説明

濾過膜部の目詰まり防止方法

【課題】 薬剤を使用することなく、濾過膜部に、被処理水中の懸濁物質が付着することを防止し、また、濾過膜部に付着した懸濁物質を取り除くことにより、濾過膜部の目詰まりを防止する方法を提供する。
【解決手段】 被処理水を濾過する過程で濾過膜部3に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部3の目詰まりを防止する方法であって、濾過膜部3の上流側の給水ライン2aと濾過膜部3に接続された懸濁物質濃縮排水ライン6を循環ライン9で結んで循環回路10を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部3の上流側の給水ライン2a、濾過膜部3の下流側の処理水ライン2b及び懸濁物質濃縮排水ライン6を閉じ、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、濾過膜部3の上流側の給水ライン2a及び懸濁物質濃縮排水ライン6を開き、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を循環水の流速により膜面から剥離し、剥離した懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ライン6から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプにより供給される原水(被処理水)を濾過する濾過膜部に、被処理水中の懸濁物質が付着することによる濾過膜部の目詰まり防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から原水に含まれている溶存物質やゴミや汚れ物質等の懸濁物質を除去する手段として、濾過膜部を通して濾過する処理が知られている。濾過膜部に用いられている濾過膜として、限界濾過膜(UF膜)、精密濾過膜(MF膜)、ナノ濾過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)が一般に知られている。これらの濾過膜は濾過機能が異なり、このなかでは限界濾過膜の濾過機能が最も低く、逆浸透膜の濾過機能が最も高い。これらの濾過膜は、処理水の用途、例えば、蒸気ボイラ、温水ボイラ、クーリングタワー、給湯器等の熱機器、半導体製造、電子部品の洗浄、医療器具の洗浄等、処理水に求められる濾過度合いに応じて選択され用いられている。
【0003】
前記濾過膜部による原水の濾過の過程で、濾過膜部に懸濁物質濃縮排水が発生し、この懸濁物質濃縮排水は懸濁物質濃縮排水ラインから排出されるが、時間の経過とともに、濾過膜部付近で原水中に含まれている前記懸濁物質の濃度が高くなり、濾過膜部の膜面にファウリングやスケーリングといった現象による汚れが発生する。
【0004】
ファウリングとは、原水中の懸濁物質成分、コロイド成分、有機成分等が膜面に沈着、吸着する現象をいい、スケーリングとは、原水中に溶解している溶存物質が溶解度以上に濃縮されることで膜面に析出、付着する現象をいう。
【0005】
このように、濾過膜部の膜面にファウリングやスケーリングといった現象による汚れが発生すると、濾過膜部に目詰まりが発生し、膜差圧の上昇、透過水量(流束)の低下による処理水の回収率の低下、透過水質の低下といった事態が生じる。
【0006】
そこで、前記原水中の懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを防止する手段として、定期的に薬剤を投入し濾過膜部を洗浄することにより、濾過膜部の目詰まりを防止することが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−220480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の濾過膜部の目詰まり防止方法によれば、濾過膜部の目詰まりを防止することはできるものの、薬剤を投入し濾過膜部を洗浄する手段では、この薬剤の一部が処理水に取り込まれる可能性があり、処理水の利用の障害となる場合がある。また、処理水の利用後の排出に際し、前記薬剤を除去するための特別な処理を施さない限り、そのまま下水等に排出すると、環境汚染を引き起こすおそれがある、といった問題があった。
【0008】
本発明者等は、かかる問題を解決する手段として、薬剤を使用することなく、濾過膜部に原水中の懸濁物質が付着することを防止するとともに、濾過膜部に付着した懸濁物質を取り除くことについて研究を重ね、原水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔を空けて断続的にブローすることにより解決できることを見出し、先に出願した(特願2004−97812号)。
【0009】
本発明の目的は、薬剤を使用することなく、濾過膜部に原水、即ち被処理水中の懸濁物質が付着することをより効果的に防止し、また、濾過膜部に付着した懸濁物質をより効果的に取り除くことにより、濾過膜部の目詰まりを防止する濾過膜部の目詰まり防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は、被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローすることを特徴とする。
【0011】
このように、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させると、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質が循環水の流速により膜面から剥離される。この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローすると、前記剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。
【0012】
また、前記のように、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約が図れ、経済的である。
【0013】
請求項2記載の発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は、請求項1に記載の、前記懸濁物質濃縮排水のブロー時に、懸濁物質濃縮排水の濁度を看視し、濁度が一定となった時点でブローを停止することを特徴とする。
【0014】
このようにすると、ブロー用としての被処理水の無駄な排出を防止でき、被処理水の排出量の小量化が図れる。
【0015】
請求項3記載の発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は、請求項1に記載の、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔、及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することを特徴とする。
【0016】
このように、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができ、該濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0017】
請求項4記載の発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は、請求項1に記載の、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度に応じて、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することを特徴とする。
【0018】
このように、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができ、該濁度に応じて、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるとともに、ブロー用としての被処理水の無駄な排出を防止でき、被処理水の排出量の小量化が図れる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を循環する懸濁物質濃縮排水の流圧により膜面から剥離することができる。この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、前記剥離された懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。これにより、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0020】
また、前記のように、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法を実施するための最良の形態を説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本例の濾過膜部の目詰まり防止方法は、被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローするようにした。
【0023】
前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させる流速及び時間は、前記濾過膜部の膜面に付着した懸濁物質を循環する懸濁物質濃縮排水により剥離するのに必要な動圧が得られる流速及び剥離に要する時間を基準に設定される。
【0024】
また、懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間は、前記濾過膜部の膜面から剥離された懸濁物質により高くなった懸濁物質濃縮排水の濁度が、ブローによって低くなるのに要する時間を基準に設定される。ここで、濾過膜部の膜面から剥離された懸濁物質により高くなった懸濁物質濃縮排水の濁度がブローにより低くなるとは、ブローにより懸濁物質濃縮排水ラインから排出される懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となった状態をいう。
【0025】
また、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔は、懸濁物質濃縮排水中の懸濁物質が濾過膜部の膜面に付着し目詰まりするおそれになる時間を基準に設定される。
【0026】
このように、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を設定された流速をもって設定された時間強制循環させると、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質が循環水の流速により膜面から剥離される。この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水を設定された時間ブローすると、前記剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。
【0027】
そして、前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転を設定された間隔で行うことにより、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。また、前記のように、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0028】
(実施の形態2)
本例の濾過膜部の目詰まり防止方法は、被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローする。そして、前記懸濁物質濃縮排水のブローは、ブロー時に懸濁物質濃縮排水の濁度を看視し、濁度が一定となった時点でブローを停止するようにした。
【0029】
本例にあって、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させる流速及び時間は、前記実施の形態1と同様にして設定される。また、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔は、前記実施の形態1と同様にして設定される。
【0030】
このように、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を設定された流速をもって設定された時間強制循環させると、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質が循環水の流速により膜面から剥離される。
【0031】
この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローすると、前記剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。そして、前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転を設定された間隔で行うことにより、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0032】
また、前記のように、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0033】
更に本例では、前記懸濁物質濃縮排水のブロー時に、懸濁物質濃縮排水の濁度を看視し、濁度が一定となった時点でブローを停止するようにしたので、ブロー用としての被処理水の無駄な排出を防止でき、被処理水の排出量の一層の小量化が図れる。
【0034】
(実施の形態3)
本例の濾過膜部の目詰まり防止方法は、被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローする。そして、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更するようにした。
【0035】
本例にあって、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させる流速及び時間は、前記実施の形態1と同様にして設定される。また、懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間は、前記実施の形態1と同様にして基本時間として設定される。また、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔は、前記実施の形態1と同様にして基本間隔として設定される。
【0036】
また、本例では、懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合における、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間が、修正間隔、修正時間として別途設定される。前記修正間隔、修正時間は、前記濁度が所定値を超えたを懸濁物質濃縮排水の濁度が、ブローにより一定となる状態が得られる間隔や時間を基準に設定されており、循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔を基本間隔より短い間隔として、また、開閉弁とブロー弁を開いている時間を基本時間より長い時間として設定されている。
【0037】
そして、前記のように、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知して、当該懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔を前記修正間隔に、そして懸濁物質濃縮排水をブローをしている基本時間を前記修正時間に変更するようになっている。
【0038】
また、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔を前記修正間隔に、そして懸濁物質濃縮排水をブローをしている基本時間を前記修正時間に変更させる指標となる懸濁物質濃縮排水の濁度の所定値は、次のようにして設定さる。
【0039】
懸濁物質濃縮排水の濁度の所定値は、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後の懸濁物質濃縮排水の濁度がその値を超えたとき、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローをしている基本時間では、ブローにより懸濁物質濃縮排水ラインから排出される懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となる前にブローが終了してしまう値として設定されている。
【0040】
このように、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を設定された流速をもって設定された時間強制循環させると、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質が循環水の流速により膜面から剥離される。この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、設定された基本時間懸濁物質濃縮排水をブローすると、前記剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。
【0041】
そして、前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転を設定された基本間隔で行うことにより、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0042】
更に、本例では、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができる。そして、前記濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔を修正間隔に及び懸濁物質濃縮排水をブローする基本時間を修正時間に変更することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0043】
また、前記のように、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0044】
なお、本例では、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする基本時間を変更するようにしているが、懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔又は懸濁物質濃縮排水をブローする基本時間のいずれか一方だけを変更するだけであってもよい。
【0045】
(実施の形態4)
本例の濾過膜部の目詰まり防止方法は、被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローする。そして、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度に応じて、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更するようにした。
【0046】
本例にあって、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させる流速及び時間は、前記実施の形態1と同様にして設定される。
【0047】
また、懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間は、前記実施の形態1と同様にして基本時間として設定され、更に、懸濁物質濃縮排水の濁度がブローによって低くなり一定となるのに要する時間が、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて対応時間として設定される。
【0048】
また、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔は、前記実施の形態1と同様にして基本間隔として設定され、更に、懸濁物質濃縮排水中の懸濁物質が濾過膜部の膜面に付着し目詰まりするおそれになる時間を基準として、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて対応間隔として設定される。
【0049】
そして、前記のように、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知して、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて設定された懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の対応間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする対応時間に変更するようになっている。
【0050】
このように、濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、懸濁物質濃縮排水のブローの前に、濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を設定された流速をもって設定された時間強制循環させると、濾過膜部の膜面に付着している懸濁物質が循環水の流速により膜面から剥離される。この後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、設定された基本時間懸濁物質濃縮排水をブローすると、前記剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ラインから排出することができる。
【0051】
そして、前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転を設定された間隔で行うことにより、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0052】
更に、本例では、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができる。そして、前記濁度に応じて、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔を対応間隔に、そして懸濁物質濃縮排水をブローする時間を対応時間に変更することにより、濾過膜部の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるとともに、ブロー用としての被処理水の無駄な排出が防止でき、被処理水の排出量の小量化が図れる。
【0053】
なお、本例では、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて、懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔を対応間隔として、そして懸濁物質濃縮排水をブローする時間を対応時間として設定し、懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を、ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じた、懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の対応間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする対応時間に変更するようになっているが、懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間のいずれか一方だけを設定し、該一方だけを変更するだけであってもよい。
【実施例】
【0054】
次に本発明の具体的な一実施例を図面により詳細に説明する。
【0055】
(第1例)
本例は、実施の形態1の一実施例であり、図1は本例の濾過膜部の目詰まり防止方法を実施する水処理システムの概略説明図である。図1に示す水処理システムは、原水タンク1から被処理水を給水する給水ライン2に、被処理水に存在する懸濁物質を濾過する濾過膜部3と、この濾過膜部3を透過することにより得られた処理水を貯留する貯留タンク4とが配置されている。更に、前記濾過膜部3の上流側には、被処理水を前記濾過膜部3に加圧して供給するポンプ5が配置されている。このポンプ5は後述する循環回路内で前記濾過膜部3に発生した懸濁物質濃縮排水を強制循環させる役割も併せ持っている。
【0056】
また、前記濾過膜部3には、前記濾過膜部3による被処理水の濾過の過程で、濾過膜部3に発生した懸濁物質濃縮排水を排水する懸濁物質濃縮排水ライン6が接続されており、この懸濁物質濃縮排水ライン6には、ブローライン7と排水ライン8が分岐して接続されている。更に、前記ポンプ5の上流側の給水ライン2aと濾過膜部3に接続された懸濁物質濃縮排水ライン6のブローライン7は循環ライン9で連結されて循環回路10が構成されている。前記循環ライン9の一端が連結された給水ライン2aの上流側には開閉弁11が配置され、また、前記濾過膜部3で処理された処理水を流す処理水ライン2bに同じく開閉弁12が配置され、また、前記循環ライン9の他端が連結されたブローライン7の下流側にはブロー弁13が配置されている。また、前記排水ライン8には排水弁14が配置されている。
【0057】
また、前記水処理システムは、前記循環ライン9が連結された給水ライン2aの上流側に配置された開閉弁11、濾過膜部3で処理された処理水を流す処理水ライン2bに配置された開閉弁12、循環ライン9が接続されたブローライン7の下流側に配置されたブロー弁13、排水ライン8に配置された排水弁14に開閉指令信号を出力し、また前記ポンプ5の回転数を出力周波数に応じて可変させるインバーター15を介して前記ポンプ5を駆動する駆動指令信号を出力する制御部16を備えている。
【0058】
この制御部16は、所定の間隔毎に、給水ライン2aに配置された開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を所定時間閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を所定の回転数で所定時間駆動する駆動指令信号を出力し、前記所定時間経過後、前記開閉弁11とブロー弁13を所定時間開く開指令信号を出力し、ブロー弁13を開いている前記所定の時間経過後、開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を濾過処理運転における通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力するプログラムを備えている。
【0059】
また、制御部16は、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間、前記動作のなかで、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている時間、ポンプ5を所定の回転数で駆動している時間、前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間、ポンプ5の回転数等を記憶させた記憶部を備えている。
【0060】
前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間にあっては、濾過処理運転中、濾過膜部3に発生する懸濁物質濃縮排水中の懸濁物質が濾過膜部3の膜面に付着し目詰まりするおそれが生じる時間を基準に設定される。
【0061】
また、前記動作の中で、前記開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている時間にあっては、濾過膜部3の膜面に付着した懸濁物質を後述するところの循環する懸濁物質濃縮排水により剥離するのに要する時間を基準に設定される。
【0062】
また、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させるときのポンプ5の回転数は、濾過膜部3の膜面に付着した懸濁物質を後述するところの循環水により剥離するのに必要な動圧が得られる流速となる回転数を基準に設定される。
【0063】
また、前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間(懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間)にあっては、濾過膜部3の膜面から剥離された懸濁物質により高くなった懸濁物質濃縮排水の濁度が、ブローによって低くなるのに要する時間を基準に設定される。ここで、濾過膜部の膜面から剥離された懸濁物質により高くなった懸濁物質濃縮排水の濁度がブローにより低くなるとは、ブローにより懸濁物質濃縮排水ライン6から排出される懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となった状態をいう。
【0064】
上記のように構成した水処理システムにより、本発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は次のように実施される。
【0065】
前記水処理システムの運転は、原水タンク1から被処理水をポンプ5の駆動により給水ライン2をとおして濾過膜部3に供給し、濾過膜部3で濾過した処理水を貯留タンク4に貯留するようにして行われる。
【0066】
そして、濾過処理運転の時間が設定された時間経過すると、制御部16が給水ライン2aに配置された開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を設定された時間閉じる閉指令信号と、ポンプ5を所定の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14が設定された時間閉じて循環回路10が構成され、ポンプ5が所定の回転数で駆動する。これにより、濾過膜部3で発生した懸濁物質濃縮排水は循環回路10内で循環する。このように循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質は循環水の流速により膜面から剥離される。
【0067】
前記設定された時間が経過すると、制御部16が前記開閉弁11とブロー弁13を設定された時間開く開指令信号を出力し、かかる信号を受けて開閉弁11とブロー弁13が開く。これにより、前記循環回路10内で循環していた懸濁物質濃縮排水が原水タンク1から供給される被処理水で押し出されるようにしてブローライン7からブローされる。このようにして懸濁物質濃縮排水がブローされることにより、前記濾過膜部3の膜面から剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともにブローライン7から排出される。
【0068】
前記開閉弁11とブロー弁13を開いている設定された時間が経過すると、制御部16が開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁12及び排水弁14が開き、ブロー弁13が閉じるとともに、前記ポンプ5が通常の回転数で駆動し、これにより、濾過処理運転に復帰する。そして、また、設定された間隔(時間)毎に、前記動作を繰り返して行う。
【0069】
前記のように、循環回路10を構成し、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を循環水の流速により膜面から容易に且つより確実に剥離することができる。この後、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、前記剥離された懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ライン6から排出することができるので、懸濁物質による濾過膜部の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0070】
また、前記のように、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0071】
(第2例)
本例は、実施の形態2の一実施例であり、図2は本例の濾過膜部の目詰まり防止方法を実施する水処理システムの概略説明図である。図2に示す水処理システムにおいて、前記実施の形態1の一実施例である第1例を示す図1と共通の構成には共通する番号を付して説明する。本例では、懸濁物質濃縮排水ライン6のブローライン7に、該ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度を検知する濁度計17が取り付けられていおり、その他の構成は図1に示す第1例と同様である。この濁度計17はブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、制御部16に濁度を出力するようになっている。
【0072】
また、制御部16にあっては、第1例と同様に、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14に開閉指令信号を出力し、また前記ポンプ5の回転数を出力周波数に応じて可変させるインバーター15を介して前記ポンプ5を駆動する駆動指令信号を出力するようになている。
【0073】
この制御部16は、第1例と同様に、所定の間隔毎に、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を所定時間閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を所定の回転数で所定時間駆動する駆動指令信号を出力し、前記所定時間経過後、前記開閉弁11とブロー弁13を開く開指令信号を出力するプログラムを備えている。
【0074】
更に本例では、前記開閉弁11とブロー弁13を開くことにより該ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となったことを濁度計17が検知したとき、開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力するプログラムを備えている。
【0075】
また、制御部16は、第1例と同様に、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間、前記動作のなかで、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている時間、ポンプ5を所定の回転数で駆動している時間、ポンプ5の回転数等を記憶させた記憶部を備えている。
【0076】
前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間、前記動作の中で、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている時間、また、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させるときのポンプ5の回転数は、第1例と同様にして設定される。
【0077】
上記のように構成した水処理システムにより、本発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は次のように実施される。
【0078】
前記水処理システムの運転は、第1例と同様に、原水タンク1から被処理水をポンプ5の駆動により給水ライン2を通して濾過膜部3に供給し、濾過膜部3で濾過した処理水を貯留タンク4に貯留するようにして行われる。そして、濾過処理運転の時間が設定された時間経過すると、制御部16が給水ライン2aに配置された開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を設定された時間閉じる閉指令信号と、ポンプ5を所定の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14が設定された時間閉じて循環回路10が構成され、ポンプ5が所定の回転数で駆動する。これにより、濾過膜部3で発生した懸濁物質濃縮排水は循環回路10内で循環する。このように循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質は循環水の流速により膜面から剥離される。
【0079】
前記設定された時間が経過すると、制御部16が前記開閉弁11とブロー弁13を設定された時間開く開指令信号を出力し、かかる信号を受けて開閉弁11とブロー弁13が開く。これにより、前記循環回路10内で循環していた懸濁物質濃縮排水が原水タンク1から供給される被処理水で押し出されるようにしてブローライン7からブローされる。このようにして懸濁物質濃縮排水がブローされることにより、前記濾過膜部3の膜面から剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともにブローライン7から排出される。
【0080】
前記開閉弁11とブロー弁13を開くことにより該ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となったことを濁度計17が検知すると、制御部16が開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁12及び排水弁14が開き、ブロー弁13が閉じるとともに、前記ポンプ5が通常の回転数で駆動し、これにより、濾過処理運転に復帰する。そして、また、設定された間隔(時間)毎に、前記動作を繰り返して行う。
【0081】
前記のように、循環回路10を構成し、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を循環水の流速により膜面から容易に且つより確実に剥離することができる。この後、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、前記剥離された懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ライン6から排出することができるので、懸濁物質による濾過膜部3の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0082】
また、前記のように、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0083】
更に、前記懸濁物質濃縮排水のブローにあっては、ブロー時に、ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となったことを濁度計17が検知した時点でブローを停止するようにしたので、ブロー用としての被処理水の無駄な排出が防止でき、被処理水の排出量の一層の小量化が図れる。
【0084】
(第3例)
本例は、実施の形態3の一実施例である。本例の水処理システムは、制御部16のプログラム及び記憶部の記憶情報以外は、図2に示す前記第2例と同様であるので、図2を援用し、本例を説明する。
【0085】
本例では、制御部16は、第1例と同様に、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14に開閉指令信号を出力し、また前記ポンプ5の回転数を出力周波数に応じて可変させるインバーター15を介して前記ポンプ5を駆動する駆動指令信号を出力するようになっている。
【0086】
そして、制御部16は、第1例と同様に、所定の基本間隔毎に、給水ライン2aに配置された開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を所定の基本時間閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を所定の回転数で所定の基本時間駆動する駆動指令信号を出力し、前記所定の基本時間経過後、前記開閉弁11とブロー弁13を所定の基本時間開く開指令信号を出力し、ブロー弁13を開いている前記所定の基本時間経過後、開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力するプログラムを備えている。
【0087】
更に本例では、前記開閉弁11とブロー弁13を開くことにより該ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度について濁度計17が検知した濁度が所定値を超えた場合、次にくる前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行わせる所定の基本間隔及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間を変更し、変更後の間隔及び時間を指令する信号を出力するプログラムを備えている。
【0088】
更に、前記ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を下回った場合、次にくる前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行わせる変更後の間隔及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている変更後の時間を変更前の基本間隔及び基本時間に戻し、基本間隔及び基本時間を指令する信号を出力するプログラムを備えている。
【0089】
また、制御部16は、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる基本時間、前記動作の中で、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている基本時間、ポンプ5を所定の回転数で駆動している基本時間、前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間、ポンプ5の回転数、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度値、変更後の前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間、及び変更後の前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間等を記憶させた記憶部を備えている。
【0090】
本例にあって、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる基本時間、前記動作の中で、前記開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている基本時間、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させるときのポンプ5の回転数及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間(懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間)は、第1例と同様にして設定される。
【0091】
前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度の所定値は、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えたとき、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行う基本間隔や前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間では、ブローにより懸濁物質濃縮排水ライン6から排出される懸濁物質濃縮排水の濁度が一定となる前にブローが終了してしまう値として設定されている。
【0092】
前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合、濾過膜部3の膜面への懸濁物質の付着度合いが増えたことを示すシグナルとなり、次の前記循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間が、修正間隔、修正時間として別途設定される。前記修正間隔、修正時間は、前記濁度が所定値を超えた懸濁物質濃縮排水の濁度が、ブローにより一定となる状態が得られる間隔や時間を基準に設定され、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔を基本間隔より短い間隔として、また、開閉弁11とブロー弁13を開いている時間を基本時間より長い時間として設定される。
【0093】
そして、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度を濁度計17で検知して、当該懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合、前記循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔を前記修正間隔に、そして懸濁物質濃縮排水をブローをしている基本時間を前記修正時間に変更するようになっている。
【0094】
上記のように構成した水処理システムにより、本発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は次のように実施される。
【0095】
前記水処理システムの運転は、第1例と同様に、原水タンク1から被処理水をポンプ5の駆動により給水ライン2を通して濾過膜部3に供給し、濾過膜部3で濾過した処理水を貯留タンク4に貯留するようにして行われる。そして、濾過処理運転が所定の基本時間経過すると、制御部16が給水ライン2aに配置した開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を所定の基本時間閉じる閉指令信号と、ポンプ5を所定の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14が所定の基本時間閉じて循環回路10が構成され、ポンプ5が所定の回転数で駆動する。これにより、濾過膜部3で発生した懸濁物質濃縮排水は循環回路10内で循環する。
【0096】
このように循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質は循環水の流速により膜面から剥離される。前記基本時間が経過すると、制御部16が前記開閉弁11とブロー弁13を基本時間開く開指令信号を出力し、かかる信号を受けて開閉弁11とブロー弁13が開く。これにより、前記循環回路10内で循環していた懸濁物質濃縮排水が原水タンク1から供給される被処理水で押し出されるようにしてブローライン7からブローされる。このようにして懸濁物質濃縮排水がブローされることにより、前記濾過膜部3の膜面から剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともにブローライン7から排出される。
【0097】
更に、前記開閉弁11とブロー弁13を開くことにより該ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水の濁度は濁度計17で検知され、ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えた場合、制御部16が循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の基本間隔を前記修正間隔に、そして懸濁物質濃縮排水をブローをしている、即ち開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間を前記修正時間に変更し、次の動作は前記修正間隔、修正時間に基づいて行われる。
【0098】
そして、その後、前記ブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を下回った場合、循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の修正間隔及び開閉弁11とブロー弁13を開いている修正時間が、変更前の基本間隔、基本時間に変更され、前記動作は、変更前の基本間隔、基本時間に基づいて行われる。
【0099】
前記のように、循環回路10を構成し、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を循環水の流速により膜面から容易に且つより確実に剥離することができる。この後、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、前記剥離された懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ライン6から排出することができるので、懸濁物質による濾過膜部3の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0100】
また、前記のように、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0101】
更に、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部3の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができ、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が所定値を超えたことを濁度計17が検知した場合、以後の前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することにより、濾過膜部3の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部3の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0102】
(第4例)
本例は、実施の形態4の一実施例である。本例の水処理システムは、制御部16のプログラム及び記憶部の記憶情報以外は、図2に示す前記第2例と同様であるので、図2を援用し、本例を説明する。
【0103】
本例では、制御部16は、第1例と同様に、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14に開閉指令信号を出力し、また前記ポンプ5の回転数を出力周波数に応じて可変させるインバーター15を介して前記ポンプ5を駆動する駆動指令信号を出力するようになっている。
【0104】
そして、制御部16は、スタート時のみ、第1例と同様に、給水ライン2aに配置された開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を所定の基本時間閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を所定の回転数で所定の基本時間駆動する駆動指令信号を出力し、前記所定の基本時間経過後、前記開閉弁11とブロー弁13を所定の基本時間開く開指令信号を出力し、ブロー弁13を開いている前記所定の基本時間経過後、開閉弁12及び排水弁14を開く開指令信号とブロー弁13を閉じる閉指令信号を出力するとともに、前記ポンプ5を通常の回転数で駆動する駆動指令信号を出力するプログラムを備えている。
【0105】
更に本例では、制御部16は、次の前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行わせる所定の基本間隔及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間を、濁度計17により検知されたブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて設定された間隔及び時間に変更し、変更後の間隔及び時間を指令する信号を出力するプログラムを備えている。
【0106】
また、制御部16は、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる基本時間、前記動作の中で、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている基本時間、ポンプ5を所定の回転数で駆動している基本時間、前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間、ポンプ5の回転数、懸濁物質濃縮排水の初期濁度に応じて設定された前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる時間、及び懸濁物質濃縮排水の初期濁度に応じて設定された前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間等を記憶させた記憶部を備えている。
【0107】
本例にあって、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を所定の間隔毎に行わせる基本時間、前記動作の中で、前記開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14を閉じている基本時間、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させるときのポンプ5の回転数及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている基本時間(懸濁物質濃縮排水をブローをしている時間)は、第1例と同様にして設定される。
【0108】
更に、前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行う間隔は、前記基本間隔の他に、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて、対応間隔として別途設定される。この対応間隔は、懸濁物質濃縮排水中の懸濁物質が濾過膜部3の膜面に付着し目詰まりするおそれになる時間を基準として、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じた対応間隔として設定される。
【0109】
更に、前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間は、前記基本時間の他に懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて、対応時間が別途設定される。この対応時間は、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度がブローによって低くなり一定となるのに要する時間を基準として、懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じた対応時間として設定される。
【0110】
そして、前記のように、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度を検知して、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を、懸濁物質濃縮排水ブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度に応じて設定された懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の対応間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする対応時間に変更するようになっている。
【0111】
上記のように構成した水処理システムにより、本発明に係る濾過膜部の目詰まり防止方法は次のように実施される。
【0112】
前記水処理システムの運転は、第1例と同様に、原水タンク1から被処理水をポンプ5の駆動により給水ライン2を通して濾過膜部3に供給し、濾過膜部3で濾過した処理水を貯留タンク4に貯留するようにして行われる。そして、濾過処理運転が所定時間経過すると、制御部16が給水ライン2aに配置した開閉弁11、処理水ライン2bに配置された開閉弁12、ブローライン7に配置されたブロー弁13及び排水ライン8に配置された排水弁14を所定時間閉じる閉指令信号と、ポンプ5を所定の回転数で駆動する駆動指令信号を出力し、かかる信号を受けて、開閉弁11、開閉弁12、ブロー弁13及び排水弁14が所定時間閉じて循環回路10が構成され、ポンプ5が所定の回転数で駆動する。これにより、濾過膜部3で発生した懸濁物質濃縮排水は循環回路10内で循環する。このように循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質は循環水の流速により膜面から剥離される。
【0113】
前記所定時間が経過すると、制御部16が前記開閉弁11とブロー弁13を所定時間開く開指令信号を出力し、かかる信号を受けて開閉弁11とブロー弁13が開く。これにより、前記循環回路10内で循環していた懸濁物質濃縮排水が原水タンク1から供給される被処理水で押し出されるようにしてブローライン7からブローされる。このようにして懸濁物質濃縮排水がブローされることにより、前記濾過膜部3の膜面から剥離された懸濁物質は懸濁物質濃縮排水とともにブローライン7から排出される。
【0114】
更に、前記開閉弁11とブロー弁13を開くことによりブローライン7を流れる懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度が濁度計17により検知され、制御部16が次にくる前記一連の信号による一連の動作を一括りとし該動作を行わせる間隔、及び前記開閉弁11とブロー弁13を開いている時間を、前記濁度計17により検知された濁度に応じて設定された対応間隔及び対応時間に変更し、変更した対応間隔及び対応時間を指令する信号を出力する。そして、かかる信号を受けて、前記動作は、変更後の対応間隔及び対応時間に基づいて行われる。
【0115】
前記のように、循環回路10を構成し、循環回路10内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させることにより、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を循環水の流速により膜面から容易に且つより確実に剥離することができ、この後、懸濁物質濃縮排水をブローすることにより、前記剥離された懸濁物質を懸濁物質濃縮排水とともに懸濁物質濃縮排水ライン6から排出することができるので、懸濁物質による濾過膜部3の目詰まりを早期に解消することができるものとなる。
【0116】
また、前記のように、濾過膜部3の膜面に付着している懸濁物質を膜面から剥離する際に被処理水を供給することなく、懸濁物質濃縮排水を循環させることにより膜面に付着している懸濁物質を剥離するので、ブロー用としての被処理水の排出量の小量化、即ち捨て水の節約を図ることができ、経済的である。
【0117】
更に、前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後における懸濁物質濃縮排水の濁度を検知することにより、濾過膜部3の膜面への懸濁物質の付着度合いを知ることができ、該濁度に応じて、次の前記懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することにより、濾過膜部3の膜面への懸濁物質の付着が極力少なくなり、懸濁物質による濾過膜部3の目詰まりを早期に解消することができるとともに、ブロー用としての被処理水の無駄な排出が防止でき、被処理水の排出量の小量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る逆浸透膜部の目詰まり防止方法を実施する水処理システムの一例を示す概略説明図。
【図2】本発明に係る逆浸透膜部の目詰まり防止方法を実施する水処理システムの他例を示す概略説明図。
【符号の説明】
【0119】
1 原水タンク
2 給水ライン
2a 給水ライン
2b 処理水ライン
3 濾過膜部
4 貯留タンク
5 ポンプ
6 懸濁物質濃縮排水ライン
7 ブローライン
8 排水ライン
9 循環ライン
10 循環回路
11 開閉弁
12 開閉弁
13 ブロー弁
14 排水弁
15 インバーター
16 制御部
17 濁度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を濾過する過程で濾過膜部に発生した懸濁物質濃縮排水を所定間隔毎にブローすることにより濾過膜部の目詰まりを防止する方法であって、
前記濾過膜部の上流側の給水ラインと濾過膜部に接続された懸濁物質濃縮排水ラインを循環ラインで結んで循環回路を構成し、前記懸濁物質濃縮排水のブローの前に、前記濾過膜部の上流側の給水ライン、濾過膜部の下流側の処理水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを閉じ、前記循環回路内で懸濁物質濃縮排水を強制循環させた後、前記濾過膜部の上流側の給水ライン及び懸濁物質濃縮排水ラインを開き、懸濁物質濃縮排水をブローすることを特徴とする濾過膜部の目詰まり防止方法。
【請求項2】
前記懸濁物質濃縮排水のブロー時に、懸濁物質濃縮排水の濁度を看視し、濁度が一定となった時点でブローを停止することを特徴とする請求項1記載の濾過膜部の目詰まり防止方法。
【請求項3】
前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度が所定値を超えた場合、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔、及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することを特徴とする請求項1記載の濾過膜部の目詰まり防止方法。
【請求項4】
前記懸濁物質濃縮排水のブロー開始直後、懸濁物質濃縮排水の濁度を検知し、該濁度に応じて、次の懸濁物質濃縮排水を強制循環させ懸濁物質濃縮排水をブローする一連の運転の間隔及び/又は懸濁物質濃縮排水をブローする時間を変更することを特徴とする請求項1記載の濾過膜部の目詰まり防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−7131(P2006−7131A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189733(P2004−189733)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】