチルまたはベンジル基で、最も好ましくはメチル基で置換された(C1〜C2)アルキル基である。R19がHである場合、より高いpH値での界面活性剤はNa、K、Li、または第四級アミン基のような陽イオン性対イオン付き第三級アミンとして存在し得ることが理解される。
【0101】
2.スルホン酸アンモニウム両性物質
このクラスの両性界面活性剤は、しばしば「サルテイン(sultain)」または「スルホベタイン」と言われ、次式
17−(C(O)−NH)−R18−N(R19−R20−SO
(式中、R17〜R20および「a」は上に定義されている)
で表すことができる。スルホ両性物質は、スルホネート基がはるかにより低いpH値でイオン化したままであろうから、カルボン酸塩両性物質よりも好ましいかもしれない。
【0102】
非イオン性界面活性剤
模範的な非イオン性界面活性剤は、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、ショ糖エステル、脂肪酸と多価アルコールとのエステル、脂肪酸アルカノールアミド、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化脂肪族酸、エトキシル化脂肪族アルコール(例えば、両方ともシグマ(Sigma)、ミズーリ州セントルイス(St.Louis、MO)から、商品名トリトン(TRITON)X−100で入手可能なオクチルフェノキシポリエトキシエタノールおよび商品名ノニデット(NONIDET)P−40で入手可能なノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール)、エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪族アルコール(例えば、シグマから商品名プルロニックF127で入手可能なもの)、エトキシル化グリセリド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)とのエトキシル化ブロック共重合体、エトキシル化環式エーテル付加体、エトキシル化アミドおよびイミダゾリン付加体、エトキシル化アミン付加体、エトキシル化メルカプタン付加体、アルキルフェノールとのエトキシル化縮合物、エトキシル化窒素ベース疎水性物質、エトキシル化ポリオキシプロピレン、高分子シリコ−ン、フッ素化界面活性剤(例えば、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー(Minnesota Mining and Manufacturing Co.)、ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)から商品名フルオラッド(FLUORAD)−FS300で、およびデュポン・ドゥ・ヌムール・カンパニー(Dupont de Nemours Co.)、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)から商品名ゾニール(ZONYL)で入手可能なもの)、ならびに重合性(反応性)界面活性剤(例えば、PPGインダストリーズ社(PPG Industries,Inc.)、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh,PA)から商品名マゾン(MAZON)で入手可能なサム(SAM)211(アルキレンポリアルコキシスルフェート界面活性剤))を含むが、それらに限定されない。ある種の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤は、バスフ(BASF)製のプルロニックのようなポロキサマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0103】
食品用途での調合物
本発明の調合物は、大腸菌O157:H7、ネズミチフス菌(S.typhimurium)を含むサルモネラ血清型、リステリア(例えば、L.モノサイトゲネス)、カンピロバクター(Campylobacter)(例えば、C.ジェジュニ(C.jejuni))、赤痢菌(Shigella)種、およびセレウス菌(Bacillus cereus)をはじめとする食品経由ヒト病原体のレベルを下げるために特に有用である。
【0104】
抗菌性調合物での使用に好適な脂肪酸モノエステルは一般に食品グレード、GRASと考えられ、および/または米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)(FDA)認可食品添加物である。特に、カプリル酸、カプリン酸、ヘプタン酸もしくはラウリン酸のグリセロールモノエステルおよび/またはカプリル酸、カプリン酸、ヘプタン酸もしくはラウリン酸のプロピレングリコールモノエステルのようなC7〜C12脂肪酸(好ましくは、C8〜C12脂肪酸)から誘導された1つもしくはそれ以上の脂肪酸モノエステルが本発明の調合物で有用である。脂肪酸モノエステルの組み合わせを標的微生物に対して誂えることができる。例えば、ラウレートモノエステルは、植物または植物部分の表面上の真菌類レベルを下げることが望まれる場合、カプリレートモノエステルおよび/またはカプレートモノエステルと組み合わせることができる。
【0105】
本発明で有用なモノグリセリドは典型的には、未反応グリセロール、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの混合物の形で入手可能である。従って、高濃度、例えば、約60重量%より高いモノグリセリドを含有する材料を使用することが好ましい。幾つかの組成物では、所望の材料は85重量%または90重量%より高い濃度のモノグリセリドを含有するであろう。特に有用な商業的に入手可能な材料の例には、商品名ラウリシジンでメディ−ケム・ラボラトリーズ(Med−Chem Laboratories)、ミシガン州イースト・ランシング(East Lansing,MI)から入手可能なグリセロールモノラウレート(GML)、それぞれ、商品名ポエム(POEM)TMM−100およびポエムTMM−200で理研ビタミン株式会社、日本国東京から入手可能なグリセロールモノカプリレート(GM−C8)およびグリセロールモノカプレート(GM−C10)、ならびに商品名「モノムルス(MONOMULS)TM90L−12」で独国のヘンケル社(Henkel Corp.of Germany)から入手可能なものが挙げられる。プロピレングリコールモノカプリレート(PG−C8)、プロピレングリコールモノカプレート(PG−C10)、およびプロピレングリコールモノラウレート(PG−C12)は、ユニケマ・インターナショナル(Uniquema International)、イリノイ州シカゴ(Chicago,IL)から入手可能である。
【0106】
食品用途では、エンハンサーは食品グレードであり、GRASリストされており、および/またはFDA認可食品添加物である。好適な有機酸は、例えば、乳酸、酒石酸、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、アスコルビン酸、グリコール酸、リンゴ酸、マンデル酸、酢酸、ソルビン酸、安息香酸、およびサリチル酸を含むことができる。好適なキレート剤は、例えば、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム(スポリックス(SPORIX)酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムのような)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩を含むことができる。好適なアルコールは、例えば、エタノール、イソプロパノール、またはオクタノールもしくはデシルアルコールのような長鎖アルコールを含むことができる。例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、および第三ブチルヒドロキノンのようなフェノール系化合物は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルパラベンのような安息香酸誘導体がそうするように脂肪酸モノエステルと相乗的に作用する。
【0107】
濃厚組成物を提供するために使用される本発明での酸またはキレート剤の量は、典型的には20.0重量%以下、好ましくは約1.0重量%〜10.0重量%である。使用される時、コンセントレートは、約0.01〜1.0重量%、好ましくは約0.01〜0.5重量%の酸またはキレート剤濃度を与えるために媒体で希釈することができる。一つには、食品の味覚、食感、色、臭いまたは外観の望ましくない変化または変更を避けるために、エンハンサーのより低い濃度が必要であるかもしれない。使用される特定のエンハンサーに依存して、それはエステルに可溶で安定な場合、コンセントレート媒体中へ直接調合され得るか、それは好適な溶剤に別々にパックされ得るかのどちらかである。
【0108】
抗菌性調合物はまた、コンセントレートが希釈される時にモノエステルの水への溶解または分散を容易にすることができる、および/または微生物が調合物により容易に接触し、調合物によって殺され得るように付着した微生物を食品および他の基材の表面から解放するまたは取り去るのを助けることができる1つもしくはそれ以上の界面活性剤を含むことができる。陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤は、抗菌性脂肪酸エステルの好適なエマルジョンを作るために使用することができる。例えば、抗菌性調合物は、アシルラクチレート塩、スルホコハク酸ジオクチル塩、ラウリル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、およびC8〜C18脂肪酸の塩のような陰イオン性界面活性剤を含むことができる。好適な塩はナトリウム、カリウム、またはアンモニウム塩を含む。アシルラクチレートは、例えば、ステアロイル−2−ラクチレート・カルシウムまたはナトリウム、イソステアロイル−2−ラクチレート・ナトリウム、ラウロイル−2−ラクチレート・ナトリウム、カプロイルラクチレート・ナトリウム、ココイルラクチレート・ナトリウム、およびベヘノイルラクチレート・ナトリウムを含む。非イオン性界面活性剤はデカグリセリルテトラオレエートのようなグリセロールエステル;ユニケマ・インターナショナル、イリノイ州シカゴからスパン(SPAN)TM20として商業的に入手可能な、ソルビタンモノラウレートのようなソルビタンエステル;およびポリアルキレンオキシドのブロック共重合体、例えば、BASF(ニュージャージー州パーシッパニー(Parsippany,NJ))からプルロニック(Pluronics)TMおよびテトロニック(Tetronics)TMとして入手可能なポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを含む。スルホコハク酸ジオクチル・ナトリウムは、ファインテックス社(Finetex Inc.)、ノースカロライナ州スペンサー(Spencer,North Carolina)からジェムテックス(GEMTEX)TMSC40界面活性剤(イソプロパノール中の40%スルホコハク酸ジオクチル・ナトリウム)として入手可能である。カプロイルラクチレート・ナトリウムは、リタ(RITA)(イリノイ州ウッドストック(Woodstock,IL))からパチオニック(PATIONIC)TM122Aとして商業的に入手可能である。ラウリル硫酸ナトリウムは、ステパン・ケミカル社(Stepan Chemical Co.)、イリノイ州ノースフィールド(Northfield,IL.)から商業的に入手可能である。
【0109】
ほとんどの組成物で、食品グレードおよび/またはGRAS界面活性剤は、約1.0重量%〜30.0重量%、好ましくは約4.0重量%〜12.0重量%の濃厚組成物を提供する量で使用される。使用される場合、コンセントレートは、約0.001重量%〜1.0重量%、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%の界面活性剤濃度を提供するために媒体中に希釈することができる。
【0110】
微生物の増殖を効果的に抑制するために必要とされる前述の成分の濃度は、標的とされる微生物のタイプならびに使用される調合物(例えば、存在する抗菌性脂質、エンハンサー、および界面活性剤のタイプ)に依存する。成分のそれぞれの濃度または量は、別々に考えられる時には、全体としての組成物のように大きなスペクトルの病原性微生物もしくは望まれない微生物を殺さない、それらを迅速に殺さない、またはかかる微生物の数を許容できるレベルまで減らさない。このように、調合物の成分は、一緒に使用される場合に、単独でおよび同じ条件で使用される同じ成分と比較された時に相乗的な抗菌活性を肉、植物もしくは植物部分、または他の処理表面に提供する。抗菌活性の許容できるレベルは、食品中もしくは食品上で、または他の表面上で1−log減少を典型的には超える。
【0111】
それぞれの成分の有効量は、本明細書での教示および当該技術分野で公知の効力検定を用いて当業者によって容易に確認することができる。プロピレングリコールエステルは30〜90重量%の範囲で濃厚な抗菌性組成物中に存在する。多くの実施形態では、プロピレングリコールエステルは組成物の60〜90重量%を占める。本発明のプロピレングリコール脂肪酸エステル中の脂肪酸モノエステルの量は少なくとも60重量%である。
【0112】
主要量のプロピレングリコールエステルを含む組成物は、脂肪酸モノエステル、界面活性剤、エンハンサーおよびプロピレングリコールエステルに可溶性/混和性である他の成分を含有することができる。プロピレングリコールエステルの重量百分率は、最終の濃厚液中で少なくとも30%である。最終のコンセントレート調合物は好ましくは、室温で少なくとも1日間透明のままであり、例えば、単相状態のままである。ある濃度は室温では相分離するかもしれないが、40℃または50℃のような、より高い温度では単相に戻る。
【0113】
本発明の濃厚調製物は調製して直接使用することができるし、または使用前に希釈して非水性もしくは水性の溶液、エマルジョンもしくは懸濁液を調製することができる。溶液または懸濁液を調製するために好適な媒体は、典型的には安全であり、FDAおよび米国環境保護庁(U.S.Environmental Protection Agency)(EPA)のような規制当局に許容されるものである。特に許容される媒体は水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エタノール、イソプロパノール、およびそれらの組み合わせを含む。あるいはまた、1つもしくはそれ以上の抗菌性脂質が媒体として機能してもよい。
【0114】
使用前に希釈された時、脂肪酸モノグリセリドは抗菌性調合物の約0.001重量%〜30重量%であり、エンハンサーは約0.001重量%〜30重量%であり、1つもしくはそれ以上の界面活性剤は0.001重量%〜30重量%である。例えば、使用準備のできた調合物は、0.01重量%〜5.0重量%の脂肪酸モノエステル、約0.5重量%〜30重量%のエンハンサー、および約0.5重量%〜5.0重量%の界面活性剤を含むことができる。特に、使用準備のできた調合物は、約0.2重量%〜約2.0重量%の脂肪酸モノエステル、約0.1重量%〜約25.0重量%のエンハンサー、および約0.1重量%〜約1.5重量%の1つもしくはそれ以上の界面活性剤を含むことができる。
【0115】
抗菌性調合物の追加の成分は、例えば、食品グレードワックス、すなわち、蜜蝋、パラフィン、カルナバ、カンデリラ、ポリエチレンワックスのような食品グレードのコーティング材;樹脂、セラック、ウッドロジン、およびコーンゼインのような他のコーティング材料;調合物をUV不活性化または分解から保護する成分、着色剤、香気増強剤、ゴム・トラガカント、ゴム・アカシア、カラギーナン、カーボポール(Carbopol)(ビー.エフ.グッドリッチ(B.F.Goodrich)、オハイオ州クリーブランド(Cleveland,Ohio))、グァーガム、およびセルロースガムのような粘度調整剤;シリコーン消泡剤、例えば、ポリジメチルシロキサン(ダウ・コーニング(Dow Corning)、ミシガン州ミッドランド(Midland,MI))のような消泡剤、固着剤、または天然オイルもしくは人工甘味料のような風味料を含むことができる。
【0116】
本発明の濃厚組成物は、4〜80℃で組成物のほとんどまたは何の相分離も示さない。ある組成物は4℃で相分離するであろうが、加熱された時に単相に戻るであろう。
【0117】
食品用途で使用される抗菌性調合物は典型的には、塗布時の上昇した温度で増加した抗菌性能を示す。
【0118】
肉および肉製品の処理
本発明の組成物は、当業者に周知の方法および手順を用いて上記の成分を組み合わせることによって調製されてもよい。例えば、濃厚組成物は、プロピレングリコール脂肪酸エステルを70℃に加熱し、界面活性剤を加え、次に脂肪酸エステルに可溶のエンハンサーを加えて溶液を形成することによって調製される。幾つかの実施形態では、抗菌性脂質は、エンハンサーの塗布とは別個の工程で塗布することができる。
【0119】
本発明の組成物は、加工の様々な段階中に様々な好適なやり方で食品加工工場において使用されてもよい。例えば、本発明組成物は、ビーフ屠殺体、牛肉トリム、牛肉プライマル、またはひき肉のような肉製品にスプレー、リンス、または洗浄液として塗布されてもよい。肉製品はまた組成物中に浸漬されてもよい。さらに、本発明は、組成物が加工工場において異なる段階で使用されるのを可能にする広い有用な温度範囲を有する。例えば、組成物は、ビーフ屠殺体を殺菌するために高温で、ならびに牛ひき肉および牛肉トリムを殺菌するために冷温(4〜5℃)で使用されてもよい。同様に、肉または肉製品が調理される場合、本発明の組成物は特に有効であり得る。本発明の組成物はまた、米国特許第5,460,833号明細書および同第5,490,992号明細書に開示されている製品および方法でも有用であるかもしれない。
【0120】
植物および植物部分の処理
本発明の調合物を使用すると、植物病原体のレベルを植物および植物部分の表面上で下げることができ、それは植物および諸物部分の貯蔵寿命を延ばすことができる。植物病原体の非限定的な例には、エルビニア・カロトヴォラ(Erwinia carotovora)、フザリウム(Fusarium)種、ボトリチス(Botrytis)種、フィトプセラ(Phytopthera)種、フォーマ(Phoma)種、ベルチシリウム(Verticilium)種、ペニシリウム(Penicillium)種、およびコレクトトリチュム(Colletotrichum)種が挙げられる。本発明の調合物は、植物および植物部分の表面上のペニシリウム真菌類(penicillium fungi)からの胞子のような胞子の生存率を下げるのに有効である。
【0121】
本発明の調合物は、例えば、吹き付け、浸漬、ワイピング、刷毛塗り、スポンジング、パッディングによって植物および植物部分に塗布することができる。調合物は、植物または植物部分の全体外面の一部分または一面に塗布することができる。ほとんどの塗布では、植物または植物部分の全表面は調合物で十分に濡らされる。幾つかの実施形態では、抗菌性脂質は、エンハンサーの塗布とは別個の工程で塗布することができる。
【0122】
調合物は、2℃〜90℃の範囲の温度で塗布することができ、微生物レベルを下げるのに十分な時間(例えば、10秒〜60分間)植物または植物部分の表面と接触する。典型的には、塗布時間は、温度が上がるにつれて減らされる。調合物を40℃〜65℃(例えば、44〜60℃、46〜58℃、48〜56℃、または50〜54℃)に加熱し、まだ暖かい間に表面に塗布すると、植物または植物部分上の微生物レベルを下げるのに特に有効である。存在する場合、液体媒体は、例えば、風乾によって植物または植物部分の表面から除去することができる。同様に、植物または植物部分が調理される場合、本発明の組成物は特に有効であり得る。
【0123】
好適な植物および植物部分は、生の農産物(すなわち、非加工産物)および加工産物を含む。生の農産物の非限定的な例には、アルファルファ種子、もやし、キュウリ、メロン、タマネギ、レタス、キャベツ、ニンジン、ジャガイモ、ナス、グレープフルーツ、レモン、ライム、およびオレンジのような柑橘類果物、バナナ、パイナップル、キウイ、ならびにリンゴが挙げられる。加工産物は、引き裂かれた、スライスされた、チョップにされた、細かく切られた、またはミンチにされた果物または野菜、ならびに果物または野菜から得られたジュースを含む。
【0124】
例えば、オレンジのような果物は、本発明の抗菌性調合物で処理し、風乾し、次に食品グレード・ワックスでコートすることができる。これは、抗菌性調合物がオレンジと食品グレード・コーティングとの間に入れられたオレンジを生み出す。あるいはまた、抗菌性調合物および食品グレード・コーティングは、塗布前に混合することができる。別の代替案では、食品グレード・ワックスがオレンジのような果物に塗布され、次に果物をワックス一面上に抗菌性組成物で処理することができる。
【0125】
本発明の組成物はまた、国際公開第200143549A号パンフレットに開示されている製品および方法でも有用である。
【0126】
調合物および調製方法
追加の消毒剤、殺菌剤、または抗生物質が含まれてもよく、そして熟慮されることもまた理解されるであろう。これらは、例えば、オゾンのような酸化剤;次亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素のような塩素化合物;リン酸三ナトリウムおよび酸性硫酸カルシウムのような塩;銀、銅、亜鉛のような金属の添加;ヨウ素およびヨードフォア;クロロヘキシジンおよびクロロヘキシジンジグルコネートのようなその様々な塩;ポリヘキサメチレンビグアニド(polyhexamethylenebiguanide)、パラクロロメタキシレノール、トリクロサン、高分子第四級アミンをはじめとする抗菌性第四級アミン、クロルトリマゾール(clortrimazole)、ミコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、およびその塩をはじめとする「アゾール」抗真菌剤などを含む。硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ムピロシン、ポリミキシン、リファンピン、テトラサイクリンなどのような抗生物質もまた含まれてもよい。
【0127】
好適な消毒剤の例には、例えば、2004年9月7日に出願された出願人の譲受人の同時係属米国特許出願第 号明細書(代理人整理番号第59889US002号)に記載されているような、過酸化物、(C6〜C14)アルキルカルボン酸およびアルキルエステルカルボン酸、抗菌性天然オイル;ハロゲン化フェノール、ジフェニルエーテル、ビスフェノール(p−クロロ−m−キシレノール(PCMX)およびトリクロサンを含むがそれらに限定されない)、および2004年9月7日に出願された出願人の譲受人の同時係属米国特許出願第 号明細書(代理人整理番号第59887US002号)に記載されているようなハロゲン化カルボアニリド;ジグルコネート、ジアセテート、ジメトスルフェート、およびジラクテート塩;ポリヘキサメチレンビグアニドのような高分子第四級アンモニウム化合物;銀および様々な銀錯体;塩化ベンザルコニウムおよびアルキル置換誘導体のような小分子第四級アンモニウム化合物;少なくとも1つのアルキル(C8〜C18)鎖の第四級アンモニウム化合物;セチルピリジニウム・ハロゲン化物およびそれらの誘導体;塩化ベンゼトニウムおよびそのアルキル置換誘導体;および2004年9月7日に出願された出願人の譲受人の同時係属米国特許出願第 号明細書(代理人整理番号第57888US002号)に記載されているオクテニジン;ならびにそれらの適合性組み合わせが挙げられる。
【0128】
ある種の生物の増殖を防ぐために調合物中に防腐剤を含むこともまた好適であるかもしれない。好適な防腐剤は、パラベン(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルなど)、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジオール、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、クロロブタノール、ジアゾリジニルウレア、ヨードプロピルニル(iodopropylnyl)ブチルカーバメート、フェノキシエタノール、ハロゲン化クレゾール、メチルクロロイソチアゾリノンなど、ならびにこれらの化合物の組み合わせのような業界標準化合物を含む。
【0129】
調合物は典型的には次の5つのタイプ:(1)無水、ほぼ無水であってもまたは水相をさらに含んでもよい疎水性媒体での調合物、(2)水不溶性の連続「油」相が1つもしくはそれ以上の疎水性成分よりなる油中水エマルジョン・ベースの調合物、(3)無水、ほぼ無水であってもまたは水相をさらに含んでもよい親水性媒体での調合物、(4)溶液、または水中油エマルジョンであってもよい非常に粘稠な水ベースの調合物、ならびに(5)本質的に疎水性または親水性媒体成分なしであるニート組成物であって、抗菌性脂質、任意にエンハンサー、およびさらに任意に界面活性剤を含む組成物の1つから選択される。この最後のケースでは、組成物は意図される基材への配送のための揮発性キャリア溶剤に任意に溶解されても、または乾燥粉末、液体、もしくは半固体組成物としてサイトに配送されてもよい。異なるタイプの組成物は下にさらに説明される。
【0130】
(1)疎水性媒体での無水またはほぼ無水の調合物
本発明のある種の好ましい実施形態では、組成物は、界面活性剤、エンハンサー成分、および少量の親水性成分と任意に組み合わせて疎水性媒体中に抗菌性脂質成分を含む。ほとんどの場合に、エンハンサーは、高温では溶けるかもしれないが、室温では疎水性成分に溶けない。親水性成分は一般に、組成物中でエンハンサーを安定化させる(および恐らく可溶化する)のに十分な量で存在する。これらの調合物は、疎水性成分中へ乳化される親水性成分にエンハンサーおよび/または界面活性剤が溶解され、乳化され、または分散されているエマルジョンを生み出すと考えられる。これらの組成物は冷却および遠心分離しても安定である。
【0131】
これらの調合物の含水率は、存在する抗菌性脂質の化学分解を最小限にするために、ならびに貯蔵中の組成物の微生物汚染に対する懸念を減らすために、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満である。
【0132】
(2)油中水エマルジョン
本発明の抗菌性脂質成分は、エンハンサーおよび界面活性剤と組み合わせて油中水エマルジョンへ調合することができる。特に好ましい組成物は少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50重量%油相を含む。本明細書で用いるところでは、油相は、23℃で存在する水に溶けないか、油に優先的に溶けるかのどちらかであるすべての成分よりなる。
【0133】
(3)親水性媒体
本発明の抗菌性脂質成分は、エンハンサーおよび界面活性剤と任意に組み合わせて上記の親水性化合物をベースとするもののような親水性成分へ調合することができる。ポリエチレングリコール(PEG)、グリコール、および任意に1つもしくはそれ以上のグリコールを含有する、異なる分子量のPEGのブレンドをはじめとする、それらの組み合わせが特に好ましい。
【0134】
(4)水ベースの調合物
本発明の水性組成物は、水が最大量で存在し、それによって「媒体」を形成するものである。ほとんどの用途で、水ベースの調合物は、本発明の抗菌性組成物で使用前に形成される。幾つかの用途で、水ベースの調合物は増粘剤システムで増粘することができる。好適な増粘剤システムは、有機ポリマー、またはシリカゲル、粘土(ベントナイト、ラポナイト、ヘクトライト、モンモリロナイトなどのような)のような無機チキソトロープ、ならびに有機改質した無機微粒子材料などを含む。増粘剤システムは、それらが組成物の抗菌性脂質およびエンハンサー成分と適合性である限り、1つもしくはそれ以上の非イオン性、陽イオン性、陰イオン性、両性イオン性、または会合性ポリマーから調製することができる。好ましくは、酸性エンハンサー成分を含む組成物は、陽イオン性または非イオン性増粘剤が低いpHで十分に機能するので、それらを用いて増粘される。さらに、非イオン性および陽イオン性ポリマーの多くは、より高いレベルの塩および他の添加剤を許容し、かつ、高粘度を維持することができる。
【0135】
好ましい群の非イオン性高分子増粘剤は、変性セルロース、グァー、キサンタン・ガム、ならびに多糖類およびタンパク質のような他の天然高分子を含む。
【0136】
(5)ニート組成物
本発明の抗菌性脂質組成物はまた、ニート形でまたは容易に蒸発してニート組成物を後に残す揮発性溶剤中で配送されてもよい。かかる組成物は固体、半固体または液体であってもよい。組成物が固体であるケースでは、抗菌性脂質および/またはエンハンサーおよび/または界面活性剤は、配送を持続するためか、容易に配送される粉末の製造を容易にするためかのどちらかのために任意にマイクロカプセル化されてもよい。あるいはまた、組成物は、他の成分の添加なしに細粉へ微粉化することができる、またはそれは任意にフィラーおよび粉末製造を容易にする他の成分を含有してもよい。好適な粉末は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーを含むが、それらに限定されない。
【0137】
抗菌性組成物はまた、好適な固体またはゲル相キャリアまたは賦形剤を含んでもよい。かかるキャリアまたは賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールのようなポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0138】
配送方法およびデバイス
本発明の調合物はキットへパックすることができる。幾つかの抗菌性脂質は、特にヒドロキシ置換有機酸またはキレート剤のようなエンハンサーの存在下に、本質的に反応性であることができる。例えば、脂肪酸モノエステルは、相当する脂肪酸へ水性媒体中で加水分解する、ヒドロキシ含有エンハンサー(例えば、乳酸)とエステル交換する、またはヒドロキシ含有溶剤とエステル交換することができる。選ばれた成分に依存して、液体組成物の抗菌活性は低下するかもしれないし、貯蔵寿命は1年未満に短縮されるかもしれない。
【0139】
従って、調合物は、安定性を上げるために二部分システム(キット)に好都合にもパックすることができる。二部分システムの一例では、エンハンサーを除いて、調合物の全成分が1容器中に存在するが、エンハンサーは別個の容器中に存在する。別の例では、第1容器はプロピレングリコール脂肪酸エステルに可溶なエンハンサーをはじめとする、組成物の成分すべてを含有するであろうが、第2容器は第2エンハンサーを収納する。各容器からの内容物は一緒に混合され、塗布可能な食品または表面を処理する前に希釈されてもよい。
【0140】
幾つかの実施形態では、抗菌性調合物は、様々な成分を貯蔵するための別個の区画を有するたった一つの容器中にパックされ、すなわち、エンハンサーは1区画中にあり、抗菌性脂質、および任意に1つもしくはそれ以上の界面活性剤、ならびに第2エンハンサーは同じ容器の第2区画中にある。かかる2区画容器は典型的には、2つの区画の間に壊れやすいまたは移動可能な間仕切りを用いる。間仕切りは次に混合を可能にするために破壊するか移動するかのどちらをすることができる。あるいはまた、容器は、各区画からの内容物の一部が各区画の全内容物を混合することなく取り出されるように配置構成される。2区画容器の説明については、例えば、米国特許第5,862,949号明細書、同第6,045,254号明細書および同第6,089,389号明細書を参照されたい。
【0141】
他の実施形態では、組成物は二部分で提供することができ、抗菌性脂質成分はその場で製造することができる。例えば、モノグリセリドは、哺乳類または細菌由来リパーゼのようなリパーゼの存在下にジ−またはトリ−グリセリドからその場で形成することができよう。これは、基材上でまたは基材への塗布前に起こってもよい。
【0142】
本発明の方法では、抗菌性脂質組成物は基材への配送に好適な調合物として提供されてもよい。好適な調合物は、クリーム、ゲル、フォーム、軟膏、ローション、香油、ワックス、軟膏剤、溶液、懸濁液、ディスパージョン、油中水または水中油エマルジョン、マイクロエマルジョン、ペースト、粉末、オイル、ロゼンジ、ボルーゼ(boluse)、およびスプレーなどを含むことができるが、それらに限定されない。
【0143】
特に明記されない限り、本明細書で用いられるすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは同等の方法および材料は本発明を実践するために用いることができるが、好適な方法および材料は下に記載される。不一致のケースでは、定義を含む本明細書が支配するであろう。さらに、材料、方法、および実施例は例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図されない。本発明は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない、次の実施例でさらに説明される。
【実施例】
【0144】
次の実施例は、本発明の実践に関連したさらなる詳細および実施形態を提供することを意図される。次の実施例は本発明の理解に役立つ例示目的のために提供され、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。すべての材料は、特に明記しないまたは明らかでない限り、商業的に入手可能である。実施例ですべての部、百分率、比などは、特に明記しない限り重量による。
【0145】

【0146】
実施例1
濃厚液の調製
脂肪酸エステルのコンセントレート液を2つの手順の1つによって作った。第1の手順は、表1にリストするような調合物に必要とされる全成分をガラス容器中へ秤り取り、溶液が均一で透明な液体になるまで溶液を定期的に手で振盪しながら、成分をオーブン中70〜80℃で数分〜数時間加熱することよりなった。
【0147】
第2の手順は、各成分を、加熱プレート上で加熱しながらガラス容器に加えることよりなった。加熱中に、溶液を磁気かプロペラ撹拌システムかのどちらかによって絶えず撹拌した。溶液を均一で透明な単相液体が生じるまで混合した。表1は、上記の2つの手順の1つによって作られた濃厚調合物の組成をリストする。2つの手順はさらなる試験のための同等の溶液を与えた。すべての調合物が室温で少なくとも1日間何の相分離もしなかった。組成物のほとんどが4℃で数ヶ月間1つの相で物理的に安定であった。
【0148】

【0149】

【0150】
安定性を比較するために、表2に提供される調合物28および29を米国特許第5,460,833号明細書の手順に従って調製した。
【0151】

【0152】
実施例2
調合物の安定性を評価するために、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて組成物溶液を初期と50℃で2および4週間エージング後との両方に分析した。溶剤はすべてクロマトグラフィー・グレード(EMオムニソルブ(EM Omnisolv)(登録商標))であり、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウム(無水)はACS試薬グレード(シグマ・ケミカル社、ミズーリ州セントルイスから入手可能な)であった。標準として使用したGMLC12は、調合物を作るために使用したものと同じロットからであった。それはGMLC12の99+%標準に対してGC分析によって97%純度であると測定された。
【0153】
標準のためのプロピレングリコールモノ−およびジ−カプリレート(PGMC8、PGDC)、プロピレングリコールモノ−およびジ−カプレート(PGMC10、PGDC10)、ならびにプロピレングリコールモノ−およびジ−ラウレート(PGMC12、PGDC12)サンプルは、ユニケマから供給された相当する工業グレード・モノエステルの蒸留によって得た。すべてはGC分析によって99+%純度であった。これらのサンプルを使用して検量線を作成した。内部標準として使用したグリセロール・モノミリステート(MMG)は99+%純度(シグマ・ケミカル社、ミズーリ州セントルイスから入手可能な)であった。ミリスチン酸イソプロピル(IPM)もまた内部標準として使用し、98%純度(アルドリッチ・ケミカル社、ミズーリ州セントルイスから入手可能な)で入手した。エステル対内部標準の比および検量線は、表1および2の調合物14、15、27、28および29の分析を、エージングされたおよび初期サンプルの組成物について可能にした。
【0154】
サンプルの調製
検体の濃度が試験される調合物の間で10のファクターだけ変動したので、分析される調合物の量を、ほぼ等しい濃度の活性エステルが分析されるべきサンプル中に存在するように調整した。この調整は、1セットの検量線がすべての調合物で用いられるのを可能にした。下の表3は、各調合物について分析されたサンプルの量を示す。
【0155】

【0156】
それぞれの3通りのサンプルを調製した。上に指定したものの5mg以内の量を、風袋を量った10mL容量フラスコに加えた。正確な重量を記録し、フラスコを内部標準で所定の容積にし、混合した。最初の4つの調合物を直接GCによって分析した。調合物29のサンプルは、存在する大量の水を除去するためにGC分析前に抽出しなければならなかった。このために、分析されるべき300mgのサンプル液をきれいな7mLバイアルに移し、HPLCグレード水中0.4重量%KClを加えた。バイアルを密封し、1分間渦巻きにかけ、引き続き5分間遠心分離にかけて2相を形成した。下相の部分を、少量のNa(SO)を含有する第2のバイアルに移し、キャップし、短く振盪していかなる残留水も除去した。次にアリコートをオートサンプラー・バイアルに移し、GCによって分析した。初期のおよびエージングしたサンプルを分析のために同じやり方で調製し、それらの初期濃度に対する活性エステルの濃度を表4に示す。
【0157】

【0158】
表4に例示される結果は、濃厚調合物(14、15および21)が調合物28および29より良好な貯蔵寿命を示すことを実証する。
【0159】
実施例3
濃厚調合物のインビトロ抗菌性効能
5℃での濃厚調合物のインビトロ抗菌性効能を評価した。幾つかの溶液を、表1の濃厚調合物16、17および18を1%活性エステル溶液に水で希釈することによって調製し、乳酸をまた2%w/w乳酸最終濃度を与えるようにエンハンサーとして希釈液に添加した。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで振盪した。エマルジョン液を製造後直ちに使用した。
【0160】
水中1%溶液へ希釈後の調合物を2%乳酸溶液の効能と比較した。2%乳酸溶液は現在食肉産業で屠殺体殺菌剤として一般に使用されている。
【0161】
培養懸濁液の調製
細菌をトリプチックソイブロス(TSB)(VWRサイエンティフィック(Scientific)、イリノイ州シカゴ(Chicago,IL)から入手可能な)中35±2℃で16〜24時間増殖させた。0.3mLの生物培養懸濁液をトリプチックソイ寒天(TSA)プレートの表面上に広げ、それを35℃で16〜24時間培養した。細菌細胞を、1〜3mLのTSBを加えることによってL棒で寒天プレートから収穫し、試験管に移した。3つの細菌株:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC#6538)、大腸菌(ATCC#11229)、および非毒性大腸菌O157:H7(ATCC#700728)を使用した。
【0162】
試験手順
希釈した表1の調合物16、17および18を、磁気撹拌棒を含有する3つのエルレンマイヤー(Erlenmeyer)試験フラスコのそれぞれ中へ20.0mLの希釈液を無菌で移すことによって評価した。フラスコを、撹拌容量を備えた5℃制御水浴中に入れた。磁気撹拌機を、フラスコが跳ね返りなしに速く撹拌されるように調節した。培養懸濁液の一部(0.1mL)をフラスコのそれぞれに加えた。曝露時間は2分、5分、10分および1時間よりなった。各曝露時間の終わりに、1.0mLの接種したサンプルをフラスコのそれぞれから9.0mLのレセーンブロス(Letheen Broth)を含有するチューブ中へ移し、次に渦巻きにかけた。これは10−1希釈である。渦巻きがけの後に、溶液を、1mLを9mLレセーンブロス(それはまたFAME抗菌性反応を中和する)中へ移すことによって順次さらに10倍希釈した。希釈液のそれぞれから、0.1mL容量をTSAプレート上へプレート化し、L棒で広げた。プレートを37℃で24時間培養し、コロニー形成単位をカウントした。試験を、殺菌性溶液の3反復試験で行った。希釈した細菌懸濁液を正副2通り平板培養した。
【0163】
各生物の初期接種物プレートについて、コロニー形成単位(CFU)を25〜250のカウントを有する希釈レベルでカウントした。選択された希釈レベルでの2反復試験プレートの平均値を用いた。初期接種物カウントを、次の式を用いて計算した。
初期接種物カウント=T時間=0=2反復試験の平均CFU×[希釈レベル]×0.005
(サンプル接種物は希釈されていたので(20.1mLのFAME中0.1mL))
【0164】
各時間周期で各生物の試験プレートについて、10−2および10−3プレートすべてでCFUをカウントした。25〜250のカウントを有する希釈レベルを測定し、使用した。選択された希釈レベルでの3反復試験プレートの平均値を用いて次式を用いて所与の時間での試験プレートカウントを計算した。
時間=X=所与の時間での3反復試験の平均CFU×[希釈レベル]
曝露時点での3反復試験の平均プレートカウント
【0165】
log減少を、T時間=XおよびT時間=0の対数をとり、そしてlog減少を求めるための次式を用いることによって求めた。
x時点でのLog減少=logT時間=0−T時間=X
【0166】
2%乳酸と比較される希釈した高コンセントレートFAME溶液のインビトロ試験からの結果は表5にある。試験温度は5℃〜8℃であった。
【0167】

【0168】
結果は、1%(水中1:100希釈)に希釈した濃厚液が冷蔵温度で乳酸だけよりもはるかに高い抗菌性能を有したことを実証する。
【0169】
実施例4
培養物カクテル懸濁液の調製
細菌を実施例3に記載した同じ手順で増殖させた。使用した細菌株は4つのサルモネラ分離株(サルモネラ腸炎菌(S.enteritidis)ファージ型IV、ネズミチフス菌(ATCC13311)、NATO32091(カーギル社(Cargill Inc.)、ミネソタ州ウェイザタ(Wayzata,MN)から入手される)、FRB93922(カーギル社、ミネソタ州ウェイザタから入手される)、および大腸菌(ATCC11229))であった。カクテルを調製するために、2mLの大腸菌と、4つのサルモネラ培養物のそれぞれの0.5mLとを加え、十分に振盪し、接種物カウントを細菌カクテルについて行うこと。
【0170】
細菌接種物カクテルでの肉片の接種
幾つかの肉片(サイズ5×5×0.6cm)を接種した。リーンおよびファット・サンプル(小売商肉供給業者または商業食肉処理場からの)を8×11トレー上に置き、表面を完全に湿らせるのに十分な1ストロークのカクテル液を手動ポンプのスプレー瓶から肉片上へスプレーすることによって接種物カクテルで接種した。肉サンプルのトレーを40℃オーブン中に20分間入れた。
【0171】
接種した肉細菌カウントの測定
3つの接種した肉サンプルをそれぞれウィールパック(Whirlpak)袋(VWRサイエンティフィック、イリノイ州シカゴから入手可能な)に入れ、それに99mLのバターフィールド・バッファー(Butterfields Buffer)(インターナショナル・バイオ・プロダクツ(International Bio Products)、ワシントン州ボセル(Bothell,WA))を加えた。袋を、肉からの細菌の除去を助けるために30秒間混和させた。アリコート(11mL)を各サンプル袋から取り出し、別の99mLバターフィールド・バッファーを加え、十分に混合してさらなる試験のための溶液を与えた。ペトリフィルム(Petrifilm)TM大腸菌/コリフォーム(Coliform)カウントプレート(3M、ミネソタ州セントポール(St. Paul,MN)から入手可能な)、サルモネラXLD寒天(リマール社(Remal,Inc.)、カンザス州レネキサス(Lenexas,KS)から入手可能な)およびペトリフィルムTMエアロビックカウント(Aerobic Count)(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)を、バターフィールド・バッファーを用いた一連の10倍希釈液で媒体として使用した。プレートを37℃で18〜24時間培養し、その時点後にそれらを実施例3に記載したようにカウントして初期細菌カウントを与えた。
【0172】
調合物処理および細菌Log減少の測定
表1からの調合物1および7を使用前に水中1%に希釈した。乳酸をまた、希釈した溶液にエンハンサーとして1%または2%w/w最終濃度まで加えた。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪した。エマルジョン液を製造後直ちに使用した。
【0173】
各溶液処理のために、6つの接種肉サンプルを指定温度で5分間調製液中に浸漬した。すべての6肉サンプルを指定温度で溶液から取り出し、過剰の溶液を肉片から数秒間滴らせ、次に肉サンプルをウィールパック袋に入れた。3サンプルを5分カウントのために直ちに使用し、3サンプルを、24時間カウント・サンプルを提供するために6〜8℃冷蔵庫に24時間入れた。指定時間(5分、24時間)で99mLのバターフィールド・バッファーをウィールパック袋中のサンプルに加えた。袋中のサンプルを、肉からの細菌の除去を助けるために30秒間手で揉んだ。11mLアリコートを袋から取り出し、別の99mLのバターフィールド・バッファーと混ぜ合わせ、十分な混合後に溶液を細菌カウント試験のために使用した。ペトリフィルムTM大腸菌/コリフォーム・カウントプレート(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)、サルモネラXLD寒天およびペトリフィルムTMエアロビックカウント(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)を、バターフィールド・バッファーを用いた一連の10倍希釈液で媒体として使用した。プレートを37℃で18〜24時間培養した。調合物液と比較するための対照として2%乳酸および水を使用して上の工程を繰り返した。
【0174】
プレートを培養後に読み、log減少を実施例3に示すように求めた。結果を表6〜8に提供する。
【0175】


1「5分浸漬」でのデータは、肉サンプルを5分浸漬後直ちに試験したことを意味する。
2「5℃で24時間貯蔵」でのデータは、肉サンプルを5分間浸漬し、次に試験前に5℃で24時間貯蔵したことを意味する。
【0176】

1「5分浸漬」でのデータは、肉サンプルを5分浸漬後直ちに試験したことを意味する。
2「5℃で24時間貯蔵」でのデータは、肉サンプルを5分間浸漬し、次に試験前に5℃で24時間貯蔵したことを意味する。
3乳酸は最終濃度として2%w/wであった。
【0177】

1「5分浸漬」でのデータは、肉サンプルを5分浸漬後直ちに試験したことを意味する。
2「5℃で24時間貯蔵」でのデータは、肉サンプルを5分間浸漬され、次に試験前に5℃で24時間貯蔵したことを意味する。
【0178】
表6、7および8の結果は、2%乳酸のみのそれと比較して濃厚液(使用前に希釈した)の抗菌性能を実証する。表6のデータはまた、高温が一般にFAME調合物効能を向上させることを示す。
【0179】
実施例5
調製および細菌接種物での肉片の接種
細菌を実施例3に記載した同じ手順で増殖させた。細菌株は非毒性大腸菌O157:H7(ATCC#700728)であった。
【0180】
おおよそサイズが100cm×0.3cmの幾つかの冷蔵脂肪牛肉片を、実施例4に記載したものと類似の手順を用いて接種した。接種後に、肉片を5℃のクーラー中に30±5分間入れて生物を付着させた。
【0181】
初期サンプル接種物測定
11.4cmコアリング装置を用いて接種サンプルから3mm以下の厚さの表面組織切除物をカットした。ステンレススチール・コアリング装置を、サンプル間の相互汚染を防ぐために各ラン前に殺菌した。各円形組織切除物を、15mLのレセーン希釈剤と共にフィルター・ストマッカー(stomacher)袋に入れ、平板培養前に1分間混和させた。平板培養を、ストマッカー袋からの未希釈サンプルを用いてペトリフィルムTM腸内細菌科(Enterobacteriaceae)プレート(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能なペトリフィルムEB)上で行った。一連の10倍順次希釈液を作り、ペトリフィルムEB上で平板培養した。プレートを培養し、添付文書に推奨されているようにカウントした。
【0182】
処理液の塗布
11.4cmコアリング装置を用いて接種サンプルから3mm以下の厚さの表面組織切除物をカットした。ステンレススチール・コアリング装置を、肉サンプル間の相互汚染を防ぐために各ラン前に殺菌した。
【0183】
表1からの調合物16および17を水中1%w/wに希釈した。乳酸をまたエンハンサーとして最終2%w/w濃度まで希釈液に加えた。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪した。エマルジョン液を製造後直ちに使用した。
【0184】
接種した円を希釈液でまたは2%乳酸のみ溶液(対照サンプル)で、それらを5℃、23℃、および50℃で5分間溶液中に浸漬することによって処理した。円を直ちに取り出し、過剰の溶液を円から5秒間滴らせた。
【0185】
円をストマッカー袋に入れた。それらの2つを冷蔵庫中へ入れ、3番目のものを、15mLのレセーン希釈剤を第3のストマッカー袋に加えることによって試験した。この袋を平板培養する前に1分間混和させた。反復試験サンプルをストマッカー袋中の未希釈サンプルからプレート化した。一連の10倍希釈液を作り、各希釈からペトリフィルムEBプレート上で平板培養した。培養後にプレートを添付文書に推奨されているようにカウントした。1時間冷蔵後に、冷蔵したストマッカー袋の1つを取り出し、上記工程を1時間試験円について繰り返した。24時間冷蔵後に、ストマッカー袋の最後のものを取り出し、上記工程を24時間試験円について繰り返した。
【0186】
プレートを培養後に読み、log減少を実施例3に示すように求めた。結果を表9に示す。
【0187】

1様々な溶液温度で希釈調合物での処理。脂肪組織を5℃に維持する。
2「5分浸漬」でのデータは、脂肪サンプルを5分浸漬処理後直ちに試験したことを意味する。
3「5℃で60分」でのデータは、脂肪サンプルを5分処理後5℃で60分間貯蔵後に試験したことを意味する。
4「5℃で24時間」でのデータは、脂肪サンプルを5分処理後5℃で24時間貯蔵後に試験したことを意味する。
【0188】
希釈調合物は、牛肉脂肪表面上で2%乳酸のみと比較してより良好な抗菌性能を実証した。これらのデータはまた、溶液性能が時間と共に上がり、肉上の調合物の残留効果を示すことを示す。温度上昇の正の効果はまた、データによって実証されている。
【0189】
実施例6
培養物懸濁液の調製およびひき肉サンプルの接種
サルモネラ菌カクテルを、4つのサルモネラ分離株:サルモネラ腸炎菌ファージ型IV、ネズミチフス菌(ATCC13311)、NATO32091(カーギル社、ミネソタ州ウェイザタから入手される)、FRB93922(カーギル社、ミネソタ州ウェイザタから入手される)を用いて実施例3に記載した同じ手順を用いて増殖させた。カクテルを、4つのサルモネラ培養物のそれぞれの0.5mLを加え、振盪により十分に混合することによって調製した。
【0190】
測定した重量の牛ひき肉およびサルモネラ・カクテル接種物を、櫂混合器を備えたキッチンエイド(KitchenAid)TMミキサー中へ加えることによって牛ひき肉を接種した。サンプルを1分混合した。混合後に接種した牛ひき肉を5℃のクーラー中に10分間入れて生物を付着させた。
【0191】
接種したサンプルの初期接種物測定
牛ひき肉の接種した11gアリコートを別個のフィルター・ストマッカー袋にそれぞれ99mLのレセーン希釈剤と共に入れ、1分間混和させた。一連の10倍順次希釈液をレセーンブロスで作った。サンプルを、サルモネラ・カクテル接種牛ひき肉についてペトリフィルムTM大腸菌/コリフォーム・カウントプレート(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)、ペトリフィルムTMエアロビックカウント(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)およびサルモネラXLD寒天プレート上で平板培養した。ペトリフィルム・プレートは35℃で24±2時間培養し、添付文書に推奨されているようにカウントした。XLDプレートは35℃で一晩培養し、黒いコロニーを推定サルモネラとしてカウントした。
【0192】
塗布および試験
調合物22を水に希釈し、乳酸をまた水に加えた。希釈した溶液は35%調合物22、40%乳酸を含有する。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪し、溶液を製造後直ちに使用した。
【0193】
秤量した量の接種牛ひき肉を、櫂混合ヘッドを備えたキッチンエイドTMミキサー中へ加えた。調合物22をベースにする希釈した溶液をスプレーノズルに連結された圧力ポット(23℃)に入れた。溶液を、櫂混合器で生じる混合下にキッチンエイドTM中に含有された接種牛ひき肉(5℃)中へスプレーした。スプレーされた肉は1%FAMEおよび2%乳酸入りの約5%w/w水溶液を含有した。スプレーを3分の全混合時間で、15秒(全吹き付け時間)で牛ひき肉に配送した。処理した牛ひき肉を再び冷蔵庫に入れた。各所望の時点で、牛ひき肉の11gアリコートを秤り取った。上記と同じ接種物測定法を用いた。
【0194】
プレートのカウント範囲内、すなわちプレート当たり15〜100cfuであるカウントのプレートをさらなる分析のために使用した。結果をlog10に変換し、反復試験値を平均した。処理したサンプルの結果を類似の未処理サンプルの結果から差し引いて処理のlog減少を求めた。
【0195】
表10は、上記の塗布手順を用いて希釈調合物22で処理した牛ひき肉での細菌のLog減少についての結果を包含する。
【0196】

【0197】
表11は未接種牛ひき肉での天然細菌のlog減少についての結果を包含する。塗布は、希釈調合物22を牛ひき肉中へスプレーするのではなくピペットで移し、牛ひき肉を接種しなかったことを除いては上記と同じであった。
【0198】

【0199】
表10および11の結果は、希釈調合物の抗菌性能を示す。5℃で48時間後に接種肉および未接種肉は、上記の試験方法を用いて、検出できない細菌を牛ひき肉中に残した。24時間および48時間殺傷データは驚くほどに高く、それは調合物の残留殺傷効果を再び実証する。
【0200】
実施例7
牛ひき肉を袋中で接種し、約2分間手で混合し、肉の1%w/w溶液を与えるために調合物26を直接、引き続いて2%乳酸を肉に加えたことを除いては実施例6に記載したものと類似の試験手順を用いた。次に牛ひき肉サンプルを約2分間手で混合した。
【0201】
表13は、牛ひき肉の濃厚調合物処理についてのLog減少結果を包含する。
【0202】

【0203】
調合物26は、5℃での24時間でサルモネラ・カクテルのほぼ2.5logを不活性化し、濃厚液の抗菌効力を証明した。
【0204】
実施例7A
十分に火が通っていない牛ひき肉
USDA(米国農務省)は、牛ひき肉が肉中に存在するいかなる病原菌も殺すために165°F(66℃)まで調理するよう推奨している。本発明の調合物は、温度の上昇と共に効能の増加を実証する。本発明の調合物を牛ひき肉に添加すると、次の実施例によって実証されるように十分に火が通っていない牛ひき肉をもたらす66℃未満のある温度までハンバーガーを加熱した場合に残留ヒト病原体のリスクを減らすことができる。
【0205】
培養物懸濁液の調製およびひき肉サンプルの接種
大腸菌O157:H7(ATCC#700728)培養物を実施例3に記載したように調製した。接種物は、600nmにセットした分光光度計を用いる光学密度で測定されるように10生物/mLの機能個体群を有した。497グラムの牛ひき肉および10mLの大腸菌O157:H7接種物を、櫂混合器を備えたキッチンエイドTMミキサー中へ加えることによって牛ひき肉を接種した。サンプルを1分混合した。混合後、接種した牛ひき肉を5℃のクーラーにおおよそ10分間入れて生物を付着させた。
【0206】
牛ひき肉の処理
調合物30を実施例1に記載したように調製した。調合物30は10%GML、50%PGMC8、20%パチオニック122A、10%スパン20、および10重量%PGMC12を含有した。エンハンサーは、乳酸を脱イオン水中25%まで希釈することによって作った。
【0207】
接種した牛ひき肉(507g)をクーラーから取り出し、調合物30およびエンハンサーを別々にファンノズル付き加圧スプレーヤー(スプレーヤー・システムズ社(Sprayer Systems Co.)、イリノイ州ウィートン(Wheaton,IL)を用いて加え、その間ずっとミキサーは組み合わせを低混合設定で全計3分間櫂付属部品でブレンドした。エンハンサーを混合の最初の1.5分中に30mL/分のスプレー速度で先ず配送し、次に調合物30を、混合を追加の1.5分(min)間継続しながら7.5mL/分のスプレー速度で配送した。1%が調合物30に由来し、1%がエンハンサーに由来し、および3%が水に由来する追加の5重量%を混合マスに与えるのに十分なエンハンサーおよびFAME調合物を加えた。
【0208】
処理した牛肉の3つの113.5gサンプルを秤り取り、球状にし、それを次にタッパーウェア(Tupperware)ハンバーガー・プレスを用いてパティへ成形した。生じたパティは一様で、厚さがおおよそ12mmであった。パティを、350の設定で5分間予熱した電気スキレット(11インチ・ウェストベンド(West Bend)、モデル#72108))で調理した。3つのパティを、各パティがスキレットの加熱コイル一面に集中して、スキレット上に三角形形成で等距離離して置いた。所望の内部温度が達成されるまで、各面をひっくり返す前に2分加熱した。パティの中心での温度を読み取るために設置したデジタル温度計(VWRサイエンティフィック・プロダクツ、モデル#23609−160)を用いて温度を測定した。
【0209】
3つのパティを、温度が60℃(140°F、おおよそ4.2分)に達した時にスキレットから取り出した。パティを無菌フォイル紙上に置き、4の四つ切りへカットし、11gサンプルをパティ当たり合計4サンプル用に各四つ切りの中央から取り除いた。11gサンプルを99mLの無菌レセーンブロスと共に3Mストマッカー袋に入れ、1分間混和させ、次に実施例6に記載したように希釈した。平板培養をペトリフィルムTM大腸菌/コリフォーム・カウントプレート(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)、ペトリフィルムTMエアロビックカウント(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)プレートで行い、実施例6に記載したように分析してlog個体群カウントを計算した。
【0210】
プレートのカウント範囲内、すなわちプレート当たり15〜100cfuであるカウントのプレートをさらなる分析のために使用した。結果をlog10に変換し、反復試験値を平均した。
【0211】
上記の手順を繰り返して別の3つのFAME処理パティを生み出し、それらを、いったんそれらが66℃(150°F、おおよそ6分)に達したら取り出した。比較のために、3バッチの接種した牛ひき肉を、調合物30を加えることなく上記のように調製した。3つの牛ひき肉パティを、同じバッチの接種した牛ひき肉を用いて3温度:60℃、66℃、および74℃(165°F)のそれぞれで調製した。
【0212】
表14は、大腸菌O157:H7で接種後に加熱した時の牛ひき肉での細菌レベルについての結果を包含する。
【0213】

【0214】
実施例8
調合物15を、大腸菌カクテルで接種したオレンジについて評価した。調合物15を水中1%w/wに希釈した。乳酸をまたエンハンサーとして最終2%w/w濃度まで希釈液に加えた。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪した。エマルジョン液を製造後直ちに使用した。
【0215】
オレンジの接種
大腸菌カクテルを4つの大腸菌株(ATCC#25922、ATCC#11229、ATCC#35218、およびCREC分離株97−1)を用いて調製し、栄養ブロス中に入れた。ブロスを35℃で20〜24時間培養した。これは、約10生物/mLの接種物を与えた。オレンジを地元の食料品店から入手し、直径を測定し、表面積を球体と仮定して計算した。平均オレンジ表面積は66.70cmであった。ワックスを、中性洗剤(アイボリー(Ivory)で洗浄し、DI水でリンスし、オレンジを一晩風乾させることによって除去した。
【0216】
2つの方法を用いてオレンジを接種した。
【0217】
方法A
オレンジを、接種した栄養ブロスに加えた。オレンジを、秤量したきれいな容器によって表面の真下で保持した。15分後にオレンジを取り出し、1時間風乾させた。
【0218】
方法B
10スポットを20mLの生物(カクテル)でオレンジ上に接種し、接種物を1時間風乾させた。
【0219】
接種したオレンジが乾燥した後、5つのオレンジを500mLの冷たい0.1%ペプトン水(VWRサイエンティフィック、イリノイ州シカゴから入手可能な脱水媒体から製造した)と共にジップロック袋に入れ、往復式振盪培養機中の氷上に1時間置いた。これらのオレンジは、接種したオレンジ表面のcm当たりの生物の最大回収率を測定するための対照として役立った。この手順をあと2バッチの5つのオレンジそれぞれで繰り返して3通りで結果を与えた。
【0220】
同じ接種手順を、ネズミチフス菌(ATCC#14028)、サルモネラ・エムバンダカ(Mbandaka)(ATCC#51958)、サルモネラ・ムエンチェン(Muenchen)(ATCC#8388)、およびサルモネラ・モンテビデオ(Montevideo)(ATCC#8387)を用いたサルモネラ・カクテルを試験するために行った。
【0221】
処理および分析
希釈調合物15を加熱し、40℃に維持した。5つのオレンジを溶液に加え、30秒、1分、および2分間浸漬した。オレンジをきれいなスプーンで時々撹拌した。オレンジを、過剰処理を排除するために10〜15秒間無菌の蒸留水を含有する無菌ビーカーへ取り出した。乾燥することなくオレンジを次に500mLの0.1%ペプトン水と共にジップロック袋に入れ、往復式振盪培養機中の氷上に1時間置いた。サンプルを3通りランした。振盪機上に1時間後、サンプルのpHをチェックし、次に溶液をペトリフィルム大腸菌/コリフォーム・プレート上へまたはさらなる一連の10倍希釈液のための希釈瓶中へピペットで移した。サンプルを正副2通りに平板培養した。
【0222】
cm単位のオレンジの平均表面積を、測定した平均直径を用いて計算した。換算係数を、使用したバッファーのmL数(500mL)を総オレンジ平均表面積で割ることによって求めた。この換算係数を用いて実際のコロニー・カウントをオレンジの平方センチメートル(cm)当たりのコロニーに換算した。各プレートからの実際のCFU/mLにこの換算係数を乗じることを用いて平方cm当たりのCFUのカウントを得た。
【0223】
表15は、40℃で希釈調合物15での処理後のオレンジ表面上の大腸菌カクテルのlog減少についての結果を包含する。大腸菌カクテルの初期接種物は5.13 logであった。
【0224】

【0225】
実施例9
オレンジでの抗真菌性能
試験方法およびサンプル調製は、2つの真菌類:アオカビ病菌(ATCC#32079)およびミドリカビ病菌(ATCC#34644)を別々にオレンジ表面に接種したことを除いては実施例8に記載したものと同じであった。調合物15および27の両方を1%に希釈した。乳酸を調合物15のみに1%まで加えた。乳酸の何の添加も調合物27にはしなかった。
【0226】
表16は、50℃で希釈調合物での処理後のオレンジ表面上の2つの真菌類のlog減少についての結果を包含する。
【0227】

【0228】
調合物15および27間の調合物差はエンハンサーであったことに留意されたい。調合物15は1%乳酸をエンハンサーとして使用し、調合物27は希釈後に0.1%レベルでエステル可溶性サリチル酸をエンハンサーとして使用した。
【0229】
実施例10
不織ポリプロピレン上での効能
実施例10は、布地を細菌攻撃に対して抵抗性にする抗菌性コーティングとしての使用について調合物を試験する。試験方法は、幾つかの修正付きで、AATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会)試験方法100−1993、繊維材料の抗細菌性仕上げ:評価(Antibacterial Finishes on Textile Materials:Assessment)に基づいている:1.5インチ平方の不織ポリプロピレンを接種し、ガラス・ジャーの代わりにペトリ皿に貯蔵した。使用したスワッチの数は材料タイプに依存し、材料を滅菌せず、試験生物の希釈を栄養ブロスの代わりにトリプチックソイブロス(TSB)で行った。培養期間は1時間および24時間であった。材料スワッチをペトリ皿に保持した。サンプルを、栄養寒天の代わりにトリプチックソイ寒天(TSA)上へ分配した。使用したチャレンジ細菌は、黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)および肺炎菌(K.pneumonia)(ATCC#23357)であった。
【0230】
用いた試験手順の簡単な説明は次の通りである。調合物14、15、19および20を水中1%w/wに希釈した。乳酸をまた、希釈した溶液にエンハンサーとして最終1%w/w濃度まで加えた。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪した。エマルジョン液を直ちに使用した。
【0231】
サンプルを希釈調合物中に10秒間入れた。それらを次に取り出し、18〜24時間乾燥した。処理した布地サンプルを布地の中心に分配中の1mLの細菌で接種した。多重処理した平方形の布地サンプルを、合計1mL接種物を吸収するための接種によって提供した。接種した布地サンプルをペトリ皿へ入れた。時間0、1時間および24時間に布地サンプルを取り出し、レセーンブロス中へ入れ、十分に振盪し、一連の10倍希釈を行った。希釈液をTSAで正副2通り平板培養し、細菌カウントを数えた。初期接種物カウントを細菌での処理後のそれらと比較し、減少を表17の百分率減少で報告する。
【0232】

【0233】

【0234】
表17aおよびbの結果は、本発明の調合物が布地サンプル上の細菌のレベルを下げるのに有効であることを実証した。
【0235】
実施例11
硬表面上の抗菌性効能
調合物1は、ステンレススチールのような硬い無生物表面を殺菌すると評価された。調合物1を水中2%w/wに希釈した。乳酸をまた、希釈した溶液にエンハンサーとして最終2%w/w濃度まで加えた。溶液を乳状エマルジョンが形成するまで十分に振盪した。エマルジョン液を製造後直ちに使用した。
【0236】
接種物および試験手順
AOAC(公認分析化学者協会)公定法(Official Method)(AOAC公定法991.47):豚コレラ菌に対する殺菌剤の試験(Testing Disinfectants against Salmonella Choleraesuis)、およびAOAC公定法955.15:黄色ブドウ球菌に対する殺菌剤の試験(Testing Disinfectants against Staphylococcus aureus)からの手順を、次の生物に対する殺菌剤の試験について用いた:黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)、豚コレラ菌(ATCC#10708)、および大腸菌(ATCC#11229)。初期接種物:黄色ブドウ球菌:6.33 log、大腸菌:6.98 log、豚コレラ菌:8.35 log。
【0237】
手短に言えば、この試験では、中空のステンレススチールまたはガラス・シリンダー(ペニシリンダー(Penicylinder))をチャレンジ細菌で被覆する。細菌を設定期間ペニシリンダー上で乾燥させる。乾燥した細菌接種物付きペニシリンダーを、希釈調合物中へ10分間浸漬し、取り出し、中和剤溶液(レセーンブロス)中へ30秒間入れ、次にTSB中へ24時間置く。24時間の終わりに、ペニシリンダーを含有するチューブを濁度についてチェックし、増殖ありか増殖なしかのどちらかとして記録する。
【0238】
処理した接種表面は、試験した3つの異なる細菌(黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)、豚コレラ菌(ATCC#10708)、大腸菌(ATCC#11229))のそれぞれについての10試験片のうち10について何の増殖も示さなかった。結果は、希釈した高エステル・コンセントレートFAME調合物が非常に有効な硬表面殺菌剤であることを示す。
【0239】
実施例12
オレンジ上で真菌胞子に対する殺胞子性能
調合物15および27を水中10%および1%に希釈した。乳酸を調合物15のみに2%まで加えた。何の乳酸も希釈調合物27には加えなかった。
【0240】
殺傷速度分析手順は、下記の変更ありで、実施例3に記載したものと非常に似ていた:アオカビ病菌ATCC#32079およびミドリカビ病菌ATCC#34644胞子をチャレンジ生物として調製した。ジャガイモ・デキストロースをTSAの代わりに媒体として使用した。FAME調合物処理を8℃ではなく50℃で行った。
【0241】
表18は、50℃で調合物での処理後の2つの真菌胞子についてのlog減少を示すインビトロ試験からの結果を包含する。
【0242】

【0243】
実施例13
加熱プレート上で加熱した4オンスのガラス・ジャー中へ、順次、40グラムのエチルヘキシルグリセリン、10gのグリセロールモノラウレート、10グラムのパチオニック122A、20グラムのスパン20、5グラムのDOSS、および最後に10グラムIPAを加えること。溶液が均一で透明な単相液体になるまで溶液を磁気棒で絶えず撹拌し、次に室温に冷却した。
【0244】
実施例14
処理した牛ひき肉の創出方法
接種物調製
細菌の溶液を、大腸菌ATCC11229と病原性大腸菌O157:H7カクテル(ATCC35150、ATCC43894、ATCC43895)とから調製した。すべての菌株を、10mLのトリプチックソイブロス(TSB)を含有する個々のチューブ中37℃でおおよそ24時間増殖させた。
【0245】
大腸菌11229接種物溶液を、2つの10mL接種TSBサンプルをプラスチック製スプレー瓶中へ移すことによって調製した。接種物を次に2つの90mL部分の無菌レセーンブロスの添加により希釈して10コロニー形成単位(CFU)/ミリリットル(mL)の機能個体群の溶液を得た。
【0246】
大腸菌O157:H7カクテル液を、個々の生物(ATCC35150、ATCC43894、ATCC43895)の等しい部分(3.3mL)から作った2つの10mL接種物サンプルをプラスチック製スプレー瓶中へ加え、この接種物カクテルを2つの90mL部分の無菌レセーンブロスの添加により希釈して10CFU/mLの機能個体群を得ることによって調製した。
【0247】
肉調製および接種
10%〜15%のおおよその脂肪含有率の、食料品店から入手した冷たい(約5℃)牛肉トリム肉(骨なし牛肉アームロースト)を、1インチ(2.54cm)幅ストリップへ縦方向にカットした。これらの牛肉ストリップの1ポンド(454グラム)部分を、無菌アルミ箔で覆われたプラスチックトレー上に置いた。このサンプルを次に、スプレー瓶で牛肉ストリップ上へ大腸菌11229溶液接種物をスプレーすることによって接種した。トレーを僅かな角度で保持し、接種物をスプレーしてストリップの表面をカバーした。平均牛肉ストリップ片について、牛肉ストリップをカバーするためには手動ポンプのスプレー瓶から約5つの噴射を必要とした。3つの噴射は約1mLの溶液に等しい。牛肉ストリップの各トレーは15噴射の接種物を塗布された。接種した肉トレーを次にクーラー(約5℃)中に30分間入れて細菌付着を可能にした。同じように、サンプルを試験のために大腸菌O157:H7カクテル液接種物で処理した。
【0248】
抗菌性調合物の調製
抗菌性脂質のコンセントレート30を、下の表19にリストする各成分をガラス容器中へ加えることによって作った。容器をホットプレート(50〜80℃)上で加熱し、加熱中、溶液を絶えず撹拌した。溶液を均一で透明な単相液体が生じるまで混合した。このコンセントレートを用いて牛肉サンプルを処理した。同じように、コンセントレート31を牛肉ストリップについて試験するために作った。
【0249】

【0250】
コンセントレートを脱イオン水(DI)で希釈して表20にリストする組成物を与え、それらを用いて牛肉ストリップを処理した。各希釈液を、フィッシャー・サーミックス(Fisher Thermix)を用いて9の設定で使用前に少なくとも5分間磁気撹拌した。
【0251】

【0252】
牛肉トリムの抗菌剤での処理およびさらなる加工
各接種した牛肉トリム・ストリップを、調合物液中に30秒間浸漬し、次にぶら下げて過剰の溶液を牛肉ストリップからさらに30秒間滴らせた。各調合物32〜35を同じようにその効果について試験した。
【0253】
処理した牛肉ストリップを、溶液処理後1時間クーラー(5℃)に貯蔵した。牛肉ストリップを次に、1/2インチ・プレート(USエッジ(US Edge)12×1/2)付きグラインダー(Grinder)(バーケル(Berkel)、インディアナ州ラポルト(La Porte,IN))を用いて粗挽きし、次に1/4インチ・プレート(DC12×1/4)を用いて細挽きした。最終牛ひき肉サンプルを次に、それらが試験されるまでクーラー(5℃)中に貯蔵した。
【0254】
牛ひき肉サンプルを細菌カウントについて様々な時間で試験した。各時点でサンプルを各処理について3通りでランした。25グラム部分を秤り取り、225ミリリットル(mL)のレセーンブロス(VWRサイエンティフィック、イリノイ州バタビア(Batavia,IL))と共にフィルター付きストマッカー袋(filtered Stomacher Bag)(3M製品)中へ入れ、30秒間混和させた。一連の10倍順次希釈液をレセーンブロスで作った。サンプルをペトリフィルム腸内細菌科カウントプレート(EB)(3M、ミネソタ州セントポールから入手可能な)上で平板培養した。ペトリフィルム・プレートを35℃で24±2時間培養し、添付文書に推奨されているようにカウントした。プレートのカウント範囲内(ペトリフィルムEBプレート当たり15〜100CFU)であるカウントのプレートを分析のために使用した。
【0255】
結果をlog10に変換し、反復試験値を平均した。処理した肉サンプルの結果を類似の未処理肉サンプルの結果から差し引いて処理のlog減少を求めた。表21および22は、大腸菌11229および大腸菌O157:H7カクテルのlog減少を示す。
【0256】

【0257】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主要量のプロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸エステルと、
エンハンサーと、
を含む抗菌性組成物であって、
該プロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸エステルが60%より多い量でモノエステルを含む組成物。
【請求項2】
モノエステルとエンハンサーとの前記組み合わせが安定な活性を維持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
主要量のプロピレングリコール(C8〜C14)脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
4℃以上で安定である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
プロピレングリコールエステルの前記濃度が実質的に一定のままである請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記脂肪酸モノエステルがプロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤がポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体である請求項8に記載の殺菌組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤が陰イオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の抗菌性組成物。
【請求項11】
前記陰イオン性界面活性剤がアシルラクチレート塩、スルホコハク酸ジオクチル塩、ラウリル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、およびC8〜C18脂肪酸の塩よりなる群から選択される請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤対エステル比が1:1以下である、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項13】
30〜90%の量で存在するC8〜C14プロピレングリコールエステルを含む、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項14】
C8〜C14脂肪酸グリセロールモノエステルをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記脂肪酸モノエステルがグリセロールモノラウレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、またはそれらの組み合わせである、請求項14に記載の調合物。
【請求項16】
前記エンハンサーがキレート剤、有機酸、またはアルコールである、請求項1に記載の調合物。
【請求項17】
前記キレート剤がEDTAまたはその塩である、請求項16に記載の調合物。
【請求項18】
前記有機酸が乳酸、マンデル酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、サリチル酸、グリコール酸、安息香酸、酢酸、リンゴ酸、またはアジピン酸である、請求項16に記載の調合物。
【請求項19】
前記アルコールがエタノール、イソプロパノール、オクタノール、およびデカノールよりなる群から選択される、請求項16に記載の調合物。
【請求項20】
前記エンハンサーがフェノール系化合物である、請求項1に記載の調合物。
【請求項21】
前記エンハンサーがブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、第三ブチルヒドロキノン、ならびにメチル、エチル、プロピル、およびブチルパラベンのような安息香酸誘導体よりなる群から選択される、請求項20に記載の調合物。
【請求項22】
主要量のプロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸エステルと、
エンハンサーと、
を含む抗菌性組成物であって、
該エステルが60%より多い量でプロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸モノエステルを含み、かつ、モノエステルとエンハンサーとの組み合わせが安定である組成物。
【請求項23】
主要量のプロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸エステル入りの第1容器と、
界面活性剤と、
エンハンサーを含む第2容器と、
を含む抗菌性キットであって、
第1容器中の該エステルが60%より多い量でプロピレングリコール(C7〜C14)脂肪酸モノエステルを含むキット。
【請求項24】
前記第1容器がエンハンサーをさらに含む、請求項23に記載のキット。
【請求項25】
エステルとエンハンサーとの前記組み合わせが安定な活性を維持する、請求項23に記載の抗菌性キット。
【請求項26】
前記第1容器および第2容器の内容物を混合して表面上の微生物レベルを下げるために有効である抗菌性調合物を生み出す工程を含む、請求項23に記載のキットの使用方法。
【請求項27】
前記抗菌性調合物を基材に塗布する前に媒体で希釈する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記基材が肉のセクションである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
肉の前記セクションをひき肉にする工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記エンハンサーが乳酸、マンデル酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、サリチル酸、グリコール酸、安息香酸、酢酸、リンゴ酸、またはアジピン酸よりなる群から選択された有機酸である、請求項23に記載のキット。
【請求項31】
エンハンサーがブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、第三ブチルヒドロキノン、ならびにメチル、エチル、プロピル、およびブチルパラベンのような安息香酸誘導体よりなる群から選択されたフェノール系化合物である、請求項23に記載のキット。
【請求項32】
多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体よりなる群から選択された主要量の抗菌性脂質入りの第1容器と、
界面活性剤と、
エンハンサーを含む第2容器と、
を含む抗菌性キット。
【請求項33】
前記第1容器がエンハンサーをさらに含む、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
請求項1に記載の組成物を使用する基材の殺菌方法。
【請求項35】
前記基材が肉、肉製品、植物および植物部分よりなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記基材が布地、ガラス、ポリマー表面、金属、木材、およびゴムの群から選択された無生物表面である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の組成物を基材に塗布する工程を含む、請求項1に記載の組成物の使用方法。
【請求項38】
請求項2に記載の組成物を基材に塗布する工程を含む、請求項2に記載の組成物の使用方法。
【請求項39】
前記組成物を基材に塗布する前に請求項1に記載の組成物を媒体で希釈する工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記基材が肉、植物、植物部分、布地、ガラス、ポリマー表面、金属、木材およびゴムよりなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
請求項1に記載の組成物を哺乳類の皮膚および髪に局所的に塗布する工程を含む、請求項1に記載の組成物の使用方法。
【請求項42】
風味剤をさらに含む、請求項1に記載の調合物。
【請求項43】
基材を有効量の抗菌性調合物と接触させる工程を含む基材上の微生物レベルの低減方法であって、前記抗菌性調合物が大部分の(C7〜C14)脂肪酸プロピレングリコールエステルと、エンハンサーとを含む方法。
【請求項44】
多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体よりなる群から選択された主要量の抗菌性脂質と、
エンハンサーと、
を含む抗菌性組成物であって、
4℃以上で液体である組成物。
【請求項45】
前記抗菌性脂質が4℃以上で液体である請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
界面活性剤をさらに含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
前記抗菌性組成物を希釈する工程と、
前記抗菌性組成物を基材に塗布する工程と
を含む、請求項44に記載の抗菌性組成物の基材への塗布方法。
【請求項48】
前記抗菌性組成物を基材に塗布する工程を含む、請求項44に記載の抗菌性組成物の基材への塗布方法。
【請求項49】
多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、またはそれらのアルコキシル化誘導体よりなる群から選択された主要量の抗菌性脂質を含む抗菌性組成物を塗布する工程と、
エンハンサーを基材に塗布する工程と
を含む、抗菌性組成物の塗布方法。
【請求項50】
前記エンハンサーが塗布される前に前記抗菌性組成物が前記基材に塗布される請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記エンハンサーが塗布された後に前記抗菌性組成物が前記基材に塗布される請求項49に記載の方法。
【請求項52】
請求項1に記載の組成物を肉のセクションに塗布する工程と、肉の該セクションをひき肉にする工程とを含む、牛のひき肉の処理方法。

【公表番号】特表2007−504826(P2007−504826A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526269(P2006−526269)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029344
【国際公開番号】WO2005/023023
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】