説明

濾過装置、濾過構造

【課題】本発明は、エレメントを交換する際に、捕集されたダストが液圧回路に戻ることを抑制することができる濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置30は、エレメント32と、蓋機構34とを備える。エレメント32は、筒状であって一端に濾過すべき液を内側に導くエレメント流入口43を備え、かつ、濾過すべき作動油L1が内側から外側へ向かって通過することによって濾過すべき作動油L1内のダストを捕集する。蓋機構34は、エレメント流入口43を開閉可能に覆う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧アクチュエータなどを備えた液圧機器の液圧回路において、当該液圧回路を循環する液を濾過するための濾過装置に関する。また、本発明は、前記濾過装置を備える濾過構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧回路中には、当該油圧回路内を循環する例えば作動油などの液を濾過する濾過装置が設置されている。この種の濾過装置では、ある程度使用されたエレメントは、定期的に交換される必要がある。
【0003】
濾過装置の構造として、エレメントは、筒状に形成される濾材を備えており、略筒状である。そして、濾過装置の構造としては、濾過前の作動油を、外側から内側へ向かってエレメント具体的には濾材を通過させることによって、当該作動油内に含まれるダストをエレメントによって捕集する構造がある。
【0004】
この種の濾過装置としては、エレメントと、当該エレメントを内側に収容するケースとを備える構造が提案されている。ケース内では、フィルタエレメントの外周面との間に濾過前の作動油が満たされている。作動油が、エレメントを外側から内側へ通過することによって、当該作動油内のダストがエレメント(具体的には濾材)に捕集される(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−106099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている濾過装置では、エレメントを交換する場合などにおいてケース内からエレメントを取り出す際には、エレメントの外周面に付着したダストは、ケース内に落ちるなどする。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような構造を有する濾過装置では、ケースとエレメントの外周面との間に満たされる作動油は、エレメントによって濾過される前の状態である。
【0007】
それゆえ、エレメントを取り出す際に当該エレメントの外周面に付着したダストがケース内に落ちたとしても、これらダストは、新たに取り付けられるエレメントによって再び捕集される。
【0008】
このように、エレメントと、当該エレメントを収容するとともにエレメントによって濾過される前の作動油が溜められるタンクなどの収容室を備えて、作動油を外側から内側へ向かってエレメントを通過させることによって当該作動油内のダストを捕集する構造であれば、エレメントを取り出すことによって収容室内に落ちるダストは、新たに取り付けられるエレメントによって再び捕集される。
【0009】
一方、濾過装置の構造としては、作動油がエレメントを内側から外側に向かって通過することによって当該作動油内のダストを捕集する構造がある。この種の構造を有する濾過装置では、作動油内のダストは、エレメント(具体的には濾材)の内周面に付着しており、収容室とエレメントとの間つまりエレメントの外側には、濾過された作動油が満たされる。
【0010】
それゆえ、この種の構造を有する濾過装置では、エレメントを交換する場合などエレメントを収容室から取り出すと、当該エレメントの内側に存在するダストが収容室内に落ちるとともに当該内側に満たされているダストを含む作動油も収容室内の濾過後の作動油に混じってしまう。
【0011】
この結果、収容室内の作動油中に再びダストが戻されるとともに、捕集されたダストを含む作動油が液圧回路内に戻るおそれがある。捕集されたダストが再び液圧回路内に戻されることは、好ましくない
したがって、本発明の目的は、エレメントを交換する際に、捕集されたダストが液圧回路に戻ることを抑制することができる濾過装置を提供することである。また、本発明の目的は、前記濾過装置を備える濾過構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の濾過装置は、エレメントと、蓋機構とを備える。前記エレメントは、筒状であって一端に濾過すべき液を内側に導くエレメント流入口を備え、かつ、濾過すべき液が内側から外側へ向かって通過することによって前記濾過すべき液内のダストを捕集する。前記蓋機構は、前記エレメント流入口を開閉可能に覆う。
【0013】
この構造によれば、エレメントを交換する際にエレメント流入口を閉めることによって、エレメントの内側にたまったダストが落ちることが抑制される。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記蓋機構は、蓋部材と、付勢部材と、駆動部材とを備える。前記蓋部材は、前記エレメント流入口を覆う第1の位置と前記エレメント流入口を開く第2の位置との間で移動可能である。前記付勢部材は、前記蓋部材を第1の位置に付勢する。前記駆動部材は、前記蓋部材に設けられるとともに前記エレメントの内側を通って当該エレメントを貫通し、かつ、前記エレメントの軸方向に前記付勢部材の付勢力に打ち勝つ荷重が加わると前記蓋部材を第2の位置に移動する。
【0015】
この構造によれば、駆動部材を押圧するだけでエレメント流入口が開口する。
【0016】
また、本発明の濾過構造は、濾過装置と、前記濾過装置を内側に収容する収容室とを備える。前記濾過装置は、エレメントと、付勢機構とを備える。前記エレメントは、筒状であって一端に濾過すべき液を内側に導くエレメント流入口を備え、かつ、濾過すべき液が内側から外側へ向かって通過することによって前記濾過すべき液内のダストを捕集する。前記付勢機構は、前記エレメント流入口を覆う第1の位置と前記エレメント流入口を開く第2の位置との間で移動可能な第1の蓋部材と、前記第1の蓋部材を第1の位置に付勢する付勢部材と前記第1の蓋部材に設けられるとともに前記エレメントの内側を通って当該エレメントを貫通し、かつ、前記エレメントの軸方向に前記付勢部材の付勢力に打ち勝つ荷重が加わると前記第1の蓋部材を第2の位置に移動する駆動部材とを備える。
【0017】
前記収容室は、壁部と、第2の蓋部材とを備える。前記壁部は、設置された状態にある前記エレメントの前記駆動部材において前記エレメントから出ている部分の一端と対向して前記濾過装置が挿通可能な取り出し孔が設けられる。前記第2の蓋部材は、前記取り出し孔を開閉可能に塞ぐとともに、前記取り出し孔を塞いだ状態において前記駆動部材の一端に当接して前記第1の蓋部材を第2の位置に移動する。
【0018】
この構造によれば、第2の蓋部材を取り外す作業をすると、エレメント流入口が閉じられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、エレメントを交換する際に、捕集されたダストが液圧回路に戻ることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る濾過構造を、図1〜6を用いて説明する。図1は、濾過構造10を示す断面図である。図1に示すように、濾過構造10は、収容室20と、収容室20内に収容される濾過装置30とを備える。
【0021】
収容室20は、例えば油圧アクチュエータ(図示せず)内に設けられる液圧回路21の一部である。図中、液圧回路21は、その一部が示されている。液圧回路21内には、上記された油圧アクチュエータを駆動するための作動油Lが循環している。
【0022】
収容室20内には、濾過装置30が収容される。濾過装置30は、作動油Lを濾過する。なお、作動油Lにおいて濾過装置30に濾過される前の作動油L1は、本発明で言う濾過されるべき液の一例である。
【0023】
収容室20において図中右側には、作動油L(濾過されるべき作動油L1)を収容室20内に導く流入口22が形成されている。また、収容室20において図中左側には、濾過装置30によって濾過された作動油L2を液圧回路21に戻す流出口23が形成されている。収容室20については、後で詳細に説明される。なお、作動油Lは、濾過されるべき作動油L1と濾過された作動油L2とを含む概念である。
【0024】
濾過装置30は、外筒31と、エレメント32と、基部33と、蓋機構34とを備えている。図2は、外筒31とエレメント32とが分解される様子を示す断面図である。図2に示すように、外筒31は、例えば略円筒状であって一端が閉塞されるとともに他端が開口している。
【0025】
外筒31の周壁35の略全域には、複数の連通孔36が形成されている。連通孔36は、周壁35の内側と外側とを連通している。なお、図中、連通孔36は、一部が示されているが、実際には全域に形成されている。外筒31は、後述されるエレメント32の濾材37が外側に広がらないように抑える機能を有している。
【0026】
図1に示すように、エレメント32は、外筒31内に収容される。図2に示すように、エレメント32は、濾材37と、第1のプレート38と、第2のプレート39と、内筒40とを備えている。
【0027】
濾材37は、例えばプリーツ状に折りたたまれるとともに略円筒状に形成されている。濾材37は、その軸心線方向を横切る方向に作動油L1を通過させることによって、作動油L1中に含まれるダストを濾過する。
【0028】
第1のプレート38は、濾材37の第1の端部41を支持している。なお、第1の端部41は、図中上方に位置する端部であって、外筒31の閉塞端に対向している。第1のプレート38は、濾材37の第1の端部41の開口(後述される内筒40の端部)を覆っている。
【0029】
第2のプレート39は、濾材37の第2の端部42を支持している。なお、第2の端部42は、図中下方に位置する端部である。第2のプレート39は、外筒31の開口端に対向している。第2のプレート39において濾材37の内側に対応する部分には、第2のプレート39を貫通するエレメント流入口43が形成されている。
【0030】
内筒40は、例えば円筒状であって、濾材37の内側に収容されており、濾材37の同心上に配置されている。また、内筒40の一端は、第1のプレート38と一体になっている。他端は、第2のプレート39と一体になっている。内筒40は、濾材37が内側に変形することを抑制する機能を有している。
【0031】
上記のように構成されるエレメント32は、外筒31内に外筒31の同心上に収容される。この際、エレメント32は、第2のプレート39が外筒31の開口端に対向するように、外筒31内に収容される。
【0032】
図3は、図1中に示されるF3の範囲を拡大して示す断面図である。図3は、濾過装置30において、第2のプレート39の近傍を示している。図3に示すように、エレメント32は、エレメント32の軸心線方向に外筒31内に第2のプレート39まで収容される大きさを有するとともに、内筒40の第2のプレート39側の先端部44が外筒31から出るように形成されている。
【0033】
なお、図に示すように、内筒40の略全域には、内筒40の内と外とを連通する連通孔45が形成されている。連通孔36,45は、作動油L1,L2が通る。
【0034】
図1,3に示すように、基部33は、液圧回路21の流入口22に固定されている。基部33は、流入口22に接続される基部流入口46と、エレメント32の内側に濾過される前の作動油L1を導く基部流出口47とを備えている。基部流入口46と基部流出口47とは、互いに連通している。
【0035】
図3に示すように、内筒40の先端部44(内筒40において外筒31より出る端部)は、基部流出口47内に挿入される。具体的には、内筒40の先端部44には、基部流出口47の周縁に当接する当接部48が形成されている。先端部44は、当接部48が基部流出口47の周縁に当接するまで挿入される。
【0036】
先端部44の周囲には、シール部材の一例としてOリング49が設けられており、それゆえ、基部流出口47と先端部44との間が液密にシールされる。
【0037】
また、基部33には、基部33内の圧力(作動油L1の圧力)が過大になったときに快弁するリリーフ弁50が設けられている。
【0038】
図1に示すように、蓋機構34は、駆動ロッド51と、第1の蓋部材52と、第1のガイド部材53と、第2のガイド部材54と、付勢機構55とを備えている。
【0039】
駆動ロッド51は、エレメント32の内側に収容されているとともに、エレメント32(内筒40の)の軸心線上に配置されており、エレメント32の軸心線に沿って延びている。第1のプレート38には、駆動ロッド51を挿通する挿通孔100が形成されている。連通孔56は、駆動ロッド51を移動可能に挿通する。なお、挿通孔100と駆動ロッド51との間の隙間は、作動油L1が漏れることがないように小さいものである。
【0040】
第1の蓋部材52は、エレメント流入口43を開閉可能に覆う。図4は、第1の蓋部材52を示す斜視図である。図1,4に示すように、第1の蓋部材52は、例えば一端部57(図中上端)から他端部58(図中下端)へ向かうにつれて次第に広がるテーパー状の円筒状であって、周壁に複数(本実施形態では、一例として4つ)の連通孔56が形成されている。連通孔56は、第1の蓋部材52の内と外とを連通している。
【0041】
第1の蓋部材52の一端部57は、第1の蓋部材52の軸心線方向に内と外とを連通するよう、開口している。他端部58は、閉塞されている。第1の蓋部材52は、一端部57からエレメント流入口43から内筒40内に収容される大きさである。
【0042】
図5は、第1の蓋部材52がエレメント流入口43から内筒40内に収容された状態であって、エレメント流入口43を液密に塞いでいる状態を拡大して示す断面図である。図5に示すように、第1の蓋部材52の他端部58は、エレメント流入口43よりも大きく、それゆえ、第1の蓋部材52がエレメント流入口43から内筒40内に収容されると、他端部58がエレメント流入口43の周縁に当接するとともにエレメント流入口43を液密に塞ぐ。
【0043】
また、第1の蓋部材52の他端部58がエレメント流入口43の周縁から離れるように第1の蓋部材52の軸心線つまり内筒40の軸心線に沿って移動すると、エレメント流入口43は、開口される。
【0044】
第1の蓋部材52においてエレメント流入口43を塞ぐ位置は、第1の位置P1である。エレメント流入口43を開く位置は、第2の位置P2である。第1の蓋部材52が第2の位置P2にあると、基部流入口46から流入した作動油L1は、第1の蓋部材52の連通孔56を通るとともに一端部57の開口を通って内筒40内に進入する。
【0045】
なお、図3に示すように、基部33において基部流出口47と基部流入口46との間の空間S1は、第1の蓋部材52が第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動することができる大きさを有している。
【0046】
図3,5に示すように、第1の蓋部材52は、駆動ロッド51に固定されている。具体的には、駆動ロッド51の先端部51aは、第1の蓋部材52の他端部58に、例えば螺合することによって固定されている。それゆえ、他端部58は、閉塞される。なお、固定構造は、一例であって、螺合に限定されるものではない。
【0047】
図1,2に示すように、第1のガイド部材53は、外筒31の閉塞端において外筒31の軸心線上に配置されており、外側に向かって突出する筒状である。第1のガイド部材53において外筒31に対向する端部は、開口している。他端部は、閉塞している。外筒31の閉塞端と第1のガイド部材53の閉塞端とには、駆動ロッド51を移動可能に挿通する挿通孔60,61が形成されている。
【0048】
第2のガイド部材54は、外筒31の挿通孔60の内側(挿通孔60の周縁)に固定されており、第1のガイド部材53の内側に向かって突出している。第2のガイド部材54には、駆動ロッド51を移動可能に挿通する挿通孔が形成されている。第2のガイド部材54の先端と第1のガイド部材53の他端部閉塞との間には、所定の空間が規定されている。
【0049】
駆動ロッド51が第1,2のガイド部材53,54の挿通孔61,62を通ることによって、駆動ロッド51の移動が安定するようになる。
【0050】
付勢機構55は、ばね63とばね受け部材64とを備えている。ばね受け部材64は、駆動ロッド51に固定されている。具体的には、ばね受け部材64は、駆動ロッド51において、第1のガイド部材53の閉塞端と第2のガイド部材54の先端との間に規定される空間S2内に収容される部分に固定されている。ばね受け部材64は、フランジ状であって、駆動ロッド51の軸心線方向を横切る方向に広がっている。
【0051】
ばね63は、第2のガイド部材54の先端とばね受け部材64とに間に配置されている。上記されたように、第2のガイド部材54は、外筒31に固定されているので、ばね受け部材64は、ばね63によって、第1のガイド部材53の閉塞端側に付勢される。つまり、駆動ロッド51は、図2中の上方に向かって付勢される。この結果、第1の蓋部材52は、第1の位置P1に付勢される。ばね63は、本発明で言う付勢部材の一例である。
【0052】
ここで、収容室20の構造を具体的に説明する。図1に示すように、収容室20は、駆動ロッド51の先端側(外筒31より出ている部分の先端側)と対向する壁部24を備えている。壁部24において、当該収容室20内に設置された濾過装置30に、エレメント32(駆動ロッド51)の軸心線方向に沿って対向する箇所には、取り出し孔25が形成されている。
【0053】
取り出し孔25は、収容室20内にエレメント32を設置する際、もしくは、エレメント32を収容室20から取り出す際に用いられる。取り出し孔25は、エレメントが通ることができる大きさを有している。
【0054】
取り出し孔25には、第2の蓋部材26が着脱自在に設置される。第2の蓋部材26は、取り出し孔25を液密にふさぐ。第2の蓋部材26において収容室20の内側に向く面には、支持突起27が形成されている。支持突起27は、収容室20内に向かって突出している。駆動ロッド51と支持突起27との間には、連結部材65が設けられている。連結部材65は、駆動ロッド51に固定されており、支持突起27側の端部に、支持突起27と勘合する嵌合孔65aが形成されている。それゆえ、第2の蓋部材26が取り出し孔25を覆うと、支持突起27が嵌合孔65aに嵌る。
【0055】
なお、駆動ロッド51と連結部材65との長さは、第2の蓋部材26が取り出し孔25を覆った状態において、第1の蓋部材52が第2の位置P2に位置決められるだけの長さを有している。駆動ロッド51と連結部材65とは、本発明で言う駆動部材を構成している。それゆえ、第2の蓋部材26が取り出し孔25を覆うと、第2の蓋部材26によって、連結部材65と駆動ロッド51とには、ばね63の付勢力に打ち勝って第1の蓋部材52を第2の位置P2に位置決める荷重が加わる。
【0056】
つぎに、濾過装置30の動作を説明する。
【0057】
濾過装置30が収容室20内に設置された状態であると、図1に示しかつ上記されたように、第1の蓋部材52は、第2の位置P2に位置決められている。それゆえ、液圧回路21内を流動する作動油L1は、基部流入口46と第1の蓋部材52の連通孔56と基部流出口47とエレメント流入口43とを通って、エレメント32の内側に侵入する。
【0058】
エレメント32の内側に侵入した作動油L1は、図1中矢印に示すように、内側から外側に向かって濾材37を通過する。この過程で、作動油L1中に含まれるダストが濾材37によって捕集される。それゆえ、濾材37の内面には、ダストが比較的多く付着している。この結果、収容室20と濾過装置30との間には、濾過された作動油L2が満たされる。濾過された作動油L2は、流出口23から液圧回路21に戻る。
【0059】
図6は、収容室20内からエレメント32を取り出す際、もしくは、収容室20内にエレメント32を設置する際を示す断面図である。図6に示すように、所定期間が過ぎると、エレメント32は交換される。エレメント32を交換する際は、第2の蓋部材26を取り外す。
【0060】
第2の蓋部材26が取り外されると、第2の蓋部材26によって駆動ロッド51に加わっていた荷重が解除されるので、駆動ロッド51は、ばね63の付勢力によって、第1の蓋部材52を第2の位置P2から第1の位置P1に移動する。このことによって、エレメント流入口43が液密に塞がれる。
【0061】
エレメント流入口43が液密に塞がれると、エレメント32を基部33から取り外す。ついで、エレメント32を収容室20から取り外す。この際、エレメント流入口43は、第1の蓋部材52によって液密に塞がれているので、エレメント32の内側にたまったダストおよび内側にたまっている濾過されるべき作動油L1は、エレメント流入口43を通って外部に漏れ出すことがない。
【0062】
新しいエレメント32を新たに基部33に設置する場合は、取り出し孔25を通してエレメント32を基部33に設置する。このとき、内筒40の先端部44が、基部流出口47内に挿入される。
【0063】
ついで、第2の蓋部材26が取り出し孔25に取り付けられる。第2の蓋部材26が取り付けられると、図1に示すように、支持突起27が嵌合孔65aに嵌るとともに、連結部材65と駆動ロッド51とが第2の蓋部材26によって付勢されて、第1の蓋部材52が第1の位置P1から第2の位置P2まで移動する。
【0064】
このように構成される濾過構造10では、エレメント32を収容室20内(基部33)に設置する際および取り外す際には、エレメント流入口43が液密に塞がれる。それゆえ、エレメント32の内側に収容されているダストが濾過された作動油L2内に落ちることが抑制される。この結果、エレメント32を交換する際に、捕集されたダストが液圧回路21に戻ることが抑制される。
【0065】
また、蓋機構34では、エレメント流入口43がばね63によって常時閉じられる方向に付勢されるとともに、駆動ロッド51を押圧するだけでエレメント流入口43が開口するので、エレメント32を取り外す際の操作が簡単である。
【0066】
また、第2の蓋部材26を取り外すだけで駆動ロッド51に加わる力が解除されて第1の蓋部材52が第1の位置P1に戻る構造であるので、第2の蓋部材26を取り外す作業をするだけで、自然にエレメント流入口43が液密に閉じられる。
【0067】
それゆえ、エレメント32の交換作業が簡単になる。さらに、第2の蓋部材26を利用する構造であるので、構造も比較的簡素である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態に係る濾過構造を示す断面図。
【図2】図1に示された外筒とエレメントとが分解される様子を、駆動ロッドの軸心線に沿って切断して示す斜視図。
【図3】図1中に示されるF3の範囲を拡大して示す断面図。
【図4】図1に示された第1の蓋部材を示す斜視図。
【図5】図1に示された第1の蓋部材が第1の位置にある状態を拡大して示す断面図。
【図6】図1に示された収容室内からエレメントを取り出す際、もしくは、収容室内にエレメントを設置する際を示す断面図。
【符号の説明】
【0069】
10…濾過構造、20…収容室、24…壁部、25…取り出し孔、26…第2の蓋部材、30…濾過装置、32…エレメント、34…蓋機構、43…エレメント流入口、51…駆動ロッド(駆動部材)、52…第1の蓋部材、63…ばね(付勢部材)、65…連結部材(駆動部材)、P1…第1の位置、P2…第2の位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であって一端に濾過すべき液を内側に導くエレメント流入口を備え、かつ、濾過すべき液が内側から外側へ向かって通過することによって前記濾過すべき液内のダストを捕集するエレメントと、
前記エレメント流入口を開閉可能に覆う蓋機構と
を具備する濾過装置。
【請求項2】
前記蓋機構は、
前記エレメント流入口を覆う第1の位置と前記エレメント流入口を開く第2の位置との間で移動可能な蓋部材と、
前記蓋部材を第1の位置に付勢する付勢部材と、
前記蓋部材に設けられるとともに前記エレメントの内側を通って当該エレメントを貫通し、かつ、前記エレメントの軸方向に前記付勢部材の付勢力に打ち勝つ荷重が加わると前記蓋部材を第2の位置に移動する駆動部材と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
濾過装置と、
前記濾過装置を内側に収容する収容室と
を具備し、
前記濾過装置は、
筒状であって一端に濾過すべき液を内側に導くエレメント流入口を備え、かつ、濾過すべき液が内側から外側へ向かって通過することによって前記濾過すべき液内のダストを捕集するエレメントと、
前記エレメント流入口を覆う第1の位置と前記エレメント流入口を開く第2の位置との間で移動可能な第1の蓋部材と、前記第1の蓋部材を第1の位置に付勢する付勢部材と前記第1の蓋部材に設けられるとともに前記エレメントの内側を通って当該エレメントを貫通し、かつ、前記エレメントの軸方向に前記付勢部材の付勢力に打ち勝つ荷重が加わると前記第1の蓋部材を第2の位置に移動する駆動部材とを具備する付勢機構と、
を具備し、
前記収容室は、
設置された状態にある前記エレメントの前記駆動部材において前記エレメントから出ている部分の一端と対向して前記濾過装置が挿通可能な取り出し孔が設けられる壁部と、
前記取り出し孔を開閉可能に塞ぐとともに、前記取り出し孔を塞いだ状態において前記駆動部材の一端に当接して前記第1の蓋部材を第2の位置に移動する第2の蓋部材と
を具備することを特徴とする濾過構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−119616(P2008−119616A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307247(P2006−307247)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000178675)ヤマシンフィルタ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】