説明

濾過機能付き携帯用飲料容器

【課題】濾過速度が向上され、水またはその他の飲料容器として用いることができる濾過機能付き携帯用飲料容器の提供。
【解決手段】濾過機能付き携帯用飲料容器は、外筒内空間55を囲み、一端に外筒内空間55と連通する第1の外筒開口51を有し、且つ該一端のある側が第1の接続端部56となるように形成された外筒5と、内筒内空間17を囲み、一端部が第2の接続端部18として第1の外筒開口51から外筒内空間内55に往復摺動可能に挿入することができるように構成された内筒1と、第2の接続端部18に取り付けられる液体濾過のための濾過手段4とを備えており、内筒1を、第2の接続端部18の側から、濾過手段4と共に、第1の外筒開口51を経て外筒内空間55へ押し込めると、外筒内空間55に充填された液体が濾過手段4により濾過された後に内筒内空間17に浸入して収容されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関し、特に濾過機能が付き携帯にも適した飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
濾過機能を持った飲料水容器としては、特許文献1に示したような濾過機能つきポットがあるが、濾過方法としては水自身の重力を利用したいわゆる自然濾過であり、濾過速度が遅く、未濾過の水を注入してもすぐには濾過済みの水を得られるものではない。またポットとして発案されているものなので、携帯利便性に劣り、例えば一般のコップのようにそのまま口をつけて飲むような飲料容器として用いられるものではない。
【0003】
濾過機能を持った飲料水容器としてはまた、特許文献2に示したような容器の口にフィルターが取り付けられており、容器を外部から加圧することにより容器の中の液体を加圧し液体を押し出すようにして、濾過速度を速めることができるようにした物があるが、容器に外部から直接圧力を与えるという構造上、加圧には限界があり、濾過速度の向上も顕著なものではなかった。また、濾過した液体を容器の外部に放出するので、飲用には別の容器を準備する必要がある。更に、飲料水ではなく、例えばお茶やジュースなどの飲料の容器として使用したい場合には、そのまま注入すると濾材の濾過機能を損ねてしまうので、容器からフィルターをその都度取り外す必要があり、水以外の飲料を飲むための通常のコップとしての使用に適した構造になっているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾実用新案登録第M338618号公報
【特許文献2】国際公開第2011/100597(WO,A2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題点に鑑み、本発明は、注入した水をすぐに飲用に供せるよう濾過速度が向上され、且つそのまま飲料容器として用いることができ、また水以外の飲料の収容にも適した濾過機能付き携帯用飲料容器の提供を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を用いた。
すなわち、本発明の濾過機能付き携帯用飲料容器は、外筒と、この外筒に挿入できる内筒と、さらに濾過手段を有する。
【0007】
ここで、前記外筒は、所定方向に沿って延伸して外筒内空間を囲むと共に、前記所定方向における一端に前記外筒内空間につながる第1の外筒開口を有し、且つ該一端のある一側が第1の接続端部となるように形成されている。
【0008】
また、前記内筒は、前記所定方向に沿って延伸して内筒内空間を囲むと共に、前記所定方向における一端部が第2の接続端部になっていて、この第2の接続端部を先端にして前記第1の外筒開口を経て前記外筒内空間に往復摺動可能に挿入することができるように形成されている。
【0009】
また、前記濾過手段は液体濾過のためのものであり、前記内筒の前記第2の接続端部に取り付けられている。
【0010】
以上の構成で、前記内筒を、前記第2の接続端部を先端として、前記濾過手段と共に、前記所定方向に沿って前記第1の外筒開口を経て前記外筒内空間へ押し込めると、前記外筒内空間に充填された液体が前記濾過手段により濾過された後に前記内筒内空間に浸入して収容されることができる。
【0011】
また本発明において、前記内筒が前記外筒内空間内へ挿し込まれた際に、前記内筒の外周面と前記外筒の内周面との間にある隙間を封止することができる水密リングを、前記内筒における前記第2の接続端部の外周面に取り付けることが好ましい。
【0012】
また本発明において、前記外筒は、前記第1の外筒開口の反対側に第2の外筒開口を有する円筒体であり、該第2の外筒開口に第2の封止蓋がねじ機構により着脱自在に取り付けられていることが好ましく、同様に、前記内筒は、前記第2の接続端部の方にあって前記濾過手段が取り付けられている一端に開いた第1の内筒開口と、その反対側にある第2の内筒開口とを有する円筒体であり、前記第2の内筒開口に第1の封止蓋がねじ機構により着脱自在に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また本発明において、前記濾過手段は、前記第2の接続端部に対して回転摺動ができるように取り付けられていると共に、前記第2の接続端部に対応して、つまり前記濾過手段と前記第2の接続端部の位置関係によって、前記外筒内空間に充填された液体が該濾過手段を通って前記内筒内空間に浸入することができる連通状態と、できない阻止状態との間に切り替えることができるように構成されていることが好ましい。
【0014】
さらに本発明において、前記第2の接続端部の内周面に、前記内筒内空間を上下両空間に仕切る仕切り板が固定されており、この仕切り板は少なくとも1つの第1の連通孔が開けられた平板状であって、前記濾過手段は、濾過空間となる中空を有するように形成されているハウジングと、該濾過空間に詰まっている濾過材とを有しており、前記ハウジングは、前記下空間、つまり前記仕切り板より下の空間で前記仕切り板と当接しており、且つ、この当接している面に、前記濾過手段の回転により移動されて前記第1の連通孔と対面して前記上空間と前記中空とを連通させる第2の連通孔が開けられており、また、その反対側である前記外筒側に臨む面には、液体を前記外筒から前記中空に導入するための第3の連通孔が開けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成により、本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器は、濾過手段に液体が浸入できる連通状態に切り替えれば、内筒を外筒内に押し込むことにより、外筒内空間に充填された液体を押圧しこれを押し出すように濾過手段を通過させることができるので、濾過速度を顕著に速めることができる。
【0016】
また、本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器は、濾過手段に液体が浸入しない阻止状態に切り替えれば、内筒内空間に飲料を注ぎいれても濾過材に影響しないので、濾過手段をいちいち取り外さなくても、水または水以外の飲料を入れる飲料容器として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器の外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例における濾過手段の透視図である。
【図4】本発明の第1の実施例における濾過手段の別の形態を示す透視図である。
【図5】本発明の第1の実施例における使用状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施例における使用状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施例における使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施例における使用状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施例を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。なお文中に用いた方向を示す語は、図面と合わせて説明を明瞭にするため便宜的に用いたものであり、発明を限定する意図を持つものではない。
【0019】
(実施例1)
図1と図2は本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器の第1の実施例を示している。
本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器は、内筒1、水密リング2、第1の封止蓋3、濾過手段4、外筒5及び第2の封止蓋6を備えている。
【0020】
内筒1は所定方向に延伸する円筒体として形成されており、一端、図示においては下端に内筒1より窄まって延伸するように形成された第2の接続端部18が設けられている。内筒1の下端、即ち第2の接続端部18の下端には第1の内筒開口11が開口しており、その反対の端、つまり内筒1の上端には第2の内筒開口12が開口している。また、内筒1の第2の内筒開口12近くの外周面には第1のねじ機構15が設けてあり、さらに第1のねじ機構15の下には複数の第1のスナップ16(本実施例では4つ)がそれぞれ均等な間隔を置いて内筒1の外周面に突設されている。
【0021】
水密リング2は、第2の接続端部18の外周面に周設されており、外径が外筒5の内径とほぼ一致するように形成されているので、内筒1を外筒5に挿入した時に、外筒5の内周面を摺動でき且つ内筒1の外周面と外筒5の内周面との間にできる隙間を水密的に封止することができる。
【0022】
第1の封止蓋3は、内筒1に取り付けた際に第2の内筒開口12を封止してさらに水密性を持たせられるように、内筒1の第1のねじ機構15と接合することができる第2のねじ機構31を備えている。
【0023】
濾過手段4は、内筒1の第2の接続端部18に着脱可能に取り付けられるハウジング41から構成されている。
【0024】
第2の接続端部18は更に、仕切り板13と、本実施例においては複数の切欠14(本実施例では2つ)とを有している。
【0025】
仕切り板13は平板状であり、所定方向と直交し内筒1の筒内空間を上下に仕切るように第2の接続端部18の内周面に固定されており、これにより仕切られた上の空間、つまり内筒1の筒内における第2の内筒開口12から仕切り板13までの空間に、液体を収容することができる内筒内空間17が画成されている。また、これら上下の空間を連通させるように仕切り板13には第1の連通孔131が設けられている。なお第1の連通孔131を本実施例では図示のように4つ設けたが、4つに限らず、少なくとも1つ設ければよい。
【0026】
切欠14は第2の接続端部18の図示における下端、つまり第2の接続端部18の外筒5に面する端に切り込まれた切欠であり、形状としては第2の接続端部18の下端から上方に向かって所定方向と平行に切り込んでから左右それぞれに略直角に折れ曲がるように、つまり所定方向と垂直の方向に分岐してそれぞれ延伸し、正面視でT字型を呈しており、互いに向かい合うように設けられている。
【0027】
濾過手段4は、濾過空間となる中空を内部に有するハウジング41を有し、ハウジング41の上面には数量と形状と位置が第1の連通孔131と対応する第2の連通孔411が、下面には第3の連通孔412(本実施例においては1つ)がそれぞれ貫設されている。なお、各連通孔の数量は上記に示した数量でなくてもかまわない。
【0028】
また、各第2の連通孔411には第2の網状部材42が、第3の連通孔412には第3の網状部材44が、それぞれの孔に対応してこれを覆うように張設されている。
【0029】
ハウジング41はまた内部にハウジング内仕切り板43と濾過材(図示せず)を有している。また、本実施例においてはハウジング41の底部に近い外周面に数量と位置が切欠14に対応する突起413が更に設けられている。
【0030】
これら切欠14と突起413は、互いに係止することにより濾過手段4を第2の接続端部18に回転摺動可能に取り付けるためのものである。具体的に説明すると、濾過手段4側にある突起413を第2の接続端部18側にある切欠14に所定方向に沿って嵌め入れ、さらに回転させて切欠14の一部である所定方向と垂直の方向への切欠に嵌め入れると、ハウジング41と仕切り板13とが密接しながらも回転摺動できるように、濾過手段4が第2の接続端部18に取り付けられる。
【0031】
また、この状態において、突起413を回して濾過手段4を共に回転させて位置を調整することにより、仕切り板13の第1の連通孔131とハウジング41の第2の連通孔411とが互いに対面する位置に合わせると、仕切り板13により隔てられた上下の空間を液体が流通することができる連通状態となり、対面しない位置に合わせると、液体が流通することができない阻止状態となる。
【0032】
上記の構成により、濾過手段4は、切欠14に嵌められた突起413を回すことで、上記連通状態と上記阻止状態との間を容易に切り替えることができる。
【0033】
外筒5は、所定方向に延伸する円筒体であり、内筒1に挿入されて内筒1と互いに往復摺動可能になるように、内径が内筒1よりも大きく形成されている。
【0034】
外筒5はまた図示における上方、つまり内筒1に挿入される側に第1の外筒開口51を、またその反対側、図示における下方に第2の外筒開口52をそれぞれ有している。さらに第1の外筒開口51側には内筒1と接続する端部となる第1の接続端部56が、また第2の外筒開口52付近には第3のねじ機構54がそれぞれ設けられている。
【0035】
第1の接続端部56の内周面には形状と位置と数量とが第1のスナップ16と対応する第2のスナップ53が内周面の一部を窪めるように凹設されており、これら第1と第2のスナップ16、53は、内筒1のほぼ全体が外筒5に挿入された時に嵌合して係止することにより、内筒1と外筒5を係止できるようになっている。
【0036】
また、外筒5筒内においては、内筒1における第2の接続端部18の外周面に周設されている水密リング2が、内筒1の外周面と外筒5の内周面との間にできる隙間を封止していることにより、第2の外筒開口52から水密リング2の間に、外筒5と内筒1の摺動具合によって容量が変わる外筒内空間55が画成されている。
【0037】
第2の封止蓋6は外筒5に取り付けられた際に第2の外筒開口52を封止してさらに水密性を持たせられるように外筒5の第3のねじ機構54と接合できる第4のねじ機構61を有している。
【0038】
第2の封止蓋6はさらに底面にダイヤルユニット62が設けられており、ダイヤルユニット62はリング状の数字盤621、数字盤621の中心に設けられた回転盤622、回転盤622の中心に設けられた溝623からなっている。回転盤622を例えば指で押し回すことにより溝623の一端を数字盤621に標記されている任意の数字の位置に合わせることができ、これにより例えば濾過手段4の使用開始時期或いは有効期限などを記録することができる。また、どの数字を指し示しているのかわかりやすくするために溝623の一端に色を付けてもよい。
【0039】
続いて、図3と図4を参照に濾過手段4の内部構造を更に詳しく説明する。
ハウジング内仕切り板43は、第2の連通孔411及び第3の連通孔412の態様に応じて、且つ濾過材の種類や特性に応じて設けられるもので、例えば図3のように、ハウジング内仕切り板43の外周をハウジング41の内周に当接させるように形成されてもよく、また隙間を空けるように形成されてもよい。なお図面では説明の便宜上濾過材を図示していないが、本実施例においてはハウジング内仕切り板43の上下にそれぞれ濾過材が詰められており、例えば図4のように、非透水性樹脂膜をハウジング内仕切り板43として用いても構わない。更に濾過材も一種類だけではなく複数種用いてもよく、例えばその内の一種にメッシュフィルターを用いて、メッシュフィルターの一面を第3の連通孔44に貼り付け、他の面をハウジング内仕切り板43に貼り付け、さらに空いているハウジング41内の空間に別の種類の濾過材を詰めてもよい。また、濾過材としては顆粒状のものを用いても構わない。
【0040】
以下に本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器の使用方法を、図5から図8を参照に説明する。
【0041】
濾過機能を使用せず飲料容器として本発明の容器を使用する場合には、図5に示すように、内筒1のほぼ全体が外筒5に挿入された状態において、まず第2の封止蓋6を取り外し濾過手段4を露出させ、切欠14に嵌めた突起413を回すことにより濾過手段4を上記阻止状態となる位置に合わせた後、一度取り外した第2の封止蓋6を外筒5に再び取り付ける。それから第1の封止蓋3を取り外して、内筒1の内筒内空間17に飲料を注ぎ入れれば、本発明の容器をそのまま飲料容器として飲用に供することができる。
【0042】
濾過機能を使用する飲料容器として本発明の容器を使用する場合には、内筒1のほぼ全体が外筒5に挿入された状態において、まず第2の封止蓋6を取り外し濾過手段4を露出させ、切欠14に嵌めた突起413を回すことにより濾過手段4を上記連通状態となる位置に合わせた後、図6に示すように内筒1と外筒5をそれぞれ相対方向に引っ張ると、外筒5の筒内に外筒内空間55が画成される。この外筒内空間55に例えば水道水などの液体を注入し、再び第2の封止蓋6を装着してから、内筒1側が上方になるように容器を反転させる。なお、この時、第1の封止蓋3を少し回し緩めておくのが好ましく、これは後に続く過程である濾過を行う際に内筒内空間17内の空気を外部に逃がすことができるようにするためである。続いて、図7に示すように、内筒1を外筒5の方向、図示では下方に押し込む。すると、水密リング2と第2の封止蓋6により密封状態となっている外筒内空間55内の液体は内筒1に押され、この押圧によって押し出されるように外筒内空間55内の液体がハウジング41の第3の連通孔412からハウジング41内に入り、濾過材を通過した後さらに第2の連通孔411と、これに連通している仕切り板13の第1の連通孔131をそれぞれ通り抜けて、内筒内空間17に至る。押し込まれた内筒1のほぼ全体が外筒5内に挿入されると、図8に示す状態となり、この時、外筒内空間55内にあった液体はすべてハウジング41内を経由して濾過済み液体となって内筒内空間17に収容されたこととなり、つまり濾過が完了したことになる。また、第1の封止蓋3を取り外せば、内筒内空間17に収容されている濾過済み液体をそのまま飲用できる。
【0043】
以上のように、本発明の濾過機能付き携帯用飲料容器は、上記の阻止状態と連通状態とを濾過手段4を回転させて位置を調整することにより簡単に切り替えることができる。
【0044】
そして、本発明の濾過機能付き携帯用飲料容器は、濾過手段4を液体が流通しない阻止状態にすれば、内筒内空間17に飲料を注ぎ入れても、注がれた飲料がハウジング41内には浸入しないようにすることができるので、水以外の飲料、例えばコーヒーやジュース等を注いでもハウジング41内の濾過材に影響を与えず、ハウジング41を取り外さなくても、水または水以外の飲料を入れる飲料容器としてそのまま用いることができる。
【0045】
また、本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器は、濾過手段4を液体が流通できる連通状態にすれば、内筒1を外筒5内に押し込むことにより、外筒内空間55に充填された液体を押圧してこれを押し出すように濾過手段4を通過させることができるので、濾過速度を顕著に速めることができる。
【0046】
(実施例2)
図9及び図10は本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器の第2の実施例を示しており、第1の実施例との主な違いは、内筒1の第2の接続端部18と、濾過手段4の形状及び構成を変えた点である。
【0047】
第2の接続端部18は、第1の実施例と同じく仕切り板13(図示せず)を有しており、加えて第5のねじ機構19が第1の内筒開口11に近い外周面に設けられており、さらにこの第5のねじ機構19と螺接できる固定リング7を有している。なお本実施例においては、第2の接続端部18は切欠14を有していない。
【0048】
固定リング7は、外輪71と、外輪71の下端から繋がり輪の軸心方向に延伸するように形成された環状板72とからリング状に形成されており、環状板72の内径は外輪71の内径より小さい。固定リング7はまた中心に、環状板72の中心孔である円状孔73を有しており、この円状孔73は第1の内筒開口11と連通している。
【0049】
外輪71は、内筒1の第5のねじ機構19と螺接できる第6のねじ機構711を有している。
【0050】
環状板72の下面には、仕切り板13とこれに密接しながらも回転摺動できるハウジング41の位置関係により、第1の連通孔131と第2の連通孔411との位置が対応し仕切り板13の上下空間が連通する連通状態となる位置に連通位置マーク721が、そして逆に、第1の連通孔131と第2の連通孔411との位置が対応せず仕切り板13の上下空間が連通しない阻止状態となる位置に阻止位置マーク722がそれぞれ標記されている。なお、図示においては各マークに三角形を用いているが、マークの形状はこれに限らず、視認しやすいものであればよい。
【0051】
ハウジング41は、本実施例においては図示における上方、つまり第2の接続端部18に取り付けられた際に仕切り板13に面する側から順に、第1筐体部414と、直径が第1筐体部414より窄まって第1筐体部414から延伸する第2筐体部415とから構成されている。第1筐体部414の上面には第2の連通孔411が、第2筐体部415の下面には第3の連通孔412がそれぞれ貫設されている。さらに第2筐体部415の外周面には指示マーク416が標記されている。第2の連通孔411と第3の連通孔412の間には第1の実施例と同じようにハウジング内仕切り板43が設けられている。
【0052】
また、固定リング7の大きさとしては、外輪71の直径が第1筐体部414の直径より大きく且つ水密リング2の直径より小さく形成されており、円状孔73の直径が第2筐体部415の直径より大きく且つ第1筐体部414の直径より小さく形成されている。
【0053】
上記の構成によれば、ハウジング41の第2筐体部415が固定リング7の円状孔73に通されると共に、第1筐体部414が固定リング7の環状板72に係止されることにより、ハウジング41が仕切り板13(図示せず)と環状板72の間に回転摺動可能に固定される。濾過手段4は本実施例においてはこれにより第2の接続端部18に取り付けられる。また、ハウジング41を回転させる際には円状孔73から突き出て露出している第2筐体部415をつまみとして用いることができる。
【0054】
なお、連通位置マーク721、阻止位置マーク722、指示マーク416はそれぞれ視認しやすいように異なる色で色分けしてもよく、例えば連通位置マーク721を緑で、阻止位置マーク722を赤で示すと識別しやすい。
【0055】
また、上記配置とは逆に、第2筐体部415の外周面に連通位置マーク721及び阻止位置マーク722を、環状板72に指示マーク416をそれぞれ標記してもよい。さらに、第1の連通孔131と第2の連通孔411をそれぞれ1つずつだけ設けた場合は、連通位置マーク721と指示マーク416だけを標記し、両マークが重なる位置にハウジング41が回転された時に、第1の連通孔131と第2の連通孔411とが連通状態になるよう配置してもよい。
【0056】
上述したように第2の実施例が第1の実施例と異なる主な点は第2の接続端部18に、濾過手段4を取り付けるための手段にあり、その他の構造及び使用方法に関しては第1の実施例と同様である。
【0057】
加えて他の変化例として、本発明に係る濾過機能付き携帯用飲料容器は、例えば内筒1を第2の内筒開口12側が窄まるように形成し、第1の封止蓋3もこれに対応するように小さいものにすれば、一般のペットボトルのような形状にすることもできる。また内筒1の外周を二層構造にして、二層間を真空にすれば更に保温機能を持たせることもでき、さらに全体の寸法を大きくすれば飲料を溜め置く容器、いわゆるピッチャーとして使用することもできる。
【0058】
以上、本発明を、最も好ましい実施例に即して説明してきたが、本発明は上記実施例には限定されず、最も広い解釈の範囲に含まれる種々の変更、並びに均等な変更を網羅することを意図していると理解されなければならない。
【符号の説明】
【0059】
1 内筒
11 第1の内筒開口
12 第2の内筒開口
13 仕切り板
131 第1の連通孔
14 切欠
15 第1のねじ機構
16 第1のスナップ
17 内筒内空間
18 第2の接続端部
19 第5のねじ機構
2 水密リング
3 第1の封止蓋
31 第2のねじ機構
4 濾過手段
41 ハウジング
411 第2の連通孔
412 第3の連通孔
413 突起
414 第1筐体部
415 第2筐体部
416 指示マーク
42 第2の網状部材
43 ハウジング内仕切り板
44 第3の網状部材
5 外筒
51 第1の外筒開口
52 第2の外筒開口
53 第2のスナップ
54 第3のねじ機構
55 外筒内空間
56 第1の接続端部
6 第2の封止蓋
61 第4のねじ機構
62 ダイヤルユニット
621 数字盤
622 回転盤
623 溝
7 固定リング
71 外輪
711 第6のねじ機構
72 環状板
721 連通位置マーク
722 阻止位置マーク
73 円状孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って延伸して外筒内空間を囲むと共に、前記所定方向における一端に前記外筒内空間と連通する第1の外筒開口を有し、且つ該一端のある一側が第1の接続端部となるように形成された外筒と、
前記所定方向に沿って延伸して内筒内空間を囲むと共に、前記所定方向における一端部が第2の接続端部になっており、該第2の接続端部を先端に前記第1の外筒開口から前記外筒内空間に往復摺動可能に挿入されることができるように形成された内筒と、
前記内筒の前記第2の接続端部に取り付けられている液体濾過のための濾過手段とを備えており、
且つ、前記内筒を、前記第2の接続端部の側から、前記濾過手段と共に、前記所定方向に沿って前記第1の外筒開口を経て前記外筒内空間へ押し込むと、前記外筒内空間に充填された液体が前記濾過手段により濾過された後に前記内筒内空間に浸入して収容されることができる、ことを特徴とする濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項2】
前記内筒における前記第2の接続端部の外周面に、前記内筒が前記外筒内空間へ挿し込まれる時、前記内筒の外周面と前記外筒の内周面との間にある隙間を封止することができる水密リングが取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項3】
前記外筒は、前記第1の外筒開口の反対側に第2の外筒開口を有する円筒体であり、該第2の外筒開口に第2の封止蓋が螺接されており、
前記内筒は、前記第2の接続端部の方にあって前記濾過手段が取り付けられている一端に開いた第1の内筒開口と、該第1の内筒開口の反対側にある第2の内筒開口とを有する円筒体であり、前記第2の内筒開口に第1の封止蓋が螺接されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項4】
前記濾過手段は、前記内筒における前記第2の接続端部に回動可能に取り付けられていると共に、前記第2の接続端部に対応して、前記外筒内空間に充填された液体が該濾過手段を経由して前記内筒内空間に浸入することができる連通状態と、できない阻止状態との間に切り替えることができるように構成されている、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項5】
前記第2の接続端部の内周面に、少なくとも1つの第1の連通孔が開けられた平板状であって、前記内筒内空間を上下両空間に仕切る仕切り板が固定されており、
前記濾過手段は、濾過空間となる中空を有するように形成されているハウジングと、該濾過空間に詰まっている濾過材とを有しており、
前記ハウジングは、前記下空間において前記仕切り板と当接しており、且つ、該当接している面に、前記濾過手段の回転により移動されて前記第1の連通孔と対面して前記上空間と前記中空とを連通させる第2の連通孔が開けられており、また、前記外筒側に臨む面に、液体を前記外筒から前記中空に導入するための第3の連通孔が開けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項6】
前記第2の接続端部に固定リングが螺接されており、
前記濾過手段は、前記仕切り板と前記固定リングの間に挟まれることによって回転摺動可能に前記第2の接続端部内に嵌めこまれる、ことを特徴とする請求項5に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項7】
前記第2の接続端部は、該第2の接続端部の下端から上方に向かって前記所定方向と平行に切り込んでから前記所定方向と垂直の方向に分岐してそれぞれ延伸する切欠を更に有しており、
前記濾過手段は、数量が前記切欠に対応する突起を有しており、
前記突起が前記切欠に嵌められ係止されることにより、前記第2の接続端部と前記濾過手段とが回転摺動可能に固定される、ことを特徴とした請求項5に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項8】
前記濾過手段に、前記濾過手段が前記連通状態にあるか否かを表示するマークが標記されている、ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。
【請求項9】
前記第2の封止蓋は更に、回転盤と数字盤を有するダイヤルユニットを備えており、該ダイヤルユニットは前記回転盤と前記数字盤の位置を調整することにより前記数字盤に標記されている数字の内の任意の数字を指し示すことができる、ことを特徴とした請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の濾過機能付き携帯用飲料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−217990(P2012−217990A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281656(P2011−281656)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(509320014)
【Fターム(参考)】