説明

濾過方法およびシステム

濾過方法及びシステムを開示する。少なくとも一つの液体成分と少なくとも一つの固体成分とを含む供給混合物とガス流とをフィルターエレメントに導き、濾液及びガスを流体供給側から濾液側へとフィルターメディア中を通過させる。ガスは、フィルターメディアの内部および当該フィルターメディアの上流側表面上に堆積した閉塞物を緩くさせて除去する。ガスおよび濾液を、フィルターメディアを通過後に、互いに分離させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、液体と固体との混合物を、多孔質フィルターメディアに通すことによって、濾過する方法およびシステムに関するものである。詳細には、本発明は、液体と固体との混合物を濾過し、且つ、フィルターメディアの透過性を維持する方法及びシステムに関するものである。例えば、本発明を具現化した方法及びシステムを用いて、閉塞物、例えば混合物の濾過中にフィルターメディア上またはフィルターメディアの内部に堆積する固形物等を除去することができる。
【0002】
本発明の一側面によれば、濾過方法は、少なくとも一つの液体成分と少なくとも一つの固体成分とを含む供給混合物をフィルターメディアに導き、フィルターメディアの流体供給側に沿ってガス流を導き、濾液及びガスの少なくとも一部を流体供給側から濾液側へとフィルターメディアに通して、供給混合物を濾過し、フィルターメディアから堆積物を除去することを含む。
【0003】
本発明の別の側面によれば、濾過システムは、フィルターアセンブリを備えており、当該フィルターアセンブリは、液体固体供給混合物を導入する供給口と、ガスを導入するガス注入口と、当該供給口及び注入口に連通する流体供給側、並びに濾液側を有するフィルターエレメントと、を備えている。このフィルターエレメントは、フィルターメディアを有しており、当該フィルターメディアは、流体供給側から濾液側へとフィルターエレメントを通過するガス及び濾液の流路にわたって配置されている。濾液及びガスの大部分は、このフィルターメディアを通過する。
【0004】
本発明による濾過方法及びシステムは多くの効果をもたらす。例えば、本発明の方法及びシステムは、フィルターエレメント上への固形物(例えば、閉塞物)の堆積を効果的に減少または防止し、堆積する固形物(例えば「濾過ケーク」)がフィルターエレメントに対して高密度に固まることを防止する。濾過される流体がフィルターメディアを通過するときに、ガスをフィルターメディアに沿って且つ当該フィルターメディアを通して導入することによって、本発明の方法及びシステムは、フィルターメディア上又は当該フィルターメディアの内部の固形堆積物を、例えば、固形物を緩ませ、持ち上げ、及び/又は、取り除くことによって、効果的に分離する。固形堆積物を減少させ、固形物がフィルターエレメントに対して高密度に固まることを防止することによって、本発明の方法及びシステムは、固形物がフィルターエレメントの濾過特性を大幅に変化させることを防止し、これによって、所望の濾過レベルを達成することが可能である。さらに、本発明の方法及びシステムは、濾液がフィルターエレメントを通ることを妨げる固体の堆積(例えば高密度に固まった濾過ケーク)を防止し、これによって、濾過されるべき流体がフィルターエレメントを容易に通過するようにして、濾過システムの性能を向上させる。また、さらに、本発明の方法及びシステムは、精密なフィルターメディアを損うことなく、低レベルのエネルギー消費で、この結果を効果的に得ることができる。したがって、本発明による濾過方法及びシステムは、閉塞することなく、長期間作動し得る。また、本発明を具現化する方法及びシステムは、他の流体再生方法と組み合わせて利用することも可能である。
【実施の形態の説明】
【0005】
多くの異なる濾過方法及びシステムによって本発明を具現化し得るが、一例においては、少なくとも一つの液体成分と少なくとも一つの固体成分とを含む供給混合物とガス流とを、フィルターメディアを有するフィルターエレメントに流れるように導く。供給混合物は任意の種類の液体固体混合物を含んでいてもよく、本発明は特に、高濃度固形含有物、例えば、研磨スラリー、ポリマートナー分散物、および金属粉末分散物等のスラリーを有する混合物の濾過に有益である。ガス流は、供給混合物と混在可能な任意のガス、又はガスの混合体を含み得る。例示的なガスには、アルゴン及び窒素にようなの不活性ガス、並びに空気及び酸素を含む他のガスがある。
【0006】
参照用に図1に示す例示の濾過システム10を使用し、本方法は、供給源12からの供給混合物を、フィルターアセンブリ14に導く。このフィルターアセンブリ14は、一つ以上のフィルターエレメント16を備えており、当該フィルターエレメント16はそれぞれ、フィルターメディア18を有している。供給混合物はアセンブリ14の供給口20を通して導入され、各フィルターエレメント16の外部から内部に、又は内部から外部に流れることができる。図示した実施の形態においては、流体は外部から内部へとフィルターエレメント16を通って流れる。供給混合物はフィルターエレメント16の外側(例えば、上流側)に接触することが好ましく、濾液は供給側22から濾液側24へと濾液の流路に沿ってフィルターメディア18を通って流れることが好ましい。濾液がフィルターメディア18を通って流れるときに、物質(例えば、閉塞物)がフィルターメディア18の上または内部に堆積する。
【0007】
連続的または定期的に、ガスをガス源26からフィルターアセンブリ14にガス注入口28を介して導き、一方で、供給混合物をフィルターアセンブリ14に導く。例えば、ガスを、濾過を実施している略全時間において、又は、断続的に(例えば、5、10、15、30、又は60分毎に、1日に2回、毎日等)、フィルターアセンブリ14に導入することができる。また、ガスを、パルス的に、例えば、短いバーストとして、長い継続時間で、又は、連続的な流れとして導入してもよい。
【0008】
幾つかの実施の形態においては、ガスを、供給混合物と共に、例えば、供給混合物と実質的に同時に、フィルターアセンブリに導入する。濾過システムは、フィルターアセンブリに接続されたバルブ機構を備え、ガスを供給混合物と共に導入することを促進してもよい。バルブ機構は、任意の適切な構成を有し得る。例えば、バルブ機構を、供給口バルブ及びガス注入口バルブに接続してもよい。幾つかの実施の形態においては、バルブ機構は、図2に示す例示的なフィルターアセンブリに見られるように、コントローラ31を有する。
【0009】
ガスは、好ましくは、フィルターエレメント16の上流側に沿って(例えば、フィルターエレメントの上流側面に沿って)流れ、分散する。例えば、ガスは、フィルターエレメント16の上流側の約50%以上、75%以上、90%以上、又は、99%以上に沿って流れることができる。パーセンテージが高いほど、より有利になる。ガスは、フィルターエレメントの上流側に沿って流れ、分散するときに、フィルターメディアに付着している固形物を緩ませ及び/又は取り除き、並びに/若しくは、固形物がフィルターエレメント上又はフィルターエレメントの内部に堆積することを防止する。例えば、ガスはフィルターエレメントの表面を洗浄し、フィルターエレメントの表面から固形物を持ち上げ、「濾過ケーク」の形成を阻止する。幾つかの実施の形態においては、フィルターエレメントの表面のガスは、固形物の堆積を完全には防止しない可能性もあるが、堆積を減少させ、及び/又は、堆積した固形物がフィルターエレメントに対して高密度に固まることを防止して、緩くてさらに多孔性の濾過ケークを生成することができる。濾過されるべき流体は、この緩い多孔性濾過ケークを容易に通過でき、流量を増加させ、フィルターアセンブリにおける圧力降下を抑えることができる。このように、ガスがフィルターエレメントの表面をより多く掃くことで、フィルターアセンブリの性能は更に向上する。
【0010】
ガスはまた、例えば、フィルターメディア18を通るガス流路に沿って、供給側22から濾液側24へと、フィルターエレメントを通過することができる。ガス容積の大部分、例えば、フィルターアセンブリに導入されるガス容積の50%以上、70%以上、85%以上、90%以上、又は99%以上は、フィルターエレメント16の上流側からフィルターメディア18を通って当該エレメント16の濾液側へと流れることができる。上述のとおり、パーセンテージが高いほど、より有利になる。フィルターメディアを通るガス流路に沿って通過するガスは、フィルターエレメントの表面から固形物を効果的に持ち上げ、フィルターエレメントの上又は内部に固形物が堆積することを防止し、堆積した固形物を緩くすることができる。フィルターメディア18を通るガス流路に沿って流れるガスは、フィルターエレメントの片側(例えば、上流側)に沿ってのみ流れるガスに比べて、より密接にフィルターエレメントの表面に接触できる。例えば、フィルターメディアに流れ込むガスは、フィルターエレメントの表面の固形堆積物に効果的に浸透して、除去の難しい閉塞物を持ち上げ、取り除き、また、緩くすることができる。さらに、ガスは、フィルターエレメントを通るガス流路に沿って流れるときに、フィルターメディア内に捕捉された固形物、例えば、フィルターメディアを通過させることを意図したが、フィルターメディア内に詰まった固形物を、緩くさせる及び/又は取り除くことができる。フィルターエレメントに沿うガスの流れ、及びフィルターメディアを通るガスの流れは、フィルターメディアを振動させ、閉塞物の堆積の防止及び除去を更に促進する。フィルターメディアを通るガス量が増すほど、フィルターアセンブリの性能が更に向上する。
【0011】
ガスは、任意の適切な方法でフィルターメディア18に流れ込むように導くことができる。例えば、幾つかの実施の形態においては、ハウジング30をフィルターエレメント16の外面周りに密接して取り付けてもよく、例えば、小さい隙間のみを、フィルターエレメント16の外面とハウジング30の内壁の間に存在させることができる。この小さい空隙によって、フィルターメディア18に流れ込み、そして、ガス流路に沿って流れるように、ガスを容易に導くことができる。幾つかの実施の形態においては、ガスを、フィルターエレメント16に流れ込むようにガス分配器によって導くことができる。ガス分配器は種々の適切な構成を有し得る。ガス分配器は、フィルターアセンブリ14内に配置し得る一つ以上の開口を有するパイプ又はチューブを備えて、ガスをフィルターエレメント16の一つ以上の領域に分配してもよい。ガス分配器は、ガスをフィルターエレメントの底部近辺のみに分配してもよい。或いは、ガス分配器は、ガスをフィルターエレメント16の複数の領域、例えば、フィルターエレメントの下端近くの第1の領域、及び当該第1の領域から上方に離れた一つ以上の別の領域に分配してもよい。これに加えて、又は、その代わりに、ガス分配器は、ガスをフィルターアセンブリ内に配置された複数のフィルターエレメントに分配してもよい。例えば、ガス分配器は、ガスを単一のハウジング内、又は複数のハウジング内に配置された複数のフィルターエレメントに分配してもよい。図2には、単一のハウジング30内に配置された複数のフィルターエレメント16a、16b、16cと、ガス分配器30と、を含む例示的なフィルターアセンブリ14が示されている。
【0012】
幾つかの実施の形態においては、ガスは、フィルターアセンブリ内に、例えば、フィルターエレメント16の供給側(例えば、ガス液体界面の上方)に滞留する。ガス-液体界面の上方または下方のガスは、濾液がフィルターエレメントを通過するときにフィルターエレメントを通過することができる。ガス-液体界面の位置及び/又は滞留ガスの容積は、様々な要因(例えば、注入口のガス流量)によって影響を受ける。フィルターエレメントの流体供給側のガスは、フィルターアセンブリから、例えば排気口を通して除去することができる。排気口によって、ガスを連続的または断続的に除去することが可能になる。幾つかの実施の形態においては、好ましくは、ガスを定期的に排気して、過剰ガスがフィルターメディアを通って流れずに排気口から流れ出ることを防止する。多くの実施の形態では、ガスはフィルターアセンブリの流体供給側からは排気されない。
【0013】
フィルターメディアを通り濾液側に流れた後、濾液及びガスを、互いに分離することができる。濾液及びガスは、フィルターアセンブリから除去される前または後に、互いに分離されてもよい。例えば、フィルターアセンブリが、濾液排出口と別個のガス排出口(例えば、排気口)とを有する濾液チャンバを備え、当該濾液排出口及びガス排出口の各々がフィルターエレメントの濾液側に連通していてもよい。二つの排出口は、排気口を介したガスの除去を促進し、また、濾液排出口を介した濾液の除去を促進するように構成されていてもよい。例えば、排気口をフィルターアセンブリの最上部に配置して、ガスが上昇するときに、当該ガスが濾液を通過して、排気口から出るようにしてもよい。或いは、フィルターアセンブリ14が、ガス及び濾液の両者用の単一の排出口40を備え、ガス及び濾液を、フィルターアセンブリを出た後に分離してもよい。図1に示すように、液体-ガス分離器44を排出口40の下流に配置してもよい。液体-ガス分離器44は、任意の適切な方法で濾液とガスを分離し得る。例えば、液体-ガス分離器は、ガスの浮力により液体からガスを分離し、ガスを、液体を通して、または、遠心力(例えば、分離器注入口を通る流体の流れにより発生する遠心力)によって上昇させることが可能である。液体とガスを分離する他の方法は当分野では公知であり、当該方法には、例えばコアレッサー法がある。
【0014】
本発明の方法はまた、流体再生方法を含むクリーニング法、例えば、逆洗、ブローバック、又は洗浄処置を含むことができる。例えば、逆洗を、定期的、反復的、又は、必要に応じ、フィルターアセンブリにおける圧力降下の測定値に基づいて、実行することができる。実施時には、フィルターメディアを通る供給混合物の流れを停止し、水といったクリーニング流体、化学洗浄剤、ガス、又は濾液をも、フィルターメディアを通して濾液側から供給側へと流れるように導くことができる。逆洗流体は、フィルターメディア内部から、及び/又はフィルターメディアの上流側から閉塞物を押し流すことができる。閉塞物を、その後、逆流フィルターアセンブリから洗浄流体と共に、例えばドレインまたは排出口を介して、排出することができる。或いは、幾つかの実施の形態においては、流れを停止させて、フィルターアセンブリから排出される液体及びガス流を、フィルターメディアを通して逆方向に導き、閉塞物を取り除くことができる。流水法、又は、かき取り法、若しくは、当分野で公知の手法を利用することも可能である。
【0015】
多くの異なる濾過方法及びシステムによって本発明を具現化できるが、図1に示す例示的な濾過システムは、一般的に、供給混合物12、ガス源26、及び分離器44に接続されたフィルターアセンブリ12を備えるデッドエンド・システムを構成している。フィルターアセンブリは、多様な構成とすることができる。フィルターアセンブリ14は、供給源、ガス源、及び分離器に連通する二つ以上のポートを有していてもよい。例えば、フィルターアセンブリは、供給混合物用の供給口ポート20、ガス混合物用の注入口ポート28、及び濾液用の排出口ポート40を有していてもよい。フィルターアセンブリはまた、フィルターメディアの供給側に連通し滞留したガスをアセンブリ14から除去する排気口を有していてもよい。フィルターアセンブリは、図1に示すポートより少ないポート、又は、多いポートを有していてもよい。例えば、フィルターアセンブリ14は、一つの注入口ポートと一つの排出口ポートのみを有し、供給口及びガス注入口を単一のポートとして構成してもよい。或いは、フィルターアセンブリ14は、例えば、追加の排出口ポート、排気口、逆洗ポート、及び/又は、ドレインのような追加のポートを有していてもよい。
【0016】
フィルターアセンブリ14は、一つ以上のフィルターエレメント16を備えていてもよい。例えば、フィルターアセンブリは、一つ以上のハウジング内に配置された一つ以上のフィルターエレメントを備えていてもよい。図1に示す実施の形態においては、フィルターアセンブリ14は、ハウジング30によって囲まれた単一のフィルターエレメント16を備えている。別の実施の形態においては、複数のフィルターエレメントを単一のハウジング内に配置してもよく、複数のフィルターエレメントを複数のハウジング内に配置してもよい。ハウジング内又はフィルターアセンブリ内の複数のフィルターエレメントは、同一のもの、又は、互いに異なるものであってもよく、任意の適切な構成、例えば、直列または並列に配置することができる。複数のフィルターエレメントを備える例示的なフィルターアセンブリを図2に示す。図2に示すフィルターアセンブリ14は、ハウジング30を備えており、当該ハウジング30が、並列に配置された三つのフィルターエレメント16a、16b、16cを囲んでいる。三つのフィルターエレメントを図示するが、フィルターアセンブリ14は任意の数のフィルターエレメント、例えば、2個、4個、又は、更に多数個のフィルターエレメントを備えていてもよい。
【0017】
フィルターアセンブリは、フィルターエレメントを収容するための多様なハウジングを備えていてもよい。フィルターエレメントは任意の適切な方法でハウジング内に収容し得るものであり、ハウジング内にフィルターエレメントを取り付ける方法は当分野では公知である。ハウジングがフィルターエレメントを永続的に収容してもよく、又は、フィルターエレメントをハウジング30内に取外し可能に取り付けてもよい。図2に示す実施の形態においては、フィルターエレメントは、隔壁34(例えば、チューブシート)の下に取り付けられており、当該隔壁34が、ハウジング30を供給領域36と濾液領域38とに分割している。或いは、フィルターエレメントを隔壁の上方に取り付けてもよく、又は、ハウジングが隔壁を全く備えていなくてもよい。ハウジング30はまた、フィルターエレメントに追加の支持機能を提供するための支持体のような追加の構造体を備えていてもよい。幾つかの実施の形態においては、ハウジング30をフィルターエレメントの外面周りに密接して取り付けることができる。例えば、小さい隙間のみが、フィルターエレメントの外面14とハウジングの内壁18との間に存在してもよい。フィルターエレメントとハウジングとの間に小さい空隙を設けることによって、フィルターエレメントを通って流れるガスのクリーニング作用を促進させることが可能である。ハウジング18は、任意の不浸透性の材料で形成し得るものであり、例えば、濾過される流体に化学的に適合し、プロセス条件(例えば、圧力及び/又は温度条件)に機械的に耐え得る金属又はポリマー材料で形成し得る。
【0018】
フィルターエレメント16は、多様な方法で形成することが可能である。例えば、フィルターエレメント16は、フィルターメディアを備え、一つ以上の追加の構成要素、例えば、排水層、コア、包囲体、及び一以上の末端構造、即ちエンドキャップを備えてもよい。フィルターエレメント16は、任意の所望の構成をもち得る。幾つかの実施の形態においては、フィルターエレメント16は、中空の、略円筒形のフィルターエレメントであってもよい。例えば、フィルターエレメント16を、螺旋巻き状のエレメントを含む、中空糸モジュール、チューブバンドル、プリーツ付きフィルターエレメント、又は、プリーツ無しのフィルターエレメントとして構成してもよい。
【0019】
フィルターメディア18は、中空糸、中空チューブ、繊維状素材、繊維材料によるプリーツ付き又はプリーツ無しのシートの形態、若しくは、任意の他の形態をとることができ、金属、セラミック、ガラス、若しくは、天然又は合成のポリマー、或いは濾過されるべき流体に適合する任意の他の材料を含んでいてもよい。フィルターメディア18は、不要な物質を効果的に除去し、ガスを通過させ得るものであれば、任意の孔サイズを有していてもよい。例えば、ミクロン領域以下(例えば、約0.05ミクロン以下)から数十ミクロンの領域以上(例えば、数百ミクロンの領域)、又は更に大きい孔サイズ(最大で5mm以上に至るサイズ)の公称孔サイズで、用途によっては効果的に不要な物質を除去し、一方で、ガスがフィルターメディア18を通過することを可能とし得る。フィルターメディア18は、好ましくは、供給混合物源12及びガス源26に流体連通している供給側22(例えば、上流側)と、フィルターアセンブリの排出口40と流体連通している濾液側24(例えば、下流側)とを有する。図示した実施の形態においては、フィルターメディア18の供給側22はフィルターエレメント16の外部に配置され、フィルターメディア18の濾液側24はフィルターエレメント16の内部に配置されている。即ち、流体の流れは外部から内部の流れとなっている。或いは、幾つかの実施の形態においては、フィルターメディアの供給側がフィルターエレメント16の内面を構成していてもよく、フィルターメディアの濾液側がフィルターエレメント16の外面を構成していてもよい。即ち、流体の流れは内部から外部への流れとなっていてもよい。
【0020】
供給混合物源12は、別個のシステム、又はサブシステムであって、任意の方式でフィルターアセンブリ14に接続されたものであってもよく、或いは、供給混合物源12は、濾過システム10に一体の一部分であってもよい。供給源12はパイプを備え、当該パイプによって、遠隔のプロセス、システム、又は、液体固体混合物を収容するタンクから、供給混合物を送ることも可能である。好ましくは、供給混合物源12は、フィルターメディア18の供給側22と流体連通する。供給混合物源を構成するタンクは、固体が液体混合物から沈降することを防ぐための攪拌器を備えていてもよい。供給混合物は、少なくとも一つの液体成分と少なくとも一つの固体成分とを含み、ある範囲の固体濃度を有していてもよい。本発明のシステムは、特に、約5重量%以下から約40重量%の固体含有量をもつ混合物に対して有益である。
【0021】
ガス源26は、別個のシステム、又はサブシステムであって、任意の所望の方式でフィルターアセンブリ14に接続されたものであってもよく、或いは、供給混合物源12は、濾過システム10に一体の一部分であってもよい。ガス源26は、窒素又はアルゴンのような不活性ガスの供給源、圧縮空気のような空気の供給源、又は、濾過される混合物に適合する任意の他のガスの供給源であってもよい。幾つかの実施の形態においては、ガスは、供給混合物中の一以上の液体のガス化された成分を含んでいてもよい。例えば、供給混合物は液体溶剤を含んでいてもよく、ガスは気相の溶剤を含んでいてもよい。これらの実施の形態においては、ガス状溶剤がガス流に存在することによって、供給混合物中の溶剤がガス流中に蒸発することを防止することができ、供給流中の溶剤の損失を防止することができる。例えば、磁気テープ製造において利用される供給混合物は、メチルエチルケトン中のポリマー及び酸化鉄の混合物を含むことがある。ガス流は、液体成分と平衡状態にある気体のメチルエチルケトン、又はメチルエチルケトンで飽和した窒素を含むことがある。電子回路製造において利用される供給混合物は、イソプロピルアルコール中に金属粉末(例えば、粉末状の銅、銀、ニッケル及び/又はそれらの合金)を含むことがあり、ガス流は、液体成分と平衡状態にある気体のイソプロピルアルコールを含むことがある。セラミックスラリーの供給混合物は、溶剤としてトルエン及び/又はケトンを含むことがあり、トルエンやケトンもまたガス流中に存在する。多くの実施の形態においては、ガス源26がフィルターメディア18の供給側22と連通し、これによって、ガスは供給側のフィルターメディア18の表面に沿って流れ、フィルターメディア18を通って濾液側24に達することができる。
【0022】
幾つかの実施の形態においては、フィルターアセンブリ14は、ガス源26からフィルターアセンブリ14にガスを分配するガス分配器32を備えていてもよい。ガス分配器は様々な構成を有し得る。ガス分配器は、一つ以上の開口を有するパイプまたはチューブを備え、フィルターアセンブリ14内に配置されて、ガス流をフィルターエレメントに流れ込むように導き、好ましくは、フィルターエレメントを通って供給側から濾液側に流れるようにガス流を導く。図2に示すガス分配器32は、ガスを複数のフィルターエレメントの下部領域のみに分配し得る。幾つかの実施の形態においては、ガス分配器は、ガスを単一のフィルターエレメントの単一の領域、及び/又は、一つ以上のフィルターエレメントの複数の領域に分配してもよい。
【0023】
濾過システム10はまた、ガスを濾液から分離する分離器44を備えていてもよい。分離器44には、ガスを濾液から分離する任意の公知の分離器を用いることができる。幾つかの実施の形態においては、分離器は、排気口、即ちフィルターアセンブリの濾液側と連通する排出口を備えていてもよい。別の実施の形態においては、分離器44は、別個のシステム、又はサブシステムであって、フィルターアセンブリ12の下流に配置されていてもよい。例えば、分離器システムは、分離器チャンバを備え、当該チャンバの最上部近傍にガス排出口を有し、チャンバの底部近傍に液体排出口を有していてもよい。分離器チャンバは、ガスと液体との混合物をチャンバ内に導き、液体を通してガスを上昇させて、当該ガスをガス排出口を通して除去し得るように構成することができる。別の例示的な分離器は、テーパー形状のチューブとして構成されていてもよく、これによって、ガスと液体との混合物を、渦を形成するように接線方向に導き、ガスを渦の中心に集中させ、ガス排出口を通して除去してもよい。他の液体ガス分離器は、当分野では公知であって、例えば、コアレッサーを含むことができる。
【0024】
上述の構成要素に加えて、濾過システムは追加の構成要素を備えていてもよい。ポンプ、バルブ、及びセンサを利用して、供給流体、ガス、及び濾液を、システム中で移動させてもよい。例えば、供給流体を、制御システムの命令に従ってシステム中で移動させてもよい。さらに、本濾過方法を、単独で、又は、流体再生方法(例えば、逆洗、ブローバック、又は洗浄機構、及び/若しくは、流水法、かき取り法、又は任意の他の方法)を含む他のクリーニング方法と組み合わせて、利用してもよい。したがって、本発明を実現するシステムは、追加のクリーニング方法を実行するために、バルブ、パイプ、ポンプ、及び他の構成要素を備えていてもよい。
【0025】
本発明は、液体固体混合物の濾過方法及びシステムに顕著な効果をもたらす。図3に示すように、図1に示したシステムによる研磨スラリーの濾過によって、閉塞を生じない長時間の濾過がもたらされる。10重量%の固体を含有し約1ミクロンの公称直径を有する酸化セリウム研磨スラリーを、90μmの孔定格を有するPROFILE IIY900(Pall Corporation、East Hills New Yorkより入手可能)の1インチのセグメントを通して、0MPa〜0.1MPaで濾過した。供給混合物源タンクを通して循環する1L/分の液体流速を設定し、1回のトライアルにおいて1.4NL/分の空気流速でシステムを通過させた(排気口38は閉じた状態)。比較トライアルにおいては、空気を使用しなかった。図3に示すように、濾過システムは、空気がフィルターメディアを通過しないトライアルにおいては、わずか4分で閉塞した(圧力降下の増加によって示されるとおり)。これに対して、本発明に従ってフィルターメディアに空気を通過させたトライアルにおいては、濾過システムは900分以上にわたって閉塞なく作動した。
【0026】
以上、本発明の種々の態様を説明し、図面に示してきたが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではない。例えば、これら実施の形態の一つ以上の特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく取り除いてもよい。例えば、幾つかの実施の形態においては、濾過システムは、ガスを濾液から分離する分離器を備えていなくてもよい。これらの実施の形態においては、ガス及び濾液が分離されることなくシステムから除去される。
【0027】
さらに、これら実施の形態の一つ以上の特徴を、本発明の範囲から逸脱することなく変更してもよい。例えば、本システムを「デッドエンド」濾過、即ち、流体の全てをフィルターメディアに通して濾液を生成する濾過に適するものとして説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
本発明の文脈中(特に、特許請求の範囲の文脈中)の用語の「一つ(a)(an)」、及び「その(the)」、並びに類似の指示語は、本文で特に指定しないか、または文脈によって明らかに否定しない限り、単一および複数の両方の場合を含むものと解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲に関する記載は、本明細書で特に指定していない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に参照する簡略方法として使用することを単に意図したものであって、各個別の値は、本文で個々に引用されているが如くに本明細書に組み込まれる。本明細書で説明した全ての方法は、本文で特に指定しないか、又は文脈によって明らかに否定していない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書における任意の又は全ての例、若しくは例示的な用語(例えば、「のような(such as)」)は、単に本発明をより詳しく説明するためのものであって、特許請求範囲に記載しない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書における如何なる用語も、本発明の実現に必須の特許請求範囲に記載しない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】濾過システムの概略図である。
【図2】フィルターアセンブリの断面図である。
【図3】時間対フィルターにおける圧力降下を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの液体成分と少なくとも一つの固体成分とを含む供給混合物をフィルターメディアに導く工程と、
前記フィルターメディアの流体供給側に沿ってガス流を導く工程と、
濾液及びガスの少なくとも一部を、前記流体供給側から前記濾液側へと前記フィルターメディアを通過させることによって、前記供給混合物を濾過し、前記フィルターメディアから堆積物を除去する工程と、
を含む濾過方法。
【請求項2】
前記ガスと前記濾液とを分離する工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルターメディアの前記流体供給側からガスを排気する工程を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの液体成分が溶剤を含み、前記ガスが気相の前記溶剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスが、前記供給混合物と共に前記フィルターメディアに導かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記供給混合物の濾過を停止する工程と、
逆洗、ブローバック、洗浄、流水、及びかき取りのうちの一以上を実行する工程と、
前記供給混合物の濾過を再開する工程と、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
液体固体供給混合物を導入するための供給口と、
ガスを導入するためのガス注入口と、
前記供給口及び前記ガス注入口に連通する流体供給側、並びに濾液側を有するフィルターエレメントと、
を有するフィルターアセンブリを備え、
前記フィルターエレメントが、フィルターメディアを含み、該フィルターメディアが、前記流体供給側から前記濾液側へと前記フィルターエレメントを通過するガス及び濾液の流路にわたって配置されており、濾液および前記ガスの大部分が前記フィルターメディアを通過する、
濾過システム。
【請求項8】
前記フィルターエレメントの前記濾液側と連通しており、ガスと濾液を分離する分離器を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ガス源と連通し、ガスを前記フィルターエレメントに分配するガス分配器を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記フィルターアセンブリに接続されており、ガスを供給混合物と共に導入するバルブ機構を更に備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記バルブ機構が、供給口バルブとガスバルブとに接続されたコントローラを備える、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−504960(P2008−504960A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520413(P2007−520413)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023615
【国際公開番号】WO2006/014380
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(596064112)ポール・コーポレーション (70)
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
【住所又は居所原語表記】2200 Northern Boulevard East Hills, New York