説明

濾過材およびその製造方法

【課題】特に竹を主原料とし、食用油の濾過に適する濾過材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】竹材パルプを主原料とする竹濾紙から成ることを特徴とする濾過材であって、細かく割った竹を叩解して竹繊維を離解し、煮熱して柔らかい竹繊維とすると共に更に叩解して紙料液にし、該紙料液を漉き船中に懸濁させて手漉き作業を行って竹紙層を得る。該竹紙層を脱水、乾燥させて上記竹濾紙を得る。竹濾紙には、竹炭や天然アパタイトを混入してもよい。竹濾紙は、シート状竹濾紙や球体状竹濾紙やロール状竹濾紙とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過材、特に竹を主原料とし、食用油の濾過に適する濾過材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の食用油用の濾過材としては、木材パルプや綿などの天然繊維、あるいはポリプロピレンやポリエチレンなどの合成繊維を主原料とする濾紙があった。
しかしながら、上記従来の濾紙は、コストが高いだけでなく抗菌効果、消臭効果、マイナスイオン効果、汚染物質の吸着効果などに難点があった。
一方、従来、竹を主原料とする竹和紙があるが、竹の抗菌効果、消臭効果、マイナスイオン効果、汚染物質の吸着効果などに着目した食用油用の濾過材は無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−45620号公開特許公報
【特許文献2】特開平6−269607号公開特許公報
【特許文献3】特開平5−239791号公開特許公報
【特許文献4】特開平5−321190号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安価で、抗菌効果、消臭効果、マイナスイオン効果、汚染物質の吸着効果などの諸効果を発揮することができる濾過材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の濾過材は、竹材パルプを主原料とする竹濾紙から成ることを特徴とする。また、 天然アパタイトを含有することを特徴とする。さらに、上記天然アパタイトが、牛骨などの動物骨を焼成して微粒状あるいは微粉状にしたものであることを特徴とする。球体状竹濾紙であることも特徴とする。又更に、ロール状竹濾紙であることも特徴とする。
【0006】
本発明の濾過材の製造方法は、枝葉や節を取り除いた竹を細かく割ると共に、ハンマー等で叩解して、竹繊維をばらばらに離解し、該離解された竹繊維をドラム缶などの煮沸釜に投入して煮熱して柔らかくし、柔らかくなった竹繊維を、更に叩解して、湿った綿のような紙料液にし、必要に応じて、トロロアオイなどの粘剤を添加し、上記紙料液を手漉き作業により竹紙層を形成し、該竹紙層を紙床の上に積み重ね、この竹紙層を圧搾して脱水し、一枚ずつ剥がしてから、天日あるいは乾燥機で乾燥して、竹濾紙を製造することを特徴とする。また、上記竹繊維に天然アパタイトを混入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の濾過材は、抗菌効果、消臭効果、マイナスイオン効果、汚染物質の吸着効果などの諸効果を発揮することができる。また、本発明の濾過材の製造方法は、安価な濾過材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の濾過材の製造方法の説明図である。
【図2】本発明の濾過材の一実施例を示す図である。
【図3】本発明の濾過材の別の実施例を示す図である。
【図4】本発明の濾過材の別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の濾過材およびその製造方法の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
図1に示すように、先ず、伐採した竹(孟宗竹など)から枝葉や節を取り除いて、細かく割る。この枝葉や節の除去は省略することもできる。
【0011】
次ぎに、細かく割った竹を、ハンマー等で叩解して、竹繊維をばらばらに離解する。
【0012】
離解された竹繊維をドラム缶などの煮沸釜に投入して煮熱して柔らかくする。
【0013】
続いて、柔らかくなった竹繊維を、更にする。この紙料液には、必要に応じて、トロロアオイなどの粘剤を添加してもよい。
【0014】
上記紙料液を、水を満たした漉き船中に懸濁させて、漉簀で紙料液を救い上げ、漉簀を漉桁で前後左右に揺り動かし、この揺り動かしを何回も繰り返して均一に広げて、手漉き作業を行い、繊維が絡み合った竹紙層を形成する。以上の漉き作業は、いわゆる、流し漉き法と称するが、紙料液をすくい上げてから、漉簀をわずかに揺り動かして、水が切れるまで止め置く、いわゆる、溜め漉き法でもよい。
【0015】
上記竹紙層を紙床の上に積み重ね、この竹紙層を圧搾して脱水し、一枚ずつ剥がしてから、天日あるいは乾燥機で乾燥し、竹濾紙を得る。
【実施例2】
【0016】
砕いて粉状になった竹炭を、上記竹繊維に添加して手漉き作業を行い、竹炭入りの竹濾紙を製造してもよい。この場合、約10数ミクロンの細かい孔が無数あいた竹濾紙となり、悪い食用油を濾過することができる。
【実施例3】
【0017】
また、上記竹繊維に天然アパタイトを混入して手漉き作業を行い、天然アパタイト入りの竹濾紙を製造してもよい。上記天然アパタイトは、例えば、牛骨を数次の高温(200〜400℃前後)で約90分高圧煮沸処理し、その後、1100℃で約90分間焼成して、タンパク質などの有機物は熱分解により消滅せしめ、完全な無機化した素材であり、これを1〜10mm程度に粉砕して天然アパタイト粒状であり、更に、微粉砕機にかけて、1〜40ミクロン前後に微粉砕した天然アパタイト粉末である。なお、上記天然アパタイトは、上記竹炭入りの竹繊維に添加してもよい。
【実施例4】
【0018】
上記竹濾紙は、図2に示すように、厚みが0.2〜20mmであって、フライヤーなどの濾過装置の濾過槽の形状や大きさに合わせたシート状竹濾紙として形成される。薄い場合には、複数枚重ねて使用してもよい。
【実施例5】
【0019】
また、上記竹濾紙は、図3に示すように、直径約5〜50mm程度の球体(球体に近い形状も含む)とし、濾過装置のフィルターカートリッジ内に充填する球体状竹濾紙として形成される。直径の異なる球体状竹濾紙を混在させて充填することにより、大きな径の濾紙の隙間に小さな径の濾紙を入れて、充填密度を高めることができる。
【実施例6】
【0020】
さらに、上記竹濾紙は、図4に示すように、直径約5mm以上、高さ約5mm以上のロール体とし、濾過装置のフィルターカートリッジ内に充填するロール状竹濾紙として形成される。直径や高さの異なるロール状竹濾紙を混在させて充填することにより、大きな径や高さの濾紙の隙間に小さな径や高さの濾紙を入れて、充填密度を高めることができる。また、ロール状竹濾紙の直径をカートリッジの内径に合わせ、また、高さをカートリッジの高さに合わせた、1個のロール状竹濾紙を充填してもよい。
【0021】
上記実施例では、天然アパタイトを濾紙に混入させているが、例えば、複数枚重ねた濾紙の間や、ロール状竹濾紙においては、ロール状に巻き付けた竹濾紙の間に、天然アパタイトの粉末層を挟み込んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹材パルプを主原料とする竹濾紙から成ることを特徴とする濾過材。
【請求項2】
天然アパタイトを含有することを特徴とする請求項1に記載の濾過材。
【請求項3】
上記天然アパタイトが、牛骨などの動物骨を焼成して微粒状あるいは微粉状にしたものであることを特徴とする請求項2に記載の濾過材。
【請求項4】
球体状竹濾紙であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の濾過材。
【請求項5】
ロール状竹濾紙であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の濾過材。
【請求項6】
枝葉や節を取り除いた竹を細かく割ると共に、ハンマー等で叩解して、竹繊維をばらばらに離解し、該離解された竹繊維をドラム缶などの煮沸釜に投入して煮熱して柔らかくし、柔らかくなった竹繊維を、更に叩解して、湿った綿のような紙料液にし、必要に応じて、トロロアオイなどの粘剤を添加し、上記紙料液を手漉き作業により竹紙層を形成し、該竹紙層を紙床の上に積み重ね、この竹紙層を圧搾して脱水し、一枚ずつ剥がしてから、天日あるいは乾燥機で乾燥して、竹濾紙を製造することを特徴とする濾過材の製造方法。
【請求項7】
上記竹繊維に天然アパタイトを混入することを特徴とする請求項6に記載の濾過材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183329(P2011−183329A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52616(P2010−52616)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(510066329)
【Fターム(参考)】