説明

濃縮エマルションを使用する湿性の拭う物を製造する方法

本発明は、約30%(w/w)未満の水分含有量を有する濃縮エマルション組成物を製造する方法を提供し、それにより高内相希釈エマルション組成物を得て、それは湿性の拭う物の調製に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿性の拭う物を製造する方法、特にローションを有する拭き取り布用基材を提供する方法に関する。本発明の湿性の拭う物は、皮膚軟化剤、界面活性剤、並びに任意に他の物質を含む。本発明の湿性の拭う物は、好ましくは、人体の部位を効率的且つ滑らかに拭き取ることが意図される、液体又は半液体ローションを有する一片の基材である。
【0002】
本発明の方法は、3工程として理解することができ、ここで、濃縮エマルション組成物が最初に調製される。濃縮エマルション組成物は、その後、他の化合物により希釈及び補足することができる。次に希釈化合物は、拭き取り布の基材物質に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
皮膚のクレンジングは、必ずしも容易には解決されない身体上の衛生問題である。乾燥ティッシュ製品は、排便後、又は排尿後に最も一般的に使用されるクレンジング製品である。乾燥ティッシュ製品は、通常「トイレ用ティッシュ」、又は「トイレットペーパー」と呼ばれる。乾燥ティッシュの使用に加えて、肛門、会陰、及び肛門周囲の体領域を排便後に洗浄する目的で、湿性の拭う物の使用がますます頻繁になりつつある。いわゆる「湿性の拭う物」は、繊維性構造を有し、一般にキャリパーが厚く、組成物(通常は水性、又は油性)が含浸されている。
【0004】
適切なクレンジングの失敗に関連する欠点には、刺激、発赤、落屑、感染、不快臭、又はその他の種類の個人的不快若しくは健康関連問題がある。病理学的症状(痔、裂傷、陰窩炎等)に苦しむ人々は、これらの問題、及び不快の影響をより一層受けやすい。彼らにとって、いかなる人とも同様に、クレンジングは残留糞便を有効に除去し、及びクレンジングによって生じる刺激がないように優しいものでなければならない。湿性の拭う物はそうした基本的な要求に応える。例えば、パンパース・ベビー・フレッシュ(Pampers Baby Fresh)、及び通常の乳児用拭き取り布は、米国特許第4,904,524号の特許表示と共に販売されている。
【0005】
拭き取り布用ローションにおけるエマルションの使用は、広く普及している。最も慣用的に使用されているエマルションは、主要構成成分として、油相(皮膚軟化剤の形態)、乳化剤又は界面活性剤構成成分、及び抗菌剤のような更なる添加剤を含む水相を有する、水中油型エマルションを使用する。
【0006】
多くの特許文献が、エマルション系ローション類を有する拭き取り布を記載することを意図している。
【0007】
EP808151B1(ブリーズナー(Blieszner)ら)は、拭き取り布用組成物、並びにパーソナルクレンジング、及び会陰皮膚炎を起こす危険性の低減に有用な組成物を使用した拭き取り布を記載している。PCT国際公開特許WO−0241869において、スウ・ジェイ(Hsu,Jay)C.らは、水中油型エマルションで処理された紙製品を記載している。該紙製品は、ローション、皮膚軟化剤、脂肪族アルコール構成成分、乳化剤構成成分、及びスキンコンディショニング成分を含有する。すべての構成成分は、ローション及び紙製品の定義されたパーセンテージを示す。
【0008】
米国特許第4,741,944号、及び第4,865,221号は、シート、及び/又はウェブ内に液体を有する湿性の拭う物を提供する。該液体には、水、塩化ベンザルコニウム、クエン酸、リン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、ポリエチレングリコール−75ラノリン、ココアンホカルボキシグリシネート、プロピレングリコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ポリソルベート20及び芳香剤が挙げられる。
【0009】
エマルション類、特に高内相エマルション類の一般的な背景及び化粧品におけるこれらの潜在的な使用は、下記で見出すことができる:
向上した安定性を有する高内相エマルション類及び化粧品におけるこれらの使用を記載する米国特許第4,606,913号。
転相しない高内相エマルションを製造する方法を記載する米国特許第5,539,021号及び米国特許第5,688,842号。
モノアルキルリン酸塩を含む水中油型ゲル様エマルションを記載する米国特許第5,362,418号。
モノアルキルリン酸塩を含む半透明の化粧品用エマルションを記載する米国特許第5,085,54号。
米国特許第4,776,976号において、ナカムラ(Nakamura)及びスズキ(Suzuki)は、脂肪族リン酸基の塩基性アミノ酸塩を含む水中油型エマルションを記載している。
スクロース脂肪酸エステルを含む高含油量の水中油型エマルションを記載する米国特許第5,976,604号及び米国特許第4,379,755号。
油液滴を含む二液体発泡体を有し、化粧品用途に好適な安定した分散体を記載するPCT国際公開特許WO97/32559。
【0010】
上記の文献の多くは、拭き取り布のより良好な性能を送達するための代替的な方法又は改良された方法を対象としている。
【0011】
一般に、湿性の拭う物用のローション組成物、より詳細にはエマルションは、皮膚軟化剤化合物を過剰量の水及び界面活性剤又は乳化剤と混合することにより製造される。しかしエマルションを製造するこの方法は、厳しい方法条件を必要とし、すなわち、油と水相を均質化し、そして例えば定義された粒径分布を水相に発生させるための高エネルギー出力を必要とし、一般に高剪断攪拌が、調製される組成物の加熱と共に必要とされる。
【0012】
この高エネルギー入力は、製造業者にとって高価であり、特別な装置(すなわち有意な投資レベル)を必要とする。また、高剪断力及び厳しい方法条件は、従来どおりに調製されたエマルション(例えば、大分子量構造の破断)の成分に対する著しい応力を意味する。更に、そのような従来の方法により調製されたエマルションは、本来、極めて希釈されている。取り扱い、保存及び輸送は、著しく不都合であり、費用がかかる。
【0013】
また従来のエマルション製造方法で達成できる粒径には制限がある(粒径は、水中油型エマルションの水溶液中の油滴の大きさである)。小さい油滴直径の油のエマルションには最も厳密な調製が必要となるが、小さい油滴直径の油は、エマルションにとってより望ましい最終特性をもたらすことが証明されている。
【0014】
小さい油滴直径の油(=小さい粒径)のエマルションは、適用の際にユーザーに増量された皮膚軟化剤を送達することが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
滑らかで長続きする心地よい感触をユーザーに提供する拭き取り布の必要性が存在する。また、調製及び保存が相対的に容易且つ費用効率の良い、拭き取り布に適用されるエマルション組成物の必要性が存在する。加えて、費用効率が良く、濃縮形態でエマルションを保存及び輸送することができる、そのようなエマルションを調製する方法の必要性が存在する。
【0016】
好ましくは低いエネルギー入力しか必要ではなく、特に低い剪断力及び入熱がほとんどないか又は全くないようなエマルションを含むそのような拭き取り布を調製する方法の更なる必要性が存在する。また、成分に低剪断応力を与えるエマルション方法を含む、そのような拭き取り布を調製する方法の必要性が存在する。加えて、非常に小さい寸法であり、安定及び/又は準安定している油滴を示すエマルションを調製する方法の必要性が存在する。
【0017】
所望の特性に対応する多様な添加剤を後から添加できる、普遍的なエマルションプレミックス又は濃縮物の調製の必要性が存在する。最後に、未だに達成されていないレベルの上記利益のすべて又はほとんどを組み合わせるこのようなエマルションを調製する方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ローション組成物を含む湿性の拭う物を製造する方法を記載する。より詳細には、容易に取り扱い、保存及び輸送ができる濃縮エマルションとしてローション組成物を調製する方法を記載する。次に濃縮エマルション組成物は、水で希釈され、他の化合物により補足されて、拭き取り布用基材に適用される所望の最終組成物を得ることができる。この点において、本発明は、すぐ使用できるローション組成物に希釈できる濃縮エマルションを提供することにより、製造能力を最大限に生かすことができる。
【0019】
本発明の方法で得られる組成物濃縮物は、高内相濃縮物である。これは好ましくは、希釈されたとき、非常に小さい油滴直径を示す水中油型エマルションをもたらす。
【0020】
本方法は、従来の方法と比較して、安定及び/又は準安定したエマルション組成物濃縮物の形成を確実にするために、低レベルのエネルギー入力しか必要としない(例えば、低剪断力及びほとんど又は全く入熱がない)ことにより特徴付けられる。
【0021】
本発明の方法は、極めて小さいサイズの油の液滴を含む拭き取り布用の水中油型エマルション組成物を作り出す。
【0022】
別の実施形態において、本発明の方法は、皮膚軟化剤の界面活性剤溶液(又は界面活性剤溶液)への添加速度が、形成される組成物の粘度を低下させないように調整されることにより特徴付けられる。
【0023】
引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参照として組み込まれ、いずれの文献の引用もそれが本発明に関連する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
湿性の拭う物(「wipe」:拭き取る物、拭く物)
本発明は、ローション組成物を含む湿性の拭う物を製造する方法を提案する。湿性の拭う物又は拭き取り布又は湿性のティッシュ又は体の拭き取り布は、体の部位を清浄するために使用される、一般的に不織布材料である1枚の材料を説明する一般用語である。特に、現在入手可能な拭き取り布の大部分は、排便後の肛門周囲領域の洗浄を意図している。他の拭き取り布は、顔又は他の体の部位のクレンジングに入手可能である。本発明は、肛門周囲(又は会陰)領域用の拭き取り布を焦点とするが、その種類の湿性の拭う物に限定されない。湿性の拭う物は、一般に取り扱いに都合が良いように十分な寸法があるが、下水システムで容易に処分できるほど十分に小さい。拭き取り布の材料(いわゆる「基材」)は一般に軟質且つ可撓性であり、洗浄性能を向上させる構造表面を潜在的に有している。材料は、好ましくは不織布材料であり、一般には合成化合物類でできている。ただし、織物材料、並びに織物又は不織布材料への天然化合物類の使用は、本発明の範囲内である。本発明の1つの実施形態において、基材は、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、レーヨン、ポリアミド類、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されてなる繊維類を含む不織布物質を含む。一部の湿性の拭う物では、拭き取り布の質感及び材料がその拭き取り布の性能に大きく関わっているが、しかし本発明は、湿性の拭う物を形成するために基材に染み込ませる組成物の形成に焦点を当てる。
【0025】
拭き取り布は一般に、洗浄の強化、及び平滑な感覚の提供の両方を意図して、液体、又は半液体組成物で含浸される。他の成分又は活性物質(例えば、化粧品用又は製薬用活性物質)が組成物の一部となることができる。
【0026】
一般に組成物は、拭き取り布の構造全体に染み込ませることができるために十分に低粘度である。別の場合には、組成物は主に拭き取り布の表面に存在し、それより少ない程度で拭き取り布の内部構造に存在することができる。任意の実施形態の1つにおいて、組成物は材料に放出可能に担持され、すなわち、組成物が基材の中、又は上に含有されて、例えば、その基材を絞るか、子供のお尻のような表面を湿性の拭う物で拭き取るなどの、いくらかの力を基材にかけることにより、基材から容易に放出可能である。
【0027】
組成物:
本発明の方法で使用される組成物には、濃縮水中油型エマルション組成物及び希釈組成物が挙げられる。前者を水で希釈して後者を形成する。水の濃度を除いて、希釈組成物の構成成分は、対応する濃縮水中油型エマルション組成物と同一である。次に希釈組成物は基材に染み込んで湿性の拭う物を形成する。濃縮水中油型エマルション組成物は、ローション、鎮静ローション、濃縮組成物、鎮静組成物、クレンジング又はクレンジングローション又は組成物、エマルション又はエマルション組成物と互換可能に呼ばれる。これらの用語はすべて本明細書で互換可能に使用され、本発明の組成物の少なくとも二つの基本機能であるクレンジングの強化と皮膚鎮静効果の送達とを示す。
【0028】
ほとんどの実施形態において、本発明の組成物は下記を含むが、これらには限定されない:
皮膚軟化剤
界面活性剤及び/又は乳化剤;並びに
水。
【0029】
他の成分が組成物に組み込まれてもよく、これらにはレオロジー変性剤、鎮静剤及び防腐剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
皮膚軟化剤:
一般的な辞書は「皮膚軟化剤」を「柔軟化、又は鎮静化するもの」と定義している。湿性の拭う物における機能としては、(1)潤滑の増強による皮膚上での拭き取りのすべりの改善、及びそれによる皮膚の擦傷の減少、(2)残留物(例えば残留糞便、又は乾燥した尿残留物)の水和、それによる皮膚からのそれらの除去の促進、(3)皮膚の水和、それによる皮膚の乾燥、及び刺激の低減と同時に拭き取り動作下でのその可撓性の改善、(4)皮膚軟化剤が皮膚上に付着し、その表面に薄い保護層として残ることから、後の刺激(例えば下着の摩擦によって生じる)からの皮膚の保護が挙げられる。
【0031】
本発明の方法で使用される好ましい皮膚軟化剤は、ケイ素系である。シリコーン系の皮膚軟化剤は、繰り返しシロキサン(Si−O)単位を有するオルガノシリコーン系ポリマー類である。本発明のシリコーン系皮膚軟化剤は、疎水性であり、広い範囲の可能な分子量で存在する。それらは、線状、環式、及び架橋種を含む。シリコーンオイル類は、一般に化学的に不活性であり、通常は高い引火点を有する。その低い表面張力により、シリコーンオイル類は容易に広がることができ、高い表面活性を有する。本発明のシリコンオイルの例には、シクロメチコン類、ジメチコン類、フェニル変性シリコーン類、アルキル変性シリコーン類、シリコーン樹脂、シリカ及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明で有用な他の皮膚軟化剤には、ビス−PEG/PPG−16/16PEG/PPG−16/16ジメチコンC12〜C15アルキルベンゾエートと組み合わされるカプリル酸カプリン酸トリグリセリド類のような不飽和エステル類又は脂肪酸エステル類が挙げられる。
【0033】
ローション組成物濃縮物及び希釈組成物に含まれることができる皮膚軟化剤の量は、関与する特定の皮膚軟化剤、所望のローション様効果、及びローション組成物中のその他の構成成分を含む種々の因子によって決まる。1つの実施形態において、濃縮組成物は、約75%〜約99%の皮膚軟化剤、より好ましくは約80%〜約94%、更により好ましくは約85%〜約92%の皮膚軟化剤を含む(本明細書中のすべての%は特に明示しない限り重量%である)。
【0034】
また好ましくは、本発明の皮膚軟化剤は、約5〜約12、より好ましくは約5〜約9の溶解度パラメータを有する。
【0035】
乳化剤/界面活性剤:
濃縮組成物及び希釈組成物には、また、水中油型エマルションを形成する当該技術分野において既知であるもののような乳化剤が挙げられる。
【0036】
乳化剤は、化学的化合物の混合物であることができ、界面活性剤を含む。好ましい乳化剤は、界面活性剤としても作用するものである。両方の用語、界面活性剤及び乳化剤は、この文書では互換可能に使用される。乳化剤の混合物を使用してもよい。本発明において、界面活性剤は、最少で約25%の界面活性剤含有量(w/w)の溶液として使用される。1つの実施形態において、界面活性剤は、純粋な形態(100%w/w)として使用される。本発明の界面活性剤溶液は、水溶液又は非水溶液であることができる。界面活性剤、乳化剤、界面活性剤溶液という用語は、本明細書において互換可能に使用される。乳化剤は、ポリマー乳化剤であることができる。
【0037】
本発明の1つの実施形態において、本書の方法の部分に記載されているように、ブルックフィールド(Brookfield)装置で測定したときに、乳化剤は、乳化剤の1%水溶液において、約25℃で約15Pa・s(15,000cps)未満の粘度を有する。より好ましくは、粘度は同じ条件下で約10Pa・s(10,000cps)未満である。
【0038】
乳化剤は、皮膚軟化剤を、及び組成物に存在する非水溶性油類を乳化するために有効な量で利用される。本発明の1つの実施形態において、濃縮組成物における乳化剤の量は、約1%〜約25%、好ましくは約6%〜約20%、より好ましくは約8%〜約15%の範囲である(濃縮組成物の重量に対する皮膚軟化剤の重量に基づく)。
【0039】
本発明の1つの実施形態において、濃縮組成物は、界面活性剤と皮膚軟化剤の量を約1:9〜約1:72(重量/重量に基づく)、より好ましくは約1:14〜約1:30(w/w)の比率で有してなる。
【0040】
低い表面張力を有する界面活性剤/乳化剤は、本発明にとって好ましい。好ましい界面活性剤/乳化剤の他の特徴には、高い極性及び非イオン性の性質が挙げられる。
【0041】
組成物の他の任意成分:
特許請求される本発明の組成物は、任意に補助剤成分を含んでもよい。補助剤成分は、香料、鎮静剤、芳香剤、防腐剤、レオロジー変性剤、保湿剤、テクスチャライザー、着色剤、医療用活性成分、特に治癒活性物質及び皮膚保護剤であるが、これらに限定されないような広範囲の追加成分を含んでもよい。補助剤成分の組み合わせも本発明の範囲内である。
【0042】
鎮静剤:
鎮静剤を本発明の組成物に添加することができる。鎮静剤は、一部の化学物質の刺激又は刺痛作用を軽減する能力を有する化合物である。鎮静剤は、種々の化学物質部類のものであることができる。鎮静剤は、特にパラベン系防腐剤系に対して、皮膚刺激物の影響を中和する種々の作用機構を有することができる。例えば、酸化防止剤は酸化剤にとって鎮静剤となり得る。緩衝剤は、酸又は塩基の皮膚に対する刺痛作用を中和する鎮静剤となり得る。皮膚軟化剤も鎮静剤であることができることが留意されるべきである。一部の防腐剤の刺痛/刺激作用に対して作用する鎮静剤が好ましい。これらの鎮静剤は、例えば防腐剤の可溶化若しくはミセル化を助ける皮膚軟化剤又は界面活性剤であることができる。
【0043】
本発明の好ましい鎮静剤は、(a)エトキシル化界面活性化合物、より好ましくは約60未満のエトキシル化数を有するもの、(b)ポリマー類、より好ましくはポリビニルピロリドン(PVP)及び/又はN−ビニルカプロラクタムホモポリマー(PVC)、並びに(c)リン脂質、より好ましくは、例えば脂肪酸及びオルガノシリコーン類のような他の官能性成分と錯体を形成するリン脂質である。
【0044】
防腐剤:
任意に、本発明の方法で使用される組成物は、防腐剤又は防腐剤の混合物を含むことができる。パーソナルケア製品での微生物成長を抑制する必要性は、非イオン性水中油型エマルション及び乳児用拭き取り布のような予め含浸された拭き取り布のような水性製品で特に深刻であることが知られている。
【0045】
本発明の方法は、防腐剤化合物、又はより好ましくは防腐剤系として一緒に作用する防腐剤化合物の組み合わせを提供することを含むことができる。防腐剤及び防腐剤系は、唯一の又は多数の防腐剤化合物を示すために、本明細書において互換可能に使用される。
【0046】
防腐剤は、微生物の成長を抑え、それによって拭き取り布の包装(開封済み、又は未開封)のより長い貯蔵寿命を可能にし、並びに拭き取り過程中に皮膚に移動したときに微生物の成長が抑えられた環境を作る化学若しくは天然化合物、又は多数の化合物であると理解される。
【0047】
本発明の防腐剤(又は防腐剤系)は1つ以上のパラベン部類の防腐剤を含むことができる。好ましくは防腐剤は、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン又はそれらの組み合わせのリストから選択される。
【0048】
本発明に包含されるパラベン防腐剤の総濃度は、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満、更により好ましくは約0.3%未満である(法規定により実際にはこれらの範囲が制限される場合があることに注意すべきである)。パラベン抗菌剤の最少量は、組成物の所望の保存を得るのに十分ないかなる量でもあり、発明のほとんどの実施形態において0.001%(w/w)を超える。
【0049】
レオロジー変性剤:
レオロジー変性剤は、処理温度並びにそれより低い温度で組成物粘度を増大させる化合物である。不溶性及び部分的に可溶性の構成成分の沈殿(分離)を防止するための「構造」を組成物に提供する。組成物のその他の構成成分又は添加剤が、組成物の温度に関する粘度/レオロジーに影響する場合がある。
【0050】
レオロジー変性剤の効果及び利点は、特に、US20020128621A1、名称「良好な安定性を有する単純化された組成物を用いた吸収性物品(Absorbent articles with simplified compositions having good stability)」(クルチョスキー(Kruchoski)ら、2001年12月21日出願、2002年9月12日公開)、及びUS20020128615A1、名称「アニオン性ポリマーを含有する非水性組成物を用いた吸収性物品(Absorbent articles with non-aqueous compositions containing anionic polymers)」(ティレル(Tyrrell)ら、2001年12月22日出願、2002年9月12日公開)に記載される。
【0051】
不溶性、及び部分的に可溶性の構成成分の懸濁液を安定化することに加え、レオロジー変性剤は、拭き取り布上の組成物を安定化し、ローションの皮膚への移動を増進するのにも役立つ:拭き取り動作は、剪断、及び圧力を増大させるので、ローションの粘度を低下させ、皮膚へのより良好な移動、及びより良好な潤滑効果を可能にする。
【0052】
更に、レオロジー変性剤は、抜き取り用品の積み重ね体の中での組成物の均質な分布を保つのに役立つ:いかなる流体組成物も、長期保存中に拭き取り布の積み重ね体のより低い部分に移動する傾向がある。この効果により、積み重ね体の上方の領域が底部よりも少ない組成物を有するようになる。これは、ユーザーに、比較的低品質の徴候として見られる。
【0053】
好ましいレオロジー変性剤は、低い初期粘度及び高い降伏を示す。本発明に特に適切ものは、次のようなレオロジー変性剤であるが、これらに限定されない:
ドイツ、エメリヒ(Emmerich)のユニケマ社(Uniqema GmbH&Co.KG)より商標名アラトン(ARLATONE)で入手可能な材料のブレンド。特に好ましいのは、スクロースパルミテート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート、スクロース、マンナン、及びキサンタンガムのブレンドであるアラトン(ARLATONE)V−175、及びステアレス−100、ステアレス−2、グリセリルステアレートシトレート、スクロース、マンナン、及びキサンタンガムのブレンドであるアラトン(Arlatone)V−100である。フランス、パリのセピック・フランス(Seppic France)よりシムルゲル(SIMULGEL)として入手可能な材料のブレンド。特に好ましいのは、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、及びスクアラン、及びポリソルベート60、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、及びポリイソブテン、及びカプリリルカプリルグルコシド、アクリレートコポリマー類(例えばアクリレート類/アクリルアミドコポリマー類であるがこれに限定されない)、鉱油、及びポリソルベート85のブレンドを含むシムルゲル(SIMULGEL)NSである。
【0054】
オハイオ州クリーブランドのノベオン社(Noveon,Inc.)よりカーボポール(Carbopol)(登録商標)900シリーズとして入手可能なもの(例えば、カーボポール(Carbopol)(登録商標)954)のような、アクリレートホモポリマー類、アクリレートクロスポリマー類(例えばアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー類であるがこれに限定されない)、カルボマー類(例えば1つ以上のアリルエーテル(例えばペンタエリスリトールのアリルエーテル類、スクロースのアリルエーテル類、プロピレンのアリルエーテル類であるがこれらに限定されない))と架橋したアクリル酸であるがこれに限定されない)、及びこれらの組み合わせ。
【0055】
キサンタン(xantham)ガム、ガラクトアラビナン及び他の多糖類のような天然由来ポリマー類。
【0056】
上記のレオロジー変性剤の組み合わせ。
【0057】
市販のレオロジー変性剤の例としては、いずれも米国オハイオ州クリーブランドのノベオン(Noveon)より入手可能なウルトレツ(Ultrez)−10(カルボマー)、及びペムレン(Pemulen)TR−2(アクリレートクロスポリマー類)、並びに米国カリフォルニア州サンディエゴのCPケルコ(Kelco)より入手可能なケルトロール(Keltrol)(キサンタンガム)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
存在する場合、レオロジー変性剤は、典型的には、好ましくは重量%(w/w)で約0.01%〜約3%、より好ましくは約0.015%〜約2%、更により好ましくは約0.02%〜約1%で希釈組成物に存在する。
【0059】
濃縮組成物:
本発明の濃縮組成物(また本明細書中において濃縮物、濃縮組成物、濃縮エマルション、エマルション濃縮物と互換可能に呼ばれる)は、約30%(w/w)未満の水分含有量を有し、水分含有量は、好ましくは約20%(w/w)未満、より好ましくは約10%(w/w)未満である。水の最小限度量は、本発明のほとんどの実施形態において、約0.1%を超える。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、平均粒径(=皮膚軟化剤液滴直径)は、約12μm未満、より好ましくは約10未満、更により好ましくは約5μm未満、なお更により好ましくは約1μm未満である。これは、同一の値を有する希釈組成物の平均粒径に相当し、また、粒径のいくらかの変化を希釈工程の間/後で観察することができる。
【0061】
本発明の方法により製造できる組成物の例は、同時係属米国特許仮出願番号60/520,031、名称「クレンジングの効率を増進させ、同時に皮膚に対して優しい湿性の拭う物用の組成物」(A composition for wet wipes that enhances the efficacy of cleansing while being gentle to the skin)(ジョージ・デックナー(George Deckner)ら、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)、代理人整理番号CM2755P2Q、2003年11月14日出願)に記載されている。
【0062】
商品
本発明の一実施形態では、商品が提供される。本発明の商品は、典型的には、(a)本明細書で記載される容器及び(b)少なくとも本明細書で記載される湿性の拭う物を含む。
【0063】
本発明の商品に有用な容器としては、例えば、PET槽(PET tub)、フローラップパウチ、個々に包装されたクレンジングミットの切込みの入った袋、及び不織布物品に適した、当業者に既知の他の包装が挙げられるが、これらに限定されない。更に、容器はまた、個々のクレンジング用の湿性の拭う物の取出しを促進するために製造されることができる。
【0064】
容器は、いかなる適した材料、又は材料類からも製造することができ、いかなる適した方法でも製造することができる。例えば、容器は、ポリスチレン、ポリプロピレン、PET、POET、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等から製造することができる。容器はまた、材料の混合物から製造されてもよい。容器は、例えば真空成形、若しくは射出成形、又はいかなる適した方法でも製造することができる。
【0065】
容器並びに容器の追加の任意構成要素(容器本体、ふた、容器の機構(ふたの取付部、ヒンジ、ジッパー、固定手段のような、しかしこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない)に関する追加情報は、米国意匠特許第451,279号;同第437,686号;同第443,508号;同第443,451;同第421,901号;同第421,902号;同第416,794号;同第414,637号;同第445,329号;第3,982,659号;第3,967,756号;第3,986,479号;第3,994,417号;第6,269,970号;第5,785,179号:第5,366,104号;第5,322,178号;第5,050,737号;第4,971,220号;第6,296,144号;第6,315,114号;第4,840,270号;第4,471,881号;第5,647,506号;第6,401,968号;第6,269,969号;第6,412,634号;第5,791,465号;第6,092,690号;及び第6,092,690号;米国特許出願公番号2002/0064323(2002年5月30日公開、発明者チン(Chin);PCT国際公開特許WO00/27268(2000年5月18日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)に譲渡);PCT国際公開特許WO02/14172(2002年2月21日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社に譲渡);及びPCT国際公開特許WO99/55213、1999年11月4日公開、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Co.)に譲渡)で見出すことができる。
【0066】
せん断速度:
極めて高い剪断速度を使用する従来の乳化方法と異なり、本発明は、約10,000s−1未満、より好ましくは1,000s−1未満、更により好ましくは100s−1未満の好ましい剪断速度(剪断速度は、本明細書で記載される方法に従って測定される)の使用を可能にする(使用される場合が最良の実施となる)。
【0067】
皮膚軟化剤の添加速度:
本発明の1つの実施形態において、皮膚軟化剤の界面活性剤溶液への添加速度は、形成される濃縮組成物の粘度を低下させないように選択される。
【0068】
加工(Converting):
本発明の方法は、拭き取り布用基材を準備し、多量の希釈組成物を基材上に提供する工程を含む。この工程は加工工程と称される。いかなる既知の種類の基材も加工工程で使用することができ、好ましくは基材は、合成不織布の性質であるが、セルロース繊維を含む(又は主にセルロース繊維から構成される)こともできる。希釈組成物を拭き取り布用基材上に提供する工程は、スプレー、プリント及びコーティング(例えば、カーテンコーター又はスロット塗布機を使用)のような(しかしこれらに限定されない)いかなる従来の適用方法によっても達成することができる。
【0069】
実施例:
実施例A及びBは、本発明の第1の方法工程の例であり、ここで、濃縮エマルションミックスが調製される。
【0070】
実施例A:(使用される装置は、バッチサイズ100kgで本明細書において記載されている。)
ミックスタンクは、上部入口2段攪拌機を備え、比率Z/T(ここで、Zはミックスタンク内の液体の最大高さであり、Tはミックスタンクの直径である)が、0.80〜1.2となるように(例えば、T=546mm)、そして比率D/T(ここで、Dはインペラの直径であり、Tは上記と同義である)が0.66となるように設計されている。上部入口2段攪拌機は、1段当たり4枚のブレードを有し、ブレードがそれぞれ大迎角を有するワイド・ブレード・ハイドロフォイル(Wide Blade Hydrofoil)(例えば、フィラデルフィア(Philadelphia)4HS45)であり、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最低段の中間までの間隔(例えば、=70mm)であり、Tは上記と同義である)が0.12〜0.15となるように、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最高段の中間までの間隔であり、Tは上記と同義である)が0.5〜0.6となるように置かれている。
【0071】
組成物の処方は、表Aに記載されている。
【表1】

*プランタケア(Plantacare)2000UP(商標)は、水中に界面活性剤(デシルグルコシド)を約50%含み、コグニス社(Cognis GmbH)(ドイツ、デュッセルドルフ、40551(40551 Dusseldorf,Germany)、www.cognis.com)から商品化されている。
**DC1501(商標)は、シクロペンタシロキサンジメチコノールを含み、ダウ・コーニング(Dow Corning)(ドイツ、ウイースバーデン、65201(65201 Wiesbaden,Germany)、www.dowcorning.com)から商品化されている。
【0072】
方法の記載:
(a)(1)の総量を容器に加える。攪拌機の下方のブレードが攪拌機の表面に到達する(液体レベルは≧Cである)。攪拌方法はN=21rad/秒(200rpm)で開始される。
(b)(2)の(1)への連続添加を260〜340kg/時間の流量で開始する。流量は、(2)の(1)への良好な組み込みを可能にするように十分に遅くなければならない。攪拌速度は、31rad/秒(300rpm)まで徐々に増加される。(2)の重量の70〜80%が添加されると、添加流量が180〜230kg/時間の範囲に低下して、(2)の残留物の組成物への良好な組み込みを確実にする。攪拌速度は、より良い組み込みのために添加の終了時に350rpmに増加することができる。
(c)添加の終了時に、組成物は、更に2分間攪拌される。バッチを、更なる方法のために排出することができる。
【0073】
計算された剪断速度は、37rad/秒(350rpm)で88s−1である。
【0074】
実施例B:(使用される装置は、バッチサイズ20kgで本明細書において記載されている。)
ミックスタンクは、上部入口2段攪拌機を備え、比率Z/T(ここで、Zはミックスタンク内の液体の最大高さであり、Tはミックスタンクの直径である)が、0.80〜1.2となるように(例えば、T=300mm、Z=300mm)、そして比率D/T(ここで、Dはインペラの直径であり、Tは上記と同義である)が0.66となるように(例えば、D=200mm)設計されている。上部入口2段攪拌機は、1段当たり4枚のブレードを有するピッチ・ブレード・タービン(Pitch Blade Turbine)45°であり、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最低段の中間までの間隔であり、Tは上記と同義である)が0.12〜0.15となるように、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最高段の中間までの間隔であり、Tは上記と同義である)が0.5〜0.6となるように置かれている。
【0075】
組成物の処方は、表Bに記載されている。
【表2】

*プランタケア(Plantacare)2000UP(商標)は、水中に界面活性剤(デシルグルコシド)を約50%含み、コグニス社(Cognis GmbH)(ドイツ、デュッセルドルフ、40551(40551 Dusseldorf,Germany)、www.cognis.com)から商品化されている。
**アビルケア(Abil Care)85(商標)は、ビス−PEG/PPG−16/16PEG/PPGジメチコンカプリル酸カプリン酸トリグリセリドを含み、ゴールドシュミット/デグサ、ゴールドシュミット社(Goldschmidt/Degussa,Goldschmidt AG)(ドイツ、エッセン(Essen)45127(www.goldschmidt.com))から商品化されている。
【0076】
方法の記載:
(a)(1)の総量を容器に加える。攪拌機の下方のブレードが攪拌機の表面に到達する(液体レベルは≧Cである)。攪拌方法は130rpmで開始される。
(b)(2)の(1)への連続添加を60〜65kg/時間の流量で開始する。添加流量は、(2)の(1)への良好な組み込みを可能にするように十分に遅くなければならない。添加流量は徐々に増加される。(2)の1/3の量が添加された後、流量は90kg/時間に増加することができる。(2)の2/3の量が添加された後、流量は120kg/時間に増加することができる。
(c)添加の終了時、組成物は同じ速度(130rpm)で更にもう1分間攪拌される。次にバッチを、更なる方法のために排出することができる。
【0077】
計算された剪断速度は、16rad/秒(155rpm)で35s−1である。
【0078】
実施例C及びD
実施例C及びDは、本発明の第2の方法工程の例であり、ここで、濃縮エマルションミックスは、水と追加の成分により希釈される。(使用される装置はバッチサイズ750kgで本明細書において記載されている。)
ミックスタンクは、上部入口2段攪拌機を備え、比率Z/T(ここで、Zはミックスタンク内の液体の最大高さであり、Tはミックスタンクの直径である)が、0.80〜1.2となるように、そして比率D/T(ここで、Dはインペラの直径であり、Tは上記と同義である)が0.3〜0.4(例えば、0.33)となるように設計されている。上部入口2段攪拌機は、1段当たり4枚のブレードを有するピッチ・ブレード・タービン(Pitch Blade Turbine)45°であり、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最低段の中間までの間隔であり、Tは上記と同義である)が0.25〜0.35となるように、比率C/T(ここで、Cは容器の底から攪拌機の最高段の中間までの間隔であり、Tは上記と同義である)が0.5〜0.6となるように置かれている。
【0079】
実施例C
組成物の処方は表Cに記載されている。
【表3】

*DC1501(商標)は、シクロペンタシロキサンジメチコノールを含み、ダウ・コーニング(Dow Corning)(ドイツ、ウイースバーデン、65201(65201 Wiesbaden,Germany)、www.dowcorning.com)から商品化されている。
**アラトン(Arlatone)−V175(商標)は、スクロースパルミテート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート、スクロース、マンナン、キサンタンガムを含み、ユニケマ社(Uniqema GmbH&Co.KG)(ドイツ、エメリヒ(Emmerich)46429(www.uniqema.com))から商品化されている。
***プランタケア(Plantacare)2000UP(商標)は、水中に界面活性剤(デシルグルコシド)を約50%含み、コグニス社(Cognis GmbH)(ドイツ、デュッセルドルフ、40551(40551 Dusseldorf,Germany)、www.cognis.com)から商品化されている。
【0080】
方法の記載:
方法工程の間に約2分間の混合時間が与えられる。
a − 成分(12)が容器に添加される。攪拌は、22rad/秒(206rpm)で開始され、方法全体を通して維持される。
b − 成分(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)がプレミックス形態で送達される。成分(10)の量が上記のプレミックスの量り分けた量に添加され、プロペラ攪拌機で15分間攪拌される。
c − トライブレンダー(Triblender)(商標)F2116MD MBV B40装置が再循環ループに接続され、水流が約5100kg/時間の流量でポンプにより送られる。成分(2)がトライブレンダーの漏斗を介して吸引するのに十分な速度で添加される。更に10分間の攪拌時間が均質分散のために与えられる。
d − 成分(3)及び(4)は実施例Aで記載されたように一緒に混合された。得られた実施例Aの組成物が容器に添加され、同時に攪拌が23rad/秒(220rpm)に増加される。更に5分間の攪拌時間が良好な分散のために与えられる。
e − 工程bで調製されたプレミックスが容器に添加される。更に3分間の攪拌時間が与えられる。
f − 成分(11)が容器に添加される。更に2分間の攪拌時間が良好な分散のために与えられる。
g − 成分(1)が容器に添加される。更に5分間の攪拌時間がバッチの終了前に与えられる。
h − 組成物を更なる方法のために排出することができる。
【0081】
実施例D
組成物の処方は、表Dに記載されている。
【表4】

*アラトン(Arlatone)−V175(商標)は、スクロースパルミテート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート、スクロース、マンナン、キサンタンガムを含み、ユニケマ社(Uniqema GmbH&Co.KG)(ドイツ、エメリヒ(Emmerich)46429(www.uniqema.com))から商品化されている。
**アビルケア(Abil Care)85(商標)は、ビス−PEG/PPG−16/16PEG/PPGジメチコンカプリル酸カプリン酸トリグリセリドを含み、ゴールドシュミット/デグサ、ゴールドシュミット社(Goldschmidt/Degussa,Goldschmidt AG)(ドイツ、エッセン、45127(45127 Essen,Germany)、www.goldschmidt.com)から商品化されている。
***プランタケア(Plantacare)2000UP(商標)は、水中に界面活性剤(デシルグルコシド)を約50%含み、コグニス社(Cognis GmbH)(ドイツ、デュッセルドルフ、40551(40551 Dusseldorf,Germany)、www.cognis.com)から商品化されている。
【0082】
方法の記載:
方法工程の間に約2分間の混合時間が与えられる。
a − 成分(12)が容器に添加される。攪拌は、22rad/秒(206rpm)で開始され、方法全体を通して維持される。
b − 成分(5)、(6)、(7)、(8)及び(9)がプレミックス形態で送達される。成分(10)の量が上記のプレミックスの量り分けた量に添加され、プロペラ攪拌機で15分間攪拌される。
c − トライブレンダー(Triblender)(商標)F2116MD MBV B40装置が再循環ループに接続され、水流が約5100kg/時間の流量でポンプにより送られる。成分(2)がトライブレンダーの漏斗を介して吸引するのに十分な速度で添加される。更に5分間の攪拌時間が均質分散のために与えられる。
d − 成分(3)及び(4)は実施例Bで記載されたように一緒に混合された。得られた実施例Bの組成物が容器に添加される。更に5分間の攪拌時間が良好な分散のために与えられる。
e − 工程bで調製されたプレミックスが容器に添加される。
f − 成分(11)が容器に添加される。更に2分間の攪拌時間が良好な分散のために与えられる。
g − 成分(1)が容器に添加される。更に5分間の攪拌時間がバッチの終了前に与えられる。
h − 組成物を更なる方法のために排出することができる。
【0083】
実施例E
実施例Eは、本発明の第3の方法工程の例であり、ここで、希釈組成物が拭き取り布用基材に適用される。基材は、60%(w/w)のポリプロピレン繊維と40%(w/w)のビスコース繊維を含み、約38mm〜40mmの平均繊維長さを有する不織布基材である(例えば、米国のPGIから入手可能)。
【0084】
拭き取り布用基材の材料は、マザーロールから折り畳みプレートまで一定速度で巻き戻される。巻き戻し経路では、基材材料はスロットサイズ200μmのスロット塗布機と反対の方向に動く。実施例C又はDで調製された希釈組成物が、基材1g当たり3.0gのローションのローション装填を確実にするように設計された流量でポンプによりスロットコーダーに送られる。濡れた基材材料が折り畳みボード上で折り畳まれ、拭き取り布のサイズに切断される。
【0085】
本発明の実施例、並びに記載、方法及び教示で使用される水は、化粧品用等級又は薬剤用等級の水、好ましくは脱イオン水であり、「精製水」又は「水」と互換可能に称される。
【0086】
方法:
K値及び剪断速度指数(n)を計算する粘度曲線の生成:
試料には、コーン/プレート形状、ツール:40mm、2°コーンを有するTAインスツルメンツAR2000シリーズレオメーター(TA Instruments AR2000 Series Rheometer)(米国デラウエア州ニューキャッスル(New Castle,Delaware,USA)、www.tainst.com)で測定される。分析に使用したソフトウエアは、TAレオロジーアトバンテージ(TA Rheology Advantage)バージョン4.1.2である。使用した流動曲線法は、25℃、5分間で1〜1000秒−1の連続的な剪断速度制御ランプである。使用される降伏応力法は、24℃、5分間で200〜400Paの連続的な剪断応力である。
【0087】
粘度曲線は次のように生成される。約3mLの試料が温度制御ペルティエプレート(Peltier plate)上に置かれ、コーンツールがその切頭間隙まで試料を圧縮する。この方法により制御される剪断応力を印加することにより、試料は強制的に流れ出す。与えられたストレスは、対応するせん断速度(rpm及びツールの形状により決定される)により割り算されて粘度曲線を生成する。K及びn値が、2〜50秒−1で指数法則モデルを介して生成された。
【0088】
剪断速度:
本明細書で記載される方法は、慣用の方法と対比して低い剪断速度で組成物の構成成分を混合することを記載する。剪断速度は下記のように計算される。
− Zが容器中の液体の最大高さであり、Tが容器の直径であり、Dがインペラの直径であり、Cが容器の底から攪拌機の最低段の中間までの間隔であり、Cが容器の底から攪拌機の最高段の中間までの間隔あると記載されたインペラ形状及び寸法、並びに混合容器の寸法を定める。
− 組成物の特性(比重、粘度曲線で決定されたK及び剪断指数n)を定める。
− 攪拌速度Nをrad/秒(rpm)で定める。
【0089】
剪断速度は、非ニュートン流体のメッツナー・アンド・オットー概念(Metzner & Otto Concept)に基づいて計算される。(「プロセス産業における混合」(Mixing in the Process Industries)、第2版、N.ハーンビイ(Harnby)、M.F.エドワーズ(Edward)及びA.W.ニーノウ(Nienow)、第8章、140頁〜145頁、1992年)。
【0090】
油滴直径の測定:
ローションの粒径分布を測定するために使用された方法は、ホリバLA−910(Horiba LA-910)である。この分析器は、散乱技術により粒径分布を測定する。光がr直径の球状粒子に進入すると、3種類の光が放射される。
【0091】
粒子の外側表面で反射する光。粒子の内部を通り、粒子の内側表面で反射する光。粒子の内部を通り、外へ出るときに反射する光。
【0092】
装置の詳細及び設定
【表5】

【0093】
「発明を実施するための最良の形態」で引用されたすべての文献は、関連部分において本明細書に参照として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0094】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の請求項で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿性の拭う物を製造する方法であって、
(A)濃縮エマルション組成物の調製工程と、
前記濃縮エマルション組成物を調製する前記工程が、
(a)皮膚軟化剤と、少なくとも約25%w/wの界面活性剤を含んでなる界面活性剤溶液を組み合わせることと、
(b)工程1(A)(a)の前記組み合わせたものを混合し、水分含有量が約30%w/w未満である、実質的に均一の濃縮エマルション組成物を得ることとの各工程を含んでなり、
(B)前記濃縮エマルション組成物を水で希釈して、希釈組成物を調製する工程と;及び
(C)拭き取り布用基材を準備し、多量の前記希釈組成物を前記拭き取り布用基材上に提供する工程とを含んでなる、方法。
【請求項2】
工程1(A)(a)で水が添加される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記濃縮エマルション組成物が、過剰量の水に希釈されるとき、約12マイクロメートル未満の皮膚軟化剤の平均液滴直径を有する、請求項1の方法。
【請求項4】
工程1(A)(a)が約40℃未満の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程1(A)(b)が、約10000s−1未満のせん断速度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程1(A)(c)が、約100s−1未満のせん断速度で実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記皮膚軟化剤の前記界面活性剤溶液への添加速度が、前記濃縮エマルション組成物の粘度を低下させないように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記皮膚軟化剤が、約5〜約12の溶解度パラメータを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚軟化剤が、油状化合物及び乳化剤を含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記濃縮エマルション組成物が、界面活性剤と皮膚軟化剤とを約1:9〜約1:72w/wの比率(w/w)で有してなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記界面活性剤が、25℃で実質的に水に可溶性であり、
1重量%の前記界面活性剤の水溶液が、25℃で約15Pa・s(15,000cps)未満の粘度を有し、
前記界面活性剤が、非イオン性、両性、アニオン性、カチオン性、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されてなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
補助剤成分を前記濃縮エマルション組成物に、又は前記希釈組成物に添加する工程(D)を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記補助剤成分が、レオロジー変性剤、防腐剤、香料、植物抽出物、保湿剤、化粧品用活性物質、製薬用活性物質、又はこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レオロジー変性剤が、スクロースパルミテート、グリセリルステアレート、グリセリルステアレートシトレート、マンナン、及びキサンタンガムのブレンド;ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー類を含むブレンド;アクリレートホモポリマー類;アクリルアミドクロスポリマー類;ガラクトアラビナン;キサンタンガム及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記皮膚軟化剤が、ジメチコン、シクロペンタシロキサンジメチコノール、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、C12〜C15アルキルベンゾエート、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記防腐剤が、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記拭き取り布用基材が、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、レーヨン、ポリアミド類、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール類、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される繊維類を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法により調製される湿性の拭う物。
【請求項19】
請求項18に記載の前記湿性の拭う物の1つ以上を収容する容器を含む商品。
【請求項20】
皮膚を洗浄する方法であって、前記皮膚を請求項18に記載の前記湿性の拭う物と接触させることを含む方法。

【公表番号】特表2007−524639(P2007−524639A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518948(P2006−518948)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/022159
【国際公開番号】WO2005/004835
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】