説明

濾過により生体物質を分離する装置および方法

癌の診断において細胞を使用するときに細胞の完全性を保存するように流体から細胞を採集する方法および装置。この装置は、所定のサイズの細胞を集めるように適合されたフィルタと、フィルタへおよびフィルタから流体を送るように配置された流体経路と、流体経路に沿って流体をフィルタに押し付ける正圧、および流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る負圧を提供し、フィルタ上に細胞を集めるため、第1の方向に沿って試料をフィルタに通すように動作するポンプとを備える。第2のポンプは、フィルタから細胞を脱離させて集めるため、第2の方向に沿って細胞保存薬流体をフィルタに通すように動作する。流体経路に沿った流体の流れを調節するため、制御装置が提供される。この方法および装置は、濾過および収集プロセス中の細胞の損傷を最小化する穏やかな圧力勾配を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過によって生体粒子を分離する装置および方法に関し、具体的には、膀胱癌を検出するために、尿などの流体を濾過することによって細胞を分離することに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの尿は一般に、約95%の水に加えて、尿素、アンモニウム・イオン、カルシウム・イオン、ナトリウム・イオン、カリウム・イオンおよび塩化物イオンを含むある範囲のイオン、ならびに他の水溶性物質を含む。さらに、膀胱、腎臓、尿管または尿道に由来する細胞物質が、尿に懸濁した固体として存在する。したがって、腎臓、尿管、膀胱または尿道の癌を指示している可能性がある異常な細胞の存在の有無を調べるために、尿を検査することがある。これを実行するためには、検査室において尿試料を処理し、異常な細胞の存在の有無を調べる病理医が顕微鏡下で検査する。検査用の細胞を採集するために尿試料を処理する現在の方法は、時間がかかり、専門家の関与を必要とし、いくつかの段階および別個の機器アイテムを必要とする遠心分離を含む。
【0003】
膀胱癌の場合、癌の存在の有無を判定するのに、膀胱鏡検査(cystoscopy)と呼ばれる代替法が好まれている。しかしながら、膀胱鏡検査は侵襲性であり、医療スタッフの時間と検査室の時間の両方に関して多くの時間を必要とする。膀胱癌の疑いで病院で検査を受ける患者は、外来患者として軟性(flexible)膀胱鏡検査を受ける。診断が陽性の場合には、続いて、全身麻酔、剛性(rigid)膀胱鏡検査および潜在性のまたは実際の膀胱悪性疾患の早期治療を含む入院検査を受ける。このプロセスは侵襲性かつ外傷性であり、しばしば10年にもわたって繰り返される一連の膀胱鏡検査を含む。この期間に、患者1人あたり約16ないし18回の膀胱鏡検査が実施されると推定される。
【0004】
侵襲的介入のレベルを低下させる努力において、現在、独特な抗体ベースのDNA固定物質を使用する新たな診断的膀胱細胞染色法の有効性が検証されている。この技術は、膀胱組織を含むさまざまな組織中の異常な上皮細胞を選択的に標的とする、ミニ・クロモソーム・メンテナンス・アンチボディ(mini chromosome maintenace antibody)(MCM)として知られている特異抗体画分を含む。
【0005】
この技法は、膀胱癌を示唆する症状で初めて受診した患者に対する、より初期の段階の、より迅速で、より正確で、より安全な診断を可能にする。この技法は病状の早期診断を提供し、患者と医療チームの両方にとって同じようにより好都合な管理レジームによって、診断のより侵入的(intrusive)でより不愉快な側面のいくつかを患者が回避することを可能にすることがある。
【0006】
この技法は、その個々の患者の継続する評価において、膀胱癌、膀胱癌のその後の再発または膀胱癌のその後のクリアランスの診断の速度および正確さを増大させ、入院と反復的な膀胱鏡検査の両方の必要性を回避するのに役立つであろう。このような発展に起因する潜在的なコストの節減はかなりの額にのぼり、個々の患者の感情面および傷害面の救済も相当である。
【0007】
MCM抗体を効率的に適用するため、この技法を適用する膀胱移行上皮細胞の数および質を最大にする必要がある。したがって、患者の尿試料から膀胱移行上皮細胞を採集する改良された方法が望ましい。
【0008】
先行技術は、単純な濾過技法を使用して膀胱移行上皮細胞を捕獲する以前の試みが失敗に終わったことを証明している。この失敗は、少なくとも部分的には、濾材の選択が不適当であったこと、プロセス設計が不適切であったこと、および完全な診断プロトコルに対して相補的であり、完全な診断プロトコルの組み込まれた部分である細胞採集技法を開発することができなかったことによる。
【0009】
フィルタおよび膜を使用して、ヒトの尿から、尿細胞診(urine cytology)目的の膀胱移行上皮細胞を選択的に分離することは過去に検討されたが、成功はしなかった。これまでの研究では、分離される細胞の質が悪く、尿試料の臨床的処理に対しては適切ではないと結論されている。
【0010】
したがって、現在の尿細胞診の実践では膜は使用されておらず、遠心分離、細胞ペレットの再懸濁、細胞の洗浄および保存を含む時間のかかる技法を使用して、細胞を濃縮している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、流体から細胞を採集する、具体的には尿から膀胱上皮細胞を採集する効率的なプロセスおよび装置を提供することにある。本発明の他の目的は、細胞の完全性が維持されるような態様で細胞の採集を達成して、該プロセスおよび装置を、膀胱癌の診断で使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、流体試料から細胞を集める装置であって、
所定のサイズの細胞を集めるように適合されたフィルタと、
フィルタへおよびフィルタから流体を送るように配置された流体経路と、
流体経路に沿って流体をフィルタに押し付ける正圧、および流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る負圧を提供するポンピング手段とを備える装置が提供される。
【0013】
好ましくは、重力送りを引き起こすため、濾過の前に、流体経路を、流体試料がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、ポンピング手段が正圧を提供する。
【0014】
好ましくは、流体をフィルタから引っ張るため、フィルタよりも下方に蠕動ポンプを配置することにより、ポンピング手段が負圧を提供する。
【0015】
好ましくは、フィルタが、尿から膀胱上皮細胞を集めるように適合される。
【0016】
好ましくは、フィルタの孔径が50ミクロン未満である。
【0017】
より好ましくは、フィルタの孔径が1から20ミクロンの範囲にある。
【0018】
この孔径は、集める細胞のサイズに応じて選択されることが理解される。
【0019】
好ましくは、これらの孔が、フィルタの表面全体にわたってほぼ一様に分布している。
【0020】
好ましくは、フィルタが非浸出性材料でできている。
【0021】
好ましくは、フィルタがポリカーボネートでできている。
【0022】
好ましくは、流体経路が、少なくとも1つの試料容器および少なくとも1つの濾液容器に結合された少なくとも1つの導管を含む。
【0023】
好ましくは、流体経路が細胞収集器を含む。
【0024】
好ましくは、流体経路が細胞保存薬容器を含む。
【0025】
好ましくは、導管が、少なくとも部分的に、周囲から圧縮可能な管を含む。
【0026】
好ましくは、導管が、蠕動ポンプ内で機能するように適合される。
【0027】
好ましくは、前記管が、流体経路内に取り外し可能に取り付けられる。このようにして、この管を、装置を使用するたびに、または必要に応じて取り替えることができる装置の消耗部品とすることができる。
【0028】
好ましくは、装置がさらに、流体経路に沿った流体の流れを調節するように適合された制御手段を備える。
【0029】
好ましくは、制御手段が、フィルタへおよびフィルタからの流体の流れを制御するため流体経路内に配置された1つまたは複数の弁を含む。
【0030】
好ましくは、これらの弁が、流体経路内の導管を通過する流体の流れを、導管の外面を圧縮することにより制御するように適合されたピンチ弁である。
【0031】
好ましくは、ピンチ弁が電磁ピンチ弁である。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、流体試料から細胞を集める方法であって、
フィルタを含む流体経路を通して流体をポンピングするステップと、
所定のサイズの細胞を集めるために流体を濾過するステップと
を含み、
流体をポンピングするステップが、流体経路に沿って流体をフィルタに押し付ける正圧、および流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る負圧を提供するステップを含む
方法が提供される。
【0033】
好ましくは、重力送りを引き起こすため、濾過の前に、流体経路を、流体試料がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、正圧が提供される。
【0034】
好ましくは、流体をフィルタから引っ張るため、フィルタよりも下方に配置された蠕動ポンプにより、負圧が提供される。
【0035】
好ましくは、フィルタが、尿から膀胱上皮細胞を集めるように適合される。
【0036】
好ましくは、フィルタの孔径が50ミクロン未満である。
【0037】
より好ましくは、フィルタの孔径が1から20ミクロンの範囲にある。
【0038】
この孔径は、集める細胞のサイズに応じて選択されることが理解される。
【0039】
好ましくは、これらの孔が、フィルタの表面全体にわたってほぼ一様に分布している。
【0040】
好ましくは、フィルタが非浸出性材料でできている。
【0041】
好ましくは、フィルタがポリカーボネートでできている。
【0042】
好ましくは、流体経路が、少なくとも1つの試料容器および少なくとも1つの濾液容器に結合された少なくとも1つの導管を含む。
【0043】
好ましくは、流体経路が細胞収集器を含む。
【0044】
好ましくは、流体経路が細胞保存薬容器を含む。
【0045】
好ましくは、導管が、少なくとも部分的に、周囲から圧縮可能な管を含む。
【0046】
好ましくは、導管が、蠕動ポンプ内で機能するように適合される。
【0047】
好ましくは、前記管が、流体経路内に取り外し可能に取り付けられる。このようにして、この管を、装置を使用するたびに、または必要に応じて取り替えることができる装置の消耗部品とすることができる。
【0048】
好ましくは、フィルタへおよびフィルタからの流体の流れが、流体経路内に配置された1つまたは複数の弁によって制御される。
【0049】
好ましくは、これらの弁が、流体経路内の導管を通過する流体の流れを、導管の外面を圧縮することにより制御するように適合されたピンチ弁である。
【0050】
好ましくは、ピンチ弁が電磁ピンチ弁である。
【0051】
本発明の第3の態様によれば、流体試料から細胞を集める装置であって、
所定のサイズの細胞を集めるように適合されたフィルタと、
フィルタへおよびフィルタから流体を送るように配置された流体経路と、
フィルタ上に細胞を集めるため、第1の方向に沿って試料をフィルタに通すように動作する第1のポンピング手段と、
フィルタから細胞を脱離させて集めるため、第2の方向に沿って細胞保存薬流体をフィルタに通すように動作する第2のポンピング手段と、
流体経路に沿った流体の流れを調節するように適合された制御手段と
を備える装置が提供される。
【0052】
好ましくは、第1のポンピング手段が、流体経路に沿って流体をフィルタに押し付ける正圧、および流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る負圧を提供する。
【0053】
好ましくは、重力送りを引き起こすため、濾過の間、流体経路を、流体試料がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、第1のポンピング手段が正圧を提供する。
【0054】
好ましくは、第2のポンピング手段が、流体経路に沿って流体をフィルタに押し付ける正圧、および流体経路に沿ってこの流体をフィルタから引っ張る負圧を提供する。
【0055】
好ましくは、重力送りを引き起こすため、濾過後に、流体経路を、細胞保存薬流体がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、第2のポンピング手段が正圧を提供する。
【0056】
好ましくは、第1のポンピング手段が蠕動ポンプを含む。
【0057】
好ましくは、流体試料をフィルタから引っ張るため、濾過の間、蠕動ポンプをフィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される。
【0058】
好ましくは、第2のポンピング手段が蠕動ポンプを含む。
【0059】
好ましくは、流体試料をフィルタから引っ張るため、濾過の間、蠕動ポンプをフィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される。
【0060】
好ましくは、フィルタが、尿の中の膀胱上皮細胞、あるいは腎系、腎盂、前立腺の癌またはハイパー・ネフローマ(hyper nephroma)を指示する細胞を集めるように適合される。
【0061】
好ましくは、フィルタが、フィルタからの細胞の脱離を助けるためフィルタを振動させる振動機に動作可能に接続される。
【0062】
好ましくは、フィルタの濾過面の平面を中心に振動するフィルタ。
【0063】
好ましくは、フィルタおよび流体経路が、回転可能なプラットホーム上に取り付けられており、この回転可能なプラットホームが、第1のポンピング手段が動作しているときに流体試料容器をフィルタよりも上方に配置し、第2のポンピング手段が動作しているときに保存薬流体容器をフィルタよりも上方に配置する。
【0064】
好ましくは、回転可能なプラットホームの回転が制御手段によって制御される。
【0065】
好ましくは、回転可能なプラットホームをその回転軸を中心に振動させることができる。
【0066】
好ましくは、回転可能なプラットホームの動力が、ステッパ・モータなどのモータによって供給される。
【0067】
好ましくは、制御手段が、フィルタへおよびフィルタからの流体の流れを制御するため流体経路内に配置された1つまたは複数の弁を含む。
【0068】
好ましくは、これらの弁が、流体経路内の導管を通過する流体の流れを、導管の外面を圧縮することにより制御するように適合されたピンチ弁である。
【0069】
好ましくは、ピンチ弁が電磁ピンチ弁である。
【0070】
好ましくは、流体経路に沿って細胞がさらに輸送される前に、細胞が細胞収集流体に浸されるように、フィルタ内に細胞保存薬流体を閉じ込めるよう、少なくとも1つの弁を制御することができる。
【0071】
好ましくは、フィルタが容器に含まれ、この容器が、フィルタと接触する細胞保存薬流体の体積を増大させる。
【0072】
好ましくは、第2のポンピング手段が動作しているときに圧力ヘッドが増大することができるように、少なくとも1つの弁を閉じることができ、フィルタからの細胞の脱離を助けるため、この少なくとも1つの弁を開くと前記圧力が解放される。
【0073】
好ましくは、制御手段がプログラム可能である。
【0074】
好ましくは、制御手段がさらにマイクロコントローラを含む。
【0075】
好ましくは、フィルタの孔径が50ミクロン未満である。
【0076】
より好ましくは、フィルタの孔径が1から20ミクロンの範囲にある。
【0077】
この孔径は、集める細胞のサイズに応じて選択されることが理解される。
【0078】
好ましくは、これらの孔が、フィルタの表面全体にわたってほぼ一様に分布している。
【0079】
好ましくは、フィルタが非浸出性材料でできている。
【0080】
好ましくは、フィルタがポリカーボネートでできている。
【0081】
好ましくは、流体経路が、少なくとも1つの試料容器および少なくとも1つの濾液容器に結合された少なくとも1つの導管を含む。
【0082】
好ましくは、流体経路が細胞収集器を含む。
【0083】
好ましくは、流体経路が細胞保存薬容器を含む。
【0084】
好ましくは、導管が、少なくとも部分的に、周囲から圧縮可能な管からなる。
【0085】
好ましくは、導管が、蠕動ポンプ内で機能するように適合される。
【0086】
好ましくは、前記管が、流体経路内に取り外し可能に取り付けられる。このようにして、この管を、装置を使用するたびに、または必要に応じて取り替えることができる装置の消耗部品とすることができる。
【0087】
本発明の第4の態様によれば、流体試料から細胞を集める方法であって、
フィルタを含む流体経路を通して流体を制御可能にポンピングするステップと、
所定のサイズの細胞を集めるために流体を濾過するステップと
を含み、流体をポンピングするステップが、
フィルタ上に細胞を集めるため、第1の方向に沿って試料をフィルタに通すように、流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る第1の段階と、
フィルタから細胞を脱離させて集めるため、第2の方向に沿って細胞保存薬流体をフィルタを通してポンピングする第2の段階と
を含む方法が提供される。
【0088】
好ましくは、第1の段階において、正圧が、流体経路に沿って流体をフィルタに押し付け、負圧が、流体をフィルタから引っ張る。
【0089】
好ましくは、第1の段階において、重力送りを引き起こすため、濾過の間、流体経路を、流体試料がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、第1の方向の正圧が提供される。
【0090】
好ましくは、第2の段階において、正圧が、流体経路に沿って細胞保存薬流体をフィルタに押し付け、負圧が、流体経路に沿って流体をフィルタから引っ張る。
【0091】
好ましくは、細胞保存薬流体をポンピングするステップにおいて、重力送りを引き起こすため、濾過後に、流体経路を、細胞保存薬流体がフィルタよりも上方に位置するように配置することにより、正圧が提供される。
【0092】
好ましくは、第1の段階において、流体試料をフィルタから引っ張るため、濾過の間、フィルタよりも下方に配置された蠕動ポンプにより、負圧が提供される。
【0093】
好ましくは、第2の段階において、細胞保存薬流体をフィルタから引っ張るため、濾過後に、フィルタよりも下方に配置された蠕動ポンプにより、負圧が提供される。
【0094】
好ましくは、フィルタが、尿から膀胱上皮細胞を集めるように適合される。
【0095】
好ましくは、フィルタが、フィルタからの細胞の脱離を助けるためフィルタを振動させる振動機に動作可能に接続される。
【0096】
好ましくは、振動機によって、フィルタが、フィルタの濾過面の平面を中心に振動する。
【0097】
好ましくは、第1の段階の間、流体試料容器をフィルタよりも上方に配置し、第2の段階の間、細胞保存薬流体容器をフィルタよりも上方に配置するため、フィルタおよび流体経路が回転可能である。
【0098】
好ましくは、フィルタへおよびフィルタからの流体の流れを制御するため流体経路内に配置された1つまたは複数の弁により、流体経路を通過する流体の流れが提供される。
【0099】
好ましくは、これらの弁が、流体経路内の導管を通過する流体の流れを、導管の外面を圧縮することにより制御するように適合されたピンチ弁である。
【0100】
好ましくは、ピンチ弁が電磁ピンチ弁である。
【0101】
好ましくは、流体経路に沿って細胞がさらに輸送される前に、細胞が細胞収集流体に浸されるように、フィルタ内に細胞保存薬流体を閉じ込めるよう、この少なくとも1つの弁を制御することができる。
【0102】
好ましくは、容器が、フィルタと接触する細胞保存薬流体の体積を増大させる。
【0103】
好ましくは、第2のポンピング手段が動作しているときに圧力ヘッドが増大することができるように、少なくとも1つの弁を閉じることができ、フィルタからの細胞の脱離を助けるため、少なくとも1つの弁を開くと前記圧力が解放される。
【0104】
好ましくは、制御手段がプログラム可能である。
【0105】
好ましくは、制御手段がさらにマイクロコントローラを含む。
【0106】
好ましくは、フィルタの孔径が50ミクロン未満である。
【0107】
より好ましくは、フィルタの孔径が1から20ミクロンの範囲にある。
【0108】
好ましくは、これらの孔が、フィルタの表面全体にわたってほぼ一様に分布している。
【0109】
好ましくは、フィルタが非浸出性材料でできている。
【0110】
好ましくは、フィルタがポリカーボネートでできている。
【0111】
好ましくは、流体経路が、少なくとも1つの試料容器および少なくとも1つの濾液容器に結合された少なくとも1つの導管を含む。
【0112】
好ましくは、流体経路が細胞収集器を含む。
【0113】
好ましくは、流体経路が細胞保存薬容器を含む。
【0114】
好ましくは、導管が、少なくとも部分的に、周囲から圧縮可能な管からなる。
【0115】
好ましくは、導管が、蠕動ポンプ内で機能するように適合される。
【0116】
好ましくは、管が、流体経路内に取り外し可能に取り付けられる。このようにして、この管を、装置を使用するたびに、または必要に応じて取り替えることができる装置の消耗部品とすることができる。
【0117】
本発明の第5の態様によれば、免疫学的検定を実行する方法であって、保存薬流体中に細胞を含む試料を、本発明の第4の態様に従って得るステップと、その試料に対して免疫学的検定を実行するステップとを含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0118】
濾過によって、免疫学的検定の効率を低下させるであろう汚染物質が除去されるため、濾過後の試料に対して免疫学的検定を有利に実行することができる。
【0119】
次に、添付図面を参照して、本発明を例示としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の概略図である。
【図3】本発明の装置の等角図である。
【図4】本発明の装置の分解等角図である。
【図5】本発明のプロセスおよび装置を概略的に示す配置および動作図である。
【図6】拡大されたシリンダおよび振動手段を示す、本発明に基づく装置の他の実施形態の透視図である。
【図7】本発明に基づくフィルタおよび振動手段の一実施形態の側面図である。
【図8】本発明の他の例の透視図である。
【図9】図8に示した本発明の実施形態の諸特徴の分解図である。
【図10】本発明の他の例の透視図である。
【図11】図10に示した本発明の実施形態の諸特徴の分解図である。
【図12】検体による悪性細胞%の棒グラフである。
【図13】悪性細胞%の差のヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1に示す本発明の実施形態は試料ホルダ3を備え、この例では、試料ホルダ3が、試料ホルダ3に残る液体試料の量を減らし、試料ホルダを清浄化しやすくする円錐形の形状を有する。試料ホルダは、導管5を介して弁7に接続され、弁7は、試料ホルダ3からフィルタ8への液体の流れを制御する。この例では、フィルタ膜が、10ミクロンのポリカーボネート製円板形細胞捕獲フィルタである。圧縮可能な導管9が、蠕動ポンプ11を介してフィルタ8を収集容器13に接続する。
【0122】
使用する際には、フィルタ8の上方に配置された試料ホルダ3に尿試料を入れ、弁7が開いたときに、重力の作用で、試料が導管5を通ってフィルタ8に入り、フィルタ8を通過するようにする。この濾過プロセスは、フィルタ8を通して濾液を引っ張るフィルタの下方への穏やかな吸引を提供する蠕動ポンプの働きによって強化される。フィルタ(または膜)8は、より小さな細胞が濾液収集器13へ通過することは許すが、膀胱移行上皮細胞は膜の表面に保持する。本発明のこの実施形態では、膀胱移行上皮細胞を選択的に分離するのに、単一の膜を使用する。
【0123】
図2に示す本発明の実施形態は、導管19を介して弁21に接続された円錐形の試料ホルダ17を備え、弁21は、試料ホルダ17から前置フィルタ23への液体の流れを制御する。前置フィルタ23は、10ミクロンのポリカーボネート製円板形細胞捕獲フィルタを含むフィルタ25に接続される。圧縮可能な導管9が、蠕動ポンプ11を介してフィルタ8を収集容器13に接続する。
【0124】
使用する際には、前置フィルタ23およびフィルタ25の上方に配置された試料ホルダ17に尿試料を入れ、弁19が開いたときに、重力の作用で、試料が導管19を通って前置フィルタ23およびフィルタ25に入り、前置フィルタ23およびフィルタ25を通過するようにする。この濾過プロセスは、前置フィルタ23およびフィルタ25を通して濾液を引っ張るフィルタの下方への穏やかな吸引を提供する蠕動ポンプの働きによって強化される。本発明のこの実施形態では、主収集膜に通す前に、より大きな細胞を選択的に除去し、血液および/または粘液を、溶血剤および/または粘液溶解剤を使用して分割するため、前置フィルタがより大きな孔径を有する。フィルタ(または膜)25は、より小さな細胞が濾液収集器31へ通過することは許すが、膀胱移行上皮細胞は膜の表面に保持する。
【0125】
本発明の第3の実施形態を図3、図4および図5に示す。この実施形態では、本発明に基づく装置を、検査室、診療室、手術室などで使用するのに適した「卓上型」分析機器として設計した。
【0126】
この機器は、回転する円形ステンレス鋼フェース・プレート37に接するハウジング35を備える。ナイロン、ポリプロピレンなど、より軽いフェース・プレート材料を使用してもよい。視界窓を有する蝶番式のアクセス・ドア(図示せず)によって、操作および保守のためキャビネットにアクセスすることができる。この内部円形フェース・プレート37は、キャビネット・ハウジング35の内側の支持構造41上に取り付けられたステッパ・モータ39のシャフトに取り付けられる。ステッパ・モータ39は、やはりキャビネット・ハウジング35の内側に取り付けられたマイクロプロセッサ43によって制御される。
【0127】
キャビネット・ハウジング35の内側にはさらに電気接続箱45が取り付けられる。マイクロプロセッサ43および電気接続箱45など、内部に取り付けられた構成要素には、キャビネット・ハウジング35の背面の取り外し可能なアクセス・カバー47を通してアクセスする。ステッパ・モータ39は、後述するプロセスの間のある時点においてフェース・プレートを少しずつ回転させるようにプログラムされる。
【0128】
細菌の棲みかとなりうる溶接部または凹みがないことを保証するため、尿保持カップ49はステンレス鋼棒材から製造される。処理中にカップから尿試料全体が引き出され、残留する膜が限定されることを保証するため、この保持カップは円錐形の基部を有する。ステンレス鋼を選択するのは、ステンレス鋼が衛生的な品質および耐食性を有し、オートクレーブ処理が可能なためである。アセンブリ全体の重量を低下させるため、代替としてポリプロピレンを使用することもできる。細胞収集膜51を通して尿を移動させるための重力ヘッドを提供するため、細胞収集シーケンスの開始時、尿保持カップ49は、回転フェース・プレート37の頂部に配置される。
【0129】
ポリカーボネート製の細胞集膜51を支持するため、膜ホルダ53が使用される。膜ホルダ57は、ポリフロオロカーボン・プラスチックから、入口/出口ポートを有するように製造される。このホルダは、腐食作用を有する化学薬品および溶媒に対して抵抗性であり、選択した消毒液を使用してその場で滅菌することができ、滅菌を保証するため、必要に応じて取り外してオートクレーブ処理することもできる。
【0130】
さらに、装置の滅菌は、キャビネットの内部に紫外線消毒システムを組み込み、試料の処理と処理の間に消毒サイクルを自動的に実行することによっても達成することができる。図3から5の実施形態に紫外線消毒システムは示されていないが、図3から5の実施形態または本発明の他の実施形態に紫外線消毒システムを組み込むことができる。
【0131】
重力ヘッドの助けを借りて尿試料を引っ張って細胞収集膜51に通し、残った尿を廃棄物容器69に収容するため、蠕動ポンプ・ヘッド55が使用され、蠕動ポンプ・ヘッド55は、マイクロプロセッサ43によって制御された動作シーケンス中の適当な時期に動作する。ポンプ・ヘッド55は、管ローディングを容易にするため、管クランプ、管の壁厚および管の口径に対する設定を調整することを可能にする。
【0132】
蠕動ポンプを使用する利点は、ポンプが尿と直接接触しないことである。これにより、ユニットの滅菌および保守が単純になり、交差汚染の可能性が排除される。尿廃棄物容器69は、200mlの公称容量を有し、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造され、プロセスを実行するたびに取り替えられる。
【0133】
細胞収集膜51を通した逆方向の流れを制御するため、第2の蠕動ポンプ・ヘッド57が使用され、第2の蠕動ポンプ・ヘッド57は、マイクロプロセッサ43によって制御された動作シーケンス中の適当な時期に、保存薬バイアル59に蓄えられた保存薬溶液を細胞収集カップ61まで引っ張る。細胞収集カップは、ポリプロピレンまたはポリカーボネートでできた使い捨て品であり、保存薬は、例えばPreservecyt(商標)、あるいは他のメタノールまたはエタノール・ベースの保存薬など、適当な任意の保存薬とすることができる。
【0134】
流体は、蠕動ポンプ管63を使用して構築された管アセンブリを使用して装置内の各所に運ばれる。使用する管の口径は3.2mm、壁厚は1.6mmである。管材料は、尿酸を含む尿の既知の成分、および装置をその場で消毒するために使用される可能性がある予想される消毒剤に適合するように選択する。使用する管は、Marprene(登録商標)/Bioprene(登録商標)から製造される。必要なときに管アセンブリを迅速に取り替えることを可能にする迅速分離式ルーアー(Luer)型ロック・カップリングを使用して、2つのポンプ管アセンブリ63、64がさまざまな機器アイテムに接続される。
【0135】
適当な細胞保存流体20mlを含むバイアル59が膜ホルダ53にしっかりと結合される。バイアル59は、押込みばめコネクタを使用してアセンブリに接続され、細胞収集プロセスの完了後に容易に取り外すことができる。バイアル59は消耗品であり、プロセスを実行するたびに新しい保存薬流体バイアルが必要となる。
【0136】
尿保持カップ49、廃棄物容器69および細胞収集カップ61は、クイック・リリース・クリップを使用してフェース・プレート37上に固定される。
【0137】
マイクロプロセッサ43の制御下にある動作シーケンス中に流体の移動を制御するため、ソレノイド駆動式の8つのピンチ弁65(65−1〜65−8)が使用される。電磁ピンチ弁65は、管アセンブリ63、64を挟みつぶして、デッド・ボリューム(dead volume)なしに管の内腔を開閉することにより、流体の流れを制御する。このように、弁はどの部分も尿試料と接触しないため、弁は汚染物質を含まない。これにより、アセンブリの滅菌が大幅に単純になり、交差汚染が防止され、流体経路全体を簡単に取り替えることが可能になる。
【0138】
ピンチ弁65は、ソレノイドを流れる電流を使用して磁場を誘導し、次いでこの磁場が磁気プランジャに力を供給する。ピンチ機能は、ソレノイドが、スライディング・プランジャに作用して管を挟みつぶす力を発生させたときに達成される。これらの弁は、動作シーケンスにおけるそれらの役割に応じて常時閉または常時開である。すなわち、弁が給電停止状態にあるとき、管は挟みつぶされて閉じているかまたは開いている。ソレノイドには直流電源を使用して給電する。
【0139】
プロセスの構成制御のため、キーパッドの付いたオペレータ・インターフェース・ディスプレイ67が提供される。オペレータ・インターフェース・ディスプレイ/キーパッド67はマイクロプロセッサ43に接続されており、オペレータが、試料IDを入力し、細胞採集プロセスを開始し、プロセス・タイマを変更することを可能にする。キーパッド付きディスプレイ67はさらに、細胞採集プロセス・シーケンスを実行する前に、必要なすべてのアイテムが接続されていることを保証するよう、オペレータに促すようにプログラムされる。
【0140】
図4はさらに、任意選択の前置フィルタ71と、流体経路の部分を形成する管63、64の取替えを容易にする接続機構73とを示す。
【0141】
次に、上記の装置を使用する方法の一例を図5を参照して説明する。
【0142】
細胞採集プロセス・シーケンスは、マイクロプロセッサ43によって次のように制御される。
【0143】
1.「Start Sequence」と表示されたキーが押されると、オペレータ・インターフェース・ディスプレイ67が、消毒済みの(または新しい)管アセンブリ63、64、尿保持カップ49、保存薬バイアル59、細胞収集カップ61および廃棄尿容器69が接続されていること、ならびに新しい膜(フィルタ)ハウジングおよび新しい膜(フィルタ)51が取り付けられていることを確認するよう、オペレータに促す。
【0144】
2.オペレータの確認をキーパッド67を介して受け取ると、マイクロプロセッサ43はすべてのピンチ弁65を閉じ、尿保持カップ49に尿試料を入れるようオペレータに要求する。
【0145】
3.オペレータのさらなる確認をキーパッド67を介して受け取ると、ピンチ弁65−1、65−2および65−3を開いて、尿保持カップ49から細胞収集膜51を通って廃棄尿容器69に達する流路を開通させる。ピンチ弁65−3はさらに廃棄尿容器69の通気口も開き、封入されていた空気の排出を可能にする。蠕動ポンプ・ヘッド55を始動させる。このポンプを、調整可能な期間(デフォルト値=3分)の間動かして、保持カップ49の中の尿を細胞収集膜51を通して廃棄尿容器69の中へ移動させる。
【0146】
4.次いで、蠕動ポンプ・ヘッド55を停止させ、ピンチ弁65−1、65−2、65−3を閉じる。
【0147】
5.次いで、ステッパ・モータ39によって円形フェース・プレート37を180度回転させる。
【0148】
6.次いで、ピンチ弁65−4を開く。この弁は、保存薬溶液が、保存薬バイアル59から膜ホルダ53へ流入することを可能にする。ピンチ弁65−5は、集められた膀胱移行上皮細胞が保存薬に十分に浸され、膜の表面から保存薬溶液中に浮き上がることを保証するため、保存薬溶液が膜ホルダ53を通過することは許すが、保存薬溶液を細胞収集膜51の近傍に閉じ込めるように配置される。集められた細胞の膜表面から保存薬溶液中への移動を促進するため、マイクロプロセッサ43はさらに、フェース・プレート37を垂直位置から両側に15度、静かに回転させる。この回転シーケンスの継続時間は調整可能である(デフォルト値=1分)。
【0149】
7.次いで、ピンチ弁65−5および65−6を開いて、膜ホルダ53から細胞収集カップ61までの流体流路を開通させる。ピンチ弁65−6はさらに細胞収集カップ61の通気孔も開いて、封入されていた空気の排出を可能にする。蠕動ポンプ・ヘッド57を始動させて、保存薬溶液および懸濁した上皮細胞を細胞収集カップ61内へ引き入れる。このポンプを調整可能な時間(デフォルト値=1分)の間動かし、次いで停止させる。
【0150】
8.この時点で、細胞収集プロセスは完了であり、すべてのピンチ弁を閉じる。次いで、細胞収集カップ61を取り外し、キーパッドを介してシーケンスの完了に同意するよう、オペレータに促す。
【0151】
9.連続する尿試料間の交差汚染が生じる可能性があるため、新たな尿試料から細胞を採集するたびに、両方の管アセンブリ63、64、尿保持カップ49、膜ハウジング53、保存薬バイアル59および廃棄尿容器69を取り替えることができる。
【0152】
異なるステップを含むように、および一部のステップの継続時間または他の特性を変更するようにシステムをプログラムし直すことにより、上記の細胞採集シーケンスを変更することができる。これは、他のタイプの細胞を採集しようとするときに適当なことがある。
【0153】
これらの構成要素はすべてオートクレーブ処理に適し、認められた消毒手順で消毒した後に再使用することができる。管アセンブリ15、16は使い捨て品と考えることができる。予め組み立てられた管アセンブリのキットが消耗部品の予備部品として供給される。
【0154】
本発明の1つの利点は、特定のタイプの膜を新規に使用して、強い遠心力、真空力またはポンピング力を含まない穏やかなプロセスで上皮細胞を選択的に捕獲することにより、細胞の質の問題を少なくとも部分的に解決することである。
【0155】
本発明の他の実施形態では、固定されたフェース・プレート上に膜ハウジングが取り付けられ、細胞収集フィルタよりも上方に試料ホルダが配置される。この場合、ハウジングは逆さにされず、細胞の収集は、重力の助けなしに、ポンプだけを使用して達成される。
【0156】
本発明の他の実施形態では、流体の移動および細胞の収集を助けるために振動するプレート上にハウジングが取り付けられる。
【0157】
本発明の他の実施形態では、集められた細胞の膜からの回収を増大させるため、デバイスが変更されている。本発明のこの実施形態を図6および7に示す。
【0158】
図6は、膜ホルダ85に結合された細胞収集器83を備える本発明に基づくデバイス81の部分を示す。細胞収集器および膜ホルダ(フィルタ・ハウジング)に取り付けられたフレーム89上にモータ87が取り付けられている。このモータは、フィルタの濾過面の平面を中心にした一般に50Hz未満の低周波振動を提供するように設計され、この振動によってフィルタが上下に変位する。この例では、12V DC偏心振動モータが使用される。細胞の回収中に細胞と接触する保存薬溶液の体積を増大させるため、フィルタ・ハウジングの片側にシリンダ91が取り付けられている。シリンダ91は、フィルタ・ハウジングの内容積を、この例では約4〜5mlから10mlに増大させる。容積がさらに増大するようにこのシリンダの設計を変更することもできるが、保存薬溶液は20mlしか使用しておらず、したがって10mlは適当な容積であると考えられた。コストを低減させるため、このシリンダも、ポリプロピレンまたは他の不活性プラスチックから製造することができる。図6はさらに、保存薬ホルダ93およびピンチ弁95を示す。
【0159】
使用する際には、蠕動ポンプ(図示せず)を使用して、保存薬を、フィルタ・ハウジング内へポンピングし、さらに膜および容積が拡大されたシリンダ91を通して細胞収集容器に向かってポンピングする。振動モータ87を作動させ、振動プロセスを開始する前に、このポンピングを30秒間続ける。このプロセスの振動部分の間に、細胞収集容器(図示せず)へ通じるライン上のピンチ弁を10秒間閉じて、流体がフィルタ・アセンブリに集まり、膜の表面の細胞を浸すことを可能にする。さらに、フィルタ・ハウジングの入口側の圧力が穏やかに増大し、細胞を遊離させるのに役立つ。弁が閉じているときに振動モータを作動させて、フィルタ・ハウジングを低周波振動させる。この10秒間が経過した後、細胞収集ライン上の弁を再び開き、モータを停止する。ポンプはさらに30秒間動作させ、次いで2回目の振動シーケンスを上記と同様に実行する。この後も、すべての保存薬溶液が細胞収集容器へポンピングされるまでポンプは動作し続ける。このシーケンスは全体で合計約90秒かかる。
【0160】
細胞の収集をさらに向上させるため、この90秒の間に、さらに数回の圧力パルシングおよび振動のバーストを使用することができる。
【0161】
本発明の他の実施形態では、細胞の収集を最適化するため、上記のシーケンスおよびフィルタ・ハウジング・アセンブリを変更することができる。さらに、細胞の収集を向上させるため、この90秒の間に、さらに数回の圧力パルシングおよび振動のバーストを使用することができる。
【0162】
図8および9は、卓上型ハウジング・アセンブリ97の固定された盤(fascia)上に、正圧ポンピングを提供する2つの蠕動ポンプが配置された、本発明の他の実施形態を示す。この実施形態は、短いポンプ吸引経路を使用するため、細胞採集シーケンス中の流体輸送をより速くする選択肢を提供する。
【0163】
図9は、図7のアセンブリの構成要素の配置を示す分解図である。細胞採集および細胞保存シーケンスは、マイクロプロセッサおよびオペレータ・インターフェース100によって制御される。細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータは、通気孔の付いたプラスチック・リザーバ瓶113に保存薬溶液20mlを入れ、別の通気孔付きプラスチック試料瓶115に尿50mlを入れ、両瓶を、ハウジング・アセンブリ97上のそれぞれの取付け位置にクリップ止めする。
【0164】
空の通気孔付き50mlプラスチック・リザーバ瓶114および116を、ハウジング・アセンブリ97上のそれぞれの位置にクリップ止めする。細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータはさらに、フィルタ・ホルダ・アセンブリ106および107内に取り付けた新しい8ミクロン・ポリカーボネート膜フィルタを、ハウジング・アセンブリ97上に取り付けられたフィルタ・ホルダ振動クリップ108に取り付ける。
【0165】
細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータはさらに、蠕動ポンプ101および102ならびにピンチ弁103、105、109、110とともに使用するのに適した新しいシリコーン管を取り付けて、プラスチック・リザーバ瓶113、114、115および116ならびにフィルタ・ホルダ・アセンブリ106および107を、ルーアー型取付け具を使用して相互接続する。この管アセンブリは逆止め弁104および111を含む。
【0166】
説明し図9に示したとおりに構成要素が組み立てられると、オペレータは、オペレータ・インターフェース100を介して細胞収集および保存シーケンスを開始し、このシーケンスは、マイクロプロセッサによる自動制御下で進行する。開始されると直ちに、マイクロプロセッサはピンチ弁103およびピンチ弁109を閉じる。これらの弁が閉じると、細胞採集用ポンプ102を始動させ、オペレータ・インターフェース100を介して設定可能なある細胞収集期間の間、動作させる。尿試料の粘度および全般的な質に基づいて、異なるセッティングを選択することもできる。一般的な期間は180秒だが、それよりも長くまたは短くすることもできる。
【0167】
細胞採集用ポンプ102が動いているときに、尿試料が、通気孔付き試料容器115から、シリコーン管アセンブリ112、開いたピンチ弁110、逆止め弁111、フィルタ・ハウジング延長部分107、フィルタ・ホルダ106内に位置する8ミクロン膜、開いたピンチ弁105、シリコン管アセンブリ112を通して、通気孔付き廃棄物容器114内へ引き込まれる。尿が8ミクロン膜を通過するときに、膜の下面に膀胱上皮細胞が集められる。
【0168】
所定の細胞収集期間が経過すると、マイクロプロセッサは直ちに細胞収集用ポンプ102を停止し、ピンチ弁110および105を閉じる。次いでピンチ弁103および109を開く。弁が開くと、細胞保存用ポンプ101を始動させ、マイクロプロセッサの記憶域内にプログラムされたある期間の間、動作させる。この期間は一般に120秒だが、それよりも長くまたは短くすることもできる。
【0169】
細胞保存用ポンプ101が動いているときに、保存薬溶液が、通気孔付き貯蔵容器113から、シリコーン管アセンブリ112、開いたピンチ弁103、逆止め弁104、フィルタ・ホルダ106内に位置する8ミクロン膜、フィルタ・ハウジング延長部分107、開いたピンチ弁109、シリコーン管アセンブリ112を通して、通気孔付き細胞収集容器116内へ引き込まれる。
【0170】
マイクロプロセッサの制御下で、細胞保存ポンプが始動して15〜30秒後に、ある短い期間、一般に5〜10秒間、ピンチ弁109が閉じられ、同じ短い期間の間、フィルタ・ホルダ・クリップ108を介して、図7に示すようにクリップに組み込まれた偏心モータを使用して、フィルタ・ホルダ106および107が振り動かされる。
【0171】
ピンチ弁109が閉じられており、細胞保存用ポンプ101が依然として動いている間に、保存薬流体がフィルタ・ハウジング延長部分107に集まり、この保存薬流体は、延長部分内の圧力を増大させ、膜の下面に集められた細胞の周囲に充満する。振動動作によって引き起こされる振動は、集められた細胞を膜表面から107内の保存薬溶液中へ遊離させる。
【0172】
予めプログラムされたある期間の後、ピンチ弁109を再び開いて、延長部分内の圧力をパルスとして解放し、保持されていた保存薬溶液を前述の流体経路を通して押し流す。
【0173】
この細胞保存シーケンスの間、マイクロプロセッサは、膜からの細胞の回収を最大にするために、この圧力増大および振動シーケンスを何回か繰り返すことができる。これは、オペレータ・インターフェース100を介して設定可能である。
【0174】
所定の細胞保存期間が経過すると、マイクロプロセッサは直ちに保存用ポンプ101を停止し、ピンチ弁103および109を閉じる。これはこのシーケンスの終了を意味する。この時点で、採集された細胞は、通気孔付き細胞収集瓶116の中に集められ、保存されている。
【0175】
図10および11に示す本発明の他の実施形態では、卓上型ハウジング・アセンブリ97の固定された盤上に、正圧ポンピングおよび吸引を提供する2つの蠕動ポンプが配置される。
【0176】
この実施形態は、細胞採集用ポンプ102によって生み出される吸引力を使用して、集められた細胞がフィルタ孔の内腔を詰まらせる可能性を低減させるより力の弱い方法で、膜を通して尿を引っ張る、細胞収集のより穏やかな選択肢を提供するため、図8および9を参照して説明した実施形態とは異なる。この選択肢では、流体輸送により長い時間がかかるため、細胞収集時間が長くなる。
【0177】
図10は、アセンブリの構成要素の配置を示す分解図である。細胞採集および細胞保存シーケンスは、マイクロプロセッサおよびオペレータ・インターフェース100によって制御される。
【0178】
細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータは、通気孔の付いたプラスチック・リザーバ瓶113に保存薬溶液20mlを入れ、別の通気孔付きプラスチック試料瓶115に尿50mlを入れ、両瓶を、ハウジング・アセンブリ97上のそれぞれの取付け位置にクリップ止めする。
【0179】
空の通気孔付き50mlプラスチック・リザーバ瓶114および116を、ハウジング・アセンブリ97上のそれぞれの位置にクリップ止めする。
【0180】
細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータはさらに、フィルタ・ホルダ・アセンブリ106および107内に取り付けた新しい8ミクロン・ポリカーボネート膜フィルタを、ハウジング・アセンブリ97上に取り付けられたフィルタ・ホルダ振動クリップ108に取り付ける。
【0181】
細胞収集および保存シーケンスを実行する前に、オペレータはさらに、蠕動ポンプ101および102ならびにピンチ弁103、105、109、110とともに使用するのに適した新しいシリコーン管を取り付けて、プラスチック・リザーバ瓶113、114、115および116ならびにフィルタ・ホルダ・アセンブリ106および107を、ルーアー型取付け具を使用して相互接続する。この管アセンブリは逆止め弁104および111を含む。
【0182】
説明し図10に示したとおりに構成要素が組み立てられると、オペレータは、オペレータ・インターフェース100を介して細胞収集および保存シーケンスを開始し、このシーケンスは、マイクロプロセッサによる自動制御下で進行する。
【0183】
開始されると直ちに、マイクロプロセッサはピンチ弁103およびピンチ弁109を閉じる。
【0184】
これらの弁が閉じると、細胞採集用ポンプ102を始動させ、オペレータ・インターフェース100を介して設定可能なある細胞収集期間の間、動作させる。尿試料の粘度および全般的な質に基づいて、異なるセッティングを選択することもできる。一般的な期間は180秒だが、それよりも長くまたは短くすることもできる。
【0185】
細胞採集用ポンプ102が動いているときに、尿試料が、通気孔付き試料容器115から、シリコーン管アセンブリ112、細胞採集用ポンプ102、開いたピンチ弁110、逆止め弁111、フィルタ・ハウジング延長部分107、フィルタ・ホルダ106内に位置する8ミクロン膜、開いたピンチ弁105、細胞採集用ポンプ102、シリコン管アセンブリ112を通して、通気孔付き廃棄物容器114内へ引き込まれる。尿が8ミクロン膜を通過するときに、膜の下面に膀胱上皮細胞が集められる。
【0186】
所定の細胞収集期間が経過すると、マイクロプロセッサは直ちに細胞収集用ポンプ102を停止し、ピンチ弁110および105を閉じる。次いでピンチ弁103および109を開く。
【0187】
弁が開くと、細胞保存用ポンプ101を始動させ、マイクロプロセッサの記憶域内にプログラムされたある期間の間、動作させる。この期間は一般に120秒だが、それよりも長くまたは短くすることもできる。
【0188】
細胞保存用ポンプ101が動いているときに、保存薬溶液が、通気孔付き貯蔵容器113から、シリコーン管アセンブリ112、開いたピンチ弁103、逆止め弁104、フィルタ・ホルダ106内に位置する8ミクロン膜、フィルタ・ハウジング延長部分107、開いたピンチ弁109、シリコーン管アセンブリ112を通して、通気孔付き細胞収集容器116内へ引き込まれる。
【0189】
マイクロプロセッサの制御下で、細胞保存ポンプが始動して15〜30秒後に、ある短い期間、一般に5〜10秒間、ピンチ弁109が閉じられ、同じ短い期間の間、フィルタ・ホルダ・クリップ108を介して、クリップに組み込まれた偏心モータを使用して、フィルタ・ホルダ106および107が振り動かされる。
【0190】
ピンチ弁109が閉じられており、細胞保存用ポンプ101が依然として動いている間に、保存薬流体がフィルタ・ハウジング延長部分107に集まり、この保存薬流体は、膜全体の圧力を増大させ、膜の下面に集められた細胞の周囲に充満する。振動動作によって引き起こされる振動は、集められた細胞を膜表面から107内の保存薬溶液中へ遊離させる働きをする。
【0191】
予めプログラムされたある短い期間の後、ピンチ弁109を再び開いて、膜全体の圧力をパルスとして解放し、保持されていた保存薬溶液を前述の流体経路を通して押し流す。この細胞保存シーケンスの間、マイクロプロセッサは、膜からの細胞の回収を最大にするために、この圧力増大および振動シーケンスを何回か繰り返すことができる。これは、オペレータ・インターフェース100を介して設定可能である。
【0192】
所定の細胞保存期間が経過すると、マイクロプロセッサは直ちに保存用ポンプ101を停止し、ピンチ弁103および109を閉じる。
【0193】
これはこのシーケンスの終了を意味する。この時点で、採集された細胞は、通気孔付き細胞収集瓶116の中に集められ、保存されている。
【0194】
以上に説明した本発明の実施形態では、患者が排尿した直後に尿試料を処理して、採集され、固定剤を使用して固定された細胞を提供することができる。固定後、細胞は、主として固定剤の品質によって決まる期間の間、一般に最長30日の期間の間、生存することができる。これにより、本発明は、細胞を尿試料中に入れたままにし、尿試料を凍結する(これにより細胞半減期が3〜5時間まで短縮することがある)ことによって引き起こされる細胞の損傷を防ぎ、試料を検査に送る前に、診察室または他の適当な場所において細胞を採集する手段を提供する。本発明はさらに、尿試料の処理速度を増大させ、ルーチンの尿細胞診で使用される膀胱癌診断技法をより迅速に実施することを可能にする。
【0195】
実験データ
ヒトの上皮膀胱細胞の形状、特性および完全性を決定するための液体ベース細胞スライド(liquid based cell slide)(LBC)の調製において、実験室ベースの標準遠心分離法と比較したときの本発明の有効性、信頼性および再現性を決定するために、初期の比較研究を実施した。
【0196】
この研究では、ヒトの膀胱の移行上皮癌(TCC)の存在の有無を判定するプロセスの一部としての膀胱の内側を覆う上皮細胞の調製において使用する本発明のデバイスの一実施形態の有効性、信頼性および再現性を測定した。
【0197】
本発明のデバイスによって捕獲された細胞内容物の量および質を、排泄されたばかりの同じ患者の尿の対応のある分割試料のルーチンの遠心分離法の形態の最良の標準実験室実践と比較した。
【0198】
方法
泌尿器系の症状(すなわち腎臓病を示唆する症状または徴候)を持たない健康な有志、および肉眼的血尿、顕微鏡的血尿を有する患者または主症状としての膀胱癌の疑いでHaematuria Clinicに紹介された患者をこの研究の登録者とした。さらに、既知の膀胱癌の反復的TCC評価およびサーベイランスのために戻ってきた患者もこの研究に対して選択した。この研究状況(標準細胞診実践)の下で、すべての有志および患者が尿中の細胞内容物の評価に同意した。有志および患者は、病棟または外来に来た後に1度に少なくとも100ml(またはそれ以上)の尿を排泄することができるかどうかに基づいて選択した。
【0199】
膀胱癌診断剤としてのMCM抗体を評価するこの研究に含まれる患者を選択し、排泄された100mlまたはそれ以上の試料のうちの50mlの試料を実験室で混合(反転)し、本発明に基づくデバイスによる細胞収集用または遠心分離システムでの細胞収集用としてランダムに分割した。次いで、両方の方法で得た細胞を再懸濁させ、プレパラートを作製し、液体ベース細胞診(Liquid Based Cytology)を使用してスライド上で染色した。
【0200】
LBCと本発明に基づくデバイスを使用した試料の処理とを比較する。11の検体が、総細胞数と悪性細胞数の対を完成させた。
【0201】
このような20人の患者の初期データは、立会い細胞病理医(Consultant Cytopathologist)が検査したときに、細胞の質にもまたは含量にも有意差がないことを示し、本発明のデバイスによって捕獲された細胞内の細胞内容物および核内容物は、顕微鏡検査下の解像力においてやや良好かつクリアに見えることを示した。さらに、上皮膀胱細胞の初期データは、これらの細胞をPreservcyt溶液に入れた場合、細胞および核の完全性は少なくとも15日間維持されることを示した。研究によって、細胞/核構造物の約30日間の生存および完全性が確かめられると予想される。それぞれの悪性細胞パーセンテージを計算した。
【0202】
グラフ1:検体による悪性細胞%の棒グラフである(グラフは図12参照)。
【0203】
本発明のデバイスは、同じ検体に対して全体としてLBCよりも高い悪性細胞パーセンテージを与えたが、大部分は非常に類似しているかまたは同一であることが分かる。
【0204】
【表1】

【0205】
【表2】

【0206】
【表3】

【0207】
【表4】

【0208】
グラフ2:悪性細胞%の差のヒストグラムである(グラフは図13参照)。この場合、フィルタ・プロセスにおいて、絶対値20および30の2つのより高い差がある。
【0209】
【表5】

【0210】
本発明の方法は、尿試料(好ましくは排泄されたばかりの試料または最近排泄された試料)から膀胱移行上皮細胞を選択的に分離し、それらの細胞を所有者保存薬溶液中に自動的に保存することができる。この形態では、保存された細胞を、既存の薄層処理技法を使用してスライド上に単層として塗布し、診断抗体の適用を可能にすることができる。この試験はさらに、泌尿器系上皮管(uro−epithelial tract)に関係するある範囲の癌の検出を可能にし、具体的には尿管の癌、腎盂の癌、膀胱癌、前立腺癌およびハイパー・ネフローマを含む細胞を集めることができる。前立腺癌検出用の分析物として精液を使用することができる。
【0211】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に改良および修正を組み込むことができる。












【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料から細胞を集める装置であって、
所定のサイズの細胞を集めるように適合されたフィルタと、
前記フィルタへおよび前記フィルタから流体を送るように配置された流体経路と、
前記フィルタ上に細胞を集めるため、第1の方向に沿って前記試料を前記フィルタに通すように動作する第1のポンピング手段と、
前記フィルタから細胞を脱離させて集めるため、第2の方向に沿って細胞保存薬流体を前記フィルタに通すように動作する第2のポンピング手段と、
前記流体経路に沿った流体の流れを調節するように適合された制御手段と
を備える装置。
【請求項2】
前記第1のポンピング手段が、前記流体経路に沿って前記流体を前記フィルタに押し付ける正圧、および前記流体経路に沿って前記流体を前記フィルタから引っ張る負圧を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
重力送りを引き起こすため、濾過の間、前記流体経路を、前記流体試料が前記フィルタよりも上方に位置するように配置することにより、前記第1のポンピング手段が正圧を提供する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のポンピング手段が、前記流体経路に沿って前記細胞保存薬流体を前記フィルタに押し付ける正圧、および前記流体経路に沿って前記細胞保存薬流体を前記フィルタから引っ張る負圧を提供する、請求項1から3に記載の装置。
【請求項5】
重力送りを引き起こすため、濾過後に、前記流体経路を、前記細胞保存薬流体が前記フィルタよりも上方に位置するように配置することにより、前記第2のポンピング手段が正圧を提供する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のポンピング手段が蠕動ポンプを含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記流体試料を前記フィルタから引っ張るため、濾過の間、蠕動ポンプをフィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される、請求項2および6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のポンピング手段が蠕動ポンプを含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記流体試料を前記フィルタから引っ張るため、濾過の間、前記蠕動ポンプを前記フィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される、請求項4および8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタが、尿の中の膀胱上皮細胞、あるいは腎系、腎盂、前立腺の癌またはハイパー・ネフローマを指示する細胞を集めるように適合された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタが、前記フィルタからの細胞の脱離を助けるため前記フィルタを振動させる振動機に動作可能に接続された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記振動機によって、前記フィルタが、前記フィルタの濾過面の平面を中心に振動する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記フィルタおよび前記流体経路が、回転可能なプラットホーム上に取り付けられており、前記回転可能なプラットホームが、前記第1のポンピング手段が動作しているときに流体試料容器を前記フィルタよりも上方に配置し、前記第2のポンピング手段が動作しているときに細胞保存薬流体容器を前記フィルタよりも上方に配置する、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記回転可能なプラットホームの回転が前記制御手段によって制御される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記回転可能なプラットホームをその回転軸を中心に振動させることができる、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記制御手段が、前記フィルタへおよび前記フィルタからの流体の流れを制御するため前記流体経路内に配置された1つまたは複数の弁を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記弁が、前記流体経路内の導管を通過する流体の流れを、導管の外面を圧縮することにより制御するように適合されたピンチ弁である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ピンチ弁が電磁ピンチ弁である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記流体経路に沿って前記細胞がさらに輸送される前に、前記細胞が前記細胞収集流体に浸されるように、前記フィルタ内に前記細胞保存薬流体を閉じ込めるよう、前記少なくとも1つの弁を制御することができる、請求項16から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記フィルタが容器に含まれ、前記容器が、前記フィルタと接触する細胞保存薬流体の体積を増大させる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第2のポンピング手段が動作しているときに圧力ヘッドが増大することができるように、少なくとも1つの弁を閉じることができ、前記フィルタからの細胞の脱離を助けるため、前記少なくとも1つの弁を開くと前記圧力が解放される、請求項16から20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記制御手段がプログラム可能である、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記フィルタの孔径が50ミクロン未満である、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記フィルタの孔が、前記フィルタの表面全体にわたってほぼ一様に分布している、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記フィルタが非浸出性材料でできている、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記フィルタがポリカーボネートでできている、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記流体経路が、少なくとも1つの試料容器および少なくとも1つの濾液容器に結合された少なくとも1つの導管を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記流体経路が細胞収集器を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記流体経路が細胞保存薬容器を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記導管が、少なくとも部分的に、周囲から圧縮可能な管を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項31】
請求項6に従属するときに、前記導管が、前記蠕動ポンプ内で機能するように適合された、請求項17に記載の装置。
【請求項32】
前記導管が、前記流体経路内に取り外し可能に取り付けられた、請求項17に記載の装置。
【請求項33】
流体試料から細胞を集める方法であって、
フィルタを含む流体経路を通して流体を制御可能にポンピングするステップと、
所定のサイズの細胞を集めるために前記流体を濾過するステップと
を含み、前記流体をポンピングするステップが、
前記フィルタ上に細胞を集めるため、第1の方向に沿って前記試料を前記フィルタに通すように、前記流体経路に沿って前記流体を前記フィルタから引っ張る第1の段階と、
前記フィルタから細胞を脱離させて集めるため、第2の方向に沿って細胞保存薬流体をフィルタを通してポンピングする第2の段階と
を含む方法。
【請求項34】
前記第1の段階において、正圧が、前記流体経路に沿って前記流体を前記フィルタに押し付け、負圧が、前記流体を前記フィルタから引っ張る、請求項34に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の段階において、重力送りを引き起こすため、濾過の間、前記流体経路を、前記流体試料が前記フィルタよりも上方に位置するように配置することにより、前記第1の方向の正圧が提供される、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の段階において、正圧が、前記流体経路に沿って前記細胞保存薬流体を前記フィルタに押し付け、負圧が、前記流体経路に沿って前記流体を前記フィルタから引っ張る、請求項33から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記細胞保存薬流体をポンピングする前記ステップにおいて、重力送りを引き起こすため、濾過後に、前記流体経路を、前記細胞保存薬流体が前記フィルタよりも上方に位置するように配置することにより、前記正圧が提供される、請求項33から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記第1のポンピング手段が蠕動ポンプを含む、請求項33から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記流体試料を前記フィルタから引っ張るため、濾過の間、前記蠕動ポンプを前記フィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される、請求項33および38に記載の方法。
【請求項40】
前記第2のポンピング手段が蠕動ポンプを含む、請求項33から39に記載の方法。
【請求項41】
前記流体試料を前記フィルタから引っ張るため、濾過の間、前記蠕動ポンプを前記フィルタよりも下方に配置することにより、負圧が提供される、請求項36および40に記載の方法。
【請求項42】
前記フィルタが、尿の中の膀胱上皮細胞、あるいは腎系、腎盂、前立腺の癌またはハイパー・ネフローマを指示する細胞を集めるように適合された、請求項33から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記第1の段階において、前記流体試料を前記フィルタから引っ張るため、濾過の間、フィルタよりも下方に配置された蠕動ポンプにより、負圧が提供される、請求項33から32のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記フィルタが、前記フィルタからの細胞の脱離を助けるため前記フィルタを振動させる振動機に動作可能に接続された、請求項33から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記振動機によって、前記フィルタが、前記フィルタの濾過面の平面を中心に振動する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の段階の間、流体試料容器を前記フィルタよりも上方に配置し、前記第2の段階の間、細胞保存薬流体容器を前記フィルタよりも上方に配置するため、前記フィルタおよび前記流体経路が回転可能である、請求項33から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記フィルタへおよび前記フィルタからの流体の流れを制御するため前記流体経路内に配置された1つまたは複数の弁により、前記流体経路を通過する流体の流れが提供される、請求項33から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記流体経路に沿って前記細胞がさらに輸送される前に、前記細胞が前記細胞収集流体に浸されるように、前記フィルタ内に前記細胞保存薬流体を閉じ込めるよう、少なくとも1つの弁を制御することができる、請求項33から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記フィルタが容器に含まれ、前記容器が、前記フィルタと接触する細胞保存薬流体の体積を増大させる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のポンピング手段が動作しているときに圧力ヘッドが増大することができるように、少なくとも1つの弁を閉じることができ、前記フィルタからの細胞の脱離を助けるため、前記少なくとも1つの弁を開くと前記圧力が解放される、請求項47から49のいずれかに記載の装置。
【請求項51】
前記制御手段がプログラム可能である、請求項30から41のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
免疫学的検定を実行する方法であって、保存薬流体中に細胞を含む試料を、請求項33から51に記載の方法に従って得るステップと、前記試料に対して免疫学的検定を実行するステップとを含む方法。
【請求項53】
本明細書において添付図面を参照して説明した装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−509657(P2011−509657A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541838(P2010−541838)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000029
【国際公開番号】WO2009/087375
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510188148)サイトシステムズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】