説明

濃縮タンニンを含む吸収性製品

本発明は濃縮タンニンを含有する吸収性製品に向けられたものである。濃縮タンニンはカキノキ科、ネムノキ亜科、セリ科、マツ科、バラ科、ブナ科及びこれらの混合物から成る群から選択された植物科から抽出される。
濃縮タンニンは一般のポリフェノール有機化合物に比べより多くのヒドロキシル基と大きな分子構造を持つため、一般のポリフェノール有機化合物に比べより効率的に悪臭性分子を封じ込むことが出来る。更に本発明の吸収性製品は又着用者の身体を保護し、快適性を与えるボディトリートメント効果を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着用者の身体と接触して身に付ける吸収性製品に関するものであり、特にパンティライナー、生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、失禁用パッド、おむつ、胸当て、発汗用パッド等のような吸収性製品に関するものであり更に特定すれば、本発明は濃縮タンニンを含む吸収性製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、パンティライナー、および失禁用パッドなどの吸収性物品は、典型的には下着の股間付近で着用される。これらの用具は、身体から排泄される体液とその他の排泄物を吸収及び保持し、身体及び衣類を汚さないように設計される。典型的な場合、吸収性製品は着用者のパンティのような衣類の内側に置かれ、着用者の足の間、身体の生殖器(又は体液の排泄源)のすぐ近くで使用される。使い捨て吸収性物品は一般的に液体透過性トップシート、吸収性コア及び液体不透過性バックシートから構成される。
【0003】
昨今、研究開発の対象は悪臭の除去及び皮膚病の防止に集中している。多くの体液は不快臭(又は、悪臭)を発する傾向、又は空気及び/又は細菌と長時間接触すると不快臭を助長する傾向がある。更に、吸収性製品に吸収された尿及び/又はその他の排泄物は、皮膚フローラ(細菌叢)、すなわち身体表面の正常な微生物の集団が産生したウレアーゼによってアンモニアへ変換される。結果として、このアンモニアは皮膚炎、発疹、及び/又はその他の皮膚刺激発症の原因となる。そのような皮膚疾患は重篤な医療事故になる可能性があることが知られている。
【0004】
一般的に抗菌剤と殺菌剤は微生物による感染と製品、材料及びシステムの変質を防止するために使用する化学的組成である。そのような抗菌剤や殺菌剤は又、体液をすでに吸収した使い捨て吸収性物品から発生する悪臭の除去又は減少させる抑制剤としても効果的に作用する。しかしながら、使い捨て吸収性物品に含まれる抗菌剤と殺菌剤の性質又は特性次第であるが、そのような抗菌剤と殺菌剤が皮膚の健康に支障を来たす傾向を持つことが確認されている。特に、抗菌剤や殺菌剤の多くは抗菌性を持つことで、正常な人体の細菌フローラ(細菌叢)の分布を変える可能性がある。従って、体表面の正常な細菌フローラ(細菌叢)の崩壊を避けるため、抗菌剤と殺菌剤の選択と使用には注意を払わなければならない。
【0005】
日本特許番号2938507には、植物から抽出されたタンニン、タンニン酸、五倍子、没食子、及び没食子酸からなる化学基から選択されたポリフェノール有機化合物を吸収性材料内に含有する紙おむつが開示されている。ポリフェノール有機化合物は吸収性材料に含まれる。この特許公開に開示されたおむつは、おむつかぶれに良好な治療効果(従って、皮膚に優しい性質)をもたらすが、紙おむつに必要な臭気抑制機能は十分ではないようである。
【0006】
国際公開番号WO01/03748には五倍子を含む組成物と悪臭除去のためその組成物を用いた漢方薬(ハーブ薬物)を含む生理用ナプキンが開示される。国際公開番号WO01/03748に開示される生理用ナプキンは臭気抑制機能を持つようにみえるが、五倍子は皮膚に発疹を生じると報告されており、従って、特に通常敏感な女性の外陰部又は膣部分へ直接接触させるのは適切ではないであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、着用者の身体の快適性と身体を保護しながら、改善された臭気抑制機能を持つ吸収性製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は濃縮タンニンを含む吸収性製品に向けられたものである。濃縮タンニンはカキノキ科、ネムノキ亜科、セリ科、マツ科、バラ科、ブナ科及びこれらの混合物から成る群から選択された植物科から抽出される。
【0009】
濃縮タンニンには一般的なポリフェノール有機化合物に比べより多くのヒドロキシル基とより大きな分子構造が含むため、一般的なポリフェノール有機化合物に比べより効果的に悪臭性分子を封じ込めることができる。このような利点により、吸収性製品内の配置について柔軟性を与える。すなわち濃縮タンニンはトップシート、吸収性コアへ塗布したり、着用者の身体へ転移したりしても問題ないであろう。更に濃縮タンニンが植物科から抽出されるため、製品の製造及び望ましい効果を提供するために必要とする濃縮タンニン構造体については、より多くの市販の入手先がある。更に、本発明の吸収性製品は又、着用者の身体を保護し身体へ快適性を与えるボディトリートメント効果を提供する。
【0010】
前述の記載内容は身体の快適性の維持と身体の保護を維持しながら、改善された臭気抑制機能を持つ吸収性製品の必要性に対して解答するものである。
【0011】
本発明に記載するこれら及びその他の特徴、態様、及び利点は本発明の開示内容を読むことで当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本明細書において、「構成する」及び「含む」とは、最終結果に影響しない他の要素及び/又は他の行程を加えることができることを意味する。これらの用語の各々は、「から成る」及び「から本質的に成る」という用語を含む。
【0013】
本明細書において、「吸収性製品」とは体液などの排泄物や放出物を吸収、封じ込める物品を云い、パンティライナー、生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、失禁用パッド、おむつ、胸当て、発汗用パッドを含むことを予定する。吸収性製品は、繊維、シート材(フィルムを含む)、積層材料、接着剤、吸収性材料及び類似の、数多い成分材料を含む又は作られる)。
【0014】
本明細書において、「使い捨て物品」とは、1回だけ使用した後に廃棄、堆肥化、或いは、環境に適合した方式で処分されることが予定される物品を云う。(つまり、洗濯や別の方法で修復したり、吸収性物品として再使用したりすることは予定されてない。)
本明細書において「成分繊維」とは、吸収性製品の材料(すなわちトップシート材、バックシート材、又は吸収性コアの材料)を構成する繊維を云う。成分繊維として、天然繊維(例えば、木材又は綿の繊維)、変性天然繊維、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンのような熱可塑性樹脂繊維)、又はそれらの組合せが可能である。
【0015】
トップシートに用いるのに好ましい成分繊維は熱可塑性樹脂繊維である。吸収性コアに用いるのに好ましい成分繊維は天然繊維(例えば、木材又は綿の繊維)又は天然繊維と熱可塑性樹脂繊維の混紡繊維である。
【0016】
本明細書において、「身体面」とは着用者の身体と向き合う吸収性製品及び/又はその成分材料を云い、同時に「衣類面」とは吸収性製品及び/又は成分材料の反対側表面で吸収性製品を着用した時に着用者に対して反対向きとなる。吸収性製品とトップシート、バックシート、吸収性コアを含む成分材料及びそれら成分材料物質の個々の層に身体面と衣類面がある。
【0017】
本明細書において「身体」とは皮膚と毛髪を含む哺乳類の表皮組織が形成する外層部を云う。身体の特徴は、部位、年齢、性別及び個人の体質に左右されて大きな違いを生じる傾向がある。例えば、赤ん坊と幼児の皮膚は大人の皮膚と違い、毛髪のある皮膚と無い皮膚は異なる。
【0018】
吸収性製品は2種類の表面を持つ。液体透過性の身体面(又は「身体接触面」)と液体不透過性の衣類面(又は「衣類接触面」)である。吸収性製品の身体面は、着用者の身体に近接して着用されることを予定する。吸収性製品の衣類面は反対側にあって、吸収性製品を着用した時に着用者の下着に近接して配置されることを予定する。
【0019】
本明細書において、「化学薬品で処理された表面とは」少なくとも材料又は物品(例えば、繊維、シート材、吸収性製品)の表面の一部を云い、化学薬品がスプレー、浸す、転写、又は浸漬することで、化学薬品をコーティングする、ないしは別の方法で接着又は結合した材料又は物品の表面を云う。
【0020】
本発明は使い捨て吸収性物品に用いられ、好ましくはパンティライナー、生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パッド、及び失禁用パッドで使用される。
【0021】
濃縮タンニン
本発明の濃縮タンニンはカキノキ科、ネムノキ亜科、セリ科、マツ科、バラ科、ブナ科及びこれらの混合物から成る群から選択された植物科から抽出される。これらの植物科は以下の属と種を含む。
(a)カキノキ科、カキノキ属、柿の木種
(b)ネムノキ亜科、ネムリグサ属
(c)セリ科、アメリカボウフウ属、アメリカボウフウ種
(d)セリ科、ニンジン属、ニンジン種
(e)マツ科、ツガ属、アメリカ栂種
(f)マツ科、トウヒ属
(g)マツ科、マツ属
(h)バラ科、リンゴ属
(i)ブナ科、コナラ属、樫種
【0022】
1つの特に好ましい実施形態において、濃縮タンニンは柿の木種に属する柿の木から抽出される(以降文中では「柿の木タンニン」と呼ぶ)。柿の木タンニンは以下の構造を持つと考えられている。
【化1】

【0023】
柿の木タンニンを含有する指定物質はリリース科学工業株式会社(Rilis Scientific Industry Co., Ltd.)大阪、日本からコード番号パンシル(Pancil)COS−6Aで入手できる。
【0024】
別の好ましい実施形態において、濃縮タンニンはリンゴ属に属する林檎(又はリンゴ)から抽出される(文中、以降「林檎タンニン」と呼ぶ)。林檎タンニンは以下の一般式と構造を持つ:
[カテキン−(4α−>8)−カテキン]
【化2】

【0025】
林檎タンニンを含有する指定物質はアサヒフードアンドヘルスケア社(Asahi Food & Health Care Ltd.)、東京、日本、からコード番号アップルフェノン(ApplePhenon)で入手できる。
【0026】
もし必要であれば本発明において、濃縮タンニンは更に同じ又は別の植物から抽出された材料を含めることが出来る。同抽出材料には濃縮タンニン以外の加水分解性タンニン、フラボノール類及び類似したポリフェノール有機化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
担体材料
本発明の吸収性製品に用いる濃縮タンニンは、水溶性又は脂質可溶性であり、粒子(フレークを含む)、溶液、懸濁液、分散液、エマルション又は類似した形態で吸収性製品へ組み入れることが出来る。濃縮タンニンは直接(すなわち、担体材料無しに)又は間接(すなわち、担体材料と一緒に)に吸収性製品へ組み入れることができる。
【0028】
吸収性製品は更に濃縮タンニンの担体物質を含む。好ましい実施形態において、濃縮タンニンは担体材料へ組み入れられ、次にその担体材料が吸収性製品へ組み入れられる。本明細書において、「担体材料」とは濃縮タンニンの効果を妨げない材料であり、且つ吸収性製品の各種構造体の正常な作用に実質的な障害を与えない材料である。担体材料の主たる機能は吸収性製品へ濃縮タンニンを運ぶことである。濃縮タンニンの担体材料にはローション、クリーム、オイル、軟膏、パウダー、フォーム、ジェル及び類似した組成物を含むことが出来る。
【0029】
典型的な例では、濃縮タンニンの担体材料には水溶液又はアルコール溶液、炭化水素系オイル油、脂肪酸エステル、長鎖アルコール及びシリコーンオイル等のオイルや脂肪、澱粉やタルクのような超微粒子及び類似した材料が含まれる。濃縮タンニンは担体材料内で溶解、懸濁又は乳化されることが好ましい。
【0030】
A.成分処理材料
好ましい実施形態において担体材料とは、吸収性製品の成分材料(単数及び複数の)の処理材料である。本明細書において、「成分材料の処理材料」とは、吸収性製品の成分材料(単数及び複数)の物理的性質を制御するために用いる材料を云う。そのような成分材料の処理材料は、吸収性製品の他の部分へ移転、若しくは着用者の身体へ移転されず、吸収性製品の成分材料内に留まることが期待される。好ましい成分材料の処理材料は、成分材料である繊維の表面摩擦を制御する仕上げ用オイル、フィルム材表面又は成分材料である繊維の親水性を制御する界面活性剤及び類似材料を含む。好ましい実施形態において、担体材料は吸収性製品(例えば、不繊布トップシート)の一部をなす不繊布用を構成する繊維の仕上げ用オイルである。この実施形態において、濃縮タンニンは仕上げオイルに溶解、懸濁、又は乳化されており、仕上げ用オイルと一緒に吸収性製品へ組み入れられる。
【0031】
B.ボディトリートメント材料
前述に代わる好ましい実施形態において、担体材料は着用者の身体用のボディトリートメント剤(又は、組成物)であり、少なくとも同物品着用者の身体の一部分へ濃縮タンニンを運ぶ。本明細書において、「ボディトリートメント剤」とは、身体の局所に塗られた時に疾患の発症、特に紅斑、悪臭、掻痒及び細菌感染を伴う皮膚疾患を防止、減少及び/又は排除できる材料又は組成物を云う。本明細書では、以降「ボディトリートメント剤」は、又「ボディトリートメント組成物」とも呼ばれる。本発明において、「皮膚疾患」とは刺激性の急性又は慢性的な肌の異常を伴う症状を云う。こうした症状の例には、痒み、炎症、発疹、火傷、刺創、紅化、腫れ、過敏症、熱感覚、剥離/鱗屑、悪臭及び類似症状が挙げられるが、それらに限定されない。好ましいボディトリートメント剤はローション、クリーム、オイル、軟膏、パウダー、フォーム、ジェル及び類似の形状を取る。
【0032】
濃縮タンニンは当該技術分野において既知の、如何なるボディトリートメント剤にも組み入れられる。ボディトリートメント剤は当該技術分野で広く使用される如何なる成分も含有できる。好ましくは、そのようなボディトリートメント剤は又、吸収性製品の着用者によるボディケア感覚を認識するためにも(直接又は間接に)濃縮タンニンの移転を促進出来ることが好ましい。ボディトリートメント剤は溶液、懸濁液、分散液、乳化液又は組成物等の担体材料内では粒子(フレークを含む)、溶液、懸濁液、分散液、乳化液又は類似形状の濃縮タンニンを含むことができる。
【0033】
好ましい実施形態において、濃縮タンニンを組み入れたボディトリートメント剤は吸収性製品を通常に使用中に着用者の身体へ直接又は間接に運び、又は移転する。結果として濃縮タンニンは又、吸収性製品の着用中に通常の接触、着用者の動作及び/又は体温により、ボディトリートメント剤の機能として着用者の身体へ自動的に移転する。
【0034】
ボディトリートメント剤から運ばれると、濃縮タンニンは吸収性製品内の所定の位置から着用者の身体及び/又は粘膜表層へ自由に移動する。ボディトリートメント剤はトップシート、バックシート、吸収性コア、ウィング、レッグカフ、サイドパネル、腰部周り、ファスナ及び吸収性コア内の又は隣接した層内の吸収性製品の一部又は幾つかの部分の、しかしそれには限定されず、成分へ組み入れることが出来る。好ましくは、ボディトリートメント剤は着用者の身体から近接した場所に置かれ、より好ましくはトップシート、バックシート、吸収性コア、ウィング、レッグカフ、サイドパネル、腰部周り、ファスナ及び類似した吸収性製品の幾つかの身体接触面の成分である。
【0035】
濃縮タンニンがボディトリートメント剤から放出された場合、好ましくは溶液、分散液、懸濁液、乳化液に存在し又は類似した状態にあって積極的に機能しうる状態にあることが好ましい。もし、それがパウダー、ワックス、フレーク又は微粒子のような機能不可能な形態の場合は、経血、尿及び糞便等の体液の水分と接触することで活性化されなければならない。濃縮タンニンを吸収性製品の全ての部分から着用者の身体及び/又は粘膜表層へ自動的な移動を促進するため、本発明の吸収性製品に有用なボディトリートメント剤の種類は当業者にとっては容易に明らかである。
【0036】
使用したボディトリートメント剤とは関係なく、濃縮タンニン又は移転に伴う組成物を含む濃縮タンニンは当初の場所から移動することが出来る。すなわち体液の流動、着用者の動作、圧力及び類似の状況により、若しくは体温へ曝露されることで粘度の低下により吸収性製品内の別の場所へ移動できる。親水性濃縮タンニン又は親水性の担体材料内へ組み入れられた濃縮タンニンは、親水性毛穴又はトップシートからコアまで体液の流動が可能な他の開口部等を経由して吸収性製品の親水性構造体の隅から隅まで移動できる。
【0037】
好ましくはボディトリートメント剤には、身体と湿った成分材料の接触による皮膚疾患、身体が水分又はその他の体内排泄物へ曝露されて起こる長期の湿性ヒト組織に発症した皮膚疾患及び/又は身体と病原微生物や病原細菌と接触して生じた皮膚疾患を軽減、排除できる比較的低濃度の精選したボディトリートメント薬剤の組合せが含まれる。本明細書において「精選したボディトリートメント薬剤の組合せ」とは、以下の組合せ、(a)ヘキサミジン、酸化亜鉛、及びナイアシンアミド、(b)ヘキサミジンと酸化亜鉛、並びに(c)ヘキサミジンとナイアシンアミドの組合せを云う。好ましいボディトリートメント薬剤の組合せは、例えば、国際公開公報、番号WO 03/028776、公開日2003年4月10日及び米国特許出願公告番号20030206943、公開日2003年11月6日に開示されている。
【0038】
C.任意成分
必要であればボディトリートメントに適したその他任意成分を追加、又はボディトリートメント剤として追加出来る。そのような任意成分の非限定的な実施例にはアラントイン、水酸化アルミニウムジェル、カラミン、塩酸システイン、ラセミ体メチオニン、重炭酸ナトリウム、ビタミンCとその誘導体、セリン・プロテアーゼ、メタロ・プロテアーゼ、システイン・プロテアーゼ、アスパルチル・プロテアーゼ、ペプチダーゼ、及びフェニルスルフォネート・フッ化物を含む蛋白質分解酵素抑制剤、リパーゼ、ジエステラーゼを含むエステラーゼ、ウレアーゼ、アミラーゼ、エラスターゼ、ヌクレアーゼ、グアニジノ安息香酸、及びその塩と誘導体、カモミールを含むハーブ(薬草)抽出物、及びこれらの混合物が含まれる。グアニジノ安息香酸並びにその塩と誘導体は、1994年12月27日イマキ(Imaki)らに発行された米国特許第5,376,655号により詳細に記載されている。これらのその他好適な皮膚治療活性物質は、典型的な例としてローション組成物として、約0.001重量%〜約10重量%の範囲の濃度で含まれる。ボディトリートメントに適したこれら及びその他任意成分(ボディトリートメント剤にとって、好ましい担体材料を含む)はWO(国際公開)03/028776、及び米国特許公開番号20030206943に記載されている。
【0039】
好ましい実施形態において、ボディトリートメント剤は皮膚接触面から直接着用者の身体へ放出され、健康な皮膚を維持更には改善しながら、即座に且つ永続的なボディケア感覚を与える各種の皮膚軟化剤を含む組成物である。
【0040】
好ましくは、濃縮タンニンは皮膚軟化剤を含む組成物の溶解、懸濁又は乳化状の組成物であり、吸収性製品内のどこにでも配置することができるが、好ましくはトップシート、ウィング、レッグカフ、締め具(ファスナ)及び使い捨て吸収性衛生用具の類似品等吸収性製品の身体接触面に組み入れることが好ましい。
【0041】
好ましい実施形態において、皮膚軟化剤を含む組成物は濃縮タンニン又はその混合物の0.1%から20%、好ましくは0.3%から10%まで、より好ましくは0.5%から5%の重量%を含み、皮膚軟化剤又はその混合物の重量99.9%から80%、好ましくは99.7%から90%、より好ましくは99.5%から95%の重量%で構成される。
【0042】
放出又は移動手段としての機能に追加して身体の表面摩擦と柔軟性を改善又は減らし、それにより健康な皮膚を維持更には改善できるため、皮膚軟化剤を含む組成物は身体にとって特に有益である。本明細書に用いられる好適な皮膚軟化剤は身体表面の被膜形成能力を確実にし肌のかゆみ灼熱感の発症を防ぎ軽減する。本明細書に用いられる好適な皮膚軟化剤は又、それ自体が皮膚の表皮層間に入り込むことが出来、従って肌の弾力性を増すことが出来る。
【0043】
その他好ましい肌のトリートメント剤は以下の米国特許、1994年11月28日付、ロウら(Roe et al.)へ発行された米国特許番号5,643,588、1994年11月28日付、ロウら(Roe et al.)へ発行された米国特許番号5,635,191、1999年4月23日付、クルジシクら(Krzysik et al.)に発行された米国特許番号6,515,029、1999年4月24日付、クルジシクら(Krzysik et al.)に発行された米国特許番号6,475,197、1999年4月23日付、クルジシクら(Krzysik et al.)に発行された米国特許番号6,149,934、2000年12月22日付、タイレルら(Tyrrell et al)に発行された米国特許番号6,749,860、1999年12月29日付、ミネラートら(Minerath et al.)に発行された米国特許番号6,551,607、2001年12月21日付、クルチョスキら(Kruchoski et al.)に発行された米国特許番号6,689,932特許公開2002年4月4日付、米国特許番号20020040210A1、2004年7月22日付、国際公開番号WO2004/061171に開示されるが、それらに限定されない。
【0044】
組み入れ
本発明の吸収性製品で用いられる濃縮タンニンは各種構造体の正常な機能(例えばトップシートの液体透過性、コアの吸収力、及び吸収性製品の類似機能)を実質的に阻害しないような配置で組み入れる。
【0045】
濃縮タンニンはトップシート、バックシート、吸収性コア、ウィング、レッグカフ、サイドパネル、腰部周辺、ファスナ、及び吸収性コア内、又は隣接の如何なる層を含むが、これらに限定されることなく吸収性製品の如何なる部分又は複数の部分へ組み入れることが出来る。好ましくは、濃縮タンニンは着用者の皮膚近く、より好ましくは吸収性製品の皮膚接触面に配置される。
【0046】
担体材料に組み入れられたか、そうでないかに関係なく濃縮タンニンは吸収性製品の隅から隅まで、及び/又は吸収性製品内の単一又は複数の層表面へ均一若しくは不均一に分配される。
【0047】
吸収性製品の製造以前若しくは製造中に濃縮タンニンを吸収性製品の成分材料へ組み入れることが出来る。
【0048】
好ましくは、濃縮タンニンは(より好ましくは、担体材料と一緒に)吸収性製品の製造前に成分材料へ組み入れられ、次に濃縮タンニンを含有する成分材料が吸収性製品の製造プロセスで吸収性製品へ組み込まれることが好ましい。好ましい実施形態の1例において、濃縮タンニンはスプレー、浸す、転写、浸漬によりトップシート材(例えば、不繊布材、又は成形フィルム材)へ組み入れられ、其れによって濃縮タンニンはトップシート材に塗布されるか、さもなければ接着又は結合される。更に好ましい実施形態において、トップシートは不繊布材から作られ、濃縮タンニンは不織布材の不織布材の製造以前に、その成分材料である繊維へスプレー、浸す、印刷、浸漬により塗布することが好ましい。成分繊維、当該技術分野において既知(例えば、カード(毛羽立て)式製法〕の一般的な不織布製造法により相互に絡み合い不繊布材となる。不繊布材の製造後、不織布材は製造工程で他のコンポーネント材と接合し吸収性製品になる。
【0049】
前述に代わる好ましい実施形態として濃縮タンニンは吸収性製品の製造工程で同製品に組み入れられる。例えば濃縮タンニン(好ましくは担体材料と一緒に)を典型的な例として、不繊布又は孔あき成形フィルムから作製するトップシートの身体接触面の少なくとも一部分へ組み入れるが、好ましくは吸収性製品の作製を目的にトップシートを他の成分材料へ接合した後に組み入れる。必要であれば濃縮タンニン(好ましくは担体材料と一緒に)を製造工程中にバックシート及び/又は吸収性コア若しくは吸収性製品のその他成分材料に組み入れる。例えば、担体材料と一緒に濃縮タンニンは液体状又は半固体状担体材料に分散した後、塗装、押出成形、吹きつけ、浸す、転写又は浸漬によりトップシート、吸収性コア又はバックシートへ塗布することが出来る。
【0050】
吸収性製品
本発明に記載する吸収性製品は、一般的に少なくとも3つの主要な成分材料から構成される。すなわち、トップシート、バックシート、吸収性コアである。トップシート、バックシート、及び吸収性コアは、繊維、シート材(含む、フィルム)、積層材、接着剤、吸収材料及び類似した成分材料に適した、当該技術分野において既知の如何なる成分材料で構成されることができる。
【0051】
好ましくは、少なくともトップシート、バックシート、及び吸収性コアの1つは濃縮タンニンを含む。実施形態の1例では、濃縮タンニンは、好ましくは粒子(フレークを含む)、溶液、懸濁液、分散液、乳化液、エマルション、又は類似の状態で、吸収性製品の成分材料物質の1つへ直接(すなわち、担体材料無しに)組み入れられる。
【0052】
より好ましくは、トップシート、バックシート、及び吸収性コアの少なくとも1つは、成分材料である繊維又はシート材(含む、フィルム材)を含む。
【0053】
好ましい実施形態の1例では、成分繊維濃縮タンニンで処理された表面を持つ。例えば、トップシート(又は吸収性コア)の成分繊維濃縮タンニンで処理された表面を持つ。あるいは、成分繊維濃縮タンニンを含む熱可塑性材料を包むことができる。
【0054】
他の好ましい実施形態では、トップシート、バックシート、及び吸収性コアの少なくとも1つには濃縮タンニンで処理された表面を持つシート材が含まれる。1例では、トップシートに用いられるフィルム材は濃縮タンニンで処理された表面を持つことが出来る。
【0055】
A.トップシート
吸収性製品は既知のないしは別の方法で柔軟で、ソフトな感覚であり、及び着用者の肌に刺激性がない等の効果を有するトップシートを構成する場合がある。好適なトップシート材料は、着用者の身体に向かって配向、接触することで体内からの排泄物が迅速に浸透するが流体がトップシートを通って着用者の身体には逆流しない液体透過性材料を含む。その内部で流体の迅速な移動が可能であるトップシートは又、着用者の外面又は内面の部位に向けボディトリートメント剤(もし担体材料として用いた場合)の移動や移行を可能にする。好適なトップシートは様々な材料、例えば織布及び不織布材、孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム及び繊維絡み合わせ孔あきフィルムを含む孔あきフィルム材料、ハイドロフォーミング熱可塑性フィルム、多孔質発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、熱可塑性スクリム、又はこれらの組み合わせにより製造され得る。
【0056】
トップシートとして用いるのに好適な有孔フィルム材料としては非吸収性及び体内からの滲出液に対して透過性であり、且つトップシートを通る流体の逆流が最小限又は全くない有孔プラスチックフィルムが挙げられる。有孔及び非有孔成形フィルムを含む好適な成形フィルムの非限定的な実施例は、より詳細に以下の米国特許、1975年12月30日付けでトンプソン(Thompson)へ発行された米国特許番号3,929,135、1982年4月13日付けでミュレーンら(Mullane et al.)へ発行された米国特許番号4,324,246、1982年8月3日付けでラーデルら(Radel et al.)へ発行された米国特許番号4,324,314、1984年7月31日付けでアールら(Ahr et al.)へ発行された米国特許番号4,463,045、1991年4月9日付けでベアード(Baird)に発行された米国特許番号5,006,394、1986年9月2日付けでキュロら(Curro et al.)へ発行された米国特許番号4,609,518、及び1986年12月16日付けでキュロら(Curro et al.)へ発行された米国特許番号4,629,643に記載されている。
【0057】
トップシートへ使用するために好適な織布及び不織布材の非限定的な実施例には、成分繊維として天然繊維、変性天然繊維、合成繊維又はこれらの組合せで作られる繊維材料が含まれる。トップシートの好ましい成分繊維は熱可塑性繊維である。好適な熱可塑性繊維は、単一のポリマーから製造することもできるし(単一成分繊維)、又は1つ以上のポリマーから製造することもできる(例えば、バイコンポーネント繊維)。本発明において、「バイコンポーネント繊維」とは異種ポリマー製熱可塑性シース(鞘)に収納された単一ポリマー製コア繊維を云う。シースに用いるポリマーは、コアのポリマーとはしばしば異なり、概してより低温で熔解する。結果として、これらのバイコンポーネント繊維はシースポリマーの溶融に起因して熱接着を提供し、一方でコアポリマーにより望ましい強度特性を保持する。吸収性製品の内部で使用するのに適したバイコンポーネント繊維は以下のポリマー組合せを持つシース/コア繊維を含むことが出来る。ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステル及び類似ポリマーの組合せである。本明細書に用いるのに特に適したバイコンポーネント繊維はポリプロピレン製コアとより低融点のポリエチレン製シースの組合せ繊維である。
【0058】
これらの繊維性材料は、親水性又は疎水性のいずれでもよいがトップシートは疎水性であるか又は疎水化にされることが好ましい。親水性成分材料を含むトップシートを製造する既知の如何なる方法を用いてもトップシートは親水化できる。
【0059】
好ましい実施形態の1例では、トップシートの成分繊維は濃縮タンニンで処理された表面を持つ。この処理法の好ましい1つの方法は当該技術分野において既知のタッチロール式プロセスである。この方法では、回転ロールの半分は濃縮タンニンの溶液に浸され、残り半分のロール面は繊維と接触し、それによって当該繊維へ溶液を塗布する。濃縮タンニンで処理された表面を持つ好ましい繊維はチッソ株式会社(Chisso Corporation)、東京、日本からコード番号XESC4245SDLで入手できる。成分材料用繊維の表面処理の好ましいその他の方法が以下の米国特許に開示されている。2001年3月6日付けでJ.ダツキウイッツ(J. Dutkiewicz et al.)らへ発行された米国特許番号6,197,322である。
【0060】
トップシートが不繊布材(すなわち、不織布ウェブ)を含む(又は作られる)場合、不織布ウェブは既知の如何なる不織布ウェブ製造法を用いても製造できる。不織布ウェブ製造法の非限定的な実施例としてはスパンボンディング、カード法、湿式、乾式、メルトブロー、ニードルパンチング、機械式絡合法、サーモメカニカル絡合法、及び水流絡合法がある。トップシートにとって好ましい不織布ウェブはカード式熱接着法(又は空気通過法)で製造され、カード式熱接着法は台湾の企業のカンナーシアン有限公司(Kang Na Hsiung Enterprise Co., Ltd.)(KNH)からコード番号ATO018−CS15−0で入手できる。
【0061】
B.バックシート
バックシートは吸収性製品に吸収され封じ込まれた排泄物が外部へ漏れることを防止できれば、既知の、ないしは別の方法でも効果的であれば如何なるバックシート用材料も用いることが出来る。バックシートとして用いるのに好適な可撓性材料としては織布及び不織布材、ラミネートティッシュ、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンの熱可塑性フィルムのようなポリマーフィルム、フィルムコーティング不織布材のような複合材料又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。バックシートの厚みは、好ましくは約0.012MM(0.5MIL)から約0.081MM(3.4MILS)である。
【0062】
好ましい実施形態において、バックシートは単層ポリエチレンフィルムであり、中国、広東省、華漢(Huahan)からコード番号KHーYー02−D06で入手できる。
【0063】
前述に代わる好ましい実施形態として、バックシートは体液がバックシートを通過することを防ぐと同時に蒸気は吸収性コアから漏れ出るような微細多孔性構造である(しばしば、「通気性バックシート」と呼ばれる)。好ましいとされる微細多孔性ポリエチレンフィルムは三菱樹脂株式会社、東京、日本からコード番号RN−13で入手できる。
【0064】
C.吸収性コア
吸収性コアは典型的な場合、トップシートとバックシートとの間に配置される。本明細書において「吸収性コア」とは尿、血液、経血及び体内からの滲出物中の水分等水性流体を吸収、分配、及び貯蔵するために好適な材料又は材料の組み合わせを云う。吸収性コアの大きさ及び形状は吸収能力要件に適合するように、並びに着用者/使用者に快適性を提供するように変更することができる。本発明に用いるのに好適な吸収性コアとは当該技術分野において既知の吸収性物品に用いる任意の液体吸収性材料であるが、吸収能力要件に適合するように当該液体吸収性材料を構成又は構築できることを条件とする。
【0065】
吸収性コアとして用いるのに好適な液体吸収性材料の非限定例として、一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕木材パルプ、捲縮セルロース塊、ヒドロゲル形成性ポリマーゲル化剤のような超吸収性ポリマーを含む吸収性ゲル材料、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロース繊維、メルトブローン繊維、捲縮ポリエステル繊維を含む合成繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、毛細管チャネル繊維、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、合成ステープル繊維、ピートモス、いずれか同等性材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
特に好ましいとされる吸収性コア材は90g/m坪量のエアレイドティッシュ材でありカンナーシアン有限公司(KNH)からコード番号A902で入手できる。
【0067】
D.組立
トップシート、バックシート及び吸収性コアは当該技術分野において既知の多様な構成、大きさ、形状に組み立てられる。好ましい構成について以下の米国特許、オスボーン(Osborn)へ発行された米国特許番号4,950,264、及び5,009,653、デマライス(DesMarais)へ発行された米国特許番号4,425,130、バン・ティルバーグ(Van Tilburg)へ発行された米国特許番号4,589,876、及び4,687,478、スネラー(Sneller, et al.)らへ発行された米国特許番号5,234,422に記載されている。
【0068】
身体のトリートメント方法
好ましくは着用者の身体(例えば、外陰皮膚又は他の部位の皮膚)を、濃縮タンニンを組み入れたボディトリートメント組成物で処理する。一般的に、安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物が本明細書に記載する吸収性製品へ塗布される。この場合、安全且つ有効な量にはボディトリートメント組成物を約0.0155g/m(0.01mg/in)から約310g/m(200mg/in)まで、好ましくは約0.155g/m(0.1mg/in)から約155g/m(100mg/in)まで、より好ましくは0.5g/m(0.003mg/in)から約93g/m(60mg/in)まで吸収性製品へ塗布する範囲が含まれる。
【0069】
典型的な例では、ボディトリートメント組成物の安全且つ有効な量を吸収性製品(例えば、生理用ナプキン)に塗布することで、少なくとも約0.0015g/cm(0.001mg/in)から約310g/cm(200mg/in)まで、好ましくは約0.006g/cm(0.004mg/in)から約155g/cm(100mg/in)まで、より好ましくは約0.05g/cm(0.03mg/in)から約62g/cm(40mg/in)まで、ボディトリートメント組成物が一般的には約2時間かかる吸収性製品の単回使用中に身体へ移動する。
【0070】
生理用ナプキンは、一般的に日中は2時間から5時間毎に、夜間は1回交換される。その結果少なくとも約0.0045g/cm(0.003mg/in)から約1860g/cm(1200mg/in)まで、好ましくは約0.018g/cm(0.012mg/in)から約930g/cm(600mg/in)まで、より好ましくは約0.15g/cm(0.09mg/in)から約372g/cm(240mg/in)の安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物が1日間隔で(24時間内に)投与される。しかし、本明細書に記載されるボディトリートメントのプラス効果を実現するためボディトリートメント組成物の安全且つ有効な量が投与されることを条件に本明細書に記載する生理用ナプキンを介在して、ボディトリートメント組成物が着用者の身体へ移動する迄には適当な間隔で投与することで1日、数日、数週間、数ヶ月又は数年継続する。
【0071】
好ましくは生理用ナプキンのような吸収性製品の表面へボディトリートメント組成物を配分するため、如何なる、既知ないしは別の方法で有効な手段を用いてボディトリートメント組成物を吸収性製品へ塗布する。ボディトリートメント組成物を吸収性製品上へ塗布する方法の非限定的な実施例には吹きつけ、転写(例えば、フレキソ印刷)、コーティング(例えば、接触スロット・コーティング及びグラビア(写真凹版)コーティング〕、押出成形又はこれら塗布手法の組合せを含む。吸収性製品の表面へスキンケア組成物の塗布は、ボディトリートメント組成物の投与及び/又は付着を目的に皮膚表面へボディトリートメント組成物が移動又は移行することを促進し、結果として皮膚疾患の防止と軽減の改善を目的に同組成物の安全且つ有効な量が塗布される。従って身体へ移動又は移行するボディトリートメント組成物の安全且つ有効な量は、塗布するボディトリートメント組成物の種類、ボディトリートメント組成物を塗布する身体接触面の部位及びボディトリートメント組成物の投与に用いた吸収性製品の種類等の要因に依存するであろう。
【0072】
本明細書で記載されるボディトリートメント組成物を含む吸収性製品を使用中着用者の身体へ移転した移動量の決定には適切な如何なる方法も使用出来る。スキンケア組成物の移動量を算定するための具体的な方法の1例として、生体内皮膚類似物質の分析を必要とするガスクロマトグラフ及びその他の定量的分析手順が挙げられる。適切なガスクロマトグラフ分析法については1999年9月16日発行の国際公報WO99/45973でより詳細に説明される。
【実施例】
【0073】
以下の実施例はプロクター・ギャンブル・ファー・イースト社(Procter & Gamble Far East, Inc.)、日本、から「スベスベ・コットンシート(Subesube Cotton Sheet)」として市販されるパンティライナーを改造したものである。このパンティライナー製品は葉状エンボス加工の模様を持つ不繊布製トップシート、通気性微細多孔質フィルム・バックシート、及びトップシートとバックシートの間に置かれた単層のエアレイドティッシュからなる吸収性コアで構成される。このパンティライナーは曲線の形状であり、徐々に窪んでゆく側面と2つの末端部があり、各々湾曲した終縁部を持つ。パンティライナーの周辺縁部は熱圧着シーリングにより封止される。このパンティライナーはカンナーシアン有限公司(Kang Na Hsiung Enterprise Co., Ltd.)(KNH)、台湾、で製造、包装される。
【0074】
(実施例I)
トップシートの成分繊維バイコンポーネント繊維であり、チッソ株式会社、東京、日本からコード番号ESC502で入手できる。三洋化成工業株式会社(Sanyo Chemical Industries Ltd.)、京都、日本、からコード番号サンオイル(Sunoil)Fを用いてオリジナルの仕上げオイルが作られる。リリース科学工業株式会社(Rilis Scientific Industry Co., Ltd.)、大阪、日本、から入手する濃縮タンニン〔コード番号パンシル(Pancil)COS−6A〕を仕上げ用オイルに溶解する。成分繊維タッチロール法で結果として生じた仕上げ用オイルで処理される。結果として生じた繊維はオイルで加熱処理され短くカット(すなわち、平均の長さは約5mm)された後、カード式熱接着法(又は、気流接触法)により不織布ウェブが作られる。結果として生じたトップシート材の坪量は18g/mである。
【0075】
吸収性コアはKNH製(コード番号A902)エアレイドティッシュ材(坪量90g/m)から作られる。
【0076】
バックシートは三菱樹脂株式会社、東京、日本、の(コード番号RN−13)の微細多孔質ポリエチレンフィルム(坪量37g/m)から作られる。
【0077】
(実施例II)
表1に例示される組成物はボディトリートメント組成物のキャリアシステム(又は、担体材料)の代表的な例である。キャリアシステムは一般的に重量ベースで、ワセリンとベヘニルアルコールのような脂肪アルコールとを組み合わせ、次いで低速攪拌翼ミキサーを用いて攪拌しながら、混合物を約80℃の温度に加熱することにより調製される。次に、粘性剤又は増粘剤が混合物に添加され、成分を最終キャリアシステムへと剪断混合する。好適な粘性剤又は増粘剤にはベヘネス−10、燻蒸シリカ、ベントナイト、及びステアレス−2が挙げられその際、粘性剤又は増粘剤は単独で又は組み合わせて用いられる。成分はイカ(IKA)製チュラックス(Turrax)式超剪断ミキサーを用い、1151.9rad/s〔11,000回転/分(rpm)〕の剪断力で混合する。
【0078】
あるいはワセリン、脂肪族アルコール及び粘度調節剤又は増粘剤を混ぜ合わせ、80℃で加熱しながら攪拌して成分を溶解、その後高速攪拌翼ミキサーを用いて例えば、特殊機化工業製TKロボミックス(Robo Mics)を523.6rad/s(5,000rpm)の条件で最終的にキャリアシステムとして混合される。
【表1】

重量%−重量パーセント
1− ワセリン、ウィトコ・コ−ポレーション(Witco Corporation)よりプロトペット(Protopet(登録商標))1Sとして入手可能
2− ベヘニルアルコール、コグニス・コ−ポレーション(Cognis Corporation)よりラネット(Lanette)22として入手可能
3− セテアリルアルコール、コグニス社(Cognis Corporation)よりステノール(Stenol)1822として入手可能
4− ベヘネス−10、コグニス・コ−ポレーション(Cognis Corporation)よりマージタール(Mergital(登録商標))B10として入手可能
5− 燻蒸シリカ、キャボット・コ−ポレーション(Cabot Corporation)よりキャブオーシル(Cabosil(登録商標))TS−720として入手可能
6− ベントナイト、レオックス・インコ−ポレーション(Rheox Incorporation)よりベントン(Bentone(登録商標))38として入手可能
7− ステアレス−2、ユニケマ・コ−ポレーション(Uniqema Corporation)よりブリジ(Brij(登録商標))762として入手可能
8. モノステアリン酸ソルビタンはユニケマ社(Uniqema Corporation)からスパン60(Span)として入手できる。
【0079】
(実施例II−IX)
本明細書の表2に掲載する以下の実施例II−IXは表1に記載するキャリアシステムを含むボディトリートメント組成物の代表例である。ボディトリートメント組成物は酸化亜鉛製ボディトリートメント剤のプレミックス溶液を配合し、次に酸化亜鉛プレミックスを他のボディトリートメント剤及びパンテノール及びグリセリン等どんな任意成分へも添加することで又はヘキサミジン、ナイアシンアミド皮膚治療剤及び如何なる任意成分からなるボディトリートメント溶液を配合することで出来上がる。ボディトリートメント溶液は次に表1に記載されるようなキャリアシステムへ添加され、同時にボディトリートメント溶液とキャリアシステムは攪拌しながら加熱され約80℃に達する。全ての成分はボディトリートメント組成物の重量に従って取り入れられる。ボディトリートメント組成物は皮膚紅斑、悪臭、及び細菌感染等の皮膚疾患の抑制に特に効果的である。
【表2】

9−林檎タンニンはアサヒフードアンドヘルスケア(株)(Asahi Food & Health Care Ltd.)から製品名アップルフェノン(ApplePhenon)で入手可能である。
10− 柿タンニンはリリース科学工業株式会社(Rilis Scientific Industry Co., Ltd.)から製品名パンシル(Pancil)COS-6Aで入手可能である。
11− 酸化亜鉛プレミックスはコボ社(Kobo Incorporation)のウルトラファイン(ULTRAFINE)350酸化亜鉛、ユニケマ社(Uniqema Incorporation)のアレセル(Arlecel)(登録商標)P100、及びイケダ社(Ikeda Incorporation)のサラコス(Salacos)(登録商標)99の70%酸化亜鉛混合物を含む。
12− ヘキサミジンはヘキサミジン・ジイセチオネートとして、血清生物学ラボ(Laboratories Serolobilogiques)から商品名エラスタブ(ELASTAB)HP100で入手できる。
13− パンテノールはD−パンテノールとして、ロッシュ・ビタミン社(Roche Vitamins Incorporation)から入手できる。
14− グリセリンはプロクター・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)からグリセリン、USP コッシャー(Kosher)(登録商標)として入手できる。
15− ナイアシンアミドはイーエム工業(Em Industries HHN)から入手できる。
16− 酸性化ナイアシンアミドはナイアシンアミドをステアリン酸に反応させて作られる。
17− カモミールはドラゴコ社(Dragoco)からファイトコンセントロール・カモミールの商品名で入手できる。
【0080】
実例IIのボディトリートメント組成物は、その後、パンティライナーと着用者の接触全面へ同組成物をスプレー方式により塗布される。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を皮膚へ放出するため、約30g/m(19.5mg/in)のボディトリートメント組成物をヘッド操作温度約90℃及び噴霧圧力約16キロパスカル(kPa)でホットメルト空気圧式ダイナテック(Dynatec)E84B1758のスプレー・ヘッドを使用しトップシートへ塗布する。
【0081】
実例IIIのボディトリートメント組成物は、その後、ノードソン(Nordson)EP11−12−02のような圧着式アプリケーターを用いてパンティライナーのトップシートの成分材料へ塗布する。スキンケア組成物は4mm巾のストライプで交互に塗布する。トップシートは次にその身体側面上で同組成物と組み立てられパンティライナーとなる。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体に放出するため、約155g/m(100mg/in)のボディトリートメント組成物がトップシートに塗布される。
【0082】
実例IVのボディトリートメント組成物は後に、ノードソン(Nordson)EP11−12−02のような圧着式アプリケーターを用いてパンティライナーのトップシート成分材料へ塗布される。トップシートは身体側面上で組成物と組み合わされパンティライナーとなる。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を皮膚表面へ放出するため、約0.5g/m(0.003mg/in)のボディトリートメント組成物をトップシートへ塗布する。
【0083】
実例Vのボディトリートメント組成物は後に、スプレーにより同組成物をパンティライナーと着用者の接触全面へ塗布される。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体表面へ放出するため、約60g/m(39mg/in))のボディトリートメント組成物をヘッド操作温度約90℃及び噴霧圧力約16キロパスカル(kPa)でホットメルト空気圧式ダイナテック(Dynatec)E84B1758スプレー・ヘッドを使用しトップシートへ塗布する。
【0084】
実例VIのボディトリートメント組成物は次に、ノードソン(Nordson)EP11−12−02のような圧着式アプリケーターを用いてパンティライナーのトップシート成分材料ヘ塗布される。ボディトリートメント組成物は5mm巾のストライプで交互に塗布される。トップシートは次にその身体側面上で同組成物と組み合わされパンティライナーとなる。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体表面へ放出するため、約310g/m(200mg/in)のボディトリートメント組成物をトップシートへ塗布する。
【0085】
実例VIIのボディトリートメント組成物は次に、ノードソン(Nordson)EP11−12−02のような圧着式アプリケーターを用いてパンティライナーのトップシート成分材料へ塗布される。ボディトリートメント組成物は3mm巾のストライプで交互に塗布される。トップシートは次にその身体側表面上で同組成物と組み合わされパンティライナーとなる。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体表面へ放出するため、約5g/m(0.03mg/in)のボディトリートメント組成物をトップシートへ塗布する。
【0086】
実例VIIIのボディトリートメント組成物は次に、スプレーにより同組成物をパンティライナーが着用者と接触する全面へ塗布される。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体上へ放出するため、約10g/m(0.06mg/in))のボディトリートメント組成物をヘッド操作温度約90℃及び噴霧圧力、約16キロパスカル(kPa)でホットメルト空気圧式ダイナテック(Dynatec)E84B1758スプレー・ヘッドを使用しトップシートへ塗布する。
【0087】
実例VIIのボディトリートメント組成物は後に、パンティライナーの疎水性スパンボンド2成分型ポリエチレン/ポリプロピレン製トップシート(BBA, Washougal, WA)の着用者接触面上へ、スロット・コーティング(ノードソン(Nordson)EP11−12−02〕により同組成物をストライプ(縞)状の配置に塗布する。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体上へ放出するため、各5ミリ(mm)巾×60ミリ長さで、約20g/cm(0.12mg/in)の塗布されたストライプ状配置を少なくとも2つ含むトップシートへボディトリートメント組成物をストライプ状に塗布する。トップシートは次にその身体側面上で同組成物と組み合わされパンティライナーとなる。
【0088】
実例Xのボディトリートメント組成物は後に、スプレーにより同組成物をパンティライナーと着用者の接触全面へ塗布される。安全且つ有効な量のボディトリートメント組成物を身体上へ放出するため、約3.3g/m(0.02mg/in)のボディトリートメント組成物をヘッド操作温度約90℃及び噴霧圧力約16キロパスカル(kPa)でホットメルト空気圧式ダイナテック(Dynatec)E84B1758スプレー・ヘッドを使用しトップシートへ塗布する。
【0089】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0090】
「発明を実施するための最良の形態」において引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。この記載文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み入れられた文献におけるその用語のいずれかの意味又は定義と対立する場合は、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0091】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カキノキ科、ネムノキ亜科、セリ科、マツ科、バラ科、ブナ科、及びこれらの混合物から成る群から選択された植物科から抽出された濃縮タンニンを含む吸収性製品。
【請求項2】
トップシートと、バックシートと、及び前記トップシートおよび前記バックシートの間に配置される吸収性コアとを含み、前記トップシート、前記バックシート、及び前記吸収性コアの少なくとも1つが前記濃縮タンニンを含む、請求項1に記載の吸収性製品。
【請求項3】
前記トップシート、前記バックシート、及び前記吸収性コアの少なくとも1つが成分繊維を含む、請求項2に記載の吸収性製品。
【請求項4】
前記成分繊維が、前記濃縮タンニンで処理された表面を有する、請求項3に記載の吸収性製品。
【請求項5】
前記成分繊維が、前記濃縮タンニンを含む熱可塑性材料を含んでなる、請求項3に記載の吸収性製品。
【請求項6】
前記トップシート、前記バックシート、及び前記吸収性コアの少なくとも1つが、前記濃縮タンニンで処理された表面を有するシート材料を含む、請求項2に記載の吸収性製品。
【請求項7】
前記トップシートが、前記濃縮タンニンで処理された表面を有する孔あき成形フィルムであるシート材料を含む、請求項6に記載の吸収性製品。
【請求項8】
前記濃縮タンニン用の担体材料をさらに含む、請求項1に記載の吸収性製品。
【請求項9】
前記担体材料が、前記吸収性製品の成分材料の物理的性質を制御する成分処理材料である、請求項8に記載の吸収性製品。
【請求項10】
前記担体材料が、当該製品の着用者の身体の少なくとも一部へ前記濃縮タンニンを運ぶ着用者の身体用のボディトリートメント材料である、請求項8に記載の吸収性製品。
【請求項11】
前記濃縮タンニンが、以下の構造:
【化1】

を有する柿のタンニンである、請求項1に記載の吸収性製品。
【請求項12】
前記濃縮タンニンが、以下の構造:
【化2】

を有する林檎のタンニンである、請求項1に記載の吸収性製品。
【請求項13】
前記吸収性製品が、生理用ナプキン又はパンティライナーである、請求項1に記載の吸収性製品。

【公表番号】特表2009−505707(P2009−505707A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527543(P2008−527543)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052736
【国際公開番号】WO2007/023404
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】